ご報告。

2004年7月11日 タカラヅカ
 緑野、無事に大阪に戻ってきました!!

 ここんとこちょっくら東京在住だったんですが、なんやかんやの末、帰阪しました。
 ほんとはもう少し、向こうにいるはずだったんだが……なんとかやりくりして帰ってやる!! という直接的な原動力はちはる兄貴の退団発表でした。

 だって、発売日に大阪にいないと、チケット取れないもん!!(笑)

 つーことで、必死こいて花組前売り日の早朝に帰ってきました。
 そしてその足で三番街に並びに行ったので……帰ってから、親に叱られまくりました。(このトシで叱られるって、なんてこと)
 いやその、わたしが帰宅していると信じてやってきた母が、もぬけの殻のわたしの家を見て、いろいろ余計な心配をしたようでね……。事故にまきこまれたりしてないってば。

 チケット購入して帰るなり母に怒鳴りつけられるとゆー珍事はありましたが(笑)、またしても大阪でのんきなヅカオタク・ライフをする予定です。

 さあ、かしげ鎌足観に行かなきゃだわ!

 友人諸氏、あらためてよろしくですわん。

       
 まちかめぐるがいっぱい……。

 
 NHKスペシャルを見ながら、驚愕するわたし。
 現役生でもっとも出演したのがまちかめぐるって、そんな……。

 デイジーちゃんからも実況驚愕メール来るし。つか、まちかめぐるっちゅーとわたしに話題振るのやめてよ、みんな!!(笑)

       
 キムシン作品は萌える。
 『鳳凰伝』ではカラフ×バラクだった。そりゃーもー、萌えに萌えた。わたしにしてはめずらしく、受視点で萌えた。
 『王家に捧ぐ歌』では、いろんなカップリングに萌えた。
 ちなみにラダメス受。ファラオ×ラダメス(少年時代から現在まで)と、ケペル(妻子持ち・笑)×ラダメスに萌えまくってた。もちろん攻視点。
 あと、エチオピア・トリオにも萌えてた。こちらはカマンテ×ウバルド×サウフェという救いのない一方通行ラヴ。サウフェはエジプト兵相手にも総受状態ですな。カマンテ×ウバルドなら攻視点、ウバルド×サウフェなら受視点。どっちにしろ悲恋上等。

 そして『スサノオ』では、いろんな人に却下されつづけながらも、アシナヅチ×スサノオで、さらに最近目覚めてしまったスサノオ×アオセトナ。
 それからまあこれは定番でしょう、月読×スサノオ。

 さて、『スサノオ』のなかでいちばん好きなキャラはもちろんスサノオだし、ヲトメとして恋しているキャラはアオ様なんだけど。

 腐女子としていちばん好きなキャラは、月読なんだよね。

 てか、わたしの今までの嗜好からいけば、いちばん好きなのは月読であるはずなんだよ。
 ヘタレ男、大好きなんだもん。

 月読×スサノオは、設定だけでいけばこのうえなくやほひだと思う。
 べつに、やほひ友のかねすき嬢が言うように、月読がスサノオの死体撫で回してどーのってことを考えなくても、あの兄弟の設定はやらしすぎだと思うよ。

 てめえの弟を見殺しにする役、だからな、月読。

 たぶん、演じているのが別の人だったら、萌えてたと思う(笑)。

 壮くんは何故にああも壮絶に色気がないのでしょう……。そして、演技力がないのでせう……。
 きれいなんだけど。
 そりゃーもー、とてつもなくきれいなんだけど。
 あの美貌に色気が加わったら、天下盗れると思うんだけどなー。
 歌唱力と存在感はものすげー成長したから、これからきっと、もっと変わっていくんだろうなとは思う。
 しかし。
 今この時点では、月読というキャラクタには力不足だったなと思う。

 と、言いつつも。
 あの大根くさい感じがまた愛しいから、それはそれでいいのかな、と思ったりもする(笑)。
 アレはアレでアリかなー。味ってもんかなー、と。
 今の『スサノオ』という作品を、欠点ごと愛しているわけだから、月読@壮くんもなんだかんだいって好きなんだけど。それはもう、断言できるんだけど。

 ただ、腐女子的には大変口惜しい(笑)。
 こんなにオイシイ役でありながら、無駄に美貌まで備えながら、やほひ妄想に水を差す大根ぶりというのは。
 

 たとえばわたしさー、同じ設定で別の物語書いたとしてよ、月読の位置に値する役がケロで、スサノオの位置に値する役がトウコだったら、萌え狂ってますがな(笑)。
 どこぞの貴族とか家元とか、雅な家系が舞台でさ。
 一族の長である姉を愛し、一族を追われたトウコ。
 そんなトウコを見守り、かつ試練を与える兄ケロ。
 しかしその試練とは、トウコの才能を恐れたゆえに一族の者たちが仕組んだ罠だった。傷つき、慟哭しながらのたうちまわるトウコ。ケロの使命は、トウコの死を見届けることだった。すべてのからくりを知り、絶望しながらケロの腕の中で息絶えるトウコ。トウコを失ってはじめて、己の愛と罪に気づくケロ。
 一族の陰謀を知り、死んだトウコのために怒りをあらわにする姉、そして過ちに涙するケロ、とまどう一族の者たち。
 そこへ死んだはずのトウコが現れ……。

 てな話。
 トウコちゃんは深刻系で慟哭芝居の似合う人だから、こーゆー暑苦しい役(笑)はハマるでしょう。
 ケロはもちろん、懐の深い役、見守る系の大人の男が似合う人なのでなんとでもなるでしょう。てゆーか、トウコを愛している役なら、問題なくハマるでしょう。

 役者が萌え要素のある人だったら、月読×スサノオは腐女子専用ってくらい、オイシイ関係なんだよねー。
 だからつくづく惜しいわ……。

 月読というオイシイ人が、アンタッチャブル・ゾーンにいるのが。

 
 とゆーことで、いちばん萌えたにちがいないカップリングはスルーして、スサノオ×アオセトナに萌えておきますか!

 完全なる拒絶と、憎しみ。
 その拒絶と憎しみだけでこの世に存在する魂を、痛ましく思う男が、不器用このうえなくさしのべようとする手。愛。
 それをねーっとりせつないやほひで描けたら、そりゃーもー、たのしいでしょうなあ。
 手をさしのべる側の男も、バカで幼くて、傷だらけなわけだから。
 救いがなくていいよなあ。
 うっとり。

 言葉や心が通じないなら、とりあえずカラダだけでもつないでおけ、てな。
 そんな関係。

 剣で戦うかわりの、心の戦い。

 絶対に、お前を愛したりしない。
 絶対に、お前たちを赦したりしない。

 愛した方が楽だってわかってるけど。(愛したい、とどこかで思っているけど)
 赦した方が楽だってわかってるけど。(赦したい、とどこかで思っているけど)

 だけど、絶対に、認めない。

 ……そーゆー戦い。

 キムシン作品は萌えるなー(笑)。作品が多少力技すぎて骨組みにガタがきていても、キャラが魅力的だから七難隠しちゃうんだよね。

 はっ。
 わたしったら、『鳳凰伝』に続いて水しぇん受だわ。
 わたし的に水くんって受キャラなのかしら?? あんなに男前なのに??
 次の花組では、どーなるのかしら。

         
 最近、記憶の衰えが激しい。
 わたしは『スサノオ』をいったい何回観たのだろうか。ムラで観た回数のことはいい。過去だからな。てゆーか、はじめから数えてなかったし。
 では、東宝では? わたし、東宝で何回観たんだっけ??
 ……いかん。思い出せない。半券探して数えでもしないと、わからない。べつに、そんなにたくさん観たわけじゃないのに。たぶん、4回か5回か6回でしかないのに。なんでおぼえてないんだろう??
 前もってチケットをゲットしていて、わくわくとその日を待って観に行った、わけじゃないからだわ。全部サバキだとか当日券で、その日の朝思い立って観に行ったとかそんなだったからだわ。だって友会全滅したから、前もっては1枚も手に入らなかったんだもんよ。

 スサノオの色気ががんがん上がっていくのが、観ていてたのしくてねぇ。スサノオ@コムちゃん、回を重ねるごとに色っぽくおなりです。フェロモンが唐草模様に発せられています。
 主役の色気が上がると、作品全体の色気が上がるんだよね。
 いやあもー、艶っぽいのなんのって。『スサノオ』という作品自体がフェロモン放出ですがな。うひゃー。

 そう。
 なんかわたし、またひとつ目からウロコが落ちまして。
 ふつー目に張り付いているウロコというのは、それが張り付いている状態が「平常」なわけだから、落ちなくてもいいっていうか、むしろ落ちない方が人生まっとーだとわかってはいるのですが。

 あのーー……。

 アオセトナ様@水しぇん受、って、ダメっすか……? おそるおそる。

 今までわたし、アオ様にはひとりのヲトメとしてめろめろだったので、ホモ萌え・腐女子萌えいっさいナシだったのよ!! やほひ範囲外、聖域! アオ様LOVE!! 喜び組のひとりになって、きゃーきゃー言いたい、とっても気持ちいいことだのとろけてしまうことをしていただきたい、と恋するヲトメ全開でしか見られなかったのに。

 東宝Ver.を観ているうちに、目からウロコが落ちました。
 

 スサノオ×アオセトナ。

 
 ええええっっ、コム×水??!
 なにいってんのよあたし、それはありえないだろ、つか逆だろっ?!
 と、セルフツッコミ入れまくりながら。

 スサちゃん、アオ様ヤっちゃっていいっす、つかどうぞ、ヤっちゃってください、はぁと。な気持ちに。

 スサノオにしろアオセトナにしろ、東宝にきてボルテージ上がってるわけよ。アオ様がスサノオに迫るシーンのやんらしさが増していることはおまけでしかない。ええ、おまけよ。なんでアオ様そこでスサちゃんの頬撫でるの、顎に手を掛けようとするの、髪を撫でるの、そしてスサちゃん、魂抜かれたような顔でされるがままになっているの、とか目にたのしいツッコミどころはあるけどさ、それはあくまでもおまけよ、ええ(笑)。

 ふたりの対決が、すっげー温度上がってるのよ。
 わたしの萌えセンサーがびびびっと反応しました。
 ふたりの対決シーンに。

 スサノオとアオセトナの間に、はじめてエロスを感じた。

 これまでは、どんなにこのふたりが見た目にうるわしく、カップリングとして最高の素材だとしても、とくに萌えなかったのよ。単体では大好きだったけど。
 ふたりの心のベクトルに、接点を見いださなかったから。

 しかし。
 ついに、ウロコは落ちた。
 ふふふ。
 ふ、ふ、ふふふ……。

  
 アオ様はカマっぽく……失礼、中性的にふるまってはいるが、その実ばりばり女好きな男らしい人だと思うのよね。中性的にふるまっているのはファッションだと思う。ゲイってことにしておいた方がオレってアーティストっぽい、とか、カンチガイしてる青いにーちゃんみたいに。天才はすべてにおいて非凡でなきゃ、とか。
 まあ、喜びの森の教祖として、女性にきゃーきゃー言われるためにも、男くさい男であるより、少女マンガかタカラヅカななよっちい男である方がいいと判断したのでしょう。それと、ナルシス入ってる分、美しく装い、振る舞うのが好きなんでしょうな。
 とまあ、一見カマ……じゃねえ、そっちもイケそーなおにーちゃんに見えるけど。
 きれいな男の子を征服して転がすのはオスの部分を刺激されるからたのしくて好きだけど、べつにバイだってわけじゃないんです、みたいな。つか、百歩譲って攻ならしてもいいけど(相手選びまくるぞ。女の趣味は広いが、男の趣味は相当狭いぞっと)受なんて言語道断、ずえったいありえないっっ、な、実はものすげー箱入り令嬢のやうなガードの固さを誇るお方なのです、アオ様は(笑)。

 だからこそ、スサノオに盛大に転がして欲しいなっと。

 誘い受とか襲い受とかもなしよ。ファッションでそれらしい態度を取ってもソレ、嘘だから。ポーズだけだから。
 いざ本気でこられたら、アオ様絶対抵抗するから。本気だから。ひょっとしたらヴァージンかもしれないし(笑)。あ、セカンド・ヴァージンの方が萌えだな(笑)。

 ……ちょっとわたし、夢見てます? 夢街道爆走してます?
 いいのよ。どーせわたしはロンリー・ランナー、誰もいない道をひとりで走り続けるのよ。

 あの対決の折、そのままふたりだけでもつれこんでほしいなあ。スサノオにはとことん男らしく、力の神らしく突き進んで欲しい。
 ほんとうに、憎しみを溶かすことはできないのか。愛の介入はありえないのか。アオセトナがスサノオを赦し、愛する未来はないのか。
 政治色全開テーマ絶叫話より、BL的すれちがいだの模索だのの方が萌えるわ。

 喜びの森に入ってから決着がついてしまうまで、本編では一瞬だから、ここはほれ、サイドストーリーっちゅーことで「じつはスサノオVSアオセトナは何日・何ヶ月もかかったのよ。ふたりは、どこかふたりっきりで過ごしていたらしい」ということで!!

 アオセトナは結局、最後までスサノオを拒みつづけるんだけどね。そこは本編通りに。
 だけどスサノオは、アオセトナのこと、べつに嫌ってないしね。憎しみしかない彼を「哀れ」だと思っているからね。そこは本編通りに。
 わたしはもともと攻キャラ好きで攻視点が好きなので、スサノオでやほひ書くなら、スサちゃん視点で堪能したいっすなあ。不器用攻にクールビューティ受ですよ! 定番ですよ!

 アシナヅチ攻のスサノオ受よりはまだ、ニーズあるよね、世間的に??(まだ言うか)

 もーいいかげん『スサノオ』で真面目な感想(いや、わたしにしてはね……)ばっか書いてきたから、そろそろいちばんわたしらしい話でいくかな、と。
 つーことで、あと何回か、腐女子語りいきまーす(笑)。

     
「会いたいの。なんとかして、会えないかしら」

 とか言われちゃうと、なんかすっげーうれしいんですが。
 ああわたしって、愛されてるわー、とか。
 わたしは必要な人間なのねー、とか。

「予定が合わないから、もう会えそうにないね」

 とメールしたわたしは、会いたいのは山々だけど、仕方ないな、とあきらめていたのに。

「都合をつけるから、なんとか会えないかしら」

 と、さらに熱意のあるメールをもらったら、そりゃうれしいわなあ。
 都合か! よし、なんとかしちゃおう!
 君に会いに行くぜベイベ!!
 ……という気持ちになるじゃないか!
 
 
 いやべつに、ラヴい話でもなんでもなく、たんに同性の友だちとごはん食べるだけの話だったんですが。

 お互い時間ないとか言いながら、それでも会ってえんえんお喋りして、別れがたくて遠回りして同じ電車に乗って。

 あー、友だちっていいなあ。しみじみ。

        
とりあえず公開早々に見てきました、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』。見に行った日付はすでに忘れた(笑)。
 監督アルフォンソ・キュアロン、出演ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン。

 アズカバンを脱獄したシリウス・ブラック@ゲイリー・オールドマンがハリー@ダニエル・ラドクリフの命を狙ってる! てなことで、てんやわいや。

 
 えーとわたし、前に書いたかどうかわかんないけど、『ハリー・ポッター』シリーズはべつに好きじゃないです。キライというわけじゃなく、「好きじゃない」というのがいちばん近い感覚。もしくは、「どーでもいー」かな(笑)。
 原作は3巻まで読んだけど、2巻までは首をひねってたし。いや、たしかにおもしろいよ。おもしろいけどコレ、ほんとにみんな、そこまでおもしろいと思ってるの? マスコミが騒いでなくても、ほんとにおもしろいと思ってる?? とな。

 『ハリー・ポッター』には、『ビッグ・ファット・ウェディング』と同じニオイを感じて、「これが売れる世の中って、わたしには生きにくい……」と遠い目をしてしまうよーな感じだし(笑)。

 まあわたしの周囲もみんな、声をそろえて言うけどな、「おもしろいのは3巻から」って。

 ほんとに、3巻はおもしろかった(笑)。

 はじめて理屈抜きでおもしろいと思えた、唯一の話が「アズカバンの囚人」だった。
 だからはじめて、映画版もたのしみにしていた。過去の2本は見ている最中ちょっくら気が遠くなっていた時間もあったんだが(笑)、今度はきっとそんなことなく見られるにちがいない、と。

 えーと。

 やっぱり、何分かは気を失っていたようです。
 たぶんわたし、ハリポタと感性合わないんだろうなあ……。
 理由はわかってるけどな(笑)。『ビッグ・ファット・ウェディング』がダメなのと同じ理由さ……。

 ま、とりあえず原作は置いておいて、映画単体としてたのしみました。

 シリーズものとして見た場合、前2作との違和感が全面にあって、不思議な感じがした。
 主人公たちが成長しすぎているのも、びっくりだ。子どもというより、大人の顔になってるんだよなあ。いやあ、よそさまの子は成長早いよねえ。
 作品の雰囲気もえらくチガウし(つーかコレ、ホラーだったんですか??)、ホグワーツの印象も記憶にあるものとチガウよーな。
 あちこち首をひねりながら。

 前2作とは切り離して考えれば、コレはコレでアリだなと思った。

 起承転結さっぱりと、めりはりつけて、盛り上げてまとめる。
 ダークな味付けと、サスペンス。
 エンタメとしての本筋重視で、切れる部分、省略できる部分はばっさり削除。
 画面の美しさはとても映画らしくて堪能。

 そう。
 原作を先に読んでいると、いろいろ不思議な省略の仕方をしているようだけど。
 原作読んだのが大昔で、熱意もないもんだから記憶も大してないわたしですら「え? あれ? そんな話だっけ? え、これでいいの?」とびびるくらいには、いろいろ省略されまくってたからなー(笑)。
 前後のことを考えず、この映画単体として考えるのがたぶん、いちばんいいんだろうという結論に落ち着いたわけよ。
 

 だから、罪なくたのしく見たよ。
 女の子ががんばる話は、大好き。ハーマイオニーかわいー。
 ハリーはやっぱり好きじゃなーい(笑)。
 ロン出番少なー。
 親世代の話が見たかったなー。でもま、いっかー。
 シリウス、貧相(笑)。それもまたよし(笑)。

 それにしても。

 エンドロール、長すぎないか?
 思わず時計見ちゃったけど、7分は確実にあったぞ?
 意地になって最後まで見たけど……つらかったわ……。

 
 たぶん、次も見るでしょう。キャラに愛着あるから。作品には苦手意識がなきにしもあらず、なんだけど(笑)。

           
 とりあえず今日は、午後3時ジャストの阿鼻叫喚、てことで。
 ええ、愛するちはる兄貴の退団発表ですわよ。

 花組のチケット、1枚も持ってないっつーに……てゆーか、発売日に並びに行けるかどうかもあやしいのに。
 くそー、なにがなんでも並びに行くぞぅ。

 
 ハンケチーフを噛みしめながら、悲嘆にくれるの図。

          
「イギリス人ってつくづく、裸もんが好きだねえ」

 と、WHITEちゃんが言ったのは、梅田のナビオでだっけ。
 ナビオでたしか、試写会が当たる抽選用紙を配布してたんだよねー。
「当たったら一緒に行こうね」
 と言ってふたりで応募したけど、わたしははずれたな。WHITEちゃんはどうだったのかしら。誘ってもらえなかったら、彼女もはずれたのかな。

 『カレンダー・ガールズ』、監督ナイジェル・コール、出演ヘレン・ミレン、ジュリー・ウォルターズ、アンガス・バーネット。

 イギリスの田舎町。保守的でお堅い婦人会において、カレンダーを販売することになった。それがなんと、婦人会のおばさまたちのヌード・カレンダーっちゅーことで、町は騒然。やがてそれは、イギリス中で大反響を呼び……。

 
 『フル・モンティ』の女性版って感じ?
 その昔、わたしとWHITEちゃんはふたりで『フル・モンティ』の試写会に行ったのよ。
 だからWHITEちゃんの冒頭の台詞になるわけね。

 『フル・モンティ』の試写会を見に行ったとき、司会のおねーさんが言ってたな。
「“フル・モンティ”というのは俗語で、“素っ裸”というような意味です」
 と。

 さえないリストラ中年男たちが集まって、男性ストリップで一旗揚げようとする物語。
 ひとさまにお見せできるような肉体美から程遠い、なさけなーい男たちが、なさけなーい自分自身やら現実と戦って、服と一緒にそれまでの殻を脱ぎ捨てる物語。
 笑いと涙、そして幸福感を得られる映画。
 
 それを彷彿とさせるコンセプト、そしてストーリー。

 『フル・モンティ』はストリップを題材にしているだけで、あとはほんとーに真っ当な、お約束に満ちたハートウォーミング物語だった。
 それと似ているこの『カレンダー・ガールズ』もまた、気持ちのいいお約束物語だったよ。

 平凡な田舎町、平凡な主婦たち。
 あなたかもしれない彼女たちが、立ち上がり、現実を壊す痛快さ。
 基本理念になっている友情と、サクセス・ストーリーの気持ちよさ。

 なんにもできない、と思い込んでいる、あるいは社会から男たちから同じ女たちから、思い込まされているおばさんたちが、立ち上がるその姿に握り拳、声援を送るよ。
 彼女たちはキュートで愛しい。
 ふつうに見れば決して美しくないシワだらけ脂肪だらけの裸が、ファンタスティックに画面を作る。

 いいよなー、おばさん&おばあさんたち。

 できることなら、サクセス・ストーリーのまま突っ走ってほしかったな。その方がより「お約束」でエンタメ的だわ。

 何度も何度も繰り返される「NAKED(裸)」という単語に、ちょうどそのころ『NAKED CITY』に萌えまくっていたわたしはいちいち反応してもおりました(笑)。

 元気をもらえる、気持ちいい映画。
 わたしは裸にはなれないけど(笑)、彼女たちのようになりたいと思い、また彼女たちを応援するひとりになりたいと思うよ。

       
 最近ヅカの話ばっか書いてる気がするが……。

 先日は、友人・音さんの結婚式でした。
 おめでとーおめでとー。
 しあわせになってくれ音さん。てゆーか、なにがあっても力尽くでしあわせになるのが音さんだ。ぜんぜん心配してないけどな(笑)。

 結婚式には、その人の人生が現れるなあ、としみじみ思った。

 わたしの後ろのテーブルに坐っているのは、どうやら音さんの学生時代の友人たち。中学のころとか、幼なじみとか。
 そして、わたしのいるテーブルは、同じ店で働いていたわたしやリンコさん、シンくん(仕事で欠席)の奥さんのくるみちゃん。それから音さんのアナウンス学校時代の友人と、英会話学校時代の恩師と友人。
 わたしの前のテーブルにいるのが、音さんと旦那のアメリカ留学時代の友人たち。

 うわー、年表だ、コレ。
 幼なじみ、学生時代。
 それから、モラトリアムだったころ。
 DJになる、という目標を持って生きはじめたころ。
 夢のために語学留学した時代。

 音さんの人生が、出会った人たちで彩られている。

 わたしと音さんが出会ったのは、モラトリアムのころだ。
 音さんもわたしも、同じ店で働いていた。若さと時間はあるけれど、自分になにができるのかはわかっていなかったころ。
 やがて音さんは目標を見つけ、夢のための努力をはじめた。
 アナウンスの学校に通い、英会話スクールにも通った。

 わたしは毎日のよーに、彼女の勉強の手伝いをしていた。

 彼女がアナウンスの台詞を暗記するための相方になったり、解答用紙を見ながら、彼女のでたらめな英語を添削したりした。
 毎日、笑いが絶えなかった。
 音さんはとにかくパワフルで、失敗もがむしゃらな努力も暗さを一切持たなかった。
 とことん陽気で、愉快だった。

 DJになる、という彼女の夢を、誰も笑わなかった。
 というより、惜しんだ。

「音さん、DJ目指してるの? もったいない!!」

 だってラジオのDJって、声だけで姿が見えないんだもん。
 音さんは、声や喋り方という聴覚でたのしむだけにとどまらず、視覚的にもとてつもなく愉快な人だった。
 とにかく、じっとしていない人で。
 ゼスチャーしまくり、踊りまくり。表情は豊かを通り越して百面相、「1分おとなしくしていたら、しゃぶしゃぶをおごってやる」と言われ、おとなしくできなかったくらい、どこまでもにぎやかな人。

 だから彼女がアメリカに行くと決まったときは、

「音さん、ついにアメリカにストリートパフォーマーの修業に行くんだって?!」

 と、デマがとんだ(笑)。
 語学留学だっつーの。DJやるなら英語は必須だから。

 そしてわたしたちの関心は、ひとつだった。

「音さんのキャラクタは、世界でも通用するか否か」

 答えはYES、われらが音さんはアメリカでも音さんだった。彼女から送られてくる手紙は抱腹絶倒、彼女の卓越したお笑い芸人ぶりはアメリカ人のみならず、各国から集まった留学生たちにも絶大な支持を集めていた。

 なんで音さん、芸人目指さなかったのかなあ。
 世界とれたと思うんだけどなあ。
 わたしの人生で出会った人の中で、もっとも愉快な人が音さんだ。ひとを笑わせる天才。しかも天然。善良で愛くるしい人柄。

 まあなにはともあれ。
 音さんの人生に乾杯。

 
「しかし、ドレスだとやっぱすごいねえ、胸」
 と、わたしたちはこっそり音さんのボリューム感あふれる胸の話なんかしてたりする。
 シンくんが欠席してたおかげで、女ばかりだったもんでな(笑)。

 もともと小柄でぽっちゃりさんだった音さんは、アメリカから帰ってきたら、さらにキャラクタを際立たせる姿になっていた。
 …………風船に近いよーな、潔い体型になってたのだわ…………。
 キモいデブではなく、ころころとかわいいおでぶさん。つやつやのほっぺをつつきたくなるような。ほとんど着ぐるみ怪獣キャラ(笑)。
 いつもにこにこ、怒っていても泣いていても、笑っているようにしか見えない顔。超音波のよーなアニメ声。
 一度見たら忘れられない姿と言動。つか、キャラ立ち過ぎ。
 彼女のいるところには、いつもあたたかい笑い声が満ちる。

 そんな音さんの胸は、そりゃーもー、すばらしい大きさでした。胸元の大きく開いたドレスだから、いつもよりさらに強調されている。
 ドッジボールがふたつついてるよ……。

「緑野さんだって、立派じゃないですか」
 と、くるみちゃんに言われ、かえってわたしは恐縮した。

 すみません……コレ、ウソ胸なんです……。下着の威力です……実力ではありません……。

 リンコさんはリンコさんで、

「緑野さんソレ、シンの結婚式のときと同じ服だよね」

 と、突っ込んでくれるし。

 悪かったわねー、一張羅なのよー、他にドレス持ってないのよーっ。
 アクセとショールを替えてるんだから、大目に見てよぅ。

 
 陽気で愉快な宴の席でした。
 音さんのお父さんにはじめてお会いしたんだが、あまりに音さんそっくりでウケてしまった……。ここまで似ているとわ……遺伝子ってすごい。
 音さんの芸人の血は父親譲りなんだわ、と納得。
 そしてわたしは、何故かそのお父さんと腕を組んで写真を撮ってもらった。いや、あまりにプリチーなパパだったから……(笑)。
 
 親族出席の披露宴だというのに、新郎側の友人たちはどこまでもマイペースで、裸踊りまで披露してくれた。さすが元ラグビー部だね……体育会系って……(笑)。
 でもなー、あまり見たくなかったよ、野郎どもの毛尻なんぞ……。

 
 しかしまあ、こうしてまたひとり、友人が嫁に行ってしまったのだなあ。音さんはとっくの昔にダーリンと一緒に暮らしていて、今さらのお式だったとはいえ。

 ねえ、残ったのはわたしとリンコさんだけだよ?
 どうする、リンコさん?

        
 雪組公演『スサノオ』で、見たいけれど、演出上わざと見せてくれないところ。
 ……の、話のつづき。

 去っていくアマテラスを追いかけるスサノオの顔。

 ねえねえ、これ見せないのってすごくない?
 わたし毎回、せつなさに胸がきゅんきゅん(笑)するんですが。

 暴力をふるったスサノオに対し、アマテラスは彼に背を向け、天の岩戸に隠れた。
 スサノオは舞台中央で、去っていくアマテラスを見つめている。
 わたしたちに向けているのは背中。

 いったいどんな顔で、アマテラスの背中を見つめているのか。

 見送るスサノオは、アマテラスの後を追って駆け出す。手を伸ばし、彼女を求める。
 その駆け出す一瞬前に、スサノオは小さく首を振るのよ。

 幼い子どものように。
 力無く、はかなく、いやいやをする。


 そして、なにかに引きつけられるように、姉のあとを追うの。
 そこに意識は感じられない。張りつめた意地だとか、プライドだとかは消え失せ、本能のみに従って無意識に身体が動いたような。

 どんな顔で、愛する姉を追ったの?
 どんな顔で、振り返らない背中を求めたの?

 
 わたしが朝海ひかるという役者を好きになったのは、彼の傷ついた瞳ゆえだ。
 コムちゃん自身にどれくらい演技力があるとか、なにをどう考え計算して演技しているかとかは知らない。
 だけど、彼はときおりものすごーくわたし好みの演技をする。わたしのツボにクリティカルをくらわす存在になる。

 最初にソレを意識したのは、『SAY IT AGAIN』だ。親友を裏切る男ビンス役。
 何故ビンスは、親友のピエール@ナルセを裏切ったか。
 ピエールが、嘘をついたからだ。
 親友にとっていちばん大切な存在は自分であることをたしかめたくて何度も言いつのったビンスに、ピエールから返された言葉は、別れの言葉だった。
 ピエールを信じたい、これからもふたりで生きていきたい。……だからこそ言質を取りたくてくどい会話をした結果が、「俺たち、コンビ解消だな」……別れの言葉。
 そのときの、ビンスの瞳。

 見ていて、「痛っ」と思った。
 それ言っちゃイカンだろうピエール!!
 見ているこっちが息をのむくらい、ビンスの傷がわかった。彼の味わった痛さが伝わった。

 おかげで、ピエールを裏切り、陥れるビンスの行動が、まったくもって憎めない。
 そりゃ、復讐するわ……あれだけ傷つけられたんだから。

 きれいに別れてなんかやらない。
 俺を捨てるというなら、一生忘れられないくらい傷つけてやる。

 忘れられるくらいなら、憎まれた方がいいってか。

 ピエールを傷つけることで、結局は自分の心もさらに傷つくのに、それでも愛する相棒を傷つけずにはいられない。
 そーゆー絶望的な寂寥が、ビンスには満ちていた。

 以来、わたしゃコムちゃんを「コム姫」と呼ぶようになった。
 なんつったってあーた、傷ついた瞳が絶品なんだもんよ。

 彩輝直が心の傷ゆえにすねた瞳が絶品なのと同じよーに、コム姫は傷ついた瞳が絶品なのよーっ。鼻息。

 だからこそ、コムちゃんは傷つけてなんぼ。
 ナイーヴでいてなんぼ。
 泣かせてなんぼだ!

 スサノオ万歳!
 傷だらけの朝海ひかる万歳!!

 さすがキムシン作品はあてがきうまいよねえ。コム姫を絶望させるなんて、使い方をよーっくわかってるわぁ。

 それでいて、コム姫の絶品表情をわざと観客に見せないってのは、まったくもってどうなのよー、にくいわぁああぁぁ。キリキリキリ ← ハンケチを噛む音(笑)。
 

 アマテラスが振り向かないのは正解よ。
 もし振り返っちゃったらきっと、彼女は天の岩戸に隠れることなんてできなかったろうから。
 どんな女も、コム姫の「傷ついた瞳」を見たら、抱きしめて愛撫してあげたくなるから!!(笑)
「泣かないで、わたしはどこにもいかないわ」
 って髪を撫でてあげたくなるから!!

 とことんまで、彼をあまやかしてあげたくなるから。

 …………男にもいろいろあるけどさー、ここまで母性本能直撃してくれる男もいいよなあ(笑)。

 『ノバボサ』や『SAY IT AGAIN』のころのコムちゃんは、ほんとに魔性の美少年を地でいってたからなあ。爆発的に人気が出て、石を投げればコムファンに当たったあのころ。
 あちこちから、コム姫の魔性ぶりを聞かされたなあ(笑)。微笑ましかったなあ(笑)。

 今は当時と雰囲気はちがってきちゃってるけど、この芸風は独特、希有なものだよねー。
 芯に立つ力強さを得てなお、この繊細さを持ちつづけてほしいナリよ、ほんと。
 心から思う。
 
 わたしは、スサノオ@コムが大好きだ。

    
 そして。
 ……演出でわざと見せてくれない「傷ついた瞳」を、見てみたいと思っているのコトよ。

       
 毎月1日は、映画の日です。大抵の映画は、1000円で観られます。
 ってことで、本日のわたしの予算は3500円。
 
 3500円で、『スサノオ』と映画2本観るのー。


 東宝の立ち見は、たった1500円なんですよ。そして、立ち位置が指定済みなんで争奪戦もしなくていいし、取られる心配なく席をはずせるし、後ろに人が立たないから圧迫感もないし。いいことずくめ。
 しかもムラとちがって都会の真ん中だから、朝から並びに行ってもいくらでもつぶしがきく。
 ハンパな席に高い金を出すより、立ち見の方がはるかに好き。とくに『スサノオ』は2階席の方がおいしいし、何度も観ているし。

 朝10時に劇場到着、立ち見のセンターブロックを手に入れる。センターはサイドより1列前だから、BB席2500円よりおいしい。わーいわーい、最良の場所だわ。

 その足で郵便局に行き、交換するチケットを発送したりなんだりしてから、劇場向かいの映画館へ。『白いカラス』を見て、盛大に泣く。
 映画が終わったのが1時20分。いそいそと劇場へ。

 『スサノオ』を観終わって、休憩時間にいったん外に出て仕事の電話を済まし、再度劇場に戻って『タカラヅカ・グローリー』観劇。

 劇場を出たのが5時前。隣の映画館で6時台の指定席チケットを買っておいてから、食事へ。

 無事2本目の映画、『花咲ける騎士道』を観終わって帰路へ。

 
 タカラヅカ観て映画2本観て3500円!!
 ……なんかものすげー感動でしたわ……。

 金は無いけどフィクションが観たい人間には、夢のよーな1日。

          ☆

 さて、すでに何回観たのか忘却の彼方の『スサノオ』ですが。

 いちばん観たいところを見せないのがキムシンなんだな、とつくづく思いました。

 『不滅の棘』でいちばん観たいと思えるのは、エロール@おさ様の寝顔だった。
 あの黄色い椅子に無造作に坐り、そのまま眠ってしまった「真実の顔」。
 スーパースター・エロール様でもなんでもない、永遠の命と永遠の痛みに疲れはてた年老いた魂を持つ男の寝顔。

 キムシンはわざと、エロールの寝顔を観客に見せなかった。
 だからこそ、わたしたちはそれぞれが自分で、自分がもっともせつなく愛しい気持ちになる寝顔を想像するしかなかった。

 
 それと同じように。

 イナダヒメ@まーちゃんに剣を向けるスサノオ@コム姫の顔は、わたしたちに見せないのね。

 「打ち捨てられて満たされずにいる愛の仮の姿」だと、「ほんとうは彼女を愛していた」のだと、自分を護るために気付かないよう封印してきた真実をことごとく指摘され、逆ギレするスサノオ。
 その姿こそがまさに、「打ち捨てられて満たされずにいる愛の仮の姿」だよね。

 彼女の愛が欲しくて駄々をこねたのに、その駄々ゆえに愛どころか彼女自身すら失って。
 せめて虚勢で自分を護ろうとしていたのに、その殻すら見知らぬ少女に論破されて。

 少年は、武器をふりかざす。

 追い詰められて。
 殺される小動物が、悲鳴を上げながら捕食者に向かっていくように。
 それが、イナダヒメの言う、「暴力は打ち捨てられて満たされずにいる愛の仮の姿」だよね。
 ふるいたくて振り上げた拳じゃない。追い詰められて追い詰められて、他の選択肢をなくして、そして振り上げた、かなしい拳なんだよ。

 もちろんそれは、弱いからさ。まちがっているからさ。余裕がないからさ。
 自分が劣っていることを理由に、暴力をふるっていいはずがないよ。

 だから彼は責められてしかるべきだ。
 
 だけど。
 彼の弱さも、彼の罪も、なんとかなしく、いとしいことか。

 
 語るイナダヒメに、「やめろ」と叫んで剣を突きつけるスサノオ。
 観客席に向ける背中。
 彼の表情は見えない。
 わざとだね。わざと、見せない演出になっている。
 わたしたちが見るのは、彼を見つめる、彼の瞳に映るイナダヒメの顔のみ。

 スサノオの罪と慟哭を受け止め、赦す聖少女の微笑のみ。

 
 後半、「虚しい」と地面に這いつくばって泣くスサノオの顔も、やっぱり見えないよね。

 いちばん観たいところを、わざと見せないの。

 にくいな、と思う(笑)。

           
 いいかげん、溜まっている映画の感想書かないと、忘れるわ。この日記ってばタカラヅカ優先なんで、映画の話はどんどん後回しになっていく(笑)。

 
 『21グラム』、監督・製作アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、出演ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベニチオ・デル・トロ。

心臓移植手術を受けないと1カ月の命という大学教授のポール@ショーン・ペン、夫とふたりの娘としあわせに暮らすクリスティーナ@ナオミ・ワッツ、前科者だが宗教と家庭の力を借りて更生中のジャック@ベニチオ・デル・トロ。
 みっつの人生が、ひとつの交通事故によって結びついた。
 夫と娘たちを一瞬で失ったクリスティーナ、事故を起こしたことにより生活を失ったジャック、そして、クリスティーナの夫の心臓を得ることによって生命を得たポール。
 人生は結びついてもいいが、実際に会ってはいけない被害者と加害者、ドナーとレシピエントが出会うことで、物語はさらにすすむ。

 
 タイトルの「21グラム」っつーのは、ひとが死んだときに減る重さだそうだ。
 もちろんそれはきっと、臓器が伸縮するとか乾燥するとかなにか、科学的な理由のある現象なんだと思う。たぶん。
 だけど……。
 それを「魂の重さ」だと思うセンチメンタルさが「人間」ってやつだと思う。思うよ。

 とことん痛い物語。
 誰が悪いわけでもなく、日常にありえる出来事を、時系列ばらばら視点ばらばらで畳み掛けるよーにサスペンス調に描いてある。

 時系列ばらばらだから、謎とせつなさが押し寄せてくるのね。
 幸福なクリスティーナの姿と、すべてを失ったあとの彼女、なにが起こるのか、不幸になる未来を断片的に知りながら、行き着く先は見えない。
 悲劇の予感があるからこそ、幸福に微笑む彼女がせつない。かわいらしい幼い娘たち、やさしそうな夫。ねえ、死んじゃうの? こんなにしあわせそうなのに? べつに、ものすごく恵まれてるとかじゃなくて、ふつうに、わたしやあなたが笑っている、そんな感じの彼女が?

 被害者のクリスティーナもせつないし、加害者のジャックもせつない。彼には彼の生活があり、愛する家族がある。好きで罪を犯すわけじゃない。取り返しのつかない過失。償いと真正面から向かい合う男。
 ジャックの妻が、自首ではなくバックレることを真剣に願うのもまた、せつないね。自首しないでくれ、どんなに卑劣でも、このままなかったことにしてくれ、そしてここにいてくれ。ここ--家庭。息子と娘の父親でいてくれと。赤裸々な欲望がかなしい。
 失いたくないから。大切な人を。

 そして、クリスティーナとジャック、ふたりの不幸のうえに、生命をながらえた男、ポール。
 他人の不幸を前提にしてある、自分の存在。そのことに苦悩する男。

 ポールがクリスティーナに近づくのは、わかるのよ。
 クリスティーナが立ち直り、幸福にしていてくれればいい。でも、不幸なままでいたら? 黙ってなんかいられないだろう。
 彼女が不幸なのは、彼の責任ではないけれど。
 でも、自分の生命が彼女の不幸の上に成り立っていることを、知っているのだから。
 放ってはおけない。

 まちがってるけどね。

 正誤は関係ないから。

 ありえないはずの男と女。
 あってはならない恋。
 ……恋ではなかったかもしれない。そんなロマンチックでプラスの衝動を持つ感情ではなかったかもしれない。
 それでも、クリスティーナとポールは、愛し合って。

 
 いったいこの物語はどこへ行くんだろう。
 てゆーか、終わりも決着もないだろ。

 人生が、つづくように。

 痛みに満ちた日々の中で、幾度となく繰り返される台詞。

「それでも、人生は続いていく」

 最後、物語が映画の冒頭のシーンにようやくたどりつくときに、感じているのは「希望」だった。
 これほどせつなくて、痛い物語なのに、ストーリーだけなぞっていたら、暗くて重くて救いのない話なのに。

 それでも、残るのは希望なんだ。

 苦しくない人なんかいない。かなしくない人なんかいない。わたしも苦しい。あなたもかなしい。
 それでもわたしたちは、生きていく。
 わたしはわたしの、あなたはあなたの痛みを背負って、それでも生きていく。

 生きることの、よろこびを抱きしめて。

 背中に絶望。胸に希望。
 矛盾をやどしながら、それでもわたしたちは歩いていくんだ。

 
 とか、そーゆー気持ちになる物語。

 痛くてかなしくて、いい映画だー。しみじみ。

         
 友人諸氏に連絡。
 ネット環境復活しましたー。ふつーにメール受け取れます。
 よろしく〜。

       ☆

 月組『タカラヅカ絢爛?』感想その2。
 

 まず、ゆうひ君の話(笑)。

 ショーのゆうひくんを見るときのチェックポイントは「表情」。……ぶっちゃけ、たのしそうにしているか、ふてくされているかを確認するのな。公演によっては、にこりともせずにいやそーに踊ってたりするから。クールビューティだから、それはそれでいいんだけどね。某あんちゃんが組替えになった直後の公演だっけ? フィナーレまでただの一度も笑わなかったのは。その公演中はいつ見てもそうだったなー。公私の区別がついてない感じが、いっそ愉快だったんだが。

 今回はゆーひくん、全開で笑ってます。ああ、ごきげんさんね、よかったねー。
 ふてくされているラスカルも好きなので(痛いファンだ)それはちと残念だが、ごきげん笑顔のゆーひくんもかわいいー。きゃー。

 プログラム買ってないんで場の名前はわかんないけど、あさこ中心のダンスシーンで、ゆうひがからむとこがすごく好き。てゆーか、セナゾラをもっと見せろ。ハァハァ。
 あさちゃんの使い方がわかってないわ! かしげなんかと踊らせてる場合(あ、さえちゃんもいたな)じゃないわよ、ゆうひよ、ゆうひ。ゆーひくんとからめてよーっ。
 
 本気でチケット売るつもりなら、あさことゆうひでエロエロな男ふたりダンスをさせるべきだったね。番手なんか無視してさ。
 おさあさで売ることを知っている劇団が、何故ソレがわからないのかしら。演出家のせい?

 もしくは、せっかくの特出だから、同期3人のシーンを腹を据えて作って欲しかった……。
 きれいだったろーに……無駄に美貌のかっしーと、ショースター俺様と、クールビューティ・ラスカル。
 つくづく、作者の趣味先行作品だったことが悔やまれる。生徒のためにあてがきなんか、したことないよな、草野せんせー。

 せっかくの同期トリオを阻んでいるのは、番手の壁か……。ちぇっ。ゆうひが路線外だってことはわかってるけど、ゆーひくんだけ銀橋がないとかなしいわ。

 
 さて、次にかっしーについて思ったこと。
 
 星組と月組、ふたつの同じショーで、かっしーが同じ役をしていることには疑問を持った。
 てっきり役替わりしてると思ってたから。
 だって、1年中同じ役をやる意味があるとは思えなかったんだもの。公演ごとにチガウ姿を見せてくれるタカラヅカスタァともあろうものが、何故えんえん同じ役。しかも、当たり役でもなければ、それほどすばらしい役でもない……。
 同じショーで別の役をやってくれたら、それはそれで観る側としては興味深くてたのしめる。芝居の役替わりと同じで。
 だけどかっしー、同じ役。
 またしてもそんな、幼児向け番組のキャラクターみたいなことしてんのね……。涙。
 わたしは大人が演じるわざとらしい幼児というものが苦手なんだが(芝居なら仕方ないと思うが、ショーでやられると最悪)、なかでも男役のぶりっこ幼児喋りが苦手だったんだとよくわかった。
 娘役が演じる幼児には、とくになにも感じないんだ。いいトシした大きなカラダの男が、「ボクむじゃきなんでちゅ」系の喋りをされると苦手メーターが跳ね上がる。
 今回のスポーツジム・シーンが、星組ほど苦手じゃなかったのは、ボクちゃんかっしーと一緒に幼児喋りをしているのが「娘役」だったからだ……。
 星はなー、きつかったからなー。オヤジ系の男役が、ショートパンツ穿いて幼児喋りして……つらかった……。またえんえんえんえん長いしさー……。
 とりあえずかっしーはきれいだから、幼児キャラになっていても救いはあるしな。一緒にいるのが女の子だからなおヨシ。
 もちろん、月組Ver.にしたって観たいシーンではないので、最悪の事態を脱していた、という意味でしかないけどなー。なんでこんな役を1年間も……。涙。

 同じ役なんだ……とあきらめた瞬間、唯一たのしみだったのは銀橋のシーン。星組で男前かっしーが美女となった清十郎様(笑)とからんでくれた、あの素敵シーン。どんな男を美女にして、かっしーが転がすのかしら。わくわくっ。
 …………相手、男役チガウやん! 期待したのに、女装。
 あいちゃんが悪いわけじゃなくて、たんにわたしは清十郎様並の華麗なる性転換を期待してたんだってば。ちぇっ。
 ふつーに女の子相手だと、かっしーさわやかさんだから色気が減るんだもん……。もともとほとんど色気の持ち合わせがない人なのに……。

 星組Ver.で異彩を放っていたヘビのシーンがさっくりなくなっていて、ヅカらしい男役ダンスになっていたことが、とてもうれしい。そうよ、こーゆーのが見たくて、この劇場に来ているんだからさー。タカラヅカらしいものが見られてうれしい。
 さえちゃん、あさちゃん、かっしーの3人は、とても美しい。
 でもなんか、この並びだとせっかくの俺様の色気のやり場がなくて、中和されているというか……なんかもったいないなあ。
 あさちゃん、ゆーひ、越リュウだったら萌え狂ったなぁわたし……と妄想してみる(笑)。

 ショーまでくると、さえちゃんの歌のアレさにはあまりに気にならなくなっている(笑)。人間は慣れる生き物なのさ。
 素直にヴィジュアルを堪能ですわ。
 さえちゃんだと「妖精」って言われても納得できるしね。

 さららんがウメちゃんの役だとはおどろいた。
 たしかに、時計係は性別問わないよねえ。全開の笑顔がかわいい。つか、丸い……。さららんをこんなに丸いと思ったのははじめてだ。
 それにしても、ウメちゃんは「スター」だったなあ。

 最後の大階段、センターを降りてくるメンバーにちとおどろきました。
 …………ひろみちゃんが入って、めおちゃんがいないですと?!
 やーん、この間のバウでめおちゃんに萌えたのにー(笑)。

 
 まとまりなくつらつらと感想書きましたが。

 なんつーか今回の公演は芝居・ショーともわたしにはどうも消化不良です。
 それはずばり、あて書きされていないもどかしさですわ。
 さえちゃんをはじめ、キャストの魅力を最大限に発揮する、持ち味のよさを何倍もに盛り上げる、座付き作者だけが作ることの出来る快感作品……でなかった、ことに物足りなさを感じるわけですな。
 多少作品が壊れていようと退屈だろうと、キャラさえはまっていれば、たのしいのになぁ。
 あて書きの魅力万歳の星組『王家に捧ぐ歌』、雪組『スサノオ』が、物語のアラなんぞ吹き飛ばしているように。

 キムシンやオギーが今の月組(特出のふたりも含めて)に作品を書き下ろしていたら、どんなふうになってたのかなあ、と思ってみたりな。

         
 さて、わたしの友人たちは、今回の月組公演のチケットを前もっておさえていない人も多かった。
 わたしの周囲限定の話だが、今回の月組公演は人気がなかった。
 さえちゃんを嫌いな人が多いことが、理由のひとつ。
 そしてもうひとつの理由が、ショーが『タカラヅカ絢爛』だからだ。
 
「さえちゃんでしょ? 作品がいいなら観てもいいけど、『タカラヅカ絢爛』じゃ観に行く気しない」
 と、何度、何人の人の口から聞いたことか。
 きっとこれが人気作家の作品だったら、
「さえちゃんでしょ? オギーだから仕方ないから1回は観るわ」
 とかになるんだろーなー。
 劇団は客をなめてるんだろうけど、出演者人気とは別に、作品の如何で左右されちゃうんだけどな。

 続演は、悪い方にしか働かなかった。わたしの周囲では。せめて新作ショーなら「観てみるまでわからない」ってことで、1回は観てもらえたかもしれないのに。
「ショーが最初から駄作だってわかっている公演に、お金は使えない。出演者を好きでもないのに」
 ということだ。

 わたしはキャストを好きだし、本命氏のいたところでもあるので、月組には愛着がある。柴田先生の日本物だし、さえちゃんの蘇我入鹿はきれいだろうし、期待はあった。
 それでも役替わりがなければ、前もって買うチケットは1枚こっきりだったろう。
 だって、ショーがキライだから。
「ショーが最初から駄作だってわかっている公演に、お金は最低限しか使えないわ。出演者にそれなりの好意があっても」
 ということだ。

 歌劇団のやることは、ほんとにわからない……。
 チケット売りたかったら、新作ショーでお披露目させてやればいいのに。さえちゃんの魅力をこれでもかとアピールする、完全あて書きのショーを。
 それとも『タカラヅカ絢爛』に絶対的自信があったのか? それこそ『エリザベート』並に、観た人は涙を流して感動し、何度でも劇場に足を運び、続演も観ずにはいられなくなるって? …………バカ?(首傾げ)
 万人に受けるものとそうでないものの区別もつかないのかしら。万人に受けるのは、もっと特色のない薄いものだよ。絶賛する人はいないけど、嫌う人もいないもの。
 『タカラヅカ絢爛』は、最極端にある作品。とことん強い個性、原色ぎらぎら。オーソドックスさはどこにもなく、冒険的意欲的な世界がそこに。
 好きな人にはこたえられないものかもしれないが、嫌いな人にはまったく受け付けられない作品。

 実際のところ、星組で上演された『タカラヅカ絢爛』の世間一般の反応やら評価やらは知らない。わたしの周囲ではすこぶる評判が悪かったことと、前回の星組公演は東宝劇場までさばきで観に行ったんだが、買い手市場ゆえ定価以下で買えたことぐらいしか、わたし自身には判断材料がない。
 これはとても狭い範囲の話だから、世間一般がどうだったのかは、わからない。友だちってのはそもそも、似た感覚の人がなるわけだから、わたしがキライなものをわたしの友だちがキライであっても、なんら不思議はないわけだからな。判断対象にはならんさ。

 ほんとのとこ、どうだったの? みんなあのショー、好きだった?
 わたしはタカラヅカを観たいのであって、えせキューバショーを観たいわけではなかったのよ。演出家の自己満足世界を観たいわけではなかったのよ。

 たんに、経費節減という目先の利益しか見えていないのなら、ほんとにバカだなー、と思う。
 商売下手過ぎ。

 
 というのが、実際に観に行くまでのわたしと周囲の反応。

 
 つーことで、実際に観てみて。

 感想。星組の『タカラヅカ絢爛』よりは、ずっとマシ。

 あくまでも、わたし個人の意見ね。
 星は「2度と観たくない」だったけど、月は「また観てもいいか」ぐらいだった。

 つーのもだ、月組の『タカラヅカ絢爛?』は、なんだかんだいってかなり「タカラヅカのラテンショー」だったんだ。

 舞台のレベルとか、キャストのクオリティの話ではなくて、作品のカラーがね、月組の方がより「タカラヅカ」だったの。
 わたしが見たいのは「タカラヅカ」よ。えせキューバショーじゃないわ。と立腹していたわけだから、「タカラヅカのラテンショー」になっていた月組は、OKだったわけよ。そりゃ、ものすごく好きだとは思えないけど、数あるどーでもいーショー作品のひとつくらいには、ふつーに観られる。星組のように「キライ! もう観に行かない!」と思うようなものではなかった。
 よかった……役替わりのために3回も観なきゃいけないショーが「キライ」レベルじゃなくって。ふつーでよかった。心底、胸を撫で下ろしたよー。

 さて、相変わらず予備知識なく観ているので、誰がなんの役でどこに出ているとか、なにが変更になったとか、まったく知らないまま観ました。
 月組ではわたし、不動のゆうひファンだし、特出のかしげファンでもあります。だもんで自然とこのふたり中心で観てるかな。

 
 今回おどろいたこと。
 我が愛するゆーひくんの扱いが、「歌手」だったこと!!

 かかかか歌手?!
 音痴のレッテルを貼られていたゆーひが、歌手ですか?!

 わたしはゆーひくんを音痴だとは思ってません。
 ファンの欲目もあるだろうけど「歌が苦手」なだけで音痴なんかじゃないと思ってるわ。周囲からはいろいろ言われたけどっ(笑)。
 ゆーひくんの得意分野は歌とかダンスとか演技とかいう技能系ではなく、「美しさ」や「スタイルの良さ」や「色気」だと思っているので、多少歌がアレでも演技できる役の幅が異様に狭くても開脚ができなくてもブレずにターンできなくてよろめいていてもウザそーに踊っていても、そんなのぜんぜん気にしないわっ。
 いいのよ、見ているだけでしあわせなんだから。わたしの愛するアライグマくんなんだから。

 愛ゆえに、実力の「?」部分を全部スルーして見守ってきたゆうひくん。
 まさかここで、「歌手」ですか……。
 今の月組って……。

 幕開きからゆーひくんのソロで、わたしゃびっくりしました。

 ……かっこいい……ぽっ。

 じつはわたし、ゆーひの黒塗り、好きなの。ぽっ。
 それに声も好きだったりするしね。「俺は男役」と根性据えた歌い方をしてくれると、すっごくすてきなのよー。
 なんかフェロモン垂れ流してるよね、1場のゆーひさん。歌もなんか、それなりにうまく聞こえたんですが、幻聴ですか?

 文字数足りないんでまた別の欄へつづく。

         
 さて、月組公演『飛鳥夕映え』の感想その2。

 
 思ったんだけどこの作品、大劇向きじゃなかったんじゃないかな。
 鞍作という青年を中心にした青春群像の色を持っているだけに、彼らの心の動きを表現するのに、大劇場は大きすぎた。
 バウホールでじっくり描くネタだった気がする。

 そう、ネタ自体はいいんだよなあ。
 悪役として描かれることの多い蘇我蝦夷・入鹿親子の、入鹿を主役にした恋と友情の歴史ロマン。
 鞍作(入鹿)とヒロイン瑪瑙は幼なじみで、ずっと恋をはぐくみ、運命的な離反をする藤原鎌足とは学友で青春時代をともに過ごす。
 ずっとそばにいて、変わらずに鞍作を愛する瑪瑙と、ずっと一緒にいたはずなのにやがて鞍作を裏切る鎌足。
 青春時代のきらめきがまばゆいほど、青年期の立場のちがいや心の変化がせつない。

 瑪瑙との話は子ども時代、鎌足との話は学生時代としてちゃーんと描いてあるわけだから、時の流れによる対比を描くことが目的のひとつであったのはたしかよね。
 実際、いちばんきらきらしたシーンだと思った。学生時代の鞍作たち仲良し5人組の銀橋。山背も少ない出番ながら印象強いし。
 若き日の恋を、友情を、もっと突っ込んで描き、現在と対比させてほしかったなあ。

 にしてもそれは、大劇で派手派手しくぶちあげるのに向いているかどうかは疑問だ。
 このネタで盛り上げるには、演出に技量が必要だよな。
 大劇では、情緒性よりも見た目の派手さを必要とするから。
 
 地味で退屈な物語になってしまったのは、役のねつ造も悪因だったが、ネタが大劇向きではなかったこともあげられるんじゃないだろうか。

 
 まー、それはさておき、キャラとキャストの感想でもいくかー。

 役替わり公演だから、やっぱそーゆー目で観てしまうよなー。
 役替わり役替わり。

 ええわたし、鞍作の役替わりが観たいっす!!

 ………………すみませんすみません、禁句ですね。悪気はないです。わたし、さえちゃん好きだって前から明言してますよね。
 それでも、鞍作も含めた役替わりが観たいと思ってしまったよ……。

 つーことで、以下、あくまでも個人的意見! 趣味入りまくりの役替わり希望!!

 とりあえず鞍作役は、さえちゃん、カシゲ、あさこの3人で!
 かっしーの「白い貴公子」ぶりが見たいー。見たいー。
 そしてドラマチックに破滅するあさこが見たいー。見たいー。

 えっ、ゆーひですか? ……ゆうひくんの鞍作はノーサンキューです。見たくないっす(笑)。

 鎌足役は、カシゲとゆうひくんで見たいです。
 生真面目官僚的な、かっしー鎌足(笑)。見たいー。
 放っておいても悪役にしか見えないだろう、ゆーひ鎌足(笑)。見たいー。

 さえちゃんの悪役はノーサンキュー。ついでに、あさちゃんの鎌足も好みではなかったっす。

 軽皇子役は、役替わりする必要なし。
 主役クラス以外の、誰か適任者が演じていてください。

 石川麻呂は、さえちゃん、カシゲ、あさこの3人で!
 苦悩するヘタレさえちゃん! 所詮小者のさえちゃん! 見たいー。
 生真面目官僚的に、苦悩するかっしー。見たいー。
 ああそして、じつは『マノン』のロドリゴに萌え萌えだったこのわたし、石川麻呂こそあさこで見たいー。いちばん見たいよーっ、わーん。

 それにしても、少年時代のかっしー、致命的にヅラが似合ってなかった……何故。ほんとに無駄に美貌の持ち主だ……どーしてそう、生かし切れないかなー。

 ああでも、この4人が並んでいると華やかで美しくていいですなあ。
 そこにさららんとのぞみちゃんが加わるのも、いいですなあ。

 
 女性陣は、なんつーかもー、組長の歌声と、ちずさんのよろめき人妻ぶりにくらくらして、なんもおぼえていないっていうか。
 なんで月組が誇る熟女ふたりが、あんな役なんですか……?
 ゆら姐さんは、『愛しき人よ』以来、若者食いに目覚めちゃったんですか。ぴちぴちの若者と愛欲の彼方へGO!の熟女……。親子にしか見えないけど、ラブシーンGOGO。
 そして何故、ちずさん……。あの素敵な、老け役まかせての度量ある女役さんが何故、ぴちぴちの若者ふたりの間でよろめく役を……。親子にしか見えないけど、ラブシーンGOGO。
 若い設定なの、ちずさん? でも、異様な若作りはきついっす……。若菜お嬢様19歳@ゆらさんのよーに。
 あと、末子はんの役も物申したい気持ちがむんむん。

 あー、そーいやるいるいがまた、かっとんだ役やってたなあ。
 主役に色仕掛けで近づく女、って、バウの川島役まんまやん……。アニメ声きんきん、アクセル全開。彼女はずっとこの路線なんだろうか……落ち着いた大人の女でせまってくれてもよかったのになあ。

 娘役のキャスティングには「?」がとびかいまくりました。
 不思議な組だ、月組。

 これで退団のえみくらちゃんについては、またいずれ欄を改めて語るかなぁ。
 
 
 とりあえずわたし、役替わりは全部観る予定なんで、カシゲ鎌足とゆうひ鎌足、それプラス新公を観ます。
 つってもかっしー鎌足の分はチケットまだ持ってないんだけどねえ。大劇のいいところは、チケット押さえてなくてもいくらでも観に行けることだ(笑)。

 今は作品とキャラをまったく理解できてなくて、語ることもできやしねえ。
 役替わりがなかったら、たぶんもう観に行ってない(笑)。うーむ、劇団の思うツボなわたし。

 
 さて、ショーの感想はまた別の欄で。

    
 月組公演『飛鳥夕映え』『タカラヅカ絢爛?』を観てきました。
 
 えー、まず、『飛鳥夕映え』の感想いきます。
 思ったことを順番に箇条書きしていいですか。

・さえちゃん、歌下手っ(笑)。歌からはじまる演出のすごさに脱帽。
・ゆーひくん、その顔は……。い、いつかきれいに見える日もくるんだよね(祈)。
・のぞみちゃん熱演。なんてくどい芸風(笑)。
・熟女ブーム?? 若いきれーな男の子は、みんな熟女に惚れて取り合うの? 不思議なキャスティング。
・カシゲの歌がめーっちゃうまく聞こえる……てゆーか、唯一無二? すげえやかっしー、星のときといい、このまま歌手昇格だ!(まちがってる)
・越リュウさま、それだけですか? それだけなんですか?!
・で、嘉月さんは誰とデキてたんですか? さえちゃん? あさこ?(役名で言えよ)
・……おもしろくない……ものすっげーおもしろくない……つか退屈……ねむい……どうしよう……。
・あ、終わっちゃった。

 とりあえず、途方に暮れました。わたし的に。
 なにがどうというより、ただひたすら、つまらなくて。

 えー、あらすじは「蘇我入鹿」、というだけでOKだよね? とゆー有名人の半生。
 蘇我鞍作(入鹿)@さえちゃんは、瑪瑙@くらりんとラブラブで、藤原鎌足@あさこ、軽皇子@カシゲ、蘇我石川麻呂@ゆうひたちとお友だち。
 でも結果、友だちのはずだった鎌足に討たれちゃうんだよーん。とな。

 
 なんなんだろう、これは。
 どうしてこんなことになっちゃってるんだろう。
 わたしのアタマが悪いせいなのか、ここまでつまんないのって。
 どれくらいつまんないかっちゅーとホレ、『春麗がどーしたこーした』とかゆー変な日本物があったじゃないですか。アレくらいつまらんかったです。ただし、アレのよーにぶっ壊れているわけでもありません。
 ストーリーラインはまちがってません。『春麗…』ほどまちがえるのはすでに才能だからな。アレと比べては失礼だろうけど、骨組みまちがってなくても、つまらないのはどっこいどっこい。はあぁぁ。

 予備知識を好まないので、誰がなんの役とか、どんな話だとか、まったく知らないままに観ました。つっても、長く日本人やってるんで、この時代に関する最低限の知識はあります。歴史の流れや人物も大体わかってます。山背といえば「ああ、聖徳太子の息子ね」とか「母親は蘇我氏の娘よね」とか、飛鳥の石舞台は馬子の墓って言われてるわねえ、とか、飛鳥の資料館のロッカーではいろいろオイシイ思いをしたわねえとか、地元ならではの感想や知識も混じってますが。
 関西育ちで寺社仏閣だのを好きなら、まーふつーにのーみそに入ってるだろう程度の知識で、観ました。
 だからたぶん、バックグラウンドの無知が災いしたとは、思えんのですわ。わたしが勉強不足だからおもしろくなかったっちゅーわけでもないと思うのよ。てゆーか勉強しなきゃおもしろく観られないもんなんか、エンタメじゃないやい。

 ああ、溜息。
 
 この物語をどーやったら、おもしろく盛り上げることができるのかを考え込みながら観てしまった……。

 言えることはただひとつだと思う。

 キャラをしぼれ。

 書かなきゃいけない「歴史」がどっしりあって、それについての説明をしなきゃならない。1時間半のエンタメ作品で、このしばりは大きい。時代や舞台、登場人物の立場や考え方、人間関係、それらを説明するだけでも大変だってば。
 そしてこれはタカラヅカだから、主人公に「恋愛」させなきゃならない。
 ……ふつーなら、これでいっぱいいっぱいでしょう。これらの要因を正しく計算して起承転結これでもかと盛り上げてカタルシスを迎える。というだけでも、きちんと作りきったら拍手喝采、それくらい難しいさ。
 なのに。
 ふつーでも難しいっちゅーに、そのうえ「どーでもいい役」を無理矢理「重要な役」に押し上げる作業をしている。
 散漫になり、あらすじを追うだけで精一杯、つまんない睡眠薬効果満載の作品になった原因は、ここにあると思う。

 ポイントしぼって書き直してくれ……。
 鞍作と瑪瑙、そして鎌足の物語に。

 鞍作がなに考えてるどーゆー人なのかさっぱりわからなかったし、鎌足はただの小狡い小悪党、薄っぺらぺらのつまらん男にしか見えなかった。瑪瑙はただのおバカちゃん。のーみそのなかはピンクなことだけでいっぱい。

 ……なんか、この間観た『ジャワの踊り子』とかぶるんですが……。
 周囲の者たちが口をそろえて鞍作(アディナン)を素晴らしいと褒め称えるけど、どこがすごいのかさっぱりわからない色ボケおバカさんに見えたし、純粋無垢のヒロインは「アタシ。それからアタシのダーリン(はぁと)」だけでのーみそができあがっているよーなハムスター並みの人格しか持たないよーに見えたし、鎌足(タムロン)は小市民気質の「俺様の損得だけがいちばん大事」の虫ケラ野郎。

 でもわたし、『ジャワの踊り子』は好きだったわ。だってアレ、笑うためにある作品でしょう? 『真珠夫人』とか『牡丹と薔薇』とか『冬のソナタ』とかと同じ、観客にツッコミと笑いを提供してくれる意図で作られた物語でしょう?
 あれくらい開き直って、バカな話を大真面目にあっけらかんとやってくれたら、微笑ましいわ。わたし、『真珠夫人』も『ぼた薔薇』も『冬ソナ』も、ちゃーんと大爆笑しながら本放送時に全話見ましたことよ。好きなのよ、あーゆーバカメロドラマ。エンタメに徹したスタンスが好き。

 『ジャワの踊り子』はたのしかったのに、『飛鳥夕映え』がダメなのって……やっぱり、スタンスのちがい? 『ジャワ』は笑えるけど、『飛鳥』は笑えないんだもの。ただ退屈なだけ。

 ひたすら散漫なんだよなあ。
 鞍作と瑪瑙と鎌足だけをじっくりねっとり書き込んで、完全に3人の物語にしちゃえばよかったのに。
 それでも、なんせ歴史物なんで登場人物は多いし、見せ場も作れるから、人海戦術のタカラヅカらしく作れたろーになー。
 軽皇子も蘇我石川麻呂も、ふつーに脇役としてオイシイ役程度で十分だったよ。持ち上げる必要のない役だ。つか、真ん中に彼らのエピソードは邪魔。鎌足に託すことができる程度の存在意義やエピソードを割り振るから、失敗する。

 役替わりって、誰が発案したんですか。
 作品壊すくらいなら、やめようよ、そんなアホなこと。

 今までも役替わりはいろいろあったけど、作品壊すような「しばり」として役をねつ造しなかったよねえ?
 

 作品がこのままとしても、せめて役替わりがなければ、回を重ねるうちに役者の演技が深くなるかなと思えるけど……今回はそれも期待できないんだもんなー。
 がっくり。
 それでもわたし、役替わりは全部観るわ……オタクだもん。
 こうやってチケットを売るための役替わり……作品壊しても、チケット売る方がいいんだ……いい作品だからチケットが自然に売れる、ということは考えないんだ……。

 なんか、誠実さに欠けるよなあ……。

 
 文字数残り少ないんで、翌日欄につづく。

    
美しい物語を見た。

 ストーリー自体は目新しいものじゃない。むしろかなりお約束。展開もオチも全部読める。
 だからこれは、ストーリーをたのしむものではないんだな。

 うつくしいものを見よう。

 ありえない、と笑う前に。
 うつくしいものを見よう。

 
 『ビッグ・フィッシュ』、監督ティム・バートン、出演ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー。

 エドワード@アルバート・フィニー(若いころはユアン・マクレガー)は語る。彼が出会ってきたさまざまなことを。魔女や巨人、そして村の伝説だった“大きな魚”のこと、不思議な村、サーカスでの生活、運命の恋。彼の物語はとてつもなくロマンチック。
 だけど彼の息子@ビリー・クラダップは信じない。嘘つきの父と理解し合えないままでいる。
 父の余命がわずかになったとき、息子は父に「真実」を求めるが……。

 
 万人に受ける映画ではないと思う。なんせありがち類型的。お約束のオンパレード。たんたんと同じテンションで短いエピソードが流れ、盛り上がりもなにもあったもんじゃない。
 ツボに合うかどうか。琴線に触れるかどうか。それだけにかかっている。

 わたしはツボりまくりだった。
 全編、泣きっぱなし。

 いいんだよ、もう。美しいんだから。
 美しいもの、ありえないもの、わたしの魂はもう汚れていて、決して自分では見ることはできないものを、こんなに遠くから憧憬に胸を焦がしながら眺めている。
 わたしは大人になってしまったウエンディで、もうピーターパンに会うことはできないの。そこにいても、見えないの。そして、見えないんだということを知っているの。
 いっそ知らなければ、幸福でいられたのに。
 今、痛みを抱きしめる。

 うつくしい物語を見た。
 息絶えようとする父親の枕元で、息子が語る父の最期。
 そのうつくしさ。
 たぶん、忘れられないシーンになる。あのうつくしさはわたしの中で発酵し、わたしの血肉の一部になる。

 映画を見ていると、ときどきあるよね。
 ツボに入りまくって、そのシーンだけ忘れられなくなるの。なにがどうじゃなく、ふと思い出してだーだー泣いちゃうよーな。
 わたしは泣くのが得意だから、いつでもどこでも1・2・3、ハイ、で泣き出せるんだが、そーゆーときに思い出すシーンになると思う。『ビッグ・フィッシュ』の父と子の湖のシーンは。

 映像というすばらしさを思う。
 映像には、映像でしか表現できないものってあるよね。
 わたしは「〜〜でなければならない」ものが好き。代用の利くものは尊敬できない。
 この映画の映像の力を素直に感嘆するよ。文字や台詞で語るすべを持たない映像の饒舌さ。

 うつくしい物語を見たよ。
 陳腐なんだけどね。ストーリーなんか、最初から全部予想がつくよ。思った通りにすすんで、思った通りのオチで、なにも裏切られずに終わってしまうよ。
 だけどそれは、うつくしいんだ。
 とてつもなく、美しい物語なんだ。

 そして。
 このうつくしい物語を、うつくしいと思える自分でよかったと思うんだ。

       
 ダイエーの「暮らしの88円ショップ」だっけ、アレ、なくなっちゃったのお?
 88円だと信じて眺めていたら、みんな「105円」って値段がついてた……。がっくり。
 好きだったのに、88円ショップ。税込みだと92円になっちゃうけどさ、山とある100円均一ショップと差別化する心意気がさ。

 つまんない……ふつーの100均になっちゃったなんて。

 
 モノの値段といえばさ。

 わたし先日、ビデオテープを買ったのよ。
 早々にDVD生活をはじめてしまったんで、ビデオテープってものを一切買わない生活してたんで、いざ買うのはほんとひさしぶり。

 値段を見て、おどろいた……。

 わたしはただ漠然と、「DVDは高い」という意識があったのね。
 わたしがDVDレコーダを買った時代はそうだった。DVDメディアは高くて、便利かもしれないけどビデオテープ気分で何枚も買えるシロモノじゃなかった。
 当時は、RAMが税抜きで800円くらいしたんだよね……パックで買っても、1枚あたり。
 2時間しか録画できないのに、800円。ビデオテープよりずーっと高い。

 その印象のままで、時が流れた。

 今、わたしが機嫌良く使っているDVD−RAMは税込み5Pで1500円だ。1枚300円。Rに至っては、10Pで1600円、1枚160円。
 ビデオ録画用でコレだから、パソコン用だとさらに安く手に入るはずだよね。
 その昔、あんなに高価だったDVDメディアが、こんなに安くなっている。

 てことはとーぜん、ビデオテープだって安くなってるよねえ?
 RAMが300円なんだから、120分ビデオテープなら100円ちょいくらい? 3Pで380円ぐらいかなー。

 高い……高かったよ、ビデオテープ。

 某有名量販店に買いに行ったんだけどさ。
 ハイグレード3Pで平気で1000円くらいしてんじゃん。
 使いにくいし劣化早いし、ろくなことないのに、なんでRAMより高いのっ?!

 びっくりだ。
 時代はわたしを取り残して流れていたのね。
 もうビデオテープより、DVDメディアの方が利便性を考えれば確実に安いんだ……。

 
 おばさん、時代の変化に乗り遅れまくってるわー。

     
 ヅカの写真と言えば。

 キャリエール×エリックの銀橋抱擁写真、なんでないのっ?

 劇団の公式販売写真にもないし、公演写真集「ル・サンク」にも載ってなかったよっ?!
 なんでっっ?!

「あるわけないじゃないですか」

 と、友人デイジーちゃんはめーっちゃ素で言う。

 あるわけないの……?
 そうなの?
 そーゆーもんなの、世の中的にはっ?!

 がーーーーん……。

 
 たしかにね。
 いいシーンだけど、フォトジェニックなシーンではないのよ。
 がっちり抱き合っちゃってるから、カオは見えないしね。とくにエリックは仮面をつけた方を客席に向けているからね。
 抱き合っている男ふたりというだけにしか、映らないもんさ、客観的にはさ。

 ご贔屓のカオが命のジェンヌファンが、金を出してまで買わない、と判断されても仕方ないかもしんねーさ。

 ああ、しかし。
 「ル・サンク」くらい、載せてくれたっていいだろう、写真!! なんのための写真集だよ!! 泣。

 
 仕方なくわたしは、『GRAPH』を買いました。
 唯一、抱擁シーンが載ってたからさ。
 『GRAPH』買ったの、何年ぶりだ、おい。『歌劇』も買わなくなって久しいしな。
 トド様の厚化粧がまぶしいわ……つーかここまで塗りたくらなくても、トド様は十分きれいだと思うんですが。

 ま、せっかく買ったわけだから、さっそく『ファントム』の舞台写真は切り抜いて壁にべたべた貼りましたともさ。
 ああ、たかちゃんきれー……。

 
 キリがないので、写真は買わないことにしているの、いちおー、わたし。
 最後に狂ったよーに買いあさっていたのは、『血と砂』のころで、あれ以来は自重している(笑)。

 そんなわたしがついつい「写真欲しい……」とふらふらキャトレへ足を運んだのは、なにを隠そう『BOXMAN』だった(笑)。

 ケビン@たかこがあまりにかっこよくて……。

 1枚だけ。1枚だけだから、ゆるして。
 と、自分に言い訳しながらキャトレへ行って。

 敗北して帰った……。

 だって、1枚にしぼれなかったんだもん! どれも素敵すぎて!!(笑)

 我を忘れて物色して、アレもコレもと手に取っていたが。
 ふと、正気に返ったんだよね。この写真の値段にちょっと付け加えるだけで、公演1回観られるじゃん、と。

 で、買うのやめた。
 落ち着けわたし! 写真より生がいいに決まってるだろう! ってことで。

 
 そんなふうに、グッズを買うのは控えまくっていたのに。
 プログラムだって買ってないのに。

 …………『ファントム』はなー、ついなー、買っちゃったんだよなー。プログラムも、クリアファイル(笑)も。
 エリック@たかこが美しすぎて……。

 ケビンといい、わたしにはたかちゃんのビジュアルが大変ツボにハマるらしい……。

 
 ああ、それにしても。

 キャリエール×エリックの銀橋抱擁写真がないなんて。
 公式販売されてないなんて。

 ひーどーいー。

「FC写真ならひょっとして……なんなら、会の人に聞いてみましょうか」

 と、顔の広いデイジーちゃん。

 うんうん、お願い。
 キャリ×エリがあったら買って。

「あー、でも、たぶん無理ですねー。会写真ってたいていひとり写りだし」

 がっくり。

 『ファントム』のいちばんいいシーンなのに……。
 萌えシーンなのに……。

 
 劇団よ、そして世間よ、何故にそう、わたしとニーズがちがいますか!!(えっ、わたしが悪いの?!)

     
「雪組では、どなたのファンなんですか」
 と、さばき待ちをしているときにご同輩に聞かれた。
「水くん!!」
 とわたしは、意気揚々と答えた。

「水さん……雪組チガウじゃないですか」

 つっこまれましたよ、そりゃもちろん(笑)。

 すすすすみません。アタマのなかに、アオ様しかなかったんです。
 雪組東宝公演『スサノオ』において。

雪組では、どなたのファンですか」
 と、さらに聞かれました。
 そしてわたしは、アタマをかかえる。

 雪組では……? だ、誰だろ……。
 とにかく、現在のわたしのアタマのなかには、アオセトナ@水しぇんしかいないもんで。雪組で誰を好きだったか咄嗟に思い出せなくなっていた。

 え、えーと、カシゲちゃんかなぁ……はっ。カシゲ今、雪組に出てないぢゃん!!
 うっわー、あたし誰のファンなのよーっ、雪組でわっっ。

 脳裏をハマコがかすめて消えていく……。ちっ、チガウわっ、ここでいちばんに名前をあげるにふさわしいキャラじゃないわ、ハマコはっ。
 ああっ、わけわかんなくなってる! わたしは誰のファンなのっ?!

「いづるんじゃないんですか」
 我が友デイジーちゃんが、すっげー素で答えてくれた。
 あ、なるほど、ソレだ。
 いづるん好きです、はい。

 ……わたしは気が多いので、好きな人が多すぎるのです。
 好きは好きなんで、順不同、ナンバリング不可なの。
 だから、誰がいちばんかを聞かれると混乱するのよ。
 別格のトド様と本命のケロちゃん、不動なのはここまでで、それ以外の順位はその都度変動しまくるのよ。
 そのとき観た萌え公演の萌えキャラを演じていた人に萌えまくって幸福絶頂になるの。

 ついこの間まではエリック@たかこにきゃーきゃーで、そのあと速攻でバーナード@まっつにうきゃきゃきゃで、今日またアオセトナ@水しぇんにきゃああああ♪なのよー。
 いつもいつもしあわせなのー。

 雪組にも好きな人はいっぱいで、咄嗟に誰って言えないんだもんよー。
 デフォルトで見ているのはキムちゃんとコムちゃんかな。娘役では断然となみちゃん。研2のちとせちゃん探しもデフォルトか(笑)。
 あと、見るつもりなくても見てしまうのがハマコ、見る気がまったくないのに目に飛び込んでくるのがまちかめぐる……。
 いづるんは萌えジェンヌだし(笑)、他にも若手のきれーどころは大好き。

「カシゲさんといえば、この間の星組公演。カシゲさんの歌がすごく上手に聞こえましたね」
 と、前述のさばき待ちの人。
「雪にいるときはふつうなのに、星だとすごく巧く聞こえる(笑)」
 と。

 まったくだ。心から同意しますよ、おにーさん。
 あの濃いぃぃい星組色男軍団において、われらがかっしーは見事にひとり、白い貴公子ぶりを発揮してました。……それでもやっぱり薄かったけどね(いや、髪の毛のことじゃなくて)。

 
 まあなにはともあれ、雪組公演。
 今回の作品は2階席がたのしいので、チケ取りも気楽。びんぼーなわたしは安く観られればそれで十分です、はい。

 さばき待ちの人たち多数。
 ムラでのあの寒い寒い客席が嘘のようだ。
 そしてわたしも何故か、ムラのときより一本釣られ率高し。声かけてくれた方々、ありがとー。

 
 ところでわたしが観たとき、アオ様の髪型ちがったんですが、なんですかアレ。
 前の方がいいよ〜〜。もとに戻してぇ、アオ様ぁ。
 妖しいおにーさん、というより、おねーさんに見える……。女に見える水くんを見たのははぢめてだー。

 そしてアオ様、スサノオへのやんらしいスキンシップが増してました……ふふふ。
 水×コムっていいよねえ……ビジュアル最高だよねええ。うっとり。

 
 ああ、なのに。
 キャトレでアシナヅチ@ハマコの写真を買いそうになってしまったわたしはなんですか?!
 アオ様はもちろん、バーナード@まっつも買ってないのに! エリック@たかこも買ってないのに! てゆーかここしばらくケロちゃんの写真すら買ったことないのに!!

 落ち着けわたし、ハマコに手を出している場合じゃない(笑)。

     

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