宙組新人公演『バレンシアの熱い花』の話。

 春風みーちゃん、初主演おめでとう!

 まず配役発表されたときに、わたしとその周囲はやたら大喜びしていた。どりーずでの人気高いぞみーちゃん。
 高翔さんとゆうひくんを足して2で割ったよーな顔立ち。スタイルのよさと濃いめの持ち味。『A/L』の感想を途中で投げ出したままだったんで、彼についてなにも書けないでいたが、たのしみな男の子なんだよコレが。

 実力はあるしスタイルいいしで、堅実な役者ぶりを披露。
 髪型が難しかったのか、それに合わせた化粧が難しかったのか、お顔がなんか大変なことになっていたよーな気もするが、それはこれからどーにでもなる。遠目でも個別認識できる個性的な顔立ちは武器だってば。
 酒場で女たちに「歌って♪」とせがまれ、甘い恋の歌を歌うのが様になっていてほっとした。……いやその、ここはやはり、最低限歌えてくれないと……ゲフンゲフン。

 タニちゃんの役だから、なんか「華がない?」「地味?」とか思ってしまったけれど、比較対象が悪すぎるよな、華でタニに勝てる人なんかまずいないんだし。タニに比べて地味でも、他の人の役ならそんな風には思わないのかも(よくわからん)。
 わたしはこの子、いいと思うんだけどなあ……好きなんだけどなあ……「真ん中」的にはどうなんだろう?

 みーちゃんのいちばんの魅力はエロOKなことだと思う。

 『NEVER SAY GOODBYE』新公のときいちばん感動したのって、ヴィセント@みーちゃんがエロいことだったもの!
 単体でもいい男だけど、女と絡んでいるとさらに色男度が上がるという、ありがたい持ち味。ヲトメハートできゃあきゃあになれる男。

 今回もまた、そこはかとなく色っぽくて、いい男でごさいました。イサベラ@アリスちゃんと絡むところとか、熱っぽくてステキ。
 本人はかなりいっぱいいっぱいっぽいんだけど、それでも雰囲気がエロ気アリっつーのは、持って生まれた資質なんだろうなあ。や、大切にしてほしいです、こーゆー持ち味。

 本役をコピーするのではなく(つか、できないだろ)、自分なりのアプローチがヨシ。本役とは別人だし、どっちが正しいもいいも悪いもなく、ただ別物としてたのしかったよ。

 どんな子なのかぜんぜん知らないけれど、最後の挨拶は「けっこー天然?」って感じだった……。

 
 みーちゃんの「真ん中」資質について混乱するのは、その横にいる2番手役、ちぎが全開で輝いているため。

 ラモン@ちぎ。
 主要人物のなかでたったひとりのちびっこ。フェルナンドもロドリーゴも、ルカノールも巨人。ドン・ファンだって小さくはない。そんななか、ひとりちびっこ。
 しかし。

 「主役」級の輝きっぷり。

 なんだなんだ、どーゆーこった。ちぎってばそんな子だっけ??
 びっくりした。
 とくになにも考えずに見ていて。ラモンの輝きっぶり、主役っぷりにびっくり。

 新公主役を複数こなしてきた子が、あえて2番手以下に回るときって、なまじ主役をするよりその成長ぶりが顕著だったりするよね? 宙組でいうなら、『ファントム』『ステラマリス』と2作主演したあと『炎にくちづけを』で悪役に回った七帆とか。
 「真ん中」経験をし、それを正しく咀嚼し血肉にした役者が、主役を支える役に回ったときの光。力。

 やっぱひとりっ子政策はよくないよ。若者はこーやって育てていくもんだよ。と、しみじみ思った。
 新公主役経験者も含む長の期が、初主演の研6生徒を見守り、盛り立てるっての、理想だよな。

 ラモンは発散型の役だから、辛抱役のフェルナンドより輝きやすい、というのはあると思う。
 デューク・フリードより兜甲児が輝いて見えるのと同じ理屈とはいえ、それにしたってなんかとんでもなく「主役」だったなあ。や、たとえがアレ過ぎて通じる人がいるのかわかりませんが。

 今回の新公でわたし的に「主役」だったのはラモン@ちぎだ。
 初主演のみーちゃんがいっぱいいっぱいになっている横で、明確な「真ん中への意識」を持ち、野心的に演じていたちぎが全部持っていったな、という印象。もちろんソレは「キャリアの差」であり、みーちゃんが劣っているというわけではなく、ただ今回は「すげえな、ちぎ」とゆーことに尽きたかな、と。
 スタイルでは明らかに負けているのに、歌だってまー大変なことになっているのに、それでもラモンは前へ出てくる。自分が「スター」であることを自覚し、客席に訴えかけている。
 オイシイ役、であることを超えて、ラモン自体が、ちぎ自身が「オイシイ奴」になっている。

 なによりも、あの高温。高粘度。
 ええ、ねーーっとりしているのよ、ラモン@ちぎってば!!(笑)
 イサベラとの抱擁シーンなんか、糸引きそうな勢いですわよ。全体的にテンション高い舞台ではないだけに、ラモンひとりがぶっちぎりでハイテンション、独楽のように回転している様が愉快で愉快で。
 や、いまいち芝居が噛み合っているのかいないのか、あやしい感じがしなくもないんだが……暴走するくらいの心意気を買う。

 おもしろいなー。
 若者はこんなに変わっていくんだ。成長するんだ。
 予想していなかっただけに、ちぎの輝きにヤラレました。すげー。

 
 イサベラ@アリスちゃんは納得のヒロインぶり。
 やっぱ栄える子だなー。
 誰が演じている、とかとくに考えず、ふつーにヒロインとしてイサベラとして違和感なく見た。
 役がアレだからしどころがなくて気の毒だが、キモチをつないで高温に演じていたと思う。
 等身大の少女ばかりでなく、こーゆー大人の女を演じるのも勉強になっていいんだろうな。
 でもなんか、いつものアリスちゃんよりおとなしめというか、地味な印象だった……役のせいか、相手役との映り具合か。

  
 ロドリーゴ@大ちゃん。
 ……きれい。
 とりあえず、すごくきれいな子だ。
 この子に、きれーな衣装を着せて、ライトの下に立たせたいキモチはよくわかる。
 これで彼が研3とか研2なら、言うことないんだが。
 まず「タカラヅカ」の「男役」としての基本スキルを上げて欲しいと切に願う。歌だとか芝居だとか以前の問題として。
 これだけのルックスがあるのに、もったいない。

 
 男3人の物語のはずが、新公はパワーバランスが本公とまーーったくちがい、別物になっていて愉快でした。
 物語や出番的にはフェルナンド主役なんだけど、輝きっぷりと押し出しはラモンだし、ロドリーゴが精彩なく主役グループからこぼれていたので、フェルナンドとラモンのトップと2番手を中心とした物語になっていた。
 でも、これくらいの方がコンパクトでいいかも。男ふたりと、彼に愛される女がひとり。トップと2番手とヒロイン。ふつーのタカラヅカのバランス。
 3人主役で3人ヒロイン、で散漫になるよりいいかも。

 なんにせよ、みーちゃん主役がうれしい、ちぎの成長ぶりがうれしい。そんな新公でした。

 

日記内を検索