「剣を突きつけるアトスの目が、めーっちゃこわいのー。あんな目で見つめられたら、きついだろうなあ。演技だってわかってても、あそこまでの目を向けられることって人生そうそうないしー」
 てな話を友人たちとしていた。
「そーだねー。でも相手、まなはるだから別に可哀想じゃない」
「まなはる、きっとまったく気にしてない」
「まっつさんすごいから、自分も負けないぞーってめっちゃ張り切ってむしろガンガンに顔芸返してる気がする(注・仮面付けてます)」
 ……という結論になるあたり、わたしとその周辺のまなはる観って。

 まあそんなわけで、ルイ/ダミーはあくまでもキムくんだと思うから萌えるのであって、まなはるだと萌えません……(笑)。

 てなことはともかく。
 『仮面の男』、アトス様語りの続き。

 一大ページェントにてルイ/フィリップの入れ替えに成功した三銃士。
 その前の場面、ダルタニアン@ちぎが上手側で「このダルタニアンの目は誤魔化せないぞ」と、それまでしっかり騙されていたくせにカッコつけてナニこの人変、なことを言っている直後に、下手からアトス登場。
 アトスはわりとシリアス風なんだけど、なにしろポルトス@ヲヅキは陽気な酔っぱらい。なんで酔っぱらいって周りにも酔えと絡むんだろうね。

 さあ、ここがアトスの中の人の、腕の見せどころだ。
 というのも、アトスの人格が、破綻した描かれ方をしている場面だからだ。

 無銭飲食もそうだったんだけどさ……アトスなら絶対しないことをさせられてるんだけどさ……。
 でもそれ以上にひどいんだ。

 アトスは、弟を殺されたばかりだ。
 なのに、陽気に歌い踊れと強要される。
 その上、憎い仇が目の前にいる。
 なのに、陽気に歌い踊れと強要される。

 無茶だろ。酒を飲んで陽気に歌い踊っている場合じゃない。
 暗くなっても仕方ないけど、必要以上に落ち込まないことと、無神経なことはチガウ。
 この演出は、無神経だ。

 まあ、こだまっちは人間の心を理解しない宇宙人だから仕方ないけどね(笑)。

 つらさを忘れるために明るく振る舞うのではなく、ただのギャグシーン、お笑い場面として歌い踊ることを強要されているんだな。
 だから、アトスの中の人が大変。
 アトスが人間の心を持っているなら、ここでこんな風に歌い踊りはしない……のに、しなければならない。
 「ラウルの手紙」場面での演技から、ひとりの人間として演技をつなげなければならない。

 アトスの中の人が選んだのは、開き直りと悪のり、のようだ。
 ナニも考えていないポルトスに飲むよう言われ、アラミス@きんぐまでもがその尻馬に乗っている。
 アトスもそれを受け入れ、とても大袈裟な、ギャグっぽい表情や仕草で歌い踊る。

 ヲヅキを真ん中にして肩を組まれてしまうと、まっつ、ちっちゃい!!

 『H2$』パクリの銀橋もヲヅキセンターでまっつの小ささがよくわかるんだが、ここはただ並んでいるだけじゃなく、肩を組んでいるのでもー、大きさの差が半端なくわかる(笑)。

 そして、陽気な酔っぱらいポルトスが、チューじゃないけど楽しげに顔を近づけてくるので、アトス様はすげー嫌がる(笑)。

 まあなあ、酔っぱらった中年男の顔が眼前じゃあ、嫌だろうて……。
 三銃士の年齢は謎だが、ぴっちぴちの若者ではないらしい。「我らが血気盛んな頃♪」と過去形で歌っているので、今は「血気盛ん」ではないらしい。
 まあそこそこの年齢なんだろう。

 親友だけど、顔近いのは嫌なんだ……(笑)。
 チューっぽく顔を近づけるポルトスに対し、思いっきり嫌な顔をしてのけぞって逃げるアトス様。同じ仕草をするマーキューシオ@ちぎに対し、チューで返したベンヴォーリオ@まっつをなつかしく思い出す。
 そうか……ポルトスとアトスはこうなのね。マーキューシオとベンヴォーリオなら、ああだったけど。
 と、「親友」の関係性の違いを微笑ましく思う(笑)。
 だから三銃士に萌えがナイんだわ……モンタギュートリオは萌えの宝庫だったのに……。

 それともアトスは単なる面食いなのか。顔が近くても、アラミスならいいらしい?
 アラミスとは機嫌良く肩を組んで一緒に歩いている。

 ポルトスの中の人が美形かどうかではなく、「ポルトス」という役は「美形」という設定ではない、という意味で言っているので、念のため。

 なんにせよ、ポルトスの肩組みより、アラミスの方が落ち着きいいっぽいアトス様を、おいしく眺める。

 まるで弟のことも仇のこともアタマにないように、無神経に飲んで歌うアトス様。
 ところでこの場所はどこなんだ、なんの説明もない。でも、アトスがひとり飲んだくれていたセットと同じだから、アトスの家かと思って見ていた。牢が常備してある、アトス様の自宅(笑)。
 ルイ/ダミー@まなはるが捕らえられている真ん前で、飲めや歌えやバカ騒ぎを続ける三銃士たち。

 だがアトスはほんとのとこ、忘れてなんかいないんだ。こだまっちが忘れているだけで。
 新しい酒瓶を手に取る際に、アトスは牢にいるルイと目が合う。

 ルイを見つめる、アトスの目。

 こわい。
 こわすぎですってば、アトス様!!

 それまで陽気に笑っていただけに、温度差すごい。
 瞬間的に氷点下まで下がるの、体感温度が。

 憎しみというより、蔑んでいるよーな、眼。

 憎む、というならある意味、同じ高さに立っていると思う。
 しかしアトス様ってばそうじゃないの。はるか高みから、見下ろしているの。虫けらでも見るように。
 温度のない、見下した眼。蔑み、哀れんでいるかのよーな眼。

 ぞっとする。
 仮面を付けられ、無様に牢に入れられている、その姿を嘲笑っているの。

 こーわーいー。
 こわいよアトス様。

 そして、振り返ったとき、また彼は笑う。先ほどまでと同じ、陽気で無神経な酔っぱらいの大袈裟な笑い。
 ギャグっぽく振る舞っているのが、全部、蔑みの裏返しになる。

 空元気とかあえて楽しんでいるふり、とかならまだ心に熱があると思うけど、アトスはそうじゃない。そんな段階じゃない。
 彼はルイを嘲笑っている。だからルイに見せつけるために、ギャグだよねこれってくらい、くだらない様子で盛り上がって見せているんだ。
 もちろん、仲間たちを好きで、仲間と飲むのが楽しい、てのはあるんだろうけど。
 本来の彼は弟を殺されてすぐに飲んで歌える人格じゃない、でもあえて今ソレをしているのは、復讐の一環なんだ……という。

 こだまっちのアホ演出を逆手に取ってます。こわいですアトス様。フィリップ救出作戦で青白い炎が見えるようだった、銀橋で歌うアトス、それとたしかにイコールでつながる姿。
 怒らせるとマジこわすぎる人だ……。

 あんな眼で見つめられるルイは、仮面の下でナニを思うだろう……。
 蔑みの眼でなんて、今まで見られたことなかったはずだ。

 や、ルイ@キムで考えますよ、妄想しますよ。まなはるぢゃないですよ。だってまなはるだと上記のように、なんかたぶん違った方向にがんばってると思うしな……(笑)。

 アトス×ルイは、なにかと萌えですとも、はい。


 続く。

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