ねえねえちょっとみなさん!!

 『TUXEDO JAZZ』のオープニングの演出、変更になってたんですって?

 昨日わたしが観た初日には、最初に壮くんがコートの雪を払って旅行鞄を持って銀橋を渡り、センターで赤い薔薇を持ったみわっちに「おかえり」と迎えてもらってたんですよ。

 それが、2日目である今日は、午前も午後もなかった、と。
 ドリーさんから報告が入りました。

 ……マジで泣きそうなんですけど。

 すごい。
 オギーってマジ、すごい人だ。

 初日だけ、壮くんが花組に帰ってきたその最初の1回だけに、「おかえりなさい」と特別の演出をするなんて。

 世の中には、「2月12日に卒業する人」に対し、「11月3日から毎日毎日『送り出す、跡を継ぐ言葉』を言わせる」、無神経な演出家もいるっつーに!!

 オギーすごいよ。
 今、オギーが目の前にいたらプロポーズしているかもしれない。壮くんになって、「プロポーズ」の歌@『明智小五郎の事件簿』を歌うわ!!(やめなさい、相手が迷惑だ)

 ひとの心の痛みのわかる人が、あんなに痛い物語を創るんだなあ。
 だからこそ、創らずにはいられないんだろうなあ。

 そう、勝手に思って、泣きそうです。

 初日を観ることができてよかった。
 おかえり、壮くん。


 オギーと他の作家のちがいは、どこにあるんだろう。
 花組公演『TUXEDO JAZZ』初日を観て、しみじみ考える。

 センスの差、才能の差は言うまでもないが、もうひとつ「タカラヅカの座付き作家」として決定的にチガウことがある。

 生徒たちの、役のつけ方。

 時間は同じ、出演者も同じ。
 なのに他作家ショーの場合は「少人数しか見せ場ナシ」が基本。だからといって、多くの場合、その「少人数」のスターたちの見せ場が「ありがとう**先生! この場面のために通うわ!」というようなものではナイ。

 オギーの場合は。
 なんかもー、すごい人数に見せ場があるんですけど?!

 上級生から下級生まで。
 「えっ? こんな場面させてもらえちゃうの?!」「えっ? この人がこの扱い?!」
 と、びっくりするところが、びっくりする人が、何十人単位でいる。

 この子、ココすごいオイシイ、この人、ココすごいオイシイ……の繰り返し。まんべんなくみんななにかしら見せ場がある。

 時間も出演者数も同じだよねえ?
 なんでオギーはこんなに、みんなに見せ場を作れるの?
 今のワンフレーズ歌ったのって、あの子だよね、今まで舞台でソロで声出したことあった? 今のトリオ、ひとりはあの子だよね、今までこんな少人数で踊ったことあった?
 うおお、ここで上級生来ますか、と思ったら下級生ズ来たーーっ。

 みんな、おいしすぎ。
 目がいくつあっても足りない。
 どこを見ればいいのか、舞台のすべてでドラマが進行している。

 上級生ファンも下級生ファンも、みんなオイシイ、たのしい。
 そんなショーって作れるんだ。

 ここまで作れるものなら、他の演出家って、ナニやってんだ? と、すごーく基本的な疑問が湧く。
 80人もの出演者を使わなければならないから難しいんだ、って駄作の言い訳に使われるけど、オギーはいつも、ソレ言い訳にしてないじゃん。ふつーにその人数使い切るじゃん。

 オギーにできることが、他の演出家にはできないんだな。
 ただ、それだけのことなんだ。

 や、今さらだけどさ。
 しみじみ、考えちゃって。

 
 なにしろ、『タランテラ!』のあとだから。
 すごく、オーソドックスなショーだ。
 ……と、思うけどたぶん、本当の意味での「タカラヅカのオーソドックスなショー」ではない。場面ずーっと続いてるし、シーンがぶつ切りじゃないし、パレード変則的だし、シャンシャン持ってないし。
 クラシックな場面のあとに脈絡なく原色ギラギラな場面とか、てきとーなことして「バラエティに富んだ構成」とかにしないし! 統一感あるし。ずーっとセンスいいし。番手関係なく、歌える人が歌って、踊れる人が踊っているし。
 ぜんぜんオーソドックスぢゃないかも(笑)。

 『タランテラ!』のような重さはない。
 にぎやかで明るい作品。

 なんていうか。

 オサin大人のワンダーランド。

 あ、石田作の最悪ショーのことじゃないよ、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』ね。

 不思議の国の春野寿美礼。
 オサ様が、色彩と光にあふれた不思議の国に迷い込み、次々といろんな出来事に出会っているかのよう。
 明るい、たのしい。そして、少しの毒と狂気。

 やー、もー、たーのーしーいー。

 どうしよう!ってくらい、たのしい。
 

 ショーのいちばん最初。

 花組お帰りなさい、の壮くんがさ、コートについたを払って歩いてきて、みわっちに赤い薔薇で迎えられてさ。まりんと抱き合ってさ。愛されてるね、壮くん。
 まだまだわたしのアタマの中は『タランテラ!』のままだったのに、『タランテラ!』が終わったのがついこの間のことのようなのに(途中ふたつばかし公演があったよーな気もするが、記憶にはあっても心には残っていないもんでな)、『タランテラ!』を引きずったままのオギーファンとしては、ふたつの舞台で共通している出演者、壮一帆に注目してしまうわけだから。
 雪というモチーフから花というモチーフへつなげるプロローグは、雪組から花組へ、『タランテラ!』から『TUXEDO JAZZ』へ、スムーズに観客を導く効果があった。と、思う。
 や、男が男に、赤い薔薇を1輪贈るのは変なんだけどね。ぶっちゃけ、「こいつらゲイ?!」って感じなんだけどね(笑)。
 みわっちと言えば「赤い薔薇」。博多ギュンターのトレードマーク。愛されてるね、みわっち。

 最初から人間いっぱい、大都会そのままに交差するプロローグのあと。
 なんつーか、最初にオサ様がビルの窓から正装して出てくるところからめっさ、ときめいたんですが。

 ああもお、オサ様ステキ。バイオリンみたいな笑顔。いやその、細長くて目が曲線で。
 ダイスキ。

 着飾った紳士が、窓から登場。
 だからナニ、てなもんだが、理屈ではなくときめいたの。あたしをさらってえぇぇっ!!みたいな。(ジュンタンっぽく言ってみる)

 これだけでもクラクラしていたのに。

 そのあと、オサ様見るのに忙しくて、だけど下級生点呼もしたい人なので気もそぞろになっている目の端に、オサが出てきた窓からもうひとり、スーツの男が出て来たっぽいことが映る。
 ああ、オサ様と同じ登場の仕方であとから出てくるってことは、まとぶだな、ととくに気にもとめずにいた……ら、ちょっと待て。

 まままままつださん? あーた今、どっから出て来ました?!

 何テンポか遅れて、窓から出てきたのがまっつだと気づき、大いにうろたえる。
 しかも、同じ衣装のラインダンサーズ(ロケットぢゃないぞ、もちろん)のセンターにまざりやがるし。
 まつださん? そ、そんなとこにいていいのあーた?

 そっから先は、まっつROCK ON。オペラグラスでまっつを追いかけていた。
 その場にいた全員が、銀橋に移動したのでわたしのオペラもとーぜん銀橋へ。

 あー、まっつだー。
 久しぶり、まっつ〜〜。

 まっつを眺めて、それだけで幸福感に浸る。

 で。

 ふと、オペラグラスを下ろした。や、他も観たいしさ。ちょっとは全体も観なきゃ。

 そしたら。

 銀橋にいるのが、まっつとあやねちゃんだけだった……ので、腰を抜かした。

 まままままつださんっ?!!

 銀橋にふたり?
 しかも、トップ娘役と?!

 えええ? だってさっきまでみんないたじゃない、勢揃いして歌い踊っていたじゃない!!
 わたしの視界がまっつだけだったうちに、いつの間にみんないなくなったのおっ?!!

 …………すみません。
 ここで、緑野のヒューズが飛びました。

 あともー、なにがなんやら。

 まっつが歌ってる。
 大劇場で、まっつが歌ってるよ。娘役ちゃんとデュエットしてるよ。
 ねえねえ、まっつって2つ前の公演までモブだったよねえ? 見せ場といえば「山寺の和尚さん」だけで、あとは基本背景だったよねえ?
 モミ手まっつ。へこへこまっつ。ベスト姿萌え。華奢な肩と細い腰に萌え。
 寿美礼サマの後ろに、意味もなく立ってるまっつ、てかなんでまだ舞台にいるの、かっこつけて立ってるの店員Aとやら!
 きらきら付きスーツでひとりあとから銀橋登場、なんなのソレ、ありえない!!

 ……大階段パレードでは、いつまでたっても降りてこないので、「いつの間にか脇を通って降りちゃった?!」とアセりましたが(笑)。歌ナシの分、えらく大人数で、えらくあとから降りてきたなー。
 
 ああああ。
 まっつのせいで、オギーのおかげで、混乱しまくりっす。
 もー、オギー神。ありがとう。

 や、まっつの扱いが特別いいわけではなく、全体的にみんなみんないいから。
 主立った人や期待の下級生たち、みんな見せ場アリだよ!
 だいもんやアーサーまで歌ってるよヲイ、てゆーかめぐむすげぇ。

 体温、上がりまくり。

 1回でなんて、とても見切れない。
 もー、どうしよう!!


 まず、断言しておく。

 水夏希の沖田総司は、イイ。

 彼単体でいうなら、容姿も演技も問題ない。
 さわやかな好青年だ。
 生真面目さ、繊細さ、なによりも、魂の健全さ。
 それらが「沖田総司」として相応しい。

 沖田の持つ「陰」の部分はほとんどないが、それは脚本意図だろうから、これでかまわない。

 水夏希が美しい。
 これを前提として、最初に掲げておく。

 そのうえで。

 どーしよーもなく大きな問題がある。

 中日公演『星影の人』
 作品がアレなのは置くとして。もうひとつ、問題。

 沖田総司主人公の話を、トップスター主演でやるのは、無理がある。

 他ジャンルならかまわないが、タカラヅカという特殊な世界では、無理だ。

 考えてもみてよ。
 その作品世界でいちばん年少の、小僧っこ役がトップスターなのよ?

 正確には沖田が最年少ではないが、主要人物として存在しうるなかで、いちばん少年。そしてその少年性をアピールする作り。
 他の重要な役はみんな沖田より大人の設定。

 トップスターが最年少の少年役だと、彼より大人の役ばかりの芝居をやるためには、本専科さん総動員しなければならない。
 そーしないと、年齢バランスが、変。

 今回、「若者」沖田@水、「大人」土方@ゆみこあたりならまだなんとかなっていたが、「若者」@水と「大人」@ひろみとか、「若者」@水と「大人」@かなめとか、ありえない絵面ですよ。

 本人たちの演技がどうこうではなくてね。
 やらせること自体まちがっているだろ、という話。

 なにも無理してまでやらなきゃいけないことじゃないだろう。
 大人が大人の役をして、若者が若者の役をする。それでいいじゃないか。何故わざわざ逆にして、無理を通さなければならない?
 少年のような山南@ひろみの前で、懸命に少年の演技をする沖田@水の痛々しさときたら。水夏希への、羞恥プレイですか?!
 痛々しくも若ぶる水しぇんを見て、ハァハァしろってこと?

 そーゆー狙いなら、「魔性の美少年ジルベール@『風と木の詩』を演じる湖月わたる」とか「角兵衛獅子の子ども清太@『おーい春風さん』を演じる轟悠」とかもやるべきだったわね。彼らはプロだから、きちんと演じることでしょう。だけどその姿は、微妙にいたたまれない気恥ずかしさに満ちる。

 トップがやらなくていいから、この芝居。
 外見や技術も含めて、年齢差があまりない、若手や中堅のバウで十分。てか、駄作だから封印してくれていい。
 持ち味を考えて公演してくれよー。
 あ、タニちゃん宙組ならOKだな。主役が少年で、あとは全員大人。タニ以外はどの組でもすでにキツイだろ。トップスターはふつー、大人だから。

 水くんは、がんばって演じている。
 沖田総司を、正しく演じている。
 彼単体で見れば、なんの問題もないのだろう。たぶん。

 しかしどーしても、いたたまれない気恥ずかしさがある。

 少年・水夏希……。

 ゆみこに「女の扱い方」で演説ぶたれ、からかわれる役……。
 ひろみより年少で、かなめに子ども扱いされる役……。

 なんの罰ゲームですか?

 役者とか演技とか以前の話なので、気にならない人は気にならないだろう。
 スルーしてくれ。

 目の下にシワを刻みながらトップスターが少年役をし、お肌つるつるの若者たちが大人や年輩を演じるキャスティングに、疑問を持つだけのことだ。

 ほんとにもう、なんで今さら再演したんだ、この作品。


 携帯、戻りました。無事に。……やれやれ。

  
 忘れそうだから、先に書いておく。

 月組公演『パリの空よりも高く』『ファンシー・ダンス』千秋楽行って来ました。
 フジコちゃん見送りに。

 彼女の退団メッセージで「思い出に残る大好きな公演」として、リカコン『Lica−Rika/L.R.』をあげているのを聞き、なんか納得しました。
 ジェンヌ人生でいちばん大切、てなほどの公演だったならそりゃ、スタンディングしない客を睨み付けるぐらい、するよなあ。
 わたしがフジコちゃんを注目した最初が、その『Lica−Rika/L.R.』で、貧血起こして客席でへたばっていたときにキャストの客席降りがあり、通路を駆けてきたフジコちゃんに睨まれた、こわかったよーっ!!という出来事だったもの。
 あんまりこわかったので(笑)顔と名前をおぼえ、以来どこにいても注目するよーになった。
 そしてそのオトコマエな芸風と立派なアゴに惚れ込んだ。

 可憐な娘役タイプではないので(すまん)、彼女の魅力が正しく開花し、役割を担うことになるのはこれからだと思っていただけに、退団が惜しまれる。てゆーかフジコ、よりによって植爺作品なんかで辞めなくても……。

 
 さて、ひさしぶりに観る『パリの空よりも高く』。
 この作品を「魅力的に見せられるキャスト」って、誰だろうなあ、なんてことをぼーっと考える。
 冒頭の説明台詞上級生シーンは「なかったこと」としてアルマンド@あさこ登場からを「物語」とする。
 このどーしよーもない駄作を、それでもなんとか「笑える」話にできる人って……?

 あさこちゃんをはじめ、キャストはみんながんばってました。
 だが見事にただの一度も、笑えなかった。
 やりとりや動作は派手になっているし、子犬のよーにじゃれ合うあさゆひは微笑ましいんだけど。

 なんつーか、ホームビデオ見ている気分。
 自分の子どもが映っているからおもしろいけど、そうでなかったら爆睡必至。自分の子どもは「ただ歩いているだけ」「ただ振り向いただけ」でも、かわいくてうれしくて大喜びしちゃうけど、他人が見たら「なにがそんなにおもしろいの?」と冷たい目が返りそうな。

 キャストを好きだから、彼らが「なにかやってる」だけを愛でる。
 ほっぺた引っ張ったり、されまいとブロックしたり、突き飛ばしたり、声を裏返らせたり。
 べつにおもしろいわけではぜんぜんないけれど、その仕草や「がんばっている」風情を愛でる。

 愉快だったのは、ラストの『ベルばら』ごっこのみ。
 今までのキャラの人格もなにもかも破壊して、突然意味なく脈絡なくキレて銃を振り回すアルマンド、という最悪な場面にて、撃たれたジョルジュ@ゆーひが片目を押さえてふらふらし、それを見たアルマンドが「見えていないのか!」と叫ぶ。
 あの有名な、『ベルばら』の1場面。アンドレの最期。
 当たり前のよーにやってるけどこのふたり、去年の『ベルばら』祭りでは逆配役だったのよね。アンドレ@あさこ、オスカル@ゆーひなのに、ここで説明もなくアンドレ@ゆーひ、オスカル@あさこ。
 逆なのがおもしろいよね。
 その後も「行くぞ、アンドレ」と、アルマンドがジョルジュに命令していて、「アンドレを尻に引くオスカル」というある意味正しい姿が素敵。

 愉快だったのは、お遊びのパロディのみ(元ネタ知らなきゃ笑えない)、って、コメディの意味あるのか。

 
 あさこ、かなみ、きりやん、ゆーひって、布陣だけ見るとものすごーく豪華なのに、プラスアルファを作り出せていないなぁ、と思う。
 もちろん、いちばん悪いのは脚本と演出だがな。
 誰が演じるにしたって、この作品じゃあどーしよーもないとは思う。てゆーか、もう誰ででも見たくない。少しも早く封印してくれ。や、再演なんてないと思うけど。……思いたい。でも植爺だから、なにをしでかすかわかんないもん……。来年の全ツとかどこか別のハコで再演しないとは言えないからこわい。

 それにしても、なんつーかこー、キャストが違えばもう少し「ナニか」あるんじゃないかと思ってしまう。
 ひとりずつが悪いわけではないから、バランスかなぁ。
 あさこが主役に見えないのがつらいっす。『暁のローマ』で主役に見えないのは役者の力不足だと思ったけれど、今回は作品と周囲とのバランスのせいだと思うよ。

 
 なので、ショーになるとほっとする。
 あさちゃんが、主役に見える(笑)。
 トップスターはやっぱ、主役じゃなきゃ!!

 あさこちゃんとかなみちゃんが、カップルとして正しく絡んでくれるとうれしい。
 あー、タカラヅカだわー。

 後半場面のかなみちゃんが、すごく好き。
 彼女の持つ神聖さと邪悪さが感じられて。
 ナイーヴな王子様風のあさこが次々と美女を殺していき、最後に黒幕のように美女@かなみんが登場する。
 かなみんは慈愛に満ちた笑顔で、閉じこもっている中学生のよーなあさこ王子を癒す。

 いやあ、最初に観たときは「かなみちゃんがあさこを殺しに来た」と思ったね!!(笑)
 彼女は「運命」であり、「因果」であると思った。
 王子の枯渇した心を真に癒すための、神の応え。

 ははは、演出家三木章雄だっつーの。そんなことにはしやしないって。

 とっても簡単にハッピーエンドだったんで、初見では「ヲイヲイ」と突っ込んでしまった。

 かなみちゃんが「神々しい美しさ・やさしさ」に満ちていたから、かえってブラックに見えたんだよな。
 かなみちゃんはきっと、オギー的なものも表現可能な女優だよな。でも今の月組でオギーショーは合わないよなあ……タカラヅカはトップスターありきだと思うから、あさこちゃんに合ったショーが正しいショーだもの。

 
 ゆーひとそのかの並びにも、免疫が付いた。

 てゆーかわたし、いったい何人「ケロに似ている」人を探していることやら。
 好みのカオだから、目に付くのですよ。きっときっと、いつになっても探し続けるんだと思う。

 Be-Puちゃんは、そのかがケロに似ているなんて言わない。彼女は「オトコちゃんに似ている」と言って譲らない。
 たしかに、ケロよりはオトコに似ているかな。だけど、オトコに大して思い入れのなかったわたしは、オトコを思い出すことがまずない。
 オトコファンだったBe-Puちゃんは、「オトコにしか見えない」と言い、わたしは「ときどきケロに見えて心臓に悪い」と言う。

 そーゆーもんなんだ。
 みんなみんな、「好き」を探し続ける。

 フジコちゃんも、ケロに似てたんだよなあ、わたし的に。
 卒業は寂しいけれど、しあわせを祈るよ。


 携帯電話、落としました〜〜っ!!

 
 や、すぐに見つかったんだけど。
 明日、取りに行くことになってるんだけど。

 でもやっぱり、なんかいろいろいろいろ、うろたえます。
 携帯はプライベートの固まりだし、個人情報の固まりだし。

 それと、まあ、その。

 待ち受け画像、まっつ(素顔)だし。

 データまでは見られないとしても、待ち受けぐらいは見られたんだろうなあ、拾ってくれた人、預かってくれている人に。

 その昔、「オサアサのキスシーン」を待ち受け画像にしていたときのことを思えば、まっつの横顔写真くらい見られてもダメージ少ないか……(わたしがな)。

 とりあえず、半日携帯ナシで生きるのは不便です。


 謎に満ちた作品、その名は『星影の人』

 昨日欄からの、話の続き。

 あまりに杜撰な作りに、作者、プロットまともに作ったのか? とか、コンテ切ったのか? とか、基本的な疑問がわだかまるが、とりあえず静観。

 唐突に、山南脱走エピソード。
 ちょっと待て、何故突然山南@ひろみの話?! 土方の話すらやりっぱなしで未回収のくせに、山南切腹は描くの?!
 唐突すぎてついていけない。沖田を愛する女たちが、突然スポットライトあびて歌い出したのと同じ臭い。
 つまり、行き当たりばったり。
 盛り上がる話を、てきとーに切り貼りしてみました、的。新撰組内部のことも人間関係も社会情勢もなにも描かず、山南の離反をどうして無理に入れなきゃなんないのよ……なんで山南が死ななければならなかったか、まったく描かずに「遊女明里との涙の別離、タカラヅカ的悲劇で素敵エピソード、いただき!」かよ……。
 土方との口論シーンのひとつでもいいから、前もって描いておけよ……ひどすぎるよー。

 沖田と玉勇のラヴラヴしか描くつもりがないから、新撰組のことも池田屋もさくっと無視して、ストーリーないままえんえん踊らせたりいちゃいちゃさせたりしていたんだと思っていたのに。
 山南切腹で、それすら壊れる。
 なにがやりたいんだ……。

 話がさらに散漫になった上、まだ続く。えーと、この芝居何時間あったっけ。どうやって終わるつもりだ?

 いつも危険と隣り合わせ、戦闘集団だから戦うのが仕事です、の新撰組。
 なのになにを考えたか玉勇、「新撰組が仕事で来てるよ」と聞くなり「大変! 沖田さんが心配だわ!!」と、彼らの仕事場……戦場に飛び込んでいく。

 ふつーのOLのわたしの彼は、なんと刑事なの。危険な仕事で心配。
 あっ、近所で事件が! 彼が犯人を捕まえようとやってきたわ!! 大変! 彼が心配!! わたしも現場に行かなくちゃ!! KEEPOUTのテープ貼られて、その奥で銃撃戦してるけど、かまわず行かなくちゃ! だって心配だもん!!

 行くな、迷惑だ。

 なんでこんなバカな話に?
 新撰組にとっては日常なのに。『パリの空よりも高く』の嵐のエピソードくらい、ものすげーとってつけた感。
 まず、「玉勇が沖田をかばって死ぬ」という前提ありきで、無理矢理でっちあげたっぽい。

 女が身を挺して愛する男を守るのはありがちで美しいエピソードだけれど、それは「必然性」がなくてはダメだよ。
 刑事が仕事しているところへ一般人の恋人がやってきて「心配だから来ちゃった」と言って撃たれたのでは、「公私混同」で男の価値も下がるよ……。

 なんで、沖田と玉勇がデートしているところを襲われたことにしないんだ。
 それなら玉勇が沖田をかばって死んでも必然性がある。沖田にも玉勇にも責任がなく、純粋な「悲劇」になる。

 赤信号で飛び出して車にはねられてもなー……。

 せっかくのヒロインの死なのに、純粋な「悲劇」になっていないのがイタイ……。

 で。

 ヒロイン玉勇が死ぬと、唐突に物語が終わる。

 えええ?! ここで終わるの?
 沖田的には池田屋のあとでエンドマーク出ていたのに、無理矢理水増しして話引っ張って、玉勇を無理矢理殺して終わり?
 とりあえず人が死ねば客は泣くし、ヒロイン殺せば名作?

 池田屋→死期を悟る、から、ここまで話を引っ張ってきたなら、沖田の死まで描けよ。
 猫を斬ろうとして絶命、までやれよ。
 それでこそ主人公・沖田総司だろう。
 玉勇が死んで終わりじゃあ、主人公玉勇だよ……沖田の話にならないよー。彼的にはとっくに終わった話だったから、最後で玉勇へ物語の比重が移っちゃうよー。

 どこまで壊れてるんだ、コレ。

 あまりにめちゃくちゃで、呆然としているうちに終わった。

 あるのは雰囲気だけ……ストーリー破壊されまくり。

 それでも、「美しくて上品」だからいいのかしら。
 30年前なら、コレでも良かったのかもしれんが、今21世紀だよ?

 行き当たりばったりのその場しのぎのエピソード満載!「沖田総司ビデオクリップ」見せられても、途方に暮れる。

 30年前はきっと、「ビデオクリップ状態」でよかったんだろうな。
 素敵なスターがコスプレして、それらしい場面を演じたり歌ったりするだけでOK。
 物語の起承転結も辻褄も関係なし。

「**ちゃんでこんなシーン見たいな(はぁと)」
 を満足させてくれる、雑誌の扮装写真動画版、で良い時代だったんだろう。

 でもわたし現代人だから、ついて行けないっす……。

 まともな「物語」が見たいっす……。

 多少壊れていても失敗していても、「物語」が見たいっす。「ビデオクリップ」は見たくないっす。
 「新撰組」をテーマにした、和物ショーなら名場面集で辻褄もストーリーもナシ、前後のつながりも盛り上がりもナシ、でもかまわないけどさ。
 「芝居」でコレはきつすぎる。

 柴田作品の再演、と聞いただけで「やべえ」と思ったけれど、その通りだよ……。あああ。

 とにかく、なにもかも唐突。
 ビデオクリップだから仕方ないんだけど。ひとつの、流れのある物語ぢゃないのよ……「オイシイ」と思われるところだけてきとーにチョイスしててきとーに並べてあるだけなの。

 時代設定的に、『維新回天・竜馬伝!』と丸かぶりしているんだが。

 クオリティはどっちが上かなあ……遠い目。

 下品でもおちゃらけていても、笑えるからイイ→『維新回天・竜馬伝!』
 つまらなくても盛り上がらなくても、上品で美しい方がイイ→『星影の人』

 ま、好み次第だな。内容的には、似たよーなもんだ。

 
 雪組中日公演。

 お祭りだから、お祝いだから、わくわく駆けつけるけれど、名古屋に通う予定はないので1回限りと覚悟して観劇。万が一作品がよかったら通うかもしれないけど、演目発表された段階でその可能性は限りなくゼロに近かった。
 柴田先生の再演物でしょ? それだけであ、こりゃダメだと思った。

 たしかに植爺作品のように下品でも無神経でもないけれど、「古い」という点では柴田作品も同じだ。

 現代に上演して、良い作品ぢゃない……。

 「30年前なら、これでよかったんだろうな」「大昔なら、これがおもしろかったんだろうな」と遠く想像するのみ。
 『あかねさす紫の花』『うたかたの恋』と最近続けて観て、しみじみ思っていたところさ。
 危惧していた通り、『星影の人』も、そうだった。

 たしかに柴田作品は美しくて上品なんだけど。
 それだけを愛でるには、作品に粗がありすぎる。

 植爺作品よりゃ、そりゃ「逆鱗ポイント」「生理的嫌悪感を持つ人間性のゆがみ」などがない。
 でもさーわたし、「古い」というのも十分「辟易ポイント」だと思うのよ。

 『星影の人』は古いだけでなく、もしも「若手の新作」として現代に発表されいたら失敗作の烙印押されてると思うよ。「構成壊れてるじゃん! 斎藤はこれだから!」とか「こだまっちってどうして辻褄の合う話つくれないの? 伏線回収しなよ」「稲葉作品ってどうしてこう浅いの? 恋愛経験ないんじゃない?」とか言われてるよ。
 柴田ブランドだから、なにも言われないけれど。

 
 さて、『星影の人』とやら。初演は知りません、31年前じゃさすがに無理。

 えーと、舞台は「新撰組」という名前になって間もないころの新撰組(それまでは壬生浪士組)、ちなみに芹沢鴨粛正後。
 沖田総司@水は、刺客数人さくっと殺したあと、芸妓・玉勇@となみに出会う。親切な玉勇が濡れて歩く沖田に傘を貸してくれたわけだ。
 その日のウチに2度目の偶然、再会したふたりはデートの約束をする。
 はじめてのデートで「アナタは素敵な人」「いいえアナタの方がすばらしい人」と謙遜し合い、誉め合うふたり。このバカップルなんとかしろ。
 ここで唐突に、新撰組副長土方歳三@ゆみこの恋バナが入る。土方がつきあっている芸妓・照葉@雪組きっての大根女優ルーシーは、許嫁の仇っつーことで土方の命を狙っていた。
 でも、土方を愛しちゃったんだって。土方も、ソレをわかってなお彼女を愛してるんだって。
 仇に抱かれて志を翻した照葉こと加代を、許嫁の妹@ちとせが激しく責めるが……。
 はい、ここでこの話は終わり。これだけ唐突に盛り上げておいて、このあと一切出てきません。ちょっと待て、なんだソレは。

 話変わって、池田屋騒動。新撰組といえば池田屋。新撰組でもっとも盛り上がる、ドラマティック・シーン。
 池田屋に集まり、火事場泥棒のノリで力づくで権力を得ようとするテロリストたちを一網打尽にする、「正義」の新撰組のもっとも華々しいエピソード。そして、沖田的にも、はじめて喀血するとゆー、わかりやすく盛り上がる場面。
 さあ、いちばんの名場面をどう描くのか、高まる期待感。

 降りてくる巨大スクリーン。

「元治元年6月5日 池田屋事件」てなテロップが、突然出る。
 
 や、今までもテロップ付きなら変じゃないけど。最初から文久3年とか、テロップが要所要所に出ていれば変じゃない。
 でも途中からいきなり出るのはおかしい。脈絡なさすぎ。第1章も第2章も表記されていなかったのに、90ページまで読んだらいきなり「第3章」と書かれてるよこの小説、誤植? 落丁? てなもん。
 なんでこんな変なことをするんだろう、と思っていたら。

 いつまでたっても、テロップが消えない。

 それどころか、録音された声だけで、芝居が進んでいる。

 なんじゃこりゃあ。

 口ぽかーん……。

 今まで見てきたテレビドラマ、いきなり音声だけになりましたよ。で、なにもない画面に「クリスマスイヴの夜」とかテロップが出てるの。
 えええっ? クリスマスイヴに告白する、恋敵になってしまった親友と決着付けるって言ってたよね? いちばんのクライマックスになる場面だよね?
 なんで音声だけ?!
 ラジオドラマ?!!

 また、長いんだ、音声だけシーン。

 音だけだから、なにもかも台詞で説明しなきゃならないの、さあ大変! 説明台詞GO!GO! 不自然にGO!GO! 戦闘シーンだから、悲鳴や叫び声いっぱい、棒読みいっぱい、寒々しさ満載♪

 …………結局、池田屋事件は音声だけでした。
 突然出てきたテロップは、その言い訳でした。

 同じことをキムシンがやったりしたら、「今すぐ演出家辞めろ」コールで2ちゃんのスレッドが一気に1000まで行きそうだな……(笑)。

 沖田主人公で、有名な沖田の最初の喀血シーンが、録音音声だけ……。
 なに考えてこんな阿呆なことを?

 暴力シーンはいけません? 他にさんざん人殺しシーンを描いておいて?
 それとも、技術的に池田屋を描くのは無理だと判断した? セットも大がかりになるし、殺陣も大変。人数も必要だから中日では無理?
 それとも、物語にこだわりをもって、池田屋をスルーした? 他に訴えたいテーマがあるから、ここに派手な場面を置くわけにいかなかった?
 それとも、音声だけ、という斬新な演出をしてみたかった?

 もちろん、池田屋をクライマックスにしなければならない、という決まりはない。
 また、絶対にじっくり描かなければならない、という決まりもない。

 ただ客観的に見て、「放っておいても盛り上がる」「アクション的にも/時代的にも/新撰組的にも/沖田的にも、盛り上がる」オイシイ話を、わざわざ使わないことが、不自然で疑問。

 しかもそうまでしてわざわざ池田屋をスルーして、あのサムいサムい音声劇って……。

 で、「労咳であとわずかな命!」とわかる沖田の苦悩の話になる。
 話というか、突然イメージ映像。
 踊って歌って表現。エピソードとかぢゃないっす。まあ、なんてミュージカル的。てゆーか、お茶濁し? 逃げ?

 心理風景を踊る沖田のために、突然土方がせり上がってきて1曲歌う。あら土方さん、ひさしぶり。存在を忘れていたよ、あんまりな描かれ方だから。
 ここで沖田とのエピソードがあるのね……と思いきや。
 セリ上で直立不動で1曲歌ったら、そのままセリ下がっていく。
 ナニしに出てきたんだよ?! あ、1曲美声を披露するためですか。そーですか。……ひでー。

 そしてさらに、とっても唐突に、沖田を愛している女たち@しなぽんとかおりが出てきて歌ったりな。や、それまでも登場していたけれど、沖田を好きなことぐらいは想像がつくけれど、わざわざ1曲歌うほどの描き方はされていない。
 なんつー比重の間違った、その場限りの演出……。

 苦悩の末、沖田は余命を、新撰組隊士として生きることを誓う。玉勇はそんな彼を支えることを誓う。純愛です。

 ……あれ?
 心を決めちゃったらもう終わりだよね? ヒロインともハッピーエンド。
 完結しちゃったのに、話まだ続けるの? イメージ映像だけでなんのストーリーもない作品だけれど、いちおーエンドマークでしょう? まだ続くの?
 てゆーか、ストーリーないのに、どうやってまだ続けるの?

 翌日欄へ続く。


 新生雪組お披露目公演。芝居はかなりアレなんで、くわしく語るのはあとにして。
 公演全体を通した、キャストの話。

 主演の水くんはとにかくいっぱいいっぱいで、心もカラダも握り拳がぷるぷる震えているよーな印象。
 それでも仕事はしているし、たとえアタマが真っ白になってもカラダが動くところまで技術を叩き込んでありそーな体育会系マンだから、彼が真ん中だということはわかる。
 まだ本来のパワーは解放されていない。内側に向かっている。
 彼が客席に向かって働きかけだしたとき、ほんとうの幕が上がるのだと思う。

 
 ヒロインとなみ。
 ……となみがもお、すばらしい「娘役トップスター」っぷり。
 あの華やかさ。あでやかさ。
 そして、貫禄。
 伊達にトップ経験してないね。キョドりもせずに、いっぱいいっぱいな水くんを受け止め、支えている。そりゃ、ダンスの技術はアレだけど。
 芝居もそうだけど、ショーでの美しさと存在感には脱帽。

 うれしい。
 となみがいてくれて、うれしくてうれしくて泣きそーだ。

 もともととなみちゃん単体でダイスキだけど、雪組時代から、新公ステージトークであの「やーん、となみも見たい〜〜」と甘え声でイヤイヤをするぶっ壊れた姿を見て以来のファンだけど。

 星組娘役トップスターとしても、その存在を心から賞賛していたけれど。

 今、わたしの大好きな水くんの相手役になってくれたことが、うれしい。

 大好きな女の子が、大好きな人とコンビを組み、美しく華やかななステージを繰り広げてくれる。

 なんてしあわせなんだろう。

 水くんを好きで良かった。となみを好きで良かった。
 美しいふたりを見ることが、うれしくてうれしくてならない。

 
 2番手ゆみこ。
 まず、雪組に違和感がない。
 ずーっと雪組にいたと言っても、変じゃない。
 
 いきなり和モノだったのが味方したよね。着こなし・所作、それらがちゃんと出来ていて、かっこいい。声の良さもオトコマエ度を上げている。

 しかし。
 ショーでの地味さには、びっくりした。

 え、えーと。
 あんなに地味でいいのか?
 と言ったら、「花組でも地味でしたよ」「ゆみこは地味ですから」とあちこちから声が返り、そうか、あれがニュートラルなんだ、と納得する。

 わたし、思うんだけどさあ。
 今ゆみこちゃん、すっごいチャンスのときだよねえ?
 高校デビューとか転校デビューとか、わたしが若いころにあった言葉なんだが、「新しい環境でなら、イメージチェンジしやすい」ので、高校入学や転校を機に、それまでやりたかったキャラクタに自分をプロデュースするってヤツ。
 組替えデビューしてみたらどうだ?
 花組でも地味だったから、雪組でも地味でイイ、つーんぢゃなくてだ、思い切ったイメチェンをして、別キャラを目指してみる、とゆーのは?
 わかりやすい例でいうと、タニちゃん。彼は完璧な組替えデビュー組。月組時代は「かわいいボクちゃんキャラ」で、宙組に移動になってわざと「キザな大人の男」にキャラを変更した。
 タニちゃんみたいにやってみたらどーだ? や、タニちゃんのキャラ変更は失敗だったと思うけど。
 失敗例を見て怖じ気づかずに、チャレンジしてみようよ。
 雪組ファンの中には、ゆみこちゃん見るのも聞くのもはじめてって人、けっこういると思うのよ。そんな人たちに、今までとはチガウ「彩吹真央」を刻みつけようよ。

 とりあえず、髪型をなんとかしようよ。

 切実。
 少しも早く、改善を。

 ショーでのゆみこちゃんは、なにかっちゅーと一糸乱れぬオールバックorリーゼントをしている。

 ……似合わないから、ソレ。

 てゆーかゆみこは、サイドの髪をなでつけてしまうと、上に広い台形をしたアタマのカタチが強調されちゃうのよ〜〜。

 素のゆみこはあんなにかわいい少年なのに。
 どーして舞台ではあんなにファニー……個性が勝ちすぎた容姿になるんだ。

 素のかわいらしさを舞台に活かそうよ。
 タカラヅカは、まずビジュアルなんだから。

 男役の正装はリーゼントやオールバックだとわかっているよ、だからこそゆみこも、スーツや燕尾など「かっこいい」「アダルト」な場面になると気合い入れて髪をなでつけているのだと思う。
 でもソレが似合わないでここまで来ちゃったんだから、「まずビジュアル」のタカラヅカをまっとうするために信念を曲げようよ。

 リーゼントをやめて、素に近いふわふわヘアをなびかせる。
 襟足とか長めの方がいいな。
 黒タキだろうと燕尾だろうと、バリエーションつけるだけで基本は素の髪。
 髪を揺らして踊るの。
 要所要所で、髪をかき上げて。

 小僧っこがリーゼントも作らずに男役やってたら叩かれるけど、男役としての型を作ったあとなんだから大丈夫でしょ。
 リーゼントは必要最低限、しかも揺れる程度の前髪アリで作ること。

 なんで10年以上男役やってきて、自分に似合う髪型がわからないんだろう……。
 セルフプロデュースしよーよー。

 せっかくの組替えだから。
 「彩吹真央って人は、髪揺らして踊る人なのね」「いつも髪かき上げてて、ちょっとナルシーっぽい? 花出身だもんね」って思ってもらえばいいじゃん。

 歌えるし踊れるし芝居できるし、スタイル抜群だし、あとは華と美貌だけなんだから。

 もったいなくてじれったくて、むずむずする。

 
 と、ゆーのも。

 芝居ではちゃんとゆみこが2番手に見えたのに。

 ショーでは、ハマコが2番手に見えてしまったのですよ。

 ゆみこのウリである歌も、ハマコの方がうまい。
 なによりハマコの方が華(……っていうのか?)があり、押し出しがイイ。

 ダンスにしろ存在感にしろ、ハマコはとにかく実力の裏打ちの上で、うるさい芸風だから。
 目立つのよあの人! なにやっても!!

 ハマコに打ち勝つには、華と美貌を磨くしかないの。雪組でスターとして生きるには、まずハマコを倒さなければならないの!
 トップは真ん中として扱われるからともかくとして、2番手は下手をするとハマコに食われるのよー!!

 コム姫お披露目の『春麗がどーたら』を思い出して。
 トップスター朝海ひかる、2番手スター未来優希だったでしょう?
 みんなハマコの銀橋の「憎む憎むソング」はおぼえていても、かしげがなにしてたかはおぼえてないでしょう?
 何人の人に、「かしげの役はね……」と説明したか。みんなマジでおぼえてないんだもん。

 ハマコ、大活躍。

 よそから来た新米2番手なんか、吹っ飛ばす勢い。
 芝居ももちろんめーっちゃ安定して巧くて、学芸会になりそーな下級生芝居を引き締める。
 芝居は役目があるから自重しているけれど、ショーになると全開。
 あの歌声!!
 ゴスペルのラスト、コーラスが終わったあとハマコの短い短いソロで暗転するんだけど。

 鳥肌立ったわ。

 なんなのあのソウルフルな歌声。
 劇場に響く声。
 「声」という楽器の力。劇場の空気を変える、シンプルかつ最大の武器。

 てゆーかその前に、ハマコ先生中心の場面があるんですけど。
 ハマコ先生、娘役はべらして歌い踊るんですけど。

 そのうえ、エトワールまでやっちゃいますけど。

 ハマコ先生、ナチュラルにスターです。

 新生雪組って、W2番手なの?!(白目)

 トップと同期で別格寄りのW2番手扱い……ってそんな、どっかの組と同じ布陣?
 や、どっかの組の場合とはちがい、ハマコは実力有り余ってるからなー。かわりにスタイルはアレだけど。

 ああもお、ハマコ、ダイスキだ。

 ダイスキだけど、ハマコ2番手はいろいろまずいと思うので、ゆみこにはぜひ、がんばってほしい。
 1作目で敗北していたかしちゃんだって、美貌でハマコを打ち倒し、晴れて2番手になったんだからさ。

 がんばれ。


 水くん、トップスターお披露目おめでとう。

 はるばる在来線を乗り継いで、行って来ました名古屋、中日劇場。
 途中あたりまえに雪景色で、「タカラヅカ1の雨男」の「雪組トップスター就任」を地球からして祝っているのだなと微笑ましく思う。……いや、ものごっつー寒かったが。
 それでも名古屋に着いたら晴天。雪がぱらついても青空。……なんかめでたいやね。

 
 水夏希は、真ん中に相応しい人。
 最初に彼を認識したときから、そう信じて疑わなかった。や、わたしがどうこう以前に、人気と劇団の扱いがそうだったんだってば。わたしが最初に水夏希を認識した、花組に組替えしたばかりのころってさ、ほんとにすげー勢いだった。
 
 いずれ真ん中になる。いずれ必ずトップになる。……そーゆー人はわたしの好みではないので(笑)、スルーしている時期も長かったが。結局彼に夢中になって早数年。
 トップになるまで意外なほど時間がかかったが、たぶんそのおかげでわたしみたいな脇役・別格スキーのハートもGETしたんだろう。花組のころのままの勢いで、2001年くらいにトップになっていたら、わたしは彼を特別好きになることもなかったろう。

 真ん中に立つことがあたりまえ。
 そうでなかったことなど、一度もない人だと思っているのに。

 今、まさに真ん中にいる水夏希が……いっぱいいっぱいだ……。

 ど、どーしたんだ水くん。
 真ん中ぐらい、今までいくらでも経験してきたろ。新人公演からバウホール、青年館、果ては全国ツアーまでやってきたじゃないか。

 何故今さら、そこまでテンパっている?

 芝居からして、すでに変。
 汗はだらだらだし、リキみすぎて表情が硬い。もちろんちゃんと演技しているんだけど、なんか無理があるの。笑っていようとなにをしていようと、いついかなる表情のときでも、表面の顔の奧に必ずこめかみに怒りマークがついている感じ。
 無邪気な少年の笑顔……の奧の、こめかみに怒りマーク。
 恋にときめく少年の顔……の奧の、こめかみに怒りマーク。
 怒っているのではなくて、ぴくぴく血管浮くくらい、ぎりぎり本気で追いつめられている。

 水くん……ほんまに、真面目な人やな……融通きかないというかまともというか。

 テンション上がりすぎて、あちこち涙目だし。
 役として泣くならいいが、ソレとは無関係にテンパってるの。感情が高ぶりすぎて目が潤んでいるの。

 どこのヲトメだよ、この男。

 あまりにオンナノコであまりにヲトメで、こっちがびっくりする(笑)。
 顔はオトコマエなのに……男にしか見えないのに……なんてヲトメなチカちゃん。

 もちろん芝居の最後はマジ泣きして、アイライン溶けてました。

 ショーは水くん踊りまくり! となみちゃんともゆみこともしっかり絡んで、「お披露目おめでとう」ムード満載な作品。

 たしかにダンスはハードそうだ。やたらめったら踊りまくっている。てか、リフトもすげえ。
 そのうえ、歌も多い。

 水夏希、へろへろ。

 汗が滝のようだ。ドーラン剥げて、縦縞入ってる……?

 たしかにハードな作りかもしれんが、この緊張感だとか追いつめられた感は、いったい……。

 全開の笑顔でも、なんか漂う悲壮感。
 怒りマークは解け、かわりに縦線入ってる感じ。ちびまる子ちゃんがよく、カオの端に縦線入ってるでしょ、アレ。

 た、たのむ。
 このまま無事に進んでくれ、終わってくれ。
 水しぇんのアタマの中、いろいろいろいろ回ってるんじゃないの? 手順も役割も、そして思い出も。

 なんかあまりにいっぱいいっぱいで。

 手に汗握ってしまった。

 ……トップお披露目初日って、ここまで緊張するモノなのか。
 トップスターってのは、こうまでチガウものなのか。

 若くして抜擢され、ずーっとエリート街道突き進んできた、真ん中に立ち続けて来た人すら、ここまで追いつめられるモノなのか。
 や、水くんがまともな感覚の持ち主である、ってことに尽きる話かもしれんが。

 挨拶は感動を示しつつも、短く端的にまとめようとしてエンド。てか、挨拶文前もって暗記してたよね?(笑)
 まともに締めくくったんだけど。

 カテコが繰り返されるうちに、どんどんぐちゃぐちゃになっていく(笑)。

 「まともな挨拶」を心がけていたんだろーに、だんだんフニャフニャになっていってるよこの人!!
 場が持たなくて、突然「イエ〜〜ッ!!」と叫んでみたり、天気の話をしてみたり。

 そして、鳴りやまない拍手に、降りたままの緞帳前を大羽根背負ったままカニ歩きで出てきて、さらにフニャフニャな話をはじめたり。

 今朝、お祝いのメールがたくさん届いたらしい。突然そんなこと言い出すし。言い出して、収束させないまま「今日の日を一生忘れません!」とかなんとか叫んで終わらせるし。

 記憶だけで書いているので、どこでなにを、どのカテコでなにを言ったかおぼえてないし、まざっちゃってると思うけど。わたしの海馬、出来が悪いから。
 ただ、最初は考えて喋っているのがわかったのに、あとになるとのーみその動きがスローになっていってるのがわかるの。顔に出てるよヲイ! それでも「がんばる!」と気を張っていることも、わかるのだけど。

 ……かわいいなあ、水夏希……。
 カオも芸風もオトコマエなのになあ。
 なんでこう、生真面目でまともでヲトメなんだろう。

 届いたお祝いメールの中には、コムちゃんからのメールもあったのかなぁ。『タランテラ!』ムラ楽のコムちゃん出迎えイベントを仕切りながら、ジーンズの尻ポケットからあったりまえに携帯取り出し、コム姫と喋っていた水先輩を思い出す。あのときも、カオに「使命感!」って書いてあったな。
 しいちゃんからのメールも、きっとあったよね。あいようこお姉様からも、あったよね。きっと。
 きっとたくさんのひとが、「おめでとう」を言っている。

 おめでとう水くん。

 早くその「緊張っ!!」マークを消して、「真ん中」で自在に呼吸してね。

 そこが、あなたの場所なのだから。


 大阪から、名古屋まで。

 新幹線のぞみ利用なら、6180円。
 所要時間は1時間4分。

 や、「安いがエライ」の大阪人。どーしても1時間4分で到着しなくてはならないならともかく。
 もっと安く行きますか。

 近鉄特急アーバンライナー利用、4150円。
 所要時間は2時間5分。

 さらに金券ショップで買えば、アーバンライナーは3150円になる。

 名古屋まで、往復6300円。

 そーやって去年までは行っていた。

 だが今年。
 新しい方法にチャレンジだ。

 大阪−博多を青春18きっぷ+ムーンライト九州利用で、博多座のチケット1枚より安く往復したり、各社夜行バス乗り比べてみたり、安い交通手段を模索する人生。

 「こんな方法がある」とか知ると、俄然意欲がわく。フロンティア・スピリッツ! やってやるぜ! と。

 ゲーム感覚かしら。
 わくわくするの。

 で、今回の「大阪−名古屋」は。

 「近鉄株主優待券」利用で、在来線ONLYで名古屋往復!

 株主優待券は、「1回限り、どれだけ乗ってもOK」切符。
 それを1枚1400円、往復2枚必要だから2800円で、金券ショップにて購入。
 もっと早くから動いていれば、さらに安くなったはずだが、いつもギリギリだから(笑)、こんな値段。それでも。

 「大阪−名古屋」往復2800円!!

 新幹線正規料金なら12360円かかるところが、2800円。

 すげーや、新幹線との値段差。そして、アーバンライナーと比べたとしても、格段の安さ。

 それもそのはず。
 特急を利用せずに名古屋へ行くには、片道3時間16分かかるのだっ!!

 新幹線の3倍!! 時は金なり精神ではありえない時間!!
 アーバンライナーの1.5倍強!! ……ん? 1.5倍? なーんだ、たいしたことないじゃん! と思わせる数字のトリック(笑)。

 新幹線と比べても、時間が3倍だとしても、値段は4分の1だから、結局はお得な計算に。これもまた数字のトリック?(笑)

 まあなんにせよ、わたしは、燃えました。

 やってやるわー、初体験よー、挑戦よー。

 どうせ電車の中ではゲームやってるかパソコンでなにかしら文章書いてるか、寝てるかだし。
 家にいるのと変わらない。それなら、時間とお金を、有効に使いましょう。

 つーことで、片道3時間以上かけて名古屋への旅。

 向かうは中日劇場、水夏希トップお披露目公演初日。

 待ってて水しぇん!!
 あなたのこあらが駆けつけるわ! 鈍行列車を乗り継いで!!(笑)


 確率はどれくらいだったんだろう、と思う。

 宝塚友の会の、会員先行抽選。

 たとえばさあ、先日の「音楽学校文化祭」。
 わたしはどりーずの仲間たちに半強制的に協力を依頼し、「ダブっても全部引き取るから、複数回観る気満々だから! てか、1枚だけでも当たれば御の字だから!」との願いを込め、ドリーさんはこの日時、kineさんはこの日時、とゆーよーに振り分けて入力してもらったですよ。

 結果は、全滅。
 1枚も当たらないさ。

 友会で抽選販売のみ、つーの勘弁してほしいよほんと。一般発売してくれよ……。
 89期からずっと観てきたんだが、去年からだっけ、一般発売がなくなったのって? まあ、文化祭であって身内が観るモノだから、市場に出回らないのは仕方ないが……。

 文化祭なんて、興味のない人にはほんとに興味のない催しだと思う。
 わたしも長年スルーしてきた。身内以外の人が観られるって、知らなかったし。
 入力総数はそれほど多くない? ただ、当選枚数が少ない?

 さて、倍率にするとどうなったんだろう?

 
 某協会の会報誌掲載プレゼント抽選は、倍率発表があるの。

 わたしはいつも宝塚歌劇チケットに応募しているんだが、当たったことはほとんどない。
 それもそのはず、ものすげー倍率なんだ、タカラヅカ。
 応募総数は5桁軽く行ってたかな。それで50組とかの当選者数じゃ、まず当たらないわなー。
 他の演歌歌手主演の特別公演だとか、それほど有名どころでないクラシックコンサートだとかとは、倍率桁違いだよ。
 でも、年2回くらいあるタカラヅカのチケットプレゼントには、果敢に挑戦しつづけている。
 ハズレ続きでも、倍率を公表されているので、納得してしまう。そして、どんなに倍率が低くても、演歌歌手公演とかにエントリーしようとは思わないもの。タカラヅカがいいの!!

 
 友会でも、倍率発表があればいいのに。

 全公演全日程、まんべんなく。

 あら、この平日3時開演は倍率0.7だわ。じゃあ入力したら絶対当たったってことね。
 サヨナラショー付き千秋楽、倍率5521486? んまぁ、これじゃわたしが当たるわけないわね。

 ……とかさー。

 大劇場平日公演も入力してるのに、それでも全滅とかすると、なんで?というキモチになるが、倍率発表があれば納得。
 なんでもいいから当たって欲しいときは、次から倍率の低そうな日時と席種にしてみるとか、対策も立てられるのに。

 応募総数ではなく、倍率のみ。
 人数だとか友会席が何枚あるかとか、知られてはならないことがいろいろ多そうな劇団なので、そのへんは公表しなくていい。
 倍率がえらく高くて不思議な日時、実は友会席が極端に少なかったり? でもそんなことまで倍率だけではわかんないよね。たまたまかもしれないし。
 倍率全部公表。友会はズルしてませんよ、ほーらこんなに倍率が!とアピールできるぞ。

 と、他愛ない夢を見る。

 去年のトップ退団ラッシュ、千秋楽倍率とか、どれくらいあったんだろう……ぶるぶる。

 まあ、倍率公表したって、数字は操作できるから意味ないかもしれないけどさー。
 
 なんにせよ。
 当たらないなあ、友会。


 大階段を埋め尽くす全生徒たち!!(のぞく宙組)
 てっぺんまでぎっしり生徒。
 音楽学校生たちまで総動員。
 花道にもみっしり生徒。

 壮観。

 これぞ、記念イベントの醍醐味。

 と、前日欄と同じ文章引っ張ってきてます、『清く正しく美しく』ラストパート。

 みんなで歌おう「逸翁讃歌」。

 てっきり素顔+袴姿だと思っていたのに、舞台化粧+黒燕尾と白ドレスだーーっ!!

 きゃっほー。

 わたしの第一目的は、まっつを探すこと。

 まっつどこだまっつ!!
 すぐに見つかった。上手花道。

 ゆーほさとるの隣!!

 花道は男女交互に並んでいたので、間に女の子ひとり挟まってるんだけど、男役としては隣同士!!

 ゆーほとまっつが同じフレームに入る! やーん!!(かなりうれしいらしい)

 そう、わたしがナマにこだわるのは、わたしが見たい人は、テレビに映らないから。

 まっつを探してガン見する。それが、いちばん強い原動力。

 ……なんだけど。

 
 こまった。

 わたしはどうも、贔屓だけを見ていればそれで納得、とゆーのができないらしい。

 あれほど「まっつを見る」と決めていたのに。

 どうしてまた、点呼取ってるんですか?!

 大階段をオペラグラスで丹念に眺め、下級生のカオを確認、点呼を取っていく。
 みんな楽譜見るのに必死だなあ。
 みんな下を向いて、重い付け睫毛が目を覆い隠している状態だから、前を見て歌っている子は目立つ。

 不思議だ……何故まぁくんが、前を向いて歌ってるんだ? 歌、得意じゃないのに。暗譜してるの? キミが? そーゆーキャラだったのか?

 まさきが必死に前を向いてアピっているのも、マギーが「当然ですが、なにか?」とキラキラ光線を発しているのも、だいもんがちゃっかり前を向いて歌っているのも、予想の範囲。

「めぐむはどうだったの?!」
 と、公演後劇場前で待ち伏せしていたnanaタンに聞かれましたが、めぐむはふつーに歌っていたよ。楽譜を見たり、顔を上げたり。
 ひとりだけにょきっとでかいから、目立つよね。宙組いないし。

 下級生チェックに必死になりすぎ、途中ではたと我に返る。

 なにやってんのよあたし! まっつ見なきゃ、まっつ!!

 と、あわてて花道のまっつを眺める。

 でもなあ、まっつずーっと楽譜ばっか見て歌ってるんだよなあ。カオ上げてくんないんだよなあ。

 また、まっつ眺めるのにあきて、点呼に戻る。

 なんでそのかはいつも、まっつと反対の場所にいるのよ。同期なんだから並べてよ、近くに配置してよ。
 まっつを見ているとそのかを見られない。それがくやしい。それが残念。
 ……それでも、そのかのいる下手花道も見る。点呼をする。

 花道は男女交互に並べられているのに、根本の方に行くとそれが崩れるのね。娘役が団子になっていたりする。このあたりの学年は、女の子の方が多いんだな。

 本舞台の隅も眺める。点呼をする。
 すずみん、こんなところにいるんだね。なんかすずみんがすごくなつかしい……見られると思っていた人を見られなかったためだろうな。
 82期まで本舞台、83期から86期まで花道、87期から大階段?

 真ん中は見ていません。

 潔いほどに。

 ごめんよ、オサ様もトウコちゃんも水くんも見てないっ。
 だってそんなヒマなかった。
 彼らはスカステで映してくれる。当日内に放送があるんだもの、わたしのオペラグラスよりずーっとずーっとアップで映してくれるはず。
 今はソレより、「今」しか見られないモノを見なくっちゃ!!

 つーことで、点呼。
 大階段、花道、舞台端。

 そしてまた、はっと我に返る。

 なにやってんのよあたし! まっつ見なきゃ、まっつ!!

 と、あわてて花道のまっつを眺める。

 花道のまっつを見て、大階段に戻り、またあわててまっつを見て、また大階段を見る。
 オペラグラスが高速移動。

 酔った。

 乗り物酔いと同じ。揺れる視界に、気分が悪くなる。

 植爺イベントのときは、まっつがいなかったから誰を観るということもなく、端から順に点呼をして行けたんだわ……まっつがいたら、こんな大変なことになるんだ……くらくら。

 なんて罪作りなの、まっつ!!(オマエが多情なだけだろ)

 花道のまっつって、なんかいいなあ。
 新鮮だなあ。

 ほら、花道ってば、終演のときぞろぞろと袖に引っ込んでいくでしょ。
 で、カーテンコールがあると、あわてて走り出てきて所定の位置に着き、幕が下りるタイミングに合わせてまた袖に走り去る。

 まっつが走ってるー。やーん、かわいー。(なんでもいいらしい)

 もっともっとカテコがあるかと思った。OGさん呼んで喋ったりするかと思った。
 が、とても淡々と終わった。
 時間が押してたのかな?

 カテコが繰り返されれば、走るまっつをもっともっと眺められたのになぁ。残念。

 にしても、あのクソ長い「逸翁讃歌」が、点呼を取っているとあっという間だったよ……「えっ、もう終わり?!」で、トップさんのソロとか、あのイタイ歌詞とか、ぜんぜん聴いてないよー。

 
 逸翁デーという催しはいつも微妙だと思ってきたけれど、逸翁という人がいてくれたから、タカラヅカがあるのだから、感謝しているよ。

 こんなにこんなにダイスキになれるものを、創ってくれてありがとう。
 大好きな宝塚歌劇団が、100周年、200周年、続いていきますように。


 トップが代替わりしたり、組替えがあったり、したわけなんだが。
 その「新しい布陣」での最初の舞台だったりするんだが。

 変だなあ。
 『清く正しく美しく』では、その「新しさ」を特に感じなかった。トップに関しては。

 ずらりと並んだトップスター。
 オサ様、あさこちゃん、トウコちゃん、水しぇん。

 えーと、この並びははじめてで、とても新鮮なはずだよねえ?

 わたし的には、なんかとても馴染んでいてフレッシュさはないっす。

 たぶん、当然だと思えるからだな。

 彼らがトップスターであることに。
 トップになるべき人が、正しくトップスターをやっている。

 それだけのこと。
 だから、とても「あたりまえ」に思えてしまって、新鮮味がない。こまったわー(笑)。

 そこにそれぞれ、彩音ちゃん、かなみちゃん、あすかちゃん、となみちゃんと揃うともお、華やかで美しくて、拝んでしまいたくなるほど眼福です。

 これまでのトップコンビも好きだったけれど、これからもたのしみだー。

 
 でもって、2・3番手たち。
 多少顔ぶれが変わっているんだけどなあ。

 まとぶと壮くんが一緒にいる。
 …………。
 まあ、そんなもんかと思う。
 今までもイベントでは同じ3番手グループにいたわけだから、違和感がない。
 このふたりが、これから同じ組で同じ舞台で芝居したりするんだよなあ。……壮くんのキャラがツボなわたしは、ソレを想像するだけでたのしい。

 キムとゆみこが一緒にいる。
 …………。
 なんかこのふたり、似てる。なんでだろ。そっか、首がないところが似てるんだ。と言ったら、nanaタンにしかられました。やべ。
 雪組ゆみこに違和感ナシ。地味にならないことだけを切に祈る。

 しいちゃんとれおんが一緒にいる。
 …………。
 あれ? すずみんは? すずみん、出てたよね? 1部の日舞で見かけたぞ。
 今まで、すずみんはれおんとコンビ(『恋天狗/おーい春風さん』とか『それでも船は行く』とか)だった。最近では、しいちゃんと2個イチだった(『ネオ・ダンディズム!』とか『ヘイズ・コード』とか)。
 なのに今ここに、すずみんはいない……。
 すずみんの出番、まっつと同じなんだ……。まっつっていちおー、花組5番手?(5番目? 順位外?)そのまっつと同じにしか、出番がないなんて。
 今までのイベント物では、わずかでも1場面もらったりしてなかったか?
 なのに今回、背景扱いなの?

 なにがどうじゃないけれど、その事実にしょぼん。
 れおんがどうとか、しいちゃんがどうとかゆーことではなくて。

 ここにすずみんがいない、そのことがショックだった。

 変わっていくんだなあ。
 「新生」って、「代替わり」って、「組替え」って、そーやって変化しながら、進んでいくんだよなあ。

 トップ娘役と2・3番手による歌い継ぎを見ながら、トップスターたちのソロを聴きながら。

 「逸翁讃歌」という、心の凍り付くような「教祖様を讃える歌」を、それでも真面目に歌う全出演者たちを眺めながら。

 心から、祈るよ。
 みんなみんな、しあわせなタカラジェンヌ人生を送れますように。

 競争社会であり、ピラミッド型スター制度を取っているカンパニーなのだから、横並び一列でゴールを切れるはずがないのはわかっている。
 だがそれでも、それぞれが納得の出来る、幸福なジェンヌ人生を送って欲しいと、切に思う。

 
 トップのソロ曲は、なにがどうなってその曲に決まっているのかわからないけれど。

 「花に散り雪に散り」を歌うトウコちゃんに感動!!

 いやあ、トウコちゃんこーゆーくどいハッタリ系ソング、似合うよね〜〜!!
 本役のカリンチョさんが出演している舞台で、現役生が歌うことになるとは思ってなかったよ。

 なつかしいなあ、『忠臣蔵』。
 旧大劇場最後の公演。
 千秋楽の日は「混雑するからムラへ来るな」てな意味の張り紙が、わたしの最寄り駅(宝塚駅にじゃないよ。宝塚からはるかはなれた大阪の、小さな某駅だよ)にすら貼ってあったなあ。あのころはライトヅカファンだったので「トップ退団の千秋楽っていうのは、阪急沿線すべての駅に『混雑するから来るな』って注意書き貼るもんなんだ」とのんきに感心してたっけ。
 んな張り紙、あとにも先にも見たことないって。
 大劇場最後でトップスター退団、ほんとにビッグイベントだったんだよなあ。

 オサ様の持ち歌「愛と死の輪舞」を聴けたことに感動。
 あああオサ様好き、トート様好き。
 オロオロ取り乱しちゃうくらい、うれしかった。

 てゆーか、なんでオサ様だけ持ち歌なの? 他のトップはみんな持ち歌以外なのに。
 ソロの選曲は謎だが、とにかくうれしい。

 春野寿美礼、ダイスキだ。
 ひさしぶりに会えたオサ様に、「わたし、オサ様に飢えてたんだなー」と漠然と思う。

 すばらしい歌声に、「……コレ、水くんも歌うんだよね……が、がんばれ」と、改めて思う(笑)。
 水しぇんのソロ曲は「さよならは夕映えの中で」でした。トップ・ソロの先頭。えーと……ははは、水しぇん歌はほんとやばいよね。やばいけど、好きよ。その歌声ごと。

 
 トップスターはみな、トップスターらしい。
 納得の華と実力。
 彼らが一同に並ぶ様は見応えがあるさ。

 そしてさらに、彼らのソロ場面からずーっと閉められていた本舞台カーテンが開いたソコには、大階段を埋め尽くす全生徒たち!!(のぞく宙組)
 てっぺんまでぎっしり生徒。
 音楽学校生たちまで総動員。
 花道にもみっしり生徒。

 壮観。

 これぞ、記念イベントの醍醐味。


 今さら言うことでもないが、わたしは轟悠ファンだ。

 今さら言うことでもない、のは、わたしの気持ち的にな。

 あれは今から19年前。……目眩がするほど大昔だが、わたしからすりゃーついこの間のことじゃ。よぼよぼ。
 うっかり轟悠の美貌にハマってしまい、そのやんちゃな芸風に心躍り、機嫌良く彼を眺めるためにタカラヅカへ通っていたさ。
 友の会すら入らず、機関誌も買わない、ましてやFCには恐怖感しかなく(なんでお揃いの服着てるの? こわい団体! 目を合わさないようにしなきゃ! ……てなもん)、チケットの買い方もわからないまま壁にぶちあたりつづけていた、そんな初心者ファンライフ。
 舞台の隅っこにいるトドをオペラグラスで追いかけ、ドキドキしていたさ。
 数少ない出番を見逃さないよう、まずプログラムを買って、出演場面には蛍光マーカーで印を付けた。踊る男Bとか、10人以上いる役だと、短い時間で探しださなきゃなんないからねー。
 端までスポットライト当たらないことだってあたりまえにあるし。トドは1列目の端とか、2列目の端寄り(真ん中にはいない)あたりにいることが多かった。真ん中のスターさんを見ていたら目に入らない場所。おかげで、映像にはほとんど残ってない。この場面、トドも出てるのに! 端の方で踊ってるのに、ぜんぜん映ってない! ……が、あたたりまえ。

 そんなところからスタートして、気が付くと19年経っていた。

 トドのことはずっと好き。
 あまりに「好き」でいることが日常なので、なんとも思わない。

 『清く正しく美しく』で活躍するトド様を見ても、ときめくことはない。

 第1部の芝居で主役を務めたっつーに、第3部の歌謡ショウでもやたら登場。
 各組2・3番手の男前たちを両側にはべらし、4組分歌い継ぐ。
 若者ふたりの間にトド様。キムやれおんとも並んぢゃうんだー。

 トドかいるから絶対にトドを見なきゃ、とは特に思わない。
 ファンだけど。
 見るとか見ないとか、とくになにも考えることなく、そのままを受け止めている感じ。

 トド様が相変わらずきれいで、あいかわらず野太い声で、あいかわらずの重い芸風で、舞台にいる。
 それはすでに日常だから、とくになにも思わないし、ときめきもない。

 だけど、うれしい。

 特別彼を見なくても。オペラグラスでガン見したり、一挙手一投足を追いかけたりしなくても。

 ああ、いる。
 それだけのことを、うれしく思う。

 や、トップ専科としてのトドの使い方云々とかゆー話とはまったく別な。
 組トップを差し置いて、通常公演で主役級の扱いをされ続けることの是非とか、そーゆー話ではなく。

 彼の扱い云々とは別の次元で、彼がいることは、安心でありよろこびであるんだ。わたしには。
 ずーっと好きでいたから。ずーっと好きでいるから。

 変わらないモノという、「ファンタジー(嘘)」を愛している。

 変わらないモノなんて、この世には存在しない。
 トドも変わり続けているし、わたしも変わり続けている。

 それがわかっていて、わかっているからこそ、ファンタジー。
 嘘だと知りつつ、絵空事だと、男役は女が無理してわざわざ男を演じているありえない存在だと、わかったうえで夢を見る。夢に酔う。
 「タカラヅカ」という虚構をたのしむ。

 轟悠は、タカラヅカだ。

 端的に、タカラヅカだ。

 わたしを19年、この夢の花園に足を止めさせる(てゆーかどっぷり浸らせる)「タカラヅカ」という嘘の世界を象徴する、そーゆー存在だと思う。

 わたしより上の世代の人にとって、ソレが鳳蘭なのかもしれないし、あるいは深緑先生なのかもしれないね。

 今のトップスター、オサ様やあさこちゃんやトウコちゃんが、今と未来の人たちの「タカラヅカ」になるのかもしれない。

 退団したあとも、なにかっちゃーイベントに戻ってきて、男役時代の歌を歌って。
 戻ってきた彼らを見て「あのころ」にタイムワープして。
 若かった自分自身ごと、愛しく想う。

 ヅカファンとしての濃度が変わっても、卒業してしまったとしても。
 「タカラヅカ」として、刻まれるタカラヅカ・スター。

 わたしにとっては、轟悠。

 だから、いてくれる、それだけでうれしい。

 や、ほんと、ときめかないけどな(笑)。
 我が家のおとーさん的ポジション。長生きしてね、元気でいてね、みたいな。今さら彼氏にも旦那にもなれないけど、大切だよ、みたいな。

 ディナーショーに行く金はないが、彼の出る舞台は全部観る。観たいと思う。
 彼の「タカラヅカ」としての力を信じている。その心地よさを知っている。

 最近はイベントが多くて、そのたびいつものOGと、いつものトドロキを見ている気がする(笑)。
 まったく、タカラヅカはすごいところだ。
 こーやって、受け継がれてきて、受け継いでいくんだものな。

 2・3番手とのメドレーの他は、イベントのトリのソロ、持ち歌来ました「雨の凱旋門」。
 好きだよ、この歌を歌うトド様。
 枯れていて(笑)、色っぽくて。


 逸翁デーSP『清く正しく美しく』、第2部はOGコーナー。
 あまりにイベント続き、あまりに出演続きの人たちについては、言葉はない。すごいことはわかるが、正直もうありがたみに欠ける。

 つーことで、めずらしい方の人たちについての感想。

 マミさんが、素顔だ。

 真琴つばさが、素顔で宝塚大劇場の舞台に立っている。歌っている。違和感ナイ。
 派手な衣装と、「間奏でやることがないので、手拍子お願いします」と言う、言うことがゆるされるキャラクタも、現役時代そのままに。

 マミさんだー。喋れる人だから安心だー。

 歌唱力はともかく、エンターティナーとして安心していたのに、喋り部分で彼はやってくれた。
 次の出演者ヤンさんを紹介するはずが、声高らかに「次は、安奈淳さんです!!」

「ヲイ、ちょっと待て」

 観劇中に私語などもってのほかだが、思わず声に出して突っ込んでいた。や、わたしだけじゃない。劇場中から、声が上がったって。

 安奈淳と安寿ミラ。「安」しか合ってねーっつの。

 コレは、痛い。痛すぎる失敗。
 マミさんは狼狽し、その場に崩れ落ちた。

 土下座して謝罪。

 ヤンさんがいるだろう下手花道袖に向けて。

 爆笑渦巻く舞台に登場し、何事もなかったかのように「かわらぬ想い」を歌わなければならないヤンさんに同情。客席も、気持ちを切り替えようと努力している。努力はしているんだけど……な微妙な空気。
 いい歌なんだがなあ、「かわらぬ想い」。

 ヤンさんは外部の舞台でも見る人だし、また客席でもよく見かける人なのであまりなつかしさはない。相変わらずきれいな人だ。そして、マミさんのものすげー失態についてのコメントもナシ。クールだ。
 無料配布のプログラム、OGさんのみ写真入りなんだが、他のみなさんショーの写真なのに、ヤンさんだけ芝居、しかもブラック・ジャックなの。きらきらしい羽やらスパンコールやら付けた写真の中にひとりだけ、沈み込んだ芝居写真。だって正塚芝居だし。しかも、よりによってブラック・ジャック。コスプレですがな。
 芝居の歌を歌う人たちは他にもいるのに、何故ヤンさんだけこんなマニアックなことになってるんだ……(笑)。

 びっくりしたのは、杜けあき氏。舞台でこの人を見るのはひさしぶりだったんだが、変わらぬ豊かな歌声。
 うわああ、ギャツビー大好きだったよお。名曲「朝日の昇る前に」を、カリンチョさんの声で聴けるなんて。じーん。この作品、古代みず希さんの芝居巧者ぶりも際立ってたよなあ……そしてトドの美形執事ぶりも。トドがあの彫刻のような美貌で、無表情に淡々とアドリブでなにかしらやらかすのが、ものごっつーたのしかった……。

 しかしカリンチョさん、歌い終わった後がいかんかった……もんのすげーハイテンションで、空気読まずに喋りまくる。いつまで喋るんだろう、どこまで行くんだろうと、びっくり眺めてしまったよ。

 ゲストコーナーでいちばんおどろいたのは、マミさんの失言でもカリさんのマシンガントークでもなく、一時代を築いたOGたちの歌声でも存在感でもなく、カリンチョさんの、退団学年だ。

 研13て!!

 当時カリさんといやあ、親父トップの代名詞。大人の男、おっさん役まかせろのラテン・ラヴァーだったぢゃないですか。大石内蔵助やって卒業していった人ですよ?
 それにカリさん、4年トップやったよね?
 んじゃ、トップ就任時は研9とか10とか?!
 えええ、あんなに老けてたのにぃ?!

 研9とか10って、キムやほっくんぐらいの学年だよね。
 そして、タニちゃんが今年、つーか来年度研13だよね。
 キムやほっくんが新公卒業すぐに単独2番手になって、今年トップになる、くらいの感覚。
 タニちゃんが今の学年で「トップ生活4年目ですがナニか?」くらいの感覚。まとぶでもいいよ、同期だから。

 ……ありえない、時代のズレ。

 タカラヅカに限らず、現代の若者は成長が遅いよね。昔は24歳とか「大人」だったけれど、今はまだ「若者」であって「大人」ではないものね。
 25歳で行き遅れ、30過ぎたら高年齢出産だったあの時代、20代後半でトップ、30ちょい過ぎで退団、というのは「タカラヅカのトップスターは婚期をあきらめなければならないんだな」と思わせたもんだ。

 今の時代、30半ばで退団したって人生ふつーにこれから、だもんなあ。

 世の中的に旬な年齢が上がってきているもの。前にも書いたが、数年前のドラマ『やまとなでしこ』で究極のモテ女として描かれた松嶋菜々子演じるヒロインが28歳の設定だったくらい、昔と今ではチガウもの。
 杜けあきがトップをやっていたよーな時代なら、25歳過ぎれはババア認定、28歳ならどんなに美人でも28だというだけで周囲から後ろ指さされる設定になるところだ。

 世の中がそうだから、ジェンヌの学年が上がるのも自然の成り行き。
 5年くらい若者の成熟が遅れているみたいだから、ジェンヌも+5学年でいいんだろうさ。

 
 歌はよいのだけど、逸翁デーでナニがつらいかって、逸翁存命時の思い出、のあるOGのトークほどつらいものはない。

 興味がないとか、そんな人知らないとかゆーわけではなくて。

 たんに、5W1Hを理解せずに喋る素人の繰り言を聞きたくないだけなんですよ。

 When、Where、Who、What、Why、How。
 いつどこで、誰がなにを、なんのためにどうしたか。
 この「人に伝えるための基本中の基本」を知りもしないで、だらだら垂れ流されるお喋りが苦手。

 扇千景さんとか、政治家なんだから5W1Hぐらい、わきまえて喋ってくれるだろうと勝手に思っていたんだけど、無理だったらしい
 本人のアタマの中だけで辻褄のあった話をされても、あなたのアタマの中が見えないしアナタの半生も知らないから、わかりよーがないよ。
 もちろん想像して補完するけど、んなもん、客がすることじゃない。

 逸翁イベントは、毎年同じスライド上映と、最悪な「教祖様を讃える宗教ソング」と、まともに話すことの出来ないOGのトークを長々と聞かされる、この3点がつらくてつらくてしょーがなかった。
 OGのトークも、プロの司会者がいれば彼女たちが組み立てることの出来ない5W1Hを、司会者が「それは**が**したということですね」とか「それを言ったのは誰ですか?」とかいちいち翻訳したり、文章を組み立ててくれただろーに。それすらないからなー。垂れ流しだもんなー。

 とまあ、おばあさま方のトークはとほほでしかないんだが。

 深緑夏代さんという、カケラも知らない「昭和10年初舞台」というおばーさまの、歌に涙が出た。

 「逝きし人達」というシャンソンで、いろんな「もういない人たち」の名前が歌の中に出てくる。
 朗々と、決してしめっぽくなどなく、飄々とした明るさや茶目っ気すらある歌声なんだが、泣けるのよ。

 いつか、人は死ぬ。
 いつかみんな、いなくなる。
 それがかなしみだけでなく、とてもあたたかいキモチで歌われている。
 いつかまた、会えるよ。
 生まれてきたことすべてを肯定し、生きていくすべてを肯定し、この世のすべてを肯定する。

 いやあ、ありがたい歌声だった。
 こういう人をもあったりまえに内包している、タカラヅカってのはすごいところだ。


 スペサルな逸翁デー、『清く正しく美しく』

 もうすっかり忘却の彼方だったけどそーいや幕開き冒頭は、逸翁の演説フィルム上映でした。
 昭和13年の愛読者大会だっけかの。

 愉快なのは、そこですでに「日本物は人気がない」と逸翁の口から語られていること。日本物に人気がないことはわかっている、でもタカラヅカは日本物をやらなきゃーならないのだ、みたいなことを言っていた。

 1938年の段階で、すでに日本物は人気がなかったのかよ。

 タカラヅカの長い歴史の中、ずーっと日本物は人気がなかったっつーわけか。
 「選択肢がなかった」太平洋戦争時代だけか? 日本物が支持されたのって。

 まあ、そんなこんなで、「ファンが喜ばないことはわかっているが」と前置きしての日本物ミュージカル。
 『恋に破れたるサムライ』。

 女ひとりをふたりの男で争う、一見恋愛モノ。
 しかしその実、火曜サスペンス劇場系のノリで物語は展開する。

 
 遠藤盛遠@トド様。
 強引で猪突猛進な超美形様。人生挫折無しでなんでも思うがままにしてきた若きエリート官僚は、「子どもの頃、結婚の約束をしていた」袈裟御前@キムが渡辺亘@トウコと結婚してしまったことでブチ切れる。
「恋敵の亘を殺し、約束を破った袈裟御前の母親を殺してやる!」
 だって彼が正義。思ったことは思ったままにやってきた。「私がそーゆー性格だと知っているだろう!」……迷惑な。

 吠える盛遠に、袈裟御前が言う。
「亘を殺してください、私が手引きします」
 キラリ光る新妻の目。盛遠と袈裟は幼なじみ。亘の妻となりラヴラヴに見えた袈裟だったが、出世した盛遠を前にして気が変わった模様。
 夫・亘を殺し、幼なじみのエリート盛遠と再婚。完璧な筋書き。「ふふふ……」ぶ厚い唇に半分だけ塗った朱がこわい。

 そーして、殺人計画の夜。
 嫁にベタ惚れの夫・亘は袈裟の酌に、ヨイヨイで酔っぱらう。
 袈裟はなにかっちゅーと「これが最後……」とつぶやいては「なにか言ったか?」「い、いえ、なにも」てな会話を繰り返す。
 決行は今夜。今宵が夫婦最後の夜。袈裟はもー、しつこいほど「これが最後……ふふふ」を繰り返す。もういいから、ソレはわかったから! と観客に突っ込まれるためにだろうか。
 疑わない夫を酔い潰そうとする、新妻の鋭い視線。「これが最後……ふふふ」
 逃げて亘、逃げてーっ! その女、あなたの殺人計画を練っているのよ?! 酔い潰したあとに男を呼び、あなたを殺させるつもりなのよーっ。

 高まるサスペンス。
 悪女・袈裟のたくらみは成就するのか? 利用される単細胞・盛遠は? コキュとなりはてた亘の命運は?!

 火サスのノリ。すげえ。

 で。
 袈裟はもちろん、亘の身代わりに盛遠に殺されるんだけどね。
 「これが最後……」というのは、自分が死ぬって意味だったんだけどね。盛遠のよーな強引自己中権力者に見初められたが最後、自分が死ぬ以外に周囲のモノを守る術はないと思って。

 筋書きは最初からわかるんだけど。

 演出のせい? キムの演技のせい?

 袈裟が夫殺しをたくらむ悪女にしか見えなかった。

 そして、袈裟が自殺すれば済む話なのに、わざわざ盛遠に殺させるのは、盛遠への復讐にしか見えないんですが。

 おそろしい……。
 なんておそろしい女なの、袈裟!!(白目)

 火曜サスペンス劇場・女の犯罪シリーズって感じ。

 もっと可憐な持ち味の娘さんが袈裟を演じれば、ちがっていたのかもしれないけどねえぇ。

 さて、残された男たち。

 爆裂わがまま男・盛遠は、それでも袈裟を愛していたのは本当だったらしい。
 袈裟を殺してしまったことで慟哭し、激しく後悔し、亘に断罪を求める。
 イイ面の皮、ここまでコケにされた夫は大変・亘も激しく自分を責めながら、復讐の刃を納める。盛遠を殺したからって、どうなるもんでもなし。

 トド様とトウコの競演、てすげー豪華だ。
 しみじみ。

 このふたりのこってりした芸風は、合うんだよなー。元祖雪組芝居っていうか。
 トウコは下級生時代何度もトドの役をやっているしねー。トドのトップお披露目時は単独3番手で悪役やってたしねー。
 そーいや「トウコの涙がトドを動かした」ってのもあったよなあ、昔。
 新公を見に行かないトドが、そのときばかりは見に行った。何故か。「だってトウコが泣くんだもん」……グラフかなんかに載っていた話。
 本役のトドが、トウコになにも教えてやってなかったらしい。で、トウコが「どうしてなにも言ってくれないんですか」とマジ泣きしてトドを責めたという……そしてトドが降参したという……。
 今から思うと、すごい話だニャ。

 日本物の、トドの美しさときたら。
 遠藤盛遠、キャラのイタさはともかくとして、問答無用に美しい。

 日本物の、トウコの美しさときたら。
 渡辺亘、キャラのまぬけさはともかくとして、問答無用に美しい。

 そしてどちらも、泣きの演技に突入だ。

 亘の慟哭と絶望。
 いやあ、トウコに被虐キャラをやらせるなんて、GJっすよ!!

 そらした喉の美しさ。
 儚さ。

 このワンシーンだけでトウコファンは何杯でもおかわりできるでしょうよ。

 盛遠はその場で髪を切り、出家する。
 同じ慟哭演技でも、彼は儚くはならずに武人らしく生き方を決める。
 骨太な美しさ。
 あー、やっぱトドはいいなぁ。彼のハッタリに満ちた芸風が好きだ。

 袈裟御前があまりにこわかったうえに、彼女が死んでからの男たちの泣き演技の華々しさに、印象が見事にバラバラ、
「えーとソレで、コレってどーゆー話だっけ?」
 とゆー、混乱に満ちた作品。

 まさにカオス。

 イベントにて、ノリだけで上演するに相応しい作品だったと思います。

 混乱のまま幕。第1部終了。


まっつ探しに劇場へ行こう。@清く正しく美しく
         
 
 
 ←お花で飾られた逸翁像。
 

 はい、イベントです、野次馬です、祭り好きです。
 初日ダイスキ、とりあえずなんでもいっちょ噛みしておけ精神にて、行ってきました、小林一三没後50年追悼スペシャル『清く正しく美しく』−その教え護り続けて−(タイトル長いよ!)。

 
 イベントもののナマにこだわるのは、わたしが見たい人は、テレビに映らないから。
 真ん中そっちのけで背景眺めるのに必死。

 第1部が日舞+和物ミュージカル、第2部がゲストのみ、第3部が歌謡ショウ。
 まっつの出番は第1部の日舞の背景、第3部フィナーレの「出演者全員による『逸翁讃歌』合唱」のみ。

 『花の道』イベントのときのよーに、最後の合唱のみ出演、てのもアリだと思っていたので、1部に出番があったことに大喜びさ。
 まっつの日本物が見られる! 白塗りまっつ! 真ん中分けの若衆姿! 背景でしかないことなんて、ぜんぜんかまわない。
 すみれの若衆Aの各組2番手さんたちの後ろに登場、ちょろっと踊って退場、次に出てきたときは1部日舞のフィナーレ、いちばん後ろのセリに乗って高いところまで持ち上げられてしまう。デコレーションですから、背景ですから。
 2列構成のすみれの若衆Bのみなさん、まっつはいちおー前列でした。上手端。学年順かな、センターがしい・すずみ、そのかは後列センター近く。

 正直、同じセリ上でも下手側のことはわかりません。チラ見しただけで、あとはずーっと上手見てたから。
 正直、舞台真ん中のことはわかりません。そんなもんはスカステのカメラに任せて、ずーっと背景見てたから。

 まっつの隣が、よりによってあひくん。でかいよあひくん! まっつ端だから、隣はあひくんのみ。
 まっつの後ろは、かなめくん。でかいよかなめくん! まっつ端だから、後ろもかなめくんのみ。
 かなめくんの隣のでかい人、いくら顔を見ても誰かわかんなかったんだけど、めおちゃんかな? 日本物化粧と彼の芸風の薄さでよくわからん……。たぶんめおちゃん、のセンター側の隣はもりえちゃん。
 もりえ、めお、かなめ、あひに囲まれるまっつ!

 まっつ小さっ!! 萌え〜〜!!

 3番手以下、86期までのメンバー、花から5人、月から3人、雪からひとり、星から3人……バランス悪。雪組からはかなめくんひとりの参加、3番手のキムくんが次の芝居のヒロインなんで不参加、そしてたぶんヲヅキが休演しているせい。
 ヲヅキも是非参加して、まっつを囲んで欲しかった。大男たちに囲まれる、可憐なまっつ……ハァハァ。

 日舞はそんなこんなで、他の印象がありません。
 ぞろぞろ登場した若衆と美女軍団の顔ぶれを確認しようと、下手一番端の若衆をオペラグラスで見てみたら、満面の笑顔のチャルさんでぶっとんだことぐらいかしら。専科のみなさんの中では、チャルさんが最下級生男役。専科さん全員出演、役名はすみれの若衆とすみれの美女。春日野先生をはじめとする、ものすごい年齢の若衆、美女の大群でした。ああ……五峰姐さんがきれいだ……。

 水となの並びは初お目見えで、水くんトップお披露目おめでとー!と心の中で叫ぶつもりで駆けつけたのに、なんか違和感ないまま、気が付いたら出番が終わっていた。
 先日の植爺イベントでの、トウコちゃんのあの特別感と貫禄はなんだったんだろう……。

 日舞場面では、26人の娘役たちが袴姿でコーラス参加、されど彼女たちプログラムにも名前がない……気の毒な。
 わたしは相変わらず点呼に忙しい。

 終演後にnanaタンに捕獲された(待ち伏せされてました・笑)際、「芽吹幸奈ちゃん、やる気満々のカオで歌ってたよ」と報告すると、
「このそうそうたるメンバーの中で、わざわざくまくまちゃんをチェックしているなんて!」
 と感嘆されました。
 や、点呼してますから!(笑) そして彼女は、実に戦闘的に歌っていてNICEでした! カオ芸しすぎだよ彼女(笑)。

 和物芝居の『恋に破れたサムライ』は、いろいろ愉快でございました。

 星組のみんながモブで出演しているんだけど、わたしがいちばん先に探してしまったのは、ゆーほさとるでした。
 何故にゆーほ?! ゆかりより先にゆーほを見付けてしまうわたしって?!
 ちゃんと日本物の扮装で、モブで踊る彼らの、点呼を取るのに必死。だって、彼らはテレビに映らないはずだもの、ナマで見ておかなきゃ!!
 歌手の美女トリオ、みなみちゃん、ゆうかちゃん、花愛瑞穂ちゃんが華やか、かわいー。とくにみなみちゃんのかわいさときたら、もお。丸顔のポイントに一筋髪を脇に垂らしているのが、すげー似合う。

 そんな濃いぃ(笑)モブの中、トウコとキムがいちゃついている。
 
 失礼、役名で言わなければな。
 渡辺亘@トウコ、袈裟御前@キム。
 新婚バカップル、旦那の表情がやにさがっているのがポイント。……嫁、それほどかわいくないのに……ゲフンゲフン。

 なにゆえにキムがこの役を。
 彼は小柄でふつーの女子アイドルのよーな容姿をしているが、舞台では決して女子アイドルではないのだ。むしろかなりオトコマエな芸風だ。
 男役として人気や勢いを付けなければならない時期に、どーして勢いを殺ぐようなことをするんだろうなぁ。
 娘役をしても「女装」に見えるとゆーか、半分はかわいく見えて半分はやばく見えるとゆーか。ヒロインはいかなるときもかわいくあるべきで、たとえ半分だろーとやばかったらいかんと思うのだが。

 でもまあ、トウコと身長は合っている。路線男役で唯一、トウコ相手に娘役が出来るのはキムになるか。

 この生命感にあふれたゴツ……華奢ではない美女をめぐって、物語は展開する。

 恋愛モノかと思いきや、土曜ワイド劇場か、火曜サスペンス劇場のノリで話は進むんだぞ!! びっくりだ。
 

 と、めっさ話の途中だが、長くなったので一旦切る。
 
翌日欄に続く。


 先生、質問です。
「彩吹真央さんは、なに組ですか?」

 ゆみこちゃんとオサ様、どちらかを目当てでお稽古の入り出のギャラリーしに行くと、両方の姿を見ることができることがある、偶然同じよーな時間にお稽古に入ったり出たりしている、という話を小耳に挟むたびに不思議だった。
 なんでそんなことがニュースになるんだ? 偶然もなにも、同じ組なんだから、当たり前だろう。

 ……あれ?(首傾げ)

 回答。
「彩吹真央さんは、雪組です」

 ゆみこちゃん、オサ様と別の組だっけ!!(驚愕)

 すみません、ちっともわかってなかった。
 もう花組にゆみこはいないんだ……しょぼん。

 雪組でのゆみこも、もちろんたのしみなんだけどね。

 つーことで、今さらですが、『personal book 2007 VOL.1 彩吹真央』の感想。

 PB自体はね、早々に眺めていたのよ。なにしろ発売すぐにnanaタンに見せられたから。わたし、ちゃんと自分で買うって言ってるのに、それを待ちきれないnanaタンに解説付きで見せられた。待ちきれないのがわたしではなくnanaタンとゆーのがミソですな(笑)。

 なんか回を重ねるごとに発売冊数が減っていく、さみしいPB。第1弾なんか10冊も出てたのにねぇ。

 わたしは「物語」が好きなので、「寄せ集めバラエティ」よりは一貫したテーマがあるものが好き。
 PB第1弾の、春野寿美礼様の鬼畜エリート・ビジネスマンを超えるものには、まだ出会っていない(笑)。
 アレは「素顔でコスプレ」で「物語」があるから最強。

 第1弾がアレだったから、全種類このパターンで行くのかと思いきや、あそこまでしっかり「物語」になっていたのは寿美礼様の1冊のみで、あとはテーマはあってもソレがメインにはならない、「バラエティの一部」になっていた印象。
 1冊目で「やりすぎた」と思ったのかしらねぇ。ニーズがなかったのかしらねぇ。トウコの「逃亡者」とねったんの「追跡者」とか、もっときちんと「物語」として作って欲しかったわ。

 もちろん、ひとつの話だけで写真集まるまる1冊作って欲しいわけじゃない。そんなことしたら、同じよーな写真ばかりになるから。4等分したひとつあたりを、こだわって「物語」にしてほしかったなーと。
 

 さて、ゆみこPB。「テーマ」はあっても「物語」には達していない、いつものPBでした。世の中的にはこの方がいいのかもな。わたしはどうも、いついかなるときも少数派らしいから。

 いきなりパジャマ姿からはじまるあたり、「彩吹真央」をわかっているなぁと(笑)。
 かわいこちゃん全開。
 親しみやすいかわいーボクちゃんのあとは、貴族のおぼっちゃまのおだやかな昼下がり。

 ファンとそーでない人の目線の差を、痛いほど見せつけられた、気がする。
 

 あれはまだ『ファントム』の配役が発表になっていなかったころ。わたしを含め、わりと全組観るよーなヅカファンや、贔屓組を数回観るだけでヅカ全体あまり回数を観ないライトな人たちと、ゆみこファンとは「キャリエール役」に対する「ゆみこ観」がかけ離れていて興味深かった。

 ゆみこファンは「若者キャラのゆみこに、ヒゲの老け役は難しい」と言い、ファン以外は「ヒゲの老け役だから、ゆみこに似合う」と言う。正反対。

 なんでもゆみこは、老け役をろくにやったことがなかったらしい。ヒゲもつけたことがなかったらしい。
 若者役、ぼっちゃん役ばかりをやってきた人に、ヒゲの老け役なんて、トップスターの父親役なんて、できるのかしら、心配だわ! ……てのがファンの反応。nanaタンに限らず耳にした。

 だがそんなこと、一般ファンは知らない。ゆみこの芸歴をいちいち調べたりしない。
 舞台人「彩吹真央」から受ける印象だけで、深く考えずに話す。

 そこそこの学年で、芸風は地味で実力派。和モノが得意。カオが四角い。アイドル度やキラキラ度がとても低い。つまり、ビジュアル度外視キャラ認定。
 =老け役OKキャラ。

 やったことがあろうとなかろうと、「彩吹真央」はおっさんOK。
 だってそーゆーイメージ、そーゆー外見。

 ……ファンとそれ以外の温度差、すごかったわ……。

 わたしも「ゆみこおっさんOK」派。
 ゆみこのことはずーっと見てきているので、言われてみれば老け役やってないな、ついこの間まで18歳の少年役とかふつーにやっていたな(そして新公の子より若かったな)とか、思い出せるけれど。
 それでも、彼のイメージ的に「老け役、ヒゲ、ぜんぜんOK!」と思う。
 とくに彼を「若い」とは思わない。
 若さと同義語であるキラキラ感に欠けるせいかな。
 「少年キャラのゆみこちゃんに、ヒゲの老け役なんて心配!」とは、夢にも思わなかったさ。

 
 ファンとそれ以外の温度差、目線の差を、思い知ったわ。PBを見て。

 素顔のゆみこは、若い。

 舞台からは想像がつかない。
 若い女の子ではなく、ナチュラルに「少年」だ。

 ファンの人たちは、このゆみこを見ているから、「少年キャラのゆみこちゃんに、ヒゲの老け役なんて心配!」と思ったんだ。

 舞台しか知らない人間には、わかんねーよ。

 素のゆみこがこんなにこんなに、少年だなんて。
 ふつーにきれーで透明感のある、おいしそーな男の子だなんて。

 とりたてて「美少年」というわけじゃない。睫毛びしばしの耽美少年じゃない。
 だけど、清潔感だとか笑顔だとか育ちの良さだとか、やわらかい、やさしいものを感じさせる、素直な少年だ。
 嘘くさい耽美少年よりも、身近に感じられる分、罪作りというか。

 ドラマとかにこーゆー男の子が、主役の友だち役とかで出てたら、ふつーに人気出そうだな。
 主役で派手になにかやらなくても、どのクールにも登場しているというか。

 「少年キャラ」ではじまったPBは、データファイルや水くんとの対談、測量隊のネタ企画ページなどを経て、「大人の男」へ移行する。
 少年が素のカオだとさんざん見せたあとで、大人ぶったカオを見せる。「少年」ゆみこファンからすれば、ツボをつく構成ではないだろーか。

 
 素のかわいこちゃんぶりを、舞台で発揮できればなあ。
 あのままのキャラなら、人気も出る……失礼、今よりさらに人気も上がるだろうに。

 「少年」キャラが好みの人、ゆみこPBを見てやってくれ。
 実にいい感じに「少年」だよ。
 女性が愛する「少年」像がソコにある。

 いつかのこの「少年」が、舞台で力を放つときが来るかもしれないぞ?

 
 ……や、さんざん好き放題書いておいてなんだが。
 わたしは地味なゆみこの舞台姿や芸風が好きなので、今のままで十分魅力的だと思っているんだけどなっ。


 声を大にして言おう。

 あかしのくせに!

 あああ、あかしのくせに! あかしのくせにぃぃぃっ!!

 あかし、かっこいいぃぃ!!

 
 バウ・ワークショップ星組『ハロー!ダンシング』に行ってきました。

 出演者も知りません。あかしが出ていることぐらいしか。
 去年のWS、芝居+ショーで計2時間、4500円は「高い」と思ったのに、今年は75分で4500円っすよ。劇団はナニ考えてんだろう。
 定価以下で市場に出るからいいってことですか? ……なんだかなぁ。

 内容は、小劇場で真面目にダンス中心、だけどやっぱり、ものすごーく草野らしい作品でした。

 アフリカは絶対やらなきゃならんのか?!

 草野といえば、アフリカ。
 なにがなんでも、アフリカ。
 なにがテーマでも、絶対アフリカ。

 『ザ・クラシック−I LOVE CHOPIN−』でもアフリカがあるんぢゃないかと危惧したよ。

 そして、ナビゲータ。台詞での解説。
 草野ショーでは必須ですな。

 『ハロー!ダンシング』では「真ん中」ナシの興行ってことになっているけれど、やはり「真ん中」はあった。
 武富士のCMじゃあるまいし、名もなきダンサーが同じ振りで踊っているだけでは「物語」のある舞台はつとまらない。タカラヅカはバックダンサー養成所ではなく、「スター」を輩出するところだからだ。

 主演は、あかしだった。

 ここまであかしを「真ん中」に据えた興行ならば、「主演」にして欲しかったよ。
 開演アナウンスや、最後の挨拶を聞きたかった。

 もちろん、立場上「真ん中」に据えても、任をこなさなければ「真ん中」には見えない。ただの群舞で終わってしまう。

 あかしは、「真ん中」の仕事をこなしていた。

 「真ん中」である意味。扇の要である意味。
 主演として公演を背負っていないのに、それでも「真ん中」で舞台をまとめていたよ。主演として、スターとして「仕事」をしていたよ。

 あかしのくせに。
 利助のくせに。

 かっこいい。
 色っぽい。
 素敵。

 あかしのくせに。

 おろおろおろおろ。
 彼の堂々たるスターぶりに、うろたえます。
 なんだよあかし、誰だよあかし、どーしたんだよあかし!

 こんなに素敵な男になるなんて、利助だったくせになんてことなの。

 あかしの顔を見ているだけで75分終わってしまった。
 マジ、エロくてこまる。あかしだとわかっているからよけいに混乱し、エロさにときめく。

 
 さて。
 あかし讃美はともかく。

 見応えはあった。
 去年のWSを観て、「ショーだけならもう一度観たい」と思ったことを、思い出した。芝居のレベルが低すぎて、複数回観たいとは思えなかったんだよ、『Young Bloods!! 』。
 ショーだけ3000円くらいで見せてくれないかな。そう思った。

 そうか、『Young Bloods!! 』でショーだけ見せろという声が高かったから、今年はショーだけになったんだな!
 でもなんで値段は芝居があったときと同じなんだろう? 生オケでもないのに。

 いい公演だったが、やはりWSであることはたしか。未熟さも愛でるところ。

 あかしセンター、2番手がドイちゃん?
 元気さとエロさ(笑)を2大テーマに構成されたこの作品において、いちばん夢ゆめしい場面を、あかしではなくドイちゃんが担っていたことがツボる。
 フリフリ衣装でドレスの娘とロマンチックに踊るのは、あかしではなくドイちゃんかー。そーだよなー(笑)。

 もっとともみん重視で来るかと思ったけれどそーでもなく、ドイちゃんと僅差で3番手、あとは天緒圭花(何故か彼はいつもフルネーム)としーらんで4番手ってとこか。
 しーらんがナニ気にオイシイ。なにができるわけでもないが、彼はやる気にあふれていて微笑ましいぞっと。
 娘役はセンター決めず適材適所?
 コロちゃんはソロがあったりと扱いはいいんだが、どうも別格っぽいよーな。

 予備知識はいらん人間なので、座席配布されていたプログラムも出演者名に目を通した程度。ざーっと眺めた感じでは、半分くらい顔がわかるから、あとはなんとでもなるだろーと。
 お約束として作品中に自己紹介があるだろーし、それを見ればいいや、と思っていたんだが。
 自己紹介、なにを言ってるのか、さっぱりわかんねー。最初から名前を知っている子しか、わたしには聞き取れなかった……ダメじゃん……。
 この子かわいいなー、と思っていた子の自己紹介だけは、かろうじて聞き取った。まりやちゃんか、なるほど。……と思っていたら、そのあとドイちゃんとまるまる1場面、ピンでデュエットダンスしていて、おどろいた。あんなに必死になって自己紹介聞き取らなくても、デュエットダンスがあるなら、あとからでも名前わかったよ……。

 黒スーツと帽子で踊るいかにもショースタイルな場面、男はブラウス、娘はドレスで情熱的にあるいはしっとりと踊るクラシカルな場面、タンゴありーのタップありーの、ストーリー仕立ての場面ありーのでこれでもかと盛りだくさん。

 技術が優れているとは、正直思わない。ダンス力だけのことではなく、姿勢や着こなし、舞台での在り方、どれもみんな初心者マークがあちこちに貼られている。
 ただ。

 もしも、わたしが今中学生で、このステージを観ていたら。
 タカラヅカに入りたい、このステージに立ちたい。と、思ったかもしれない。

 子供のころからヅカは観ていたけれど、入りたいとかあの舞台に立ちたいとか、んなこたぁ夢にも思わなかった。テレビの向こうと同じで、タカラヅカの舞台は「自分とは関係のない、一方的に眺めるもの」でしかなかったんだ。
 入りたいなんて、思ったことは一度もない。今もない。
 だけど、今、中学生だったら。そして、この『ハロー!ダンシング』を観ていたら。
 『ハロー!ダンシング』の技術が大劇場公演ほどではないからとか、舞台が近いからとか狭いからとかではなく。

 若いから、未熟だからこそ発散されるエネルギーやきらめき。貪欲でありながらストイックな叫び。

 それらが、「自分とは関係ない」とは思えない、足りない自分を奮い立たせるsomethingに満ちているんだ。

 いかんなぁ、ばばあだからそーゆーモノには、弱いんだ。泣けてきちゃうよ。
 や、たとえわたしが今中学生だったとしても、かろうじてあるのは身長だけで、容姿も才能も金もないので絶対ジェンヌを目指すことなんてありえませんが。

 たのしかったです、『ハロー!ダンシング』。
 他の組もたのしみだ。

 
 ……プログラム、上に猫が乗ったからぐちゃぐちゃになっちまったい……ちぇっ。


 わたしの海馬はアテにならない。
 あれから1ヶ月半。もうすでに記憶は風化し、ろくにナニもおぼえていない。

 『MIND TRAVELLER』千秋楽。

 エディ@だいもんは、ちゃんとルーク@まぁくんを愛していた。

 楽の前日だったか。
 ドリーさんが言うのさ。

「最後のクラブ・ヒポキャンパスのシーンで、テオがサリーを殺させたと聞いたあと、ルークがとても傷ついてるんだけど、エディってばルークそっちのけでマックスたち話の中心を見てるの。ダメじゃんエディ」

 わたしがルーク争奪戦、ルーク×エディを唱えているもんだから、つい影響を受けて「傷ついているルーク」→「じゃあエディはどうしてるの?」と確認してしまったらしい。
 ドリーさんは「腐女子ではない」けれど、「なにが腐女子的か」を判別できる人。たまにいるのよね、こーゆー人。
 銀河の覇者になれるだけの軍事的センスを持ちながら、ソレを望まず早々に退役したヤン・ウェンリーのようだわ。>ドリーさん。
 立派な腐女子センサーを持って生まれているのに、興味がないなんて。
 腐女子的なことが好きであこがれているのに、そっちのセンサーを持ち合わせなくて見当はずれなことを言っている人だって、世の中にはいるのに。

 まあ、センサーの話はともかく。
 
 ひとり傷ついているルークを放置するようじゃあ、エディの彼への愛はたかが知れてますな。
 そーゆーときこそ、男を見せる機会だというのに。

 ドリーさんから聞くまでルークがどうしているかをまったく知らなかったのは、もちろんその場面でわたしが、リチャード@まっつしか見ていないせいですよ。

 すでにリチャードがどのタイミングでクラブ・ヒポキャンパスに現れるかまで、おぼえてますから。
 上手端のセットの上に登場する、裏の階段を上っているあたりからオペラグラス準備完了、リチャード先生しか見てませんから。

 舞台中央で「ハロウィン♪」となにかしら出し物をやっているよーですが、見てないので知りません。
 究極のアイドル衣装でジュディ@ののすみちゃんが歌い踊り、フィリップ@めおちゃんが彼女に襲いかかり、危機一髪!なところでカボチャの中から王子様が「エル・ブラボー」することも、見てないので知りません。
 「エル・ブラボー」つーのはアレですよ、ローラを助けるためにトニーが箱の中から飛び出した、『コパカバーナ』の1場面のことですよ。

 とにかく、なにがあろうとまっつガン見基本ですから。
 まっつが舞台上にいる以上、まっつしか見てませんから。

 ええ、あれだけリピートすりゃあ、そーなりますよ。物語も作品も、もう観たからいい、もう十分堪能しまくったからいい。
 あとは本能の赴くままに、まっつだけを見る。

 そういう状態になってましたから。

 姉のサリー@もえりを殺した真犯人がテオ@さおただとわかったルークがどんな反応をしていたかなんて……さーっぱりわかりません。
 そしてそのとき、エディがどうしていたかなんて。

 下手の出来事なんて、知るわけないじゃないですか、まっつ席は上手なのに!(開き直り)

 
 されど、そんなふーに言われちゃったら、確認するしかないでしょう。
 千秋楽、まっつガン見視点固定のこのわたしが、まっつが舞台にいるというのに、舞台中央から下手の方を見ました。
 ルークの反応、エディの反応を確認しました。

 で。

 大丈夫。エディは、ちゃんとルークを愛していた。

 てゆーか、両想いっぽいぞ?

 そう確信したんだが。

 …………ねえドリーさん、エディがどうしてたんだっけ?
 なーんだこいつらラヴいじゃん、と思ったことはおぼえてるんだけど、具体的にナニをしていたか、おぼえてないのよ!!
 わたしの海馬ときたら!!(白目)

 終演後、意気揚々とドリーさんに報告したところ。

「腐った話を確認するためなら、わざわざ見るのか!」

 と、お褒めの言葉をいただいたのだわ。
 さあてわたし、なにをどう報告したんだっけか。

 
 青年館では、舞台の広さの関係でまっつの後ろにりりかちゃんが立つことはなく、従って白衣のスケベ医者がセクシードレスのナイトクラブの歌姫を後ろから抱きしめる、という状況にはなりませんでした。
 カーテンコールで幕が開くたび、退団者やまとぶが金銀テープでぐるぐる巻きにされ、愛でられていました。まるでクリスマスツリーみたいだ。

「みなさんの海馬の中にこの作品を入れ込んで……」
 と、まとぶが言ったとき。

 まっつ、笑いすぎ。

 カラダをふたつに折って爆笑していた。
 「海馬」という単語に反応大きいんだよね、まっつ。伝え聞く楽屋出のエピソードでは、まとぶさんに「海馬」と呼ばれていたんだものね。

 作品はアレだったが、それでもまっつファンはたのしく通うことが出来たよ。
 そのあと『ヘイズ・コード』を観て、「『MIND TRAVELLER』に通うより、こっちに通いたかった……っ!」と思わせてくれちゃうよーな、所詮はそんなレベルの作品だったけどね。あああイケコ、頼むからもうオリジナルは書かないでくれえぇ。
 今年の大劇場作品が不安でならない。キムシンよりイケコの方がわたし的には不安だし、駄作度が高いんだよなぁ。

 
 今となっては、なにもかもなつかしいよ。
 『MIND TRAVELLER』に狂乱していたのは、ほんのこの間のことなのにね。


< 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 >

 

日記内を検索