まっつといえば黒髪。黒髪と言えばまっつ。
 タカラジェンヌにあるまじき、黒髪キャラを通す未涼亜希さん。

 初日とその翌日に見たときは、相も変わらぬ真っ黒けぶりで安心し……でも、『麗しのサブリナ』の水色スーツとのバランスの悪さにびびったもんですが。

 1週間後に見たときは、髪の色が変わってました。

 黒は黒なんだけど、真っ黒じゃなくて、茶色っぽい明るい黒になってる。
 ボリュームも抑え気味にして、水色スーツがそこまで変じゃない。

 おお、変えてきましたか!
 舞台人たるもの、板の上で進化していくわけっすね。

 ライナス@まとぶんの秘書、ウィリス@まっつはいかにもまっつらしい役。
 ヘタレ系の愉快な青年役って、若いころはそんな役ばっかやってなかったか? まっつは動きがおもしろいためか、そーゆー役が妙にはまる。

 ウィリスは優秀な秘書なんだと思う。
 そして、堅物のライナスに仕えているだけあって、見た目は重視されていない。

 ウィリスがいまいち野暮ったく見えるのは、スーツのボタンを留めていないこともあると思う。
 中にベスト着用した上でのジャケットのボタン解放はいいけど、ワイシャツだけなのにボタン解放分厚いネクタイ動きまくり状態は、決して美的ではない。

 てゆーか、この作品のリーマンでベスト着用してなくてジャケットのボタン留めてないのって、ただひとりウィリスだけだよね? 『EXCITER!!』のフィットネス会社の面々だってベスト着用してるぞ(笑)。
 ひとりだけなんかおとーさん臭いスーツ姿なのは、そのせいか!(笑)

 仕事もプライベートも充実、女にモテモテ……なエリートではなく、「仕事は出来るけどモテない君」なんだろう。
 相棒のマカードル@一花がまさに「仕事一途で女捨ててます」系のとんがった女史風であるように。

 着こなしが野暮ったい上、KYな明るい水色スーツ。横にいるのは「ザマス喋り」をしそうなインテリ眼鏡の女史。
 このふたりが、無表情にしれっとシンクロした動きをするのが楽しい。
 ライナス様の言動をすべて理解し、短い台詞だけで的確に動く。

 ウィリスの「仕事できます」面はマカードルと共に真面目だからこそ愉快な感じになってる。ミニマムなふたりが無表情に同じ動きをするおかしさ。
 ライナス様の目の前でないところで見せる、「やれやれ」なカオ。
 最初から、ウィリスとマカードルは目配せしたりで、人間的な会話してるんだよね、ふたりだけで。

 そう、ウィリス君はどんどん顔芸が細かくなっていってる。
 まっつなのに、いちいち表情がよく動いてるんだよなあ。

 何年ライナス様の下にいるのか知らないけど、プライベートの話などせず、仕事一直線のライナス様に仕えているんだろう。
 どっかの下院議員のよーに秘書と銀橋に坐り込んで人生語っちゃうよーな関係ではないにしろ、ライナスは専制君主であっても恐怖政治をするわけじゃない。部下は全面的に従って反論もしないけれど、感情は出していいらしい。
 ライナス様、けっこー意見ころころ変えてるわけで、ウィリスはそのたび眉をハの字にしながらリアクションしている。

 驚いていいんだ、感情的でいいんだ。
 そーしてさらに、余計なコメント(意見)をして、いいんだ。

 サブリナ@蘭ちゃんを迎えに行ったウィリスは、彼女をライナスへ引き渡すときにいらん一言を付け加えている。
 女性関係(しかもあんなに年下の若い子)について、部下に突っ込まれるのは嫌だろうに、ウィリスは調子こいてコメントする。
 しかも、カオ近づけすぎて。

 「魅力的なご婦人です」だっけか、これみよがしにサブリナを誉めライナス様にすげー嫌がられるのがイイ。最後の「ね」のタイミングがからかいムードだったり「やべ、余計なこと言った」と離れる瞬間だったりは、そのとき次第なのか?

 このとき、ライナス様のカオに「近いって!!」と書いてあるのがイイ。
 チューでもできそーなほど、無意味に接近しているのがイイ。
 んで、思いっきり嫌がられて、しれっと身を正すのがイイ。

 そのあと、マカードルとふたりで歌い踊ることになるんだが。

 なにかとシンクロするウィリスとマカードル。
 同じ動きをあったりまえにしちゃうくらい息のあったコンビなのに、それはあくまでも仕事の上のことで。
 息が合いすぎて接触しちゃうと、そのたびに相手を意識して離れる。てのを、繰り返している。

 ……どこの中学生だ(笑)。
 手を握っちゃってあわてて離す、顔やカラダが近づきすぎて、あわてて離れる。
 ふたりの間に言葉はイラナイ的に2コイチで動いているくせに、やっていることは思春期の少年少女。

 その姿が、可愛すぎる。

 んでこのふたりが、ライナスからもらった芝居のチケットでデートをして。
 翌朝はふたり揃って遅刻。ウィリス曰く、「興奮して眠れなかった」ためだとか。

 はにかんで喋るウィリスがキモ可愛い(キモい言うな)んだが、それ以上にツボなのは、マカードルの髪型。

 あれほど「女捨ててます」なキツイ女史風な女性だったのに、恋をするなり髪型変えてるんですよ、乙女ちっくに!(笑)

 なにソレ、まっつのため?! まっつのためにそんな可愛いことしてくれるの、一花?!(落ち着きなさい)

 いやとにかく、このカップルの物語は、ソレだけで十分楽しい。
 どっちも異性に縁がなさそうなので、割れ鍋に綴じ蓋っつーか、手頃なところでくっつけて良かったねっつーか。

 このふたり的に最後の場面は、自分の心に正直になったライナスが、オフィスを飛び出していくところ。

 ライナス様を見送って、ふたりで手を取り合って喜んでるの。

 初日とその翌日は容赦なく暗転されてよく見えなかったけれど、次に見たときはライトが残って、見えるようになっていた。

 照明さん、ありがとう!!

 や、演出家の指示なのかもしれませんが。
 初日とその翌日、「見えねーんだよ、もっとライト残してくれよ!!」と口惜しく思っていただけに、今はナニ気にふたりが見えるようになっていることが、うれしくてならない。他は暗くなってるのに、一瞬とはいえここにライト当ててくれてるもんよ。
 作品の本筋にはまったく無関係で、邪魔にならない小芝居なんだ、あってもなくていいのに、それをちゃんと拾ってくれたのがうれしい。

 なんか、ここもハッピーエンドなんだ、ってわかって、すごくほっこりする。

 女の子とデートをするライナス様を訝しんで歌っていたのに、彼の恋の暴走に小躍りして喜んでるんだよ。
 ライナスのそばにいた秘書ふたりが、彼の恋の応援団になっていることが、うれしい。
 そーやって損得なしに応援したくなるボス、そして恋。……そう思わせることは、ライナスの格を上げるよね。

 
 ウィリスはあちこち可愛くてカユくてたまらんキャラなんだが。マカードルとのコンビぶりが最高なんだが。

 いちばん好きなのは、張良先生ばりのいらんツッコミ「返品できると良いけど」を入れたあとの、満面の営業スマイルだ。 
 胡散臭さNo.1!! ビバまっつ!!

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