ほんとはもっと早く書きたかった、書きたいことが溜まってパンクしそうだ、なのに、時間がなくて書けないのが悔しい。12月に身体壊してたおかげで、仕事が全部今月前半に持ち越しになってるんだよ……あうう、時間がないー。睡眠時間がほしいー。
 てゆーか、新しく買ったブルーレイレコーダ、購入からたった10日ですでに500GB以上録画済みってどうなの、ナニをどうやったらそんなことになるの。
 PS3も買っちゃったのに、まだ接続すらしてないよ……忙しすぎて……しくしく。

 と、悲鳴を上げながらも『インフィニティ』を場面ごとに、解説しているつもりがただの感想ですはい、の続き。

 初日の幕間、「きんぐがキングの場面、いい場面だったね」「ぶっちゃけ、いちばんいい場面だったよね」と話したのが、つい昨日のことのよう。
 日々はあっという間に過ぎ、たった12日間17回の公演なんて、すぐに終わってしまう。
 終わってしまう。
 それが、切ない。

 まあともかく。

 そのとっても良いきんぐの場面の次。

 しみじみイイ場面のあと、がらりと曲調が変わり、あゆっちとヒメのかしましい場面に。
 恋に憧れる女の子ふたり。
 あゆっち、丸い……(笑)。そしてヒメ、『アルバトロス、南へ』あたりのお化粧に戻してくれないかなあ、と、最近とみに思う……。
 このふたりの「オンナノコ!」なかしましさが、すごくかわいい。

 舞台は南仏。昼間です、太陽まぶしいです。
 ってことで、マスタードカラーのスーツでまっつ登場。や、よく見るとゴールドなんだけど、色目が渋すぎて芥子色(笑)。ソフト帽かぶってキメキメ。
 あゆっちとヒメが彼に一目惚れ、モーションかけるのどうので言い争っているのを尻目に、キザでどこかコミカルな動きで笑いを誘う。

 暑いらしくて、ほっぺた膨らまして「ふーっ」と息をつくのが好き。
 顎の筋肉の動きが好き。少年マンガの格闘家みたいなラインなの。(なにソレ?!)

 あゆっち・ヒメ相手には余裕でいなしていたまっつ。
 上手から現れた緑色のワンピの女@あゆみちゃんを見た途端。

 まっつに、スイッチが入る。
 花男スイッチ(笑)。

 さっきまでのコミカルさが嘘のように、硬質な色気がモヤッと広がる。
 色男まっつが手をさしのべるのに、あゆみちゃんはわざとスルー。横をすり抜けようとする彼女の手を取り、強引にダンスへ。
 男と女の恋の駆け引き。手を差し出したあゆみの手を、今度はまっつがわざとスルーしたり。
 アダルトで小洒落ていて、エロくてクール。

 ところで、まっつが相手にしなかったヒメとあゆっちにもダーリンが現れる。コマと翔くん。
 コマの、ヒメへのアプローチが色男過ぎる。
 最初に見たとき、「うきぃ~~!!(赤面)」となったわ(笑)。ナニあのキザっぷり! ……いいなあ(笑)。

 まっつをセンターに、下手側で男3人で踊る場面がある。
 もちろん、めちゃカッコイイ……んだが、「この3人が、次のベニスの3人なんだ」と思うと、感慨もひとしおです……ってゆーか、ツボる(笑)。
 いなばっち、うまいなあ、キャスティング。

 まっつとあゆみちゃんの恋は2段階あり、あゆみちゃんがボレロを脱いで露出度を上げてからがPart.2ってゆーか、次の扉というか。
 さらに大人度が上がる。まっつの温度が下がる。さらにクールに、研ぎすまされて、美しく……エロく(笑)。
 それまでは軽快さもあるダンスだったのが、どーんと湿り気を帯びるのだわ。

 あゆみちゃんが脱ぐタイミングで雛ちゃん登場、けだるいラブソングを歌う。……歌声はじめて聴いたかも。

 あゆみちゃんがいい女だ。
 彼女が美しくしなやかで、かつ色っぽいから、彼女に絡むまっつの男ぶりも上がる。
 彼女は下級生時代からダンサーつーことと友人がなにかと名前を挙げていたこと、んでわたしの好きな89期ってので目にはしていたけど、ここんとこさらにグレードアップしたなと。
 この力強い芸風がうれしくてならない。あああかっけー。

 あゆみちゃんがまっつに後ろから抱きつき、ふたりで腰を落とすところのまっつが好き。写真欲しい。

 さんざん恋の戯れに酔ったくせに、日暮れとともにふたりは別れる。あゆみちゃんはコケティッシュにバイバイしていく。まっつも追わない。
 雛ちゃんの歌に夜という言葉があったと思うんで、昼に出会って夕方に別れたわけでなく、一昼夜は経っているのかなと。まあ、つまり、一夜だけの関係っすか……。
 ひとり残ったまっつに、夕陽が射す。

 んで、まっつソロ。
 石畳に影がのびるとかなんとか。←ちゃんと聴けよ

 孤独を歌うまっつの歌声に乗って、スーツの男たちが踊る。彼の心情を表すように。
 なかでもレオくんは、まっつを後ろから抱きしめたりと、エロエロです。

 ま、そーやってひたすらシリアスに、じーんとくる場面だったわけだ。
 まっつの「男は背中で語る」、クールで雄弁な背中が、闇に消えていく。

 その次の瞬間。
 ライトが点るとそこはベニス。
 明るい空と海。
 陽気なゴンドリエーレ@コマ・翔と、まっつ。
 そう、まっつ。
 さっきあんなにドシリアスに締めたのに。
 その同じ姿、同じ背中でコメディ場面開始。しかも顔ぶれはフランスと同じ、コマつんと翔くん(笑)。
 同じ3人で、雰囲気をがらりと変えてるのなー。

 フランスから来た男まっつを、カッコイイとほめるコマ&翔。
 コマをタラすまっつはココですよ。
 てっきり毎回ちょっかい出してくれるのかと期待したのに、2日目にやってみせたあと数回はなにもしなかったぞ? もうやらないのかと思った頃にまたぽろっとやってみせた。なんなんだ(笑)。
 コマくんがまっつにどきまぎしているのが、イイ。リアクション返してくれてありがとー。
 で、まっつが翔くんから水をもらいまっつ。
 おー、飲んでるよー。舞台でほんとになにか飲むまっつってめずらしい図だー。

 翔くんがすごくがんばってアドリブを挟もうとしているの。まっつがあまりのってあげないから、可哀想(笑)。翔くんがんばれー。タイミングあわなくても負けるなー。
 コマは、まっつから仕掛けない限り、自分ではアドリブはしないと決めてるっぽいな。でも、今んとこ3回……4回あったか??の、「コマを口説きまっつ」のとき、的確に返してくれるから、コマくんはすごいなと思う。
 
 ベニスのまっつは恥ずかしいまっつです。
 いやその、デフォルメ系の色男ぶりなので。これでもかとキザりまくり。
 サングラス着用。はずすのは一瞬、下手側で。
 コミカルなのにキザでエロいのはまつださんの仕様です、ごちそうさま。

 まっつが両手投げチューで退場したあとは、ゴンドリエーレのコマと翔の場面。チューしないではける日もあった……気分? 時間の都合?(笑)

 続く。
「初日の感想読んだけど、あまりよくわからなかった。きんぐがキングの場面ってネタ場面なの?と思ってたから、実際観て、良い話でびっくりした」

 と、あとから観劇したまっつメイトに言われ、自分の感想のわけわからなさを、改めて顧みました(笑)。

 んじゃ『インフィニティ』、場面説明いってみよー。
 曲名とかはよくわかんないんで極力誤魔化す。知ってる曲、馴染みのある曲ばっかだけど、正式なタイトル知らないので、恥を掻かないために書かない(笑)。
 記憶違い上等。きっとぼろぼろ間違ってると思うが、書くことでアタマ整理するの。もー、いっぱいいっぱい。

 第1幕。
 プロローグでは、まっつが舞台にただひとり。
 「いい仕事をする(まっつさん談)」のセットの輪が動き、「無限大」な広がりをそこに形作る。
 銀色+ピンクの派手派手衣装ですよ、まっつなのに。
 後ろ向き→振り返って主題歌ソロ。
 仲間たちが登場して、全員でのコーラス。アカペラもあり。背景は景気よく宇宙。壮大です。

 主題歌の歌詞に沿っているの。
 ひとりの歌声がみんなの歌声と出会い、無限大の力が生まれる……それを表している、んだと思う。
 やー、まっつの声はともかく、前方席だとヒメの声がすげー響きますよ。

 次の場面があるので、コマつんは途中でいなくなる。プロローグのヒロインはあゆっちなので、あゆっちセンターで娘役の場面になるタイミングで、コマくんは下手に消えている。(それに気づいたのはつい最近だ)
 
 主題歌フルコーラス歌ったあと、まっつときんぐが左右にそれぞれはけて、あゆっちセンターの短い場面。
 その後ろにセーラー姿(女学生ぢゃないよ)のコマ登場。それに合わせて他のみんなは退場。

 「インフィニティ号は無事出発しました」そうで。世界一周の船旅らしいよ。
 背景は操舵室からの眺めとか、そんなイメージ? 真ん中には羅針盤だか海図だか、なんかかっこよさげな意匠。その周りの海が揺れているのは映像ではなくライトなんだね。
 コマが狂言回しかと思ったらそうではなく、解説が入るのはここだけ。

 バウとはいえ、たったひとりでえんえん歌い踊るコマ。すごい。

 最初の目的地は、アメリカ。
 ってことで、ブロードウェイ曲特集らしい。
 「ニューヨーク、ニューヨーク♪」と上手で歌い出すコマ。
 同じく下手からセーラーきんぐ登場。
 そしてさらに。
 舞台奥、センターから、まさかのセーラーまっつ登場。

 なんというか……どこの「ソルフェリーノ」。
 まっつさん、その帽子は……えっと……。
 セーラーキャップなんですけどね、ナースキャップに見えます。似合わないこと甚だしい。なんとかならんのかアレ(笑)。

 えー、まつださんはともかく、かわいい場面です。
 男たちは全員セーラー。白い水兵さん。
 かわいいブロンドガールにめろめろになって、それぞれカップルになって踊るわけっす。
 まっつのお相手はひーこ。
 一目惚れらしいよ。最初に見かけた瞬間にきゅんとしたよーで、ぼーっとなって手を振っていた。……あの、まっつが。いや、ここのまっつは若ぶっていていやその、かわいこぶっていていやその、まあとにかく。

 まっつは雨が降り出したあたりで、ひーこの手を取って下手へはけていく。
 この「若々しいカップルぶり」がめちゃかわいくてねー……ナニこの初々しい初恋カップル。まっつなのに。(何回言うんだ)

 残ったカップルたちの歌とダンス、ソロパートはあすくん。イイ声。

 で、このショーの特徴っつーか、朝とか夜とかがあるのな。
 お日様燦々のアメリカの次は、夜のアメリカ。

 青いタキシードに着替えたまっつがアダルトに歌いまくり。よかった、アダルトで。←
 客席だってばんばん釣ってます。……ままままつださん?!

 歌うだけじゃない、踊りまくり。
 『インフィニティ』って歌だけのショーじゃないんだよ。ダンスの印象もかなり強い。
 ドレス姿の娘役をとっかえひっかえ、絡んでは離れをくり返す。
 歌は女の子たちが歌い継ぎ。みんなうまいんだけど、唯一「あれれ?」と思う歌声に振り返れば、あゆっち……(笑)。

 メインの相手役はひーこ。昼間お持ち帰りして、大人な夜もこのカップル。
 まずふたりで踊る。ここのひーこが、彼女の特徴であるスピード感でぶんぶんぶっ飛ばしてます(笑)。
 んで、ひーこと同じオレンジドレスの女の子たちがぞろぞろ登場。
 女たちと戯れていると、タキシードの男たちも登場して、それぞれがデュエットダンス。
 途中、タキシード男たちだけのダンス。まっつセンターに、逆三角形に。これがかっけー。んでまた、女の子とたちカップルに。
 まっつの相手役は、あくまでもひーこ。
 ……あのまっつが、愛にあふれた目でひーこを見ています。「死ぬまで貴女ひとり 離しはしない♪」とか、歌詞に沿って。
 えー? なんかふつーに恋愛モードなまっつだー、ふえー。
 まっつとひーこは体格的にとても映りが良いです。

 しかし、女たちとおさらばして、クールでハードな男たちの場面へ。
 響くベースの音。
 背中向きで歌い出す「Night&Day」。
 ライトの中、まっつの後ろ姿が浮かび上がるの。
 まさに「輪郭っ!」て感じで。
 その美しさってばよ。はうう。
 で、その歌声に合わせ、レオくんのダンスソロ、続いてコマとまなはる、最後に翔くんと翼くんと橘くん。まっつ見るのに必死でなかなか周囲は捕獲できない(笑)。
 ねえねえ、翼くんどんどんかっこよくなってるよねええ。全ツのときから、成長著しいと思うの。

 んで、イギリス。
 なにがすごいって、舞台奥センターに立って、司祭@朝風くんのソロですよ。
 舞台に彼ひとり。えんえん歌う。ちょっとナイですよこんな扱い。まっつだって今までやったことなかったはず(笑)。
 戴冠式はじめますよ、偉大な王の誕生っすよ、てな歌詞。
 その偉大な王ってのが、きんぐ。
 派手な毛皮マントに礼服姿できんぐ登場。いままさに王冠が彼のアタマに……ってとこで、時が止まる。
 「ほんとにオレが王でいいの? 相応しいのはオレに夢を託して死んでいった仲間たちじゃねーの?」と、きんぐは思考の波におぼれる。
 海軍の士官服を着た男たちが、青い衣装の娘っこたちに翻弄されるダンス。娘っこたちは波、仲間たちは海の藻屑になったそうよ。
 仲間たちのなかで、ピックアップされているのが、あすくん。蘭寿さん似の顔で盛大に顔芸しつつ踊ります。

 これが、きんぐセンター場面。
 バウとはいえ、ストーリー性のあるショー場面をまるまるひとつ、だよ、すげえ。
 きんぐセンターに、海軍士官たちが踊る姿のかっこよさ。てゆーか、まなはる元気。(仕様です)

 仲間たちの在りし日の姿、次々と息絶えていく様、絶望のきんぐ……。
 ここで美しい歌声が響き、倒れた仲間たちはよみがえる。彼らはきんぐに夢を託したんだ。みなイイ顔できんぐを見守る。
 栄光の座につくことに逡巡していたきんぐは、仲間たちに背を押され、王冠を戴く。
 ……んだけど、マント持って待ち構えるのがまなはるとレオ、王冠持ってるのがあすで、3人ともなかなかにプレッシャー掛けてるだろソレ!な力強さが愉快です。……いやその、存在の派手な人たちだからね……(笑)。

 あー、これって「荒野より」だよね、荒野より君に告ぐ 僕の為に立ち停まるな 後悔など何もない、よね?
 荒野ではなく海原だけどな。……と思って見てました。男子の好きなパターンっすね。

 いい場面なんだよ、ネタじゃないし、ギャグでもナイの! むしろ泣けるの!
 きんぐがキング、ってネタから思いついただろ、いなばっち! ……と、ツッコミ入るにしろ。

 「背中を押すのは仲間の微笑み♪」と歌う、美しいソロは夢華さん。彼女の見分けがあまりつかないわたしは、最初誰かわからず。途中から、彼女も出演していることを思い出した(笑)。
 何故こうもおぼえられないんだろう……。

 続く。
 まっつバウ、『インフィニティ』について。

 正直、贔屓が「ショーのバウホール公演で主演する」という意味が、よくわからなかった。
 いや、言葉上の意味はわかるよ? きゃー、ショーでバウ主演だって、うれしい!と。
 でもさ、実際のとこ、どうなの?
 ショーでバウ、って、ぶっちゃけ、ナニやんの?

 あんまり前例がナイために、予想できない。
 まっつといえばエエ声と歌の人、そして今度のバウも「声」がテーマだという。
 ふつーに考えると、まっつが歌いまくりのコンサートになるってことか?
 ちょうど1年前のそのかバウ『Dancing Heroes』で、そのかが踊りまくっていたように?
 そのかバウはほんとにそのかが八面六臂の活躍をしていた印象。アレの歌版?

 よくわかんないので、ナニも考えなかった。
 どんなふーになるのか。

 だって、2時間あるんだよ? ディナーショーだって1時間なのに、2時間えんえん歌メインって、想像つかないよ。
 そんならひょっとして、ショーと謳いながらも1幕は芝居っぽいやつで、2幕はふつーにショーとか、よくあるパターンかなと思ってみたり。

 前もってナニも考えない。
 まっつ主演ってだけでうれしいから、それ以上は思考が働かない。

 そして、『インフィニティ』の幕が上がり。

 ナニも考えていなかった、とはいえ、無意識レベルで思っていたものと、大きくちがった。

 ひとつは、「コンサート」ではまったくないこと。加えて、「歌」のショーですらない。
 もうひとつは、「まっつのワンマンショー」でもないということ。

 歌ウマまっつ主演で「声」がテーマのショー、というからには「ショー」というくくりであっても、「コンサート」寄りかなとはなんとなく思うし、コンサートと言えば主演さん歌いまくりのワンマンショーが基本。
 そうであってほしいと思っていたわけではなく、ほんとに、そーゆーもんなんだろうか?と疑問形で、無意識に思っていたらしい。

 『インフィニティ』は、コンサートでもなければ、まっつワンマンショーでもない。

 では、ナニか。

 「タカラヅカ」だ。

 そこにあるのは、基本忠実の、初心に返ったかのような、由緒正しい「タカラヅカ」だった。

 トップスターを中心とした、美しいピラミッド。
 2番手がいて、3番手がいて、新人スターがいて。
 唯一トップ娘役が固定されていないが、いろんな女の子たちを適所に使うことで解消。

 稲葉先生は、まっつ主演バウ公演で、「タカラヅカ」を作ってくれた。

 これは、思ってもみないことだった。
 古今のタカラヅカの名曲を使い、これでもかと「タカラヅカ」を作る。
 なんの事情かピラミッドが崩れ、各組のスターの番手が不明確にされ、「タカラヅカ」のルールが揺らいだショーがいろいろ作られている昨今に。
 古き良き、タカラヅカ。
 タカラヅカがもっともタカラヅカな、構成。

 だってこのショー、大劇場のショー公演と同じ方程式で作られてますがな。

 演出が大劇場。
 銀橋や、セリや盆、花道を想定している(笑)。
 もちろん、バウサイズに直してはあるんだけど、方程式は大劇場と変わらず。
 だから人の位置や出入りが、いろいろと苦しい。あー、ここ、ホントならセンター登場だな、とか、セリで登場だな、とか、大階段想定だな、とか、ありまくり(笑)。
 それらの装置がないために、かなり苦心してまとめてある。

 いなばっちが大劇場ロジックしか持たない演出家なのかもしれないけど、この演出・構成にはおどろいた。

 この公演が『“R”ising!!』や『REON!!』とかのような、主演の名前を冠したワンマンショーではなく、あくまでも『インフィニティ』というショー作品であること。
 まっつは「主演」なのであって、作品名は『インフィニティ』なんだ。
 つまり、『インフィニティ』を作るパーツのひとつが、まっつなんだ。

 ってそれは、まっつをないがしろにしているわけではなくて。

 大劇と同じ方程式で作られている……つまり、まっつをトップスターと想定し、ひとつのショー作品が、作られているの。

 ふつーの方程式だから、トップ中心場面がえんえん続くわけじゃない。
 2番手の場面、3番手の場面、若手の場面、と万遍なくある。
 ワンマンショーに比べ、トップの出番は少ない。しかし、トップスターは揺るがなく、トップスターだ。

 いやはや。
 ぽかーん、ですよ。
 まさか、こーゆー構成で来るとは思ってなくて。

 まっつをトップスターだと言っているわけではなくて、構成・演出の話。主演がまっつでなくても、稲葉せんせは同じようにこのロジックでバウのショーを作るのかもしれない。やってみたかっただけかもしれない。
 たまたま今回まっつだった、というだけで。

 ヒロインが決まっていないから、大階段前のデュエットダンスがないのが残念なくらい、真っ向勝負にふつーの「タカラヅカ」。

 ふつーの方程式で作られているわけだから、本公演ショーに当たりはずれがあるのと同じように、演出に不満を持つ人もいるだろうなと思ってみたり(笑)。
 あまりに、いつものショー作品だから。

 ただ、大劇場ショーと違い、時間が倍ある。
 おかげで、中詰めやって、シリアスなテーマ場面やって、ほんとならロケットになってフィナーレに入るところなんだけど、そのシリアス場面で一旦幕。
 2幕はまた仕切り直しで最初からスタートって感じ(笑)。

 稲葉先生は、ほんとーに「タカラヅカ」が好きなんだ。
 それが、ひしひしと伝わる。
 古き良きタカラヅカ。
 なにしろ100年近い歴史がある劇団だから、その時代ごとに定石や方程式はちがったろうけど、たぶん、稲葉先生の馴染みのある時代のもっともタカラヅカらしいショーを、作ったんだ。
 ルール通りに。
 トップがいて、2番手がいて、3番手がいて。きれいなピラミッドで。

 そしてまた、まっつは、頑ななまでに、「タカラヅカ」だ。

 小柄で華奢な女性が、磨き抜かれた技術でもって「男役芸」を極める。
 ソフト帽にスーツ。
 ぴたりと立つ、それだけで、匂い立つような「男役」だ。

 これほどまでに「タカラヅカ」を極めた男役を頂点に置き、「タカラヅカ」でしかないショーを作る。

 まっつは美声と歌唱力のみが注目されがちだけど、ダンスの人でもある。
 「ザ・男役」というダンスを踊る人だ。身のこなしの人だ。

 彼がこの14年間培ってきたモノを、そりゃーもー惜しみなく披露している。
 美しさに息をのむダンス、激しく踊りまくり、汗が光になって飛ぶ、その次の瞬間、馥郁たる美声で歌い出す。
 芝居要素のあるダンス場面もこなす。
 三拍子揃うっちゅーのは、こーゆーことか。
 実力的にアレレなものがナイおかげで、なんでもどんと来い、与えられた重責をこなしまくってくれてます。

 そりゃあ、所詮はバウサイズだ。
 大劇場を統べる「トップスター」という才能とは、別のところの話だ。
 だけど今、同じルールで『インフィニティ』を作って、まっつに与えてくれた稲葉先生に、心から感謝する。

 『インフィニティ』が名作かどうかではなく、大劇場と同じ方程式で作ってくれたことが、うれしい。
 今この場限定であっても、まっつは間違いなく「主演」なんだ。
 「主演」することなんかありえないんだと、劇団はさせてくれないんだとうなだれていたこの6年。
 今、この作品に出会えたことがうれしい。

 今のまっつと、そして、今の雪組の仲間たちと。
 日々に追われる。
 記憶を残したくてあがく。

 はじまってしまった、だから近づいてくるのは終わりだけ。


 『インフィニティ』初日。

 なにもかもが、緊張していた。
 舞台上はもちろん、客席も。

 まっつは職人肌の舞台人で、かつ、自信家だと思う。
 自惚れゆえではなく、自分の腕一本に誇りを持つ頑固職人。
 また、それを隠さない。
「いいものを見せる」と、自ら言い切る。
 言ったからには、失敗は許されない。

 もちろんすべての舞台人が良い舞台を見せるために誠心誠意プレイしていることは、わかっている。それがプロとして当たり前だということも、わかっている。

 その上でなお、まっつはさらに職人肌っつーか、ストイックに逃げ場を自らなくす人だなと。

 はじめての主演。
 なのに上の学年の人は出演していない。はじめての長での公演でもある。そりゃ巴里祭はあったけどね。舞台も人数もステージ数もチガウ。
 はじめて尽くしでどれだけ精神的にも大変か、想像もつかない。
 しかし彼は下級生ではない。「はじめてなんです」が通る学年ではない。至らなさが、若さや初々しさで済まされる学年ではない。
 学年相応のものを、ポジション相応のものを、ベテランとしての能力を、要求される。……はじめてなのに。

 いろんな意味で、プレッシャーは半端なかったと思う。
 その緊張が、場に満ちていた。

 しかし。
 本人は、緊張している自分を示したくはないんだろう。
 いつものように、老練な姿を見せる。
 その、プライドってば。

 初日の歌声は、それほどよかったわけじゃない。
 固い。伸びがない。
 まっつ比で。
 とくにオープニング。
 ふつうにうまい。よく歌えている。でもでも、これ、まっつの本領じゃないよね? まだだよね?

 声はあとになるほど出るようになっていた。

 いちばん、「あ、ここで変わった」と思ったのは、2幕の、インドの場面。
 ええ、「マッツマハラジャ」ですよ(笑)。

 ここで観客が大喜びしたので。
 まっつの一挙手一投足に歓声が上がったので。

 あ、吹っ切れた。中の人。

 スイッチが入ったというか、図に乗ったというか(笑)。

 大役である、スペイン場面を終えていたことも大きいか。
 マタドールの苦悩を歌って踊る場面はまた、すげーぴりぴり緊張していたもの。
 力みまくった場面をやり遂げて、そのあとは発散場面、しかも観客が面白いほど自分の手のひらの上ときた。
 舞台人が、これでちょーしに乗らないわけがないっ。

「あそこでエンジンかかったねー」
「あのあとはアレだったねぇ」
「フィナーレとか別人だよねー」
 終演後に仲間たちと話した。
 クールで無表情っぽいまっつさんだけど、なかなかどーして人間味あふれる変化です。ド緊張してぴりぴりしまくってて、そのくせそれを見せまいと必死で、山場を乗り越えたあとにブチ切れて、あとはハイテンションでちょーしこいてるんですよ(笑)。なんて人間的で、かわいい人なんだ。

 出のギャラリーをしたけど、陽は暮れて真っ暗だし、「蛍の光」は流れ出すし、まっつナニ言ってんのか聞こえないし(笑)。
 「ありがとうございました」だけは聞こえたけど、他にナニ話してたんだろう、ぼそぼそと。
 向かいのコマくんは、挨拶以外の話もちゃんと聞こえたのに、まっつさんってば……。


 んで、翌日。
 やっぱ初日は緊張してたんだねえ。だって。

 オープニングから、歌声がチガウ。

 おおお。まっつの声が、聞こえだしてる。動き出してる。
 曲ごとの音色のちがいも、わかりやすくなってきた。まっつ、曲ごと、場面ごとに声も変えてるよね?
 これからもっと変わっていくんだ。深化していくんだ。
 楽しみで仕方がない。

 初日はわたしも緊張しすぎていて(笑)、幕間にしろ終演後にしろ、口を開くと「疲れた……疲れたよ……」しか言わなかった。ただ坐って聴いていただけのくせに、なんでそんなに疲れるんだっていう。
 あまりに緊張しすぎて、泣くことすら忘れていた。

 んで、2日目。

 何故だ、オープニングからだだ泣き。

 なにがどうじゃない。
 これで最初で最後だからだとか、まっつがセンターだとか立派になってとか、そんな感慨でもない。
 ただ胸が苦しい。涙がでる。

 わかんないから、そーゆーもんだと受け止めるしかない。

 あと、初日の夜にだーっと書き殴ったテキストが、けっこー間違いだらけだったと気づき、ショックを受ける(笑)。あたしの海馬ってほんとポンコツ……てゆーか記憶力なさ過ぎだ。

 えー、2日目に気づいたこと。
 フランスまっつ、帽子で顔半分隠れたまま真ん中で、前へ出した手から後ろへ振り返って移動する瞬間(ひどい説明)、悲しそうだった。切なそうだった。キュン死するかと思った。←

 イタリア、ゴンドリエーレ@コマにコナかけまっつ。
 ちゅっとキスの真似っぽい唇の動きをした上で、指でコマつんの顎のあたりをちょん。
 コマ、色男まっつに心を奪われる(笑)。固まったままふらり、と倒れかけた。
 ……ちょ、お前ら……(笑)。

 前日に「NOW ON STAGE」を見て、ひとりでえんえんまっつに熱い胸の内を語るコマに「どんだけまっつスキーやねん!」と突っ込んだところだったこともあり、ツボりまくった。
 コマがひとりで喋りすぎたせいで、他の子のまっつへの言葉が聞けなくなったんじゃあ? 司会者さんは「みなさんは」って言ったよね? コマに代表してひとりで語れとは言ってないよね? なのにコマひとりが語りすぎて、他の子の時間がなくなったのか、コマonlyで終わっちゃったよヲイ! と、突っ込んだ(笑)。
 んで、次の質問をするとき司会者さんが「ひとりずつ」と前振りしたのに、さらにウケた。ひとりで喋りすぎるなって牽制か?

 ドイツ、あゆっちにすがるまっつ、泣きが入ってた。みっともないくらい、顔ゆがめて。
 えええ、泣きのまっつなんて?!
 ベン様はそりゃ毎回泣いてたけど、それとはちがう、もっと情けない痛々しい顔。傷のある、大人の男の「泣き」。
 な、なんでそんなことに? どうつながってあんな表情になったの? あたしがちょっとあすレオ見ている間に!!(だから、まっつさんを見なさいよ)

 いやその、あすレオのタンゴ、それぞれ女と踊っていたはずなのに、なんでそんなことになったのかと、それを確かめたくてだな、ついそっちを見ていて……。
 あすくんからレオくんを誘ってた! 後ろから色っぽく抱きついて。
 ねえねえ、レオ受なの? 受なのレオ? なんか苦悩してたわよー。
 すげーBLな画面。(だから、まっつさんを見なさいってば)

 レオくんと言えば、女役のとき、カツラは必須です。
 キミはコム姫ぢゃないんだ、地毛だと女に見えんねーってば!!(笑) 何故いきなり地毛だったんだ、2日目。

 スペインが、圧巻。
 初日のぴりぴり感とはチガウ、まっつが作り出す緊張感。
 美しさに、息をのむ。

 もーあちこちで、いやっちゅーほど「花男」であることを感じた。
 肌がざわめく感じ。
 うわ、これぞ花組育ちだ、花男だ。

 日本、初日に震撼した通り、黒燕尾の手はまっつを含め全員が手の甲を客席に見せている。
 全ツ『ロック・オン!』では、この持ち方はまっつひとりだった。
 それが、全員が、まっつに倣っている!!
 うわーん、大好きだみんな!!
 (振付にヤンさんが参加していた結果かもしれんが・笑)

 フィナーレからカーテンコール、挨拶はそつなく立派、でもなんかテンション変でかわいいまっつ。
 両足揃えて跳びはねるの、犯罪級のかわいさだ……。隣のコマつんにもたれ掛かって、コマつんをあわてさせるまっつ……いいぞもっとやれ(笑)。


 初日に泣けなかった分、えんえん泣いた。
 疲れた。(やっぱソレか)
 
 バウ初日の幕が下り、劇場の外に出たところで、すみ花ちゃんの退団発表を知った。
 劇場内では携帯切ってるから、モバタカメールを受け取れずにいたよ。

 ののすみは残ってくれるもんだと思っていた。
 ゆーひくんとのお似合いさとは別に、タカラジェンヌ・野々すみ花が、この舞台に立ち続けてくれることを、のぞんでいたから。

 バウの出のギャラリーをしながらモバタカメールを読み、最初に思い描いたののすみの役は、エリス@『舞姫』だった。

 エリスが、行ってしまうんだ。

 わたしはちょっと前のここ数年花組ファンだったから、ののすみは花組のののすみだった。
 贔屓組の娘役でなくなってしまったため、宙組のののすみは花組時代ほど見られていない。それゆえ、思い出すのは花組時代ばかり。

 わたしがずっぽり花担でいたときの、自慢の若手娘役だったもんよ。
 ののすみが泣くと、世界が泣く。そんな神演技の女の子。
 どれだけ見てきただろう、通っただろう、公演の数々。

 ほんっとーにいろんな役を見せてくれた。
 もっともっと、いろんな役を、可能性を、持った娘役だと思っている。
 もっともっと、いろんな役を、見たかった。タカラヅカで。

 もう一度、えりたんと組むところとか、見てみたいなんて、夢を見たなあ。
 いやその、『メランコリック・ジゴロ』や『オグリ!』が好きで。

 ゆーひくんとは、「運命のふたり」みたいなコンビだった。
 芸風的に似合うとは、ごめん、思ってないんだけど。
 それでもふたりには、宿縁めいたものを感じた。

 一緒に卒業するんだね。

退団を決めた理由は?
「主演娘役に就任させていただいた時から漠然と考えてはいましたが、大空さんとご一緒に卒業したいという気持ちが最初からありましたので、大空さんが卒業されると伺った時に、私もと思い決めさせていただきました」

 公式にupされている、記者会見インタビューの答えが、重い。
 想像していた通りだけど、それでも。


 ののすみも、行ってしまうのか。
 まとぶんの花組開幕にきゃーきゃー言っていた、あの日々がまたひとつ、遠くなる。
 どうやって伝えよう。

 まっつバウ『インフィニティ』初日。

 作品以前のところで、プログラムの表紙はもちろんポスターと同じアレだとわかっているからいいとして、表紙をめくったところのまっつが、ちょおはずかしい(笑)。
 あのピンクのジャケット姿でスタンドマイク持ってキメてます。笑顔で手をこちらへ差し出してます。
 見るなり、閉じた(笑)。

 裏表紙はグレージャケットの全身像。
 写メを送ったまっつメイトからは「昭和の歌手」との容赦ない感想が(笑)。……ねえ? 素敵よね、そんなとこが。そんなとこも。(盲目)

 キャトルレーヴに「未涼亜希コーナー」が出来ていて、四つ切り写真だーの過去の舞台写真だーのがぞろっと並んでいる。
 スチール写真は通常サイズの他、2Lサイズも発売されていた。
 ありがたいねえ。うれしいねえ。
 あ、やっぱポスターはないみたい。


 で。
 客席にて。

 まずは開演アナウンスだ、聞き逃すな拍手するんだと身構えていたのに。

 聞こえてきたのは、歌声。

 開演アナウンスの前に、歌声ですがな!
 まままままつださんの声だよね?
 スキャットが重なるよーに追いかけ合うよーに響いて、それをBGMに開演アナウンス。
 ……やられた。

 まだ幕開いてません。なのに歌声聴けるんですよ?
 思わず目をつぶって聴き入っていたら。

 幕が、開いてた。
 ちょ……っ、幕開き、見逃したがなっ。←

 や、まだはじまってません。緞帳が上がっただけ。その、上がる瞬間を……ぶつぶつ。(自業自得)
 暗い舞台に背中を向けて立つ男。

 どくん、と心臓が鳴ったのがわかる。

 あの背中……まっつだ。
 誰もいない舞台にただひとりのまっつ。たったひとりで立つまっつ。
 前奏が終わるあたりで振り返る。
 そして、歌い出す。

 まっつひとりの端正なソロから、キャスト全員の合唱になる。重なり合う声の心地よさ。これが主題歌、ソロありコーラスあり、アカペラあり。

 背にしているのは月? 月がこんなに大きい……ここは宇宙? 大きなふたつの輪のセット。

 そこからはじまり、世界一周ってことで、いろんなカラー、いろんな音楽をこれでもかとつないでいくショー。
 55分×2だから、ふつーの本公演ショーの2倍の長さ。

 おかげで、もお。

 まっつのまっつ堪能。

 いろんなまっつ。さまざまなまっつ。
 かわいいまっつ、エロいまっつ、かっこいいまっつ、愉快なまっつとなんでもござれ。
 歌いまくりは想定内だが、ダンスもたっぷり。つか、まっつさん踊れる人だし。

 今日はキャパオーバーでなにがなんだかわかんないので、脈絡なくメモ書きのみにとどめる。

 おぼえていること。

 まっつの、背中。

 なんかこれでもかっ、と背中を見せる演出。男役は背中で語れるよーになって一人前。
 まっつはひよっこじゃない、研14の大人の男だ。背中で語らせて十分、余裕綽々。
 それゆえか、なんどもなんども背中で語らせる。
 まっつの背中、好きだ。

 プロローグの最後、まっつ以外にソロで声を入れるのがきんぐ。なんか最初からテンション高いきんぐ。
 コマは一足先に次の場面のスタンバイ。
 セーラー服の水兵さん姿のコマときんぐを見て、「やっぱセーラーは若い子じゃなきゃね」と思ってみていたら、若くないセーラーも出てきてぎゃふん。まつださん……。
 セーラーさんはお尻のラインよく見えますよ。←

 タキシードでジャズになってくれて、心底ほっとした。ずっとセーラーさんだと、えっと、その。
 か、かわいいですよ、まっつさん……。(棒読み)

 「Night&Day」がかっこいい。姿もだが、歌がまっつに合っているというか、「得意分野キターっ」、もう選曲からして勝利当然。

 きんぐのキングは良い。
 ここの物語、すごくわかりやすい、そしていい話だ。
 司祭様@朝風くん貫禄。ひさしぶりにちゃんとした歌声聴いた。
 えー、あすくんの見せ場のひとつだけど、こっちはダンスでした。(最初歌って書いてたの、歌はセーラーさんのとこ←とにかく突然あすくんソロ)

 がらっと変わって愉快な感じに、ヒメ&あゆっち。ちょうキザったスーツまっつ。あああ、いいまっつだ……。
 ここのヒロインはあゆみちゃんでした。最後に登場、いい女。まっつも彼女に一直線。
 スーツにソフト帽。
 プログラムを見るまでもなく「ヤンさん振付だよね?」とわかる(笑)。
 めちゃかっこいいわ、まっつの熱の入り方もすごいわ……まっつヤンさんファンやもんなあ。

 全編通してコマときんぐの活躍はもちろんだけど、レオくんがすごかった。
 ここぞ!という男役ダンスソロは、レオくん。
 何回あった、彼のソロ?
 まっつとエロ絡みした男役も、レオくんのみって……。
 あゆみちゃんとふたりセンターで1場面とか、女役してみたり、とにかくすげーよ。

 んで次、稲葉っち、ヴェネチア好きだなあ……このオギーファンめ。と思いつつ、このヴェネチアは明るい場面。
 まっつの「ボンジョルノ」の声がすげーたのしそう……このイタリア好きめ(笑)。……ボナセーラだとジオラモさん……。
 ゴンドリエーレ@コマと翔くんの客引き合戦は、コマのショーマン気質が映える。てゆーかコマ、すげー声量の歌声披露……どこまで続くのこの声??みたいな。思わず拍手!

 わたしは夢華さんの顔をおぼえられないというか、多人数の中にいると見分けがつかないので、ソロを歌い出すまで存在に気づいてなかった。歌はすげーうまい。
 翔くんと夢華さんの場面、なかなか長いなー。
 ふたりの歌が終わったらコマの歌。コマより長く感じたっす。

 1幕ラストのドイツが圧巻。
 退廃のベルリン、みなさん、エロ全開。
 ちょっとそこのきんぐさん、たのしそーにエロエロしすぎです!
 ここでまつださん、まさかの、ピンク・ジャケット。
 ポスターの、アレです。プログラム写真の、アレです。

 本編で着るのかよ!(白目)

 しかもこの人、わざわざ舞台で生着替えします。
 せっかく着替えてるのに、ライト暗すぎて見えねえ。なんのための生着替え??
 上着を脱いで、かわりにピンク・ジャケットを着たのよ。
 そして酒場?みたいなとこへ。そこでは男も女もエロエロ、セクシー場面です。
 それぞれがタンゴを踊るんだけど、ここでどさくさにまぎれて、男同士カップルもあり。
 てゆーか。
 あすレオで男同士タンゴって、俺得??(真ん中のまっつさん見ましょうよ)

 で、なんかゴージャスな夜の女あゆっちに出会い、まっつ×あゆっちのダンス。毛皮を脱ぎ去ったあゆっちはすだれ付きダルマです。二の腕やら太ももやらがもちっとしていてエロいです。
 キスまでありーのです。
 てゆーかまつださん、ここって恋愛場面?
 まつださんの恋愛ってよく知らないんだけど、恋よりも、情欲が突き刺さって、びびります。
 愛というより征服とか衝動とか。襲いかかりそう、喰らいつきそう、というか。それも、赤い炎ではなく、青白い炎で。ぞっとするような低温の欲の見える、なのにほんとは赤い炎より熱いんだよ、焼き尽くすんだよ、っていうか。

 すげーダークな世界が展開されていたのに、そっから希望の方へ、物語は動く。
 歌声がすごい。まっつだけでなく、コーラスが。

 この闇から光への切り替えあたりで、まっつが再び生着替え。ピンク・ジャケットを脱いで、最初に出てきたとき脱いだ服を着る。こっちは黒皮ジャケット。ほっとする色。ああ、とってもまっつだわ。まっつもう金髪じゃないから、とっても見慣れたまっつだわ。

 そこで気づく。
 そうか、ベルリンの酒場に行くために、わざわざあのド派手なジャケットに着替え、そこをあとにすると元の地味服に着替えるってことは。
 勝負服に着替えて盛り場デビューした男S、ってこと?!
 しかも勝負服のセンスがアレ……。

 そう気づいてしまうと、せっかくのいい場面に残念な風か吹く……いなばっち、あの着替えの意味は……? やっぱ田舎者の勝負服……?(笑)

 うわ、1幕だけで文字数オーバーしてるわー。
 こあらった目線の『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』まっつまっつ、これで最後。

 まっつのラストの出番は、大階段フィナーレのインディアン。

 大階段ダンスからはじまるんだけど、まっつの立ち位置微妙だなあ。探しにくいったら(笑)。

 で、みんな本舞台へ降りてきてダンス。

 ここの手拍子めんどくさい……(笑)。
 リズム感のないわたしは、ナニも考えずに叩くことはできず、遅れないように、意識の何割かは手拍子に向けなくてはならないのだ。
 近くにわたし以上にリズム感ナイ人がいたりしたら、簡単につられてぐだぐだになるし。

 まあ、それはともかく、ここのポイントは客席降りですな。
 まっつは最前列センターブロックの上手側。
 東宝では上手通路を先頭切って走っていった。

 東宝での客席降り変更は、まっつから言い出したのだとお茶会発言。
 階段もある、それなりの距離を毎日2往復、元気に走ったり踊ったりしなきゃならないのは、光栄なこととはいえ、重労働。
 まっつ(と、ちぎ)が行くのが順当とはいえ、ひとからはやってくれと言いにくいだろうことを、察して自らかって出る、てのは、上級生として正しいなと思った。
 社会人として、大人として、すごくまともな人だなーと思った(笑)。

 ムラでは2列目センターに坐ったとき目線を得ることを、東宝では通路際でタッチというか、まっつに触ることを命題と課し、無事ミッションクリアいたしましたわ(笑)。

 いやあ、ジェンヌって大変だなあ。


 パレードはオープニング衣装に肩から羽ショールを掛けて。
 ああ、やっぱり「J」のポケットが気になる……(笑)。
 コマつんとの並びは、サイズ感の統一っぷりがくすぐったくて好き。声の相性もいいよね。

 パレードのツボはなんといっても、銀橋から帰ってきたとき。
 銀橋で主題歌を歌いながらみみちゃんと会釈して、上手へ戻ってくる。
 花道から本舞台へたどり着いたあたりで、「ゴーゴーフラッシュ!」という歌詞の部分になる。
 この「ゴーゴーフラッシュ!」は、みんな等しく腕を天へ向けて力強く突き出す振りがついている。
 元気に飛び跳ねるように腕を突き上げたり、キュートにキメたり、みんな個性的。
 まっつの、やる気のなさそーな「ゴーゴーフラッシュ」が、かわいすぎる。
 振り付けだからやってます、んな元気とかかわいいとかは、俺のキャラぢゃねーんだよ的(笑)。
 あの「やらされてます」感がたまらん。
 まっつファン的ツボだったらしく、いろんな人から「あそこのやる気なさがツボ(笑)」と聞いた。
 そーよねー、クール・ジェントル様だもんね~~。そんな小っ恥ずかしい振りを、率先してやったりしないね~~。

 ところが東宝にて、まっつがなんか変にやる気にあふれていて。
 この「ゴーゴーフラッシュ!」で、肉食系に2階席に目線だーの指さしだーのをしているのを見た日にゃあ。
 どどどどーしちゃったの、まっつ?!
 と、目と口をぽかーんと開け放ちましたよ……。

 まっつが、客席を落としにかかってる……。

 あ、そーいやどっかで、ウインクもとばすよーになってたよな? もう忘れちゃったけど。←

 まつださん、そのやる気はいったい……。
 アンニュイまっつだったのに……。

 まっつはいつもエンジン全開とか笑顔満開とかゆーわけでなく、クールだったり非友好的だったりするので、時折ころっと雰囲気を変えられると、それだけでハクハクしますわ。
 不思議な人だなあ。


 『RSF』は出番少ないわ、声もろくに聴けないわなので、ひとつひとつの出番がさらに貴重で、いつもオペラグラスでがっつり食いついてました。
 こう出し惜しみされると、さらにさらに、飢餓感があおられます。
 もっとまっつを! と、心から求めてしまう。
 もっと見たい、もっと、もっと。

 ……それで結局通っちゃうんだもの、仕方ないよなああ。

 これからももっともっと、まっつを見られますように。


 ってことで、『インフィニティ』欄までに『RSF』感想を書き終われたっ。
英雄であるということ。@Samourai
 1月は忙しい。特に前半、わたしはなにかと身動き取れない日々になる。
 だから年末から上演している公演は、年末の内に観劇しておきたかったのに。
 チケットが手に入らず、1月にズレ込んだ。
 うああ、なんでこー忙しいんだ、って全部自分勝手なだけなんだけど!(笑)

 んで、どんなに忙しくても、もう一度観たかったんだ。

 雪組DC公演『Samourai』

 泣きました。
 とっても気持ちよく、大泣きしました。

 日本が明治になった頃、前田正名@キムは念願のフランス・パリ留学を果たした。しかしそこで待っていたのは差別の日々。日本人なんて人間扱いされやしねえ。それでも日本人の誇りを胸に、正名と相棒の渡会@ちぎは留学生やってましたと。
 そんな折、普仏戦争勃発、フランス政府瓦解。パリの人々は政府のやり方を認めず、独自でプロイセンへ抵抗する。正名と渡会もパリ市民として、パリの侍として戦争に加わる……てな話。
 あ、あらすじにヒロイン・マリー@みみちゃんの名前が出てこない……。


 とっても谷作品。ストーリーもテーマも。そして、キャストも。
 谷せんせのお気に入りさんばっか集めてあるなーと。
 歌ウマのがおりくんが「声」をテーマにしたバウに出ないことが残念だったりしたんだが、考えてみりゃわかる、彼は谷せんせのお気に入りの生徒のひとりじゃん、と。
 演出家も人間、役者への好みはある。この演出家だといつも扱いがイイとか良くないとか、あるもんなー。
 キムちぎヲヅキがおりホタテあんなさらさ……あたりは、谷せんせ好きなんだろうなーと思う、過去の役付から見ても。
 そういう、好きに自由に構成する公演は、演出家も出演者も、やりがいがあるだろう。

 原作は未読だけれど、主人公が、ナニかしているあたりが、原作のおかげかなと思う。

 谷せんせの大好きな「英雄モノ」って、主人公がみんなから愛され、親友も仲間も部下もみんなみんな主人公のために笑って死んでいき、敵からは特別に憎まれて(愛と憎しみは同義語、愛の反対は無関心)、「大切な命」「命は宝」とことさら持ち上げるくせにその命を簡単に投げ出すことが萌え、という価値観で形成されている。
 で、その英雄な主人公はナニもしない。
 ……とゆーのが、パターンなんですよ。周りが勝手にいろいろやって死んでいくけど、主人公はナニもしないの。だけど英雄なの。
 あ、子守歌だけは歌うか。ここぞってときに歌って、みんなを泣かせる(笑)。主人公がするのって、それくらい。

 それがお約束なのに、正名は実際に自分でも動いているので、「おおっ、原作付きってすごい!」と思った。

 んで、これも谷せんせのお約束、英雄に、女は要らない。
 恋愛要素は少なめ……ってゆーか、作者は、興味がない。
 男が男のために命を懸けるのが尊いわけで、女のためなんて不純。女は飾り。いなくてヨシ。
 谷作品ならばヒロインはお飾りだと覚悟しましょう。主人公はすべての人から愛されるので、もちろんヒロインもいつの間にか主人公にめろめろだけど、主人公は別にヒロインのことなんてなんとも思ってない。ヒロインがいることになっているので、形式上好きということにしているだけ。
 それより、男たちの友情だーの、生きるの死ぬのの方に、重点と情熱を懸けている。

 マリー@みみちゃんはまだ、マシな描かれ方だわ……。数々の谷作品のヒロインに比べたら。

 んで、谷せんせの真の萌えは、主人公も非業の最期を遂げることこそにあるので、正名が生き残るのは残念なんだと思う。
 困った萌えだよな-。
 まあ、正名は生き残っちゃうけど、それまでにさんざん「大切な命」を失う仲間たちを惜しんで嘆きまくれるので、気は済んでいるのかもしれない。

 谷せんせの「皆殺しこそカタルシス」だと思っているところは、好きじゃない。
 死を描いて涙を誘うのはいちばん簡単な方法、ドーピングだと思っている。それで1位取っても実力じゃないよね的な。

 でもたまになら受け入れられる。
 谷せんせも最近はあまり、皆殺しやらなくなったし。

 で、好きこそものの上手なれ、谷せんせは皆殺しが上手。
 せっかく人の命を使ってドラマを盛り上げているんだから、ヘタに描かれたらつまらない。
 男役をとことんかっこよく描き、観客の涙を搾り取ってくれなきゃだわ。

 実際そうやって描かれた『Samourai』は、格好良かった。
 ツッコミどころや間違っているところがどれだけあろうと、作者のすげー意気込み、パッションは伝わる。
 「俺はコレが描きたいんだっ。うおお、これぞ美学、かっけーーっ!!」と、唾飛ばしながら興奮して表現しているのが、伝わってくる。
 タカラヅカの範囲内で、タカラヅカの表現方法を採りながら、自分の萌えを本気で描いている様にドキドキします。
 そのアツさに、巻き込まれます。

 また、出演者が全霊をあげてソレに応えてるし。
 キムくんたちの熱演で、間違いもツッコミもぶっ飛ぶし。

 素直に、カッコイイ、と喝采し、その死に泣くの。


 キムくんは、どこまで巧くなるんだろう。
 粗のある脚本とキャラクタを、熱量と実力でもって息づかせる。
 大地にしっかりと、足を付けて。

 個人の力ではどうすることもできないものに立ち向かう、やるせない勇気ってのは、一見無駄なんだけど、男には必要なんだよ。
 長いものに巻かれろ、保身で日和見してろって、そんな生き方だけが能じゃないんだよ。

 嫌なことを嫌だという、間違ったことを間違っているという。

 そんなシンプルな力、素朴な勇気が、必要なんだ。

 シンプルで素朴だからこそ、難しい。
 もっと複雑に考えて、身動きできなくなるのが人間だから。

 全滅必至の戦いに打って出る正名たちはバカだけど、だからって、諾々と従ったら、どうなる?
 陰でどれだけ不満を並べても、ちゃんと意思表示しないことには伝わらない。

 どんなにちっぽけでも、無意味でも、「嫌だ」と言う人間がいた。「間違っている」と言う人間がいた。
 その事実を、刻むんだ。
 全滅しちゃったとしても、その事実は消えない。

 無駄だとか、なにもしなかった奴らに言わせるな。
 意味を決めるのは、自分自身だ。

 ……そんな、生き方。
 バカだけどね。
 好きだよ。

 正名の生き方は、見ていて拳を握っちゃうんだな。よしっ、て。
 キミを笑うヤツとは、友だちになりたくないよ。キミを誇りする人とこそ、語り合いたいな。
 そう思える。

 脚本や演出のツッコミどころとは別にね(笑)。


 ところで気になるのは、彼の髪型だ(笑)。

 パリに渡った正名くんは、衣服を改め髷を切る。
 で、マリーに「馬子にも衣装ね!」と言われるわけなんだけど。

 なんで、地髪だとあかんのん……?

 せっかく変身して出てきたのに、カツラの微妙さに「……マリー、趣味悪い……?」と思っちゃったよ……。
 その後、もう一段階髪型変わるので、少しマシになってたけど。何故にアンドレ@『ベルばら』……?
 ふつーでいいのに。
 2012年1月は、忙しい。
 5日からしばらくは、なにもできなくなる。
 じゃあ花組公演をどうしよう、いつ観よう。雪組DC公演をいつ観よう。
 悩むところでした。
 DCを観に行けるのは2~4日の3日間しかないけど、花組は17日以降もやっている。んじゃまずは雪DCを優先して、花組は後半になってからだな。

 と、年末には考えたんだけど。

 結局、正月早々観に行っちゃった。
 や、めぐむとアーサー、ラストなんだもん。
 いつも買わないプログラムまで買っちゃった。だって、彼らのスチールが載るのはこれが最後なんだもん。


 イシダ先生とは、気が合わない。
 演出家としての力はある人だと思うが、わたしに合わないし、タカラヅカにも合わないものを多く書いている。
 ジェンヌに下ネタを言わせたいだけなら、臓器移植キャンペーンをやりたいだけなら、どこが別の団体で、好きなだけセクハラしたり信仰活動したりしてくださいよ。

 てのが、わたしのイシダ感。
 好きな作品もあるけれど、許せないと思うモノの方が圧倒的に多く、なまじ作劇自体は出来ているからムカつき度が半端ナイ……という。
 「物語」にすらなっていない、クリエイター名乗るな、という植爺とはまた別の苦手意識。

 はじめて、イシダ作品なのに好きだと思える作品に出会った。

 花組公演『復活 -恋が終わり、愛が残った-』

 イシダ作品をイイと思ったのは、『大坂侍』以来か。とはいえ、『大坂侍』もイシダらしい逆ツボはあった。彼の「笑い」とは相入れない。
 『おかしな二人』は「こーゆーもの」と思って観たので、強い逆ツボはなかったが、別に好きだとも思わない。演じていた人たちが好きなだけ。

 つまらんギャグがないって、こんなにストレスなく観劇できるものなのか。
 おてもやんと下ネタ、オヤジギャグがないだけで、こんだけ作品のクオリティって変わるんだな(笑)。

 そして、下ネタと寒ギャグ以上にわたしの逆鱗に触れる、作品解説者がいないのは、大きい。

 作品はたしかに作者のものだが、それを読んで・観て、どう感じるかは読者・観客の自由だ。
 なのにイシダ作品は「この台詞はこう感じなさい、それ以外の感じ方は許さない」と、いちいち作品中で「解説」する。「この場面はこう、このキャラの行動はこう」と、「解説」する。
 国語のテストの「このとき主人公が何故こう言ったのかを50文字以内で記せ」の解答を作中で披露する。
 観客の自由を束縛する独裁者、それがわたしにはもっともあり得ない。

 いやぁ、イシダでロシア文学、マジで幕開きは現代で、イマドキの若者カップルが「トルストイなんて、暗いし重いしわけわかんない~~」とか言っていて、それを聞いた通りすがりの老人が「馬鹿者、トルストイはなにも、暗くて重くてわけわからんだけの物語ではないぞ」とか説明をはじめ、舞台がロシアになったあとも要所要所で現代カップルと老人が現れ、「どうしてカチューシャはあんなことを言ったの? ネフリュードフを愛していないの?」「カチューシャは真にネフリュードフを愛しているから、彼の重荷にはなりたくないと思ったんじゃ」「そうか! 身を引くことが愛の証だったんですね!」とかやって、ラストは「俺も一生懸命自分の人生を生きてみるよ。そうしなきゃって思ったんだ」「あたしも。精一杯愛するわ」とか、いーかげんだったカップルが改心して、老人に礼を言うのね。彼らの背景にロシアパートの人たちがせり上がってきて、老人が「いつの時代も……」と普遍的な愛について語って幕。

 ……になるかもしれないと、本気で思ったもんよ。

 なんつーんだ、児童向け学習マンガのノリ。本編のコマの外側にいるタロウくんとハナコちゃんが「これってどういうこと?」とやって、「それはね……」とハテナ先生が答え、「そうか、だから主人公はこう言ったんだね!」と納得する、みたいな。
 学習マンガは「勉強」のためマンガの手法を使っているだけで、「正しい答え・テストで○をもらえる答え」が決まっているので、読者をそこへ導くためにある。
 イシダ作品はあまりにそれと同じ方法で書かれるので苦手。
 作者が許す答え以外を、観客が感じることを許さない。
 それとも、観客を小学生以下の理解力や感性しか持たないと本気で思って、学習マンガにしているのか。
 どっちにしろ、いらん。

 とまあ。過去に同じことを何度も語っていてアレですが、過去ログなんて膨大すぎてわたしだってなかなか発掘できないんだから、再度書く(笑)。
 そんなこんなで、「贔屓に出てほしくない演出家ランキング」の首位争いを植爺と共にしているのがイシダ先生です。まあ、首位は植爺不動だけど。争っているのは確か(笑)。

 ただイシダ作品は、作劇自体は悪くないので、贔屓が出ていなければ、つまり、1回観る分には楽しく観られる場合も多いです。
 だから、他組で上演する分には「植爺と並列したら、イシダせんせに悪いわ」とは思っています。

 贔屓が出ていないから、点数甘くなっている部分はあると思う。

 でも、『復活』は、おもしろかった。

 はじめて、イシダ作品を好きだと思えた。

 解説者はいないけど、それに近いくらいみんな「まとめ語り」=作者の見解語りをしているけれど、許容範囲。エンタメならこれくらいのウザさやあざとさは必要。

 わかりやすく緊張感を持ってまとめてあるし、キャラクタがみんな魅力的。
 人生の縮図というか、どこかに感情移入できる……つーか、どのキャラにも人格と人生が見え、そこからも物語を膨らませてゆける。

 キャストのハマり具合も見事。
 ストーリー自体はじくじく系というか、ぬかるみに足が沈んでいくよーな触感の話なんだが、それでもキャラクタの魅力でドラマに集中しやすい。

 この物語の主人公が、らんとむでよかった。

 蘭寿さんの熱と誠実さ、そして文句ナシのかっこよさで、いろんな意味で残念なネフリュードフという男を魅力的に見せている。

 らんとむ自身がまだ役に落ち着いていないのかもしれないけれど。


 ……ここまでが、1月5日に走り書きしたテキスト。らんとむ氏に関しては、初見感想が上書きされちゃってるので書けないわー。
 2回目に観たとき、らんとむの芝居について、ちょっと引っかかったので。
 まあソレは、また別の話ってことで。

 『復活』おもしろかった!
 あけましておめでとうございます。

 「ムラにいる」ことを疑わないメールを複数いただいたりしましたが、残念ながら元旦は家族行動です。
 毎年恒例の伏見稲荷。

「去年はなんか真っ暗だったよな。なんであんな時間に伏見稲荷にいたんだろう」

 と、弟。

 去年は元旦午後6時半に清荒神駅待ち合わせだったからじゃない? 待ち合わせ時点ですでに日は暮れていたはず。

「そうだった。最寄り駅で阪急の初詣一日乗車券買おうとしたら、駅員に驚かれたんだ。『えっ、今から?!』って」

 夕方から一日乗車券買ったっていいじゃんねー。
 大阪ー宝塚ー京都と三都市回るなら、初詣切符の方が便利だもん。

「清荒神行ってから伏見稲荷に行ったんだった……だからあんな時間に。真っ暗で、すごく寒くて、雪が積もってて。なんであんな無茶なスケジュールだったんだっけ」

 仕方ないじゃない。
 2011年元旦は、まっつが雪組に組替えになってはじめての公演の初日なのよっ。

「知らんがな。どーでもええがな」

 ちなみに今年の5日も、家族で伊勢神宮へ行く話が出ていたが、わたしが断ったためにお流れになった。

「誰かさんが、どーしても5日はダメだって言うから」

 仕方ないじゃない。
 2012年1月5日は、まっつのはじめてのバウ主演の初日なのよっ。

「知らんがな。どーでもええがな」

 という会話をしつつ、元旦くらいは家族サービス。
 伏見稲荷は五穀豊穣、商売繁盛、全国のおいなりさんの総本山。自営業なわたしたちには重要な神様。
 もちろん毎年、「宝塚歌劇団 未涼亜希さんの繁栄」もお祈りしてまっつ。

 辛口ぶりがすでにネタにしか思えない、伏見稲荷のおみくじでは、「凶 後 大吉」を引きました。
 「今は死ぬほどつらい、生きているのが不思議なくらいだけど、そのあとよくなるから、まあがんばれや」という内容でした。
 そっか……死ぬほどつらい日々なのかー……(笑)。
 弟はにらにら笑うだけで「ここのおみくじは絶対引かない、悪いことしか書いてないから」と言う。うん、大吉でも人生絶望しかないみたいなこと、平気で書いてあるもんねー。
 いわゆる「おみくじ」ではなく、ネタ認識ですから、ここのおみくじ。……ちなみに、山の上で引いてます。無料です。

 伏見稲荷のファンなので、平成24年1月1日発行と奥付に記された写真集を、山の上で買いました。
 ISBNないから書店流通なし、同人誌のよーなもんっすね。
 この写真集がすばらしいクオリティ!!
 「伏見稲荷」の魅力(笑)をわかった人が撮影・デザインしているので、見ていてわくわくする。
 一目惚れしました。
 どう素敵かとゆーと、ホラーファンのツボをつかみまくりです。美しくてこわい、こわいけれど美しい……そんな世界が表現されてます。
 真の恐怖は究極の美と静寂の中にある。グロとか悲鳴とか殺戮なんかとは、一線を画している。
 伏見稲荷はこわくて美しい、美しいけどこわい、素敵なところ。
 強力なパワースポットでもあるんだと思う。わたしは虚弱かつヨゴレた人間だけど、ここの山をひとめぐりすると、すかーっと元気になっているもの。……山歩き自体はしんどいけどねー。よぼよぼ。

 この世のものならぬ力……を感じることは、霊感も信心もまったく持たないただのミーハーのわたしにはできない。
 ただ、本能的な畏怖を持つ。無数の炎の捧げられた祠の奥にある澱んだ池、周囲を無数の鳥居で埋められた先の、何重もの縄の巻かれた巨大な石。

「こわい。なんか、こわいよ」
 少ない語彙しか持たないだろう幼児が、山の上で泣きそうにくり返している。親らしい連れの大人が笑ってなだめていた。
 下界から切り離された山の上、連なり続ける朱い鳥居。
 ここから感じるモノを、幼児は「こわい」としか表現できないんだろう。

 うん、こわい。こわいね。
 半泣きの小さな男の子に、わたしたち家族は勝手に相槌を打ちつつ、すれ違う。キモチはわかるよ、と。
 うつくしくて、こわいところ。
 異世界とつながっていても違和感を持たないところ。
 なんて楽しいテーマパーク。

「初詣どこ行った?」
 と聞いてくる人全員にお勧めしまくっている(笑)。一見の価値はあるから、行ってみてくれ、と。
 元旦に行くと人が多すぎで、本殿参拝まで1時間くらい渋滞するけど(笑)。
 んで、ほんとの意味で楽しいのは山の上だから、女子はヒールを履かないこと。ヒールで山登りできる人は履いてもいいけど、ヒールが傷むからやめた方が無難っす(経験談)。
 昼と夜では趣が変わるので、2回行くのがいいけどなー。あ、夜はマジこわいです。


 そんなテーマパーク、パワースポットで。
 世界だとか日本だとか、被災された方々のことだとか、大きなことを祈るかたわら、自分や家族の健康を祈り。
 それと同じ温度で、まっつのことを祈る。
 未涼亜希さんが、しあわせでありますように。
 小下りの道に車を進むるが如く
 楽々と事の運ぶ運勢なり


 12月31日深夜……というか、0時を回った1月1日に、いつものよーにいつもの神社へ行きました。

 恒例のおみくじは、なんかいいことばっか書いてあります。
 人生楽勝!みたいな。

 でも、大吉ぢゃないです、「小吉」です。
 ささやかなしあわせで、人生楽勝!って感じるくらい、わたしが小市民だからでしょう(笑)。

 ささやかでもなんでも、しあわせだといいなあ。

 んで、今さら数えた、2011年の観劇回数は、115回でした。
 ……びみょー。

 というのも、すっかり数え間違いをしていて、92回だと思っていたの。
 1年間に、92回。少なっ。
 自慢できるくらい少ない。こんだけ減ったのなら、ブログでネタに出来るわと思った。
 もっと多くなっちゃったと思ってたの。なのになーんだ、こんなもんじゃん。友人たちに比べて、すっげーささやかだわー、と。

 で、観劇回数減ったわ、びんぼー過ぎて観劇できなかったのね、という方向で書こうと思って、再度手帳を確認すると。
 ……あれ? 10月分、記録してない……。ついでにいうと、9月までの集計が72って、変じゃない?
 と、1から数え直したら、115回だった、と。

 115……。

 少なくもないし、多くもない。
 いや、わずかに少なめかな?

 130超えたら「見過ぎ!」とネタに出来るけど、115じゃハンパ過ぎる……。
 過去5年を振り返ってみた。

 2010年  95回
 2009年 103回
 2008年  97回
 2007年 121回
 2006年 130回

 うーん。
 いちおー、減ってきてる、よ、な。

 自分で自分の平均観劇数を月10回、年間120回だと思っているため、2011年はふつー過ぎる。
 月10回が自分的に納得できる数だからこそ、それじゃいかん、月8回に留めなければ、という自制心ゆえに8回8回とこだわって今日まで来ているわけだが。
 自制心もナニもなく、のびのび観劇した1年だったわけだね……。遠い目。観劇する気にならなかったのって、震災があったあたりだけじゃん。(それは人としてふつーな心理。それでも贔屓組千秋楽だけは行ったし)


 2011年は、雪組『ロミオとジュリエット』がいちばんでした。
 好きすぎて、他の作品と比べられない。
 これほど好きになる作品に、今後出会えるかどうか。
 ヅカヲタやめてもいい、と思えるほどの作品だった。ヅカを観るのをやめ、『ロミジュリ』の記憶だけ抱えて生きていけばいいや、的な。
 や、根っからヲタなので、そうならなかったけれど(笑)。

 回数的にも、ムラだけでひとつの公演を20回観る、というのをはじめてやっちゃったし。
 1ヶ月半65公演とかあった頃ならともかく、45公演中20回、ってねええ。
 これでジュリエット役がWキャストじゃなかったら、もっと観ていたと思うと、恐ろしいわ……。「午後公演はみみちゃんじゃないから、Wしないで帰ろう」とかで、少しはブレーキかかったもんなー。みみちゃんのジュリエット大好きだった!

 『ロミジュリ』ほど好きな作品にめぐり会えただけでなく。
 2011年は宝塚歌劇全体で豊作だったと思う。

 順位は付けがたいが、『クラシコ・イタリアーノ』、『めぐり会いは再び』、『ランスロット』、『黒い瞳』は大好きだ。
 ショーではなんつっても、『ノバ・ボサ・ノバ』!! 次点では『Dance Romanesque』

 好き作品の2本立てだった星組は強いよなー。
 つか、ランキング中、3作星組かぁ。

 『BUND/NEON 上海』『ランスロット』と2本連続ヒットを飛ばしてくれている生田せんせは、わたしの中ですげー有望株ですわ。
 どの組の誰が主演でもイイ、生田せんせの作品が観たい。

 萌えに萌えた、良い1年だったと思う。
 2011年のおみくじは「向大吉」で、後半良くなる、みたいなことが書いてあった。実際、後半からオフがしあわせだったなー。しみじみ。
 まっつヲタ的には、オイシイことが前半に集中しすぎで、後半寂しかったけどなー(笑)。

 2012年のおみくじも、当たっていますように。
 だらだらとまだ続いている、こあらった目線の『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』まっつまっつ。

 銀橋で歌う、人民戦士(歌手)@まっつ。

 オープニングでまっつは、同じ歌を歌っている。
 主題歌「ROYAL STRAIGHT FLUSH!!」。……作曲、甲斐先生なのか……さすがにキャッチーだ。

 オープニングの盛り上がりで歌ったのと、同じ歌なんだがね。
 同じ歌だと、思えない。

 明るく元気で派手な歌なのに、ここではまがまがしい狂気の歌となっている。
 その歌い分けというか、演じ分けがすごい。

 うん。
 演技。

 ここのまっつがねえ。

 すごいの。

 笠を深々と被ってるもんで、顔はほとんど見えない。
 1階前方席でないと目元まで見えないのよ。下からのぞき込む角度でないと。
 その、顔が見えないのを、いいことに。

 めちゃくちゃ邪悪な顔。

 ちょ……っ。

 世の中には、悪人の役を演じるとその役者のことを「悪い人」だと思いこむ人が一定数いるんですよ。
 「あんな意地悪な役は、本当に意地悪な人しかできない」「あんな醜いおそろしい表情は、心根が醜い人しかできっこない」と言い切る人が、ほんとにいるの。この耳で何度となく聞き、目の前で言われてきましたのよ。
 芝居でもそうなのに、役名ではなくジェンヌ個人の魅力で見せるショーで、あんなに邪悪な顔をしてたりすると、「まっつって邪悪な人なんだわ、もともとそんな面を持ってなくちゃ、あんな顔はできないわ」とか言い出す人がいるわきっと。
 ああ、ジェンヌ人生に響くわ、そんな邪悪な顔をしていたら!!
 と、思っちゃいましたよ。ああ、惚れ惚れ。

 そんな心配しちゃうくらい、本気で芝居して、あれほどの邪悪な表情をしてしまうまつださん萌え。

 まっつの笠の下の顔をのぞき込むためだけに、前方席ゲットしてハァハァしてました(笑)。

 こわい。めちゃくちゃこわい。
 復讐に燃えるアトス様とは、また別のこわさ。
 刀を握って、薄ら笑いしているの。恍惚とした目をしているの。血に酔った、血を欲する者の眼。他者の存在を、他者の命を、軽んじ、見下した、神の眼。……自分を神だと信じた、狂人の眼。

 そんな顔で、眼で、歌うのが主題歌。ポジティヴな勝負の歌、戦いを楽しむ歌。
 冴え渡る美声。歌詞がはっきり聞こえる口跡。
 冷たく無機質に広がる。

 GI@ひろみが撃たれて、まっつの出番は終了。
 その悲劇を背に、まったくの無表情だったり、あるいは唇の端に薄い笑いを浮かべたりする様が、もお震撼もののこわさ!! ……見えないと思って!(笑)

 すごいなあ、まっつ。

 しかしここ、上手花道セリから現れて、銀橋の端で歌うだけなんだよね。
 んで、また上手花道へ戻るの。
 どうせなら、銀橋渡らせればいいのにねええ。役割的に、その方がふつーなのに。
 このショーでまつださん、銀橋ナイんですよ。
 中詰めといい、わざわざ「ふつーでない演出」にされてるんだわー。
 演出家か劇団か、あるいは両方か、とても意図がよく見える。その最たるものが、パレードの階段降りなわけですが。やれやれですわ。

 で、次にまっつが登場するのは場面ひとつ飛んだあと。
 友だちのひろみちゃんが死んじゃって、キムくんが悲しみ大騒ぎしたあと。
 ヒッピー@ゆめみちゃんの歌声で、感動場面になるところ。
 ヒッピーの歌声で改心、とかゆー薄すぎる価値観っつーか演出にはいろいろ物申したいことはある。
 それでも、わかりやすく盛り上がる場面ではある。

 上手奥に他の人民戦士たちと一緒にせり上がってくるまっつ。なんと、笠ナシ。なくてもいいんじゃん!! どーしてもどーしてもベトコンだから必要ってわけじゃないんじゃん。
 それなら最初から笠ナシでいいじゃん。
 サイトーくんがわからない……。

 ともかく、笠のナイまっつが、かっこいい。

 ショー全編通して、ここの髪型が、いちばん好き。

 髪を、完璧に固めてないから。
 まつださんてば、最近ほんとにタイトな髪型ばっかでさー。乱れ髪に飢えてるんですよ、こちとら(笑)。

 ダンスにあまり興味がなさそうなサイトーくんショー、全体を通してあんまり印象的なダンスがナイのはお約束。『RSF』ではがおりとさらさの渇望ぐらいだよねえ……って、トップコンビも2番手も出てませんがな。
 それでもここはみんなで結構激しく動き回ってる。
 だから、まっつの髪も動く。
 乱れてくる。
 それが好きでねえ(笑)。

 激しいダンスと、すべてを昇華したようなすがすがしい笑顔。

 発散系の場面なのに、息を詰めて見入ってしまう。キムくんの絶唱もすばらしいし。

 そして。

 天を仰ぎ、すべてが終わるとき。

 止めていた息を大きくつきながら、思うんだ。

 カッコイイ。

 はあああ、カッコイイ。
 なんてなんて、かっこいいんだ、まっつ。
 どんだけすごいんだ。美しいんだ。

 と、しみじみ思う。

 五臓六腑に染み渡るというかねええ。
 あああ、ほんっとにかっこいいんだ、と、改めて思い知るんですよ。

 まいったねえ。
 ナニを今さら、しみじみしなきゃなんないんだか。
 自分でもわからん。


 で、次が最後の場面。
 大階段フィナーレ。
 何故か、インディアン。

 かわいいっちゃ、かわいいんだけどねえ。
 わたしはここの衣装は好きじゃない。

 とゆーのも、まっつの髪の色に合っていないと思うからだ。
 初日周辺は特にそう思って、じれったかった。
 衣装が黄土色、髪の毛が黄土色、髪に付けた羽根も黄土色。
 全身タイツじゃないけど、同じ色で上から下までなんて、なんのいじめかと。

 まっつに髪色変えてくれと、心から願った。願うだけで、どーしよーもないことなんだが。
 黒髪だったらどんだけ良かったろう。人民戦士もインディアンも、黒の方が自然だし、似合ったのになあ。

 公演が進むにつれ見慣れたけどな。

 このショーはほんと、まっつの「声」があまり聴けないショーでなあ。
 1曲歌わせてもらえないだけでなく、歌い継ぎでちょっと声を出す、てのが精一杯。
 最後の階段降りがソロでないこともあり、「声」を聴く場面はほんとに少なかったよ。
 このインディアンで、どさくさの歌い継ぎでいいから、もう少しだけ声を聴きたかったなあと思う。


 続く。
 変だなあ。今日は観劇納めのはずだったんだが……。
 すみません、ナメてました『Samourai』。いつでも観られるもんだと深く考えず手ぶらで行ったら。
 当日券完売だし、サバキ待ちずらりだし……。
 すごすご敗退。
 同じくサバキ敗退した友人とお茶してだらだら過ごしました。

 んで、帰宅して『宝塚クロニクル2011雪組編』の録画を観る。
 実は今日の雪組クロニクルのために、ブルーレイレコーダを新調したんだな。いやその、某チャンネルで『殴る女』の一挙放送が今日と明日で、今のシングル録画しかできないチープレコーダぢゃ、雪組クロニクルが録れないじゃん!と。(『殴る女』の方が大事らしいよ・笑)
 DVDレコーダで録画は考えない、あくまでもBDでコンパクトにまとめたい。
 『インフィニティ』上演期間中は家にいない日々が続き、HDDがパンクするのは目に見えていたので2台目のBDレコーダ購入は考えていたけど、『殴る女』があるから、今日までに購入しなきゃならなかった。
 んで一昨日買ったばっかなんだなー。これで部屋にある録画機器は、DVDレコーダ2台、BDレコーダ2台、ビデオデッキ1台になりました。全部つなげるのに苦労した……配線悩んだよマジで……。同時に録画スイッチ押したら、何番組同時に録れるのだろう……(笑)。


 てことで、あらためて雪組の1年を見る。

 ……1年。
 1年?

 『ロミオとジュリエット』から、1年経つのか。

 2011年。わたしは元旦から、祭り状態だった。
 全力疾走、破産上等(笑)。
 日常生活はなかった、ほとんどムラにいた。
 ヅカヲタ人生はじまって以来の狂乱の日々。

 こんなに幸せな観劇ができるなんて、思ってなかった。

 いや、トップ娘役不在だーの、謎のジュリエットWキャストだーの、雪組人事への不安はあったし、贔屓のコンディションを心配してうろたえて、まったくのお花畑公演ではなかったのだけど。
 それでも、幸せだった。
 これほどまでに愛することのできる「作品」と出会え、愛することのできるキャラクタと作品世界を作ってくれる「キャスト」に出会えた。

 今走らないでいつ走るんだ。
 そう腹をくくった。

 『ロミジュリ』のあとは、しばらく抜け殻だった。
 おかげで、次の全国ツアー『黒い瞳』『ロック・オン!』にアタマが切り替わらずに、かなり苦労した。
 ほんとーなら、こちらこそ大カルナバル状態で踊り狂っていそうなもんなのに。
 タイミングが悪かったなあ。
 わたしにエンジン掛かったの、公演途中からだよ……おかげでチケットぜんぜん持ってなかった……。

 わたしは自分が思う以上に不器用だったらしい。
 『ロミジュリ』だけで胸いっぱい、そこから一歩も進めなくなった。

 世の中は、宝塚は、雪組は、どんどん先へ進んでいるのにね。

 1月の『ロミジュリ』でアタマが止まってしまったわたしには、この1年がとても不思議に思える。
 えーっとわたし、ちゃんと生きてたよね? どの公演も観劇し、ついて行っていたよね?
 それでも心はずっと、『ロミジュリ』に残したまま。
 東宝公演中に震災もあったし、いろんな意味で『ロミジュリ』は特別すぎる。

 雪組クロニクルを見ながら、愛しくて切なくてたまらない。
 もう二度と還れない場所が、そこにある。

 たとえ雪組で『ロミジュリ』を再演したとして、わたしが愛した『ロミジュリ』は、もう二度とないんだ。
 卒業していった人たちがいる。そして、我がご贔屓。同じ役を演じたとして、もうあのベンヴォーリオには二度とお目にかかれないだろう。今のまっつなら、もっと「出来上がった」ベンヴォーリオを演じると思う。あの不安定さは、あのときだけのものだろう。

 クロニクルの映像から、幸せの記憶がよみがえり、切なくてたまらない。


 ……あー、いろいろあったねえ。全部観たねえ(笑)。

 『仮面の男』『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』までたどり着き、あとは『Samourai』で終わりだな、とまっつの出番的にはもうすっかり終わった気でいたから、『タカラヅカスペシャル2011』が映ってびびった(笑)。
 そ、そうか、これがあったな。
 ニュースでは映らなかった部分も映してくれて、まっつがいっぱいでホクホク。ありがとーありがとー。
 ……しかし『H2$』は放送なし……マジでDVDでもカットかなー……フィンチなまっつ、いたたまれない……かわいかったのに。

 今年が終わってしまうのか……。
 観劇納めもできずに。
 あああ。なんつー中途半端な~~。

 キムくんに会いたかったよおお。


 夜はヅカ友とささやかに忘年会、「で、今年の観劇回数は?」としつこく聞かれたが、んなもん数えてねーよ(笑)。
 今年はもう数えなくていいか、なキモチだ。つか数えるのがこわい。使ったチケット代も、考えたくない。特に今、『インフィニティ』チケットに散財したあとだし(笑)。
 や、たぶん友人たちからすれば、すげーささやかな回数と金額だってことは、わかってる。でも、友人たちとわたしは収入がチガウのよ、わたしのよーなびんぼー人が使っていい金額ぢゃないのよ……。
 『ロミジュリ』に狂い、今年1年は夢の中で過ごしたかのよう。日常の記憶がないので、使った金額も夢だと思っていよう……ふふ、ふ……。


 ヅカ友と別れるときは、「良いお年を」ではなく「次の観劇で」(笑)
 友人たちは誰も『インフィニティ』観る気ナシだから、DCか大劇かで会いましょうと言われたわけだ。
 うおー、『インフィニティ』があるから1月前半は身動き取れないんだよどうしよう。『Samourai』観たいよおお。『Samourai』は年内に観て、お正月は花組にあてるつもりだったのに、今日観られなかったからお正月が『Samourai』になるのか……? ああ悩ましい。

 煩悩は一生尽きない。
 そして。


 そして、まっつに会いたいと思う。
 『インフィニティ』まで、あと1週間。
 今さらの、こあらった目線の『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』まっつまっつ、だらだらと続き。

 短くて消化不良の海賊ショーに出ていたため、その次の派手な中詰めには、なかなか出てこられません。

 みんなで明るく楽しく「VIVA LAS VEGAS♪」と歌っている中、まっつは、どさくさにまぎれて登場する。

 どうやって登場するんだろう、と思っていたら、ひどい扱いっすよ……。
 他の人たちが段階踏んでどーんと登場して拍手もらっているのに、まっつは「いつの間にか、いた」という登場。
 全ツ『ロック・オン!』で直前の場面に出ていたゆえ、次の黒燕尾場面に遅れて登場、歌もファンファーレもないけれど、わざわざセンターから合流させてくれたミキティはいい人だったんだなあ……。
 曲も止めない変わらない、ただ登場位置を変えるだけで、こんだけ違ってくるんだ。

 いろんな人に「中詰め、まっつがいつの間にかいて、驚いた」と言われ、悲しかったっす。
 うん、キミが見落としたわけじゃないよ。そーゆー扱いにされてるだけなんだよ……。
 初日、なんでもなく上手袖から出てきて、曲も変わらない誰も振り返らないまま、その他大勢に混ざるまっつの姿に、びびりました。せめて短いソロがあって注目を集めるとか、ナニかあるのかと思ったさ……。
 舞台の真ん中が「主役!」として派手に動いているときに、端っこに合流じゃあ、誰も気づかないわ……。衣装もみんなと一緒だしねー。(スペードのJのマークがぽつんと付いているだけ)

 まあともかく。
 まっつは、キラキラ笑顔です。元気に腕を振り上げてます。

 ただの脇として登場して、いつの間にかモブに混ざっているだけなのに、少しずつじわじわと観客に気づかれないように真ん中へ寄っていく姿が、不思議です。
 じわじわ真ん中へ寄せるくらいなら、ふつーに「真ん中に立つ人が登場しましたよ」って演出にすればいいのに、最初から真ん中へ堂々と歩かせればいいのに、なんでこんなに苦労してまでこーゆー演出にしているのか、純粋に不思議だ。

 で、キムくんが真ん中にどーんと登場する頃には、まっつはふつーに真ん中あたりの立ち位置にいる。

 んで、サイトーくんお得意の、手振りダンス。アイドル・コンサートのノリの。
 全員が真正面向いて一列に並んで、腕だけで踊る。「みんな、真似して踊ってね」って感じの、素人参加型の簡単そーな振付。

 銀橋に勢揃いで華やかに。


 一旦暗転。
 銀橋のスターたちが撤収している雰囲気。

 次にライトが点いたとき、そこに残っているのは5人のみ。

 これが「DREAM5」、戦隊ヒーロー物。
 コマくんから順番に、恥ずかしい名乗りを上げて、恥ずかしいポーズをキメる。

 クール・キャラのまっつの戦隊ヒーロー物は、おかしさ絶大。

 ちぎコマはアツいキャラだし、キムくんは太陽キャラだし、みみちゃんはかわいこちゃんだし。
 いちばん似合わないのが、まっつ。
 似合わない人が、大真面目に、かつ、しれっとやっているのが、おかしくてたまらない。

 てゆーか彼らの決めポーズって、それぞれのアルファベットなんだよね?
 コマつんの「10」はよくわかってないんだけど、みみちゃんの自分を抱くよーなポーズは「Q」だし、ちぎくんは手で「K」を作ってる。キムくんの指さしは「A」だよね?
 で、我らがまっつは、「J」。
 両腕を広げて横顔で静止。

 これって、「J」のつもりなんじゃん。と、わかったときに、腹がよじれた(笑)。

 あのまっつが、ナニをやらされてるんだ……。

 振付でカクカクカクっと手を動かすところがあるんだが、ソコとかおかしすぎる……(笑)。

 5人ともステキだ。すばらしい。
 タカラジェンヌってすげえなと、本気で思う。

 ここのまっつは衣装ごと髪型ごと、全部好き。
 潔すぎるピッタリオールバックにデコバンド、銀色ロングジャケットにブーツ……なんつーか、ものすごく、端正。
 ストイックなんですよ。低温なんですよ。
 なのに、やっていることは戦隊ヒーロー。

 5人ともキャラ立ってるし、かっこいいしきれいだし、すごくイイのに……なんにもしないで終了って、ナニ??

 わざわざ名乗りを上げるくせに、これからナニかはじまるとしか思えないのに、何故名乗るだけで終了なの?
 つまらんわー。


 で、次がベトナム戦争。
 笠をかぶってせり上がってきたのを見た日にゃ、どう反応すればいいのか、とまどった。

 ナニも知らずに突然あの格好を見ると、なかなかに滑稽です。
 まさかガチでベトナム戦争やるとは思ってないじゃん。
 本舞台にベトコンが登場して「え? なんで??」と思っているところに、超シリアスに滑稽な笠地蔵姿でせり上がり。

 初日はまず、その格好に驚愕した。
 スカステの稽古場風景で熱唱する姿を見ているだけに、その格好いい場面が、よりによってこんな衣装だなんて……。

 ベトナム戦争まんまである、イメージを固定されるこの場面のセンスが、ほんっとーに嫌だった。
 深い思いがあって本気で描いているのではなく、「戦争萌え~~、軍人さん萌え~~」なだけで作者が気軽にやっているのが透けて見えて、とても不快だった。
 まっつが被らされている滑稽な笠は、演出家の無神経の具現のようで、心から嫌だった。
 実際にベトコンが被っていただろうカタチの笠を滑稽と書くなんて、実在の人々や文化を愚弄しているわ、と言わないでくれよ。現実の人々のことではない、ベトナム戦争のことではない、タカラヅカの舞台の話だ。
 東宝でなくなってくれることを祈ったんだがな……まっつだけでなく、他の人民戦士全員。ベトコンまんまだなんてヅカ的にもリアルな関係者的にもまずいし、格好いいものじゃないし、シンプルに顔が見えないし、いいことはひとつもなかったのにな。

 そんな場面だったわけだが。

 まっつの歌声は、すばらしかった。


 続く。
 今さらの、こあらった目線の『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』まっつまっつ、続き。

 次は海賊ショー。
 役名は「首領」。
 首領なあ……首領て……(笑)。
 見た目は素敵にジャック・スパロウ。

 まっつ、ヒゲ似合うなあ……しみじみ。
 や、知ってるよ、知ってるけど(笑)、それにしても、似合いすぎ。
 つか、格好いい。惚れ惚れするー。

 プリンセス@みみちゃんのアゴを持ち上げるとこが、いやらしくてお気に入りです。
 ここぞって感じに登場するプリンス@キムくんもステキ。キラキラっぷりがいいよねー。

 ただこの場面、致命的に短い。
 あっちゅー間に終わる。

 キムくんが出てきたら、すぐさままっつが斬られて終了なんだもの。
 せっかく仰々しく出てきたんだし、もう少しドラマを作ってくれてもよかったんじゃあ……。

 キムとまっつが絡むのはここだけなんだが、歌ウマふたりなのに、歌は一切なしだし。
 消化不良~~。

 プリンスに斬られた首領は中央からポーズを決めたままセリ下がっていくんだけど、このポーズも短くてね。
 ふつー完全にセリの奥へ消えるまで、微動だにしないもんでしょ?
 でもまっつは、本体が隠れたらさっさと剣を下ろしちゃうんだよね。

 ムラの序盤はまっつメイトと「見えなくなったらさっさとポーズを解くまっつ」のさばさばっぷりにウケていた。
 でも、よく考えると、ドライな価値観ゆえというより、自分がいなくなったあとに繰り広げられるトップコンビのロマンティックな場面のために、できるだけ早く舞台から消えてるんだね。
 いつまでもポーズ取ってたら、いつまでも姿が客席から見えちゃうもんな。キムみみがラブラブデュエットダンスはじめてるっつーに。

 ジャック船長は、帽子を被っているのが基本、されど帽子なしのバンダナのみのときもあった。
 バンダナの方が顔はよく見えるけど、帽子姿の方が本格的に「首領」っぽくて好きだった。

 ところでわたし、初日はあまり下調べせずに観ているので、この海賊場面が「ラスベガスのショー」だと知らなかった。
 プログラムをざーっと眺めて「またしてもまっつの場面はナシなのね(溜息)」とだけ理解して、観劇したの。
 この場面は役名だけチェックしていて、場面解説は読んでない。
 役名から、キムくんとまっつが、みみちゃんを争うんだなと想像。

 コミカルでお気楽な場面だとは、思ってないから。

 キムくん出てきた-、まっつやられた-、の短絡な展開にびっくり。
 加えて。

 「首領」のアレな瀕死演技に、目が点。

 えーと。
 実はわたし、ご贔屓の死ぬ芝居を見たことがありません。

 ラブシーンを演じることが出来るのは路線スターのみ、ですが、息絶える芝居が出来るのもまた、路線スターのみなんですよ。

 モブの下級生が何度も出てきて主役に斬られて「うわああ」と死んでいくとか、そーゆーのとは別にして。
 ふつー、「死に際」を演じられるのは、スター様だけです。
 死というのは人間の最大のドラマであり、そうである以上、ストーリーに関わるキャラにしか存在しません。
 まっつは主要人物役をやることがほとんどないポジションの人で、バウなどの小劇場ですら華々しく息絶える役をもらってません。
 まとぶんやらんとむが「死に専科」と呼ばれるのは、彼らがガッチガチの超路線様だったゆえです。トップコースの人たちは、とにかく死ぬ役を割り当てられるのよ。だって華々しく息絶える役は、「オイシイ」役だから。
 脇のどーでもいい人は、死なない。死んだとしても、死の場面をわざわざ描かない。そんな人をオイシくしても、無意味だもの。

 オイシイかどうかではなく、単に、「見たことがナイから、見てみたい」と思っていた。
 ガチの恋愛をしてラブシーンをするまっつを、見たことナイから見てみたい、のと同じで。

 その、見たことナイ「息絶えるまっつ」が、はじめて目前に。

 ……わざとらしい……。

 ぽかーん、でした。
 あまりにも、大根芝居で。
 「うわあああ、やーらーれーたー」みたいな断末魔。
 表情も、クチをかぽーんと開けた、困ったよーな情けない顔。

 えっと。
 こ、これが、まっつの死に芝居? 息絶える芝居?

 いやその、軽いタッチの場面だから、わざと軽くしているのはわかる。わかる、けど、あまりにもわざとらしすぎる。
 どう見てもジャック船長、死んでないよ。「やーらーれーたー」って言って、死んだふりしてるだけじゃん?!

 と、普段のまっつの芝居からかけ離れた大味な演技に、盛大に驚きました。首をひねりました。
 まっつがこんなにへたっぴだとは思えないから、演出家指示? 嘘っぽくまぬけに死んで見せろと??

 演出家指示でもなんでも、ご贔屓のはじめて見る死に芝居がコレなの?
 ……なんか、しょぼんだわー。

 と、思っていたら。

 ええ、すぐに答えは出ました。
 この場面自体が劇中劇、ショーの一部なんだ。ほんとに死ぬわけじゃないんだ。

 って、つまり、正しいんじゃん! 「うわあああ、やーらーれーたー」みたいな断末魔芝居で!!

 つか、なにも知らなくても正しく伝わったんだから、やっぱまっつ芝居うまいんだわー。
 ごめんごめん!

 てことで、ここは「やられた芝居をしているタレントを演じている」わけだから、結局わたしは、ご贔屓の死ぬ芝居を見たことがナイままなんだ……。

 キムくんとかちぎくんとかの腕の中で、盛大に息絶える役が見たいなー。
 しみじみ。

 続く。
 誰にナニを言うこともない。
 ただわたしは毎年、「12月26日」を区別する。
 自分の中でだけ、「ああ、今日は12月26日だ」と思う。

 寒い寒い朝、ベッド中で猫を抱きしめながら、目覚める。
 今日は……12月26日だ。

 グレアムの誕生日。
 そして。
 ケロちゃんが、卒業した日。

 別になにがどうじゃない。
 ただ、毎年思う。「今日は12月26日。グレアムの誕生日で、ケロの卒業した日だ」と。
 繰り返し。
 なにをするでなく、ただ毎年。
 キモチの中でだけ、なにかを踏みしめる。わたしがわたしである限り。
 これから先、なにを愛しなにを憎み、なにに絶望しても。
 聖なる想いがある。
2011/12/26

宙組トップスター・大空祐飛 退団会見のお知らせ

宙組トップスター・大空祐飛が、2012年7月1日の宙組東京宝塚劇場公演『華やかなりし日々』、『クライマックス』-Cry‐Max-の千秋楽をもって退団することとなり、2011年12月27日に記者会見を行います。

なお、会見の模様は当ホームページでもお知らせ致します。

 そうか、ついに来たのか。
 それがこの日……12月26日なのか。

 『血と砂』に狂乱していたのが、つい昨日のことのようだ。

 12月26日。
 グレアムの誕生日で、ケロが卒業した日、そして、ゆーひくんが卒業を発表した日。
 『タカラヅカスペシャル2011』のまっつ語り、その3。

 次の出番が、2幕の中詰め、「ゴールデン・デイズ」。
 金ピカ衣装です。

 わたし、ショー『ゴールデン・デイズ』が大好きだったの。
 アカペラからはじまって光があふれる、黄金のオープニング。
 初日の客席でプログラムのミキティの言葉を読んで、そこから泣いた。「別れが約束された出会い」とか、そんなことが書いてあったの。タカラヅカとは、そういうところだって。

 出会う人、好きになる人、この世のすべてが、「別れ」を前提としている。
 どれだけ愛しても、憎んでも、すべて等しく別れが来る。

 だからこそ、「今」が愛しい。
 「今」がゴールデン・デイズ。光り輝く日々。

 『ゴールデン・デイズ』の金色衣装を着て歌う人々に、改めて泣けた。

 そこに、まっつもいる。

 いろいろとありがたい扱いで、今までのまっつからは想像もつかないほど気を遣われていて、びっくりでうれしくてしあわせで、落ち着かないくらいだったんだけど。
 メドレーが最後で、あとはいつもの、その他大勢のなかのまっつです。

 マイクは持たせてもらっていても、声なんか聞こえない。コーラス隊のひとりですから。

 それでもいいのよ、もう十分しあわせ。
 今こうして、舞台の上にいるまっつを見ていられる、それでしあわせ。

 黄金の場面はキムシンオペラの頂点のひとつ、甲斐メロディの「世界に求む」@『王家に捧ぐ歌』に続き、さらにヅカの名曲の名曲、「心の翼」@『テンダー・グリーン』へ帰着する。

 団体戦のまま、まっつの出番は終了。
 あとはフィナーレのみ。


 なんつーか、今年のタカスペはテーマがエールだからか、あまり無茶なことはせず、手堅くまとめた印象。
 おかげで衣装のバリエーションが、少ない。

 トップさんはそれなりに派手なものをチョイスされているけれど、それ以外の人たちったらねえ(笑)。

 まっつはカラー燕尾3着、飾り燕尾2着、タキシード1着、学ラン1着ですよ?
 つまり、他の男の子たちも、みんな同じっすよ。
 燕尾5着にタキシード1着て……。
 ナニその冒険心のナイ衣装オンパレード。
 (しかし、学ランが浮いてるな……笑)

 どの場面もどの場面も燕尾服、着替えて出て来ても、燕尾服。
 そりゃ男役には燕尾着せておけばはずれはナイけど、それにしても演出家、ヒネリがなさすぎっしょ(笑)。

 どの場面も同じカタチの服ばっかで、かえってウケた。

 や、おかしなラテン衣装着せられなくて良かったけど。草野せんせがいたら、水玉原色衣装にポンポンみたいなカツラ被せられたのかもしんないけど。


 前半でばーーんっと信じられない演出で、あとになるほどいつもの扱いに戻っていったので、助かりました。
 その、気持ちが落ち着いていく余地があったというか。

 それでも初日は、すっかり体調崩しちゃって、そのあとに予定していた忘年会がお流れになっちゃったもんなあ。
 もともと体調悪かったんだけど、そこへもってものすごい心臓だの自律神経だのを酷使したので、カラダが悲鳴上げたみたい。……もう若くないんだもん、いろいろやばいわー、よぼよぼ。

 んで初日、3階のすみっこで心臓バクバクいわせていた、もうひとつの理由。

 まっつの立ち位置は、下手がほとんどだった。
 客席下りも、下手だった。

 で。

 あたし、あそこの席、持ってる……。
 と、翌日の自分の席番ゆえに、さらに興奮しちゃったのな(笑)。

 いやその、びんぼーなくせに、張り切って前方席入手してだな、雪組代表まっつを間近で見届けようという気合いで……まさかソレがドンピシャとか、思ってないじゃん!
 ハイタッチできる、カンチガイ目線もらった気になれる……と、盛大にうろたえました。

 んで、2日目は無駄に緊張しててな(笑)。

 しあわせにとろけてました。
 3階だとコーラスまっつの声がよく聞こえなかったりしても、近くにいると聞こえるし!
 組ごとグルーブで歌いながら登場、総力戦!のとことか、まっつの声響いてて気持ちいー。


 まっつの立ち位置は下手が多く、しかも、1列目の端っこ系が多かった。
 つまり、DVDへの映り込みが期待できない位置。
 1列目の端より、2列目のセンター付近の方が、絶対イイもんなー、映像的には。

 DVDには、あまり映らないんだろうな。
 残念だけど、ソレは仕方ない。「映ってないけど、あっちの端にまっついたんだ……」と脳内補完して眺めるしか。
 それはいつもやってきたことだし、大丈夫。 

 センターの場面があったので、そこだけは映してもらっているだろうから、いつもよりはるかにイイ。


 それでも、キムくんたちと一緒に出て、他の組みたいにパロディやっているところが見たかったよ。
 センターでひとり、プガチョフソングを歌うまっつを見られて感動したこととは、まったく別のチャンネルで。

 2012年12月、雪組は東宝公演中。タカスペには出られない。
 未来はわからない。
 でも、どうか。

 雪組のみんなと、タカスペに出るまっつが見たいよ。
 もう一度。
 プレゼントにつられて、雪組ドラマシティ公演『SAMOURAI』を、クリスマス・イブにひとり観劇(笑)。
 梅芸公演はいろいろイベントを凝ってくれるからうれしい。
「クリスマス」&「お正月」期間限定!ご観劇者全員に特製メッセージカード&特製フォトプレゼント♪

•下記の対象公演をご観劇頂いたお客様全員に、「出演者直筆メッセージカード(印刷・カラー)」と、「特製オリジナルフォト(非売品)」をプレゼント!
•「クリスマス期間」と「お正月期間」で、メッセージカードと特製オリジナルフォトの内容は異なります。この機会にぜひ、「クリスマス」「お正月」両期間のご観劇の思い出としてコレクションしてください!

クリスマスバージョン

【対象公演】
・12月24日(土)12:00公演/16:00公演
・12月25日(日)12:00公演/16:00公演
【プレゼント内容】
1.)「出演者直筆のクリスマスメッセージカード」(印刷・カラー)
(内容)・サンタさんへのお願い ・ファンの皆さんへのメッセージ
2.)「特製クリスマスフォト」(音月さん・舞羽さん×クリスマスツリー♪)

 *以上、梅芸サイトより*

 メッセージは出演者全員分ぢゃなかったんやね……。
 年内しか行けないから、クリスマスバージョンの項目しか読んでなかった。この下にお正月バージョンが別項目であり、そこに「•「9枚セットのポストカード」は、「音月さん・舞羽さん(全セット共通)+他出演者7名※ のメッセージカードで構成。※上記対象公演(全8回)にどの出演者のカードが当たるかは、当日までのお楽しみ♪ 」と書いてあった……読んでなかったよ……。
 そして、「全公演期間対象!2回以上ご観劇頂いたお客様全員に「オリジナルファイル」プレゼント♪」も、ナニをどうすればナニがもらえるのか一読ではわかりにくい(笑)。
 わたしの読解力の問題だろうが、年内2回観劇してもお正月フォトがもらえないのだということとか、ファイルだけもらっても中に入れる出演者のメッセージカードがないと意味ないんじゃ??とか、謎は尽きない(笑)。

 えーと、このグッズをコンプしたかったら、クリスマスとお正月のプレゼント該当公演を8回観劇しなきゃないらないの?
 合ってる?←自信ない(笑)

 まっつがこの公演に出ていたら、否応なくやってたと思いますがね。日替わりでメッセージカード配布していた『カナリア』と、どっちがえげつないかなあ……梅芸さんやることすげーや(笑)。

 リピート基本の人間には、ナニもないより絶対なにかあった方が楽しいし、うれしいっす。
 贔屓が出ていない場合そこまでやらないので、コレクションの断片だけしか手に入らず、残念感は残るけども。

 とりあえず、わたしの手に入ったのは「クリスマスバージョン」で、固定のキムみみの他は、りんきら、ナガさん、杏奈ちゃん、がおり、大樹くん、いの莉ちゃん、さらちゃんのカードです。
 ナガさんの「サンタさんへのお願い」メッセージがイラストってゆーか図入りですごいです(笑)。
 ヲヅキさんのカード見たかったなー。

 キムみみのフォト付きってあったけど、印刷じゃなくてほんとに写真だったのがうれしい。
 かーわーいーいー。
 ……ただ、梅芸のスタッフさん、写真はもっと丁寧に扱ってくださいまし。袋詰めしたときについたのだろう、指による折り目っつーか傷がばーんと付いてたナリ……もうちょいズレてたら、キムみみの顔に直撃の位置。ふたり顔の間の傷だから、目立つわー。

 梅芸公演のチケットは、劇場の「中」で買うのがいちばん良いので、いつもぎりぎりまで持っていない。
 友の会の抽選など、座席を選べなくて、定価でおまけもない購入方法とか、手数料のかかるぴあなどのネット購入より、観劇ついでに「中」で買う方が、席を選べて、割引があったりおまけが付いていたりで得なんだよなあ。ヅカに限らず、梅芸公演全般。
 だから今回の『SAMOURAI』もつい先日のタカスペ観劇時に購入。おまけはなんもなかった。でもその代わりに、良い席がぽろっと売っていた。
 チケットはナマモノ、見るたび微妙に販売される座席がチガウ、どっかから良席が出てきていたりするので、まめにチェックするべし。
 ……ほんとに、良いお席でした……前に見たときには出てなかった席が売りに出てたわけだ、ツイてたなー。(しかも、係の人が「発売座席表、色を塗る位置間違ってるよコレ!」とわたわたしているところにわたしが通りかかり、「色塗ってませんが、この席売ってます」と口頭販売・笑)

 今回はご贔屓不在なので前もってチケットを持っていない……とゆーわけでもない。
 ご贔屓出演の『H2$』だって、前売りは持ってなかったもんな。制作発表のために無理矢理1枚買ったぐらいで。まあ、『H2$』は作品を好きじゃなかったので、リピートする気なかったし。
 もう一度『ロミジュリ』やってくれるなら、鴨会……ぢゃねえ、友会ででもなんでも前売りを用意するけど、それ以外の梅芸公演は焦ってチケット押さえないかなあ。
 あとから買う方が、絶対お得だもん。
 ……という、今の発売システムはいいのか悪いのか(笑)。

 そんなこんなで、物欲まみれに観劇して。

 泣きまくりました。

 うわーん。

 キムくん素敵、みみちゃんかわいい、ちぎがとってもちぎだ(笑)、ヲヅキかっけー!!

 もー、泣きすぎで恥ずかしい。
 ずっと出演者……つーかキムくんと目が合いまくった気がして、キタナイ顔で大泣きしているのがみっともねえとしみじみ。
 や、向こうは別にわたしを見てなんかいないのはわかっているが、そうカンチガイできるくらいには目線の据えられる位置だった……もう一度ここ坐りたい……カンチガイしたい……。

 『SAMOURAI』、内容を簡単に言いますと、皆殺しの谷、本領発揮!!です。

 死ぬわ死ぬわ、すげえよ。
 老若男女差別なく、死にまくります。

 谷せんせの美学「誰か(ナニか)を守るために死ぬのは素晴らしい」が全開です。
 そのくせ「命ありがとう」で、命の尊さもうざいほど歌い上げるので、主張に矛盾はあるんだけど、それでも泣ける。
 死ぬために戦うワケじゃない、自由に生きるための戦い……といっても、負けて死ぬことがわかっているのに玉砕覚悟で戦うのは「生きるための戦い」ではないんじゃないか、捕虜になったとしても、誇りを踏みにじられても、まず生きることが真の戦いではないのかとか、命が大切ならまず殺人である戦争を是とするなよとか、平和な位置からは言えるけれど、そーゆーことじゃない。
 ソレ否定したら、武士道も騎士道も否定することになるしな。

 なんか久しぶりに、「谷正純」を観た気がする。ああ、こういう人なんじゃん、って。
 こーゆー、浪花節ってゆーか、日本的な英雄観のもと、同じ話を書き続ける人だったじゃん、と。
 そしてわたしは、こーゆー谷せんせが好きだったりするじゃん、と。

 ああそして。
 すごく、「雪組を観た」って気がする。

 劇中の「日出づる国日の本♪」は、トドロキ様の声で脳内再生されましたよ(笑)。
 あたしの好きな雪組ですよコレ。

 あー。
 キムくん好きだなあ……。
 わたしが好きな「雪組」の歴史が、彼の中に息づいてる。


 あと、今回あのルーシーちゃん……杏奈ちゃんに泣かされるとは思わなかったよ……たまらんわ、あのキャラ……。
 『タカラヅカスペシャル2011』のまっつについてのみの感想、続き。

 1幕前半の雪組コーナーだけで、死にそーなほど、心拍数上がりました。どきどきバクバク。

 各組のパロディコーナーが続き、もうこれで出番ナシかな、あとは1幕最後の中詰め的場面にわらわら出てくるかな、ぐらいの引いた気持ちで観劇。
 開演前にチェックしたプログラムで、もう1ヶ所出番があったこと、ものすごい人数の出る場面であることはわかっている。つまり、見慣れた「その他大勢」なまっつだろうなと。

 もちろん、それは間違ってない。1幕のラスト、男役の総踊りで盛り上がって幕、という場面だもの。

 それでも、驚いた。

 トド様センターの場面で、みわっちが出て、まっつが出る、思いもしなかった演出。てゆーか、まっつに、ソロがある。
 びびびびっくりしたっ。

 タカスペ観劇歴も長いもので、なんとなくプログラムのパターンは身についている。
 1幕はオープニングでみんな一緒、各組コーナー、それから中詰め的ショータイム。2幕は出演者たちが少人数口に分かれてのメドレー、後半はトド+トップスターの2・3階席置き去り客席下りソロがあって、パレードで終了。
 この「いつもの構成」なら、まっつの見せ場になりえるのは、1幕の組コーナーと、2幕のメドレーのみ。大勢でなにかしらやるところでは、バックダンサーでしかないはず。

 そう思って、油断していた。
 まっつの声を、もう一度聴けるなんて。

 トド様センターで、みわっちとまっつで三角形に。えええ。
 次の場面では、トド様センターで、ベニーとみりおで三角形に。
 つまりまっつは、真っ当に3番手として扱われていた。……去年もいちおー雪組の3番手としてプログラムには載っていたんですが、6人口のその他大勢扱いだったんですよ? なのに今年は、プログラム通りの扱いされてる……!

 1幕ラストは震災のエールを込めての、感動的演出。
 そこでまっつにも、歌い継ぎのわずかなモノだとしても、ソロがある。そのことに、ふるふると感謝した。うれしいうれしい。

 んで、ここの衣装が、また。

 ダービー帽付き、タキシード。

 まっつの得意分野!!

 ダンスがイイの、きれいなの、小粋なの!
 帽子似合うし、小道具として使う手つきもまた慣れたものだし。

 しあわせの記憶がリンクして、『TUXEDO JAZZ』を思い出す。
 ダービー帽とタキシードで踊っていたね、小粋なダンス。あの公演も、まっつの扱いが目を疑うほど良くて、初日は心臓バクバクいわせてたっけ。

 みわさんとの並びもうれしい。大好きだったいろんな公演を思い出すから。

 しあわせなまま1幕が終わり、もーどうしようかと。


 幕間に自分を落ち着かせ、平常心で臨む2幕。
 去年は1幕でまっつ比で破格の扱いだったけど、2幕はいつものまっつだった。今年もそれに倣い、2幕では「1幕は夢だったのね」という感じになっているかもしれない……(笑)。

 2幕のオープニングは、これまた感動系演出の「明日へのエナジー」。

 まっつの声が、聴きたかった。

 聴けませんでした(笑)。や、席によってはコーラスが聞こえるんだけど、基本、聞こえない。ソロメンバーに入れてもらってないから。
 しかも、なかなか出てこない。
 歌わなくてイイからせめて踊ってくれ、と思うのに、歌メインの演出だったので、場面自体にダンスがそれほど含まれてなかった。

 聴きたかったなあ、まっつの声で、「明日へのエナジー」。

 「明日へのエナジー」といえば、おごそかにはじまって、半ばからどんと転調して衣装も変えて、がんがんに激しく歌い上げ、踊り狂う……という曲。
 神父服のようなストイックな黒服、聖歌隊のような人々……が、ジャケットのボタンを開け放つと中はキラキラ原色のど派手衣装!! というギャップが感動。
 だからソレを期待して見ていたのに。
 なかった……。

 黒服の前を開けることはせず、黒服のまま終了だった。
 『シトラスの風』の爆発的なクライマックスが、ナイ……。
 ちょっと残念な演出だったなー。地味にミニマムになったというか。出演者は豪華なのに。

 まっつは完璧にその他大勢のひとり。
 見慣れた、まっつ。残念なんだけど、ほっとした(笑)。
 あんな扱いばっかじゃ、心臓もたないわ……次の公演とかがこわくてこわくてたまらなくなるわ……。

 すみっこでマイク持って踊っているまっつは、黒服というよりも学ランにしか見えない衣装を着ていて。
 えーと、それってやっぱ、ただの学ランだよね? 「明日へのエナジー」の黒服ぢゃないよね? 裏にキラキラついてないよね?
 おなじみの、学ランですか?
(注・まっつは『明智小五郎の事件簿―黒蜥蜴』と『舞姫』×2で同じ学ランを着ています)

 初日はわたし3階席だったからよく見えてなかったんだけど、翌日は1階前方席だったので、しっかり確認しました。

 ただの学ランだ……。

 容赦なく学ラン……。
 ダッサいポケットまで付いてるよ……。

 学ランで踊るショー場面……。

 まっつのカラダが、学ランの中で泳いでいる感じもまた、すごくツボです。
(注・まっつは『明智小五郎の事件簿―黒蜥蜴』と『舞姫』×2でも、学ランの中でカラダが泳いでいる感じでした)

 学ランなんか着せられて、それでもすっげーイイ笑顔で踊るまっつがステキ過ぎました……。


 次が、2部のお約束、ヅカソング・メドレー。
 まっつの出番はわりと早めにあった。

 ありがたいことに、まっつを入れて3人。共演はいちかとれみれみ。
 6人口だった去年からすれば、格段のUP。

 プログラムの文字を眺めているだけだと、わからなかった。
 3人口じゃ、ナイ。
 まっつセンターで、女の子ふたりはその後ろ、だ。

 うわーうわーうわー。びびびびっくりしたっーーっ。

 メドレーで場面もらえるとは思ってなくて。だって、組コーナーぢゃないんだもん。コマきんぐあゆっち翔の間なら、そりゃまっつセンターだろうけど、他組と混ざっちゃったらそんなの関係なし、3人で登場なら、3人並列にハモって終了かと思うじゃん。

 てゆーか、人選もうれしい。
 いちかちゃんとれみちゃんって、「ブリドリ」の「まついち夫婦のお宅訪問したれみちゃん」じゃん!
 (http://koala.diarynote.jp/200905041415448360/ ←参照・笑)

 あああ、なつかしいうれしい。
 両手に花ですよ、ベルナール@まっつの両脇で戦っていたパリの女ふたりですよ。

 歌は「夢よ」@『ザ・ドリーマー』です。
 メドレーなので、場面自体は短く、どきバクしているうちに終わってしまった。
 タカラヅカらしい曲で、まっつはとても余裕にタカラヅカしてました。


 しかしもお、うれしすぎる。
 ありがたいタカスペだ。

 続く。
 考えても仕方のないことだが、新人公演制度というか、タカラヅカの育成システムについて、つらつら考える。

 男役スターは、新人公演主演を経験してトップ路線に乗る。
 新人公演は、研7まで。
 つまり、研7までに著しい成長や、美貌や、人気を得なければならない。

 しかし、人間の成長速度は、同じではない。
 若くして魅力の出る人もいれば、大人になってから開花する人だっている。

 ヅカの育成システムが一種類しかないために、いろいろともったいないことになっているんだなあ、と思う。

 もりえくんとめおくんは、大人になってから魅力の開花するタイプだったと思う。
 長身のスタイルよしさんで、それを武器にした美しい青年を演じられる。……少年ではなくて。

 月組85期トリオの「新人公演独占状態」は、若手の育成を妨げたと、わたしは思っている。
 いつも同じ3人が主要役を独占。
 新公主演自体はそれほど早くないんだが、2~4番手役を何年も何回も、同じ顔ぶれで回していたんだ。「おいしい」と言われる役を独占。
 タカラヅカの芝居構成的に、主要な男の役は3~4つくらいしかないのに、いつも同じ人たち。研4後半あたりから研7まで、ずーーっとだもんなあ。
 ひとりで新公主演独占より、ある意味問題かと思う。
 ひとりでいつも主演、ならば、他の子は主演以外のおいしい役を出来るし、また、「ひとりっ子政策のために主演させてもらえない」同情票、判官贔屓大好きな人々の注目や人気を得るチャンスがある。
 しかし、いつも3人で主立った役をやり尽くしていたのでは、判官贔屓の人たちすら現れない。さららん、みっちゃん時代の若手の注目役を独占、彼らが新公を卒業すると1~3番手役を独占。トリオ以外の若手は見せ場ももらえず。
 そのため、月組下級生に「路線」と呼ばれる人たち、他組にも名前を知られるような人たちが激減した。
 85期トリオの周辺はそうやって淘汰され、その陰で89期のみりおくんの育成がはじまる。

 ひとりっ子政策は百害あって一利なしだと思っているが、それ以上に「トリオ政策」は問題が大きいなと。

 ひとりっ子政策を採るほどの人材ではない(と劇団が判断した)子に、何年も役と機会を与え続け、3分の一の期待と手間で「開花したらめっけもの」としたため、中途半端な存在に。
 トリオで新公を独占し続けた3年だか4年だかは、なんだったのか。

 人はそれぞれ、開花時期がチガウ。
 85期トリオが魅力を発揮しはじめたのは、それぞれ大人になってからだった。
 下級生時代の経験があってこその開花でもあるだろうが、あそこまで独占体制でなくても、彼らはそれぞれ味を出したと思う。
 いちばん早く花開いたのが、やはり3人の中ではいちばん少年の魅力を持っていたひろみちゃん。硬質な美貌の水くんトップのもとで中性的・少年的美貌を武器に活躍。
 次がもりえくん。スタイルの良さが最大の武器だったけれど、どうにもおとなしい芸風だったのが、すべてを一度捨てきって、一気に垢抜けた、2007年あたり。
 花に組替えしたもののずっと存在感ないままだっためおくんは、さらに遅れて2008年以降にキャラを確立。美形だしスタイル良しなのに、それを長年男役として活かせてなかったんだが、花組らしい愛されキャラとしてどーんと開花したよね。

 タカラヅカのシステムとして、研7までが重要なのはわかる。だから将来性を考えて新公で役を与えるわけだ。
 しかし、もっとも輝く時期が、全員研7までに訪れるワケじゃない。
 そのころにこれでもかと機会を与え続け、劇団が期待した結果を出せなかったからといってそこで終了、という今のシステムは、なかなか難しいなあ。

 早熟な子は研7までに完成するけれど、そのあと実際にトップになるまで7年も8年もかかる今の制度のままじゃ意味ナイよ。
 新公時代にどれだけ期待されたとしても早熟な子はその後の長い長い路線時代で飽きられるし、未熟なまま新公あたりの実力や外見で判断された子は微妙な扱いになるし。

 そのシステムに疑問を持つがゆえに、今の月組で「研7までに完成した早熟なスター」を「ファンに飽きさせないうちにトップにする」ために仕切り直しが行われているのだと思う。

 トップスターになるだけがジェンヌの意義じゃない。
 わたしのよーに純路線よりも、その周囲にいる個性派や実力者に惹かれる者も、多くいるだろう。
 されど、まず「トップスター」を育成することが最重要。
 その過程において、いろいろと大変だったなあ、と、もりえくんを見て思う。
 方針とか人事に振り回されたよなあ。
 だけどその中で、堅実に魅力を培ってきた人だなと。

 彼がトップスターになる人材だとは、彼が抜擢されまくっていた頃から思っていなかった。だからこそ、85期の新公独占を憂えていた。
 だがそれは、トップスターという特殊な役割に対して思うことで、舞台人として、タカラジェンヌとして、男役スターとしての、彼らの魅力への疑問じゃない。
 トップだけがジェンヌじゃない。
 もりえくんのような人がいてこその、タカラヅカだ。
 彼のようなスターが余裕でトップの周りに存在する、それがタカラヅカのすごさだ。

 研7まででふるいにかけられる現状と、その後の長い長い凍結期間。
 スター育成のいろんな問題。
 考えても仕方ないことだけど、つらつら考えた。
 もりえくんの卒業発表に関して。
 85期トリオの最後のひとりが、行ってしまうのだなと。

 風吹かっこよかったなあ。
 紫子と一緒に行ってしまうのか。

 舞鶴姫も梅沢三太夫も一緒にか。
 中日お披露目で、すげーわくわくしたなあ。これがきりやんの月組!って。
 ほんとに、きりやんが卒業するんだ……。またひとつ、時代が終わるんだ。

 そんなことを、思う。
2011/12/22

月組 退団者のお知らせ

下記の生徒の退団発表がありましたのでお知らせいたします。

 (月組)   
  霧矢 大夢    ―すでに発表済み―
  一色 瑠加
  青樹 泉
  沢希 理寿
  蒼乃 夕妃    ―すでに発表済み―
  彩星 りおん
  篁 祐希
  華那 みかり

     2012年4月22日(月組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団

 でもってわたしは、一色氏の退団に一層肩を落としています。……わたしがどんだけ彼の顔を好きで、ずーーっと眺めてきたか……。『SLAPSTICK』のギャング以来ですよ……彼のお買い物デートスカイレポートとか、わざわざ録画保存してあるんですけど……一色氏スキーとして!

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