そしてわたしは、ともちんスキーである。
 攻キャラスキーのわたしはまず大抵、素敵な攻属性男に出会うとときめく。
 それまでただのゴジラ認定だったともちにときめきまくったのが、『Le Petit Jardin』。同じ役を演じたあひくんのことは受だと思ったのに、ともちのことは攻認定だった。(ちなみに、カップリングはともまさだった……でかいよ・笑)
 時はたかはな時代、たかはなと明らかな番手のある人以外、組子たちは全員「動く背景」と呼ばれていた時代。
 宙組生え抜き若手スターであるともちんは、希望の星だった……と、思う。
 順番的には彼より上であるあひくんよりも、ともちんの方が役付が良く、組内下克上が行われるかも?てな気配がないでもなかったんだ。
 それが覆ったのが、たかはな退団とその時代の宙組解体。大幅な組替えにより、たかはな時代は一掃された。たかはな時代に(動く背景扱いの中では)勢いのあったともちんは、黒船来航とともに失脚。組替えしてきた下級生スター、みっちゃんの下へと押し出された。
 番手スターだから好きになるわけではないし、むしろど真ん中な人よりその周囲あたりの位置の人が好みであるわたしは、彼への萌えが変わるわけじゃないにしろ、不安ではあった。
 これから、どうなるんだろう?って。
 たかはな時代の下級生使いは間違っていたと思うけれど、それでもわたしはたかはなが好きで、たかちゃんだから、花ちゃんだから、観に行っていた。たかちゃん時代の2番手だった水くんがいなくなり、たかちゃん時代の若手スター筆頭だったあひくんがいなくなり、その対だったともちんは脇へ追いやられ……画面が変わりすぎて寂しい。
 新しい宙組にわくわくしていたのとは、別に。
 感傷もあった。
 ともちんの立ち位置がどんどん脇へ下げられていくのを見るのは、心がひりひりする。
 ともちんを追い越していく人たちが、それに相応しい力を持ったスターさんだと認めていることとは、別に。
 感傷もあった。
 それでもともちんは、脇の役を、主に悪役を務めることで新しい宙組で花開いていた。

 そしてまた、時代が変わりつつあるのかなあ。

 路線外であっても今までは、DCなどの別箱公演時には学年順の役付だったけど、今後はそれすらなくなるのかなあ。
 前回の全ツ『銀ちゃんの恋』で、出演者の学年順、スター順で役を割り振るならば、橘役はともちんであるはずだった。だけどともちんに橘は回ってこず、専務役になった。
 専務はいい役だし、比重も変わるだろうと思っていたし、実際無理矢理比重をいじってくれていたし、ともちんの立ち位置は守られていた。
 『銀ちゃん』のときはほんと、ともちん専務役でも平気だったの、なんにも思わなかったの。(無理矢理比重上げて、あんなキャラになってしまったことへの不満はあるにしろ・笑)
 それが今回の『ヴァレンチノ』にて、2回連続役付を落とされると、さすがに気になります。気付きます。
 そうか、そうなのか、と。
 配役発表時に、あ、ともちがこっちの役なんだ、と思ったけれど、『銀ちゃん』と同じように、比重が変わるかもしれないので、その時点では特にナニも思ってなかったんだけど。『ヴァレンチノ』ってもともと、男役2番手の役はないよーなもんだし。
 
 初日を観て、比重そのままなんだ、と思い知った。
 つまり、ドラマシティ公演の2番手は、ともちんではない。

 えーその昔、『永遠の祈り』というDC公演がありましてね、出演者の顔ぶれ的に、しいちゃんが2番手だろうと思ったことがありましたのよ。
 だって彼、その3年前に同じDCで同じ主演者さん相手に2番手やってるんですよ。ふつー彼が2番手じゃないですか、この時点でもう彼はトップ路線ではないとわかっていても、いちおー立場的には。
 まさか研5のぼうやが2番手だとは思わないぢゃないですか。
 
 そのときのショックを思い出しました(笑)。
 そしてわたし、どーしていつもこう、同じよーな立場の人ばかり好きになるのかしら。
 Myご贔屓も、「再演だから順番的にこの役」と思っていたら、そうじゃなくて、役名言われても「誰?」なその他大勢のひとりに落とされたり、大劇場で台詞が「退け!」の2文字だったり、いろいろしたなあ。遠い目。
 贔屓の役付については、贔屓であるがゆえに、あまり語れないんですが。どんな役でもよかった探しして乗り切るからな。

 たったひとりの贔屓ではないけれど、ファンだと思っているあたりの人たちの役付き・扱いに、とても敏感になります。
 これから先、ともちんはまたさらに一歩、舞台の中央から脇へ下がったのかなと。

 それが見えて、寂しかったです。
 嫌だとか不満だとかいうのではなく、ただ、寂しかった。

 
 てな、ポジション絡みの話は置くとして。
 ポジションやら人事やらに一喜一憂するのはヅカの醍醐味。
 マヤミキが舞台上で語っていたように、衣装に付いてるキラキラ線一本の増減にプライドを懸けている人たちを愛し、見守っている以上、ファンが敏感になるのは当然のこと。
 それでも、それだけしか見えなくなったらツマラナイ。

 悪役ともちん萌え。

 2番手役ではなかったけれど、ジャック@ともちんがすごい好きです。わーんもー、かっこいーー!!
 ルディ@ゆーひくんとの映りの良さ。
 据え膳過ぎるとはいえ、やはり好きですこの並び。

 ともちんはわたしのトキメキ攻男。たとえヘタレわんこな役をやったとしても、攻基本。
 これからもずっと、わたしをときめかせてほしい。

 ジョージ役で、親友として絡むともちんも、見てみたかったけどさ。
 でもでも、みーちゃんジョージもほんとに素敵だったので、このキャスティングに不満があるはずもない。橘役のときより、みーちゃんすごいうまくなってる。

 カイくんのナターシャに疑問符だったのみで、あとのキャストはすばらしいハマリ具合だったと思ってます。カイくんも、公演が進めば変わったのかもしれないし、初日に観たわたしにキャラクタが届いてこなかっただけで。

 楽しい公演だったので、もっと観たかったし、たくさんの人に観て欲しかった。
 国難の中での公演に是非はあるにせよ、良い作品の供給機会が失われたという点において、青年館公演中止は残念だった。
 と、日付的には震災の前日ですが、4月になってからの日記です。
 わたしはずーっとゆーひくんスキーで来たけれど、実のところ彼の芝居にはあまり期待していなくて。
 ゆーひくんの芝居で泣けることなんか、まずナイよなと、油断していました。
 ゆーひくんは泣ける人じゃなくて萌える人なのよ。だから大好きなの。大泣きさせてくれる演技力のみをヅカに求めたりしてないから、それでいいの。
 反対に、ののすみはわたし的に芝居の人で、芝居で泣かせてくれる人。ほんとのところ、ゆーひくんとののすみのコンビは成功なのかどうか、よくわかんない。持ち味とか方向性とか違いすぎて。
 こんなコンビですし、再演でお話知ってるし、で、むーーっちゃ油断して観ていた、『ヴァレンチノ』

 ラストで、まさかのダダ泣き。

 あ、でも泣いたのって、ルディ@ゆーひの死を知らされたジューン@ののすみの歌と幻のルディたち、さらにそのあとのジョージ@みーちゃん……だから、あれ、ひょっとして、ゆーひ関係ない?!
 い、いやいやいや、そんなこたぁーない!(笑)
 ラストシーンのアランチャと拳銃にも泣かされましたから!

 
 『ヴァレンチノ』って作品は、ストーリーだけなら「だからナニ?」ってなもんなんだと思う。
 サクセスと破滅の物語だけど、落ちぶれるのだって自業自得というか、「あらがえない運命に翻弄されて!!」系じゃない。自分がアホだからです、それで人生浮き沈みしました、ってだけじゃ、冷めた目で見ると盛り上がらないってばよ。
 だから主役のルディの魅力勝負なんだと思う。
 ルディを、どれだけ好きにならせるか。
 だからこの作品は、とことん「タカラヅカ」な作品なんだと思う。

 ルディという役以前に、それを演じるスターのことを、観客は好きなわけだから。
 なんという時代のどんな役をやっていたって関係ない、作品名で観に来たわけじゃない、おーぞらゆーひだから見に来たんだ、ってそんな意識。タカラヅカって、中でもバウ作品って、そんなもんじゃん?
 それでこそ成り立つ物語に、それと同じ人生に翻弄された「ヴァレンチノ」というスターを重ねて描いた作品。
 二重構造に観客はいつの間にか巻き込まれ、ラストのカタルシスへ導かれる。

 ルディを好きというよりも、ゆーひくんを好きでわたしはルディに魅せられる。
 ジューンに同調し、彼女と共に夢を見て、彼女と共に絶望する。

 無垢な少年の瞳、そしてアダルトでセクシーな大人の姿。
 ヲトメ心をくすぐる多面的な魅力で、ただもおソレだけで、ルディに、ゆーひくんに夢中になる。
 そこにあるものの、情報量は少ないと思う。
 ただ、そこからいくらでも想像することが出来る。
 ゆーひくんの力って、そこじゃないかな。
 彼は妄想力を刺激する。彼自身にはそれほど多くのモノを表現する技術がないとしても、どんな技巧派の人が完璧に演じるよりも多くの可能性を、わたしたちに解放してくれる。
 彼の無表情に、勝手に好きなモノを読みとる。想像する。
 観客個々の想像力に勝る演技力はナイと思う。観客ひとりの想像力ではなく、観客ひとりひとり全員だからねー。ひとりずつチガウものを見るわけだから、天文学的数字になるよねー。ナニその万華鏡状態。

 だからゆーひくんは人気スターであり、人気だけでここまで来ちゃった人なんだなと。
 ああ、なんて面白いスターなんだろう、おーぞらゆーひ。大好きだ。

 全方向性の萌えの泉。
 カリンチョさんルディともっともチガウところはやっぱり、あのレ○プシーンだよねえ……。
 男たちに乱暴される場面が、あーゆーことになっちゃうあたり、さすがのゆーひくん。
 ともちんがすでにゆーひくん専用になっている気がして、ともちんスキーなわたしとしてはさらにワクテカする状況です(笑)。
 BLにありがちなエピソードっつーか、行きずりの相手にフルボッコは、腐ったヲトメの嗜虐心を満たすのでしょう。そのあと受は、愛する攻の腕に戻るわけですよ、ええ。てゆーか傷ついた心とカラダに、攻の愛が必要なのです。
 ……って、この場合の攻キャラはジューンか。
 ジャック@ともちんがルディを離さなくなって、そのあとも実はずっと、とか、いくらでもスキマをぬって妄想できるところがまた、全方向性の所以(笑)。

 
 冷静に見ると、ルディって大したことしてないってゆーか、アホやなあ、で終了。
 だけどそれに留まらない、ときめきと感情移入。
 目に楽しい演出、きれいな画面。
 イケコの演出力は、やっぱすごい。

 でもって泣かせの芝居をさせたらタカラヅカ1!の、ののすみ。
 この子が泣くと、全世界が泣く。
 ジューンがルディに夢を見て、彼の死に泣くから、わたしもまた共に泣く。
 すみ花ちゃんがドラマを一気に描き上げるの。電話を受けて、タイプライターに向かって、また立ち上がって。
 台詞や歌の問題ではなく、背景のルディの幻たちのことではなく。
 ルディの物語が、そこに浮かぶ。映画スター・ヴァレンチノではない、アランチャの少年の人生が。
 それに巻き込まれ、どどーっと泣けた。

 で、駄目押しのみーちゃんですよ。
 ナニあのいい男。泣いているわたしにコートを掛けてくれるよーな、押しつけではない大きさとあたたかさ。泣く。

 親友ジョージの包み込むあたたかさの中で、さらに展開される、ルディとジューンの出会いの場面。
 運命の出会い、というほど、よーく考えるとドラマティックでもなんでもないんだけど、そんなツッコミは出ないほど、運命の出会いに思える。
 いや、どんな出会いでも、すべてが運命であり、ドラマティックなんだ。
 あとから振り返れば。
 愛をもって、振り返れば。

 
 ちくしょー、油断した。
 大泣きした。
 わたしがアーティストで、わたしのイマジネーションを具現してくれるアクターがいるとしたら、それってどんな感覚なんだろう?

 宙組ドラマシティ公演『ヴァレンチノ』初日観劇にて、考えたんだ。

 ヴァレンチノ@おーぞらゆーひという、ミューズについて。

 わたしがジューン@ののすみで、ルディ@ゆーひくんを使って、自由に妄想していいとなったら。
 ナニその夢の展開!!

 ゆーひくんにどんな衣装を着せてどんな髪型させてどんな時代のどんな役をどんな人を相手にどんな台詞を言わせてどんなことをさせて。
 って考えたら、クラクラする。

 つまりは、そーゆー話だよね?
 ジューンにしろ、ナターシャ@カイくんにしろ。
 自分好みのジェンヌで好きに演出してイイって言われて、ハァハァ言いながら妄想劇場する、女性クリエイターがジェンヌ取り合う話よね?!(ぜんぜん違います)

 とまあ、ストーリーとは関係ないところで、感じ入ってしまいました。
 ふたりのヒロイン、ジューンとナターシャを見て。

 そして、「タカラヅカ」という夢のキングダムを思う。
 アニメにいちばん近い王国、2.5次元の美青年たちが生息するところ。
 アニメやゲームでしか描けないモノを、生身の役者を使って作れる、そらおそろしいところ。
 つくづく……ヅカの演出家ってすごい商売なんだなあ、と。
 ジューンやナターシャの興奮を、味わうことができるんだ。

 もしもわたしが、ヅカのクリエイターならば。
 やはり、書き下ろしたい、演じて欲しいと思うのは、ゆーひくんではなかろうか。

 だって、大空祐飛は、あまりに美しい。 

 昔から美しい人だった……つーか、ナニが得意なわけじゃない分、ビジュアル特化とゆーかソレしかないっつーかゲフンゲフン!な人だったけど。
 最近のゆーひくんの作り込まれた美しさときたら。

 「タカラヅカの男役」として、理想的な美しさだ。

 歌やらダンスやら芝居やら、うまい人は他にいくらでもいるけれど。
 「タカラヅカの男役」としての、「2.5次元の美貌」「生身ぢゃないよね、CGだよね?」な感じは、ゆーひくんならではのものだ。
 ここは「タカラヅカ」で、「タカラヅカ」をやりたくて演出家をやっている人ならば、彼に夢を見ても不思議じゃない。
 つか、男役おーぞらゆーひにアテ書きしたい、こんな彼を見たい、彼にコレを着せたい、言わせたい、とイマジネーションむらむらしても、不思議じゃない。

 『ヴァレンチノ』は再演だからアテ書きじゃない、と言われるかもしれないけど。
 一旦上演したモノは、そこで終わりなのか? わたしがクリエイターならば、素材さえあればまた再現したいと思う作品もあると思うよ。
 初演レイプなキャスティングや大人の事情ゆえの再演はヤだけれど、クリエイター自身が「この役者に、わたしの作品を演じて欲しい」と思える人に出会えたら、是非お願いするよなあ。
 それってアテ書きじゃん? 作品と役者の幸運な出会い、イメージの融合、さらなる発展。

 ゆーひくんは、演出家にとってミューズたり得る人なんだと思う。
 たしかにいろいろ不得意で不自由な人だが(笑)。

 だけど、クリエイターのイマジネーションを刺激する人なんだ。

 彼に、夢を見たくなるんだ。

 ゆーひくんが昔からヲタに人気のあるジェンヌだっつーのも、当然ですよ。創作系の人の琴線に触れるキャラなんですよ。

 どんだけ完璧に実力があっても、演出家にあまり興味を持たれてないタイプの人って、いるもんなあ。
 ミューズってのは、実力さえあればなれる存在ぢゃないもんなあ。

 
 『ヴァレンチノ』は再演のビデオを見たことがある程度。
 ナマは観られませんでした、ええ。前日から徹夜で並んだけど、謎のシステムによりチケットは購入できず。
 その窓口で発売されるチケットは全日程合わせて300枚位だっけか、わたしの前に並んでいるのは20人位だった……なのに、買えなかった。ええ、恨み節です、根に持ってます(笑)。
 今だと考えられないよなあ、当時の阿呆なチケット販売システム。衰退・解体してくれてよかった。

 そうまでして観たかった公演だったから、ビデオも思い入れありまくりで見たけれど、それもまた遠い記憶。
 もうあれから20年近く経つんだね。

 
 カリさんのルディと、違いすぎます、ゆーひさん(笑)。

 あまりに別物過ぎて、比べる気にもならない(笑)。

 再演と再現はチガウ。
 カリンチョさんのルディを再現するためにこの現代に『ヴァレンチノ』を再演したんじゃない。
 おーぞらゆーひのルディを新たに創りあげるために、この『ヴァレンチノ』があるんだ。

 そう、思った。

 これはアテ書きでしょ? イケコが自分のお気に入り作品、定評ある名作で、ゆーひくんを見たかったんでしょ?
 わたしたちが「トートは誰々で見てみたい!」と妄想配役して楽しむように。

 そんな妄想力を、イマジネーションをかきたてるミューズだもの、ゆーひくんは。

 実際、ちょ、イケコ自重~~!!(笑)と、思いましたよ。
 ナニたのしそーに、ともちん×ゆーひやってんの??
 サイトーくんリビドーまんまの『血と砂』初日のプルミタス@ゆーひくんの拷問シーンかと思いましたよ。ええ、翌日からカット入った、あの問題シーン。
 ゆーひくんだからだよね? ともちんだからだよね?
 ふたりの正しい使い方に、客席から特大ハリセンでツッコミ入れましたよ、小池せんせい!

 カリさんではありえない。これは、ゆーひくんだからこその、『ヴァレンチノ』。

 ああほんと、面白いな。
 おーぞらゆーひってタカラジェンヌ、すごい面白い存在だわ。
 彼自身の芝居とか舞台姿は別に、そんな面白いわけじゃないんだけど。引き出しや実力がそれほどあるわけでなし。
 だけど「世界を創る能力」においては、ほんっと面白い人だ。

 わたしがジューンなら。わたしがナターシャなら。わたしがイケコなら。
 わたしがゆーひくんをクリエイトしていいのなら、どんだけ燃えあがるだろう。萌え、という言葉ではなく、本来のバーニングな意味で。
 彼のために、どんな物語を描くだろう。

 そう思い、奮えた。
 思うんだけど。
 もしもいつかこの宝塚大劇場が閉鎖され、廃墟となったときには。

 時間関係なく、さまざまな音がするんだろうな。

 拍手や歓声、笑い声。オーケストラの音。
 建物に染みついた音が、するんだと思う。誰もいなくても。

 『クーロンズゲート』というゲームにあるんだ。
 天堂劇場という、廃墟になってしまった劇場を歩くマップが。
 巨大な劇場からは、どこからともなく歓声や拍手の音が聞こえてくる。遠く、近く。
 劇場はもう、死んでしまったのに。
 スターも観客も、誰もいないのに。
 廃墟の中に、かつての華やかな記憶だけが置き去りにされ、風化している。

 劇場はただの建物とか入れ物とか、そんな次元を超えた「心」の積もった場所だと思う。

 たくさんの人が、人生のあちこちでこの光を、そして歓声を聴くんだろう。
 なにもないところで、いつか、どこかで。

 
 『愛のプレリュード』『Le Paradis!!』千秋楽は、抽選にはずれちゃったのでバウホール中継観劇。
 バウで中継を観たことは今まで何度もあったけれど、これほど「遠い」と思ったこともない。
 わたしの体調やらモチベーションの問題かもしれないが、なんかすごく舞台が遠く感じられ、集中できなかった。
 いやその、客入りのアレさもあるかもしんないけどさあ。バウ中継鑑賞券、売り切れてないんだもんよ。
 中継がはじまっても場内はしーんとしたままで、拍手もナニもないし。

 スクリーンでしかなく、出演者たちはそこにいない。
 だから拍手する意味はない。つか、ぶっちゃけ無意味。無意味なことをする必要はない、無駄を省いてエコ上等。
 それはわかっているんだけど、それでもこんだけしーんとしているのは味気ない。

 そんな状態だったんだけどさあ。

 『EXCITER!!』ってすごいね!
 手拍子起こるんだもんよ。
 みんな染みついてる?(笑) この曲が流れたら手が動くの。

 スクリーン相手に拍手しても意味なくね?なんて、吹っ飛んでくの。
 空気が動くの、温度が動くの。

 一旦拍手OKだってわかったら、拍手する人はするよーになるし。手拍子するし。
 出演者に聞こえるかどうかは関係ない、今、心が動いたから、手が動くんだもの。
 感動を、感謝を、伝える行動が手を打ち鳴らすことだから、だからするの、理屈じゃないの。

 退団者の挨拶に、無意味なのに拍手するんだよ。
 せずには、いられないんだよ。

 
 中継のいいところは、それぞれの表情をアップで見られること。
 ナマではとても見えない大きさで。
 みんないい顔で笑っていて、切ないけれどうれしい。愛しい。

 繰り返されるカーテンコールで、まとぶんがいつものよーにぐだぐだになっていくのも、おかしいやらかわいいやら。
 てゆーかしゅん様、ナチュラルだなあ……。

 
 しゅん様を個別認識したのは、オサコン『I got music』だった。「様」までが渾名、若手ダンサーだと聞いた。なんで様まで渾名なのか、未だもってわからないまま。オサコンのときはよく知らないから、「あんなに下級生なのに『様』付けで呼ばれるってことは、ゴーマンキャラなのかしら?」と思った。や、そーゆーキャラ立ちはアリだと思う、芸能人なんだから。
 でもしゅん様はどっちかっつーとヘタレで、泣き虫さっちゃんで、舞台のオトコマエさに反してやたらかわゆくて。
 いつぞやのバウ楽で、泣いてるしゅん様をよっちが姫抱っこしてたよなあ。ナニやってんだ88期(笑)。
 骨太な舞台姿、ダンサーなのに歌ウマで、武人を演じるともれなく体育会系ホモになる芸風も愉快だった。
 もっともっと、見ていたかった。

 じつはかなりショックな、はるちゃん退団。
 転向したてのころはとまどいばかりだったけど、途中からかなり好きな娘役さんになっていた。
 『EXCITER!!』のドリームガールズは、はるちゃんロックオン率がいちばん高かった。いちかもくまちゃんも大好きだけど、はるちゃんの「いい女」ぶりは、わたしを沸き立たせる。
 あの銀スパンドレスで両手を振り上げてワイルドに歌い上げるところなんか、大好物過ぎて!!
 『相棒』もそうだったし、はるちゃんの「女子」を全面に出したオンナっぷりが、わたしの好みど真ん中らしい。
 反対に、ハバナでまっつに寄り添っているところとか、『コード・ヒーロー』の薄幸系美女とかは、好みからはずれる……(笑)。
 肉食系を演じてくれたとき、すっげーときめくんだ。
 
 カテコなどで話しているはるちゃんは、かなりこう、ぽややんとしたお嬢さんのようで。あんなにくっきり派手な美貌なのに、ナニあのパステル系のふわふわしたひと(笑)。
 中の人と別人度が高い役の方が、さらに彼女のポテンシャルを解放したのかなとか思う……ああ惜しいよ、舞台にいるべきだよ!! 手足の長さだけぢゃないよ、実ははるちゃんナニ気に胸も大きいし!(え) すげー舞台映えするひとなのにー!

 眉月王子は雪組から見ているから。
 わたしが彼を個別認識したのは、94年『雪之丞変化』新公あたりか。素顔が美人なのに、舞台化粧がイマイチで惜しいと思っていた。
 んでなにより驚いたのが、96年3月27日「日刊スポーツ」の高校野球ニュースに、何故かカラーでばーんと載っていたんだ。「“勝利の女神”が微笑んだ」と見出し付きで、野球帽にメガネ姿、スタンドでメガホン振ってる……。歌劇団の正式なお仕事ではなくプライベートを掲載されたよーな印象。
 雪組では無名に近い下級生なのに、なんなんだこの扱いは?!と、びびった(笑)。後にも先にも、こんな載り方をした子はいなかったぞっと。(あんまりびっくりしたのでスクラップしてある・笑)
 そのあと組替えがあり、路線スターになるのかな……と思ったら、そうでもなかった。美人だけど、芝居がアレ過ぎたからかなあ……。
 それでもじっくり時間を掛けて、いい舞台人になっていたよね。いついかなるときも、美形で「ジェンヌ」で「男役」で、夢を壊さない人だった。その名の通り、「王子」だった。
 千秋楽の入りも白尽くめのマント姿で、王子様過ぎて震撼した(笑)。

 めおくんとあまちゃきは、新公主演やバウ主演経験のある路線スターさん。その卒業が惜しい人たちなのは、前にも語った通り、つかナニを言おうと足りないくらい。
 学年と共に個性が出てきて、これからが楽しみな人たちだった。

 みらいくんと鳳龍くんは、まだ大階段も降りられない学年なんだ……。
 名前を呼ばれて脇から現れる、そのことに切なさが増す。
 まだ海とも山とも決まらない学年だろうに、もう旅立ってしまうのか。

 彼らの最後の挨拶を、スクリーンならではのアップで眺めた。
 届かないけど、拍手した。

 
 サヨナラパレードまで見送って。
 袴姿のまとぶんの美しさ……と、サービスの良さ(笑)。よく動くし喋るし、肉声いっぱい聞けたよありがとう。

 まとぶんの車を見送って。
 花の道まで来て、改めて劇場を振り返った。

 不思議なところだ、宝塚大劇場。
 明かりの消えた建物は夜に沈み、だけどその手前には鈴なりの人、詰めかけたファン、交通整理の警官、係員、会スタッフ。
 何十回、何百回繰り返された出会いと別れ。

 これからも、続いて欲しい。
 たくさん泣くけれど、泣いて別れを惜しむほどの、愛する人たちに出会いたい。
 喪失、という言葉を思った。

 『愛のプレリュード』『Le Paradis!!』前楽、『真飛聖サヨナラショー』

 『Le Paradis!!』の後半からがーがー泣いてたんだが、このショーで泣くのはもうデフォルトなので気にしない。
 サヨナラショーもきっと泣くだろうなと漠然と思ってはいたけど……いやその、自分でもうろたえるくらい泣いた。
 途中で鎮痛剤飲むくらい。(泣きすぎて偏頭痛起こした)

 はじまるなり、『EXCITER!!』なわけですよ。
 ニューライフなエキサイター氏ではじまったサヨナラショー、彼が銀橋から本舞台へ行くと次は「オパオパ」なわけですよ。
 大階段を銀色ブラウスの男たちが逆三角形で降りてくるんですよ。先頭はめおみつですよ。

 まっつが、いない。

 この公演の初日で、「花組なのに、まっつがいない」ことを思い知り、心をひりひりさせたけれど、それはもうわかったというか、悟ったというかあきらめたというか。
 彼の幻影を追うのはやめようと自分なりに納得していたんだ。
 でも。

 『EXCITER!!』という、まっつがたしかにいた公演を再現されて、そこにいないとなると、ダメージ倍増。
 記憶に焼き付いている曲、場面、衣装、顔ぶれ。なのに、そこにいない。

 まとぶんがいなくなる、彼と別れる、彼のラストステージ。それだけでびーびー泣いていたのに、その上、ご贔屓不在までもが重なると、もお。

 なんでいないの。
 まとぶさんのサヨナラショーなのに。花組のトップスター、わたしたちのトップスターさんのサヨナラショーなのに。

 組替えしたことも、新天地で羽ばたいていることも、キムくんが今は支えるべきトップスターさんなことも全部わかっていて、理解して、納得していてなお、本能的に「いない」ことがつらかった。

 てゆーか、『MIND TRAVELLER』だよ? なんでまっついないのよ!!(逆ギレ)

 サヨナラショーってのは、そのトップさんの集大成であり、彼のスター人生を振り返るものである。そしてそれには、彼と共に在った組子たち、同じ時代を生きた人々抜きに語れるモノではない。
 わかっていたけれど、ここまで痛感したことはなかった。
 差し出される曲のひとつひとつに思い出がよみがえってきて、切ない。

 ああわたしほんとに、まとぶん見てたんだなあ。
 ご贔屓のいる組のトップさんなんだから当然とはいえ、ほんとにまとぶさんをたくさん見てきたんだ。
 彼への思い出が、痛いほど切ないとは、理解してなかったよ。

 まとぶんが作った花組を、愛していた。

 いい時代だった。いい作品だった。
 駄作だと嘆いたり怒ったりしていたモノもあるけれど、それでも今、まとぶんと花組のみんなゆえに「よかった」と思える。素敵なモノを見せてもらった、ありがとう、と。

 別れがつらいほど、こんなに苦しいほど、愛させてくれてありがとう。
 再現されると曲が流れると、それだけで涙があふれるよーな作品を、公演を、ありがとう。

 まとぶんの演じた役の中では、項羽@『虞美人』がいちばん好きだった。虞姫@彩音ちゃんの菩薩のような包容力が好きだった。劉邦@壮くんとがっつり組んで、トップコンビと2番手、これが花組!と胸を張れる姿だった。
 代表作はコレだろう、タムドク@『太王四神記』。男役は制服たる黒燕尾、娘役は花組カラーのドレス。退団者のみ白燕尾と白ドレス。そんな「正装」で見守る人々のなか、タムドクのラブソングを歌うまとぶんに、ハモりを入れるのがまりんって。同期の使い方がニクいよなあ。
 そしてまとぶんは、みんなに見守られて大階段を上ってゆき。

 ああこれで終わりなんだ、と思ったら、まだ続く。
 退団者たちだけで「命の革命」。
 全開で笑っていたまっつを抱き上げようとしためおくんを思い出す、ちょナニすんだと抵抗したまっつ、抱き上げることはかなわないまま笑っていためおくん、そんな彼もこの花園を卒業する。
 それはついこの間の記憶で。
 なのにもう、あまりに遠い記憶で。

 そーやってサヨナラショーは、最初の曲がそうだったように、『EXCITER!!』に戻って。
 舞台には、見慣れた赤黒衣装の人々。見慣れたを通り越して見飽きた?(笑) 『EXCITER!!』2回に彩音ちゃんMSにサヨナラショーに『タカラヅカスペシャル2010』ですよ、わたし全種類観てますよ!(笑)
 ドリームバード、夢の扉が開くオープニングの曲、振付に従って。
 大階段を降りてくるのは……Mr.YU!!

「なんでいつもギリギリなのよ?!」……さあやの怒声もそのままに。

 そして出ましたチェンジボックス!
 ……この装置もさあ、まさかここまで使われ続けるとは思ってなかったろうなあ、誰も。大道具さんも本望だろうなあ(笑)。

 Mr.YU登場にどよめく客席、チェンジボックス登場にどよめく客席。
 こんだけ笑い声があがるサヨナラショーって(笑)。

 「人生はミラクル♪」と歌うドリームガールズ、ひとりいない、はるちゃんがいないよおおっ。オープニングのドレス姿で歌ういちかとくまくまの格好良さにしびれつつも、トリオでなくなってしまったことが哀しい。

 すごい早変わりだ、Mr.YUはオープニング衣装のエキサイター氏へ。
 ああもお、まとぶん好きだ、エキサイター氏好きだ。
 上がる歓声。
 期待された姿、のぞまれていた姿。

 みんなの希望がひとつになっている。
 ベクトルがひとつになっている。
 サヨナラショーも今日が初日だから、ナニが起こるのか、構成がどうだからどうなってとか、誰もわかってないじゃん?
 だからおっかなびっくりついて行く面や、ナニが起こるんだろうと構えている面もあったわけで。
 それが、Mr.YU登場からはそんな迷いがどこにもないの。
 「合点!」てなもんで、全員が同じゴールに向けて走り出した! 舞台の上と客席、全部で3000人弱?が、全員! 指揮者の腕の振りも見えるよ、すげー大きいの、のってるの!

 みんなが、走り出す。

 見慣れた……見飽きたくらいの『EXCITER!!』オープニング。ナマで30回は観てる、映像や特別公演で曲とダンスだけも何回も観てる、それでもテンション上がる。
 まとぶん、最後まで客席降り(笑)。このサービスっぷりが彼の彼らしさ。
 しんみりせず、祭りのまま歓声と手拍子のまま、興奮のまま幕は下りる。

 これが、まとぶんのサヨナラショー。
 真飛聖の選んだ最後のショー。

 喪失、という言葉を思った。
 光と拍手と歓声のなか。

 美しい世界だ。
 痛みと切なさを抱え、抱き込み、それでいて、たとえようもなく、美しく愛しい世界だ。
 『ロミオとジュリエット』感想ぼちぼち。

 『ロミオとジュリエット』って有名タイトルだけど、これってどんだけ集客力のある原作なんだろう?
 今回のプレスギュルビック版が世界的に有名だとか評価を受けているとか、そーゆーことではなく、あくまでも『ロミオとジュリエット』という物語自体において。

 わたしは自分がトシを取ったからアリになったけれど、若い頃ならハナで笑うだけだったと思う。
「『ロミジュリ』? ああ、バカなガキが出会ってすぐ脊髄反射で結婚して、カンチガイで自殺、どっちも犬死にする話よね。出会って5日間の話でよかったね、長い間生きてたら絶対別れてるよあいつら。ソレで純愛ってバカみたい」
 なまじ有名すぎるから、あらすじだけは知ってるし、「どうしてアナタはロミオなの」とか台詞もあちこち知ってるし。
 だから『ロミオとジュリエット』というタイトルはマイナスにしかならなかった。
「話は知ってるし、感情移入できそうにないバカの話だから、興味ない」
 と、芝居でも映画でもスルーしただろう。好きな役者が出ているとか、タイトルとは別の部分に魅力がない限り。

 もともとヅカを好きだとかミュージカルファンだとか以外の、一般人を動かす力のあるタイトルなんだろうか?
 わたしにはわからない。

 今はトシ取ったので、ロミオとジュリエットをバカだとも犬死にだとも思わない。彼らの若さゆえの衝動を愛しく思う。彼らを愛しく思えれば、この物語はプロットの確かな美しい物語であると、心から楽しめる。

 出会って5日だから成立した純愛(5日ぢゃなかったら別れてる程度の関係)とプゲラするのではなくて。
 敵同士云々ではなく、ヴェローナ名家の貴公子と令嬢として出会っていたら、ふつーにかわいいカップルになっていただろうと、素直に思う。ロミオの純な鈍さにジュリエットがへそを曲げたり、手の掛かるジュリエットのことをロミオが親友たちに愚痴をこぼしたり、世紀の大恋愛でなくても、そういう当たり前の恋人同士の光景が繰り広げられ、ごくありきたりの裕福な夫婦になったことだろう。
 お金持ちのおぼっちゃま・お姫様だから、駆け落ちして貧乏暮らしをしたらすぐに別れただろうと意地悪く見るのではなく、そもそも恋愛も結婚も価値観が釣り合ってこそ。お金持ちのふたりの「5日間だけ」ではない恋愛を考えるなら、お金持ちのままで想像すべき。ヴェローナの大貴族当主夫妻としてなら、5日間でなくても一生幸せに暮らしたんじゃないかな、ロミオとジュリエット。
 日々を暮らし、怒ったり笑ったりいちゃいちゃしたりして、子供を産み育て、家庭を守りながら老いてゆく。
 そーゆー「当たり前」のカップルだったと思う。「世紀の純愛」でも「特別」でもない、ふつうの。

 切ないのは、そんな「当たり前」な未来を、奪われたこと。
 ラストシーンでおでこをくっつけてくすくす笑っているロミオとジュリエットの姿、本当ならばそれは現実で、日常であるはずだったのに。

 物事が悪い方向にのみ符丁が合っていくってのは、あるんだよなあ。パズルのピースが合うように、次々と出来事が進み、悲劇という絵が浮かび上がってくる。
 どこかひとつでも外れれば、こんなことにはならなかったのに。

 ジュリエットと結婚したロミオ@キムに、ベンヴォーリオ@まっつは「駆け落ちしても連れ戻される」と言うけれど、ロミオは駆け落ちなんて考えてない。
 ロミオはこのヴェローナで、愛するジュリエットと幸せになることを望んでいる。キャピュレットとモンタギュー、ふたつの家が憎しみを捨てて許し合うことを、望んでいる。

「アナタとなら地の果てでも生きられる!」「そんなところに絶対行かせない。もっと素晴らしい世界で俺は君を愛したい」……そーゆーことだよね。

 時間があれば、それは可能だったかもしれない。
 だけどふたりが出会ったときすでに、ジュリエットはパリス伯爵@ひろみとの結婚を前提とされていた。

 自由恋愛ではなく、家同士の結びつきが基本である時代だ、ロミオとジュリエットが結ばれるためには政治的な働きかけがいる。

「必要なら、大統領になってでも潜り込むから」……そーゆーことだよね。

 時間さえあれば、ロミオは親友に相談し、神父様@にわにわや大公閣下@しゅうくんを味方に付け、両親を説き伏せ、正々堂々とジュリエットを迎えに行ったんだ。
 地の果てではなく、この日常で。彼女が幸福に生きられる場所で。

 それが性急すぎる結婚で仲間たちを失い、判断力をなくした少年たちの殺人事件に発展する。

 追放されたあとも、本当ならいずれ恩赦を得られる可能性があった。大公は両家の争いを収めたいと思っているんだから、ロミオとジュリエットの結婚を理由に両家の歩み寄りを期待できただろう。彼らは宗教的に離婚が概念にないのだし。

 が、これまた時間がないゆえに断念。明日にもパリス伯爵と結婚させられる……つーんで、ジュリエットは今日中に仮死になるしかなかった。
 追放されるロミオと一緒に逃げなかった彼女が何故、今さら危険な薬を飲んでまで……って、それはもちろん、パリスのことがなければいずれロミオと会える、夫婦になれると思ってたからだ。
 初夜の床で、ロミオは繰り返したろう、いずれ戻ってきてふたりの愛を成就することを。ふたりが夫婦なのは事実なんだから。
 会えないのは一時だけ、つらいのは一時だけ。いずれまた一緒になれる。
 その一時が、先が見えなくて若いふたりにはつらいのだけど。ここで目先のことにほだされて駆け落ちしても、意味はない。ベンヴォーリオが言っていた通り、そんなことをしたら逆効果。ジュリエットは連れ戻され、ふたりが夫婦として暮らせる日が遠くなる。

 ほんとに、最後の手段だよなあ。
 それまでの計画が全部ダメになって、最後の最後、自殺させるよりマシだと神父が判断して、実行した計画だもの。
 死んだと思われているなら、ジュリエットがロミオと一緒に逃げてもわからない。追っ手はかからない。
 地の果てで苦労するとしても、ふたりで生きることを望む。

 そこまで追いつめられて。

 ……神父の行き当たりばったりすぎる計画に、文句はありますが(笑)。キミが言い出したんだから、責任持って監修しろよ。神父なんだから理由付けて霊廟のジュリエットのそばに侍ってることもできただろうに。
 そしたら、ナニも知らないロミオがやってきても、「死んだふり大作戦」を話して「ありがとう神父様!」とまたしても首っ玉に抱きつかれて、しあわせに終わっただろうに。

 でも実際は、悪い方向にのみ符丁が合っていって。
 誰にも止められなくて。

 仕方ない、運が悪かった、ことの積み重ねで、この悲劇にたどりつく。
 それが切ない。
 『ロミオとジュリエット』って、こんな話だったんだ。
 ロミオとジュリエットをただのアホだと思っていたときには、到底考えようもなかった、切ない物語。 
 トシ取って、こーゆー物語を大好きになれてよかった。

 雪組公演『ロミオとジュリエット』の世界に生きる人々が、大好きだ。
 『ロミオとジュリエット』感想いろいろ。

 結婚式はなんつっても、ジュリエットを迎えるロミオ@キムだ。
 カーテンが開いて、ロミオが立っている。……このときの顔が、すごくイイ。
 ロミオを「男」なんだなと思う。
 神父様@にわさんの庵から去るときとか、乳母@コマの元から去るときとか、すごく子どもっぽいのに。
 礼拝堂でジュリエットを待つロミオは、「男」だ。少年ではなく。

 ジュリエットが来ることを「知っている」。
 来なかったらどうしよう、なんてカケラも思わない。昨日出会ったばかりの敵方の少女が彼を愛し、その愛だけで昨日の今日結婚式に来ると、疑いもしない。
 彼は当然のこととして待つ。その、顔。

 わたしはキムロミオに恋が出来る。
 この、ジュリエットを待つロミオを見るだけで。
 彼にときめく。
 彼を、愛しいと思う。

 ジュリエットの結婚式衣装は残念だなあと思う。星組版の方がよかったなー。
 乳母とカーテン前で会ったあと、「さあ準備を」と言われたのに、なんの準備もせず、めちゃ普段着で結婚式に行くジュリエットに、誠心誠意ツッコミましたとも。準備してへんやーん!と(笑)。
 オトメなら着替えようよ、着飾ろうよ!!

 ロミオとジュリエットの背後で、特撮ヒーローばりに闘ってる愛@せしると死@咲ちゃんも素敵です。つか愛、強すぎだ。

 
 2幕の群衆場面、「狂気の沙汰」は貴重な青チームのみなさんを見られる箇所。
 すぐにベンヴォーリオ@まっつ登場で、視界が偏っちゃうのでほんとろくに見られない……。
 赤青それぞれにロミオとジュリエットの結婚を嘆いていたのに、ベン様とマーキューシオ@ちぎ登場で、赤チームはざーっと去っていくのね。その去りっぷりに感心してみたり。波が引くみたいだ。

 ロミオ登場で曲は「街に噂が」になる。
 この歌が好きだ。
 憎しみと狂気を歌う青チームと、愛を歌うロミオ。

 わたしの視界は偏っていて、ベン様しか基本見ていないんだが。
 だからこそ……かな。
 愛を叫ぶロミオに、泣きたくなる。

 群衆の前で、個は無力だ。
 グループ全員でたったひとりを責める、つるし上げる。「お前は狂っている」と。
 ふつーこんだけやられたら、心が折れるって。
 自分がロミオの立場だったら、と思うとぞっとする。
 もうこのコミュニティにはいられないよ。説得なんて考えず、泣いて逃げることしかできない。
 仲間だった、友だちだった人たち全員に、自分以外のすべての人に、否定され、責められるんだ。
 心病みますよ、んなことされたら。

 それでもロミオは闘う。
 無力なその身ひとつで。

「自分たちの間違いに、何故気付かないんだ」

 こんな状況で自分の意見を言う、信念を曲げない……その、強さ。

「憎しみは消えない」と歌う群衆に対し、「憎しみを捨てて彼女への愛に生きてゆく」と返すロミオ。
 群衆の歌う負の言葉を、ロミオはひとつずつ正の言葉に直していく。

 間違ってない。ロミオはナニも間違っていない。だけど。
 彼の正しさは、力を持たない。暴走した集団が、正しさを踏みにじる。力のない正しさなど悪だという証明に。

 ベンヴォーリオを中心に、ロミオを責める側から見ているので。ロミオの強さに泣きたくなる。
 強いからこそ彼は、さらに傷つく。さっさと降参してしまえばこれ以上なぶられないのに、最後まで抵抗するから、痛め続けられる。

 で、キムくんの素敵なところは、この「正しいロミオ」が時折狂気を帯びること(笑)。
 正しいのに、正義なのに、行き過ぎちゃって「あれ、みんなが言うようにこの人狂ってる?」になっちゃうのが、もお。
 好きだわ~~(笑)。

 
 狂気は広がり、赤チームのターンになる。
 杏奈ちゃんの「ティボルトぉ」の台詞が、ひとことだけなのにルーシーちゃん@『ホップスコッチ』ぶり健在で、ひそかにウケる。ほんっと棒読みだよねー、ルーシーちゃん(笑)。

 ロミオとジュリエットの結婚式を目撃したというキング。
 彼を殴り倒すときにティボルト@ヲヅキがナニを投げているのか、最初わかってなかった。
 そっか、酒瓶投げてるんだ……とわかってからは、かえっておかしいと思っている(笑)。
 だって、キングを殴るだけでも「八つ当たり!」とアレな行動なのに、その八つ当たりするために、持っていた瓶を香音くんにパスするのがまた、オモシロ行動。
 パスじゃなく、投げ捨てるとかならアリだと思うんだけど……。や、香音くんが空気読める人設定で、咄嗟にファインプレイでキャッチしている、ということなのかもしれないけど。
 パスした、殴った、は、なんか愉快さん。

 で、ここのキングがかっこいいんだなああ。
 八つ当たりで殴られて気の毒なんだけど、それでもなおかっこいい。
 口元ぬぐうのイイよね。

 キャピュレットチームでは、ここがいちばん好きだ。
 ティボルトの狂気も大好きで、彼に注目していても泣けるんだが、赤チームのみなさんの毒っぷりがまた、美しくもカッコイイ。

 舞台奥に転がってる感じのりーしゃがえらいダークに美しいし、ティボルトに絡むときのいの莉ちゃんが色っぽくて好き。ひーこの無表情な人形っぽさも、かえってこわい。
 杏奈&リサリサのお色気美女コンビが素晴らしいのは、言うまでもなく。

 でもって。
 朝風くんの狂気が、ど真ん中です。
 好みすぎるんですが、どうしましょう!

 この人、こわくない? 顔が大きいだけに(失礼)表情もよくわかって、すごいこわいんですけどっ。
 場面のラスト、「この手で送り込むんだ、地獄へ」でティボルトの周囲にみんなが集まるところ。
 朝風くん、舌なめずりしてた。
 や、いつもじゃないので、何回かだけど。
 あの大きな目を剥いて、舌を突き出して。まさしく、悪鬼の表情。
 びびびびったーー!!

 朝風くんってどんな人? こんだけダークオーラ全開に出来る下級生ってどうなのよ?
 いやはや、好きです、好みですこの人。
 『ロミオとジュリエット』、感想つれづれ。

 ロミオ@キム、笑いすぎ!と、思う(笑)。彼の笑顔は大好きだ。
 ロミオとジュリエットお約束のバルコニー、あそこでどうしても気になることがひとつ。
 「月に誓おう」と歌ったロミオに対し、ジュリエットが「誓うのはやめて」と返す。
 わたしはここでロミオが笑うのが、いちばん引っかかる。
 「愛を誓おう」と言ってるのに、「誓うのはやめて」って言われたから、鼻白まないか?

 新人公演の演出はひでーもんだったが、唯一ここだけは好き。咲ちゃんロミオが「月に誓おう」と歌い、あゆっちジュリエットが「誓うのはやめて」と返す。ジュリエットがどうして誓いを拒絶したのか、理由を聞くまでロミオは不安そうに切なそうにジュリエットを見つめている。
 「月は姿を変える。あなたの愛も変わる」と、ジュリエットが愛を失うことをおそれて言っていること、月に誓うのがNGなだけで、愛を誓うこと自体はOKなんだとわかったとき、ロミオははじめて笑う。うれしそうに。
 そして「変わらない愛をふたりで育てよう」と返す。

 愛の誓いを拒絶されたのに、にっこにっこ笑っているロミオは違和感。
 いやその、ジュリエットの気持ちを見透かしていて、彼女がなにを言っても笑顔しか出てこないってことなんだろうが。
 初恋ならやっぱ、ここでがーんとなっていて欲しいのよ。

 唐突なプロポーズと乳母@コマの声。
 ここのやりとりが、時折違ったのは、なんなんだろう。
 ジュリエットを捜す乳母の声がして、ジュリエットはとりあえず扉を開けて「すぐ行くわ」だっけか、声を掛ける。そんな彼女に、ロミオは「結婚しよう!」と言う。
 背中でプロポーズを聞いたジュリエットは驚いてロミオを振り返る。「なんですって?」「僕と結婚してくれ」そんなときにも、無粋な乳母の声がする。

 このやりとりが、
ロミオ「結婚しよう!」
ジュリエット「なんですって?」
乳母「ジュリエット様~?」
ロミオ「僕と結婚してくれ」
ジュリエット「今行くってば!」
 だったと思う。言葉自体はチガウかもだが、流れとして。
 乳母の声がしているのに強引に求婚の言葉を続けるロミオと、乳母の声を無視して恋人の言葉に聴き入っているジュリエット。という図が、好きだった。
 ロミオのプロポーズをちゃんと聞いたあとではじめて、扉を開けて「今行くってば!」と乳母に応える。時間を稼ぐために。

 でもときどき、台詞の順番が違ったの。
ロミオ「結婚しよう!」
ジュリエット「なんですって?」
乳母「ジュリエット様~?」
ジュリエット「今行くってば!」←
ロミオ「僕と結婚してくれ」
 コレだと、ジュリエットがロミオの求婚に集中していない気がする。
 「結婚してくれ」と言われたのに、乳母の声がしたらそっちにまず返事をするんだ、話の途中なのに、求婚している恋人を無視して。えっ、その程度なの??と思っちゃう。

 夢華さんジュリエットのときに何回かコレを見て、「夢華さんバージョン専用の演出なの? そんな差異はいらん!」と思ったんだが、いつもこの順番ではなく、正しい順番で台詞を言っているときも多かったので、単に夢華さんが間違えちゃったのかな。
 てゆーか人の生理として、強く名前を呼ばれたらそっちに反応しちゃうよね。舞台慣れしていないとつい、先に乳母に応えちゃったのかなあと思う。
 つまり、ロミオに恋してないんじゃん? 恋してたら、プロポーズしている恋人より、名前呼ばれたからと乳母に反応しないよ。夢華さんは段取りだけで芝居しているんだなあ、経験不足だもん仕方ないかなあ、と思った要因はここにもある。
 新公もそうだったっけ? 新公はあちこち演出ひどかったので、わたしがさらに悪く思い込んでいるのかもしれないが(笑)。

 ここの場面の別れ際の、「よかった、間に合って」というジュリエットの独り言が好きだ(笑)。
 ロミオの「おやすみ」が素敵なのは言うまでもなく。

 
 ロレンス神父@にわさんは、薬草を落とされたときに強く怒鳴ることが多くて、そこが苦手だった。
 取り扱い注意な薬草について言うときはべつにいいんだけど、そうじゃなくて最初のロミオがなついていったときの方。
 神父としてロミオを叱っているというよりも、よーやく登場できた、自分の出番がうれしくて張り切りすぎている、ように思えた。だって、あそこまでひどく罵る理由がわからないんだもの。登場するなり、些細なことでものすごくきつい怒鳴り方をするから、わたしはかなりびびった。それも本当に怒っている風でもないし。
 ロミオとの親密感を出すためだとしても、あんなパフォーマンス的に怒鳴る人は苦手だ……。や、現実の男の人にもいるけどさ、気さくな俺、フランクな俺、を演出するためにがさつだったり乱暴だったり、そーゆーカンチガイしている中高年。器ちっさ!!なリアリティを、こんなところで出す必要はないから、やっぱ神父の怒声は違和感だ。

 公演後半になると、むちゃな怒鳴りつけをせずに穏やかにあきれてみせたりして、その方が好きだった。だからこそ、ベラドンナを触るロミオに注意するときにはじめて声を強くすることで、その薬草の危険さやロミオへの愛情が明確になったし。
 年齢不詳だけど、老人っぽく演じていた後半が好きだったなー。長年神に仕えてきた人なんだ、とわかる方が。

 そーいや結婚式の許可をもらったロミオが神父を抱き上げるの、初日はあったんだよ。
 星組ではれおんロミオが英真神父を抱き上げてくるくる回ってたけど、雪組ではなかったよね。
 初日はキムくん、にわさんを持ち上げてた。一周しただけで終了、高さもなかったし、一瞬のことだったけど。
 やっぱキムがにわにわ持ち上げるのは無理があるんだなあ、がんばってもあれだけかあ、と思ってたら、次に見たときはなくなってた(笑)。やっぱがんばってもアレだし、なくなったんだー。
 千秋楽くらいはやるかなと思ったけど、抱きつくところが長くなるだけだったな(笑)。

 
 「綺麗は汚い」もまた、視界固定のため、ぜんっぜん把握できてない。ダメすぎ~~。
 がおりのキスぐらい、ちゃんと見たかったのになああ。
 がおりといえば、立ち見したとき、下手客席降り先頭の彼が、見事な笑顔でだーっと走ってきて、立ち見エリアのわたしたちに手を振ってくれたのがうれしかったなー。歓声上がってたぞ。やるな、がおりん。

 つっても普段のわたしは客席降りの人々をまったく見ていないので、誰がどうしてるのかわかってないっす……。あああもったいないー。
 『ロミオとジュリエット』感想あれこれ。

 プロローグはとにかくまっつのナレーションが心地よくて。油断すると目を閉じて聴覚のみに集中しそうになる。待て待て、んなもったいない、愛@せしる見なければ!!
 せしるがそりゃーもー美しい。そして、しなやか。彼が美形だと知ってはいたが、認識を凌駕する美貌!

 最初の「ヴェローナ」の場面では、まっつが出てくると彼にロックオンしちゃうので、わたし的にはそれまでが肝。見たいところ多すぎ。

 それぞれキャラがあってドラマがあって、どこを見ても楽しいんだけど、やっぱキングとあゆっちが好き。
 このふたり、最初はガンガンに闘ってるのな。あゆっちからコナかけてキングが応え、すげー殺伐とした空気で争っている。
 なのに、あるときふと、互いに惹かれ合う。
 たまたま、ではなく、明らかに闘っていた相手なだけに、すげードラマを感じてドキドキする。
 こんだけガンガンに闘ってていきなりフォーリンラヴですよ? 愛ちゃん@せしるの采配で。愛ちゃん最強!
 なら、愛ちゃんがひょ~~いっとやれば、マーさんとティボくんが突然恋に落ちるのもアリぢゃね?とか思うよな。
 ……ティボルト@ヲヅキとマーキューシオ@ちぎって、なんかうるさそうなカップルだよな……。(腐発言はやめなさい)

 キャピュレット卿@ヒロさんが色男なのは言うまでもないことだが、モンタギュー卿@ナガさんも、実は好みだ。かっこいいよねー。ヒゲ似合うー。あの杖がいいのー。
 神経質っぽくて、あのロミオ@キムの父親だって、すごく納得。

 ロミオ登場の演出は好きだ。王子様登場! タカラヅカ! って感じでわくわくする。
 またキムくんがほんとにスウィートな美少年で。見に来た人に「タカラヅカってすげえ、きれい!!」と思わせるだろう美しさで、鼻が高い。
 すべての人に、「どーよ!!」と自分の手柄のように自慢したくなる(笑)。

 ジュリエット登場、ロミオと「いつか出会う」とデュエットになるのも好き。宿命のふたり、って感じでうれしくなる。
 ふたりのジュリエットは、衣装が同じなのに髪型同じはNGだったのかな。
 短絡的なわたしはジュリエットの髪型はふたりとも同じと思い込んでいて、2日目に夢華さんを見て違和感を持った。初日に見たみみちゃんの髪型が好きで、それがジュリエットのデフォルトだと思い込んだので、翌日の夢華さんが記憶にあるモノと違ったため、「あれ?」となった。
 前髪が目の上でぱっつん一直線の夢華さんの髪型は、ジュリエットをより幼く見せて、若い夢華さんには合っていたのかもしれない。ただ、それってものすごーくお人形めいた髪型なので、コレが似合うためには相当な美少女でなくてはならないぞっと。眉まで隠してしまうので、表情もわかりにくいと思うんだけどなあ。チャレンジャーだなあ。
 みみちゃんの髪型がかわいかったから、ふたりとも同じで良かったんぢゃ……? と思うが、イケコ指示なのかもしれない。

 パリス@ひろみ登場時のティボルトが好きだ。
 パリスが「ジュリエットを私の妻に」と言い出したときの、ティボルトの「はあっ?!」がツボ。ここは絶対彼をオペラで見る。たとえ声が聞こえなくても(聞こえるときと、両方ある)、彼が「はあっ?!」って言ってるのがわかる(笑)。

 パリスは空気読めないというより、イヤナヤツ設定か。もちろんひろみちゃんが演じているからきれいだし、憎めないキャラクタなんだけど、役割的にカンチガイキャラというより、嫌な奴。
 登場時はともかくとして、ティボルトのお悔やみに来たってときの、わざとらしい泣き方は悪意があるよーにしか見えない(笑)。

 ティボルトの自己紹介ソングがカットになっているのは残念だが、台詞できちんと説明してくれたから、「キャピュレットではいとこ同士は結婚できない」ということがわかった。……ごめんかなめくん、わたしキミの歌はちゃんと聴いてなかったみたいだ。単にジュリエットに相手にされてないんだと思ってた!

 キャピュレット夫人@かおりちゃんが投げ落とし、ティボルトが2階まで投げ返す赤い薔薇。
 パリスの持ってきた花束から1本抜いて、結局また花束に戻されるわけだけど。
 あの1本だけ、相当重いんだろうなあ、とどーでもいいことを考える。
 投げやすいように、錘が入ってるよねアレ。ボールを投げるのと同じ感覚でやりとりできるように。

 結婚について、乳母@コマに生意気な口をきくジュリエット。
 それに対し怒るでもなく、「はいはい(笑)」とおちゃめな感じで下手に消えていく乳母が好き。格が違うというか、大きさがチガウというか、肝っ玉母さんっぽくて素敵。

 主役側だからモンタギューチームの方が、一般的にはおいしいんだろうか?
 だけど、モンタギューチームに贔屓がいるため、実はそっちはほとんど見られていない。敗北感。
 わたしがガン見している・できているのは、キャピュレットチーム。
 「結婚のすすめ」で階段にぞろりと並ぶ赤チーム美女たちとか、素敵すぎる。
 でもって、赤男たちのかっこよさ。
 キングのオトコマエぶりは、今までの彼の芸風から考えられないほどだし(失礼)、朝風くんが好みすぎてたまらんし、レオくんの顔が好きだし、りーしゃのイケメン度がすごいし。香音くんは目立つし、大澄れい氏はシルエットでも耳でわかるし(笑)。
 いやその、青チームも見たいんですよ、見たい人がいっぱいいるんですよ、だけどわたしの偏った視界ときたら、ベンヴォーリオ@まっつとその周辺しか映さないんですよ……うおお、もったいねー。

 で、もったいないというと、舞踏会。
 19回観てなお、ここでなにが起こっているのかわかってない……。
 パリスVSティボルトとか、ジュリエットの追いかけっことか、ロミオとジュリエットの出会いとか、いろいろやってるんですよね? 愛ちゃんもナニかしら画策してるんですよね?(画策言うな)
 星組版を観ていたので、いろいろドラマが同時進行しているのはわかってるんです。
 でもココ、19回とも同じところしか見てないので、よくわかってない……。敗北感……。
 いやその、主役たちは映像で見られるだろーからいいんだ。うん。ロミオとジュリエットの出会いはビデオカメラが逐一追いかけてるよ!

 ロミオとジュリエットが、仮面舞踏会で恋に落ちる、ってのがいいよなと思う。
 ふたりともすごい美少年と美少女なんだけど、素顔を見て恋に落ちてるわけじゃない。「マスクの下の瞳の輝き」「マスクの奥の声の響き」と、顔以外のところで惹かれ合っている。
 視覚情報が限られているだけに、魂から惹かれ合ったのかなと思える。

 てゆーか君たち、マスク付けてる時間長すぎ。とっと取って、顔を見せてくれ! わたしが、顔を見たいんだ(笑)。

 アトラクションは、星組版を観たあとだと寂しいよね……。どいちゃんのすごさがよくわかる……。

 ところでわたし、ティボルトの舞踏会衣装が苦手なんだが。
 かなめくんも着ていたよね、あれ。
 白地になんか模様の入ったパンツ。あの模様が苦手なの……下半身つーかぶっちゃけ内股に、股間にぶつぶつシミシミがあるのがちょっと……(笑)。
 高い生地なんだろうなあ、きっと。ふつーに無地でいいのになあ。

 ティボルトのソロが好き。
 がなっていよーと声が割れていよーと音程があやうかろうと、大好きだ。
 この歌を聴くと泣けて仕方がない。ナイフを振り上げ、切なく見つめるのがイイ。哀しい。うわああん、ティボルト好きだー。
 さあ、今度こそ最終回、ここまで長くなる予定ぢゃなかった(延びてなお全10回予定だったのに、書いてるうちにさらに延びた・笑)『ロミオとジュリエット』、こあらった目線の見どころベンヴォーリオ@まっつ。

 まっつビューは断然下手。端ではなく、センター寄りで。
 オープニングの舌出しからはじまって、ベン様の「これぞっ」てな表情は、上手端とかに坐っちゃうと見えなくなる。

 ベン様登場の最後の場面、キャピュレット家の霊廟でもそう。

 ロミオ@キムの死を知り、呆然と坐り込むベン様も、台の縁で泣き崩れるベン様も、下手からじゃなきゃ顔が見えない。
 ……がっ。
 1階で見るときは問題がある。
 泣き崩れるベン様の前に、ロミオママ@ゆめみちゃんが立ちふさがる……っ!! 見えない、ベン様が見えないよおーっ、ただでさえ小さいのに、泣き崩れてるからさらに小さくなってるんだってばーっ。(小さい小さい言うな)

 1階前方席の、まさかの罠(笑)。かといって2階席だと、舞踏会や霊廟最初の2階部分が見切れるしさー。ぶつぶつ。

 端っこで泣いてたベン様は、いったん真ん中ドセンターで恋人たちの亡骸を見つめ、そのあと意志を持って振り返り、舞台前方へ来て歌う。
 これからナニをすべきかを。その決意を。

 最後の大合唱「罪びと」……すべての人が客席に向かって力強く歌うそのコーラス・センターが、まっつ。
 人数多すぎて、あんまし声聞こえないけど、それでも彼の声を拾う。
 コーラスのゼロ番で歌うまっつなんて……!

 ここのベン様好きだ。
 あの喪失の痛々しさのあと、それでも顔を上げて、前を見て、決意を歌う。
 すべてが浄化されていく歌声。

 物語的には、ここで終了。……の、はず。
 あとはタカラヅカ版ならではの、「愛し合うふたりは天国でしあわせになりました」のデュエットダンス場面、ベン様だけでなく地上の者たちに出番はナシ。
 地に生きる者たちは、天上の恋人たちにその場を譲り、三々五々はけていく。観客もテレビカメラも舞台センターを注視、はけていくその他の人々なんか観ない……ふつうは。

 しかし。
 もちろんこあらったビューだと、ここでもわいわいがやがやモブ的な様子ではけていくベンヴォーリオをガン見。

 清々しく歌いきったあと、大公閣下@しゅうくんにエスコートされて上手へ退場するベン様に、目をむく。

 初日に見たときは驚いた……え、なんでソコ?!と。何故大公様とベン様?! でもってナニその体格差……!と、ヴィジュアル的なモノにもくらくらきました。

 でもさ、初日はともかく(ベン様ばっか見過ぎです)、それ以降にそれぞれのキャラクタたちの動線やら立ち位置やらを確認してわかったんだが、ナニ気に大公様って、ベン様が泣き崩れてるときに安置台のところへやって来てるわけよ。で、両家のボスを和解させるよう促しているんだが。
 そのときに、泣いてるベン様も見てるだろーしさ。
 あのクールなベンヴォーリオが、子どもみたいに泣き崩れてたら、そりゃ最後にはけるとき、「大丈夫か」のひとことも掛けたくなるでしょーよ。や、大公様がなんか話しかけている様子で、ベン様が頷いているようだから。わたしの脳内では「大丈夫か」ってゆーてるんですよ、大公様は。でもってベン様は「はい」ってけなげに答えてるんですよ。

 大公閣下の目には、ベンヴォーリオは「粗忽者」ではなかったろうしなあ。

 と、物語最後にノーマークだった萌えを残して去っていくベンヴォーリオ。
 このブログ宛にいただくメールにも、「最後にはけるときベン様と大公閣下、絡んでいませんでしたか?」とか書かれてて、まっつファンの食いつくところって……(笑)と、ツボりましたもの。
 

 フィナーレは「ベンヴォーリオ」ではないので、ここでは語らず。またいずれ(笑)。
 大階段パレードで、白い舞踏会衣装にマントまで付けてもらって、その上まさかのスターブーツまで履かせてもらって、にっこにこのベンヴォーリオが登場するのがもお、愉快だったり破格の扱いに混乱だったり、感涙だったり。
 あああ、ほんとにほんとにありがとう。ナニにお礼言ってるんだか、すべてのものに、ひとに、ありがとうなキモチ。
 

 『ロミオとジュリエット』はほんとに素晴らしい作品で、何度観ても楽しくて、新たな発見があって、大好きだ。
 この作品で、大好きなご贔屓が、素敵な役を演じていた。
 そのことが、うれしくてならない。

 ほんとに大好きなんだ、ベンヴォーリオ。
 彼主役に二次創作したいくらいだ(笑)。同人誌出したいくらいだ(笑)。
 いやその、わたし貴腐人だから書いたらBLになっちゃうけどな(笑)。

 舞台はナマモノ、そしてナマモノの宿命として、なにひとつ同じモノはなく、カタチに残らない。すべては、消えてゆくさだめ。
 わたしが必死に追ったベン様も、映像には残らない。

 だからせめて、書き残す。
 偏った、わたし個人の目に、心に映ったベンヴォーリオを。

 粗忽者と呼ばれた、あのクールな女ったらしで、かっこよくてかわいい男のことを。
 さあ、いよいよ最終章、『ロミオとジュリエット』、こあらった目線の見どころベンヴォーリオ@まっつ。

 「どうやって伝えよう」とカーテン前でまるまる1曲歌って決心して、そーやってマントヴァまで来たっつーに、ベン様と来たら。
 全開の笑顔で見つめるロミオ@キムに「ジュリエットは亡くなったよ」と告げるだけで精一杯。
 「嘘だ」と言われ、親友が壊れる様を見るなり、一気に視線外して「自ら毒を飲んで」と叫んで、そのあとすがりつく親友から、必死に顔を背ける。
 目を合わせてもくれないベン様の苦渋の顔を見て、ロミオはそれが現実だと突きつけられる。
 絶叫するロミオの背中に、おろおろと声を掛けるベン様。「ひとりにしてくれ」と言われ、ふるふるしながら上手へ駆けだしていく。

 ヘタレでいいですな。

 いやその、「粗忽者その10」で書いたように、ヘタレとかそーゆー次元の話ぢゃないんだけど、やってることだけ眺めると。
 顔見ましたー、言いましたー、視線はずしましたー、さらに言い切りましたー、さらに視線外して逃げまくりましたー、背中向けられ拒否られましたー、うわーんと逃げ帰りましたー……という、一連の流れがいっそ愉快です、わかりやすすぎて。

 なまじその前のソロがオトコマエな分、ギャップが……(笑)。

 
 ベン様の最後の登場場面は、12場の霊廟。
 何故か2階の窓を開けて一瞬だけ登場。
 ロレンス神父@にわさんが臨終直後のロミオとジュリエットを発見したら、さあ舞台奥中央ちょい上手寄りの2階部分を凝視だ。
 ベンヴォーリオとロミオママ@ゆめみちゃんが、窓をばたんと開けて登場する。

 この登場の唐突感がイイ。
 ふたりで「せーのっ」て感じに見事にシンクロした動きで窓を開けるのがイイ。

 実は、これがベンヴォーリオの最後の台詞。
 彼の台詞はロミオママに話しかけられるところからはじまり、ロミオママと話すところで終わるんだ。

 最後のひとことのあと、ママに腕を取られて動き出す、ベンヴォーリオ萌え。
 ふたりにとって自然なことなんだ、接触するの。「さあ行きましょう」ってときに、息子の親友の腕を引くんだ、ママ。親友のママに腕を引かれて一緒に行くんだ、ベン様。
 こんだけ親密なのに、ティボルト@ヲヅキとジュリエットママ@かおりちゃんチームと違い、色っぽいムードは皆無(笑)。

 ベン様の最後の台詞、最後の美声堪能箇所だっつーに、2階席から見えない。
 セットの位置が高すぎるのよ。イケコ……。

 
 神父の嘆きの歌の間に、ベン様にいざなわれたモンタギュー夫妻が霊廟に現れる。明かりを持っているのがベン様ひとりなので、彼が案内役だよね。

 霊廟は相当暗いらしく、一行は同じように現れたキャピュレット夫妻にしばらく気付かない。
 互いに気付いたときに、まずはっとするベン様とモンタギュー夫妻。
 ……ひとさまの墓に勝手に入って来てんだから、気まずいわな。平時ならば争乱に発展しますよ。
 でもその直後、両夫妻たちが霊廟内の異常に気づき……。

 「ナニが起こったのか」に気付いたあとのベンヴォーリオが、秀逸。
 たいまつをかざし、その目で現実を見て。びくっとしたあと、止まる。
 まさしく、固まる。
 そしてそのまま、ぺたんと坐り込む。女の子みたいな正座。男役ならふつーしないだろう姿に、余計彼が受けた衝撃を想像させる。そんな坐り方でも、まっつは女の子には見えないし。

 親友の亡骸を見つけたなら、ふつーはそばに走り寄りそーなもんだが、ベン様はその場に坐り込んで動かないんだ。
 それはマーキューシオ@ちぎの死を目の当たりにしたときもそうだった。
 真の衝撃の前には、フリーズしてしまう人なんだ。

 ええ、そんな状態でみょーに気になってしまうのが、愉快なたいまつ。

 なんでアレ、あんなに曲がってるんだろう……。
 いや、どーでもいいことなんだが、最初からずーっと気になってた。
 まっすぐでええやん、なんであんなに曲がってるの?

 で、放心しているのに、たいまつはちゃんとかざしてるし。落とさないの。いやあ、ベン様すごいなー。

 んで、これは仕様なので、坐り込んで放心してるけど、コーラスタイムなので歌い出す(笑)。おお、神よ。

 両家夫人の嘆きのソロのあと、ベンヴォーリオはようよう動き出す。
 まるで禁忌に触れるかのように、おそるおそる台に近づき……その縁に手を突いて、泣き崩れる。

 はい、ここでよーやく、たいまつを置きます。

 段取りに入ってるんだろう、ここで近寄って、ここでしゃがんで、ここにたいまつを置く……つーか、隠す。
 段取りをきちんと1個1個こなすベン様の中の人萌え。(観劇に集中しなさい)
 いやその、あの愉快なたいまついつまで持ってるんだろ、とか、どーするんだろ、とか、やたら気になったモノで(笑)。

 ベン様はほんっとにロミオに触れない。近づかない。
 台はけっこー大きいので、端っこで泣かれると遺体からはわりと距離がある。
 初演のすずみさんが、れおんくんの金髪を愛しそうに泣きながら撫でるのが激萌えだったので、まっつにもソレ期待したんだけどなー。キムくんの髪を泣きながら撫でるまっつ……ハァハァ。
 しかしまつださんはファンのそんな期待の斜め上を行く。
 すずみさんベン様は、れおんロミオへの愛情ダダ漏れでいろいろやばいくらいだったが(笑)、まつださんはそーゆーのとは違ったし。

 慟哭よりも、喪失というか。
 哀惜よりも、自責というか。

 泣き崩れたベン様は、コーラス開始でそれでも歌い出す。
 崩れたまんま、下向いたままのときもあるし、顔を上げて歌い出すときもある。
 ベンヴォーリオはまさに、このコーラスの歌詞通りのことを思っていたんじゃないかな。
 愚かな者たちに、神は罰を下された……。

 ロミオの死は、ベンヴォーリオへの罰。

 憎しみに踊らされ、親友を救えなかった。親友の恋人を救えなかった。その罰を受けた。
 愚かさは罪。無力さは罪。

 それなら、どうすればいい?
 
 おお神よ、我らは約束する……ベン様は立ち上がり、そう歌う。
 

 てことで、最終章は次回の最終回に続く!(テレビドラマかよ)
 『ロミオとジュリエット』、まだ続いている、こあらった目線の見どころベンヴォーリオ@まっつ。

 「どうやって伝えよう」は好きな歌。
 ご贔屓が歌っているから以前、初演を観たときから大好きだった。でもまっつが歌ってなお好きになった。

 「昨日までの俺たち」というフレーズが好き過ぎて。
 わたしは「有限の楽園」に弱い。いずれ失われることがわかっている、壊れることがわかっている、美しいモノ。「昨日までの俺たちは世界治める王だった」と切なく美しいメロディラインで、有限の楽園が歌われる。過去形で。失われ、もう手に入らないモノとして。

 無垢な少年だった。
 汚れることなんて知らなかった。
 失うモノがあるなんて知らなかった。

 「今日の俺たちは誰も生き返らせることは出来ない」「誰ひとり」「ジュリエットさえ」「マーキューシオさえ」

 ジュリエットは話の流れからわかるけど。
 そのあとに出てくる「マーキューシオ」。

 ベンヴォーリオはいったい何回、マーキューシオの名を呼んだのだろうか。

 あれほど、カストルとポルックスのよーにいつも一緒にいて。触れあって、じゃれあって。
 いつもいつも2個イチで行動してきた幼なじみの親友。

 彼の命が失われ、ひとりになってしまったあと。
 ベン様は、何度その名を呼んだんだろう。

 隣にいるのが当たり前だから、自然に「なあ、マーキューシオ」と呼びかけて、そこに誰もいないことを知る。
 もう永久に。
 
 呼びかけて、失ったことを再確認し。
 何度も、何度も。
 習慣なんてすぐには改まらない。
 伸ばした手が空を切る、呼びかけた声が宙に浮く。

 そうやって、喪失を繰り返す。

 だから。
 だからあそこで、「マーキューシオさえ」と歌う。その名が出る。

 あのとき伸ばした腕が、彼に届いていたら。
 そうしたら、彼は死なずに済んだのに。
 悔恨が燻り、「マーキューシオ」の名はいつもベンヴォーリオのなかにある。
 だからあそこで、「マーキューシオさえ」と歌う。その名が出る。

 いったい何回彼を恋い、彼の名を呼び、そして……そして、自分を責めたんだろう。

 「どうやって伝えよう」には、過去と現在が歌われ、未来へ踏み出す決意で終わる。
 現在苦しみ続けているベンヴォーリオだからこそ、ロミオ@キムに伝えるのは自分の役目だと覚悟した。
 マーキューシオを救えなかったことを悔いている彼は、ジュリエットを救えなかったことも悔いている。どちらもベン様に罪はないけれど、それでも彼は悔いている。自分の力が足りなかったせいだと。

 
 ところでロレンス神父@にわさんと、ベンヴォーリオは仲が良くなかったらしい。
 神父はベンヴォーリオを「粗忽者」と言い、マーキューシオ@ちぎを「女ったらし」と言っていた。
 現実にはまったく合っていない評価。
 つまり神父はベンヴォーリオのこともマーキューシオのことも、よく知らなかった。
 ロミオは子どもの頃からなついてなにかとそばにいたんだろうけど、不良少年のベンマーコンビは神父には寄りつかなかった。まあ当然だろう、顔を見ればお説教されたろうし。
 それで神父は見当違いのイメージをふたりに持ったまま、それを変だと気付くこともないくらい、遠い存在。

 大公閣下@しゅうくんがロミオの行方を尋ねるときにベンヴォーリオを見たり、ラストシーンでベンヴォーリオをいたわるように目線を合わせたりしていることから、「ロミオの親友はベンヴォーリオ」というのは、中立の立場の人間でも知っていそうなもんだが。
 神父はそのことを失念していたらしい。思い出しもしないくらい、神父とベン様に接点がなかったんだろう。

 「ジュリエット死んだふり大作戦」をやるなら、神父様はベンヴォーリオにそのことを告げるべきだろう。親友なんだから、恋人が自殺したら知らせに行くぐらい、とーぜんじゃないか。
 若くて元気にケンカ上等な不良少年が、使いに出したお坊さんより足が速いのだってとーぜんのことだし!

 これらのことから想像すると、ベン様はやっぱ大公派だったんだなと。
 大公閣下と神父様、共に中立で両家の争いを嘆いている有識者。神父様から存在を忘れられているベン様は、殺人事件のあと大公閣下のもとにいたんじゃないかな。モンタギュー家で夫人の話し相手になったりしている時間をのぞけば。
 両家の争いを収めたいと。なんとか出来ないかと。
 ベンヴォーリオ不在の間に、がおりを中心にモンタギューの若者たちはキャピュレットへの報復をと団結している。ベン様出遅れてるもん、どこかモンタギューとは別のところにいたんだよ。

 ベン様がもー少し信心深くて、ちゃんと礼拝に行く人ならよかったのにね。
 そしたら神父様と接点あったかもしんないのに。マーさんとふたりして、いつも逃げ回ってたんだろうな。

 マントヴァに着いたベン様は、すげーあっさりロミオに発見される。
 ロミオのうれしそーな笑顔ったら。

 真っ先にジュリエットのことを尋ねるロミオは、疑ってもいない。ベンヴォーリオが、自分の味方だと。

 ベンヴォーリオが自分のために、自分の恋人の伝言を預かってきたとか様子を伝えるために来たとか。
 ねえ、ここまで「味方」なのに、どーして神父はベン様がロミオ側って、味方だって知らなかったのかなあ。
 ロミオへの使者は、親友にするべきだろー、どう考えても。

 んで、あんだけ長々歌って決意して、やってきたわりにロミオへ伝える場面が「短っ」と拍子抜けするんだが、わたしだけかな。
 もう少しちゃんと会話しろよお前らってゆーか、詳しく説明必要なんじゃないの?
 ベン様が言った言葉って「君に会いに」「ジュリエットは亡くなったよ。自ら毒を飲んで」だけですよ?
 そんだけで納得するロミオってば……。

 いやその、ほんとにロミオはベン様に絶大な信頼を置いてるんですね。彼が自分の味方であり、自分を害するはずがない、裏切るはずがないという前提だからこそ、信じられないことを言われても、なんの証拠もないまま全面的に信じてしまう。

 ここのロミオの「嘘だ」という台詞が好きだな。
 ここでスイッチ入るんだよな、キム。正直すげーこわい(笑)。
 そりゃベン様も、視線合わせられなくなりますわ……目の前で親友が壊れるんだもんよ。自分が、壊したんだもんよ。
 ただジュリエットの死を伝える、他人事のメッセンジャーではなく、ジュリエットを守れなかったことを悔いている、自分の責任だと思っている……だからこそ、親友を目の前で壊している、狂わせている、自覚ゆえに、目を合わせられない。

 これはベンヴォーリオの、懺悔でもあるんだな。
 ロミオという、彼の中の神に、罪を告げる。
 ベン様にとってのロミオは天使、美しいモノ、無垢なモノ、少年時代、青春時代の象徴。
 それを自らの罪で失う……。

 
 続く。
 『ロミオとジュリエット』、こあらった目線の見どころベンヴォーリオ@まっつ、いい加減長いよ、続き。

 「憎しみ」という呪縛から解き放たれたベン様。
 彼はモンタギューとキャピュレットの争いを終わらせたいと思うようになっていた。
 そうすることで、追放された親友ロミオ@キムだって、呼び戻せる日が来るかもしれない。

 されど人々の闇は治まるばかりか、ボルテージを増すばかりで。

 復讐を歌う人々の間、「やめろ」と歌うベン様の無力さ。

 ベンヴォーリオだって、ほんとうなら怒っていいんだ。
 マーキューシオを殺された、ロミオを追放させられた。
 それは全部全部キャピュレットのせい。
 そう思って群衆の先頭に立つことは出来た。

 だけど彼はもう、憎しみには踊らされない。
 本当に憎むべきモノがナニか、わかっている。

 まさに、「狂気の沙汰」。
 個を失い集団が暴走する、その恐ろしさ。
 「狂っている」とファルセットで歌う、その混乱、闇。

 後半のベン様はさらに声の通りが良くなっていて、ファルセットが途中で終わるんじゃなく、さらに上に突き抜けて着地していた。
 まだ上があるのか、この歌声。

 ベン様が客席に背を向けたまま、力無く膝を折るのがいい。
 がっくりと、力尽きたように崩れて。

 なのに、彼はまた顔を上げる。人々が復讐を歌い出すと、それでも「やめろ」と立ち上がる。

 狂気の沙汰に絶望して、崩れ落ちたのに。
 なすすべもなく膝を折ったのに。
 なのにまた、立ち上がるんだ。
 ナニも出来なくても、それでも立つ。

 そういう人なんだ。

 そのあと歌ではなく、ひとりでくるくる踊るのが好き。
 ここの場面ってさあ、まっつのちっささが、際立ってるよね(笑)。
 振付の問題かなあ。なんかひときわ「うわ、ちっさっ!!(笑)」と思う。

 まっつにあと5センチ身長があればなあ。人生違ったろうになあ。
 あと5センチ長身でスタイル良しなまっつさんに、わたしが惚れていたかどうかわかりませんが(笑)。

 映像には残らないんだろうな。
 この逡巡と苦悩、絶望とそれでも立ち上がるベン様。ジュリエットが現れたら、きっとカメラはジュリエットを映すから。
 だからほんと、ベン様を焼き付けなければ。
 いやココだけに限らず、他の場面もきっとベン様はろくに映ってはナイんだろーけど(笑)。

 にしてもこの場面は、まつださんの「背中の演技」を堪能する場面だわ。
 ジュリエット自害の報を聞いたあとのベン様は、しばらく背中だけを見せている。
 現実を受け止め、耐える背中。
 もう、膝は折らない。……星組版では「どうやって伝えよう」をすずみさんがうずくまって歌っていた記憶があるだけに。ああ、膝は折らないんだ、と。

 未涼亜希、渾身の大ナンバー。
 演出家に「彼はこのナンバーを歌うために宝塚に入ってきた」とまで言わしめた曲。……てゆーかイケコ、何故にまっつは「彼」なの??(笑) ヲヅキさんが「彼女」なのに。

 まっつは声と歌唱力を評価されてきた人だけど、本公演で「歌」で活躍させてもらったことは、実はあまりナイ。
 タカラヅカのスター制度ゆえ、番手の付いた路線スターでない限り、歌わせてもらえないからだ。
 何小節か歌い継ぎさせてもらうのがせいぜいで、まるまる1曲芝居の歌を役として表現させてもらうことなんて、経験していない。
 バウとかの小さなハコでなんとかやらせてもらえるかなってだけで。
 大劇場で表現しようなんて、未知の領域。

 でもってまっつは、感情表現が小さい。
 クールというと聞こえはイイが、平板で乏しい。

 だからこの大ナンバーも、正確な歌声ではあっても、どこまで「役」として「ミュージカル」として表現できているのかはアヤしい。
 今は抜きん出た歌唱力を評価されているけれど、このまま雪組3番手として活躍するなら、この表現力の乏しさがネックになってくるだろうなと思う。
 真ん中寄りではあってもちゃんとした真ん中教育受けてきた人ぢゃないから、経験が圧倒的に少ないから。……てのは、言い訳でしかない。

 活躍の場が広がれば、欠点も見えてくるなと。
 彼の扱いがそれまでと段違いであったゆえに、扱いの良さを喜び小躍りする反面、欠点が浮き彫りになってうろたえた『TUXEDO JAZZ』を思い出す。

 今のまっつが、ベンヴォーリオがベストかどうかはわからない。
 ただ。

 今、全身を使って歌う、ベンヴォーリオ@まっつが好きだ。

 わたしほんと、まっつファンになってからこっち、ご贔屓の芝居で泣いたことってなかったんだなと思う。
 わたしは舞台観てしょっちゅー簡単にめそめそしているけれど、それはご贔屓云々関係なしにだ。
 まっつの芝居で泣けたことなんて、ほとんどナイ。
 だって「キミの海馬は私のモノだ」とか「ルイ・マレ~♪」とかなんだもん。オモシロくて大好きだけど、感動して泣くのとは別次元っていうか。

 まっつの芝居で泣けたのって、相沢くん@『舞姫』青年館くらいだわ……。(えっ、バウは?!)

 まっつのことは大好きだけど、芝居の好みでいうと彼はチガウんだろうなと思う。
 わたしのツボに突き刺さってくるタイプの役者ではナイ。

 それでも、まっつはわたしのいちばんで。
 他の、どんなに芝居が大好きな人よりも、好きな人で。

 ベンヴォーリオのソロ「どうやって伝えよう」も、まっつが歌っているから好きなわけで、声と姿にうっとりするためにあるわけで、カーテン前にたったひとり、他に誰もいない場面でまるまる1曲ってそんな状態がうれしいわけで。

 別に、まっつの芝居がどうとかじゃなかった。
 もちろん芝居も気にしていたけど、やっぱりわたし的にチガウというか足りてないのでその辺はもうわかっていることだし、気にしてもはじまらないので、「まっつだ、うれしい」しか思ってなかった。
 ごめん。

 ほんとに、ごめん。

 なんかもーすごい久しぶりに、まっつの芝居で泣いた。

 『舞姫』以来……。

 いつも必ず泣けるってわけじゃないんだけど、とにかくまつださん、芝居が日替わりなの。
 こんなの知らない、見たことナイ。
 まっつのベンヴォーリオは見るたび微妙に違っていて、それで泣ける日があるの。
 ベンヴォーリオの哀切な歌声が、ずしんと胸に迫る。

 それまでの積み重ね、マーさん死亡時とかその後の力無い風情とか。それらが全部積み重なって、最後のソロで決壊するの。

 だから「どうやって伝えよう」は歌だけど、歌というよりは芝居として語る。歌だから好きなのに、それでもわたしの中では芝居認識。
 まっつの歌で、芝居で、泣ける。

 
 続く。
 『ロミオとジュリエット』、こあらった目線の見どころベンヴォーリオ@まっつ、続き。

 ヴェローナ殺人事件の公判中。
 被害者マーキューシオ@ちぎ。その加害者ティボルト@ヲヅキはロミオ@キムによって報復殺害。
 街の最高権力者大公閣下@しゅうくんを裁判長に、有力市民たちが見守る中、被疑者ロミオの罪を問う場面にて。

 公演の最初の方は、このあたりのベン様は照明の外になってしまって、モブにまぎれていた。
 や、端に行きすぎなのが悪いのかもしんないけど。主要人物なのに、顔が見えにくくなる、そこにいることがわかりにくくなるのはどうかと思った、演出。
 んで、突然ソロを歌い出すあたりでよーやくライトもらって、その唐突感を変だと思ってたんだけど、途中からどんだけ舞台の端に行っても彼がちゃんと見えるようになっていたから、ライトもらえるようになったんだと思う。……なんで最初からライトもらえなかったんだ、「ベンヴォーリオ」役なのに。
 端に行きすぎてたのがいかんかったんかなあ。

 なにはともあれ、彼は突然歌い出す。
「僕たちのせいじゃない」と。

 大人の前では「僕」のベン様萌え。

 仲間同士のときは「俺」なのに。
 大人相手だと、「僕」。
 ごく自然に使い分けているところが素敵。

 上手端から一気に下手端まで行って、ティボルトの亡骸のそばまで行く。
 モンタギュー側で、ただひとり。
 ティボルトのもとへ行く。

 哀切に満ちた眼差しをする。

 ずっとずっと、ライバルだった。
 ケンカ相手だった。

 ただの同族とかより、敵である彼は、近しい相手だった。
 「青春」を共有してきた相手なんだ。

 キャピュレット卿@ヒロさんとモンタギュー卿@ナガさんがそうであるように、壮年になるまでケンカしいしいつきあうと思っていた相手なんだ。

 ベンヴォーリオがすがるように手すりを握り、ティボルトを見つめ、哀しく歌いながら天を仰ぐ。
 その一連の動作が好き。(階段の手すりを握るまっつの手に萌えその2)

 だけどそんな彼の言葉も嘆きも、憎しみの前には意味をなさない。モンタギュー夫人@かおりちゃんに罵られ、周囲の赤チームの人々に憎しみと怒りのはけ口にされ、ベン様はびびって(笑)退場する。
 いやここほんと、彼がびくっとなるのがイイから(笑)。かおりちゃんこええ。
 おびえてるわけじゃないだろうけど、渾身の訴えをこれまた渾身の怒りで否定されたら、びくっとするわな。

 これらの間、ロミオくんは自分の世界。少しはベン様も振り向いてやってくださいよ……キミのために闘ってるんですよ(笑)。

 キャピュレット側から退散したベン様は、中央のロミオのもとへ行き……声も掛けられず肩も抱けず、力無くそばで見守る。
 それしかできない彼のまともさ。
 いっそここでスタンドプレイ、傷ついた親友を抱きしめて慰撫してやるだけの、周囲見えてない勢いがあればいいんだけど。
 たぶんベン様はそーゆーことはしない。相手の立場や空気を読んで、自制してしまう。「ひとりにしてくれ」と言われたらひとりにしてしまうように。

 またしてもロミオと同化しているらしく、大岡裁き……ぢゃねえ、大公閣下のお裁きの言葉ひとつひとつに反応。
 死罪で悲鳴、追放でも悲鳴……声あげるわけじゃないけど。

 処罰が決まったあとは、現実ではなくロミオのインナースペースに入る。

 だから、ロミオひとりを残してみなさんが「はー、やれやれ」と退場していく……わけじゃない。
 1幕にも似た場面があり、仮面舞踏会に行くと決定してみんな一斉に手のひらを返したかのよーにロミオから興味を失って去っていく……のも、現実にそういうことがあったのではなく、あそこでロミオの心情風景に切り替わっているだけのこと。

 現実にはベン様は、ロミオをひとりにしていないと思う。
 てゆーか、モンタギュー夫妻も。
 その後ロレンス神父@にわにわのところに懺悔に行くことになるにしろ、本日限りで永久追放なんだ、家族と別れを惜しんだろう。モンタギュー卿はしばらく遊んで暮らせるだけのお金を渡しただろうし。

 「僕は怖い」でマーキューシオとティボルトの亡霊と踊るように、あれは現実ではない場面。
 ロミオが闇の中へ引きずり込まれていく場面。

 だから。

 現実と闇との狭間で、最後にロミオに触れるのが、ベンヴォーリオなんだ。

 ロミオは泣きながらベンヴォーリオの名を呼ぶ。
 ベンヴォーリオもまた、ロミオに手をさしのべる。
 だけどふたりは引き離される。

 ベン様はロミオからナイフを渡されるのみで、ひとりで上手へ走り去っていく。

 ロミオは、ベンヴォーリオを呼んだのに。
 助けてくれと。

 ベン様はここでも、友を救えないんだ。
 マーさんを止められず、伸ばした手が空を切ったように。
 泣いて助けを求めるロミオを残して、手を伸ばし合っているのに救うことが出来ず、別れてしまうんだ。

 1幕の「僕は怖い」で、ロミオは歌っている。友だちが消え、世界が闇に閉ざされる恐怖を。
 ロミオにとって、彼を現世につなぎ止めておくモノが、友だち……マーキューシオとベンヴォーリオなんだ。
 マーキューシオは今もう闇の底でロミオを手招きし、ベンヴォーリオは救ってくれない。
 ロミオは、ひとりで堕ちていくしかない。

 ベン様は、放してしまった。
 手を。

 親友の手を。

 マーキューシオの手はベン様の手からすべり落ち、ロミオもまた。

 嘆きのまま、手を伸ばし見つめながらも、腰がすでに退場する準備って感じのベン様。
 ナイフ受け取って去る、という仕事を全うするベン様の中の人!

 ええい、ここでロミオを抱きしめて闇から守ってやれ!!と、しみじみ思いますよええ(笑)。
 ベン×ロミならここですな。いやその、逆ギレロミ×許容ベンでもいいですが。(ってナニが)

 
 このあとベン様はただ遊んでいたんじゃなく、大公閣下に取りなしを願い出たり、仲間たちのフォローに回ったり、忙しく働いていたと思う。
 何度も話題に出して恐縮だが、芝居の最後で大公閣下とベン様が親密そうなので、なにかしら接点があったんだろうなと。
 両家の憎しみを、争いを嘆き、和解させたいと願う両者だ、手を取り合っていても不思議はない。
 このへんで大公×ベンもアリですな。(だからナニが)

 
 続く。
 丸3時間かけてプレイ、ようようクリアしたマップをセーブしようとした瞬間、本体の電源が突然オチました。
 わたしのPSPは購入当初からこの症状が出る。充電は足りているのに、電源スイッチだって一切触ってないのに、突然すべて切れる。
 PSPによくある故障のようですね。サイトのQ&Aに載っているくらいだから。
 修理に出すとその間はプレイできないし、いつも必ずそうなるわけじゃないし、とだましだまし使ってきました。『モンハン』の通信プレイ中にオチると悲惨だけど(オチたさ、何度も)、この『モンハン』祭り中に本体を失うのはつらすぎるし、と修理に出すのは後回しにしていた。
 しかしっ。
 さすがに今回はキレたっ。3時間だよ? しかも増援マップで依怙贔屓まっつにカード拾わせまくり、みわっちにドラゴン口説かせまくり、えりたんにタコ生け捕りさせて! これでもかと偏った努力をしたのに!! はい、今はまた『タクティクスオウガ』です、うちのまっつは最強魔法使いですがナニか? 彼を強くするために、どんだけいらぬ努力をしていることか……!!

 ブラックアウトしたPSP投げ出して、ソニー様サイトへ直行、迷わず修理依頼を出した。カルテのダウンロードだの梱包の注意だのナニこれめんどくさい……。
 
 それでも気を取り直して、花組新公感想なんぞをつらつら書く。
 輝良まさとかっけー!!と大文字にしたあたりで『ファントム』役替わりの報を知り、公式チェックしに行こうとしてついうっかりと……全文、消去してしまった……。
 いやその、輝良まさとの前には、いまっちかっけー!てなことを2000字ほど書いていてだね……!!

 うわあああ。

 ゲームデータ消失とブログテキスト消失。さすがに両方だとヘコむ。
 なんであたしこんなにツイてないのな気分になる。
 ゲームは事故、ブログは過失。悪いのはわたしよ、だからといってヘコむのはヘコむ。うわあああん。

 意気消沈しながら確認した役替わりは。
【主な配役】
ファントム ・・・ 蘭寿 とむ
クリスティーヌ・ダーエ ・・・ 蘭乃 はな
ジェラルド・キャリエール ・・・ 壮 一帆
フィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵 ・・・ 愛音 羽麗、朝夏 まなと(役替わり)
アラン・ショレ ・・・ 愛音 羽麗、華形 ひかる(役替わり)
セルジョ ・・・ 華形 ひかる、朝夏 まなと(役替わり)

 ……微妙。

 ショレ役は二枚目風になるのかしら。それならソレでも良いけど、ヘタにショレとカルロッタ夫妻が目立つと、作品バランス悪くなるしなあ。もともといびつな話なんだし。
 セルジョはどーでもいい役(あっ、言っちゃった)なんだけどまあ、群舞センターがあるからまだマシか。初演と再演でセルジョとリシャールは役割を変えられたり比重をいじられたりもしているので、再々演でもう少し比重を上げることも可能か?
 まぁくんの役替わりがいちばんつまんないんですが。フィリップとセルジョって、出番が違うだけでキラキラ若い二枚目という属性は同じですよ。どーせ役替わりするならカラーの違うモノやってくんないと。ショレを演じるまぁくん見たかったわ。
 でも役替わりにみつるが入っていることはうれしい。もっと完璧に外野に置かれるかと危惧していたので。

 えりたんはキャリエールよりもエリックキャラで、キャリエール役が見たいわけではないが、そもそも『ファントム』という作品自体わたしは観たいわけでもないので、えりたんがどうこうではなく誰だって見たくないけど、キャラ違いであるからこそそこに見どころを見つけることはできると思う。
 壮くんならきっと、面白いキャリエールになるよね。
 ところでゆみこキャリのときに削られた銀橋はそのままなのかしら。

 と、あまり盛り上がらない気分でいたところに。
2011/02/24

雪組 東京宝塚劇場公演 休演者のお知らせ

雪組 東京宝塚劇場公演『ロミオとジュリエット』の休演者をお知らせいたします。

雪組 夢華あみ


※体調不良の為、2月24日(木)13時30分公演より休演いたします。
※休演期間中は、「ジュリエット:夢華あみ」の公演日時につきましても、「ジュリエット:舞羽美海」で上演をいたします。
※なお、復帰時期については、現時点未定です。

 なんてこったい。

 いたましい話だ。

 本来なら研1の夢華さんは上級生のお手伝いをしながら舞台とはどういうものかを学んでいる時期。何年かかけて少しずつ舞台に立つ時間や役の比重が上がり、体力配分や調整を学んでいくものなのに。
 学校の成績が良かったからといって、現場経験のない子にいきなりジェット機の操縦桿握らせて何百人のお客を乗せて離陸させたり、免許取りましたってだけの子にメスを握らせていきなり手術させたり、ふつーはしないもんなのに。
 それをやらせた結果が、本人の休演って。
 舞台人にとって、いちばんつらいことでしょうに。ハタチそこそこの女の子に、ナニやってんだ劇団。

 夢華さんもだが、雪組のみんなも大変だろう。
 大阪の片隅でエールを送る。がんばってくれぇ。

  
 気分が沈むときはゲームするんだけどなあ。PSPがアレだからな……ああもお。

 まっつに会いたいなあ。なんかしみじみと、まっつに会いたい。
 書いていたテキストをうっかり消してしまったので、2度目は短くがんばる!

 新人公演『愛のプレリュード』は、年度替わりの新公であるため、研7ナシの研1~研6までしか出ていない。
 だからどうしても技術的には微妙になる。

 そんななか、いまっちの安定感パネェよマジで。

 研7抜けてんだよね? てゆーかいまっちそもそも今回の長の期ですらナイ。まだ研5じゃん。

 配役が発表になったときは、ほんと喜んだんだ。いまっちが、みわっちの役(別に韻踏んでません)。
 3番手の役ならきっと、二枚目役だ!
 イマダさんって今まで、まっとーなハンサム役やったことないよね? 前回は三枚目だし、その前はじーさんだし、その前はおっさんだし。二枚目系って、この間のバウ『コード・ヒーロー』では悪役やってたけど、それくらい?
 はじめて大劇場で二枚目青年を見られるんだー、わくわく。

 ……まさか、あんな役だとは。
 いてもいなくてもイイ、ただの解説の合いの手役。歌もないし見せ場もない。意義があるのは唯一、「退団するトップスターの親友役で、最後に見送る台詞がある」というだけ。
 退団関係ナイ新公だと、ほんっとどーしよーもない役。(スズキケイさん、放課後校舎裏へ来てください、お話ししたいことがあります)

 こんな役で。

 いまっち、かっけー!!

 こんな役だからこそ、実力の有無ってのは際立つもんなんだね。
 オイシイ役は勢いでもできるし、技術なくてもなんとかなるもんだけど、どーあがいてもオイシクない、いなくても支障ない役を息づかせるのって、実力の見せどころなんだね!
 いやはや、オトコマエでした、スティーブ@いまっち。

 どうしても幼くなってしまう下級生主役フレディー@がりんを良く支えていた。「親友」のスティーブが大人だから、それに印象を底上げされて、フレディーの年齢印象も上がって見えるの。
 いまっちさんひとり、新公学年に見えませんでしたわ……。

 ただ、スティーブがひとりだけ賢く見えすぎるきらいはある。
 ひとりだけ明らかに大人だから、仕方ないんだけど。
 仕方ないとわかっちゃいるが、なんか、たくらんでる人に見える(笑)。
 
 二枚目→アタマ良い→たくらんでる、とそっち方向に芸風が開花するっぽいイマダさんに萌え(笑)。

 
 たくらんでる、大人、かっこいいといえば。

 輝良まさと、かっけー!!

 ナチス将校@輝良まさとが、すげーイイ感じに花開いてます。輝良まさとは輝良まさと、フルネーム呼び捨ては仕様です。バウ公演『舞姫』以来、切っても切っても輝良まさと!

 オープニングの全員集合時から、その立ち役っぷりが際立ってました。
 ナニあの人、かっこいい。
 ゆみこ似の顔立ちで、こんなにワルくかっこいい大人の男になるとわっ。なんか目が離せませんよ。
 あのガタイがいいよなあ。ナチスコス似合う~、鬼畜キャラ似合う~。

 もともとビジュアルで目を引く人ではありましたが、実力が見た目に追いついてなかったため、いろいろ惜しい人だったんですが、『虞美人』あたりから「男役」になってきたなあと、うれしい限りです。
 輝良まさとが甘いハンサム坊やのまゆくんをいたぶるなんて、絵的にも素敵ぢゃございませんことっ?(役名で言いましょう)

 
 ジョセフファンクラブ黒服4号@タソが、なんかかっこよかった。
 みちるタソ、痩せた?(本人比)
 みちるタソは、二枚目を演じなきゃダメ。コメディな役は容赦なくキタナイ表情とかしちゃうから、「タカラヅカ」じゃなくなってしまう。
 某ほっくん呼びだった頃のアノヒトと同じ、演技で二枚目になれる人。
 二枚目を演じていると、ちゃんとかっこいいんだもん。しかも、うまいんだもん。
 色悪目指してくれー。頼むー。

 ジョセフファンクラブ黒服1号、栄光の親衛隊長マウロ@マキシム。
 ごめん、正直いちばん驚いた。
 思ってたほど、ヘタじゃない!と(笑)。
 なんて失礼な言いぐさかしら。ごめんねぇ。
 でも今までの真輝くんがいろいろとアレだったもので、きっとアレなままだわ、と勝手に思ってました。新公だと別に浮かないくらいには、ちゃんとうまかったんだね。
 や、顔立ちは好みのラインなので、ナニ気に注目している子なんですよ。だからいつまでも少年のままなのが惜しくて。
 マウロ役もやっぱり若かったけれど、他のみんなも若いから問題なし。ジョセフ@まゆくんラヴな感じはよかったっす。……女房@みりおんには、カケラも愛されてないっぽいけどな……(笑)。

 大人チームの、ドイル@すいくんがかっこよかったっす。本役まりんとは違った、悪者度。ちゃんとした悪ではないけれど、まりんのような愛嬌がない分、ストレートにフレディーが「バカ野郎」って殴れる感じ。すいくんの顔好きだわ……。
 んで、キース刑事@鳳龍くんも、なんかキリッと二枚目風で、タソと同じ理由でこっちの芸風でいてくれた方がいいと思いました。顔立ちはきれいなんだから、このまま痩せてくれれば……て男の子だったよなあ。

 ジョセフ親衛隊(名前変わってますよ)黒服2号と3号@柚カレーくん、水美くんもきれーな青年たちで目の保養。柚カレーくんが美形なのは周知のことだが、ナニ気に水美くんの顔も好きだー。

 抜擢?になるのか、執事@りおなくん。『麗しのサブリナ』のクッキングスクールの隅っこで女の子口説いていた美貌の彼(笑)、いきなりセンターで歌い踊るのか!
 とにかくビジュアルと笑顔で乗り切ったかな(笑)。

 
 女の子で抜群だったのは、なんといっても、メイド長@あまちゃき!!
 もー、かわいいわコミカルだわ、たまりません。
 最後の新公だし、本公演の出番っちゅーか扱いがあんなだし、新公ではいっそ妙齢の美女メイドとして登場!てのもアリかと勝手に思っていたんだが、本気でおばーちゃまのままでした。
 執事くんが若いので、おばーちゃまと孫って感じでかわいかった。
 ああもお、ほんとに達者な子だー。かわいーかわいー、退団が惜しいよー!

 他の女の子たちは、しどころなさすぎだからなあ。
 メアリー先生@花奈さんは良かったけど、お色気大作戦女たち@みりおんや仙名さんたちは、あまりキャラが立ってなかったよーな。
 仙名さんはラストの黒服悪者コロスの、オットコマエな姿の方が良かったよーな。あ、それとカゲソロ!
 姫花に至っては子役なんだ……。なにをやっているかわかってなくて、まさか子役だとは夢にも思ってなかったのに、声を聞くなり「あっ、今の姫花だっ」とわかる、その個性はすごい。

 
 まあとにかく、新公にいまっちがいてくれて良かった。
 そして、スズキケイせんせには、放課後の呼び出ししたくてうずうずしました(笑)。
 花組新人公演『愛のプレリュード』観てきました。

 がりんくん、べーちゃん、新公主演おめでとー。

 がりんくんっつーと新公『太王四神記』でいきなりヒョンミョン役で「誰?!」だったあの子ですよ。大劇場でいきなりソロ披露した無名の研2! でもってそのあと『宝塚巴里祭2009』ですよ。……え、『巴里祭』が大問題、すげー大きな話題だったのはわたしだけですか? 世の中的には新公でオスカル役をやった、てことの方が大きな話題?
 とにかくがりんくんっつーと、「歌ウマ」認識。
 かわいこちゃんで、女役とか子役とか回ってくる系の男の子、アイドル系。93期、現在研4。
 ……まちがってないよね、認識?

 かわいこちゃんで女の子っぽいイメージがあったので、すらりとスーツを着こなしフレディーとして登場した姿に、「おおっ」と驚く。
 スーツ姿きれいじゃん、かっこいいじゃん。
 たしか芝居は出来る子だったよね、単にまだ「男役」になっていないだけで……と思っていたら。

 えー、前半、歌でびびりました……(笑)。

 歌ウマさんなの。それは間違ってないと思うの。
 ただ……男役のキーでは、歌えない。

 低音が、出ない。
 歌があちこちぶちぶちと途絶えるよーに、出ない音がある。
 が。
 かわりに、出しやすい音になると、これでもかと響かせる。

 ギャップすげえ……。

 1曲の間に、うまいとうまいヘタ以前の部分が数小節おきに入れ替わる。

 すげえなコレは(笑)。
 てことで、前半の歌はクチがあんぐり開いたままでした。

 低音が出ないのは、台詞声も同じ。
 終始少年のような高い音色。
 スーツ姿がきれいだから惜しい……。声は重要だよなあ。男に見えるか、オンナノコに見えるか、声の在り方は大きく左右している。

 とはいえこれは新人公演なので。
 周囲も似たよーなもんだから、次第に気にならなくなる(笑)。
 現に、歌も後半は気にならない。ふつーに「芝居」として観ているので。

 大人の男には見えなかったけれど、新公だからこそのアツさでアリかなと。
 まっすぐな、素直なフレディー。
 大人ぶってかっこつけてるところは、「お前がソレを言うのか(笑)」って感じなんだが、ふつーに話してるときはいいな。
 子役でも女役でもなく、ちゃんとした男の役でこれだけお芝居しているところをはじめて見た、わけだ。
 芝居に向き合っている、感じ。自然に演じるところには到達していないけれど、まず、真面目に向き合ってる印象。手こずってる部分もまた、逃げたり誤魔化したりで目を背けていない……からこそ、手こずっている、手に余っている。
 向き合っているならきっとまだこれから、伸びるだろう。芝居が好きそうで、舞台が好きそうだもん。
 それが伝わってくるもんなー。

 てゆーか、がりんくん云々以前に。

 ひどい話だねコレ、と、スズキケイの作品自体に苛立ちが募った(笑)。
 
 新公の演出もスズキケイ。
 見た目も技術も「子ども」の下級生たちに植爺的大芝居、スーツ物なのに歌舞伎をやらせてるもんだから、ストーリーの粗がさらによくわかるというか。

 本公演はすごいね、本役さんはすごいね。この脚本を、演出を、力業で成立させてるんだもん(笑)。

 とりあえず、最後の、男ふたりのラヴシーンはいたたまれなかった。

 まとぶさんと壮くんでも大概だけど(笑)、男役度の低いオンナノコたちでやると、目が泳ぐわ……。
 『Dancing Heroes!』で男装したオンナノコたちが一生懸命耽美な雰囲気を出そうとして、客席をいたたまらなくさせていた場面を思い出した。園加が登場するまでの、あの「コレを見せられて、あたしたちどうすればいいの?」という感じ……(笑)。

 いやその、ジョセフ@まゆくんはよくやってました。
 メインキャストの中では貫禄の部類。うまくなったね彼。

 とはいえやはり彼も若いので、ガチホモシーンは難易度が高すぎたなと(笑)。いやホモがうまく出来なくても、彼らのイケメン人生になんの問題もないと思う!

 そしてこれはまゆくんからいつも感じることだけど、彼の演じる役はとても健康だ。
 まともで、ふつう。
 ジョセフもなんだか納得のいく、ふつーのヒトに見えた。
 トンデモ脚本なのに、なんとなくアリ、こんなヒトいるよね、に思えるからすごい(笑)。
 ジョセフにはジョセフなりの事情があって、グレてるんだよー、と。
 本役さんだと、そんな次元の話ぢゃなく見えるからねえ……。(アレはソウカズホという、別次元のイキモノだから)

 ただ、がりんくんとまゆくんの並びは、魅力を相殺する感じじゃないかな?
 どっちも輪郭が丸くて女の子っぽいかわいこちゃんで。学年がいけばそれぞれキャラも立つんだろうけど、今現在は見た目のみの話になるので。
 ここに野郎度の高い子が入れば、また違って見えるんだろうな。

 
 初ヒロインのべーちゃんは、去年のスカフェのかわいこちゃん。
 素顔のかわいさと、ショーなどでモブに混ざっているときの美少女ぶり!が素敵な93期研4……という認識。ヒロイン決まったときはうれしかった。
 スッチーコス最強!@『EXCITER!!』とか、それぐらいしかわかってなくて、実はちゃんと芝居しているのを見たことがない。

 こんな声だったんだ……。

 と、ナニよりも「舞台声」に驚いた。

 スカフェとしてテレビで喋っている声とチガウ。あのときはふつーにきれーな女の子の声だったのに。
 舞台で聞くと、その「ふつーの女の子の声」は、あまりきれいに聞こえない……。

 なんつーんだ、「芝居声」ぢゃないっていうのか。
 割れた響きがあるというか。
 脇の女の子ならこの声でもいいけど、ヒロインの声にはちょっと説得力が足りない……と思った。ごめん。
 テレビタレントならともかく、舞台女優は「美人声」が必要だよなあ。

 もっともべーちゃんの顔は好きだ。
 プロローグの髪型だとなお良し。一瞬しか出てこないけど。
 が、本編の前髪ぱっつん少女ヘアは難度高かったっぽい……髪型とお化粧は要研究だと思うけれど……あのカエル顔はかわいいなあ。

 本公演よりもフレディーとカップルらしく見えたのは、男ふたりがガチホモにはきつい感じだったからか。
 や、がんばってフレディーとの間に愛をはじまらせて欲しいです……はじまってないのは仕様です、そーゆー脚本なんだもん仕方ない。

 
 男ふたりが愛し合って、女の子は男たちの言い訳に、そのへんうろうろしているだけという話だから、新公で観るとあちこち途方に暮れた。
 が、悪いのはスズキケイだっ(笑)。

 最後、緞帳降りたあとに長々銀橋でサヨナラ台詞を喋らせることで、全部長消しにしていた本公演。
 そこの部分をさくっと削った新公は、間違った感に充ち満ちた物語でございましたのことよ。
 第97期宝塚音楽学校文化祭にて、しみじみと谷正純を思う(笑)。

 文化祭の「演劇」は、芝居としての整合性よりも、出演者に等しく見せ場を割り振ることを主眼とする。
 もちろん主役とヒロインがいて、主な役と脇役は区別されてるんだけど、それとは別にできるだけ多くの役と見せ場を作ってあげることに気を配られている。

 谷せんせは、1本の芝居に複数の物語を挿入することで、主役もヒロインも嵩まししてきた。
 93期は『ラ・ボエーム+レント』で1本の話の中に「ラ・ボエーム」と「レント」という2本の話をぶち込み、ふたつの物語が同時進行するということをやった。だから主人公はふたりで、ヒロインもふたり。その親友とかも数が倍。
 去年の96期はO・ヘンリの短編を3本、だから主役が3人、その相手役も3人。
 今年の97期生は、文化祭の舞台を踏むのがたった33人。だから無理に複数の話にする必要はなかったんだろう。
 にしても、主役ふたりにヒロインふたり、ってなWトップ仕様になっていたと思う。

 でもって、もお。
 今年の芝居と来たら。

 谷正純ココにあり!な作品(笑)。

 タイトルは『オーロラの歌声』という、18世紀後半のスウェーデンが舞台の小品。

 いきなり「フェルゼン伯爵が国王陛下の命でフランス国王救出に」とか、トンデモ歴史解説がはじまったり、客席で吹き出した。
 ちょ、ソレは植爺脚本『ベルばら』!! 原作とも史実とも無関係!!

 近衛兵候補生たちの青春芝居なので、もちろんみんな横一列に並んで順番に台詞を言う。
 『ベルばら』まんまですよ、つい最近コレ観たわ、目が見えないことを黙っててくれと衛兵隊のみんなの前で土下座して泣いて頼むアンドレと、「あんどれがかわいそうだ」とかゆって一緒に泣き出す衛兵隊士たちと、彼らから「あらん、なんとかしてくれ」と言われるアラン……アレと同じ構図が繰り広げられてます。
 ナニこれ、パロディ?

 スウェーデン皇太子様は、皇太子でありながら、農民や抗夫出身の近衛兵候補生たちに混ざって2年間寝食を共にし、同じ訓練を受ける、という設定。
 貴族出身者だけだったオスカル様のいたフランス近衛兵を全面否定して、「身分関係なく募る」というところがツボ。一緒に訓練することで、真に信頼しあえる親衛隊を組織することが目的らしい。

 んで、やっぱりついこの間観た士官候補生モノ『愛と青春の旅だち』と似たよーなストーリー展開。エピソードやキャラがかぶるっつーか、デジャヴだらけ。

 パクリとかゆーんじゃなく、ベタなことだけやったら似てしまうってことでしょう。
 でもって、オリジナリティに興味はなく、ほんっとにお手軽なところで話が作られているの。

 皇太子であり、タカビーな貴族のお姫様婚約者がありながら、宿屋の娘と恋に落ちる主人公。
 ひたすら二枚目、包容力笑顔。驕らず誠実、公正で情け深いときたもんだ。
 ヒロインは慎ましく可憐、よよと泣き崩れる系。身分違いだから黙って身を引くの、出会えただけで満足なの、けなげけなげっと。
 2番手役は、候補生の実直班長。ヒトの世話ばかり焼いて自分のことは顧みず、仲間のことばかり考える。
 そんな班長に惚れているヒロインの姉、お節介で口数の多い肝っ玉母さん系。
 あとはやたら物わかりのイイ教官様とか、ツンデレ候補生とか、ヘタレとかそのカノジョとか、いろいろ。

 短い時間内に、よくもまあ。
 テンプレ設定、べたべたのベタな展開てんこ盛り、タカラヅカが大好きな「人情」を押し出しまくって、もおどうしようかと。

 でもって、これは文化祭の「演劇」という出し物なので。
 ミュージカルではなく、「演劇」なの。ストレートプレイなの。
 歌を披露する場は別に設けてあるから、ここでは芝居力を披露する場なの。

 なのに。

 クライマックスで、いきなり歌がキタ。

 ぽかーーん。
 「演劇」なのに。
 ミュージカルぢゃないのに!!(笑)

 しかもしかも、いかにもタカラヅカ、いかにも谷正純な「人情ベタベタ」「エエ話や」なところで、これでもかとゆー、ウエット極まりない歌!!

 候補生たちが2年間の訓練期間を終えて卒業していく歌を、卒業式の歌ばりに「みんなで力を合わせた運動会」「楽しかった遠足」のノリで、ひとりずつ宙を見つめながら歌いつないでいく!
 それはそのまま、2年間の音楽学校を修了し、卒業していく本科生たちの姿そのままで。

 ナニこのすげー展開!!(笑)

 うっわー。
 谷せんせだ。
 もんのすげー谷せんせ。
 谷正純節全開。

 わかりやすい人情劇、わかりやすい感動。
 とにかく泣かせる。

 膝を打って、大ウケしました……(笑)。
 谷正純集大成みたいな作品。
 どーせ文化祭だと思って、なんのヒネリも工夫もなく、書きやすいモノだけで書いてあるもんだから、本質丸出し。

 演じている本科生たちも純粋だから、最後の「卒業式の歌」で2年間の思い出を振り返りながら泣いてるし。
 役とオーバーラップしちゃって。
 んで、客席も一緒になって泣くし。親や親戚は泣くでしょそりゃ。娘の卒業式で卒業の歌聴いたら。

 
 いやあ、いいもん観た。
 べったべたの人情劇、恥ずかしいまでの本質むき出しの谷作品。

 泣きましたとも。

 くっだらねー!と思う、あざとすぎるとも思う。
 それでも、谷せんせの人情モノは好きだよ。

 あまりにあまりに作りなので大ウケしたけど、泣いたのもほんとう。
 泣きながら笑った。谷せんせ恥ずかしい芸風!と。

 優等生班長と三枚目のヒロイン姉が「オーロラの歌声」を聴くシーンで、マジにぶわっと泣けた。
 この子たちは、しあわせにならなきゃだめだ。
 心から、そう思った。
 こんなにこんなにイイ子たちなんだから、しあわせにならなきゃ。
 いい人は報われなきゃダメだ。と。

 んで、ほんとに彼らはシアワセになるの、報われるの。ご都合主義でもなんでも、それが谷せんせの人情モノ。

 あざといけど。見え見え過ぎてて、こんなの書く方もそれを観て泣く方も、アッタマ悪ー!って感じだけど。

 でもいいの(笑)。

 
 ラストシーンで目をうるうるさせながら歌っている彼らを観て、一緒に泣くのが「タカラヅカ」だもん。

 
 あ。
 プログラムをちゃんと読むと挿入歌のことも書いてあった。公平氏作詞の卒業生用の歌だそうですよ……ほんとに卒業式の歌……でもってそんなもんをそのまま使う厚顔さにまた舌を巻く。
 まったく、公私混同ってゆーか、バックヤードと舞台の区別のついてなさそーなとこがまた、素敵に「タカラヅカ」。 
 第97期宝塚音楽学校文化祭に行ってきました。
 本科生はまだジェンヌではないので、ここでは名前を書きません。劇団が芸名も発表してくれればいいのに。
 てことで、名前ではなく書く。

 ディーンくんが、面白い。

 以前の文化祭記事でも書いたが、「ポピュラー・ヴォーカル」は構成が決まっていて、成績優秀・男役度高し・劇団期待のヒト、これらの要因のどこかに当てはまる男の子が、クライマックスで『ディーン』か『丘の上のジョニー』の歌を歌う。
 コテコテに盛り上げた演出で、コテコテな「ザ・タカラヅカ!」な歌を、ひとりでどーんっと歌うんだ。

 だから開演前にプログラムでチェックする。今年は『ジョニー』じゃなくて『ディーン』ね、他はともかく、『ディーン』を歌う子の名前はチェックしておかなきゃね。ふむふむ、この子がこの期のキーパーソンのひとりだな、と。

(ちなみに、歴代『ディーン』ポジションの男役。89期・五十鈴ひかり、90期ナシ、91期・紫門ゆりや、92期・真瀬はるか、93期ナシ、94期・和海しょう、95期・ひろ香祐。ナシの年はクライマックスを務めるのが娘役)

 誰ひとり知り合いがいるわけでもない、ただのミーハーおばさんとして客席に坐り。
 純粋に歌唱力披露の「クラシック・ヴォーカル」が終わり、歌唱力プラス「タカラヅカ」力を披露する「ポピュラー・ヴォーカル」コーナーになる。
 タカラヅカ主題歌メドレーを歌う場面だ。

 幕が上がり、ぞろりと舞台上に並んだ97期生たちが一斉に歌い出す。曲は「タカラヅカ・グローリー」。
 これが、なかなか、その、微妙で(笑)。
 全員でコーラス、途中3人とか4人とかの少人数でも歌うんだけど、決してうまくはなく。
 お化粧は言わずもがな、衣装の着こなしもアレなタカラヅカ未満の子どもたちが一生懸命笑顔を浮かべて歌い踊っているわけですよ。
 文化祭なわけだから、こちらも完璧なモノは求めちゃいない。彼らの一生懸命さ、キラキラぶりを愛でに行っている。だから微妙でも足りてなくても無問題。なにもかも微笑ましい。

 そんななかで。
 「がんばってます」なだけの歌い継ぎのあと、さも真打ち登場!というよりに、ひとりの少年がマイクを持ってセンターに現れた。

 ナニそのモミアゲ?!

 ぷれすりーみたいなモミアゲでした……。
 太くて、横書きなの。
 他の子たちがみんな細くて先がとがっている縦書きモミアゲなのに。ひとりだけ、気合いの横太モミアゲ……しかもなんか頬に向かって跳ね上がってる……?

 『ベルサイユのばら』の原作マンガでいうところのニコラスみたいな髪型で、その少年は登場した。
 そして。
 歌い出した。
 堂々たる、ソロ。

「みんな、今日はオレに会いに来てくれてありがとう! オレのソウルを聴いてってくれ!!」

 と、言ったわけではないが、そんな声が聞こえそうなソロっぷりだった。
 いや別にキミに会いに来たわけぢゃないからっ。てゆーか誰よキミ?!!

 しょっぱなから、腹がよじれた。
 声出さないよーにするのに必死。
 ナニこれ面白い!!

 思わずプログラムをチェックした。前方席ゆえステージの照明で手元も明るいの。
 こんな登場をする子って、ひょっとして、と。

 予感的中。
 この子が、『ディーン』を歌う子だ!!

 ちょ、このひとりでぶっとびまくった濃ゆい芸風の子が、あの恥ずかしい『ディーン』を歌うの?
 そりゃたのしみだー!!

 オープニングからワクテカが止まらない!(笑)

 てゆーかディーンくん、マジで濃すぎ、アピリすぎ。ちったぁ落ち着け!てな芸風。
 気合いのモミアゲにびびったが、顔立ちはタニちゃん風? 宙組に組替えしたばかりで、なんか不思議なキザりを開眼したあたりのタニちゃんを彷彿とする。鼻とか口元とかアゴのラインとか、特に似てる気がした。
 されど、歌はうまいらしい(笑)。芸風に釘付けで歌唱力にまでわたしの意識が向かなかったが、ヘタではないんだろう、気にならなかったってことは。
 てゆーか、声でかすぎ。
 他の場面でも、やたらうるさいのがいる、と思ったらディーンくんだった。コーラスのひとりとして上手のいちばん端で歌っているのに、下手にいるわたしのところまでびんびんに届いてくる……何人いても、それが彼の声だとわかる。

 クライマックスの『ディーン』も、期待に違わぬ恥ずかしさでした……。
 もともとキザな演出なのよ、そーゆー曲なのよ。それをもお、顔芸しまくりで歌われると……。
 笑いツボ入りまくりで、こらえるのに必死。

 こんだけうるさい芸風なので、「演劇」ではどうなのかと思ったら、芝居ではふつーに優等生役を演じていた。
 谷正純作の人情劇で、2番手役かな、とーっても人情あふれるいかにも谷せんせ作品のイイ奴!を。
 ウルサイ芸風だが、芝居で暴走はしないらしい。が、温度の高さは十分に伝わった。

 そして、ラストの「ダンス・コンサート」。
 こいつ、めちゃくちゃうるさい!!(笑)
 存在が派手で、目に付く。とにかく、華やか。
 技術がどうなのかわたしにはわかんないけど、とにかくもー、表現欲が半端ナイ。
 ふつーのヒトの何倍かの馬力で動いてる印象。

 ぶっちゃけ好みの顔ではないので(笑)、他の子を見ようとしているのに、持って行かれる。
 てゆーかマジで面白いこの子。

 えっと、わたしが観たのは日曜日の昼公演。
 だから3回目の公演であり、初日でも千秋楽でもない。たった1回だけの新人公演ってわけでもない。

 なのにこのディーンくんは、「止まったら倒れるんぢゃね?」って勢いでひとりでうおーうおーと動きまくり、大騒ぎの大アピールをしまくったあげく。
 すべてのプログラム終了、代表の女の子がひとりセンターに残り、他の出演者たちはみんな舞台端から奥へ整列、代表者が「ありがとうございました」と挨拶をする……そのときに、ぶおうぶおうと、泣きじゃくっていた。
 挨拶しているのは自分じゃないのに、女の子の言葉のひとつひとつに大きく頷きながら、ひとりでマジ泣きしていた。

 ちょ……っ。
 なんなんだヲイ。

 別に初日でも千秋楽でもこれ1回こっきりでもないだろーっ?!
 つまり、ソレがキミのデフォルトなのか。日常の温度や速度がソレなのか。

 なんだか、もお。
 この子を見ていると「青春」って言葉を思い出したよ。
 わたしにそんなもんがあったかどうかではなく、世間一般で、主にフィクションの中で使われる「青春」。
 目の中に星を輝かせて、涙は心の汗だとか、夕日に向かってばかやろーってゆーか。

 もらい泣きしたよ。

 ほんっと面白いなディーンくん。
 おかげで、他の子の印象が薄い……(笑)。今年の文化祭は彼一色だわ。

 あとでちゃんとプログラムを確認したら、中卒でしたよ。17歳か……若っ。
 でもって、今年から何故かある「好きな言葉」という欄には、「PASSION」と書いてあった……パッションか……ははは、なるほど。
 星組に配属されないかなー、とか思った(笑)。



何年もあとになってから、こっそり追記。
このものすげーうるさいおもしろい男の子、宙組の留依蒔世くんです(笑)。
2016/09/27

 『ロミオとジュリエット』、こあらった目線の見どころベンヴォーリオ@まっつ、続き。

 乱闘最中。
 ベン様は必死にマーキューシオ@ちぎくんを止めている。だけど激昂しているマーさんは猛犬状態。
 止めに入ったロミオ@キムくんに邪魔されるカタチで、ティボルト@ヲヅキに刺されている。

 ここで切ないのは、ベンヴォーリオが、すべて目撃しているということ。

 親友が刺される、その瞬間を見ているんだ。
 刃がカラダに吸い込まれるさまを。

 ロミオは見ていない。だから、マーさんが倒れたときに「刺されたのか」とか「血が出てる」とか言うんだ。ナニ呆けたことを。刺されてんだよ!と、端から見ているとつっこんじゃう巡りの悪さ。

 ロミオはそんな状態だけど、ベンヴォーリオはチガウ。
 親友が刺されるさまを目のアタリにし、呆然とする。

 しかも、その直前に彼は止めようとしているんだ。
 走り出すマーキューシオを止めようと手を伸ばしている。
 だけどそれが適わず、彼の手は空を切っている。

 掴みかけた手が、空を切り……親友を求めたままの手のカタチ、それを残したまま……目撃するんだ、親友が、刺される様を。

 ソレ、どんだけトラウマ。
 PTSD行きの衝撃ですよ、フラッシュバックで苦しむ光景ですよ。

 もしも自分が間に合っていたら、あと1秒早く動いていたら、マーキューシオは死なずに済んだかもしれない。
 って、これは痛恨。底知れぬ悔恨。ベン様の責任じゃないけど、きっと彼は自分を責める。

 ベン様の受けた苛酷な傷にずきずきする。

 実際、マーさんが刺された瞬間からベン様別人だし。

 倒れたマーさんに駆け寄るために、赤チームの女の子(ひーこだったかな)を突き飛ばすし。
 いまわの際のマーさん相手に、どうしたらいいかわかんなくて横でおろおろしているし。
 それまでの大人っぽいベンヴォーリオからはかけ離れた、力無い姿。多分、年相応の少年の顔。
 大人ならもっとなにかしらてきぱき動けるのかもしれないけど(医者の手配をしたり、応急手当をしたり?)、子どもである彼らは嘆くだけでナニも出来ない。
 声や言葉に出して嘆くロミオと違い、ベンヴォーリオは言葉もなくただマーキューシオを見つめている。

 ここはマーさんの演技次第で、ベン様のリアクションも微妙に違っている。
 マーさんがベン様の腕を掴んで離さないときとかはそのままにしてあるし、反対にベン様がマーさんの腕を掴んでいたりするし。
 マーさんが大暴れしているもんだから、絶対にこう、とは決まっていない様子。
 最初のウチは「愛する友よ」でがっつりベン様の顔を見ていたマーさんなんだけど、公演が進むにつれイッちゃった演技に拍車が掛かり、ろくに目が見えてない様子(笑)。ベン様もそれに合わせて距離感変えてるし。
 そこまでイッちゃう手前の、しっかりベン様とアイコンタクトしていたマーさんが好きだなー。
 マーさんの暴れっぷり次第で、彼の手を握るバージョンがある。先に腕を握られたり、手が遠すぎたりしたときはしてないけど。うまくキャッチできたときは、ベン様が親友の手を握る。
 んで、マーさんが臨終するとその手がすべり落ち、ベン様呆然。

 ベン様が声を上げて泣き出すまでは、けっこうタイムラグがある。
 しばらくは人形のようにかたまってる。
 ロミオの絶唱に合わせて、はじめて全開で泣くというか。

 この場面でひそかに心配していたのは、マーさんに頭突きされそうってこと(笑)。

 マーさんは「ロミオの腕の中」って歌うけど、最初はベン様の腕の中で、歌いながらロミオに向き直るからロミオが引き受けるけど、ベン様も抱けるほど近くにいるわけで、その距離でいかにも臨終しましたの「がくっ」という首振りをすると……ベン様の鼻面に頭突きがキマりそう……。
 見ていて何度もはらはらした。

 ここでうっかりベン様が鼻血出したりしたら、台無しだもんなああ。

 やっている人たちも不安だったのか、どんどんベン様の位置がマーさんから離れていったような?
 後半は頭突きの心配をしなくていい位置取りになっていたと思う(笑)。

 マーさん死んでから、ベン様も彼を抱く……んだが、ロミオが動き出したのを見て、せっかく抱いていたマーさんの肩を放り出す。(マーさんはまなはるがキャッチ)

 マーキューシオが刺された場面を目撃したあとは、ロミオが刺す場面を目撃するのね、ベンヴォーリオ。

 他の誰でもない。両方をつぶさに目撃したのは、ベンヴォーリオのみ。
 ……トラウマ一直線。
 フラッシュバックするよコレ絶対。

 無力に立ち尽くすベン様。
 周囲の女の子たちががおーがおー吠えてんのに、彼には一言もない。
 や、無理ナイって。ベン様の立場になってみろって話。

 彼が正気に戻るのは、モンタギュー夫妻登場にて。
 モンタギュー夫人@ゆめみちゃんの顔を見て、我に返ったよーに説明をはじめる。

 大人相手にきちんと喋ることが出来る、子なんだよな、ベンヴォーリオ。
 だからロミオママにも一目置かれている。
 こんだけたくさん人がいるなか、ロミオママも迷わずベン様のところに行くし、信頼されてるんだと思う。

 加えて、大公閣下@しゅうくん登場。
 「ロミオは今どこに」と問う彼が、ベンヴォーリオの方を見るのが萌え。

 大公閣下、「ロミオのことはベンヴォーリオに聞け」と思ってるんだ? ロミオママが「親友ならロミオを捜してちょうだい」と言うのと同じ? 大人たちから見たロミオとベンヴォーリオの関係、そして大人たちとベンヴォーリオの関係って、そーゆーことなんだ?
 この局面で話しかける相手はベン様なんだ? もともと交友あるんだ君たち? や、マーキューシオの叔父(伯父?)ってことは、ベン様にとっても親戚とか血縁とかにあたる相手だとは思うが、それ以外にも。
 
 芝居ラストに、大公がベン様の肩だの腰だのを抱く様子で袖にはけていく場面があるだけに、ここからもふたりの関係を想像しますな。

 ロミオ登場、「殺すつもりはなかった」と釈明する親友の言葉に、いちいち「うんうん」と頷くベン様萌え。
 心はひとつ、ロミオと一体化しているかのようです、ここのベン様。

 
 続く。

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