14番目の月が満ちることはない。@太王四神記
2009年2月8日 タカラヅカ「♪あなたは国を捨てる」
「ああ。生きるために」
「♪私も国を捨てる」
「そしてふたりきりで生きてゆく」
と、盛り上がり、ラダメスとアイーダは14番目の月が満ちる夜、手に手を取ってエジプトをあとにした!
ラヴラヴな一夜を過ごしたふたりの前に、ケペルが兵隊率いてやってきた。
「悪の組織に有力貴族の息子たちがさらわれた、助けに行くんで手伝ってくれ。ああ、その女は家に帰れば?」
「わかった、そんじゃアイーダ、またな!(すちゃっ)」
「…………えええっ?!」
またなじゃねーだろ、帰れじゃねーだろ。
駆け落ちじゃなかったの? なにもかも捨てたんじゃなかったの?
一夜過ごしたあとなにごともなかったかのようにそれぞれ家に帰るってことは、だ。
ただ、えっちしたかっただけか、タムドク?!!
や、いきなりラダメスとアイーダなのは、それくらいありえない展開だっつー例です。
「結婚するまでは絶対イヤ」と言ってえっちはおろか、キスもさせてくれないガードの堅い女の子を口説くために、「交際に反対している家も父も捨てる。結婚しよう」と口先だけで約束して、手に手を取って駆け落ち→えっちした翌朝、「俺、用事あるから、またな。気を付けて帰れよ」とさわやかに去っていく男って……ありえねえ。
箇条書きでお送りしていた『太王四神記』感想ですが、ちょっくらふつーに、いつものノリで書いてみます。
『太王四神記』に辻褄の合わないところは数々あれど、いちばんイヤなのは、ココだ。
タムドク、さいてー。
その前の場面で彼は、王位を放棄する。
「王にはヨン・ホゲが相応しい」と父王はおろか、国民たちの前で宣言する。
これは、「立派な行為」では、まったくない。謙虚なわけでもない。
ただの責任放棄だ。
王の息子として特権を得て生きてきたのに、なんの責任も果たさずにオイシイとこ取りで、面倒なことは他人に押し付けた。
これで臣下であるヨン・ホゲをバックアップする旨を告げるならば、「国を支える責任」を自分の器量に合わせて担うつもりだとわかるが……彼は、女と逃げた。
蝶よ花よとぬくぬく育てられ、いざ重い責任を果たす段になると、「やーだよ、ボクは自由に生きるんだ!」と女と逃げ出す。
それも、全国民の前で。
父王の面目も丸つぶれだし、国の屋台骨が傾いてもおかしくない愚行。
……もちろん、それだけのことを「覚悟」を持ってするならいい。
こんなバカ王子を、親バカゆえに後継者にしようとしたヤン王は、「国を滅ぼしかねない愚王」「王としての資格なし」と謀反を起こされるかもしれないし、人望を失った王を戴いた国は、他国にあっけなく侵略されるかもしれない。
国を滅ぼすかもしれない、それほどの言動を、タムドクがすべて覚悟の上で取ったならば、それでいい。
ヤン王が殺されても、ヨン・ホゲが王になる方が高句麗のためだと判断し、自分が悪者になるつもりならば。
「覚悟」があるなら、いい。
しかし。
それほどものすげーことをしておいて、だ。
翌朝、あっさりと元に戻っちゃうんだ。
高句麗の王子様に、戻るの。
テジャ城で、自分でちゃんとそう名乗ってるし。
ヨン・ホゲが迎えに来たら、なんの疑問もなく「王子様」として行動する。
つまり彼は、口先でキレイゴトを言うだけで、覚悟はおろか、なにも考えていないし、なにも失うつもりはないの。
自分の権利だけは大切に抱きしめて、責任は放棄。
タムドクについて走り出したキハは、なにもかも捨てたはずだ。天地神堂も、火天会も。いずれ火天会の手に落ちるかもしれない、とは危惧しているだろうけど、それでも彼女は自分の意志でタムドクについてきた。
それまでの世界を捨てて、タムドクだけを信じて。
なのに、翌朝になったら「君、帰っていいよ」って……!!(白目)
つまり、えっちしたかっただけ? プチ家出したかっただけ? 本気にしたアタシがバカだってこと?!!
悪の組織にさらわれた臣下を助ける、のはたしかに大切なことだし、そこで助力しようとするのはタムドクのやさしさだろう。
でもね。
臣下を助ける、のは、王子の仕事だ。
タムドク、君、昨日自分から「王子であること」を捨てたよね? 放棄したのは王位継承のみだけど、あの場でそう宣言して女と逃げたってことは、王子であることも捨ててるよね? キハに「ただの市井の男になってもいいか」と前に言っていたから、そーゆーことだよね?
それとも、「王子様としての特権は捨てる気ないけど、好きな女の子と好きな土地で暮らすんだ」ってこと?
王子であることを捨て、ただの男になったのならば。
なにもゼイタクできないとか、王宮でのうのうと暮らせないとか、そーゆーことだけじゃないんだよ。
軍を率いて、困っている国民を助けることも、できないの。
タムドク、君は自分で捨てたんだよ。火天会に誘拐された4部族の息子たちを助けに行く権利を。どんなに助けたくても、君にその権利はない。
王位を放棄するってのは、そーゆーことだ。
あれほど無責任かつ無神経なことをしておいて、恥ずかしげもなく「高句麗の王子」と名乗りを上げる。
自分がいかにも「正義」という顔をして。
王位を譲るのなんのって、ただの口先だけなんだ。彼は王子でない自分なんて、まったく想像も出来ないんだ。
自分を信じてなにもかも捨ててついてきた女の子に「大丈夫、また会える」とか言ってキスしちゃうんだ。
また会える、わけないだろ。
なにもかも捨てた彼女に、帰る場所なんてない。戻れば彼女がどれほどの咎めを受けることになるのか、自分のことしか考えられないタムドクは想像すらしない。
自分のしていることの愚かしさを自覚せず、いつも自分を正しいと思っている無責任で無神経な子ども。
貧困に喘ぐモノの前で、「パンがなければお菓子を食べればいいのに」と笑うよーな、善良であることを言い訳にした、無知さ愚鈍さ。
こんなヤツに、王の資格なんかない。
……ホゲがキレるわけさ。こんな、自分の言動の意味も理解できていない男に「欲しかったらやるよ」って言われ、這いつくばってありがたがるほど、自尊心欠如してないっつーの。
酷すぎるよ、コレ。
テジャ城へ行くなら、その前にきちんと「もう私は王子じゃないから、軍を率いて助けに行くことは出来ない」と言わせるべきだ。助けたい、力になりたいのは山々であると表現した上で。
それでも、と強くヨン・ホゲが求めるので、今回限りということで、捨てることになる祖国への罪滅ぼしのつもりで同行する。
キハはもちろん、天地神堂へ帰らせたりしない。ふたりが過ごした山小屋へ匿っておく。臣下を助けたら、ふたりで新天地を目指すために。……それが、ホゲでもプルキルでもいいから手下によって拉致られて王宮へ連れて行かれる、と。
で、あとの展開へつなげる。
イケコ作品は「心」がつながっていないんだ。
その場その場でてきとーな、表面的なことしか言わないししないから、もうめちゃくちゃ。
もうあきらめてるんで、はじめから脳内補完して観ているけれど、ほんとこの謎の展開だけは、なんとかしてほしい。
「タムタムのプチ家出の巻」でしかないじゃん、これじゃあ。たった一晩かよ、彼が「市井の男」だったのって。
そしてその一晩でやったコトって、アレだけですか……。
酷い。
「ああ。生きるために」
「♪私も国を捨てる」
「そしてふたりきりで生きてゆく」
と、盛り上がり、ラダメスとアイーダは14番目の月が満ちる夜、手に手を取ってエジプトをあとにした!
ラヴラヴな一夜を過ごしたふたりの前に、ケペルが兵隊率いてやってきた。
「悪の組織に有力貴族の息子たちがさらわれた、助けに行くんで手伝ってくれ。ああ、その女は家に帰れば?」
「わかった、そんじゃアイーダ、またな!(すちゃっ)」
「…………えええっ?!」
またなじゃねーだろ、帰れじゃねーだろ。
駆け落ちじゃなかったの? なにもかも捨てたんじゃなかったの?
一夜過ごしたあとなにごともなかったかのようにそれぞれ家に帰るってことは、だ。
ただ、えっちしたかっただけか、タムドク?!!
や、いきなりラダメスとアイーダなのは、それくらいありえない展開だっつー例です。
「結婚するまでは絶対イヤ」と言ってえっちはおろか、キスもさせてくれないガードの堅い女の子を口説くために、「交際に反対している家も父も捨てる。結婚しよう」と口先だけで約束して、手に手を取って駆け落ち→えっちした翌朝、「俺、用事あるから、またな。気を付けて帰れよ」とさわやかに去っていく男って……ありえねえ。
箇条書きでお送りしていた『太王四神記』感想ですが、ちょっくらふつーに、いつものノリで書いてみます。
『太王四神記』に辻褄の合わないところは数々あれど、いちばんイヤなのは、ココだ。
タムドク、さいてー。
その前の場面で彼は、王位を放棄する。
「王にはヨン・ホゲが相応しい」と父王はおろか、国民たちの前で宣言する。
これは、「立派な行為」では、まったくない。謙虚なわけでもない。
ただの責任放棄だ。
王の息子として特権を得て生きてきたのに、なんの責任も果たさずにオイシイとこ取りで、面倒なことは他人に押し付けた。
これで臣下であるヨン・ホゲをバックアップする旨を告げるならば、「国を支える責任」を自分の器量に合わせて担うつもりだとわかるが……彼は、女と逃げた。
蝶よ花よとぬくぬく育てられ、いざ重い責任を果たす段になると、「やーだよ、ボクは自由に生きるんだ!」と女と逃げ出す。
それも、全国民の前で。
父王の面目も丸つぶれだし、国の屋台骨が傾いてもおかしくない愚行。
……もちろん、それだけのことを「覚悟」を持ってするならいい。
こんなバカ王子を、親バカゆえに後継者にしようとしたヤン王は、「国を滅ぼしかねない愚王」「王としての資格なし」と謀反を起こされるかもしれないし、人望を失った王を戴いた国は、他国にあっけなく侵略されるかもしれない。
国を滅ぼすかもしれない、それほどの言動を、タムドクがすべて覚悟の上で取ったならば、それでいい。
ヤン王が殺されても、ヨン・ホゲが王になる方が高句麗のためだと判断し、自分が悪者になるつもりならば。
「覚悟」があるなら、いい。
しかし。
それほどものすげーことをしておいて、だ。
翌朝、あっさりと元に戻っちゃうんだ。
高句麗の王子様に、戻るの。
テジャ城で、自分でちゃんとそう名乗ってるし。
ヨン・ホゲが迎えに来たら、なんの疑問もなく「王子様」として行動する。
つまり彼は、口先でキレイゴトを言うだけで、覚悟はおろか、なにも考えていないし、なにも失うつもりはないの。
自分の権利だけは大切に抱きしめて、責任は放棄。
タムドクについて走り出したキハは、なにもかも捨てたはずだ。天地神堂も、火天会も。いずれ火天会の手に落ちるかもしれない、とは危惧しているだろうけど、それでも彼女は自分の意志でタムドクについてきた。
それまでの世界を捨てて、タムドクだけを信じて。
なのに、翌朝になったら「君、帰っていいよ」って……!!(白目)
つまり、えっちしたかっただけ? プチ家出したかっただけ? 本気にしたアタシがバカだってこと?!!
悪の組織にさらわれた臣下を助ける、のはたしかに大切なことだし、そこで助力しようとするのはタムドクのやさしさだろう。
でもね。
臣下を助ける、のは、王子の仕事だ。
タムドク、君、昨日自分から「王子であること」を捨てたよね? 放棄したのは王位継承のみだけど、あの場でそう宣言して女と逃げたってことは、王子であることも捨ててるよね? キハに「ただの市井の男になってもいいか」と前に言っていたから、そーゆーことだよね?
それとも、「王子様としての特権は捨てる気ないけど、好きな女の子と好きな土地で暮らすんだ」ってこと?
王子であることを捨て、ただの男になったのならば。
なにもゼイタクできないとか、王宮でのうのうと暮らせないとか、そーゆーことだけじゃないんだよ。
軍を率いて、困っている国民を助けることも、できないの。
タムドク、君は自分で捨てたんだよ。火天会に誘拐された4部族の息子たちを助けに行く権利を。どんなに助けたくても、君にその権利はない。
王位を放棄するってのは、そーゆーことだ。
あれほど無責任かつ無神経なことをしておいて、恥ずかしげもなく「高句麗の王子」と名乗りを上げる。
自分がいかにも「正義」という顔をして。
王位を譲るのなんのって、ただの口先だけなんだ。彼は王子でない自分なんて、まったく想像も出来ないんだ。
自分を信じてなにもかも捨ててついてきた女の子に「大丈夫、また会える」とか言ってキスしちゃうんだ。
また会える、わけないだろ。
なにもかも捨てた彼女に、帰る場所なんてない。戻れば彼女がどれほどの咎めを受けることになるのか、自分のことしか考えられないタムドクは想像すらしない。
自分のしていることの愚かしさを自覚せず、いつも自分を正しいと思っている無責任で無神経な子ども。
貧困に喘ぐモノの前で、「パンがなければお菓子を食べればいいのに」と笑うよーな、善良であることを言い訳にした、無知さ愚鈍さ。
こんなヤツに、王の資格なんかない。
……ホゲがキレるわけさ。こんな、自分の言動の意味も理解できていない男に「欲しかったらやるよ」って言われ、這いつくばってありがたがるほど、自尊心欠如してないっつーの。
酷すぎるよ、コレ。
テジャ城へ行くなら、その前にきちんと「もう私は王子じゃないから、軍を率いて助けに行くことは出来ない」と言わせるべきだ。助けたい、力になりたいのは山々であると表現した上で。
それでも、と強くヨン・ホゲが求めるので、今回限りということで、捨てることになる祖国への罪滅ぼしのつもりで同行する。
キハはもちろん、天地神堂へ帰らせたりしない。ふたりが過ごした山小屋へ匿っておく。臣下を助けたら、ふたりで新天地を目指すために。……それが、ホゲでもプルキルでもいいから手下によって拉致られて王宮へ連れて行かれる、と。
で、あとの展開へつなげる。
イケコ作品は「心」がつながっていないんだ。
その場その場でてきとーな、表面的なことしか言わないししないから、もうめちゃくちゃ。
もうあきらめてるんで、はじめから脳内補完して観ているけれど、ほんとこの謎の展開だけは、なんとかしてほしい。
「タムタムのプチ家出の巻」でしかないじゃん、これじゃあ。たった一晩かよ、彼が「市井の男」だったのって。
そしてその一晩でやったコトって、アレだけですか……。
酷い。