正塚せんせって、コマのこと気に入ってるよね?

 と思った、『ロジェ』初日。

 マキシム@コマはバシュレ@まやさんと共にコメディ担当。ギャグを言うのではなく、会話のテンポで笑わせる系。空気が読めないゆえに、自分が笑われていることにも気づいていない真面目で鈍くさい男子。

 『マリポーサの花』でもこのコンビだったよね、コマとまやさん。台詞は一定、アドリブなしで、それでもテンポと空気感だけで笑わせるという。
 気に入られているからこそ、こーゆー役が引き続き回ってくるんだと思う。が。
「それって、みわっちが正塚に気に入られていてファンがうれしいかどうか、ってのと同じ感じの気に入られ方じゃない?」
 と、『マリポーサの花』を数十回観劇した友人が真顔で言っていた、のに、心から同意(笑)。
 みわさんも正塚のお気に入りだと思うけど、ファンがうれしいよーな気に入り方かどうか……。たしかにオイシイ扱いなんだけど、まともな二枚目役をちっともやらせてもらえない、変な役ばかり、てのは、なかなか。

 でも、かわいい。

 ロジェを救えるのは、いっそこーゆー男かもしれない、と思う。

 ロジェに対して湿度と温度のある人々の中、ひとりだけまっったくあっけらかんと接している、空気読めない男。ロジェがどんだけ深刻ぶってもまっったく気づきもしない察しもしない男。
 これくらいどーでもいい距離感の存在の方が、ロジェも気を使わないしマキシムも気を使わない(そもそも使えない)し、双方負担なく一緒にいられるんじゃね?

 人間、ほんっとーに「ひとりになってはいけない」ときがあるじゃん。
 本人はひとりになりたい、と思っても、客観的に見て、今ひとりにしたらまずい、みたいなとき。

 ふつーの人は本人の意思を尊重してひとりにしちゃったり、純粋に雰囲気コワイから遠ざかったりするもんだけど、マキシムなら大丈夫!
 あの男は気づきもせずに、「おなかすきましたねー。晩ごはん、どうします?」とか横でどーでもいい話をしてくれるよ。腹を立ててよそへ行こうとしても、「あれ、どこ行くんですか。ごはん食べに? ボクもつれてってくださいよー」てなふーに、ふつーについて来るよ(笑)。

 まあこの『ロジェ』では、「ひとりにしてくれ」と言うロジェに、レア@みなこちゃんが強引にまとわりついてますが。彼女もがんばっていたけど、あれがいいやり方だったのかよくわかんない。
 だってレア、女の子だから。ムカついても殴れないじゃん? そんなことしたらロジェ、余計苦悩するし。
 精神状態ぴりぴりでぎりぎりのロジェに必要だったのは、癒すことが出来る存在か、あるいは悪い方向へ走り出さないためのブレーキになれる存在。
 虞美人みたいな聖女は現実にはいないから、ここで癒しの女神は登場しない。じゃあせめてブレーキを……てなもんだが、レアはブレーキを掛けるだけでなく、さらに負担までかけている、気がする。や、そうすることしかできなくて、すっごく一生懸命なレアちゃんはけなげだし、正しいことだけするのが人間じゃないし。

 マキシムだったらとりあえず、殴ってもOKじゃん?(ひどい)

「ねえねえ、ナニ食べるんですかー。僕、ガイドブック持ってるんですよ、ほら、そこの店、ここに載って……」
 とかなんとか、空気読まないまま勝手について来て勝手に喋っているマキシムを、堪忍袋の緒が切れたロジェが一発ぶん殴る。
 吹っ飛んだマキシムはそれでもわけわかんなくて「ナニすんですかー」とか言いながら、それでもついて来る。
「いい加減にしないと殴るぞ!」「もう殴ってるじゃないですか」「ついて来るな!」「おなかすいてるから、怒りっぽいんですよ、あの店入りましょう」……噛み合わない会話が平気で続き、結局ロジェが折れる。だって彼、根が善良だから。
 加えて、怒鳴ったり殴ったりしているうちに、発散できたのね。
 
 いいなあ。マキシム×ロジェ。(かけ算はやめなさい。つかロジェさん右?!)

 勝手な妄想会話はさておき、水とコマと正塚とゆーと、『銀の狼』を思い出します。
 バチスタ@コマのために手を汚すレイ@水の関係を、これまた勝手に妄想したなあ、当時。
 や、カップリングではなく(笑)、親子なんじゃないかと。レイがバチスタのためにそこまでするのは、ただの仲間なんじゃなく、息子なんじゃないかと……当のバチスタはなにも知らない、レイも父だと名乗るつもりはない、だけどバチスタのためならなんでもする……みたいな決意は胸にある。という関係を、勝手に夢見た。

 というのも、バチスタを演じるコマくんがあまりうまくなくて……学年相応だったんだけど、大人で囲まれた舞台なので、役に対するコマの足りなさが目に付いた。
 芝居が足りていないゆえに、卑小なキャラクタに見え、「こんな子のために、すべての悲劇が起こったのか」と思うとやりきれなかった。この程度の若者を仲間として重用する、レイの格が下がるっちゅーかね。もっとマシな相手と組めなかったの?と。
 だからそこに、理由が欲しかった。こんな小物を仲間にしているのは、この子が生き別れの息子だからだ。名乗れないけれど、見守りたくて手元に置いているんだ。

 あの当時からすれば、コマくんほんと、芝居うまくなったなああ。
 『銀の狼』では、『ロジェ』でいうところのヴィンセント@咲奈くん的な感じで浮いていたもの。「あ、メインキャラになんかひとり若手が混ざってる」とわかる系で。……さすがに、今の咲奈くんほど外見も芝居も悪目立ちしてなかったとは思うが、まあ、ニュアンス的にあんな感じ。(咲奈くんは学年ほんと下だから仕方ない)

 あの「若手だ」とわかるレベルの芝居をしていた子が、今ではまやさんとふたりしてテンポだけで笑いを取ってるよ……親子に見えた水しぇんと同僚やってるよ……。じーん……。

 
 ロジェは自分で勝手に苦悩して、自分で勝手に悟り開いちゃってるよーにも見えるんだが(笑)、クライマックスの深刻いちばん場面に、あの天然マキシムを放り込んでみたいと思いますよ。
 どんな化学反応があるのか。

 テンポ命の、研ぎ澄まされた会話劇になるかも? マキシムの天然さは、ナニ気に高度な呼吸を必要としているし、もちろんソレは相方にも求められるし。
 水しぇんのナチュラル&リアルな芝居でこそ、ソレを見てみたかったかも。(やってることは、「超真剣な場面で、マッキーがコケて捻挫しちゃいました☆」系のことであったとしてもだ・笑)

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