新公を観ることで、本公演の歪みっちゅーか特徴が浮き彫りになる場合がある。
 新人公演『アルジェの男』感想続き。

 ジャック@ちなつくんを見て、ジャックがまともであることに、驚いた(笑)。

 ジャックが病的ぢゃない! 変な人ぢゃない! ホモでもない!

 まさおェ……。
 本役さんは独特っちゅーか、正誤を超えた役作りをしているんだってことが、よーーっくわかって、ウケた(笑)。
 まさおかわいいよまさお。

 新公のジャックはふつーでした。
 ふつーに強そうで、ふつーに悪。
 気持ち悪くないし、「ああ、いるいる、こんなちんぴら」という感じ。
 多分コレが正しいジャックなんだろうなあ。

 そして、このふつーに「いるいる」なちんぴらであると、2番手の役じゃないよなと、思う。
 挨拶時の立ち位置のことじゃないよ。
 ジャックという役自体が。

 とことん悪、しかも安い悪であるところが、他劇団ならともかく宝塚歌劇団的に準トップスターが演じるにはどうよ?な役だ。
 ふつーなら1場面割いて、ジャックの生活や内面を描くもんだ。それが2番手の役ならば。
 ところがそれがないため、ただの脇役「おぼえてろ!」と捨て出台詞を吐く系の、どーでもいい悪役扱いになっている。

 こんな描かれ方しかしていない役を、ふつうに地に足付けて演じてしまうと、こんなにふつーなんだなと。
 引っかかりがない分、ほんとに話の中に沈んでしまう役だ。

 悪いのは脚本ですとも、ええ。

 ちなつくんは安心のうまさ、骨太さ。
 くねくねしてないどっしり感で、堅実に演じきった印象。
 ジュリアン@ゆりやくんがちんぴらに見えないキラキラひらひら系青年なので、コントラストがはっきりしていて良かったっす。


 アンリ@たまきちは、なんつっても、姫抱っこかっけー!!

 ジュリアンの裏切りに倒れてしまうアナ・ベル@ゆめちゃんを抱き上げるところが、なんつーナチュラルさ。
 本役さんだと「がんばって!」と拳に力が入るので萌えるヒマがないんだが、たまきちはすげー自然さで姫抱っこしていた。
 なにこのリアル男なたのもしさ。
 たまきちの魅力のひとつは、間違いなくこの体格だよなあ。
 元軍人であることが納得の力強さ。

 なんというか、とてもストレートな存在だった。
 秘めたる恋というよりは、幼い恋って感じ。
 カラダは大きいけど、おねえさん相手に恋をしている男の子、子どもだから相手にされていない、打ち明けられない。

 ラストシーン、ジュリアンを射殺するところも、べつにこわくない。
 凄みは終始なかったなー。
 それまでのいい人キャラから豹変はナシ、そのままのキャラで銃を撃つ。
 そして、本公演では堂々と被害者の目の前を通って舞台中央に消えていくんだけど、端っこから狙い打ちして、こそこそ袖へ逃げていく。うわ、人間小さっ。……いや、これがふつーか。
 薄ら笑いしながら殺人し、被害者と泣き叫ぶその恋人の目の前をわざわざ通っていく本公演のアンリはマジこわいからなー。確固たる信念!が感じられるのだけど、新公はそうじゃない。
 衝動的に射殺、なにしろメンタル幼いですから、って感じ?

 たまきちはヒゲに頼らない大人の男を修行中なわけだな。
 彼がジャックだったら……と思い、パリではヒゲ男決定、そーでもないと大人にならないかも、とか思ってしまったのことよ。
 や、彼のヒゲ男が大好物だからそう思っちゃうだけかもしんないが。


 アンリが幼く見える理由の一端は、アナ・ベル@ゆめちゃんが大人の女性であることも大きい。
 えっ、アナ・ベルってナニも知らない少女やなかったんや! 聡明な大人の女性、知性も人生経験もある、それゆえに諦観に満ちたキャラクタでした、新公アナ・ベル。
 恋のひとつやふたつ経験してそうだ。あのしたたかな叔母の血を色濃く継いで、盲目もなんのその、いろんな経験してそう。
 アナ・ベルにとってジュリアンは「最後の恋」だったんだなー。はじめての恋に破れたから自殺するんじゃなくて、さんざん恋愛して疲れて厭世人生送っていたところに救いになる人が現れ、この恋が転機!と思っていたらダメだったから、自殺に至ったんだなと。

 それはソレでアリだと思うんだけど、それならいっそ、本格的にアナ・ベルを大人っぽく作って欲しかったんだが、外見とか少女っぽいままなので違和感。
 アナ・ベルを本公演と同じ「無垢な少女」とするには、ゆめちゃんには知性がありすぎる。知性というか……計算? 言動の裏に経験からくる意識が働いているように見えた。
 盲目であるということが、よりわかりやすい演技になっていたのも、彼女の神秘性を削ぐことになっていたかも。
 本役さんはあまり盲目だということがわからない、一種妖精みたいな役作りだからなー。


 反対に、年齢設定が下がっていたのはエリザベート@ちゅーちゃんだ。
 エリザベート、若っ。と、初登場時に思った。

 アルジェ総督の屋敷で本を持って現れる彼女、14~5歳?
 詩を書いてパパに見せるシシィ@『エリザベート』くらいの女の子か。
 パリでハタチくらいだとすれば、それでもおかしくないんだな。

 本公演では初登場時から大人に見えていた(アルジェでハタチ、パリで25歳くらい?)ので、新公の「少女」っぷりが新鮮。

 世間知らずで気の強いお嬢様。
 変人ではなくて、お姫様育ち。
 生意気で、それゆえに魅力的な少女。

 子どもだから恋の手管なんか知らなくて、パリでのジュリアンとのダンスで思わせぶりなことを言われて、うろたえてしまう。そして、態度硬化、路上でジュリアンを否定するに至る……流れが自然だ。


 純真無垢な少女はエリザベートで、アナ・ベルが人生経験豊富な大人キャラ、っての、えらい逆転ぶりやなー。
 意図してそうなっているのか、ただの結果でしかないのか。

 ちゅーちゃんもゆめちゃんも美人でうまい娘役さんたち。……なんだけど、学年よりえらく大人びた顔立ちなのは気になる。ただでさえ美人系っつーのは老けるのが早いから、なんとか「少女」で留まってくれるよう、がんばってほしいなー。
 とくにちゅーちゃん、痩せすぎじゃないか……? 頬のこけ方が気になった。それでも芝居は「少女」だから、大したもん。
 新人公演『アルジェの男』を観て驚いたのは、2番手がいないことでした。

 ふつーにジャック@ちなつくんが2番手だと思ってたんだ。アイドルタイプの主演コンビの際に配置されることが多い、支える系2番手ってやつ。

 ところが、最後の挨拶時に、彼は2番手の位置にいなかった……。

 新公も通常、主演コンビと2番手がセンター……だったよね?
 2番手がすげー下級生だったとしても、主演の隣に立っていたはず。

 なのにこの新公では、主演コンビの横は学年順でした。
 本公演で言うなら、トップコンビの横が組長と副組長で銀橋パレードしているよーなもん。

 不思議な組だなあ、月組。
 『ラストプレイ』のとき、組長が3番手位置に並んでいたことを思い出す。越リュウだからまだカッコつくけど、たとえば星組なら、ちえねねの横がいきなりじゅんこさんでパレード、みたいなもんだよ……。

 劇場ロビーの出演者ポートレートがどの組より少ないことなんかまで、思い出した。
 キャトルレーヴ入口の上にずらりと飾られた出演者写真、掲載枠いっぱいにならない組はたしかに他にもあるが、4つも空いているのは、月組以外にない。ふつーは空いていてひとつ、だもんなあ。

 スターは多い方がイイ。
 観客はどこで誰にオチて、何十回と劇場へ通うヘヴィリピーターと化すか、誰にもわからない。劇団が「論外」と思っている子だって、観客の目にはステキに映るかもしれない。
 ひとりでも多く露出させた方がイイ。
 陳列棚を一部空にしたままで商売するなんて、他業種では考えられない。空いているなら、ナニか陳列しておけよ。空間がもったいないし、第一不格好。

 さすがはポートレートを4つも空にしたままの組、ってことか。
 新公ですら「スター」は他組より少ないと宣伝するのか。

 いったいどんな思惑があるのか知らないが、劇団のこーゆーところが理解できないよ。
 ふつーにジャック役を主演コンビの横に立たせておけば済むことじゃん。そうしてはいけない、ちなつくんを新公2番手と認めてはいけない、どんな理由があるというんだ?

 それとも、今回の月組新人公演を皮切りに、すべての新公が主演コンビだけセンター、あとは学年順と決まったのかな。新公には2番手なんて存在しません、お勉強の場、学内発表会みたいなもんだから、手をつないでみんなでゴール! 順位付けなんてしません!てか。
 ほんとわけわかんないな。


 公式に2番手不在である星組が、新人公演の扱いでも頑なに「2番手はいません」とやっていた。
 スカステニュース内の新人公演インタビューは通常、主演コンビと2番手の合計3人のはずが、星組『ノバ・ボサ・ノバ』では主演コンビふたりだけしかインタビューがなかった。
 反対に、月組でまさみりがW2番手だったときは、月組のみ新人公演インタビューは主演コンビとまさみり役の子まで、合計4人のインタビューが流れていた。
 新公の扱いは、あくまでも本公演の本役の序列に準じていた。

 今回、月組の2番手はまさおくんであるとはっきり打ち出して来ているのと反対の、この新人公演の扱いはナニ?
 職人系2番手は今までもいたし、彼らはその後、組を支える頼もしい人材へと育っていく。もっと大切にしてくれてもいいじゃないか。
 新公で2番手役を演じたなら、2番手位置に立って挨拶(全員で一礼)させてくれてもいいじゃないか。

 ほんとに劇団のすることって、わけわかんないわー。
 月組新人公演『アルジェの男』観劇。

 演出は微妙にチガウ。いろいろとわかりやすくなっていた印象。

 待望の(笑)ゆりやくん新公主役。
 そこそこ早くから抜擢され、路線の役ばかりやり続け、でもこのまま主演はないまま卒業かと危ぶんだよ……。主演できて良かった。

 ジュリアン@ゆりやくん。
 今回の月組公演初日を観劇した時点で、ゆりやくんが、コレを演じるのか……(笑)と、なんかにやにやしました。
 きりやさんが演じていてなお、感情移入しにくいっつーか、なにがなんだかわかんない役。それをゆりやくんが、ねえ……。きりやさんにはきりやさんらしい被虐プレイ(プレイ言うな)らしさがあったけど、ゆりやくんにそっちは期待できないだろーし、どうなるんだろう、と。

 えーと、がんばれ青少年、って感じ?
 野望とか闇とかはあまり感じられず、一生懸命あがいている男の子がいました。
 最初から最後まで若い……つーか、幼い。
 年齢設定いくつなんだろ。
 年月が経った感じはせず、「1年間の物語です」と言われたら信じそう。相手役ともども。
 高校入学した4月に校長先生にスリを咎められて、反省文提出と共に校長室の掃除をやらされて、その1週間後に生徒会役員を押しつけられる。それで中学時代の遊び仲間とは縁を切るはめに。生徒会やってるうちに生徒会長(3年女子・校長の娘)とピアノ部の目の不自由な同級生女子(お金持ち)の間でフラフラする夏休み。すっかり真面目に高校生やってるんだけど、昔の仲間たちとの縁も完全には切れていなくて……秋口あたりにちょっと事件が……みたいな。あ、1年経ってない、せいぜい半年?

 とにかく、一生懸命。
 ジュリアンが一生懸命生きていることは、わかった。

 しかしゆりやくんは、芸幅狭いんだなあと思った……。
 別にものすごーくヘタ、ってわけでもないのに、出来る役は限られてくるような。
 きれいなので彼がスターであることに異論はないのだが、これからどういう道を行くのかなあと老婆心。

 ジュリアンはとても素直な少年。
 財布をジャック@ちなつくんに投げつけてしまったので、そのあと花売りの少女に渡すお金がない。
 花を受け取ってしまったはいいけど、かっこつけてお金を出そうとポケットに手を入れたはいいけど……しまった、金がない!
 焦ってポケットの中をごそごそ、小銭残ってないか?!
 今さら花を返せないよ、かっこわるい……っ、と焦るジュリアンがかわいかったです。
 ……って、あそこはそーゆー場面ぢゃなかったの?(笑)
 いやあ、焦るジュリアンにはじめて、「そーいやジュリアンさっき、財布投げ捨てて『全部だ!』とかゆーてたから、今は一文無しじゃん!」と思い出しました。財布持ってないのに、ついお花を受け取ってしまって、払うお金がなくてじたばたする、リアルだわ!と、思ったんだけど。や、そんなリアルいらないけど(笑)。
 無理矢理引っ張り出したポケットは裏返り気味だし、握りしめた手は不自然だし。
 わたしには、エアコインに見えた。つまり、お金ナイのに、あるふりで、ゼスチャーだけで支払った。
 ポケットにコイン入れてくるの忘れたとか?>ゆりやくん
 お金ナイならナイで、笑ってお花を返すとかすればよかったのに。財布がないことは観客も知ってるんだから。自嘲して花売り娘に花を返す、で話はつながると思うんだけど。
 や、ちゃんとコインはあって、ちゃんと支払われたのかもしれないけど。単に引っかかってなかなか出なかったとか?

 高校生の青春記でもぜんぜんかまわないと思うので、コレはコレであり、いいと思うよ。

 ジュリアンが少年のままに見えたことの一因は、色気のなさにあると思う。
 きれい、と、色気、はイコールではないんだなあ。


 色気がないといえば。
 性転換していきなりの新公ヒロイン、サビーヌ@ちゃぴちゃん。
 とりあえず、顔小さい、腕長い、スタイルいい! かわいい!
 アルジェ時代のサビーヌはとってもキュート。そして、現代劇(笑)。
 『アルジェの男』の時代劇、大仰な昭和芝居なんだが、ちゃぴちゃんは現代物でも演じているかのよーだ。
 ま、それはソレでヨシ。

 問題は、パリ時代。
 色気ナッシング。
 酒場で腹出して踊ってるおねーさんぢゃないです、あの幼さは(笑)。幼いっつっても、ロリータ的でもないし。
 めちゃ細くて筋肉質で、抱いても女性的なまろやかさは期待出来なさそう。
 そしてなんつっても、髪型がひどい(笑)。金髪のサザエさんみたいな、あのカツラはどーしたこったい。

 色っぽい仕事のおねーさん、に見えないため、女子高生が「無理にやらされてる」感満載。
 高校生のジュリアンとふたりして、色気のなさと持ち味の幼さがすごい。

 かわりに、アルジェ時代はいいのよー。
 オープニングの男前ダンス! サビーヌかっけー!
 「少女」らしい髪型と衣装なら、ちゃぴちゃんのかわいさがストレートに出ている。安心して観ていられる。
 歌はがんばれー。でも、転向後すぐってのと学年を考えれば及第点か。
 てゆーか、ほんとに経験値僅少なのに、よくこれだけいろいろと出来るもんだ……すごいなー。

 何故かあちこち、しずくちゃんの新公初ヒロイン姿を思い出していた。
 顔とか別に似てないのにねー。
 『シークレット・ハンター』かあ、なつかしいなあ。


 ジュリアンとサビーヌ、とにかくアルジェ時代がかわいくてねえ。
 甘甘銀橋とか、もうずっとこの路線で行って欲しい!と思ったわ。
 ゆりやくんがすげーヒール履いてて、ちゃぴちゃんがペタ靴なのはご愛敬。
 娘役が小顔で頭身高いのはいいなあ。
 ゆりやくんにこもらない声と、ちゃぴちゃんに高い鼻があればなあ、とないものねだりしてみる(笑)。


 そして、わたしだけの思い、私感でしかないことだが。
 ゆりやくんとちゃぴちゃん、よりによって「この顔」のふたりが、カップルとして新公主演しちゃうなんてなあ。
 なんつー俺得な世界。
 梅芸さんの商売根性を語ったところで。

 本家大劇場、『仮面の男』『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』には、なんのイベントもないの??

 期待してたのにー。
 初日まで半月とかになってもナニも言ってこないってことは、ナニもナシってこと?
 『ファントム』なんかいろいろやってたじゃん。らんとむさんのポスカ目当てに行ったわよ、わたし。

 『H2$』ですっかり味を占めたので。
 引き続きイベントをやって欲しかった(笑)。

 火曜と木曜の午後公演とかさー。なんかイベント入れよーよー。
 アフタートークとか、スターによる抽選会とか。非売品ポスカ配布でもいいしさ。
 らんとむさんのポスカは全種類集めることはできなかったけど、贔屓組で、キムくんでやってくれたら、コンプリートするのに。てゆーか、ロミオでやってほしかったなあ、ああいうの……。ロミオ桂ちゃん大好きだー。

 『ファントム』はイベントやっていたのに、『アルジェの男』はやってない。
 やる公演とやらない公演がある不思議。

 ムラの場合、売り上げとは微妙に関係なくイベントの有無があるよーな。
 「売れてない=イベント」ってわけでもないんだよなあ。そりゃ最初から売れ売れチケ難公演なら後出しイベントは入れないだろーけど、今のムラでそんな公演、まずありえないし。
 どの組も同じくらい、客入りは厳しい。星組『ノバ・ボサ・ノバ』の人気が群を抜いていたことと、作品力で雪組『ロミジュリ』がそこそこ良かったくらい? ふつーの日に立見が出ていたり、立見まで完売していた記憶があるのは、この2公演ぐらい……『愛プレ』も最後の方は盛況だったかなあ……。
 イベント有無は、あんまし客入りと関係ないよなあ。
 基本的に本公演はイベントやらない方針だよね。もったいつけてるなあ。
 一時期星組ばっかトークショーやって、花組は皆無だった。花担としてはうらやましくてしょーがなかったわ。そーゆーのって、プロデューサーの考え方なのかなあ。

 昔の星組さんみたく、愉快なタイトルのアフタートークやってくんないかなー。
 「ルイと腹心たちのあやしげな午後」とか、「銃士隊(元含む)の本音トーク」とか「フィリップと愉快な仲間たちの大作戦」とか、「ルイと悪趣味につきあわされる人々の光と影」とか、「モリエール一座の一発芸講座」とか、いくらでもグループ分けできるじゃん。
 上から順番にしか出番が回ってこない「NOW ON STAGE」とかじゃありえない、フレキシブルな顔ぶれで、是非トークを……!
 あ、司会はヲヅキ氏でお願いします(笑)。

 もっとも苛酷に梅芸式でやるなら、『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』にちなんで、雪組オリジナルトランプ・プレゼントとかやればいいよ。
 53枚のカードにそれぞれ組子の写真載せて、毎公演別のカードをランダムでプレゼント! コンプするためには何十回通うハメになるんだ?!てな。
 下級生は複数で1枚にして、雪組人数少ないからなんとか収められるぞ、トランプの枚数に。

 さすがに毎公演1枚じゃ集める気力を失うから(53回通わないと揃わないなんて無理)、週ごとにスートを変えて。1週目はスペードの13枚プレゼント、2週目はハートの13枚プレゼント、とか。ジョーカーのヲヅキはいつ封入されているかランダム、実はいちばんのレアカード!とか(笑)。

 後出しでイイから、イベント付けてくんないかなー。
 お得とかおまけとか、大好きなんだけどな。まんまと踊らされるのにな(笑)。
 梅田芸術劇場は、宝塚大劇場とは、別の劇場である。
 や、あたりまえのことなんだけど、ただ別箱だということ以上に、興行に対する考え方がチガウ別事業部なんだなと。

 なんつっても、イベントの多彩さ!
宝塚歌劇 花組公演『カナリア』のイベント・プレゼント企画のお知らせ!

◆アフタートークショー開催決定!(各公演終了後 約20分程度を予定)

【1】10月21日(金)14:00公演/(花組)壮 一帆さん、(ゲスト)匠 ひびきさん
【2】10月24日(月)14:00公演/(花組)出演者(選抜メンバー)

◆ご観劇者限定、全公演で貰える♪「出演者直筆サイン帳カード」(印刷・カラー)!
■「サイン帳カード」について
・本作品では、悪魔学校の卒業試験のため人間界にやってきた「ヴィム」という悪魔の青年が主人公。
・本作品の内容に因んで、学校卒業時に友達同士で交換したあの「サイン帳カード」を作成。
・出演者全員が直筆で記入した「サイン帳カード」のコピーを、ご観劇頂いたお客様全員にプレゼント!
・「3枚以上」集めて頂くと、お洒落に「サイン帳カード」を収納できる「オリジナルバインダー」を贈呈!
※「サイン帳カード」の筆跡者は全公演で異なります。ぜひ、一人でも多くの出演者直筆「サイン帳カード」をコレクションしてください!
※出演者全員の直筆(実物)「サイン帳カード」を、オリジナルバインダーに綴じて、抽選でプレゼント致します(抽選詳細は下記参照)。
※なお、開場時のみの配布となります。予めご了承ください。

◆3公演限定!プレゼント企画!素敵な賞品が抽選で当たる!!

【賞品内容(抽選対象の各公演日程において)】
・出演者全員の直筆サイン帳カード一式(実物)×オリジナルバインダー/  1名様
・出演者全員の直筆サイン帳カード一式(印刷)×オリジナルバインダー/ 10名様
・(花組)壮 一帆さん 直筆サイン色紙(ブロマイド付)/ 50名様(座席縦2列分)
・その他素敵な賞品(予定)

 サイン帳って!!
 説明文読むまでは、なんでサイン帳??だったよ。
 そうか、卒業試験……てゆーか、卒業にサイン帳回すのは日本ならではの文化なんぢゃ……?(笑)

 『H2$』のときもいろいろイベント目白押しで、楽しかった。
 どの組だからどの公演だから、というより、梅芸だから、だろう。
 いやその、売れ売れ超チケ難公演ならイベントすることはないのかもしんないけど、今の時代どの公演だって売り上げは厳しいのだろうし。
 ヅカだけじゃない、外部公演にしたって梅芸からのメルマガは後出しでいろーんなイベントが企画されている。
 『H2$』のイベント三昧を見て「うわー、外部の梅芸公演みたいだ」と思ったさ。
 梅芸の公演(ヅカ以外)というと、後出しトークショーや抽選会は当たり前、前売り買わせるために、あとから「この日時を買うとオリジナルメイキングDVD付き!」とか「この日時を買うと主演の**の歌うオリジナルCD付き!」とかアリだもんな。
 や、グッズスキーだから、そーゆーやってくれるとのせられちゃうんですけどね(笑)。
 普段からそういう形式でチケットを売っている劇場だから、ヅカでも同じことをしているんだよなあ。

 この満ちあふれる商売根性に拍手。

 消費者としては、販売努力してくれる方がありがたいもん。
 トークショーや非売品グッズ、うれしいもん。

 まあたしかに「サイン帳カード」のトレーディングカード状態は、やりすぎっていうか、「ずるい(笑)」って気はするけど。
 難易度が高すぎてコンプリート目指す人が少なくって、かえって効果薄いんじゃあ……って気はする。
 去年の『STUDIO 54』 のときみたいに、1週間ずつ別のペーパー配る、くらいの方が「全部集めるわ!」と燃え立たせる効果があるような。
 さすがに、出演者全員人数のカードだと、ふつーに毎日順番に配られるとしても、全公演20回(2枚配布の日も含め)通ってようやくコンプ、じゃ困難すぎて挑戦する人は最初から少ないだろうなあ。

 それでも贔屓組で、贔屓出演時にやられたら、コンプはさすがに無理でも、贔屓カードが出るまでは通うだろうな(笑)。
 こーゆー遊び心は好きだー。

 誰のカードを手に入れられるだろう。初日はやっぱえりたんなのかなあ? それとも学年順でまりん? それともまったくランダム、法則性ナシ?
 いちばん売れていない日に行くと、スターのカードが出るとか、攻略法もアリ?
 考えると楽しいな(笑)。


 梅芸さんの公演は面白い。
 つーことで、年末の雪組公演にも期待。
 出演者全員のトレカはさすがに勘弁!だけど(笑)、これに準ずるくらいはナニか派手にイベントやってほしーなー。
 『アルジェの男』、ジャック@まさおがわかりません!の続き(笑)。

 大臣@マギーに依頼されて、ジャックは「ボランジュさん@リュウ様失脚作戦」に手を染める。
 この仕事を受ける段階で、ジャックはジュリアン@きりやんを金ヅルとして利用するつもりだった、という前提は終わる。
 ボランジュさんが失脚するとジュリアンも終了、これ以上ジュリアンからお金をもらえなくなる。
 ジュリアンから金を搾り取らなくてもかまわないくらいの大金をマギー大臣がくれた。または、金よりもジュリアンがなにもかも失うことがポイント、ジャックの目的はジュリアンへの復讐だ。……てな理由ならわかる。

 「ボランジュさん失脚計画」を引き受けた。
 この時点で、ジャックはジュリアンの人生を終了させようとしている、と考えるべきだ。

 だけどこの作戦が、妙なんだ。

 てっきり、「ボランジュさんの片腕のジュリアンは、前科者ですよ。こんな男を雇っているボランジュさんは大臣に相応しくないですよ」ってことで、スキャンダルにするんだと思った。秘書の不始末で政治家失脚はよくあることですから。
 これなら、ボランジュさんもジュリアンも共倒れ。大臣から報酬もたっぷりもらえるし、ジャックがジュリアンを恨んでいるなら「いい気味だ」てなもんで復讐成功。
 なんのために、ジャックはジュリアンの過去を知っているんだ? それを盾に今まで脅してきたんだ? こーゆーときのためだ。ちまちま金をせびるより、大仕事に利用させてもらう。

 ジュリアンのところへ行く前に、銀橋で「ジュリアンひとりだけ成り上がってずるい、一緒に連れて行って欲しかったのに」と歌っている。
 ふたりそろって成功か、あるいはふたりそろって奈落。ひとりだけはずるい、足を引っ張ってやる。
 そう言うんだから、てっきりジュリアンを陥れるとか、悪いことをするつもりだと思ったさ。前述の通りの作戦実行なら、ジュリアンももれなく破滅だもの。

 なのに、そうじゃなかった。
 ジャックの立てた作戦ってのは。
 「ボランジュさんの恥ずかしい写真を撮っちゃえ☆」……えええ。

 まさか、「仲間になろうよ」とジュリアンを誘いに行くとは思わなかったさ……。
 ジュリアンの過去を暴けば済むことなのに、
「パトロンのボランジュをふたりで陥れて、大金を得よう。そしてふたりで逃げよう」
 って、そう持ちかけてる。俺からは逃げられないぜ、とかなんとか。
 これならたしかに、ジュリアン自身は無傷だ。後ろ盾は失うけど、ジュリアン自身が後ろ指をさされることはない。
 ジュリアンを守りつつも今の生活を捨てさせ、大金を得る作戦……ジャック、おそろしい子!(白目)

 マギー大臣の報酬も、ボランジュさん失脚作戦もただの言い訳。
 ジャックの目的は、ジュリアンと仲良くすることだよね……?
 彼を仲間にする、陽の当たる場所から、自分の腕の中へ連れ戻す。
 そーゆーことだよね?

 くらり。
 目眩がします、彼の歪みっぷり。

 サビーヌも、そりゃ射殺するわ。

 ジャックが撃ち殺されて、サビーヌにライトが当たる。
 そのときに、すごく納得した。
 はいはいはい、そーでしょうともよ。

 ジャックはいちおー、サビーヌの男だった。
 彼の目的がジュリアンであったとしても、対外的にはサビーヌの亭主だったんだ。
 なのに、
「ボランジュを色仕掛けで陥れてくれ、そこを写真に撮るから。ナニしてもいいぞ、オマエなんか興味ないし。それで後ろ盾を失ったジュリアンが俺の元に戻ってくる。オマエは写真に顔もカラダも写るわけだから、マスコミの餌食になるし、ボランジュに恨まれてどうにかなるかもしれないが、俺とジュリアンがラブラブハッピーエンドだから問題なし」
 なんて計画を聞かされたら。
 そりゃ、切れるわ。

「キタナイ計画を聞いたの……」と、撃った理由を語るサビーヌに、心から同情した。
 悪くない、キミは悪くないよっ、そんなこと言う男、殺されてとーぜんだって!!

 脚本がめちゃくちゃなので、ジャックの行動がもお、愉快で愉快で。
 イイデスヨ、このホモ男。
 気持ち悪くてステキ!

 ジャックは一貫して歪んでいるし、ジュリアンは一貫してジャックに弱みを握られている。

 これでジャックがもう少しまとも……というか、いやらしくなかったら、ナニかしら深刻な理由を想像するところだけど。
(彼らが実は異母兄弟で、ジュリアンの母のせいでジャック母が死に、ジャックはジュリアンを逆恨みしているとか、そーゆーの)

 ジャックがギラギラに変質的なので(笑)、ホモな想像しかできない……っ。

 つまり、アルジェでふたりがデキていた、つーことですな。
 サビーヌがジュリアンに口説かれても本気にしないと頑なだったのは、ソレを知っているから。
 ジュリアンの恋人は、ジャックでしょ? いくら女好きのふりしてあたしを口説いても、信じられない。キスなんかできない。ほんとうにあたしだけを愛してくれているの……?
 と、考えるよなあ。

 ジュリアンがゲイだとわかっていたら、ボランジュ総督にめーっちゃくちゃ不自然に、無理矢理に、ありえない展開で取り込まれても、「そういうことなんだ……」って思うよね。
 悪いのは脚本ですがね。説得力皆無のやりとりで、突然ボランジュさんがジュリアン見初めるからねー。お稚児さんにしたってだけだよねー。
 だからサビーヌは、パリへ行くというジュリアンに「行かないで」とも「あたしも一緒に行く」とも言えない。
 ジュリアンは愛人の男と旅立つんだもの。女の自分に入る隙間なんかないって、わかるもんなあ。そりゃ全身で「行かないで」と表現しつつも笑顔で見送りになるよなー。

 そして、ボランジュにジュリアンを取られたジャックが、サビーヌと共にパリへ。ふたりそろって5年間ストーカー。
 という話。
 サビーヌ、つらいなああ。

 ところでわたし、マギー大臣に「ボランジュのスキャンダルは下世話なほどいい」と持ちかけられたジャックがジュリアンのもとへ行ったとき、ボランジュ氏とその秘書ジュリアンの不倫関係をネタにするんだと、本気で思ったんだが、初見時。
 マギー大臣がなにか含みのある言い方してたからさー。あ、さすがマギー、ボラさんの性癖知ってるんだ、それをネタにしろって暗に言ってるんだ、と。
 そりゃ、秘書とデキてて不倫で、しかも秘書は男で娘の婿になる予定……って、こんなことを暴露されたら大スキャンダル、間違いなく失脚ですよ。

 なのにわざわざボラさんを呼び出して、サビーヌとのえっちな写真を撮るんだとかゆー、中学生のいやがらせみたいな作戦を聞いて、そしてそんな陳腐な話を聞きながら、盛大に苦悩するジュリアンを見て、これは言葉の裏を読むべき? いくらなんでもこんなつまらない作戦を持ちかけるはずがない、どーでもいいことをクチにしながら実は「オマエとボランジュの関係を暴露するぞ」と脅しているのか……?! と、考えたよ(笑)。

 ほんとに、わけわかんない脚本だよなあ。
 ぼろぼろにツッコミどころ満載だから、いろんなことを考えられるよなあ。

 ジャックの行動が1から10までみんな変で、辻褄合ってなくて。
 おかげで、とても愉快です。


 で。
 結局ジャックってどんな人なの?(笑)
 ところで、ジャックさん@まさおくんですが……。
 あの人、なんなんでしょうねえ?

 『アルジェの男』は、端的に言えば「ひっでー話。駄作」なんだと思います。
 何十年も前の世界で、今と違う価値観やスターの存在があるときに、名のある演出家作だからありがたがられたのかもしれないけど、今の時代にコレを無名の演出家が出してきたら、世の中的にフルボッコだったと思う。
 主役がナニ考えてんのかわかんないし魅力がわかりにくいし、2番手以下男役に出番も見せ場もないし、ヒロインは3人いるけど、3分割されたせいでトップ娘役が割り喰ってるし、台詞は字幕や注釈が必要な時代錯誤さだし、台詞回しはヘタすりゃお笑いなくらい昭和時代劇だけし、衝撃はあっても初見で納得とか爽快感とかのない幕切れだし、誰得?!な作品。

 もっとうまく書いてくれればなあ。
 嫌いなテーマじゃないのになあ。と、脚本の荒さに肩を落とすばかり。
 ジュリアン@きりやんの最期なんて、大カタルシスになるはずなのになー。
 強い意志と決断の上で、好きな女と手に手を取っての逃避行、幸せの絶頂で、苦しまずに昇天、これ以上ないハッピーエンドなのになあ。
 ただの尻切れトンボ、「え、このドラマ打ち切りだったの?」的にしか、観客に伝わらないのは、脚本が悪いですよー。
 周囲の観客が「え、これで終わり?」「わけわかんなーい」と口々に言うのを、観に行くたびに聞くのが、もう「お約束」って感じになってるなんて、アリエナイわー。

 脚本に不満たらたら、だから古い柴田作品は嫌なのよー、と、すっかり不信感を植え付けられたわたしは思っておりますが、それはまあともかく。

 そのひどい脚本のおかげで、ジャックという男が、実にわけわかんなくなっているのは、愉快です(笑)。

 ジャックさんは、ジュリアンのお友だち。
 アルジェではライバル意識はあったものの、同じ酒場を溜まり場にしたグループの仲間だったらしい。

 んで、ジャックさんはサビーヌ@まりものことを好きだったんでしょうか?
 ジュリアンが投獄されたらその間面倒を見てやる、と言う台詞がひとつあるだけで、彼女を愛しているという表現がない。

 よくある2番手ライバル役ならば、主人公の恋人を愛していて、彼女に横恋慕することで、二重にライバル関係となるもんですが。
 ジャックは別に、サビーヌのこと興味なさそーだよねー。自分にもカノジョ@すーちゃんはいるもんねー。

 だから、彼がこだわっている相手はあくまでも、ジュリアンのみ。
 女絡みじゃない。

 そしていつも、自分からジュリアンに絡みに行く。
 自分から行かないと、ジュリアンはジャックを「その他大勢」として扱ってしまうから?
 わざと悪いことをするのも、ジュリアンの関心を引きたいから? 弱い商売人を脅して小銭を巻き上げていることを、責められてたよねえ?

 ボランジュさん@リュウ様の財布を掏摸取ることにしても、すごーく一方的に持ちかけているし。
 すべてはこの件からはじまるんだけど、そんな危険な賭をジュリアンが受ける理由がわからない。
 賭っていうのは、フィフティフィフティであるべきだろう?
 ボランジュさんを敵に回すことで、ジュリアンにはなんの得もない。失敗したら身の破滅、成功しても得はない……なのに何故、こんな一方的かつ無意味な賭をするのか?
 ジャックがものすごく理不尽に絡んでいる、ようにしか見えない。
 難癖を付けているだけだよね。
 悪いのはジャックなんだから、ジュリアンは毅然と跳ね返せばいい。なのにそれをしない。

 ここで疑問。
 ジュリアンは、ジャックに、なにか弱みを握られている?

 悪いのは脚本で、大先生様がナニも考えてないのだとしても、この無理矢理な展開はそうとしか思えない。

 ジャックはジュリアンに絡み続ける。それは一方的かつ理不尽なモノ。だがジュリアンは、唇を噛んで屈辱に震えながらも、その辱めに耐えるしかない……。

 ナニがあったんだ、ふたりの間に。

 この芝居で描かれる前の時代に。
 いちおージュリアンがボスで、ジャックはその仲間。なのにボスが、ボスであるという矜持をぎりぎり守りながらも、ジャックの言いなりになるしかない、ナニが……?

 ジュリアンがボランジュさんの運転手となったあとの、お金の脅し取り方も、難癖でしかないよなー。言いがかりだよなー。
 それでもジュリアンは黙って従うもんなー。

 でもって時は流れ、5年後のパリ。
 柴田せんせの中では数ヶ月と5年の差はないらしく、「数ヶ月前にパリに来た」ならアリだろう会話が、5年も経った今恥ずかしげもなく繰り広げられる。
 そーゆー感覚の作者が書いたせいだとわかっちゃいるが。

 5年間、ジュリアンのストーカーをしているジャックは、変です。

 ジュリアンがアルジェを出てすぐ、サビーヌとジャックもまたパリへ渡っている。
 そしてジュリアンをストーカーしながら、ふたりで暮らしている。
 5年間。

 サビーヌはわかるよ。
 ジュリアンを愛してる、彼のそばにいたい、だけど邪魔にはなりたくない。だから黙って近くでストーカー自己満足生活。

 しかし、ジャックは?
 ジャックがそれにつきあうの、変じゃん。

 ジャックがサビーヌを愛しているなら、ジュリアンのそばで彼の噂を聞きながら暮らすことを許すはずがない。
 また、ジュリアンにぶら下がって美味しい汁を吸おうというなら、5年間コンタクトしないのがおかしい。
 5年間、びんぼー暮らししてたんだ? 踊り子とそのヒモとして? 羽振りのいいジュリアンが目と鼻の先にいるのに?

 これが数ヶ月ならまだ、わかるのよ。ジュリアンを脅すにしろ、これからだったんだろうなって。
 なのに5年もパリで潜伏していたというから、わけがわからない。

 5年間手を出さずに見守ってきたのに、ジュリアンに居所がばれたらすぐ脅しに掛かるし。
 まるで、言い訳みたいだ。
 オマエを追ってパリに来たのは、オマエを見張っていたのは、金のためなんだからな。そうジュリアンに知らしめるために、あえて過去の汚点を盾に小銭をせびったように見える。
 そうでもしないと、理由が見つからない。
 なにしろ5年。半端な長さじゃない。

 この、取って付けたような強請も相当変なんだが。
 さらに理解できないのは、大臣@マギーにボランジュさんを失脚させるよう依頼されること。

 変だよ。ボランジュさんが失脚したら、ジュリアンもおしまい。金ヅルのジュリアンがびんぼーになったら、ジャックも困るじゃん?
 まあ、金ヅルを失っても困らないくらいの大金を、大臣@マギーがくれるから、ってことかもしれないが。

 だとしても、ジャックがジュリアンに持ちかける「ボランジュさん失脚計画」が、相当変なんだ。
 何故彼は、こんな無意味な作戦を思いついたのだろう?


 続く。
 それでもうだうだ考えている、ジュリアン@きりやんのこと(笑)。

 初演は知らないし、そもそもどーゆー意図があって描かれたモノなのか知らない、この『アルジェの男』って話。
 ただ、現在の『アルジェの男』を見て感じたことを記す。

 硬質なのがいかんのかなあ。
 ジュリアンはとても真面目で固くって、色気と遊び心に欠ける。
 人生楽しんでいる風があれば、また違って見えるのかも。
 真面目だけが取り柄の小役人、言われるままに仕事をするつまらない男に見える。
 そりゃあ、一目ですべての人が平伏すような華やかな美貌があるなら「社交界の花」として、ただそれだけで納得させてくれると思うけど、なにしろジュリアンの中の人はきりやんで。彼の売りはそんなところじゃない。
 人生に対する余裕がないから、女にもてるよーにも見えない。台詞だけで「ステキ」と言われているが、どうステキなのかがよくわからない。
 見た目で納得させるタイプではないのだから、行動やエピソードで納得させてくれなくちゃ。
 なのに、再演だからか、演出の大野くんの目にはきりやさんが絶世の美少年に映っているせいか、ジュリアンの魅力については書かれていないんだ。

 また、ジュリアンはとても大人で、もう迷いなんか卒業しきった人に見える。
 不惑の人っていうか。
 人生固まっていない若造に見えない。知識と経験があり、石橋を叩いて渡る人に見える。
 だからすごく公務員的で事務員的なわけだけど。
 あとはマイホームのための40年ローンを地道に返しつつ、毎日書類にはんこ押して生きます、みたいな。

 エリザベート@りっちーとアナ・ベル@みくちゃんに対しても、色気がないために、真意がどこにあるのかわからない。
 エリザベートには魅力を感じていないらしい。彼女を「跪かせてやる」と言うけれど、それは単にみんなの前でバカにされた仕返しとして言っている。
 アナ・ベルのことはかわいいとは思っているのだろうけど、利用して捨てていいレベルの興味らしい。
 なんつーか、女体(って言い方もアレだが)への下心もなく、女たちが持つ背景への下心も大してなさそうで、もちろん彼女たち個人にも興味なさそうなまま口説かれても、ドキドキしない。

 利用するつもりが愛してしまった、とか、本人に興味ないけどエロ大好きだから口説くの楽しい、とか、ステップアップのための手順のひとつ、野心メラメラですから!とかなら、女を口説く場面も見ていて楽しいんだと思う。
 計算違いで心が動いてしまった、ってのは女子の大好きなパターンだし、心はなくてもエロエロむんむんなお色気シーンはサービスショットだし、明確な目的のためなら際立つ悪がかっこいいし。
 でもジュリアンには、どれもない。
 本人に興味ないし、エロも好きではなさそう。それによってなにがしたいのか、人生の目標も見えないまま、ただ「だって脚本に書かれているから」的都合で女を口説く。
 それじゃつまんないよう。


 ジュリアンは余裕の色男じゃいかんかったんか。
 真面目な小役人ではなくて、仕事も出来るけどそれだけではなく人生も楽しんでます的な男じゃダメなのか。
 その楽しんでます部分で、「仕事をがんばる」か、あるいは「余裕で女を口説く」、どちらかをやって欲しい。
 仕事が思い通りに出来るなら、男として人生は充実しているだろう。ジュリアンが有能なところをきちんと描いてくれれば、女に対してクールであってもいい。有能な男がパーティでセレブたちにちやほやされるのは当然。
 もしくは、色男面をクローズアップ。友だちも多くて人気者、女たちをスマートに口説くが、修羅場にはならない。それなら社交界の花でもおかしくない。
 それでいて、心にどこか隙間を抱えている。
 人生楽しんでいるはずなのに、「本当にコレでいいのか」という疑問が、心のどこかにある。
 という二面性があればなあ。

 最初から最後までジュリアンは、パリでの生活を楽しんでいるように見えないんだよなあ。
 そりゃ、友だちもいない、遊びも知らないまま5年間も、ただ仕事だけしてたんだもんなあ。
 そりゃ、それらを捨てるのも大したことじゃないよなあ。

 それでも、その生活に「目的」があればなあ。
 目的も特になさそうだもんなあ。


 とまあ、ジュリアン探しばかりしてますが、こんだけ気になるのは、結局ところジュリアンはなんか魅力的なんだと思う。
 あの小役人的で苦行僧みたいなところが、なんか興味をかき立てるんだと思う。

 てゆーか、コレが大野くん的な霧矢大夢の萌えなのかなあ。
 クチビル噛んで耐えている美少年、ってやつ。

 余力があれば、ジャック@まさおとのラヴストーリー書いてみたいくらいだ(笑)。ものすごーく暗い、救いのないヤツ。

 ジュリアンがいろいろと不自由で。
 わけわかんなくて。

 気になる(笑)。
 『アルジェの男』の話。

 なんだかんだで、けっこーツボはある……のか?
 なんか語りたくなるっつーかツッコミたくなるというか。単にわたしがきりやんスキーなだけか(笑)。

 ジュリアン@きりやんが、わからない。

 彼の野心ってなんなの?

 アルジェにいたときのジュリアンは、「いずれパリで一旗揚げる」話をする。
 きりやんの外見では良くわかんないけど、多分ここでは彼、10代の少年なんだよね? それか、せいぜいハタチくらい?
 なんつーか、クライド@タータンがハタチそこそこだったのと同じくらいわかりにくいよな、と突然『凍てついた明日』の話をしてみる(笑)。

 いつかパリに……と夢を語る若者。
 レオン@じゅりぴょんのことを思い出したりもする、はい突然『マラケシュ』です……って、どっちもオギーか。
 植民地で食い詰めている若者にとって、まだ見ぬ都会はそりゃー夢だろう。

 ジュリアンが語るのは、「パリで贅沢な暮らしをする」こと。
 具体的にどうしたいとは、語られない。

 田舎の少年が「オラ、東京さ行くだ。東京にさえ行けば、ビッグになれるだ」と漠然と考えている。
 それはいいけど、どうビッグになるんだ?
 たとえばアイドルになるとか俳優になるとか、芸能関係は東京でなきゃダメだもんな、だから東京!ってのはわかる。
 そこにしかない業種……でなくても、首都にはあらゆる業種の中心部が集まっているから、地方でトップになるより中心の隅っこに引っかかっておいた方が、未来につながりやすい、と考えるのもアリか。

 しかしジュリアンの「パリに行く」は、「オラ、東京さ行くだ。東京にさえ行けば、ビッグになれるだ」の域を出ていない。
 パリに行ってどうしたいのか、語られていない。

 贅沢な暮らしをする、というのは確かに目的であり、夢である。
 だがそれは、どういう意味でだ?

 一攫千金、遊んで暮らして、それでいてお金持ちになりたいのか。
 やりがいのある仕事でばりばり働いて、その結果として地位や富を得たいのか。
 同じ「贅沢な暮らし」でも、このふたつは天と地ほどチガウ。

 遊び暮らすことが目的なの? なにもせずにお金だけある生活が最終目的?
 ジュリアンが語る夢は小学生の作文以下のリアリティで、それでいったいどうしたいのか、感情移入がしにくい。

 「お金持ちになる」という夢のために、ボランジュさん@リュウ様の運転手をするジュリアン。
 仕事の傍ら学校にも通い、真面目に勉強したそうな。

 そうしてボランジュさんの秘書になり、最終的には政府の書記官になったそうな。
 とゆーとだ、彼の目標は政治家だったのか?

 ジュリアンが真面目に働いたり、勉強したりしているところは書かれている。
 パリに来て5年も経つのに、下町に行ったことなかったそうだ。どんだけ。
 『黒い瞳』でも思ったけど、柴田作品って時の流れ変だよね。ベロゴールスクに赴任して数ヶ月も経っているのに、警備隊の少尉なのに、砦に行ったことなかったんだって。まるで数日前に赴任してきたみたいに「新任のニコライに東の砦を案内してます」って言ってたし。この数ヶ月、砦にも行かずどこを守備していたんだ、って話。
 それと同じ、数ヶ月前にやって来たならともかく、5年間、一緒に飲みに行く友だちもなく、下町や歓楽街も知らなかったらしいよジュリアン。下町はともかく、5年間ぼっちのまま、そんな男嫌だ。
 柴田せんせの中の時間軸はどうなっているんだろう。

 まあそれはともかく、ひたすら真面目だと描かれるジュリアン。
 この真面目さってのが、どうにも目的が見えない。
 いずれ政治家になる、という夢があるならそれを語ってくれなくちゃだわ。
 ただボランジュさんの人形として、言われるまま命令されるままの仕事を日々こなしているだけの人に見える。
 または、ボランジュさんの跡継ぎを狙っているなら、そのことも明確にしてくれなきゃだわ。

 「パリで贅沢な暮らしをする」だけならもう、叶っているんだもの。
 いい服を着ていいものを食べて、セレブなお屋敷で美女と踊ったりしている。
 最初にアルジェで語っていた夢は叶った。
 でも、そのことについての言及はない。
 ナニがしたいの?

 夢は叶っているけど、ジュリアンは別に幸せそうじゃない。
 そりゃそーだ、働き蟻みたいに、毎日ひたすら働くだけ。
 人の数倍働いてるんだから、人の数倍儲かっていても、それほど不思議なことじゃない。

 最後にそれまでのモノを全部捨てるわけだから、ジュリアンが幸せそうではいけないのかもしれないが、苦行僧みたいに見えるんだよなあ、ジュリアン。
 耐えることだけが目的で、なにがしたいのかがさっぱりわからない。

 はっきりと「夢」を打ち出して欲しかった。
 「大統領になって、国を動かしたい」でもいいし、「億万長者になって世界中を旅して回りたい」でもいい。「アルジェ総督になって故郷へ凱旋、俺を見下していた奴らの鼻を明かしたい」でもいい。
 ボランジュさんの下僕を淡々と務めているだけの男には、ちっともわくわくしない、ときめかない。
 真面目で事務仕事ができるだけの男を、何故ああまで褒めそやすのかがわからない。
 すごく小役人っぽい……。
 ボラさんの仕事にすごいアイディアを出すとか、彼の危機を救うとか、なにかしらエピソードがあれば「優秀なのね」とわかるけど、言われた仕事をただ四角四面にこなしているだけじゃあ、どう「すごい」と思えと?

 ボラさんが何故ジュリアンを買っているのかもわからない。
 ジュリアンに隠れた才能があったのかどうかも、描かれていない。生まれの不幸のため発揮できないままでいたが、実はものすごい才能があり、ボラさんの庇護の元で花開いている……という様子もない。

 やっぱ単にボラさんがホモで、好みの美少年を拾い、思いのままに調教して飼っている、ってだけ?
 だからあんなにジュリアンは苦行僧めいているの?
 夢のために努力している人に見えないんだもの。

 アルジェの無学な少年のうちは、「パリで贅沢な暮らしをする」が夢でもいい。
 ただそのあと、ボラさんのもとで知識を得るに従って、なにかしらビジョンを持って欲しいわ。
 その「夢」……えーと、「野望」と言わなきゃなんないの?この話の場合……を語って欲しい。
 その明確な目的のために、手段を選ばず……でもいいし、やりがいを持って仕事をしている、でもいい。
 とにかく言われた仕事をしているだけの小役人とか修行僧は嫌よ~~ときめきがない~~。

 目的もなく日々淡々としているから、それらを全部捨てると言い出しても「はあ?」だし。
 カタルシスが薄い。
 それまでさんざんこだわっているからこそ、捨てるときが大事件。
 目的もわかんないまま過ごしていた日々を捨てると言われても。

 とにかく、ジュリアンがわからない。
 わたしには。
ひとつひとつ。@インフィニティ
 宝塚友の会チケット会員先行販売のお知らせ61号が届いた。

 おお、表紙キムくんだー。
 と思って、スケジュール帳に入力日をメモするために裏表紙を見た。……正直、中身ってあまり見ない。裏表紙のスケジュール一覧表さえあれば事足りるから。

 いちばん上の大劇場スケジュールから順番に、手帳にシールを貼りつつ。
 ああ、『エドワード8世』とかも、もう載ってるんだ、来年の話なのに……とぼーっと考えつつ。

 気付く。

 『インフィニティ』が、載っていることに。

 うわわ、そうか、もう載っちゃうんだ。
 友会入力日とか、発売日があるんだ。(そりゃあるだろう)

 あわてて、冊子の中身を見た。

 後ろからめくりだしたら、なかなか該当ページにたどり着かなかった。そっか、バウホールってけっこう前に掲載なんだ!(落ち着け)
 冊子のど真ん中に、みりおくんの『アリスの恋人』と並んで掲載。
 青年館付きのみりおくんとちがい、バウのみのまっつは書くことが少なくて、ちんまり(笑)。
 他にバウのみ公演があればキチキチ1ページにまとめられちゃうんだけど、かなめくんも青年館付きなので。
 そーやって東上付きバウ公演にはさまれたまっつバウは、のびのび余白たっぷりに1ページもらってます。なんてゼイタクな(笑)。

 写真は『ロック・オン!』。
 直近のショー作品写真ってコレしかないし。

 そして、公演スケジュールを、改めて見た。
 日にちの発表を眺めるのと、公演日として眺めることは、こんなに違うんだと。
 はじめて、知りました。

 木曜はじまりの月曜楽なんだ、とか、金曜日は1回公演なんだ、とか。
 ふだんは自分の行きたい日を決めてから、入力時に確認する程度だから、「全体」としてスケジュールを見るのははじめてかも。

 全部で17回かあ。
 『宝塚巴里祭2009』は4回だったから、4倍以上の回数だねえ。すごいねえ。

 友会冊子にまっつが載っているなんて、はじめての経験なので、思わず画像保存しました、記念記念、宝物!(笑)

 『宝塚巴里祭2009』は劇団の「公演」ではなかったので、主演したところでどこにも記録は残らなかった。
 友会冊子にも載らないし、年に一度出版される「ステージアルバム」や「REVUE本」はおろか、「組本」にすら載らない。他の『巴里祭』、ディナーショーやトークショーなどのイベントものがそうであるように。
 一過性のスカステニュース、「歌劇」「GRAPH」に「情報」として載ったのみ、舞台写真(公演終了後も販売継続されるモノ)の発売もないため、「記録」として残る媒体では、2009年の夏、まっつは「どの花組公演にも出演していない」ことになっている。
 それが、寂しかった。
 いくら、心のアルバムにしーっかり焼き付いているとしても、だ(笑)。

 でも今回はそうじゃない。
 劇団の「公演」だ。通常の過程を踏んでいくんだ。通常の記録に残るんだ。

 じーーん……。

 うれしい。
 うれしいよお。

 はじめての経験なので、1個1個大切に噛みしめて、わくわく楽しんで行こうと思う。

 まっつが友会冊子に載ってるー。うれしい~~。しみじみ。

 この冊子、大切にしよう。
 ひとつひとつ、噛みしめていくことにしている。

 キャトルレーヴ梅田店にて、『ハウ・トゥー・サクシード』公開記念キャンペーンてのがあった。

「期間中、キャトルレーヴ梅田店対象商品を1点でも含む初回2000円以上お買いあげのお客様に、1000円ごとにポイントがたまるスタンプカードをお渡しします。」
 で、集めたスタンプごとにプレゼントがもらえる。
 スタンプ5つでL版写真。
 スタンプ15……つまりカード1枚全部スタンプで埋めると、フォトカード。さらにWチャンスでキムくんサイン色紙。

 別に、めずらしいこっちゃない。
 梅田で公演しているときは、毎回なにかしらやっている。

 めずらしくもないことなので、思いっきりスルーしていた。
 グッズは必要最低限しか買わない、だってチケット代だけで精一杯だもん。
 まっつが載っているからプログラムは買う、ポスターと、同柄のクリアファイルも買う。でも、それだけかな。

 スタンプを集めてもらえる景品とやらにも、興味がなかった。
 キムくんの色紙、とあるように、こーゆー場合の景品は大抵トップスターの写真だ。
 キムくんも好きだし、写真をもらえたらそりゃうれしいけど、不必要なモノを1万5千円分も買うより、その金額でチケットを買うよ。

 思いっきりスルーしてたのに。

 梅芸ロビーの特設売店に宣伝として飾ってある、その「ポイントカードの景品写真」が、キム+ちぎ+まっつの写真だった。

 えええ。

 キムくん単体、枠が広がってもトップコンビか、2番手までだと思ってた。
 まっつもいるの??!

 『ロック・オン!』の画像で作った合成フォトカード。いちばん大きく真ん中にキム、その左右にちぎまつ。
 ご丁寧に非売品とある。

 くらり。

 その写真が欲しいわけではない。
 まっつがポストカードの4分の1くらいの大きさに載っているだけで、とりたてて写りがいいとかゆーもんでもない。
 だがしかし。

 まっつが、非売品の景品になったのは、はじめてのことなんだ。

 キャトルレーヴではなにかっちゃー売れ残り……ゲフンゲフン、お勧めの商品を複数袋詰めして1円単位まで一切おまけナシの定価で、セット売りをする。
 そのときの言い訳が「非売品写真付き」「非売品ポストカード付き」。
 そのセットのためにわざわざ作った非売品ではなく、過去に使用した「非売品の、売れ残り」ってやつ。
 売れ残りに売れ残りをセットして、抱き合わせ販売。ザ・キャトレ商法!!

 「非売品ポスカ付き」と書かれたセットを見るたびに、「あー、このポスカ、まだ残ってるんだあ」となまあたたかいキモチになる。
 何年使い回す気だろう、と。

 でもそうやって非売品ポスカを作ってもらえるのは、スターだけだ。
 わざわざ印刷するわけだからなー。まとまったロットで発注するんだろーしなー。
 スターでない人には、その売れ残りの非売品すらない。
 まっつも長くジェンヌをしている人なので、過去に何度かキャトレ梅田で特集にまざり、「未涼亜希セット」なるものを作られている。
 ジェローデル特集のときなんか、雪組トップスター水夏希様と並列して並べられていたぞ。
 水くんはもちろん「非売品ポストカード付き」のセット販売、まっつは過去の舞台写真をただ複数袋詰めしただけのセット。どちらも定価で売られているわけだから、水くんはポスカ分お得、まっつはセットを買う価値どこにもナシ。脈絡のない写真をセットで買うより、好きな写真を選んで買った方がいいって。

 なんのトクベツ感もないセット。
 しょぼんな記憶。

 ……だから。
 今ここで、はじめて、まっつが非売品グッズになった。
 3人写りのひとりであろーと、大きさはポスカの4分の1部分であろうと、そんなこたぁどーだっていい。
 まっつが、非売品カードに入れてもらっている、という事実のみが重要。

 まっつを景品にすることで、購買客が増えると、キャトルレーヴの中の人が考えたってことだ。
 別に、キムくん単体でも、キムちぎでもいいのに。『H2$』という作品の性質からして、フィンチとローズマリーとバド、この3人しか重要じゃない、この3人までを景品にしても当然なのに。
 そこにあえて、まっつまで入れた。入れて、くれた。

 その心意気やヨシ!

 ならば。

 その心意気に、全力で応えよう!!

 てことで。

 いやあ、がんばりましたねー、グッズ購入。
 なにがなんでも1万5千円、キャトレ梅田で買わなきゃなんないんだもんよー。
 いつもは買わないものまで、いちいち買ったもんよ。

 まっつメイトもみんなそれぞれがんばっていたみたいだ。
 キャトレの中の人、売り上げが良くなって、これからもまっつグッズを出そうとか思ってくれないかな??(笑)
 3人写りのポスカだから、まっつファンだけががんばっているわけじゃないだろうけどさ。なかでもまっつファンは、「こんなこと、最初で最後かも?」なキモチがあるから。さらにがんばっていたんじゃないかと(笑)。

 わたしは結局あと3000円ってとこで、友人の「いつの間にやらまとぶファン」のCANちゃんがまとぶんDVD買うっつーんでカード託して、無事全部集まったわけなんだが。(てゆーか2枚目のカードもスタンプ13個まで溜まって、そこで終了したという……)
 CANちゃんの協力がなかったら、『ロミオとジュリエット』CDを買うつもりでした、スタンプの数あわせに。
 『ロミジュリ』はわたしのなかのトクベツなので、いつかは買うと思うけど、なにしろ今お金なくてだな……てゆーかいつもなくてだな……なかなか買えないのよー。しくしく。

 他のスターさんの「非売品ポスカ」が、最初にスタンプカードの景品として作られたときはとてもレアな、特別なモノとして扱われていたのに、その後は「ただのセット売りのおまけ」としてしか扱われず、レアでもなんでもなくなることは、何度も何度も見てきた。
 だから今回のフォトカードとやらも、今無理に1万5千円も不要な物を買ってまでがんばって手に入れなくても、そのうちどーでもいいセットに同梱されていると思う。
 いくらでも手に入ると思う。

 わかってる。
 わかってるけど、あえて。

 今、祭に参加したんだ。

 まっつに関することはひとつひとつ、体験していくんだ。噛みしめていくんだ。


 しかし、景品になったまっつ、ってイイなあ。しみじみ。
 景品まっつ……体育坐りしてリボン掛けられ、「景品」というタグを首から掛けられたまっつ……ふふ……ふ。←変態注意報
 『ハウ・トゥー・サクシード』のスーツ男たちを見て、「雪男ってリーマン似合うなあ」と感心するのは、『愛のプレリュード』のスーツ男たちがホストにしか見えなかったため。

 この組カラーの違いが愛しい(笑)。

 もしも花組で『H2$』をやっていたら、スーツ男たちはみんなホスト系だったんだろうなと。

 『Dance Romanesque』のキラキラ月色男子たちを見て、アイドルっぽいと思い、これが花組だったらギラギラホスト銀橋になり、星組だったらオラオラ野郎銀橋になるんだろうなとウケる。

 『タカラヅカスペシャル』ででもいいから、全組銀橋対決とかしてほしーなー。いや、梅芸に銀橋ナイですが、イメージとして。
 花組が黒タキでギラギラ登場、客席釣りまくり、キザりまくり。ナルシー上等。
 月組がアイドル衣装で登場、どこぞのユニットのよーにキラキラ客席アピール。
 雪組がシンプル黒燕尾で登場、端正に大真面目に客席へご奉仕。
 星組がスパンラテン衣装で派手に登場、オラオラ大騒ぎ。
 宙組がカラースーツで登場、フリーダムに個人技を競ってください。

 トップスターは登場せず、2~3番手かそれ以下の中堅あたりでやるとさらに、組カラーが見えると思う。トップはトップってだけでイメージ出来上がっちゃってるから。

 見たいなー。


 と、全組モノの妄想を前振りに、年末の『タカラヅカスペシャル2011』の話。

 これに、雪組がきちんとしたカタチで出演しないことが、残念でなりません。
 『タカスペ』といえば、1年の締めくくり、その年の公演のパロディ上演じゃないですか。

 わたしは、『ロミオとジュリエット』に、ヅカヲタ人生最大級のハマり方をしました。『ロミジュリ』さえあれば他はナニもいらない!と思ったほど『ロミジュリ』命です。

 『タカスペ』に雪組が出演していれば、もう一度、『ロミジュリ』に出会えたのかもしれない……。

 「世界の王」あたりを、もう一度聴けたかもしれない……。

 まともに「公演を振り返って1曲」でもいいし、パロディだって見てみたい。
 『ロミジュリ』は有名作品だから、パロディしやすいはず。
 著作権がいろいろ言われるのかもしれないけど、『ロミジュリ』は『麗しのサブリナ』ほどきつくないらしいのは映像関係見ててもわかるし。『逆転裁判』や『エリザベート』パロがOKなんだし、そのへんは大丈夫っぽいかなと。

 『ロミジュリ』パロ見てみたいなあ……。あいつらでドタバタ喜劇見てみたい……。

 今のところ雪組の出演者は「未定」になっており、誰がどんなカタチで出演するのかはわからない。
 数年前のように「4回公演中1回だけゲスト出演」の可能性だってある。
 ゲスト出演にすぎない場合は、凝った演出なんかなくて、ただシンプルに歌うだけで、パロディや芝居なんかできない。
 当時のキムテルぐらい、劇団が「将来のトップ」として推している子たちが番手にいるなら、最初から出演者欄に名前も載せ、彼らだけで「雪組コーナー」も作るだろうけど。

 所詮「未定」だからなあ。出演したとして、ちゃんとした「雪組コーナー」はナシかなあ。
 他組がパロディをがっつりやっているのに、1曲歌って終わり、かなあ。

 『タカスペ』が残念、なのもたしかだけど、『ロミジュリ』に会える機会が……最後の機会がなくなったことで、落胆しているのです(笑)。

 や、「雪組コーナー」ががっつりあったとして、『仮面の男』パロかもしんないけど(笑)。

 『ロミジュリ』を観たい。ロミオに、マーキューシオに、そしてベンヴォーリオに、会いたい。
 とっても今さらですが、『ファントム』の話。

 わたしの花組への愛着っつーか郷愁はとても強く、今でも切なくて仕方がない。
 なにがどうってわけでもないんだけど。
 ただ、花組というと、切ないなあ。

 その切なさが全開になったのが、ショレ@みわっちを見たときだ。

 みわさんはほんっとーに骨の髄まで花男で、かつ、路線スターなんだ。「花組の真ん中」に立つために育てられてきた人だ。
 抜擢も早かったし、立ち位置や役割、メディアや販売物の扱い、すべてにおいて劇団が「スター」として育てた由緒正しい人だ。
 彼はショレのような「脇」の役をやってなお、正しく「スター」なんだ。

 年功序列の花組だから、どんだけスター路線の人でも長らく脇の役をやる。大して出番も台詞もない、見せ場なんかまったくないよーな役も経験している。
 でも「将来のスターが、今は端役を演じている」のと「脇役」はチガウ。
 みわっちはずーっと前者だった人だ。

 役の数が足りないから端役なんじゃなくて、ショレ役は脇の役。路線スター様の役じゃない。
 それでもみわっちが演じると、ショレは路線の役となる。
 もちろんショレはヒゲのおかしなおじさん、三枚目で安い悪役だ。いきなり二枚目的な路線の役に変わるわけじゃない。
 でもみわさんの演技が、芝居が、あくまでも「スター」のものなんだ。
 自分が真ん中に立ち、空気を動かすことを当然とした芝居。どんな脇役であろうとも。
 それは芝居の良し悪しとか空気を読むとか、そーゆー次元ではない。育ち方というか、役者の血肉部分の話なんだなと。
 ……なまじ我がご贔屓が、由緒正しき脇育ちで、真ん中でオーラ出してしかるべきときに「脇としての引いた演技」をしてしまうだけにね……「お育ちの違い」ってのは、こうまで出てしまうものなのかと。

 みわっちの「スター」ぶりに、心奮えた。

 ショレ役としてソレが正しいかどうかは知らない。
 みわさんゆえに1幕のキャリエール@壮くんの影が薄くなっていることの是非も問わない。
 ただわたしは、正しく「愛音羽麗」であり続けるみわっちに、胸が熱くなった。

 ただもお、みわっち好きだ、と思った。

 『ファントム』の役替わり公演中、ショレの出番中、ただひたすら「みわっち好きだ」「みわっち好きだ」と盛り上がり続けた。

 なんつーんだろうなあ。
 変わり続ける激動のタカラヅカにおいて、なにがあっても揺るがない、変わらない、「みわっち」に、救われた。

 変化を拒絶するつもりはないけれど、順応性の乏しい年寄りとしてはいろいろ郷愁に駆られることが多くて。
 昔は良かった、ではないけれど、距離を感じて寂しく肩を落としているところに、変わらないモノを指し示してくれる、喜び。
 取り壊された母校のビニールシートに喪失感を味わっていたのに、角を曲がると思い出の桜の木が一本だけ無事で残っていた、そんな感じっつーかね。
 今を否定するわけではまったくなくて、ただもう懐かしさに涙する感覚っちゅーかね。

 ああもおみわっち、好きだなああ。(某所の妄想配役、医者役がみわっちなのは、そんなくだりがあったせいなんですよ、と、関係ないことをつぶやいてみる)

 みつるが演じていたときよりも、ショレがスターの役になっている。そして、カルロッタ@いちかの比重が上がっている。
 ショレとカルロッタでドラマが見える。出来上がっている。『ファントム』の本筋から逸脱した盛り上がりっぷりがすごい。

 シャンドン伯爵が「スター」の役だったように、ショレを「スター」の役にしてしまう、みわっちがすごい。
 観ていてわくわくする。
 彼を真ん中に、素直に画面を構築し、物語を構築できる。
 ショレがキャラ立ちしている分、カルロッタの可愛らしさ、愛らしさも上がっている。彼らが登場するとそこでさらに物語がふくらむのがわかる。
 『ファントム』という物語自体は、ショレがどれほど「スター」であっても揺るがない。エリック@らんとむは勝手に物語している。それを邪魔することなくショレは物語に厚みを出す。膨らます。
 「スター」が多く、「主要役」「個性的な役」が多い物語になっているんだ、『ファントム』Bパターン。シャンドンは放っておいても「スター」的な場面があるからね。ショレにはナイから、役者が自力で盛り上げて、「スター」を増やしてしまった。
 面白いなあ。

 いやほんとのとこ、こんだけショレとカルロッタの比重が上がっているのはおかしいんだろうけど。
 つか、がんばれキャリエール。

 わたしはBパターンの方が好きだな。
 弱肉強食っぽいところが、花組って感じがする(笑)。


 でもってわたしこの公演、改めていちかのすごさを思い知った。
 ショレ@みわっち効果もあるんだろうけど、それにしてもカルロッタすげえ。
 あのキャラクタの息づいた姿。
 初日に観たときよりはるかに立体感を増し、ドラマを増して、華やかに存在していた。
 ほんとに、うまい役者なんだ……。
 ラルゥ@『スカウト』を観たときの衝撃を思い出したわ……。


 ところで、メルシエさん@さおたさん、噂には聞いていたけど、初日に観た美麗キャラと微妙に違っていて残念っす。
 いや、それでも十分かっこいいんだけど、美中年なんだけど、チガウのよ、初日にあんだけときめいたあの姿をどーして変えてしまったの……!と(笑)。
 出版物とかには、美麗メルシエさんで記録されているのかしら。

 ソレリ@きらりの芝居の安定っぷりと美貌に感動しつつ、歌のアレさに微笑ましくなり、生き生きした本来のポジションの姫花にほっとして。

 やっぱ花組好きだと再確認。

 でもってスカステニュースのあきらに見とれる日々……。マジかっけー。やばい。絶対やばいよあの人。見ていてどきどきする。←
 よかったね大野せんせ!

 念願の、大野×きりやん、オリジナル作品!!(かけ算表記はよせ)

 却下されても却下されても、企画を出し続けた甲斐あったね、大野くん!
 ……てのは、わたしの妄想ですが(笑)。

 なまじっか、大野せんせのきりやんドリームについて書いたあとだったからさあ。http://koala.diarynote.jp/201107292113489418/

 創造者と表現者の幸福な出会い、両想い状態ってのは、1観客としてもわくわくする。
 役者に惚れ込んだ演出家が、その役者のために書き下ろした渾身の作品ってのを、観てみたいじゃないか。しかもその演出家が才能ある人であればなおのこと。

 マサツカとのんちゃんとか、オギーとコム姫とか。
 幸福な出会いは、観客をも幸福にする。
 オギーとトウコは劇団の阿呆のせいで観られなかったが、大野くんときりやんは間に合った、観られるんだ。

 それがうれしい。
 すごくうれしい。
月組
■主演・・・(月組)霧矢大夢、蒼乃夕妃

◆宝塚大劇場:2012年2月3日(金)~3月5日(月)
◆東京宝塚劇場:2012年3月23日(金)~4月22日(日)

ミュージカル
『エドワード8世』-王冠を賭けた恋-
作・演出/大野拓史

ブリリアントステージ
『Misty Station』
作・演出/齋藤吉正
 んで、わたしはやっぱり、きりやさん好きなんだなと実感した。
 次回の月組大劇場公演の演目と演出家が発表になり、この顔ぶれがうれしくてならないのと同時に、予感を持って「ああ、もっときりやんを見なければ」と思った。
 ビジュアル面での旬は過ぎてしまった感があるので、ビジュアル命のタカラヅカである以上、彼がほんとに若い、少年時代から愛でてきたモノとしてはちょい切ない部分があったんだが。
 それでも、彼との別れが迫っているとしたら、それは寂しくて切なくて仕方がない。

 や、先のことなんかわかんないけども。

 ただ、大野×きりやんなら、間違いなく素晴らしいモノを見せてくれる、観客を幸福にしてくれると期待している。

 そして。

 大野せんせ、きりやんドリームは自重してくれ。と、心から思う(笑)。
 きりやんを絶世の美少年だと信じ続ける大野くんのドリームは素晴らしいと思うけど、なまあたたかく見守ってるけど、でもいい加減になんつーかあのー現実をだなあ……きりやさんの芸風とキャラはソコぢゃないっつーかだなあ……頼むよタクジィ。


宙組
■主演・・・(宙組)大空祐飛、野々すみ花

◆中日劇場:2012年2月1日(水)~2月24日(金)

ミュージカル
『仮面のロマネスク』
-ラクロ作「危険な関係」より-
脚本/柴田侑宏 演出/植田景子

ファナティック・ショー
『Apasionado!!II』
作・演出/藤井大介

 『仮面のロマネスク』キターーッ!!

 わたしは柴田せんせの古い古い再演作品は苦手な人間ですが、柴田作品がすべて嫌いなわけではありません。古いのがダメなのよ。時代に合っていないんだもの。
 柴田先生の晩年作品、歴史区分で「現代」に分けていいあたりの作品には、いろいろ好きなモノがあります。
 『仮面のロマネスク』は、わたしのなかでは「柴田せんせの最後の佳作」だと思っています。これ以降はもう無理、創作者としては終わってしまったという認識。(『黒い瞳』『激情』『凱旋門』は佳作だが、柴田作品ではなく、わたしの中では謝作品分類)

 今『アルジェの男』を観ていて、『仮面のロマネスク』とのかぶりっぷりが気になるけれど、『アルジェの男』の方が先だったわけだから、古くからのヅカファンならば『仮面のロマネスク』を観て「『アルジェの男』とかぶりまくりだわ」と思ったのかなあ。
 『アルジェの男』はオリジナル扱いだけど、『赤と黒』が根っこにあるのは周知のことだろうし、『仮面のロマネスク』も原作がある。
 原作がどうあれ自由に料理していいのが創作、柴田せんせは同じモチーフを使って何度も書く人なんだろうな。きっと他にも似た作品がいろいろあるんだろうな、わたしみたいな昭和を知らないヅカヲタにはわからないことだけど。

 ゆーひさんの超色男、しかもコスプレで!!を期待しています。
 上着を脱ぎながらの「次はセシルだ」が楽しみでなりません。

 ただこの話、いいのは男役はトップのみ、2番手以下みんなしどころがないんだよね。
 2番手役はただのまぬけだし。3番手は出番もろくにないおっさん役だし。そーゆーとこも『アルジェの男』とかぶるよなあ。

 あのまぬけ男の役を演じるみっちゃんは見たくないなあ……。みっちゃんの気のいい田舎モノ役はもういいよ……本気の二枚目をやらせてやってくれよ……。
 ともちんのヒゲ男も想像がつく……。またか、的な役と立ち位置。
 いや、このふたりが中日組とは限りませんが、テルがバウである以上みっちゃんが中日だろうし、ともちんは博多に出てなかったので今度はこっちかなと。(でないと『Apasionado!!II』の主要部の顔ぶれがまったく同じになってしまう)

 あと、トゥールベル夫人はえりちゃんで見たいです。あの薄幸オーラは絶対えりちゃん!!

 ただ、ショーが『Apasionado!!II』なのがしょぼんです。無印時代から、好きじゃないんだよ。そして、誠意のないアレンジをされた『II』にもしょぼんだったんだよ。
 しかもこのままだと男1、2、娘1は同じ顔ぶれっすよ。再演の再演でキャストも同じじゃ途方に暮れますわ……。

 中日の楽しみは、圧倒的に芝居の方だなー。


 かなめくんのバウと花組の大劇場公演は、苦手な演出家作品なのでテンションが上がっておりません……。
 観ればきっと楽しめると思う、作品はどうあれ、ジェンヌの力で。
 らんとむさんでショーを観られるのはうれしいし。

 イシダせんせはもう仕方ないけど、原田くんは若いんだからさー、もう少しなんとかならないんだろうか。これから芸風が変わってくれるといいな。


 あと、これは今年のラインアップだけど、『タカラヅカスペシャル2011』も発表になってたか。
 そっか、雪組出ないんだねえ。
 こーゆー全組モノのイベントに、贔屓が出ないと寂しいっすね。や、それはめずらしいことじゃないんだけども。

 雪組出演は現時点で未定だけど、まっつが出る可能性は、キムくんとちぎくんにかかっていると思う。
 まっつの立場では、雪組代表として出演させてはくれないだろー。まっつより上のポジションの人が出るならば、まっつも出られると思う。去年の『タカスペ』で、まさおが出演したからこそ、そのかが出られたみたいなもんで。
 去年のまさお、その前のまぁくん、その前のキム、と、劇団推しの人しか「組の代表です」と全組モノのイベントには出してもらえないもの。
 まあともかく、出演してくれるとうれしいけどな。花組のみんなと並んだところが見てみたいっす。
 雪組生1周年記念も兼ねて。
 腐った話ですまん。

 やっぱりジュリアン@きりやんとジャック@まさおは、なんかあったかなあ。
 と、『アルジェの男』2回目の観劇で思ったのことよ。

 しかしどっちがどっちよ、つーとやっぱし、ジュリアン受になるなあ。
 わたしは大抵まさお×きりやんなんだよなあ。まさおは最近受化の一途をたどっていて、昔のやんちゃぶりが嘘のようなんだが、それでもきりやさん相手だと攻キャラかなあ。ヘタレ攻だけどな(笑)。

 ジャックの空回りぶりと、ジュリアンのなんか「耐えてます」ムードが倒錯的でな(笑)。
 ぶっちゃけ、ヒロインのはずのサビーヌ@まりもちゃんとより、ジャックとの間に「過去の恋愛関係」を感じてしまう。
 ジュリアンの「ジャックとのことは黒歴史、なかったことにしたい」様子と、ジャックの「あんなに愛し合ったじゃないか、忘れたのか灼熱の日々を」と言いたげな様子がねー。
 無駄にリアルというか(笑)。

 ジャックに、「君はどこに」@『スカピン』を歌って欲しい。
 「マルグリット」の部分を「ジュリアン」に変えて、「少女」を「少年」に変えて。

 んで、「謎解きのゲーム」を、ジュリアンとジャックとボランジュさん@リュウ様で歌って欲しいですな。
 パーシー@ジュリアンの夫……もとい、公式パトロンのボラ様、マルグリット@ジュリアン、ショーヴラン@ジャックで。

 ジャックはジュリアンに過去の関係を盾に取って「ボランジュを陥れる手伝いをしろ」と言い、ジュリアンは「そんなことはできない、でも……」と苦悩。

 まんまハマり過ぎてて、ちょっと嫌(笑)。

 ジャックのわけわからなさと病的なところが、ツボであるらしい。
 あと、服のセンスが悪いところと、小物感バリバリなところと、結局ジュリアンのこと好きそうなところが。
 こいつキモチワルイ!感じが、かえって好ましいというか、気になってしょーがない。
 これでジャックが不細工ならただのウザ男だが、なにしろ美形なので(笑)、すべて許せるというか。

 ショーヴランがマルグリットを「俺の女」と思い込むような日々があったように、ジャックにもジュリアンを「俺の子猫ちゃん」と思い込むような蜜月があったんだと思う。
 ふたりがさらに若く、あんまモノ考えてなかった頃に、うっかりデキあがっちゃったんじゃないかな。
 ジュリアンは早々に軌道修正したけど、ジャックはいつまでもそこで立ち止まっているというか。

 最初のアルジェの酒場でも、ジュリアンに声を掛けるのはジャックなんだね。「こっち来いよ」って、自分のテーブルに呼ぼうとする。
 (ジャックや仲間たちを捨てて)パリへ行く夢で意気を上げるジュリアンの話を、暗い瞳で聞いていたかと思うと、言いがかりか嫌がらせとしか思えない賭を持ちかけるし。……ナニ、仕返し? 自分を軽んじるジュリアンへ?
 そしてジュリアンが掏摸に失敗し、ボランジュに捕まったときは喜んでいる、彼が投獄されることを見越して。……刑務所へ入ればもうパリには行けないから? この街にずっといるから?

 ジャックのジュリアンへの絡み方は「好きな子に意地悪する男子」そのまんまだ。
 いつもいつも、ちょっかいをかけるのはジャックの方。

 んで、ジュリアンを追いかけて、ジュリアンの女だったサビーヌとパリで暮らしているし。
 ジュリアンのことをずっとストーカーしていたらしいし。ジュリアンがサビーヌの店に現れたとき、ジャックもまた現在のジュリアンのことをよーっく知っている様子だった。
 サビーヌはジュリアンに近付くまいとしているのに、ジャックは機会が出来れば嬉々として会いに行くし。
 恥ずかしい男だなー。

 このジャックとジュリアンの関係で、ナニがイイかっていえばもう、ジュリアンが心底嫌がっていることですよ!!(笑)

 ここまでヒロイン(笑)に嫌われるダーリンもめずらしい。
 で、ジャックの方はそこまで嫌われているとは、思っていないところがもお、萌えですな!(笑)
 つい苛めちゃってるけど、俺の本心わかってるよな、オマエだってほんとは俺のこと嫌ってないよな的カンチガイぶりがもお、ステキ過ぎる。まさにショーヴランだろオマエ。


 もしもジャックが殺されず、サビーヌとジュリアンが駆け落ちをし、アンリ@みりおがジュリアンを撃ち殺したとして。

 そのアンリがアナ・ベル@みくちゃんの墓の前に報告なんぞに行ってるときに、同じよーにジャックがアンリを射殺したと思います、冷徹に。

 うわソレ観たい(笑)。
 ジャック、愛の絶唱。


 ところで、ジュリアンを射殺するアンリがステキ過ぎます。
 みりおくん、笑ってるもんよ。うっすらと。
 こえええ。アンリこええ。
 みりおくんがあの甘い美貌でドSに徹すると、ものすげーこわいっす。
 ショー『Dance Romanesque』面白かったー!

 ドラマティックな物語が続き、すげーお得感。
 ほらわたし、雪全ツでドラマのない、「えんえんだらだら続く中詰め」だけで構成された三木ショーをリピートしまくってたもんだからさあ。
 んで、次に観たのが宙組稲葉くんの「メリハリはどこに?ショー」だったからさあ。
 きっちりと線引きした、濃い場面をぴしっぱしっと見せてくれた中村Aに拍手。『ミロワール』といい、中村Aはショーの方がイイよ、芝居より。

 オープニングから客席降り! 楽しい、テンション上がる。
 銀橋の階段が、いつもとチガウから期待しました。客席降りがある場合、銀橋に階段が設置されてるんだけど、通常はセンター通路にしかないの。「SSに坐る金と甲斐性のある人間しかお呼びじゃないんだよ」っつーかね。ムラのセンター通路の両脇はSSだからねー。
 なのに今回はサブセン通路にまで階段が設置されていて。サブセンまで客席降りアリ、2階席もアリ!
 大盤振る舞い!

 でもって、もりえのドラキュラ伯爵!!
 ちょ……っ、かっけー、すげーかっけーっ!!
 あのスタイルで黒燕尾+赤裏マントっすよ。
 まさおさんのかわいこぶりっこも見どころです(笑)。
 わたしとしては、もっとがっつりもりえ×まさおが見たかった。女子スルーして、まさお口説いてくれよもりえ伯爵様。

 んで、まさかのファントム登場。

 いやその、「ノートルダムの鐘」なんですけどね。
 でも、顔半分に仮面のような模様付きで背中の曲がったカジモドさん@きりやんは、エリック@『ファントム』のイメージというか。やっぱエリックもこれくらいの容貌は物語的に必要なんじゃないかとか。
 しかも、歌ウマ。やっぱりエリックだわ!

 このエリック……もとい、カジモドさんとエスメラルダ@まりもちゃんの物語がイイ。
 ジプシーの花形として輪の中心で華やかに踊るエスメラルダ、蔑まれながらも彼女に花を送ろうとするカジモド、醜い彼にも優しいエスメラルダ……。

 わたしのアタマの中にはつい、脳内が画面焼けするほどリピートした『エンター・ザ・レビュー』の「ラ・ムール」がね……。「愛しのルイーズ♪」「うれしいわ、私もみんな好き♪」が浮かんでしまってね……。
 カジモドを退けてエスメラルダと踊るとしくんに、アレキン、キターっ!! よりによって宇月くんがアレキンかよ!(笑)と、ツボに入っておりました。いやその、らんとむさん演じるアレキンの濃さと赤面具合といったらね……以来アレキンってのは笑いツボ直撃でね……。
 で、アレキンはらんとむなのに、何故かわたしの中でルイーズは彩音ちゃんで、彩音ちゃんが人形みたいな美貌と能面具合(笑)で、ピエロ@オサ様の差し出したパラをポイ捨てしてアレキンにむしゃぶりつくのが焼き付いていて。
 ルイーズに比べて、エスメラルダ優しい!! と、関係ないことで感動。

 で、出ました悪役専科マギー!! 芝居に続いてショーでも悪役。ともちんみたいなポジだよなあ。
 マギーがほんとに悪そうで、強そうで。
 繰り広げられるドラマをドキドキはらはら見守った。

 この「ノートルダムの鐘」場面だけでもすごい見応えあった。

 どう決着付けるのかと思ったら、ラストは微妙……つーか、笑う人と感動する人と両方いそうなので、演出変えて欲しいナリ……。その、オスカルが突然ペガサスに乗って現れたら感動する人と爆笑する人に分かれるとか、そーゆー意味で。
 やりたいことはわかるんだけど、直球過ぎて、三次元ではつらい……。

 ラストで肩を落としたとはいえ、十分楽しかった「ノートルダムの鐘」が終わると、次はがらりと雰囲気が変わって、アイドル男子勢揃いキターっ!!
 みりおくんを中心に、若手スターたちがけっこうな人数登場。7人とか9人とか、ずらりと1列になる人数。
 宇月くん、ゆりやくん、まんちゃん、ゆうきくん、たまきちがいたのは覚えてる。

 ちょ……っ、みりおくんみりおくんみりおくん!!
 なんかすげーかっこいい。きれい、男っぽい。
 この公演、突き抜けてかっこいいです、ステキです彼。
 元気いっぱい歌い踊る月男たちのセンター、発散するキラキラオーラ。
 この場面たのしい。
 みんな格好良くて、どこ見ていいかわかんない。

 所詮カーテン前、な場面なのに、すごいわくわくする。
 そして銀橋、キザりタイム有り。
 若者たちが銀橋に出て、好きなだけ客席を釣りまくるという……。

 これって重要。
 男の子たちは、若いウチからコレ、経験すべき。どこの組でもやってくれ。

 宇月くんがマジ二枚目。なんか色気もあってドキドキする。
 まんちゃんも見るたび美貌が上がってる気がするんだが、さらにステキになってる。

 しかし個人的に、銀橋でキザりまくり、一本釣りしまくっている様子のゆりやくんにツボる……!
 ゆりやくんが、あの顔であんなことを……!!
 いや、彼はあんな顔してて実は肉食系なのかもしれないけど、やっぱりあの顔であんなことをされると……っ、おばちゃん悶絶しちゃうわー。
 (ゆりやくんの「あんな顔」については、過去日記参照。http://koala.diarynote.jp/200906131728351466 フランツとルキーニって。@新人公演『エリザベート』)

 中詰めはふつーに楽しく盛り上がって。
 てゆーか聞き覚えのある曲ばっかで入りやすい。中詰めだけでなく、全体的に。

 でもってクライマックスのカモメ群舞。
 なんか切ない導入で、『アルバトロス、南へ』を意味もなく思い出した。カモメとアホウドリはまったくチガウのにね。
 みんな同じ白っぽい衣装での群舞って、わたしは結構苦手で漠然と「クライマックス場面がコレかあ、長いと退屈になるんだよなあ、やれやれ」とか、引いたキモチで観ていたのに(実は月前作の「ユニコーン」がすごく苦手だった。またコレ系がショーのこの位置かよ、と思った)……どんどん、引き込まれた。

 てゆーか。
 泣いた。

 自分でもびっくりだ、どーしちゃったんだ。

 いつもなら点呼に必死になるのに、そんなことも手放して、ただもお「物語」を観ていた。
 群舞を、全員を観ていた。
 そして、きりやんを、見ていた……。

 まりもちゃん休演部分では、萌花さんがセンターを務めていて、彼女がどうということではまったくないけれど、いっそ若手抜擢とかしてくれた方が今後の月組にとって面白かったんじゃないかなと思った。
 とゆーのも、彼女の横で踊るちゃぴちゃんの鍛え抜かれた背中がねえ……(笑)。この子に娘役スター修業させても良かったんじゃあ……。

 まさおが単独2番手として何度も銀橋渡っていたし、番手がすっきりするのはタカラヅカ的に落ち着くので良いことだ。ヅカのルールは守られている方が好き。

 まりもちゃんもがんがん踊っていてかっこよくて、きりやんも安心のショースターぶりで。

 最後までずーっと楽しい作品だった。
 また観たい。
 『アルジェの男』、ストーリーについての感想、続き。
 その、わたしは柴田せんせの古い古い再演作品がとーーっても苦手なので、つまりはそういう感想です、はい。

 ジュリアン@きりやんを「女を利用して成功する」男とするならば、キャラクタの設定バランスをかなりいじらなきゃだわ。

 まず、世の中的に「女を利用して成功する」のは、潔くないこと、悪いことだとされている。「成功する」のは、本人の才能や努力であるべきだからだ。
 でもこの作品のポイントは、その「悪い」ことをする主人公を「かっこいい」と描くことにある。悪い色男は女性には魅力的であり、観客の大半が女性である宝塚歌劇団には正しいヒーローだからだ。

 「悪い男」は格好いいけれど、そもそもなんでそんな「悪い」とわかっていることを主人公はするのか?
 「成功するため」というが、主人公自身が才能にあふれているならば、女に頼る必要はないだろう。自分ひとりの力では出世できないから女を利用するってことだ。
 これは主人公の「魅力」という面でマイナス。女を抱く以外に取り柄のない男、というレッテルはヒーローに相応しくない。

 主人公には才能がある。実力がある。だが、なんらかの理由・障害があってそれを発揮できない。
 障害を乗り越える手段のひとつとして、女を利用する。……これが、本来の『アルジェの男』、作者が書きたかったジュリアンと女たちの関係だろう。

 だが、この物語のおかしなところは、主人公が才能を発揮できない障害が存在していないことだ。

 たとえば人種や宗教、身分、性別などで絶対に出世できない、成功できない、という場合がある。
 お貴族様しかえらくなれない時代と国で、平民の青年はどんなに才能があっても政治の要職に着くことはできないだろう。肌の色や民族、宗教で差別された時代と国でもそうだろう。
 そんな風に「絶対に、正攻法ではどうすることもできない」場合に、裏技として色事でのし上がるのは物語としてアリだろう。

 しかしジュリアンにはそういった絶対的な障害はない。
 その優れた才能を見抜かれ、ボランジュさん@リュウ様という保護者がしっかり彼を守っているからだ。
 ボラさんはジュリアンがアルジェでちんぴらをやっていたことを全部知った上で、才能のみで彼を評価し、盛り立ててくれている。
 ボラさんがいる限り、ジュリアンの能力はいつも正しく評価され、出世するしないは彼の実力と等しく、不当な扱いなど受けていない。

 この状態で何故、女を利用する必要がある?

 「女を利用して成功する」というテーマを貫きたいのならば、パトロンなんぞ持っちゃいけない。
 ボラさんは狭量なアホ親爺ってことで、ジュリアンを生まれ育ちだけで差別し、不当に貶める存在でなければならない。
 でもボラさんの権力を必要とするジュリアンが、娘のエリザベート@りっちーを誘惑する、という流れ。
 またボラさんがそんな人だから、ジュリアンは他にいいパトロンがいないか虎視眈々としていて、シャルドンヌ夫人@邦さんにコナを掛けられたらひょいひょい乗り、アナ・ベル@みくにも手を出しちゃいます、てな流れにしないと。

 ボラさんがいい人である以上、そんな彼の元で出世できないジュリアンは「無能」ってことになる。能力がないから出世できない、仕事で評価されるのはあきらめて、娘婿になることを選びました……ってか。これならたしかに「女を利用して成功する」わけだが、無能な男はヒーロー失格。

 ボラさんの能力や人格を落とすことでジュリアンを上げるか、ボラさんを上げるためにジュリアンを落とすか。
 二者択一ですよ。

 なのにこの物語は、ボラさんもいい人、ジュリアンも才能ある人、とダブルスタンダード、設定が破綻している。

 女を新たに口説く必要もないのに、わざわざ口説くのはただの「ファンサービス」。
 ほーら、こんな悪い男、女は好きだろ?
 という意味っすか?

 成功するために女を利用する男は悪の魅力があるとしても、「ファンサービス」で女を利用する男はわけわかんないっす……。

 ジュリアンがナニをしたいのか、わかんない……。

 エリザベートと結婚するのは、リーマンには「よくあること」なので変じゃないし、コレは別に「利用している」ほどのこともないしな。
 ジュリアンに現在進行形の恋人がいて、エリザベートと結婚後も変わらずにつきあい続けるならたしかに「利用する」に値するが、恋人ナシで独身だったんだから、別になにも悪くないよなあ。
 元カノのことを内心引きずっているとしても、それは別に裏切りにも浮気にもならないし。元カノも、別の男と5年間も暮らし続けているわけだしな。

 アナ・ベルに何故手を出したのかは、本気でわからん。
 ジュリアンは彼女に惹かれている風でもなかったし、ボランジュさんというパトロンがいるので、出世という意味ではエリザベートで十分、アナ・ベルの出番はない。
 実際、エリザベートを選んでアナ・ベルは一顧だにせずうち捨てて悔いナシ、だったわけだし。
 その程度の女の子に何故……。
 やはり、作者の脳内都合、「その彼に心惹かれ、悲しい運命を辿ることになる三人の女性たち。」という設定がまず最初にあって、ソレに合わせてキャラや物語を捏造した、ように思える。
 「死んだから悲劇」という、簡単な設定のために、なにがなんでもアナ・ベルを登場させ、ジュリアンに手を出させ、彼女を自殺させねばならなかった。
 んで、最終的にジュリアンが非業の最期を遂げる、という、これまた「死んだから悲劇」という、オチ優先のためだけにストーリーやキャラクタが用意されたっていうか。

 ヒロインであるサビーヌ@まりもに至っては、かなりアレなストーカー女だし。
 いや、彼女の歪みや弱さは魅力的だと思う。変な人の方がフィクションでは愉快だったりするから。
 サビーヌがアレな女になっているのは、ねちっこい描き方にあると思う。
 「言いたいことと、言っていることが別」であることを、大劇場クラスの箱で表現すると、あんなウザい演技になるわけだ。
 これがバウホールならば、「本当は愛している。そばにいたい。でも、彼の足手まといになりたくないから、あえて離れる」「でもやっぱり近くにいたいから、追っていってこっそり様子を眺めている」というサビーヌのキモチと行動を気持ち悪くなく表現できたんだと思う。

 ジャック@まさおとサビーヌは、もっと掘り下げて描くこともできるキャラクタなのに、すげー半端な描き方だから、なんともキモチワルイことになっている。

 ジャックの執着になんの決着も答えもないまま、彼の物語はその死で終了。
 そしてジュリアンの突然の心変わり。
 ジャックとサビーヌをもっとちゃんと描いてくれていれば、カタルシスになるだろーに、なんだこの杜撰な展開は……と、思っていたら、怒濤のラスト。

 なんつーか、「ファンが喜びそうなシーンをてきとーにつなぎ合わせてみました」感満載っす……。
 場面場面はアリかもしんないけど、何故その場面になるのか、心のつながりや心の動く理由が、すげーいい加減。
 ヅカファンには「ヅカファン脊髄反射」ってのがあって、この台詞を言われたら勝手にこう脳内補完して解釈するとかパターンが決まっている。それを利用した作りに思える、『アルジェの男』。ヅカヲタの脳内補完に頼った、杜撰な作り……。辻褄合ってないけど、萌えな場面があるからヨシ、みたいな。
 でも、その萌えな場面の描き方が、古い……。

 現代的な作りならば、わたしの単純なヅカヲタ脳がいろいろと脳内補完したんだろうけど、柴田作品の古さはわたしの脳内麻薬を出すに至らず、とても冷静に「そりゃないやろ」とツッコミまくりっす。

 つーことで、ジュリアンさんがわかりません……。
 結局ナニをしたかったんだ、あの人。

 主人公の人格や行動は理解できないけど、作者の都合や計算は見える。
 なんつーか、しょぼんな作品だ。
 ほんとにコレ、名作なんですか。名作なのよね。なにしろ柴田作品だし。柴田作品は名作というのが前提だもんね。
 『アルジェの男』、ストーリーについて感想。
 その、わたしは柴田せんせの古い古い再演作品がとーーっても苦手なので、つまりはそういう感想です。


 実のところ主人公のジュリアンさん@きりやんって、よくわからない。
 ナニがしたいんだか。
 「努力しないで出世する」はずのフィンチがものすごーく努力家で、仕事と真摯に向き合っている……ために起こる居心地の悪さ、それをジュリアンにも感じる。
 公式ページには、「野心を抱き、自分に心を寄せる女性を利用してまで成功への道を駈け上がろうとする青年の姿。青春はその輝きの裏に残酷な翳りをともなう。」とあるんだけど、ぜんぜんぴんとこない。

 ジュリアンってさ、別に女性を利用してないよね?

 自分から女に近付いて口八丁手八丁、騙してエロしてメロメロにしたわけじゃないよねえ?
 ジュリアンを欲する権力者たちが「ジュリアン、オマエが欲しい。娘のエリザベート@りっちーをやるから、息子になってくれ」とか「ジュリアン、アナタが欲しいの。姪のアナ・ベル@みくをあげるから、我が家へ来てちょうだい」とか言い出して、提案を受けただけだよね?
 自分からやってないよねえ。
 遊び半分に女を抱くことも捨てることもしない、生活はストイックで勤勉。努力努力、ひたすら努力の人。
 女を利用する必要なんかどこにもなく、ふつーに仕事面の優秀さだけで出世している。
 なんでわざわざ「自分に心を寄せる女性を利用してまで成功への道を駈け上がろうとする」という設定なんだろう? 女を利用してないのに。
 最初にボランジュさん@リュウ様がジュリアンを雇うとき、「娘との結婚が条件だ」と言い出したとか、ボランジュさんちで働くためにまず娘を口説いて口添えをさせたとかなら、「利用した」になるかもしれないけど。
 ボランジュさんに雇ってもらったのは、あくまでもジュリアン自身に見どころがあったからで、その後彼が出世したのも本人の能力だよねえ?

 アルジェにいたときの恋人サビーヌ@まりもを捨ててはいるけれど、それは彼女が勝手に身を引いたせいもある。ジュリアンがひどい捨て方をしたわけじゃない。合法的に別れているだろ、あれは。

 サビーヌは終始一貫「アナタの邪魔になりたくないの」という後ろ向きな女で、いつもいい子ぶってやせ我慢ばかりしている。
 この女じゃ、捨てられても仕方ないと思うよ。
 「オレはこのままでしは終わらない。いずれパリに行ってビッグになるんだ」てな、ありがちな夢を語る男に、「わたしもついて行く」と言わない。「別れたくないなー、一緒にいたいなー」というオーラをゆんゆんと出しながら、自分からはナニも言わず黙ってじーーっと見つめているタイプ。
 なりふりかまわず、「愛してるの、そばにいて!」と言えばいいのに。泣いてすがればいいのに。
 ジュリアンはまともでやさしい男だから、本当に愛している女にそう言われたら、あっさりパリには行かないと思うよ。もしくは、大真面目に雇い主のボランジュさん相談するとか。結婚を誓った相手がいる、パリへは夫婦で行ってもいいか、とか。
 ボランジュさんはジュリアンが独身かどうか確認せずに雇うことを決めている、つまり雇用条件とは無関係、最初から女房持ちだと言ってあれば、それごと受け入れてくれただろう。
 サビーヌははっきりしない。自分の気持ちをなにも言葉にはせず、重苦しい「私、耐えてます」オーラだけは恨みがましく発散する。
 これじゃ男も逃げるわ。どうすることもできないじゃん。

 で、この「自分からはナニも言わず、要求オーラだけ出す女」の特徴である、ストーカー行為。
 ナニも言わずに追いかけて引っ越しまでし、近くに住みながら男を監視し続ける。
 で、このテの女の特徴その2、依存体質なのでひとりでは暮らせない、別の男にしがみつく。ひとりで慎ましく待っていたりしない。

 ジュリアンは「女を利用している」というより、「女に騙されている」感じなんだよなあ……。
 サビーヌは不幸陶酔タイプのストーカー女だし、エリザベートは自我肥大タイプの女帝だし、アナ・ベルは許容量の少ない短絡思考少女だし。
 公式ページには「その彼に心惹かれ、悲しい運命を辿ることになる三人の女性たち。」とあるけど、「貪欲な三人の女たちに求愛され、哀しい運命をたどることになるひとりの青年。」が正しいと思うわ。
 つか、ジュリアンが女運悪すぎて切ない……。まともな女はひとりもいないのか。

 書き方の問題だと思うけどね。
 この脚本が書かれた40年近く前なら、なにかしら共感のある女性たちであり、主人公だったのかもしれないけれど、現代からするとツッコミどころ満載。
 最初から変人として描かれたエリザベートがいちばんマシってどうなの。
 『アルジェの男』感想続き。

 アンリ@みりお、かっけー!!

 出番の少ないみりおくんを、なんか久々に見た気がする……(笑)。
 なかなか出てこないんだけど、出てくるたびに「二枚目キターッ!」って感じ。
 髪型といい、目元きりりのメイクといい、なんかすごく好みです。美しいです。

 ジュリアン@きりやん中心であらすじを、結末を伏せた状態で書くと、アンリは登場しない。(例・前日欄)
 だけどいい感じに要所要所で登場するんだ。

 アナ・ベルお嬢様@みくちゃんの話し相手で、お嬢様ラヴなんだけど、「いい人ね」で終わってしまう人。

 ねえねえ、わたしこのクソ古い『アルジェの男』という話を観ながら思ったの。
 もしも、この話を好きにアレンジしていいなら、アンリ@みりおは、執事にする!!

 シャルドンヌ侯爵家の執事で、盲目のアナ・ベルお嬢様に仕えているの。
 執事がお嬢様LOVEを大っぴらにできないからあえて黙しているんだけど、そんなの観客はみんなお見通しだぞっと。
 今と台詞も衣装も演出もほとんど変えず、違和感なく執事に変更できる。
 最初の士官様登場もそのままでいいよ、そのあと執事として就職しました、ってことで。や、士官ネタは無意味だから無くして、最初から執事でもいいし。

 ハンサムで優しくていい人なのに「問題外」とスルーされていたり自分から告白できないヘタレだったりするより、「執事だから」でスルーされていたり自重していたりする方が、説得力あるじゃん。
 観客にも立ち位置がわかりやすいしさー。

 まあ、妄想はともかく。

 アンリくんの、あの押さえた感じがとても新鮮で良かったっす。

 でもって、なんつってもラスト。
 ブラックみりお!!

 ステキ。超ステキ。
 こわいよー。

 この作品で悪というと、ジャック@まさおなんだけど、彼はぜんぜんこわくない。むしろオモシロキャラだ。
 それに比べ、アンリってばマジこわい。冷え冷えとしたところがたまりません。

 これから芝居が深化するにつれ、まさおさんがますますイッちゃった変な人になり、みりおくんがますます清廉潔白でキレるとこわい人になるといいな。
 面白いわ、このふたり。


 サビーヌ@まりもちゃん、初日前日に部分休演のお知らせが出て大丈夫なのかと心配したけれど、がんがん踊りまくっている。

 ケガしてるって書いてあるのに、そんなに踊っていいの、痛いんじゃないの、つらいんじゃないの……と、最初はどきどきはらはらだったし、時折ふとそのことを思い出しては、うわー、と思ったけれど。
 観客にそんなことを思わせたくないんだ、と、がつんがつん踊るまりもちゃんを観て思い知る。
 舞台裏を想像して勝手に心配するよりも、素直に今彼女が作り上げているものに酔う。

 いやあ、ナマ腹には感動しました……。
 あの縦に筋の入った腹……! マンガやアニメでしかお目に掛からない、美しい女性の腹だー。

 サビーヌもまた、一見けなげだが実はかなりアレな女性で、変人のジャックとお似合いな人なんだけど、まりもちゃんはアレなことに気付かせない、けなげな演技でした。

 線の細い人がやっていたら、さらに痛いキャラになっていたと思うんで、まりもちゃんの骨太肉厚な感じが救いになっているんだと思う。


 エリザベート@りっちーは3人のヒロインの中で「個性の強いキャラクタ」という位置づけだから、得意分野が生きた感じ。

 アナ・ベル@みくちゃんは、妹キャラだとかわいさ何割増しになるなと改めて感じた。妹キャラ、いいよなー。

 しかし、アナ・ベルのソロ、唐突かつ長すぎて『悲しみのコルドバ』のアンフェリータを思い出した……。
 突然舞台にひとりでえんえん歌いまくるくらい重要キャラなら、それまでにそれらしい描き方があるだろうに……と、演出の不自然さにびびる(笑)。
 あからさまな「泣かせ」目的で、ちょっと引くというか。
 柴田せんせってこーゆーのがあるよなあ。時代のせいかもしれんが。

 3人のヒロインも、一見ふつーという設定だけど、その実みんなかなりいろいろとええっとな人たちで……ジュリアン、大変だな。
 そこへさらに、ジャックも加わるから、公式ヒロインは4人か。
 あとは脇扱いだけどボランジュさん@リュウ様とかシャルドンヌ侯爵夫人@邦さんとかミッシェル@もりえとか立役を入れたらもっと大変か。

 アンリ@みりおは「ジュリアン争奪戦」に加わってはいないけれど、実はいちばん強烈なアプローチをかますわけだしなー。

 この古い古い物語を、自由にいじっていいなら、もっと面白くできるのにね。
 まあとにかく。
 月組公演『アルジェの男』初日観劇。
 感想いきます。

 ジャック@まさおが、変な人だった。

 いや、なんちゅーか……。
 幕が開いて痛感したのは、古い時代の作品なんだってこと。
 台詞回しとか、現代ぢゃねえ……。
 物語の年代がどうこうじゃない、現についこの間までやっていた『ファントム』だって舞台は現代じゃなくロングドレス着用の時代だったけれど、台詞回しは現代だった。
 『アルジェの男』はまさに時代劇。1930年代あたり?のパリとかじゃなく、日本の昭和時代の大衆演劇、という、時代劇。
 わたしはどうもこういう台詞回しとテンポの芝居が苦手らしく、幕が開いて「うわっ、こーゆー芝居なのか、さすが柴田作品パネェな」と冷や汗たらしつつ、慣れるまでにけっこー時間が掛かった。
 いっそものごっついコスプレものなら耐性も付くんだが、ふつーに革ジャン+開襟シャツとか着てる近代物だしな……。

 その独特の台詞回し芝居の中でも、群を抜いてザ・昭和!な台詞回しなのが、ジャック@まさおくんだ。

 他の人の時代劇には、それでも次第になれていったんだが、まさおさんにだけは慣れられない。彼が出てくるたびに、そこに異次元を感じる。

 ひとりだけものすごい台詞回しだから、空気読めない感半端ナイ。もともと変な人なのに、拍車を掛けて、変。

 あとになればもうツボに入ってしまい、ジャックさんが出てくるたび笑えた。ジャックかわいいよジャック。なんて愛らしい生き物なんだ。

 ああ、まさおくんってあのショーヴランを演った人なんだなあ、と思い出した。
 病的で相当変な人だった、あのショーヴラン。
 美形さんなのに、時折みょーなベクトルに暴走する人だ。今回も変でおもしろいぞー。


 んで、ストーリーは。

 ジュリアン@きりやさんLOVE、誰も彼もが彼にフォーリンラヴ!とゆー話でした。
 ガチホモ多すぎです。なにそれこわい。

 アルジェリアの下町で粋がっているジュリアンはみんなのアイドル。
 ジュリアン大好き!な男たちがわんさか。
 その中でもジャックさんは、愛がねじ曲がっているのでツンツンしまくりですが、万事彼に絡まないと生きていけないくらい、ジュリアンに夢中らしい。
 かわいこちゃんのピエール@からんくんも、ジュリアン兄貴LOVE。
 ヒロインのサビーヌ@まりもちゃんがジュリアンLOVEなのは当たり前として。
 男たちの取り巻きを連れているあたり、どこの姫かと。

 ジュリアンの魅力は、若者たち限定ではない。
 アルジェ総督のナイスミドル、ボランジュさん@リュウ様が、ジュリアンに一目惚れ。
 超強引に、脈絡ナシに、ジュリアンを自分の囲いモノにする。
 展開の強引さに、目が点……。キラキラお目々に惚れたとか、恥ずかしげもなく語りますよこのおっさん……。
 慕蘭寿……って、ナニこの変換、ボランジュさんには奥さん@あーちゃんがいるんだけど、この奥さんちょっと電波風味なので、目の前で美少年口説いても大丈夫らしい。

 オレたちのアイドル、ジュリアンが総督の愛人に!! 見損なったよ!! 裏切られた!! ……怒りのジュリアンの親衛隊の前に現れるジュリアンがイイ。
 大野せんせが大好きな、「辱めに唇を噛んで耐えるきりやん」ですな。
 言い訳をせず、黙って嬲られる感じがねー(笑)。

 んで、金と権力でジュリアンを自分のモノにし、アルジェからパリへ連れてきたボランジュさんですが。
 好みの少年を手元に置き、教育し、磨き上げていく。ナニこれ男の夢? 光源氏計画?
 そして彼を半永久的に自分のモノにするための常套手段、自分の娘と結婚させる、ってやつ。息子にしてしまえば、ずーっと独占できるものね。
 つーことで、ひとり娘のエリザベート@りっちーとくっつけようとする。

 プライドの高いエリザベートは父の愛人とくっつけられるのなんか、まっぴらごめん。向こうが自分に夢中ならともかく、興味も持たれていないのに、どうして私があんな男と……!
 と、抵抗してはいたけれど、彼女もやっぱりジュリアンLOVE。父と同じDNAってことですかね。父と娘で同じタイプが好みか、さすがだ。

 んでボランジュさんは、大人のパトロンの余裕を見せつけ、ジュリアンを自由にさせている振りをしてるけど、実はしっかりお目付役を置いている。
 ミッシェル@もりえはジュリアンの同僚、ボランジュさんの秘書官のひとりだけど、ジュリアンの監視役。彼に悪い虫が付かないようにと。きっとジュリアンの行動を逐一ボラさんに報告してるんだろうな。だって、秘書官仲間たち(ボラさんが顔で選んだ美青年ばかり)もみんな、ジュリアン大好きだもんよ。気が気じゃないよな。
 で、このミッシェルはボラさんのお気に入りだけあって、どうやら同じ性癖の持ち主らしい、堂々とジュリアンへ告白タイム。
 客席ぽかーん。

 ボラさんの囲われモノであることに限界を感じていたジュリアンは、ちょっくら反抗期、ボラさんとは別の権力者シャルドンヌ侯爵夫人@邦さんの姪、アナ・ベル@みくちゃんをつまみ食い。
 このままボラさんの手を離れ、こっちでうまくやろうかと思いはしたけど、結局いろいろお得なのはボラさんの娘エリザベートと結婚することだとわかった、のでアナ・ベルごめん、バイバイ。
 だってボラさんは大臣になるってゆーしな。

 さて、ジュリアンを愛しすぎるがゆえに、彼を忘れられない者たちがいた。
 サビーヌとジャックだ。ふたりはジュリアンを追ってパリに来ていた。わざわざですよ、ジュリアンがアルジェを出てすぐですよ。そして遠くから様子を伺っていたそうですよ、ふたりしてどんだけ。
 そう、サビーヌとジャックは、ジュリアンを愛する者同士、傷を舐め合って暮らしている。
 ジャックがサビーヌを抱くのは、彼女がジュリアンの女だからだ。
 忘れられるよりは憎まれた方がイイ、ってことで、ジュリアンの前ではとことん悪なジャック。「迷惑になりたくないの」と泣き崩れるサビーヌ……いや、ストーカーしておいてソレはどうかと。

 ジャックはいつだってジュリアンLOVEだった。折ってたたんで裏返しの愛だけど。
 そして今、大きな仕事が舞い込んだ。そうだ、この仕事ならジュリアンと組める!
 銀橋で「ジュリアンLOVE、ジュリアンのことばっか考えて生きて来たんだぜ(意訳)」と恥ずかしいみょーな歌をイッちゃった目で熱唱してたし。えっと、見ていてとまどうわ、この人変。
 なんかいじらしいほどワクテカとジュリアン口説きに行くんだけど、ジュリアンにとってジャックは過去の汚点、ひょっとしてジャックってジュリアンの元彼かなあ、そーゆー時期もあったのかな、「殺すしかない」と追いつめられるジュリアン、復縁の期待に頬を染めるジャック。

 そんでこっからは悲劇へ一直線。


 えーと。
 すごい話だ。

 ジュリアンってどんだけ美少年設定。
 大野せんせが大好きな、おっさんパトロンが美少年を育て、愛でる話。『更に狂はじ』『月の燈影』『睡れる月』……おっさんパトロンは美少年を愛しているが、美少年はそれをよしとせず、他に愛する人がいる、屈辱を感じながらパトロンに身を任せている……という。

 ちょ、大野せんせ自重しようよ、と思いました、きりやさんドリーム炸裂ぶりに。

 きりやんがすげー真正面から美形やってるし、まさお変だし、まりもちゃんきれーだしナマ腹だし、みりおくん端正だし。
 面白いなヲイ。

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