えー、『仮面の男』ですが。

 いろんな意味で「前代未聞」だとわたしは思っています。


 まず、「初日に観劇して良かった、と、これほど強く思ったことはない」というのがひとつ。

 わたしはもともと初日好きだし、星組『スカーレット・ピンパーネル』とか、『ロミオとジュリエット』とか、その作品力ゆえに感動に飲み込まれる客席で「初日に観て良かった!」と思うことは過去に何度もあったけど。
 反対の意味で、「予備知識なくこの作品を観、客席の人々とドン引きする空気を共有できた」ことは大きい。
 客席がひとつになる一瞬。しかも、悪い意味で……って、そうそうナイよ?(笑)


 そしてなんといっても、「宝塚歌劇であるない以前に、ミュージカルでも芝居でもない、ただのアトラクションである」ということ。
 これを超える前代未聞さはナイだろう。
 それこそ、レストランに入って料理を注文したのに、たわしが皿に入って出てきたような驚き。味以前の話、食べ物ちゃうやん!という。

 初日の幕間、わたしと友人の木ノ実さんは、大劇場内のソファーで乾いた笑いを交わしていました。
「あまりに別次元過ぎて腹も立たないねー」と。
 レストランに入って、あまりにもまずい料理とか、料理の中に小さな虫が入っていたとか、そーゆーことなら不快にもなるだろうけど、たわしが皿に入って出てきたんだもん。怒る気にもならないっていうか。

 ふつーの人はレストランに入ってたわしが皿に入って出てきたら、とりあえず笑ってくれるかな。ネタとして「たわしを出す店があるんだよー(笑)」と話題にはしてくれるかな。
 ただし、その店には二度と行かないよね。たわしは食べられないものね、料理じゃないものね。

 うん、ほんと。
 わたしは別に、腹を立てているわけではなかった。
 脱力感があったというか、肩を落としていた。止めるのはいなかったのか、と。

 植爺のトンデモ作品とかはね、どんだけトンデモでも、とりあえず芝居ではあるから。
 面白い、面白くないは主観の問題。
 「面白くないから」という理由で止めることは、難しいだろう。
 しかし『仮面の男』は面白いか面白くないかではなく、そもそも芝居ぢゃないだろコレっていうところだから。
 止めようと思えば、止められたはずだ。主観ではない分、言い渡しやすい。

 タカラヅカっておそろしいところだ。監査機関がナイために、どんな間違ったモノでも平気で商業作品として興行されてしまう。


 そして前代未聞なのがもうひとつ、「複数回観ると、感じ方がまったく変わる」ということ。

 初日は唖然とした。開いた口がふさがらない。
 なんでこんな畑違いのカンチガイ作品が宝塚歌劇の舞台で展開されているんだと驚いた。これは許しちゃいけない間違いっぷりだろう、とそのことが気になった。
 翌日観た2回目はその確認。夢じゃなかった、初日で失敗したと思って変更もされなかった、劇団にはコレを「おかしい」と思う常識すらナイのかと改めて絶望する(笑)。舞台にではなく、宝塚歌劇団に。

 そして、3回目の観劇で。
 面白くなった。

 それ以降、ふつーに面白い。楽しんで観ている。
 リピートは苦じゃない。芝居とショーなら、芝居の方が楽しめるくらいだ(笑)。

 ここまで感想が変わる作品は、わたしははじめての経験。前代未聞。

 というのも、『仮面の男』はミュージカルでも芝居でもナイ。遊園地のアトラクションだ。
 ディズニーランドでもUSJでもいいよ、ライドに乗って映像を見たり踊る人形を見たりする、アレ系の内容なので、可もなく不可もない。その場でその一瞬だけ楽しむアトラクションに、本気で「テーマが」「ストーリーが」と腹を立てる人はあんまりいないでしょ?
 悪趣味な人形が出ましたー、でもライドが2m進んだらきれいなお花畑が現れましたー、みたいな。さっき悪趣味な人形が出たから、このアトラクション全部駄作だわ!とは思わないでしょ?

 こだまっちの自己顕示欲場面は「異次元空間」として、脳が処理できる。
 まずい料理なら食べて「まずい」と思うけど、そもそも食べ物じゃないので、出てきても食べずに捨てられるので、「まずい」とも思わない。
 つーことで、ぜんぜん平気。

 そして、短いストーリー部分、本来の「仮面の男」部分を楽しむことができる。
 で、この本来の部分は、面白いんだ。

 あまりにも異質だから、斬り捨てられる。
 脳の「物語」や「芝居」を楽しむ部分には、こだまっちの「ワタシを見てスゴイと言って!」という部分は入ってこないんだ。
 試験勉強するときに、暗記する答えを赤ペンで記入し、赤い透明下敷きを置いて見えなくし、黒い文字だけ読んで解答を考えたように。こだまっちがどんだけ全身赤尽くしで目の前で踊っても、赤い画面のわたしには見えないの。黒い文字で真摯に「芝居」をしているキムくんたちしか見えないの。
 人間の脳ってすごい。

 てことで、面白いです、『仮面の男』。

 こんだけ前代未聞の怪作もナイ。
 つくづく、なんの予備知識もない初日に観て良かったわー。
 そして、こんだけひどい作品なのに、今楽しんで観ているってのがまたアリエナイわー。

 だから雪担のみなさん、安心してください。
 回数観たら、楽しくなります。

 でも、ご贔屓が出ていない人たちは、1回観てそれで終わりだよなあ。
 たわしは食べられないから、そんなレストラン二度と行かないわなー。

 いやでもほんと、1回は観て欲しい。
 いろんな意味で、すごいから(笑)。
 『仮面の男』の、こあらった目線のアトス様@まっつ語り、その2。

 ターゲットとなる酒場へやってきた三銃士たちは、無銭飲食をするために大活躍。

 無銭飲食というと、店に入って料理を食べるだけ食べて、お金を払わないで逃げる、というイメージなんだが。
 三銃士がやっていることは「無銭」であっても「飲食」ではない。だって彼らは、店内ではなにも飲み食いしていない。店内にある食べ物を盗むことが目的だから、「無銭飲食」ではなくただの「泥棒」なんだよな。
 演出家の頭の悪さがこんなところでも表れていて辟易しますが、それまあ置いておいて。

 普段着マントを店主に預けて席へ案内された三銃士……つっても席に着くのはポルトス@ヲヅキ、アラミス@きんぐのみ。アトスは坐らず奥へ……そして、何故か床に転がっている大きな白い布袋、を拾う。
 ポルトスとアラミスがケンカをはじめ、店が騒然となっている間に、いろんな食べ物を袋の中へ。
 えーと。
 ことの是非は置くとして、アトス様大活躍です。
 立ち回り以外で、こんなに大忙しにわーわー走り回っているまっつって……。
 舞台の上には大人数、まっつがいなけりゃ見ていたい子たちがいっぱいいるんだが、困ったもんだ、アトス様追いかけてると他を見ている余裕がない。
 てゆーか黒子がいるんですが、舞台上。

 黒子は、三銃士専属です。
 情けないことに。
 コロスとかイメージ上の存在じゃないんですよ、正味黒子が舞台上でお笑い場面を支えてます。
 そして彼らが登場するのは三銃士の活躍……つまり、お笑い場面。

 で、アトス様は黒子が回す棒の上の瓶を追いかけたり、飛んでくる品物を袋で受け止めたり。

 さらに彼は、クサい芝居の口火を切るという大役がある。

 大暴れしていたポルトスとアラミスが、ついに剣を抜いた。まあ大変! ってときに、アトスも剣を抜き、ふたりの合わせた剣を真ん中からかしゃんと振り払う。
 ここだけ見るとかっこいいっす。
 ええ、かっこいいことが前提、必要。
 争うふたりの間に割って入り、「みんな兄弟」と演説をぶつ。その説得に必要だから、「カッコイイ」が。
 まだやるのかと演出にあきれる、『H2$』「ブラザーフッド」のパロディ場面。ここも著作権対策なのか、微妙に違うメロディ、でも「あの曲」だとわかる仕様。
 キレイゴトを嘘くさく語る、アトス様の美声が響き渡る。

 胡散臭い芝居をさせると、ピカイチのハマり方。

 まっつってほんとうまいなあ……しみじみ。

 偽善的に盛り上がる人々の中、アトスはひとり群れから離れ、下手のテーブルへ移動、持っていた小袋に、テーブルの上にある入れ物……袋から白い粉を詰め替える。粉、にしか見えないが、テーブルに置いてある調味料だから塩のつもりかなあ? それとも小麦粉とかをテーブルに置く習慣が当時はあったのか?
 初日はアトス様、盛大にこぼしてた。そのへん粉まみれ、こぼれた粉が白く舞い上がるから、それが「粉」だってことがよくわかった。
 わざとかと思った。ナニをしているのかが、多分遠目からもよくわかる、あんだけ粉を舞い上がらせていたら。
 でも、翌日から手元がもっと慎重になり(笑)、こぼさずに移し替えるようになった……ので、初日は失敗したんだとわかった。初日は緊張してたのかなあ……そう思うとかわいいなー。

 騒ぎが収まったところへラウル@翔くんとルイーズ@みみちゃん登場。
 兄弟の場面はここだけなのに、ふたりは挨拶しかしない。ラウルがルイーズを紹介する、ただそれだけ。
 ラウルが「兄のアトスだ」と言うところで、「親代わりに育ててもらったんだ」とひとこと付け加えるだけでも違うし、それに対しアトスがひとこと返すだけでも、その後の展開に活きるだろうに、んなこたぁ一切ナシ。
 アトスもポルトスとアラミスと同じ温度感でしか描かれていない。
 中の人が懸命に心のつながりを表現しようとはしているが、なにしろそれをしている時間がない。アトスは「場所を変えて飲み直そう」と次の台詞とアクションが決まっているし、店の親爺@にわにわへ前述の小袋を渡して、次の瞬間にはロシュフォール@せしるが銃士隊を連れて登場して。

 粉を詰め替えていた小袋、あれってお金のつもりだったのね。
 「釣りはいらないぜ」的に店主へ渡していたのを、ロシュフォールにただの粉だと暴露される。
 で、「無銭飲食の現行犯」として剣を向けられる。

 やだなーと思うのは、ここで三銃士が剣を抜くこと。
 そもそも三銃士が無銭飲食ってだけでもアレなんだが、その上、罪を指摘されて苦し紛れに剣を抜く……って、ナニゴト?
 悪いのは100%三銃士なのに、この上暴力を振るって人を傷つけるの? 人殺しまでしちゃう? 剣ってのは凶器、人を殺せる武器だよね? それを抜くって……。

 ロシュフォールは悪人っぽく描かれているけれど、この場では正義。三銃士が悪。
 悪いことをした三銃士を咎めているだけなのに、まるで正しいのは三銃士のような描き方。

 という常識的なことは考えず、ここでは「多勢に剣を向けられ、臆せず剣を抜いて構える三銃士かっこいー」とだけ思って見る。それがこだまっち作品を鑑賞する上での正しい見方。

 ここでダルタニアン@ちぎ登場。
 すっかり変わってしまったかつての友を見つめるアトス様。

 ここはわたしの気分の問題なのか記憶違いなのか、いろいろと印象が変わる。

 アトス様は、概ね困惑した様子でダルタニアンを見つめているんだが。

 初日はそれまでのコメディパートを引きずっているような、少し大仰な表情をしていたと思う。眉が八の字になるような感じで。
 でもなんかだんだん、シリアスになっているような。

 切なそうだったり、苦しそうだったり。
 苦しいのではなく、苦い顔だったり。
 思いっきり考え込んでいる様子だったり。

 身内だけになってダルタニアンを語るときも、考え込んだ様子のまま「俺はそうは思わない」と言ってみたり、すでに結論があるような、それゆえ苦い様子で言ってみたり。

 どんどんシリアスになっていくのがうれしい。
 や、ここだけに限らず、「アトス」というキャラクタ自体がかなり深刻キャラにシフトしてきてる。がんばって中の人、演出家のアホなおちゃらけに負けるな!
 初日に見たときは、アトス様も潔くギャグキャラで、どーしよーかと思ったよ……(笑)。

 あと、ロシュフォールを見送るときの「わざとらしい貴族的な礼」が好きだ。
 慇懃無礼がハマるよなあ、まっつ……。


 続く~~。
 アトス様@まっつがカッコイイという話をする!

 初日感想で走り書きしたけど、それじゃ足りない。ぜんぜん足りない。
 他はさておき、まっつを語る。

 いろいろ問題ありまくりーのの『仮面の男』。それはさておき、アトスはステキ! という話をする!

 まず、オープニング。
 フィリップ@キムがせり上がりで登場、その後ろの仮面の巨大セットがぐるりと回り、そのセットの中の2階部分にいたダルタニアン@ちぎ、ルイーズ@みみちゃんがセリ下がり、フィリップに合流。
 そうこうしているうちに、もうひとつの中央セリが上がってくる。
 三銃士は、この中にいる。
 中央に三銃士、その周囲に闇の騎士と名付けられたまがまがしい男たち@雪組イケメンズ。

 アトス@まっつは、ドセンター位置です。
 せり上がりから見逃すな、「三銃士リーダー・アトス」として静止したまませり上がってくるこの瞬間が、テラ美しいです。
 上手がポルトス@ヲヅキ、下手がアラミス@きんぐだったかな。ふたりはマントを広げているのでやたらでかいです(笑)。その中央で、小柄で華奢なアトスさんが、脇を締めて立っているので、さらに小さく地味です(笑)。でも、美しいです。

 三銃士の衣装が、すげーカッコイイ。
 中の服はぶっちゃけ一張羅? 劇中劇に出ているとき以外はずーーっと同じ服の気がしますが……しかしその上に銃士隊マント(三銃士仕様)を着ると、めちゃくちゃカッコイイ……じーん……。
 こだまっちはビジュアルははずさないよね、それ以外のいろんなモノはずしまくるけど。

 オープニングはドシリアス。
 これからはじまるミステリアスで耽美な物語に期待がわき上がる。
 険しい表情で踊るアトス様の美しさ。

 まっつの「強い」ダンスと動きを堪能。
 騎士として踊っているのでかなり力強い。だけど彼はなめらかかつ節々でぴちっと動きや角度を決めるのでなんつーんだ、折り目のついた気持ちよさがある。

 これだけ格好いいオープニングなのにねええ。
 次の場面が水戸黄門だもんよ……こだまっちめ……。

 まあともかく、そっからしばらくはアトス様は出番がない。
 モリエール一座の「早わかり世界史」(長い)とルイ@キム2役の悪趣味場面とゴシップ(めちゃくちゃ長い)のあと。
 十分客席があたたまる……どころか、かなり冷え冷えと引かれまくったあとに、よーやく登場する三銃士。
 しかもポルトス@ヲヅキの「腹減った~~」から。
 えーと、彼らが登場する前、暗転中の舞台に響き渡る音は、腹の虫ですか……?

 上手花道に登場するポルトスとアラミス@きんぐ。ふたりとも文無し。アラミスはアトスからもらったという黄色い表紙の本……身も蓋もなく英語で『H2$』と書かれた本をポルトスに見せる。
 本のタイトルは「努力しないで無銭飲食する方法」。
 腹を減らせた彼らのもとに、まさかの「本の声」が響く。

 まず、声から。
 声音も口調も、『H2$』の「本の声」そのまま。

 それがくだらないパロディであることや、本公演でもなくDVD発売もされていない大阪だけで短い期間上演した作品を観た人・元ネタとして話が通じる人が他のどの作品より少ない、著作権が他よりきびしい作品であることなど、すべてにおいて「つまらんことをするな、こだまっち!」と観客が憤慨する場面なんだが、それは置いておいて。

 まっつの魅力のひとつ、「声」が全開になるところからスタートする。

 明快で響きの良い、胡散臭さを潜ませながら、それでいてクレバーな声。
 『H2$』はまっつの「本の声」を聴くだけでも価値があった、と思うくらい、まっつの声スキーにはたまらない配役だった。
 まさかその声を、ふたたび聴けるなんて。

 そして、『H2$』の「本の声」はあくまでもナレーション、実体はなかった。
 しかしここではチガウ。
 ナレーションではなく、アトスが読み上げている、という設定だからだ。

 声が聞こえたら下手セリを注目。
 「努力しないで無銭飲食する方法」を語りながら、アトスがせり上がってくる!!(笑)

 ナニこの無駄な演出。
 無意味に大仰。もちろんソレでこだまっちは観客を笑わせようとしているわけだが。
 笑えるかどうかは置いておいて、まっつが大仰に登場するのはうれしい。ヒョンゴ村長@『太王四神記』で「初セリおめでとう!」とか言ってたのにね。もうセリはふつーに体験できるところまで来たんだね。

 オープニングの三銃士衣装からマントを取っただけの平服姿。凝った織り生地のジャケットにロングブーツ。腰にはサーベル。
 金茶髪のロン毛。相変わらずプログラム写真とは別人(笑)。
 ストレートではなく、微妙ななみなみ。正面は潔く全額出し、シケあり。

 「本の声」のまま登場なのでやたらもったいぶってて胡散臭い。
 一旦本舞台の方へ行きかけるけど、すぐに銀橋でポルトス、アラミスと合流。

 銀橋の3人が、かわいい。

 3人で銀橋に腰掛けて、額を寄せ合って本を読む。
 ポルトスと本の取り合いをするとことか、アトス様すげーかわいいっ。今のマジぢゃね?ってくらい「おいっ」て声を出すし。

 銀橋でキラキラいたずらっぽい男3人組って、『ロミジュリ』のモンタギュートリオと同じだよね。可愛かったよね、モンタギュートリオ。少年っぽくてちっちゃくってきれいで。
 三銃士もそうなの、かわいいの。可愛いのよ。
 ただ。
 でかいし、おっさんだけど。

 そう、彼らはおっさん。
 この世界ではキャラクタ全員が年齢不詳なので、原作的にいくつであろうとみんな適齢期の若々しい演技をしてヨシなんだけど、三銃士のみなさんはとりあえず、小僧っこではない。少年ではない。
 あくまで大人、という演技をしている。
 かなり大人、という演技をしている。
 話し方や声、ヲヅキさんはあんましナニやってても変化ないよーな気もするが、きんぐなんて真面目に大人っぽくしている。
 で、アトスさんは任せて安心、いつものまっつ的年齢……すなわち、おっさんだ(笑)。ベンヴォーリオは若者だったのにねええ。今回は問題なくおっさ……ええっと、大人だねええ。

 分別のあるだろう大人の芝居をしながらも、少年のように3人仲良く銀橋にちょこんと坐り、本をのぞき込む可愛さ。アトスさんは小さいけど、アラミスもナニ気に大きいし、ポルトスさんは縦にも横にも明らかに大きい。少年にはまーーったく見えない。でも、少年のように。
 ああもお、どーしてくれよう。こいつら可愛いっ。

 3人は『H2$』の替え歌……著作権対策なのか、微妙にメロディがチガウのもキモチワルイ……っていうか歌う方もかえって混乱して難しかったんじゃあ?な歌を歌いつつ、ターゲットの店を決めた。


 つづく~~。
 思うんだ。
 三銃士たちって、なんでああも色気がないんだろう。

 『仮面の男』の話です。
 こんな作品が上演されていることに物申す!気持ちは大いにあるっちゅーかソレは絶対変わらないが。
 やばい、もう慣れてきた。
 ほんとにわたし、植爺の方がはるかにダメ、こだまっちはまだ耐えられる。てゆーか、それなりに楽しくなってきた。やばいねー、やばい(笑)。

 それはともかく三銃士。
 3人組です。もちろん美形揃いです。

 なのに何故ああまで色気がない?
 同じ3人組でも、モンタギュートリオ@『ロミオとジュリエット』はそっち方面も萌えられたじゃないか。
 あんときも、3人組(モンタギュー)+ひとり(キャピュレット)でカップリングし放題ってくらい、それぞれ素晴らしいキャラ立ちっぷりだったじゃないですか。
 今回も同じでしょ、三銃士+ダルタニアン@ちぎで。しかも、顔ぶれはほぼ同じ。キムの代わりがきんぐだっつーだけで。
 役者に不足はない。
 なのに、これは……。

 モンタギュートリオは秀逸だったんだなあ……元気できれいでかわいい(笑)だけじゃなく、みょーな色気に満ちていたよなあ。

 三銃士はお笑いパートを担っているせい、ってのもある。
 にしても、アトス@まっつとかシリアス場面もあるんだし、アラミス@きんぐは無駄に麗しいんだし、なんつーかこう、もっとなんかさぁ……。
 ポルトス@ヲヅキか。やはり、こいつの問題なのか……(笑)。

 せっかく3人組なんだから、せっかくタカラヅカなんだから、ぜひ萌えが欲しいです。こだまっちがナニをしてくれようと、がんばって中の人!
 アトスさん、いっそベン様@『ロミジュリ』のときみたいに、日替わり演技してくれないかなー。
 めーっちゃクールで見ていてびびるよーな日とか、いたずら小僧な日とか。
 んで、アラミスでもポルトスでも、ラウル@翔くんでもいいよ、とにかくやたら絡む日、スキンシップ高い日、反対に距離を置いている日……とかやってくれたら、どんだけ愉快か。
 アトスさんの中の人は融通が利かない気がするので、アラミスさん頼みます、お嘆美担当して! 萌え担当して! きんぐ、そっち系好きだよね?(えっ?) 仕掛けてくれていいから!
 ……オチ担当のポルトスさんには多大なモノは求めません(笑)。彼はもう少し、ダルタニアンとの絡みをがんばってほしい……せっかくのキタちぎ……。

 まあ、無理にどうこうってもんでもないんだが。
 「三銃士」が気のいいアホ男たち、に終始しているのはもったいないなと。
 演じている人たちはそれぞれ別の色気を出せる人たちなのに、それが皆無っちゅーのがもったいないなと。


 実は今回、いちばんのセクスィキャラ……というか、やんらしぃのはサンマール@コマだと思う。

 看守長サンマールは、ものすごーく大変な役だ。
 こだまっちのひどい演出の最悪の部分、もっともキモチワルイ部分を任されている。
 ふつーならすごい見せ場なのにねえ……めちゃ長い場面、センターで歌い踊るわけだから。
 初日はどん引きして気持ちを立て直すのに苦労した。

 が、もう慣れた(笑)。
 そこはソレとして、コマの色気と毒を楽しんでいる。

 サンマールとフィリップの関係って、エロいよね?
 サンマールにとってフィリップは大切なお人形さんなのよー。
 またフィリップはああいう性格じゃん? 虐げられても黙って耐えたり、素直に怯えて見せたり……真正サディストからすりゃ、絶好の獲物だと思う!
 いったん逃げ出したフィリップを捕らえたあと、ダルタニアンが乱入して来なけりゃ、サンマールはフィリップを一生手元で可愛がったんだなあ、と。
 ……同じ顔のルイを手に入れたあとも、楽しそうだったけど(笑)。
 傲慢で気の強いルイを飼い慣らすのも楽しそうだなー。
 でもやっぱ、サンマールにはフィリップ一途(笑)を貫いて欲しいわ。フィリップの秘密を知るモノとして、これからも彼に絡むことができるしな。


 コマさんのエロさは大好物です。
 それは自覚していたけど……。
 今回ちょっと目覚めちゃったかなと思うのは、キムの被虐キャラ!!(笑)
 白い役、ではなく、被虐キャラ、つまり、いじめられっこ(笑)。

 わたしにとってキムくんは王者キャラ、強くて黒い人です。
 かわいいだけの役とかにこにこ笑顔なだけの役とか、少年役だとか、そんなのはキムの魅力を発揮できる役だと思ってない。外見からくるイメージでしかないじゃん、と。
 彼の持ち味は骨太で男臭くて野蛮で、ダークであると。

 そーゆーキムくんを好きだし、かわいいだけの役をやってなおそこに骨太さや強さを感じていたわけだから。
 まさか、白い役の中でも更によわよわなフィリップが、こんなにそそるとは、意外だー(笑)。

 今回2役だっつーんで、メリハリつけるためにルイもフィリップもより特徴を顕著に演じている。
 それでフィリップはシマリスくん的なおどおど感が出て、なおステキになっているんだろう。

 てゆーかフィリップかわいー。
 鉄仮面で牢獄で、ってそんな生い立ちでなお歪まずまっすぐ可憐(笑)に育っているなんて、コンスタンス@あゆっちは素晴らしいおかーさんだったんだなあ。

 可憐なキムか……未だかつて想像したこともなかった。
 そこにドSなコマが絡み、まっつヲヅキきんぐが絡む、と。ふむふむ。(役名で言いましょう)


 キャラクタはあちこち楽しいですよほんと。
 なにしろみんな、無駄に美しいので(笑)。

 色気をコマひとりに任さずに、三銃士のみなさんもどうか色気を……!
 観客に夢と希望を(笑)。
 ねえねえ、勤め先の近くにレストランがいくつかあるんだけど。

 そのうちの1軒「植爺の店」はねえ、この道50年とかの超ベテラン……というと響きはいいけど、たんなる時代錯誤のおじいちゃんがやっている店で。
 大昔、まだあんまりグルメとか言われてなかった頃に表彰されたことがあるとか。他に選択肢なかった時代の「おいしい」「すばらしい」がどんなもんかわかんないけど、とにかく名前だけはある店。
 この店の料理が、まずいのなんのって! 昔評価された名物料理をアレンジして作った新作のドングリ料理なんて、「呪いのドングリ」と呼ばれるくらい、殺人的まずさなの!
 よそにまずい店や料理があると、「それは『呪いのドングリ』よりまずいの?」と比較対照としてあげられるくらい、徹底的にまずいの。
 でも、なにしろ名前だけは通っているから、未だにつぶれずにあるし、味もわからず名前だけで来店する人もいるみたい。

 で、これまたよく「まずい」で引き合いに出される「こだまっちの店」ってのがあって。
 よその店のレシピをそのまま「当店のオリジナルです」と出したり、もともと問題の多い店ではあったんだけど、ここのオーナーシェフがしばらく海外留学してたらしくて。
 帰ってきて自信満々に新作メニューを発表したからこの間、食べに行ったわけよ。
 これがもお、すごかった。
 ナニが出てきたと思う?

 たわしコロッケ!!

 なんの冗談かと思うでしょ? たわしがお皿の上に載ってるの。キャベツの千切りなんか添えられて。
 たしかに、たわしとコロッケって一見似ているというか、遠目にはよくわかんないっていうか、お皿に入れて出てこられたらぎょっとしたりおかしかったりはするでしょ?
 それでシェフは鼻高々なの。「すごいアイディアでしょ? 誰も考えないでしょ?」って。メニュー表にそういう意味のシェフの言葉が添えられているの。「コロッケ=たわしの茶色い楕円形を、さびた鉄仮面に見立ててみました。この料理は『仮面の男』と題します!」とか。ご丁寧にもコロッケに、ソースで目鼻口が描いてあるし。
 や、わたしは感心したりウケたりする前に、あまりの悪趣味さに絶句したんだけどね。
 んで、メニュー表のシェフの言葉には、たわしコロッケに添えられたソースがどれだけ工夫してあるか手間を掛けて煮込んであるかとか書いてあるだけど、ちょっと待ってよ、たわしは、食べられないから!!
 おいしいソースを掛けたって、そもそも食べ物じゃないから!! レストランで出していいものじゃないから!
 シェフにそう伝えたかったんだけど、アンケートとか書くところがないのね、その店。
 っていうか、「たわしは食べ物じゃありません。レストランのメニューで出してはいけません」って、なんで客が言わなきゃなんないの? そんなの、料理のデキとか味とか以前の問題でしょう?
 わけわかんない。

 ひとから「こだまっちの店、どうだった?」と聞かれて、わたしはとりあえず「すごいよー、ひどいよー」と返す。
 「そんなにひどいの? 『呪いのドングリ』とどっちがひどい?」とか、その人が今まで食べた「ひどい」「まずい」と思うもの(個人差アリ)を例に出して「どっちがひどい?」とか、「**(過去にヒドイと思ったもの)よりひどいものがあるとは思えないわ」とか言うんだけど。

 そういう問題じゃないから。

 「呪いのドングリ」にしたって、他のまずい料理だって、とりあえず「料理」であって「食べられるもの」でしょう?
 当然だよね、レストランの話だもの。レストランでは料理しか、食べられるものしか出ない。

 こだまっちの「たわしコロッケ」は、そーゆー次元じゃない。
 レストランなのに、食べ物以外をお皿に入れて出して、「斬新な料理です!」と悦に入ってる。
 そりゃ、食べ物以外を出せば斬新に決まってるじゃん。お皿の上にテレビリモコンでも扇風機でも載せて出せば、ものすっごい斬新な料理ですよ、みんなぎょっとしますよ、でもソレ食べられないし、食べ物じゃないし。

 ここがレストランだってことすら、わかんないシェフってナニ?
 食べ物以外を料理だと言い張るシェフってナニ?

 混同されるとヤなの。
 「呪いのドングリ」他、まずい料理と、こだまっちの料理の「味」を比べて欲しくない。
 味の問題じゃない、掛かっているソースが実はけっこう凝っていておいしいとか、「呪いのドングリ」の殺人的まずさに比べたらぜんぜんマシじゃんとか、そーゆー比較じゃない。

 どんなにまずくても「料理」と「たわし」は同じ土俵で「味」を比べるものではない、ということ。

 そもそもたわしを客に出すレストランなんて、存在してはならないんだってこと。

 こだまっちの店のスタッフは、すごくいい人たちなの。
 「たわしだって時間を掛けて煮込んだら、食べられるようになるかも!」とか徹夜で煮込んでみたり、誠心誠意笑顔で丁寧な接客をしたり、見ていて泣けてくるくらい、必死にこだまっちシェフのフォローをしているの。
 でも、誰だって無理だよ。だって、たわしなんだもん。


「じゃあ、こあらったちゃんは、たわしコロッケにショックを受けて、怒って、もう二度とその店には行ってないの?」

 ……ううん、そーでもない。
 とりあえず、イケメン花形スイーツ係さんとか、ウェイトレスのかわいこちゃんとか、彼らの接客目当てに行ってる。たわしは食べられないけど、ソースはまだおいしいし。添え物のキャベツだけ、ソレで食べてる。
 あまり出番ナイんだけど、渋いホール係氏の顔を拝みに通うってゆーか。
 バカでしょ? ええ、ええ、わかってますとも。
 恋するヲトメはバカなのよー。
 悪いのはシェフだけで、スタッフは悪くないんだもん。むしろ、実力と誠意のあるプロが揃ってるんだもん。彼らには会いたいんだもん。

 でもさー。
 たわしコロッケだと最初から「コレ料理チガウし。食べ物じゃないし」って割り切れるのね。
 死ぬほどまずい「呪いのドングリ」よりまだ、カラダには安全。アレは食べると気分悪くなる。たわしは最初から食べないで済む(笑)。
 だからわたしは、「呪いのドングリ」が看板メニューだったときは、「植爺の店」には近寄ってない。そのころ、わたしの愛しのホール係氏は植爺の店で働いてたんだけど。夜になると「ダイスケの店」に看板が変わるから、そのころにだけ立ち寄っていた。
 「呪いのドングリ」は近寄ることも出来なかったけど、「たわしコロッケ」は注文し続けることが出来る。わたしにとっては、「呪いのドングリ」の方が正視に耐えない。
 だけどそれは、あくまでもわたしの好みの問題。

 混同はしないで欲しい。
 個人の好みによって、「まずい」も「それほどでもない」もいろいろある。ある人にとって耐えられないほどまずくても、ある人には美味かもしれない。
 しかしコレは、そーゆー次元の話じゃないんだ。

 「まずい料理」と「そもそも料理ではない」とは、まったく別。


 たわしを料理だと言って出すレストランは、間違ってる。
 これだけは、確か。

 そして。

 みんなもどうか、その目で確かめて欲しい。
 「まずい料理」と「料理ではないもの」を。
 混同せずに、シェフの間違いを指摘して欲しい。

 二度とこんな過ちが、繰り返されないために。


 児玉明子作『仮面の男』っていうのは、そういう作品だ。
カリスマに酔う午後。@関西フィルハーモニー管弦楽団UMEDA演奏会 with 春野寿美礼
 『インフィニティ』の出演者が発表になった頃、わたしは梅田でお茶しているところでした。

 他のモノを注文するつもりだったのに、「メープル・ナッツ」という名前に負けて選んでしまったケーキなんぞを食しつつ。
 いやその、「メープル・ナッツ? メープルまっつに聞こえた」とnanaタンが言うもんだからさー。
 メープル・まっつ? ナニそれ、おいしくなさそう!!(笑)

 頼むしかないじゃん、そんなの!!(笑)

 ソースのデコレーションが「M」に見えたり、勝手にまっつまっつと盛り上がってました。
 メープルシロップのかかったまつださん……。ふふ…ふ……。


 『H2$』以来の梅芸です、平日昼間です。

 『関西フィルハーモニー管弦楽団UMEDA演奏会 with 春野寿美礼』に行ってきました。

 えー、この関西フィルの梅芸演奏会は「ウイークデイのデイタイムに、気軽に梅田の街で、クラシック音楽を」というコンセプトで開催、これで9回目だそうですよ。
 縁のない世界なのでさっぱりわかっておりませぬ。

 わたしはただひたすら、オサ様に会いたくて行ってきました。
 つっても彼女はゲスト歌手なので後半にしか出ません。

 第一部は有名ミュージカルの曲をオーケストラで。
 聞き覚えのある曲がほとんどなので、わたしみたいな無教養な者でも楽しめました。

 んで第二部、途中からよーやく寿美礼サマ登場。同じくゲストの音楽プロデューサー・五木田さんと一緒に。

 わたしは予算の関係で1階後方席だったんだけど。
 いやあ、壮観だった!

 オサ様が登場するなり、見渡す限りのオペラグラスが一斉に上がるの!!

 まるで合図でもあったみいに、これが振付であるかのように。
 白い腕が縦に並んでるの! 客席全部。
 夏場だからよくわかるのね、オペラを構えるために腕が上がっている様が。
 それが、全員同じタイミングでざーっと動いたもんだから、壮観。震えたわ、その揃いっぷりに。

 みんな、オサ様観に来たんや。
 開演前も幕間も、みんなオサ様の話ばっかしてたもんなあ(笑)。
 コレを期待してオサ様をゲストに呼んだんだ、と指揮者の人も話していたので、オサ様は正しく集客したんだなあ。

 他人のオペラグラスの動きに感動していたわたしは、実はオペラ持ってませんでした。つか、忘れてきた(笑)。歌を聴く気満々で、視覚のことは考えてなかったよごめんよオサ様。
 深紅のロングドレスのオサ様は小顔でスタイル抜群、笑顔のふにゃりとしたかわいらしさも相まって、とてもステキでした。
 オサ様は7月7日のチャリティトークショー以来っす。

 所詮ゲストでしかないので、歌う曲数は少ない。
 プログラムにある5曲と、あとはアンコールの1曲で、合計6曲。

 五木田さんとはおなじみだけど、関西フィルとの仕事ははじめて、というオサ様。
 司会も務める関西フィル首席指揮者だという藤岡氏の話を聞きながら、実はすごくわくわくした。
 この指揮者さん、オサ様のことぜんぜん知らない!!(笑)
 書面のプロフィールを読んで、あとは打ち合わせのときに初顔合わせ、オサ様の歌のことは今回のリハーサル程度でしか知りません、って感じがした。
 ふつーに一定レベルの歌を歌う歌手、程度の認識? タカラヅカのトップ? あー、はいはい、みたいな?

 この「仕事ですから」てな指揮者さんとオケの人たち、あくまでも「ゲスト」でしかない寿美礼サマ。
 これはどちらに転ぶだろう。
 寿美礼サマがこのよそよそしい空気に飲まれて……もとい、空気を読んでおとなしく自分の仕事だけして終了するか。
 それとも、「春野寿美礼」を出すか。
 どっちだろう?

 歌がはじまった、最初の方はもちろん「ふつー」だった。
 ゲストらしく、オケを損なわないエンジン控えめな歌。
 ミュージカル曲や五木田せんせのオリジナル曲。

 んで『エリザベート』の「私だけに」なんかも歌っちゃう。
 
 ここまでは、あくまでも「歌」。ふつーに、「歌」。
 オサ様は歌手として歌い、そこにそのミュージカルの一場面を再現する気はない。その役になるつもりもない。
 ゲストだから、アウェイだからってのもあるかもしれないが、歌唱力だけが前面に出て、オサ様の個性はあまり見えない。

 問題は、最後の1曲。
 いつでもどこでもリクエストがすごいのだという、「最後のダンス」。
 この曲1曲のためにお着替えアリ。
 ドレス姿からパンツスーツへ。

 そして。
 春野寿美礼が、暴走する(笑)。

 ウケた。
 もー、客席で膝叩いて喜んだ。
 オサ様だ。わたしのミューズ、わたしの神、ハルノスミレは健在だー!!(笑)

 あれほどおっとりと微笑んで「男役スター? なんのこと?」ってくらいふにゃふにゃして、指揮者さんに「そんな風に見えない」と言われていたのに。

 男役として舞台に立ち、歌い出したら。
 どんどんエンジン掛かってきて、ついにはスイッチ入った。
 春野寿美礼スイッチ。
 制御装置解除。

 オーケストラ、置き去り。

 キターッ、オサ様キターッ!!
 フルオーケストラの演奏無視してフリーダム!
 オケ、ついて行けてない、立ち直れてない。

 指揮者がぎょっとしてオサ様を振り返る(笑)。
 オサ様は後ろ見てない、前だけ、自分の世界だけ見てる、浸ってる。

 これが春野寿美礼だ、オサ様のトート、オサ様の「最後のダンス」だ!


 あー。
 たのしかった……。
 もー、めちゃくちゃ楽しかった。
 わたしの席からは見えなかったけど、上手側にいたnanaタンからは、コンマスの表情が変わったのがよく見えたそうだ(笑)。
 そりゃびびるわ、あんなふーに暴走されたら。
 リハでは優等生な歌い方してたんだろーなー。まさか本番であんなことになるとは、関西フィルの方々は誰も知らなかったんだー。

 そして、オサ様のフリーダムっぶりについて行っていた、宝塚オーケストラの人たちはナニ気にすごいのか……。佐々田愛ちゃんとか、あのナニが起こるかわからなかったオサ様相手に指揮してたんだよなあ。塩田せんせもすごいよなあ。
 いや、関西フィルの人たちだって、知識があればついていけるんだろう、プロなんだから。でも指揮者の人からして、寿美礼サマのことなんにも知らなかったみたいだし。客寄せパンダとしての敬意を払ってくれていたけど、オサ様個人に興味がない、今回だけのおつきあいですってのが見え過ぎてたもんな。

 オサ様は自分の暴走に気付いているのかいないのか「オケがすごくって(はぁと)」なんてにこにこ笑って話してた(笑)。……天然?

 いやはや、春野寿美礼健在っぷりを見せつけられ、すごく満足!かつ幸せでした。
 やっぱオサ様好きだー。
 オサ様が自由に大暴れできるコンサートが観たいなああ。
 ずんちゃんが2007年にやったよーなやつが観たい~~。アレは「大阪センチュリー交響楽団の演奏で、10人の作曲家によってアレンジされた有名歌謡曲20曲を、ずんちゃんが歌う」というコンサートでした。
 元歌の原型留めないような愉快なアレンジが施された曲の数々を、美しい演奏でバックアップされつつ、歌手が自由に音で遊ぶ、という。

 自由に「春野寿美礼」であるオサ様を観たい。
 あのひとは、それだけでひとつのアートなの。
 8月27日に解説ページUPしていた、『インフィニティ』の、更新第2弾来ました。
 出演者決定。
『インフィニティ』-限りなき世界-
公演期間:2012年1月5日(木)~1月16日(月)
※出演予定※
未涼亜希 舞咲りん 沙央くらま 沙月愛奈 蓮城まこと 朝風れい 千風カレン 愛加あゆ
雛月乙葉 白渚すず 彩凪翔 真那春人 笙乃茅桜 舞園るり 亜聖樹 久城あす 煌羽レオ
寿春花果 愛すみれ 天月翼 橘幸 夢華あみ

 なんか、予想していたより、ぜんぜん豪華な顔ぶれだ。
 巴里祭の前例があったので、ほんとに劇団的な意味でのスタークラス皆無で地味に上演、になるかもしんないと覚悟していた。

 きっちり歌手系集めてきましたー、ダンサーも揃えましたー、ビジュアル枠も押さえてますー、てな面子だ。
 ふつうにバウ公演っぽい! すげえ! じーん。

 ショーだからヒロインは固定されないのかもしれないけど、番手的にヒロインとしてだろうなと思えるあゆっちがいてくれるのも、心強い。いやその、幕が上がる前の想像のとっかかりになるっていうか。
 タカラヅカである以上、ピラミッドはきれいな方がイイ。主役と2番手、3番手、ヒロイン、と決まっている方が安心できる。
 この出演者ならばふつーに考えれば、2番手コマ、3番手きんぐ、ヒロインあゆっちだよなー。

 あゆっち、歌がんばれー(笑)。芝居歌はイケるから、ショーの中のストーリーパートはOKだよねえ。なにより美少女! 美少女! まっつに美少女!(笑)
 タカラヅカの娘役、ヒロインというのは特別な力を必要とする。ちゃんとヒロイン・スキルを持ったあゆっちが出演なのはうれしい。

 でもってコマが2番手かぁ。ああ、まっつと男同士でエロ絡みとかしてくんねーかなー(笑)。コマくんの毒と色気が好きだー。まっつとは明らかにカラーのチガウ、濃さと濁りを持つ彼。黙って立っているだけでエロい(というか、いやらしい・笑)のはコマの武器!

 コマはバウ主演経験もあるスターだから今さらだけど、個人的にきんぐ3番手、つーのがにやにやしてしまう……ああ、きんぐがついに3番手……にやにや。
 きんぐはバウ4番手とかは今までやってきていると思うけど、3番手と4番手の間にはけっこー深刻な線引きがあるので、線のこっち側になるとオイシサが段違いになるのよね、そんなきんぐをよーやく見られるのねと。

 あと、個人的にお気に♪の朝風くんとあすくんとレオくんがいることもうれしい。まなはるもうれしいなー(笑)。←何故笑う。

 でもって、裏ヒロインは、ヒメだよね?(真顔)

 舞咲りん来ました、歌と声を謳い文句にしたステージに!
 『H2$』千秋楽、ブルドーザーのように唸りを上げてフィンチ@キムに突撃していったヒメが脳裏に浮かんでます。ああ、イメージの中でまっつが吹っ飛ばされてるわ……そりゃあもお、ちゅどーん!と。
 歌対決してください、思い存分! まっつVSヒメ! 負けそうでこわいけど、いやいや、負けないでまっつ!!(笑)

 夢華さんも経験値からして大きな扱いにはなるんだろうな、とりあえず歌ウマなのは事実だし。
 ただ、まっつより縦にも横にもはるかに大きいので、並びはアレだなあ。彼女はまっつのタメにペタンコ靴を履いてくれるのでしょうか。あと、若い彼女が隣に立つと、まっつの老けっぷりがよくわかるんじゃないかという危惧が……ゲフンゲフン。←まっつは若造ぢゃないとこが魅力なのよー!とか、言い訳してみる(笑)。

 まっつが座長で主演なのは想定内……とゆーか雪組上級生いないから(笑)。
 バウ主演すらしたことないのにいきなり巴里祭で座長で主演をした人だから、バウ初主演でも座長からやっちゃうんだろうなと。
 責任重大、つか、初日の緊張感パネェだろうなあ。巴里祭も初日の空気すごかったもんなあ。楽しみだ。←


 しかし、ポスターどうなるんだろ。
 そのかみたいに、全員載りくらいの勢いかと思ったんだが、こんだけきちんとスタークラスが出演したら、ふつーに数人だけになるかな。4~5人掲載だと、さらに画面センスが問われますよ稲葉せんせ。
 掲載人数が多ければ多いほどダサくなる悪寒……(笑)。いっそ全員載りならそんな危惧もなさそうだが、4人とか5人とかを使ってスタイリッシュなポスターは難しそう。
 つか、いなばっちはスターひとりどーん!というポスターしか作ったことナイんぢゃ……そか、超絶愉快な『Hallelujah GO! GO!』があったか……。
 あ、なんか不安しかなくなった……(笑)。

 参考資料 『Hallelujah GO! GO!』ポスター
 http://kageki.hankyu.co.jp/revue/06/star_bow_hallelujah/poster.html
 『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』がつらい原因のひとつに、耳にやさしくない、というのがある……(笑)。

 トップスターのキムくんは歌ウマ、まかせて安心の人だ。彼がセンターにいる限り、耳にやさしい公演になるはず……が。

 今回はそうでもなくて。

 というのも、彼がどーんと歌い上げる系の作品ではないためなんだ。

 いつもがちゃがちゃしているショーで、キムくんが真ん中どーん!になっていない。たとえば星組みたいに、切っても切ってもれおんくん、歌ウマれおんくんがひとりで何人分働いてます!歌ってます!という作りではない。

 キム体制になってから、『ロミジュリ』『ロック・オン!』『H2$』と、キムが真ん中どーん!のショーやフィナーレしか見てこなかった。
 1本モノのフィナーレなんてもんはほんと、トップ以外ろくに出番がなくてとーぜんだしな。『ロック・オン!』は前トップ退団公演まんまだからやはりトップにしか見せ場がないよーな作りだし。

 おかげで雪のショーってのは、キムが歌いまくって耳は安全、という印象が強く残っていた。

 しかし、本公演での初のショー作品、『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』。
 キムくんとちぎくんが、ほぼ交互に出てきて歌う。ショーの歌場面をトップと2番手で二分している勢い。
 しかもがちゃがちゃうるさいショーなので、トップがひとり、腰を据えて1曲しみじみ歌い上げることもない。
 出番が半々だったら、その、耳に優しくない歌声の方が印象として勝つというか、よかったことより「うわっ」と思うことの方が強く感じてしまう人間の生理というか。
 なんかすごくたくさん、ちぎくんの歌を聴いた気がする……。

 そしてさらに、トップと2番手の次にたくさん歌うのが、ヲヅキさんだ。
 ヲヅキがもー、歌う歌う(笑)。
 狂言回しとして、幕開きから本編のシメの部分まで、大活躍だ。
 これがなかなかキツイ(笑)。

 芝居歌なら、ちぎくんもヲヅキもぜんぜんいいんだけどなあ。
 ショーとして聴くとなんでこう大変なことになるのか。

 んで、女の子たち、トップのみみちゃん、2番手のあゆっちもまた、歌がすごーく大変そう。
 みみちゃん一時期歌うまくなっていたのに、またしても元に戻っているような。

 みみちゃんは芝居だけを徹底的にお稽古するときれいな歌を歌えるのかな。
 ショーでごちゃごちゃしたままだと、歌えなくなっちゃう?

 トップから男3人、女の子ふたりのたくさん歌う5人のうち4人が歌大変!レベルだと、そりゃ耳にやさしくない公演になるわ……(笑)。

「雪組って、『ロミジュリ』やった組だよねえ」
「えーと、こんな歌唱力だっけ……?」
 と、終演後に友人とアタマを抱えた。

 芝居歌ならいいんだよみんな! 丁寧に丁寧に、心を乗せて歌っている。
 ショーはそれどころじゃないっていうか、他にやること多すぎて、歌だけに集中できないのかなー。
 芝居は「演技力」「芝居心」が歌にプラスアルファされるけど、ショーではその人個人の「歌唱力」が問われるからなあ。

 がおりとさらさが歌い上げる場面、あそこだけですよ、歌が聴けるのって。
 キムくんはあのレベルでしっかり腰を落ち着けて歌う場面がナイのな。

 歌ウマトップのショーお披露目なんだから、オサ様公演ばりに、トップがしみじみと歌を1曲聴かせてくれる場面が欲しかったっす……あまりにがちゃがちゃノイジーな作りの1本なんだから、どこかに1箇所、腰を落ち着ける場面がさぁ……。

 個人的には、キムくんに『TRAFALGAR』やらせたのを、「サイトー、ちょっとソコ坐れ!」と思ってます(笑)。ゆーひさんを思わせる衣装を着せるのは、デリカシーなさ過ぎだろうと。
 サイトーくんほんと、自分の趣味優先で、キムのことも雪組のことも考えてくれてないのかなあ。しょぼん。

 ちぎくんのいちばんの見せ場が、バド@『H2$』みたいなおちゃらけシーンというのも、なんだかなあ。
 あれほど正統派に美しい人に、滑稽に、しかも忙しく歌わせるっていうのは……。

 みみちゃんのアリスもカツラや衣装がえーらいこっちゃ!だし。お色気系に変身ってのも、みみちゃんの持ち味とはチガウし。

 なんでこう、得意分野や持ち味をスルーした作りなんだこのショー。

 そしてもちろん、まっつに歌がほとんどナイことも、物申したいです(笑)。
 まっつの番手や立ち位置のことは劇団が考えること、劇団が番手をつけたくないというのなら仕方ない。いや、ぜんぜんうれしくないし、哀しいんだけど。
 でも、そーゆーわたし個人の思いはともかくとして、1観客として、歌ウマの歌を聴かせろと、思う。
 番手のあるスターとしてではなく、別格職人でもいいよ、歌えるんだから歌わせようよ。
 適材適所、歌える人が歌う、それだけのことじゃん。
 他組を見ても、組ファン以外が「誰アレ?」っていう人でも、歌ってるじゃん。歌える人が。

 まあ、サイトーくんが、まっつが歌える人だというのを知らなかった可能性もあるがなー。
 ほら、中村Bがオサ様退団公演に、歌の場面でではなくダンスソロ場面を与えたように、オサ様が歌ウマだって知らなかったわけじゃん? あんだけの期間を務めたトップスターの得意分野と苦手分野を知らなかった座付き演出家のいる劇団だもん、まっつごときの得意分野をサイトーくんが知らなくても仕方ない。

 キムくんと、あとはコマにがんばってもらうしかないか……このショーの歌は。
 いやほんと、耳にやさしくないのがつらいです(笑)。


 ところで、ほんの一瞬だけある「ドリーム5」とやらの場面。
 特撮戦隊モノのノリでそれぞれが銀橋で名乗りを上げるわけだが、そこの台詞をしっかり知りたい人は、「プチミュージアム」へ行きましょう。
 まさにそこの台本が置いてあります。
 ええ、台詞として書いてあるんですよ、あの恥ずかしい名乗り部分が。

 サイトーくん、コレ自分で考えて書いたんや……(笑)。

 ドリーム5の台詞を読む限り、サイトーくんがこの5人のイメージを間違って受け取っているとは思えないんだがなー。
 ちゃんと愛情はありそうなんだがなー。

 全体として、なんでこんなショーになっちゃったんだか。
 『EXCITER!!』って、偉大だったんだなあ。

 と、心底思った、雪組初日。
 こだまっちの衝撃作『仮面の男』は前代未聞の作品だった。
 幕間にわたしたちはショーに懸けた。ショーが救いになるかもしれない、いや、なってくれ……と。

 サイトーくんの『ROYAL STRAIGHT FLUSH!!』は、救世主としての使命を負わされた(笑)。

 が、正直なとこ、それほどの力はなかった。ふつーのサイトーショーでしかなく、『仮面の男』を支えきるほどのクオリティはなし。むしろ、同時上演が『仮面の男』で命拾いしている面もあるんじゃないかと……ゲフンゲフン。

 『仮面の男』が口が開いたままだったので言えなかった。

 みみちゃん、本公演トップお披露目おめでとう。キムみみコンビ本拠地お披露目おめでとう。

 ……なのに。
 けっこーアレな扱いだった気がする、トップ娘役とトップコンビ。

 オープニングが終わった後の最初のストーリー仕立て場面。
 不思議の国のアリス@みみがテレビスタジオに紛れ込んで大騒ぎ……てのは、いかにもサイトーくんらしい仕様。ごちゃごちゃして長いのはアレだが、まあアリだろう。
 イイ女に変身したアリスに男たちめろめろ、もいい。
 そのあとスターのWESTERN-K@キムが登場、アリスを銀橋で口説くけれど、アリスは相手にしない。
 本舞台は西部劇の酒場。WESTERN-Kはそこで昔の恋人@あゆっちに再会、悪漢@ヲヅキと争い、彼女を救い、銀橋で愛の場面へ。

 えええ。
 トップコンビお披露目公演で、いきなり別の娘役とカップルっすか。

 最初の場面です。
 オープニングのあとの、一発目がコレ。
 トップ娘役がギャグシーンでトップスターを振り、トップになれていたかもしれないもうひとりの花形娘役スターがシリアス場面でトップスターの相手役を務める……って。
 お披露目おめでとー!なキモチで客席にいたわたしは、かなりびっくりしました。

 これが何作もトップコンビとして組んできた中の1場面ならナニも思わない……ってゆーか、たかちゃんが他の娘役と組んで1場面なんて新鮮でうれしすぎたよ『満天星大夜總会』とかな、そーゆーのはあるんだ。
 でも、お披露目公演だよ? しかも、最初の場面だよ? ふたりの結婚式を祝う気で来たら、いきなり新婦別の人……って、そりゃナイわー。

 けっこーぽかーんとしていたんだが、いやまだ序盤だ、こっから先はふつーになるんだ、と思っていた。
 が、しっかりとしたラヴなテーマはキムあゆだけで、あとは別テーマの場面でしかキムみみは組んでいなかった。
 短いショー場面とか、戦争ヨクナイ! 人類愛! とか。れ、恋愛は……?

 極めつけが、謎のインディアン衣装のデュエットダンスですよ……。
 これが何作もトップコンビとして組んできた中の1場面ならナニも思わない……まあ斬新ねで済むかもしれないけど。
 トップコンビお披露目で……。なんで……。


 ジェンヌへのアテ書きではなく、演出家が自分のしたいことを優先させた結果なのかなと思った。
 キムみみの扱いもそうだし、この作品の中核、テーマとなる部分にベトナム戦争を持ってきたこと。
 サイトーくんがあの時代大好きで、米兵さん萌えなのは知ってるけど、それってタカラヅカで描くことか? ファンタジー要素の少ない、ガチな現代史を突然舞台上で見せられ、夢の世界から一気に冷めた。
 軍服萌えもいいけど、それがどこの国のどの戦争なのか、一見わからないように描いてよ。しかも歴史が近すぎるよ、関係者がふつーに生活している時代のことを、軽々しく萌えネタにするのは危険すぎるよ。ベトコンはナチスほど記号化されてないよ?

 戦争ヨクナイ! 人類愛! はヅカの普遍的なテーマだけど、それはわざわざベトナム戦争をそのまま持ってこなくても表現できる。
 架空の国、架空の人々で。
 タカラヅカらしい、美しくきらびやかなお伽話として。

 太平洋戦争でなかっただけマシに思えってレベル? もんぺ姿のジェンヌに戦争ヨクナイ! 人類愛! って歌われなかっただけでもめっけもん? 自国なだけにシャレにならん度Maxだが、サイトーくんそっちも好きだもんなー。

 そしてここはタカラヅカ。
 歴史的な位置づけとか倫理とか問うのは野暮! というならば純粋にヅカヲタとして言わせてもらうと、ベトナム兵の笠はかっこわるいし顔が見えない。笠をかぶってないちぎくん以外のベトナム兵を演じている生徒のファンは、全員残念に思っているはず。
 あの特徴的な笠さえなければ、どんだけ「これってアレだよね?」と想像させても、「違いますよ、架空の国の架空の戦争ですよ」と誤魔化せるのに。
 誰も喜ばないことを丁寧にやって譲らないのは、演出家のエゴでしょう?
 ちぎくんにだけかぶらせていないのは、「顔が見えない、かっこわるい」と演出家も知っているから。だけど、強行する。それが彼の萌えだから。


 終始がちゃがちゃしていて、正統派の場面や、しっとりした場面がない。
 それがサイトーショーらしさだけど、それが活きるのは作品と出演者がぴったりハマったとき。
 今の雪組とキムみみに、このショーはハマっているのか……?

 退団者の階段降りとかがおりさらさの場面とか、ニクい心遣いはあるのになあ。

 あ、もちろん、まっつの扱いは残念でなりませんよ?(笑)
 でもそれはサイトーくんというより、劇団指示なんだろうなあ。まっつを3番手扱いしちゃいけない、ってゆーの。芝居が3番手だからショーで落としてバランス取ってるんだろう。
 そこは物申したいことが心からあるが、そーゆー私情は置いておいても、今回の作品はどうなのよ、と思ったわけだ。
 いや、所詮感想なんて個人の感想、私情でしかないわけだが。

 若いトップの組だから、自分の趣味先行でも罷り通ると思ったのかなあ。
 残念なことだ。
 こだまっちといい、サイトーいい。

 『EXCITER!!』は偉大だった。
 あの最悪作『外伝ベルサイユのばら-アンドレ編-』と同時上演されるに相応しい作品だった。
 ぶっちゃけそこまでの名作ではないものの、組ファンを救うだけのパワーがあった。
 全体としてテンポが悪くても、オープニングと中詰めの黒タキでただシンプルに「カッコイイ!! これぞタカラヅカ、これぞ花組!!」と喝采できる場面があった。
 人民服とかインディアンじゃあ、シンプルに「カッコイイ!!」にはならないよなー。

 フジイくんは花組の救世主だったけど、サイトーくんは力足りず。こだまっちよりはマシだけど、こだまっちの破壊力を防ぎきっていない。
 このショーのためだけに公演に通える人は、どれくらいいるだろう……。遠い目……。

 せめてもっとも大きな場面であるベトナム戦争を、衣装総取っ替えして、中世の架空戦争にしてくんないかなー。ファンタジーにしてくんないかなー。歌も振付も全部そのままでイイから。『ランスロット』が終幕するから、衣装と剣借りてきて~~。
 カウンタがイカレたのか、本日の訪問者数がこのブログ開設以来の数字になってます。
 『仮面の男』がどんだけすごいのか知りたい人が、こんなにいるのかあ。ははは。と、遠い目をしています……。

 一見の価値はあります、マジで。

 また、観てしまったら他人の感想を知りたくなるし、共有したくてブログ巡りとかしちゃうんだと思います。
 それくらい、黙っていられないレベルの作品です。

 つまらない作品だとか、趣味に合わなくてがっかりな作品とか、面白くないとか逆ツボとか腹の立つ作品もいろいろあるだろうけど、それらのどれとも『仮面の男』は違っている。

 オンリーワンな作品。
 他のどの駄作とも比べられない。
 次元がチガウ。

 タカラヅカってすごいところだと思う。
 数日前まで『アルジェの男』なんて古式ゆかしい時代錯誤な昭和悲劇やってたかと思うと、遊園地のアトラクションみたいな『仮面の男』をやっちゃうんだもんな。
 このふたつをしれっと同じカンパニーがやってしまうって、ほんとにすごいわ。

 それを言うなら、『ロミオとジュリエット』をやっていた雪組がこんな作品をやっているんだ、というのもすごいことですが。落差パネェよ。天国と地獄。

 だがしかし。
 声を大にして言う。

 アトス様@まっつは、かっこいい。

 わたしはまっつファンなのでアトスですが、ここをフィリップ@キムくんでも、ダルタニアン@ちぎくんでも、好きな名前を入れて考えてヨシ。
 作品がえーらいこっちゃ!なんだけど、役者たちはすごいの!
 てゆーか、作品がトンデモである分、彼らのすごさがわかるの! 際立つの!

 いやほんと、アトス様かっこいい。

 ストーリー無視して、彼単体で愛でる分には。
 三銃士の衣装ステキだし、ラウル@翔くんの手紙のくだりはシリアスだし。
 アトスはコメディとシリアス両方あるから、ナニも考えなければ両方見られてお得なキャラではある。や、コメディとシリアスの比重間違ってるんだけどね。ほとんどおちゃらけでシリアスは一瞬なんだけどね。でもソレはアトスが、ではなく、作品自体がそうだからね。
 おちゃらけだけしかないより、アトスはまだマシ、と前向きに(笑)。

 まっつの黒髪記録がこれで打ち切られた記念すべき役。つっても、プログラム写真は黒髪ロン毛だから、なんで変更になったのかわかんないんだけど(ダルタニアンを黒尽くめキャラとして目立たせるため?)、金茶髪まっつは新鮮です。

 そして、よく笑い、よく動く。
 滑稽な役だからこその大仰な表情筋の使い方。

 三銃士の中でいちばんちっこいくせにリーダーってのがツボだし、美声はもちろん響いているし、あちこちで不意にクールビューティだし(笑)。
 演出家は絶対意図してないだろうところで、アトス様は冷たく冴え冴えと美形です(笑)。中の人の特性がぼろっと出るの。
 ソレが愉快だ。
 こんな作品、こんな役なのに。
 それでも、まっつは、まっつ。
 作品にも役にも負けてない。
 かっこいいし、理知的に、冷たく美しい。

 まっつだけでなく、キムくんもちぎくんもコマくんもみんな、作品にも役にも負けてない、みんなみんな、彼ら自身の魅力を出している。
 タカラジェンヌってすげえなあ。


 んで三銃士のみなさんってばさ。
 ダルタニアンを、好き過ぎ(笑)。

 3人ともダルが大好きなんだよー。
 今は袂を分かった間柄だけど、しかもダルはツンツンしまくってるけど、三銃士のおにーちゃんたちは変わらずにダルが好きなの。
 相手にされてないっぽいけど、変わらず揺るがず好きでいる、というスタンスはいいですな。
 で、ダルタニアンもほんとは彼らを好きだから、無銭飲食のくだりなんかは、三銃士を大好きなダルタニアンが、実はこっそり彼らを見守っていたから、あのタイミングで現れたんだと思っておきますわ。
 だって格好悪すぎるもんな、あの三銃士が無銭飲食で捕まるなんて。彼らを助けたかったけれど、素直にそうは言えないから、ツンツンしてみせる、と。
「べ、べつにアンタたちのタメじゃないんだからね。昔の仲間にそんなことされたらアタシが恥ずかしいから助けてあげただけなんだから、カンチガイしないでよね! お目こぼしはこれが最後だからね!!」……ってことですよね、ダルタニアン。

 ダルタニアンはシリアス担当の人。
 いつもひとりでシリアス。
 作品に置いてけぼりになってるくらい、シリアス。

 だからきっと、シリアスに悩んでいるのよ。親友たちを突き放している現状を。描かれてないけど。
「すまない、アトス、ポルトス、アラミス。コンスタンスの仇を討つためなんだ……」とか、唇ふるわせてるんですよきっと、描かれてないけど。(銀橋ソロは描かれているうちに入ってませんよアレ)

 三銃士たちが銃士隊を辞めた理由が、そのコンスタンスの死から立ち直っていないダルタニアンを見ていられなくて、という、大の男が人生を変える理由がソレ?!というよくわかんない理由で。
 それくらい心配なら辞めずに近くで支えてやれよとか思うし、意固地になったダルについていけなくなったというだけならそんなキレイゴトぬかすなだし。
 近くにもいられない、でも大好き……って、ナニこの男たち歪んでる(笑)。
 変なんだけど、三銃士たちに色気がなさ過ぎるために、さらりと流されている。
 せっかくラヴな話なのにねえ(笑)。
 なにはともあれ麗しのアトス様が、美しいダルタニアンを大好きでいてくれるのは、うれしいです。
 彼は終始一貫ダルのことを信じてるしね。好きでいるしね。

 変わってしまったダルタニアンに不審の声を上げる仲間たちに対し、「でも俺は、信じてる」と、あの美声できっぱり言っちゃうんだもんね。

 愛情が見えるのはいいことですよ。
 クライマックスでポルトス@ヲヅキがダルタニアンと対峙するとことか、互いに思い合っていることが見えるのはイイ。

 んで個人的に、一方通行が好きなので、ダルがアトス個人に対してどうこうって場面がないため、アトスの方が想いが勝っている感じがいいです(笑)。
 ポルトスにはダルの真意がわかる場面がある。でもアトスとアラミス@きんぐにはない。そしてアラミスはアトスほどダルへの愛情を言葉にしていない。(責める言葉が愛情の裏返しとしても、あくまでも言葉にしているのはアトスの方)
 アトスはスタンダードにダルを好きだけど、ダルの方はアトスのスタンダードほどアトスのこと好きじゃないよね、メモリが足りてないよね、てな温度感がイイ。

 深刻すぎるダルタニアンを、アトスがなだめたりいなしたりする場面が見たいなああ。
 仇を討ったとはいえ、ダルが深刻体質なのは変わらないだろうし、三銃士がおちゃらけなのも変わらないだろうし。


 こだまっちの阿呆な「ワタシすごいのよ留学帰りなんだもの!」場面はどーでもいいから、キャラクタの場面を増やして欲しいよまったく。
 フィリップとルイーズ@みみちゃんにしろ、他のすべてのキャラ、すべてのヅカファン、すべての観客が、そう願っているだろうに。
 誰か止める者はいなかったのか。

 というのが正直な感想です、『仮面の男』初日観劇。

 原作は読んでないけどなんとなく筋は知っている程度の三銃士。
 暴君ルイ@キムには、世間的には秘密だが双子の兄フィリップ@キム2役がいて、兄は仮面を付けてバスティーユ牢獄に幽閉されていた。
 女好きのルイが美女ルイーズ@みみに目を付け、彼女の恋人のラウル@翔を投獄、ラウルはそこで仮面の男の秘密を知る。
 秘密保持のために抹殺されたラウルの兄、元銃士隊のアトス@まっつは仲間のポルトス@ヲヅキ、アラミス@きんぐと共にフィリップを救出、同じ顔のルイと入れ替える作戦を実行。
 入れ替わっているとは知らず、ラウルの敵討ちに現れたルイーズはフィリップから真実を聞き、ほだされてしまう。
 銃士隊のダルタニアンは何者かに恋人のコンスタンス@あゆっちを謀殺されており、その復讐のためにあえて銃士隊に留まりルイに仕えていた。三銃士たちの企みを知り、フィリップ追討、ルイ救出に兵を挙げるが……。

 あらすじをふつーになぞるだけでもふつーに面白くなるだろう、わかりやすい冒険活劇。
 それが何故、こんなことに。

 えーとね、これってね、ミュージカルじゃないです。
 テーマパークの、アトラクション。台詞なくてもいいような、役者さんじゃなくスタントマンとかパフォーマーが演じるような。
 ただその場限りのネタと仕掛けがあって、その場限りにちょっとおもしろくて、……というだけ。
 筋はあるらしいけど、ただ「ある」ってだけ。

 その一例を挙げるとだな。

 主人公はたぶん、フィリップだと思うの。
 でもこの主人公、開演から50分、出てこないの。

 オープニングで「それが誰か」の説明もないまま1曲歌っている人がいることや、仮面の男が牢獄にいる、それは「主役が登場した」にカウントしないよ。
 カメラが主人公を捉え、彼がなにかしら感情や言葉や動きを表した……つまり、人間としてキャラクタとして「存在している」ところからしか、カウントしない。

 幕開きから50分、主役が出てこない……。
 95分の芝居なのに。

 んじゃその50分間、なにをやっているか。
 トップスターのキムくんは舞台にルイ役で出ているけれど、主役ではない。
 悪い顔をしてそこにいるだけで、彼を中心に物語が動いているわけではない。
 三銃士たちがどたばたやっていたり、ダルタニアン@ちぎが突然回想劇を繰り広げていても、彼らも別に主役ではない。
 ただのドキュメント、視点のないパフォーマンスをただ見せられるだけだとそれは、「出来事をお知らせします」でしかない。「物語」ではない。

 わたしたち観客は、どこに焦点を当てていいのかすらわからず、50分間放置される。

 視点もない、感情移入も出来ない、サムいギャグだけをえんえん見せられ、客席が冷え冷えと引ききった頃にようやく、主人公フィリップが登場する。
 しかし彼の人格・性格・考え方、周囲との関わり方、すべてが説明不足のままどたばたと画面は移り、やはりその場限りのギャグだーの仕掛けだーのだけで終幕する。

 これはミュージカルじゃない。
 芝居でも物語でもない。

 イベントとか、アトラクションとか呼ばれるモノだ。

 いやはや。
 すごいものを、見せられた。

 物語っている部分が少なすぎて、イベントの合間をあらすじに沿ってつないでいるようなもの。
 だからキャラクタ自身の物語は、脚本にも演出にも存在しない。
 かろうじて見えているならソレは、役者の、力技だ。
 キムくんがそりゃー見事に2役を演じている。出番の少ないフィリップを、破綻させないよう丁寧に丁寧に心情を紡いでいる。
 ちぎくんはいつも唐突なシリアス芝居、ドタバタに負けないよう真正面から苦悩している。
 物語があるとしたら、彼らの努力によるモノだ。

 こだまっちはそんなもの、まったく描く気なさそうだもの。

 噂の水戸黄門場面も、想像を超えたサムさだった。そして時代背景解説が目的というわりに、話が行きつ戻りつしてわかりにくい。いつの時代の話なのか、わからない。しかも、長い。
 人間ボーリングは悪趣味な上に、意味不明。ナニをしているのか、ナニを表しているのか、ふつーにわからない。視覚で楽しむ場面だろうに、ナニをしているのか見てわからないって致命的。しかも、長い。そのあとの唇も、観客に起こっていることが伝わらない。
 『H2$』パロとか、ヅカスペの余興レベルのアイディアだし、監獄のキモチワルイ笑いはわたしの趣味ではないだけかもしれんがひたすらコマくんがんばれ! ドン引きしている客席に負けるな!だし。
 ルイとフィリップを入れ替えるための劇中劇は確かに必要、それまでの雰囲気とはちがって派手に盛り上げてくれていい。ミラーボールもやりすぎだと思うけど、問題はそんなことじゃない。ストーリー上の必要を超えて悪ふざけが過ぎ、その上、長い。
 せっかくの主人公とヒロインの心が近付く場面で、無意味な影絵だし……わたしたち観客は素人の影絵を見に来たわけじゃなくて、タカラヅカを見に来てるんだっつーの、美しいトップコンビが銀橋にいるのになんで客席に背中向けてえんえん影絵なの……しかも、長い。
 三銃士の馬の場面まではアリとしても、溺れるシーンはいらんやろ。おかげでドタバタが長い。

 物語を描くべき時間はいくらでもあるのに、ただのイベント会場の出し物一発芸をやり続けることだけに血道を上げている。

 『タカラヅカスペシャル』で20分くらいで、合計4回公演で、やるならいい。
 宝塚大劇場の本公演で、95分掛けて、1ヶ月公演する内容じゃない。そのあと東京でさらに1ヶ月とか、正気か。

 今まで物語や作品に対してあーだこーだ言ってきたけど、これはさすがに初体験。

 芝居ですらナイ、とは。

 どんだけ阿呆な一発芸をやってくれていいけど、最低限「物語」をやろうよ。「芝居」をしようよ。
 フィリップが主役なら、ルイの阿呆な場面削って、フィリップの孤独や苦悩を描こうよ。自由に憧れていたり、やさしかったコンスタンスやその悲劇的な最期をトラウマとして抱えているとか、かなしくさみしく歌でも歌わせようよ。
 観客に「この人が主役なんだ。早く助けてあげて!」と思わせてよ。


 すごい作品だ。
 ここまで、客席がぽかーんとしていたのも、よい経験。ファンしかいないだろう台風の最中の初日、笑いも少なく拍手も力無い。ただ「どうしよう……」と途方に暮れた空気が漂う。

 今からでも遅くない。
 劇団のえらい人、こだまっちを、止めて。


 ある意味、一見の価値はありますよ。
 たぶんこんな公演、最初で最後、二度とない。
 宝塚歌劇団の名にかけて、二度と繰り返してはならない(笑)。
 アーサーは、いいキャラだよな。

 さすがはキング・アーサー、多面的に面白いキャラクタだ。

 ぜんぜん語り足りない、『ランスロット』のこと。
 ああまったく、わたしのこの作品大好き(笑)。←笑うのか。

 アーサー@みっきーは言う。
「王である前に人でありたい」と。
 繰り返し繰り返し、そう歌う。

 そう切実に願い続けた男が、たったひとつの愛、最愛の妻に対して下した決断は、「私はキャメロットの王だ」……人であることより、王であることを、選んだ。
 その哀しさ。

 それは彼が、自分の意志以前に「王になる宿命」を与えられたモノであるということとリンクする。
 聖剣エクスカリバーを抜き、彼が王となった。
 彼がエクスカリバーを征して王になったのではなく、エクスカリバーが彼を選び、王にした。
 与えられた宿命、決められた運命。

 グウィネビア@わかば、モルガン@あんるがそれぞれ親から「宿命」を植え付けられとまどうオープニングそのままに。

 宿命に屈さず、より自由に高みにのぼろうとしていたアーサーは、ひたすらキラキラまぶしい。
 ランスロットが思わずひざまずいてしまうほどの魅力を持った青年。
 実力と人望を持ち、仲間たちに囲まれ、夢を夢で終わらせず確実にカタチにしていく。
 それはどれほどの吸引力。
 男子が憧れる、男子の姿(笑)。
 だからこそアーサーは野郎どもにきゃーきゃーかしずかれている。

 そんな彼がなんでああまで転落したのか、実際よくわかんない。
 モルドレッド@キキの悪意があったとはいえ、人望総崩れなのが極端だ。(円卓の騎士の選抜基準もよくわかんないんだけどねー。なんでモルドレッドは仲間入りできたんだか)
 もしアーサーに変わらず人望があるなら、騎士たちはグウィネビアに死刑判決は出さなかったはずだ。グウィネビアの罪が罪だとしても、敬愛するアーサーが彼女を許したいと思っているなら、そのキモチを尊重したはず。
 グウィネビアを殺そうとするのは、騎士たちによるアーサーへの謀反だろ、アレ。アーサーいじめだろ。
 王らしくあるために、妻よりも国を取れと、諭す意味でなんて誰も行動していない。個人の腹立ちから「いやがらせ」をしているように見える。それがアーサーにではなく、遠征失敗の責任をなすりつけているランスロットに対してであったとしても、それによってアーサーを傷つけてもいいと思っているあたり、騎士たちは人として終わっている。
 それが全部モルドレッドの妖術だとでも言うの? モルドレッドどんだけ便利キャラ。

 聖杯奪取遠征が失敗だったことはわかる。
 だがそこからの円卓の騎士たちの言動が、ヒステリックでよくわかんない。
 グウィネビアの不義に関しても、冷静な裁判ではなく集団ヒステリーのまま最悪の結末になだれ込むため、騎士たちの個のキャラが崩壊している。
 「人間なんてそんなものさ」というより、ただの筆力不足に見えるんですが。

 辻褄の合う合わないは置くとして、とりあえず作者的にはアーサーに「私はキャメロットの王だ」と言わせ、愛よりも王であることを選ばせたかったんだな(笑)。

 んで、ここまでいいんだ。
 「王である前に、人でありたい」と願い続けたアーサー。
 なのに彼は、結局王であることを選び、人であることを捨てた……そうするしかできなかった……。

 しかし。
 このあとがいけない。
「ランスロットにグウィネビアを助けさせる」
 えーと?
「そーすると、戦争になる」
 えええ?

 国を守るために、不義を犯した妻を斬り捨てた、んだよね?
 妻より国を選んだんだよね、王として。
 なのに、妻の命を助けるために戦争起こしたら、意味ないじゃん。

 それなら最初から、国よりも妻を選んでおけよ、それなら誰にも迷惑かけないよ、「王様はダブスタだよなー、法律決めておいて、自分だけは破ってもいいんだ」と後ろ指さされるだけで済んだのに。
 戦争になって、人が死ぬのより、その方がぜんぜんいいのに。

 処刑するはずの王妃が元騎士団長とその仲間に奪われたのなら、そりゃ王様としては面子に懸けて追討軍を指揮するしかない。
 アーサー軍とランスロット軍、キャメロットを戦禍と混乱に落としてのガチ戦スタート。
「次に会うときは敵同士だ」とか、男子が大好きな台詞を言い合うアーサーとランスロット。
 いやいやいや、ソレおかしいから! そんなことになるのなら、最初からグウィネビアを無実にしておけっつーの! より王としておかしいだろその行動!

 で、戦場で一騎打ち、「さあ、殺せ」「私にアナタは殺せない」とか、これまた男子が大好きなやりとりをして、最期は腕の中。

 生田くんの中二病ぶっちぎりぶりに、アタマ抱えてきゃーきゃー恥ずかしい悲鳴を上げたくなります(笑)。

 そーゆー、「萌え場面、萌え台詞をやりたかっただけ」にしろ、アーサーは、いいキャラなの。

 恥ずかしい方向に花開いちゃってるから大変だけど、それでも当初のテーマ、「王である前に、人でありたい」とあがくアーサーはステキなのよ。

 彼が抱える屈折と鬱屈、それでも彼が持つ本来の輝きは、実に興味深いものなのよ。

 聖杯ヨセフ様@ちーくんがランスロットLOVEでつきまとっていたように、アーサーにだってマーリン@れんたがいるもんね。
 マーリンは人間たちのアレな部分をわかった上で、アーサーのアレな部分も理解した上で、それでも立ち上がるアーサーを愛しているの。

 それでわたし、勝手に想像しているの。

 マーリンは、満月の夜だけ、美しい青年になるの(笑)。

 いつもはあの通り、白髪白髭のおじーちゃん。でも満月の夜だけ本来の姿、若く美しい青年になり、……でも中身はあのまんまで、アーサーのそばにいるの。

 アーサーもそれはもう慣れっこだから、振り返ってマーリン青年バージョン(ヒゲ無し・笑)でも「ああ、そういや今日は満月だっけ」と思うだけ。
 マーリンも自分の外見なんか気にしてないから、ふつーにお説教したりうんちく垂れたりしてるの。

「ずっとそのままでいればいいのに」
「なんだ、気になるのか」
「いや。どっちでもいいんだけどな。そばに、いてくれるなら」
「じゃあ、どっちでもいいじゃろう。そばに、いるんだから」

 って、そんな会話。

 青年でも、じじいでも。

 アーサーいいよなー。
 みっきーのあの、いろいろとやりすぎちゃって、ちょいわざとらしい(笑)芝居ごと、愛しくてならない。
 思うんだけどさー、生田くんてさー、恋愛興味ないよね?

 デビューから2作連続、まともに恋愛描いてないっつーのはさー、本人の興味の在処を表してるよねえ?

 『ランスロット』はいちおー、ランスロット@マカゼ、アーサー@みっきー、グウィネビア@わかばの三角関係を描いている。
 ランスロットはグウィネビアLOVEっつーてあーだこーだ言っているし、忠義と恋愛で悩み、恋愛を取って間男しちゃうという設定だ。

 でもコレ、ほんとに恋愛モノかぁ?

 作者が好きなのは初恋、もしくは過去の思い出であって、現在の生身の恋愛ではないと思うんだ。

 デビュー作『BUND/NEON 上海』では、主人公とヒロインは恋愛関係になかった。主人公の恋人はヒロインの妹で、現実味のないアニメ的萌えキャラだった。主人公が愛しているのは過去の美しい思い出、いかにもな萌え萌え美少女の萌えエピソードが「恋愛」パートのすべてだった。

 そして今作『ランスロット』。
 もっとも力を入れて描かれているのは少年ランスロットと少女グウィネビアの「初恋」であり、過去の美しい思い出だ。
 現在の、大人のランスロットとグウィネビアの恋愛についてはあまり描かれていない。
 過去の出来事があるから、現在も愛し合っているんですよ、みたいな。過去の延長というより、過去こそが大事、現在はおまけ。

 作者が描きたいモノが「恋愛」ではないいちばんの証拠は、ヒロインがクライマックスに出てこないことだ。

 グウィネビアと手に手を取って逃げたはずなのに、ラストは彼女のことより他のことにかまけている。
「戦場に女を連れて行けない、だから安全なところで待っていろ」という流れはわかる。
 だが、さあこれからクライマックスだ、というときにヒロイン退場、あとは出てこない、てのは、変。

 なにも戦場にしゃしゃり出てこいというのではない。
 舞台隅でも奥でもいい、別空間を作って、イメージ的に出すなりすればいい。
 ドラマの鉄板、恋人の身になにかあったときは「はっ」とかするもんじゃん。ランスロットの名を呼ぶ場面とか作ればいいじゃん。

 この物語が「ランスロット」の物語で、彼にとってグウィネビアがいちばん大切なら、死の瞬間に彼女のことを考えるべきだ。
 「待っていろ」と言ったまま存在を忘れて死にオチはないよなー。命がけで愛を貫いたヒロインの立場ナイじゃんよー。

 作者が描きたかったのは「ランスロット」であり、「ランスロットとグウィネビアの恋愛」でも、「ランスロットの恋」でもない。
 あくまでも「ランスロット」単体。
 彼の自分探し(笑)がメインなので、グウィネビアにしろ恋にしろ、彼の通り過ぎた一部でしかない。
 聖杯サマに見初められるほどのヒーローの中のヒーロー、ランスロット、を描くことだけが目的。王の中の王アーサーに認められ、王の中の王に愛されながらもランスロットを選ぶ美女の中の美女グウィネビア……と、三角関係すら、「オレのランスロットすげー!」という生田テーマを描くための道具、という気がする(笑)。
 そして「オレのランスロット」ってのはすなわち作者自身の投影なんぢゃないかとか、余計なことを考えちゃいます(笑)。

 ランスロットって男、客観的に見るとぜんぜんすごくないし、間違ってるしつまんないし、しょーもない男なんですよ。
 だけど作者が「ランスロットすげーっ!!」と思って描いていることが伝わる。
 それが、恥ずかしい(笑)。
 『BUND/NEON 上海』の「劉衛強すげーっ!!」って作者の鼻息がものすごすぎて恥ずかしかった、あの感覚っすよ。
 そういうところがまた中二病的というかねえ。

 現実の女とのリアルな恋愛ドロドロはスルーして、思い出の中の少年少女のアニメ的な恋だけを繰り返し繰り返し大切に描き続ける芸風……。
 うわー……。

 作者が現実の女に興味がないのか描くスキルがないのか、クライマックスは「自分との決着」「親友の腕の中で死ぬ」ですよ。
 自分自身や同性の友人・友情の方が、女や恋愛より近しいモノなんだろうなあ。

 『BUND/NEON 上海』だけでも大概てんこ盛り過ぎて恥ずかしかったのに、『ランスロット』でも同じことをやられちゃうとなあ。
 なまあたたかいキモチが胸一杯に広がります。

 グウィネビア無視して、アーサーの腕の中。
 ははは、イイデスヨ、ソレもあり。
 ぜんぜんOKです、面白いから。


 とりあえずわたしは、アーサー×ランス郎です。
 でかい受だなー(笑)。
 実は初見から泣いた。
 スイッチ入るの早いですよ、なんせプロローグからですから。
 で、1幕はあちこち泣いた。
 2幕になって落ち着いたけど。

 そんなつもりはなかったんだけど。
 なにしろ『BUND/NEON 上海』で腹筋鍛えられるほど笑い、今回も笑うつもりで来たんだから。
 ただ、『BUND/NEON 上海』のときに気付いてた。この作者、わたしとチャンネルが合う。これだけ笑いツッコミできるのも、そのためだと。
 合わなさすぎてツッコミ入れたり笑ったりする某や某とはチガウ。好きだから、茶々を入れたくなるんだ。

 『ランスロット』は、美しく哀しい物語だ。

 最初から泣けたのは、この物語が傷みに満ちているから。

 前提は失うこと。喪失。
 プロローグからして、言い切っている。そして誰も生き残らなかった。
 なにも残らない、無為に終わる……その上で語る。ランスロット、お前はナニを求めるのかと。
 悲しみに満ちているのは、そのためだ。
 今これからはじまること、目に映っていること、なにもかもが失われる、結末を知った上で語られている。
 老人が失われた青春を、もう二度と帰らぬ人を追憶するかのように。
 どれほど無邪気に美しいとしても、それは悲しい。
 失われた物語。
 かつてあった、今はないうつくしいもの。幸福。
 明るい場面もかわいい場面も、全部全部痛みになる。

 近いモノとして思い出すのは、大野せんせの『夢の浮橋』だ。アレも油断して観に行ったなー。まさかプロローグからダダ泣きで消耗しまくることになるとは思わずに。
 まだ初見、原作を知っていることとは別に、これからなにを見せられるのかわかっていないのに、それでも滅びの予感に胸を締め付けられた。

 それと同じ。
 原作がどうとか語りがどうとかではなく。
 痛いものが差し出される、その予感に震えた。

 繰り返される、少年時代の思い出。
 しあわせだったころのふたり。
 つないだ手が永遠だと信じ、疑いもしなかった。
 未来は希望に満ち、不可能など知らなかった。

 だから彼らは語る。
 振り返らなかったオルフェの物語を。
 哀しい結末、間違った結末を、自分たちで書き換える。
 みんながしあわせになる物語。

 それを傲慢だとか荒唐無稽だとかは思わない。
 だって彼らは、その手にすべてを持っている。
 この世界、この地球。
 少年であること、ってのは、そういうことだ。

 不幸なのは、いつも先に大人になるのが女だということ。

 グウィネビア@わかばは、女だった。
 だから彼女は、ランスロット@マカゼより先に、少女時代に決別する。
 ランスロットが立ち止まったままの世界から、彼女だけが一歩を踏み出してしまう。
 閉まる扉。
 象徴的に響く音。
 少女は大人になる。少年を残して。

 残された少年は絶望する。
 ふたりだけの世界に、ひとり残されて。
 振り返らなかったオルフェの物語を、自分たちが神である世界を、いつだって反芻できたのに。グウィネビアはもういない。

 絶望に狂った少年は罪を犯し、もうひとりの自分・モルドレッド@キキを生み出す。

 モルドレッドもまた、失ったエウリディーチェを求めてあがく者だ。
 ランスロットを憎み復讐しようとする、その行為は冥府へ囚われた愛する者を奪い返さんとする行為。
 目の前の現実を否定し、別の現実で塗り替えようとする行為。

 ある意味、振り返らなかったオルフェの物語を紡ぐようなものだ。
 物語が気に入らず、自分で書き換える。救う方向にではなく、滅ぼす方向で。

 グウィネビアより遅れて、ランスロットも扉を出る。
 少年のままではいられない。
 彼は大人になる。ならざるを得ないのだと気づき、一歩を踏み出す。
 もしもモルドレッドの悪意がなければ、ランスロットは現実と折り合いを付けて生活していったのだろう。
 振り返らなかったオルフェの物語は作れない。結末は変えられない。そう知った。その上で、エウリディーチェを失ってなお生きていくオルフェの物語ならば、綴れたのだろう。
 グウィネビアを愛し、アーサー@みっきーを敬愛し、キャメロットを愛して。

 だけど「もうひとりの自分」の横やりによって、ランスロットは大人になれなかった。
 大人になるとはどういうことか、もう知ってしまった。一度は扉を出た。
 引き裂かれた心。モウコドモジャナイ、ダケド、オトナニモナレナイ。

 子どもでも大人でもなく、ランスロットは「もうひとりの自分」を殺し、自らも死ぬ。
 そうやって無に返すしかない。

 仕切り直した彼は、再度少年の頃に夢見た結末を反芻する。

 振り返らなかったオルフェの物語を。
 彼の愛する者が、しあわせに生きる物語を。

 彼自身は、その物語の中にいない。
 物語のことわりの外。
 本を読む子どものように。本を書く大人のように。
 自分がその物語の中でしあわせになることよりも。

 愛する人よ、人々よ、どうか幸せに。

 掛け違えたボタンをひとつ直してやるだけで、あとは彼らが自分たちで乗り越え、切り開いていくと信じて。


 初見から、予定外に泣けたし、響きまくった。
 これは大切なものになる、わたしのなかで。そう思えた。
 だから2回目の観劇時。

 1幕はほぼ泣き通し、っての、予想は出来たけど、消耗するわー(笑)。

 2幕は物語が動くから、ふつうに物語を見ていればいい。痛いのは1幕だよ、奥深いところに響きまくる。痛い。切ない。
 『夢の浮橋』以来か。
 こーゆーものが突然がつんと来るから、タカラヅカは侮れない。とことんセンシティヴ、理屈ではない魂揺さぶり系が来るんだもの、他の大味なものたちの中に混ざって。

 ランスロット@マカゼは、いろいろ不自由な人だと思う。
 足りていない、表現できないものが多分にある。
 もどかしくもある。この作品が、この役が、別の人だったら。もっと達者な、最低限の技術のある人が演じていたら。

 それでも、今、わたしが胸を締め付けられ、泣き通しているのは、マカゼの、不自由で乏しいランスロットだ。
 他の役者ならもっと表現できるものだってあるだろうに、ろくに出来ず半端にうつむいている、もどかしいへたっぴのマカゼだ。
 彼の届かないところ、表現できずに立ち止まっているところ、それらも含めて「ランスロット」なんだ。

 モウコドモジャナイ、ダケド、オトナニモナレナイ。
 子どもの扉は閉められてしまい、大人になれと促され、それを期待され命令され宿命付けられた……だけどまだ、標準より不器用な研6男役でしかない、真風涼帆だ。

 今の彼を、愛しいと思う。

 今、このときにしか存在しない、『ランスロット』という物語を、愛しいと思う。
 ねえねえねえ、マーリン@れんた、めちゃ可愛くないですか?!

 『ランスロット』キャスト話続き。

 配役をあんまし理解してないわ、プログラム買ってないわで、誰がなにをやっているか理解してなかったんですが、れんたが出ることは知っていて、ざーっと顔ぶれ眺めた消去法で、マーリンってれんたじゃね? と思ってガン見、やっぱりれんただ! とわかったのは円卓会議あたり。

 最初の「王様に嫁さん来るぞ祭」で円卓の騎士たちが勢揃いするくだりにて、マーリンがセンターで踊るじゃないですか。
 そのダンスの生きのいいこと!
 見ていてすごく楽しくなる。
 うわっ、このマーリン好きだー!! 誰かわかんなんいけど可愛い可愛い可愛い! ってゆーかアレってれんたぢゃね? 確信ないけどれんたっぽい、あれがれんただとなお萌える! やだもーすげードキドキするー!!
 と、謎のテンションで盛り上がりました。

 振付込みであそこのマーリン大好き。
 彼はとてつもなくファンタジーだ。幻想だ、夢だ、浪漫だ。

 白髪の老人、というとやっぱ先入観あるじゃないですか。動きはゆったりスローモー、厳めしくおごそかに。もしくはよぼよぼ元気なく。
 そんな姿で、ぴっちぴちの騎士たちより元気に踊っちゃうんだもの。
 ぴきっぴきっと音の聞こえるようなダンスが、動きが、小気味いい。

 かわいいなあ、マーリン。
 家にひとり欲しいなあ。

 あ、そことは別の円卓の騎士ダンスだっけ? マーリンがわざわざマント外して踊るの。
 アーサー@みっきーがマントを拾ってたたんで、入っていけずになんか後ろで眺めているのがすげーツボなんですが。
 ちょ……、王様、マントたたんでるよ!!と。ありえない(笑)。

 アーサーもいい人だなあ。王様なのに雑用(マントをたたむ)とかしちゃうし。
 マーリンがアーサーに惚れてるっぽいのもいいよねー。アーサーだからこそ、彼はあそこにいるんだよねー。


 惚れていると言えば、聖杯ヨセフ@みきちぐ。
 人が聖杯を選ぶのではない、聖杯が人を選ぶ……ってことで、はい、ヨセフさんがランスロットさんに惚れたことから、物語スタートしましたって、そーゆー話ですかこれって。

 奇跡を起こす力を持つ、そんな素晴らしい聖杯サマが、なんでよりによってランスロット@マカゼを選ぶのかわかりません。
 そんなに大した男ですか、彼? 不倫男ですよ? 自分の未熟さで異民族虐殺しちゃった男ですよ?
 べつにどーってことないふつーの男に見えるだけに、最初からランスロットをロックオンしている聖杯サマに、顔か? 顔が好みだからか?と問いただしたいキモチで一杯です(笑)。
 んで結局聖杯サマ、最後は、ランスロットを手に入れるし。ふたりだけの愛の世界へGO!だし。

 そーゆー話なのかあ……。(たぶんチガウ)

 『めぐり会いは再び』に続き、マカちぐENDに目を疑いました。
 マカゼとみきちぐ氏は劇団的に添わせたいカップルなんでしょうか。

 なにはともあれ、語り部が聖杯サマ、みきちぐなのはイイです。安心して世界に誘ってもらえます。
 でもって聖杯サマ、美老人だし。なんか最近ちーくんますます男前だよねえ。かっけーわー。

 聖杯が巨大なスープ壺に見えて、あの造形はなんとかならんかったのかなあ、とは思います……フタまで開くしさー。晩ごはんのカレーが入ってそうな雰囲気でさー。


 ところで生田くん、美穂圭子ねーさま好きだねー。
 『BUND/NEON 上海』で圭子ねーさまの無駄遣いをしていたが、とにもかくにもねーさまに出て欲しいんだな。
 わかるよ、わたしもねーさま大好きだー。
 湖の妖精ヴィヴィアン@圭子ねーさま、異次元感がすごい。
 誰がラスボスか、よーっくわかる(笑)。
 最強キャラだよね、ヴィヴィアン。地球が滅びても彼女は生き残るよね。

 凛とした空気、聖なる光。
 ひとならざる者の存在感。
 慈愛にあふれながら、冷ややかなところがイイ。
 人間たちの愚かしさごと愛しながら認めながら、人間たちの破滅すら、冷静に見つめるだろうなってとこが。
 女神とは、こーゆー存在なのかもしれない。


 ヴィヴィアンと対を為す森の魔女モルゴース@花愛さんがすげーの! 最初に登場した瞬間から二度見した!
 かかかかかっけー!! こんなにかっけー花愛さん見たことナイ。学年のわりに若くない外見と芸風の人、という認識で長年来たし、実際そういう役付の人だったと思うが、ここまでかっこいい人だったなんて。
 まがまがしさと、華々しさ。
 突き抜けた悪っぽりにわくわくどきどき。
 うわー、このキャラクタ好きだー。

 で、モルゴースの娘、モルガン@あんる。こちらもかっこいい。歌ウマ母子、ガンガンにトバしてくれる。
 グウィネビア@わかばちゃんと対を為す存在なんだが、宿命を歌うふたりの女が、どちらも幸福でないあたり、かなしくてイイ。


 円卓の騎士では、ただひとりの異教徒騎士パラメデス@夏樹くんが目立つなー。
 濃い肌色で、持っている剣もひとりだけチガウ。円月刀というかね。

 りまくんは王様よりも、黒騎士がかっこよかったなー。


 少年ランスロット@風ちゃん、少女グウィネビア@綺咲さん、共にうまいなあ。
 とくに綺咲さん、リアルな「少女」っぷり。あのこまっしゃくれた感じがすごくイイ。好きだな、あの芝居。

 女官たちだけで場面があり、『BUND/NEON 上海』を猛烈に思い出すんだが(りこちゃんが圭子ねーさまポジションか)、ここかわいいなあ。
 ほっこりかわいい場面が、後半哀しみの場面になるあたりも、前作と同じ作りとはいえ、さらにうまく作られていて、作者の進歩が見える。

 あと、ひろ香くんのナチュラルなヒゲ男ぶりに瞠目。なにあれかっこいい。てゆーかキミ、研3だよね……?(笑)
 んでこの『ランスロット』に出演している人たち。

 まず、ビジュアルありき。
 マンガやアニメ、ラノベにゲーム。そして、タカラヅカ。内容なんかわかんないし知らないけど、とりあえずこの絵を眺めていられるだけでいい、それだけで価値がある。
 ……そーゆーものが、ある。確実に。

 ランスロット@マカゼはまさに、そーゆーところからスタートした人だなと。
 彼にこのテーマを演じさせたいとか、この歌を歌わせたいとか、この言葉を表現させたいとか。技術面や役者としての技量面ではなく、ただもーひたすら、マカゼのビジュアルでこのキャラを見てみたい! ……てことじゃないかなと。
 ってくらい、ランスロットの彼はかっこいい。
 が、うまくない(笑)。
 台詞の表現がいまいちだから、表情その他の芝居の深みに欠ける。まして歌の残念さときたら……(笑)。

 顔立ちは水しぇんに似ているけど、彼ほどのシャープさはないんだよな。そしてなんつっても、暗い。寂しいというか。水くんはほんと、美貌だけでなく華々しい人だったよなあ。
 似ているとか思って観ると残念さが増すので忘れよう。水くんは水くん、マカゼはマカゼ。
 んで、実はカオよりも、声が似ている方に反応してしまう。
 なんつーんだ、水しぇんをもっと甘くした感じ……。水くんが高めの甘い声をわざと出しているときの声で、マカゼさんは固定されている。だからなんか、ドキドキする、水くんのラヴな声がずーっと続いているみたいで(笑)。
 いやいや、だから、水くんのことは切り離そうってば自分。

 偉大なる先人・水夏希がいなかったとしても、また水夏希を知らない人がこの舞台を観たとして、マカゼくんがセンター、主役なのは文句ないだろう。
 マカゼの持つ美貌は、「タカラヅカ」ど真ん中の資質だからだ。

 このビジュアルで何故こうも、うまくないのか。あああ惜しい、惜しいよマカゼ。
 でもその残念なところも含めて、今の彼、今の『ランスロット』という作品なんだろう。

 で、そのあちこちぽろぽろ足りていない主役に対して。
 2番手キング・アーサー@みっきーの、容赦なさ(笑)。
 いやあ、とてもいいみっきーだ。
 わたしがみっきーという人に抱いているイメージまんまの、実に素敵な芸風だ。

 プログラムに書いてある生田くんの「若手実力No.1」ってなみっきー絶賛はちょい行き過ぎだと思うにしろ(No.1って……)、みっきーは確かに実力派だ。
 いくらでもできるのに、今までろくに場を与えられずにいた、苦節何年、でよーやくめぐってきたチャンス、大役、エンジンかかるの鼻息荒いのも仕方ない、当然だ。
 にしても、マカゼとの、芝居の噛み合わなさがすごい(笑)。

 うまいのはみっきーだ。ちゃんと「芝居」ができているのはみっきーだ。
 しかし、主役はマカゼ。
 2番手がやりすぎちゃってるのはどうかなー。

 2番手がやりすぎる、といえば、『BUND/NEON 上海』のだいもん。誰が主役かわかんない勢いで彼は暴れまくっていた。
 しかしだいもんは憑依系。あのテの役を演じると、暴走しちゃって戻って来れなくなる。本人がどう思っている以前に、スイッチ入っちゃうんだろう。その結果主役を喰ってしまう。
 みっきーとはチガウ。
 みっきーは憑依系じゃない。計算して技術で演じている。
 そしてその技術で、実力で、主役を凌駕する気合い十分ときた(笑)。
 主役を喰うのがだいもん、主役を凌駕するのがみっきー。
 どっちもそれぞれ、面白い。

 でもまあ、みっきーってばマカゼ相手に浮いてるだけじゃなく、全体的に芝居が浮いている気もするんだが……ああいう独りよがりは嫌いじゃない。

 野心あふれる舞台人は好きだ。野心は向上心でもある。みっきーがより貪欲に「タカラヅカ」で泳いでくれることを望む。……てゆーか好きだなー。大変良いみっきーだ。

 ヒロインのグウィネビア@わかばちゃんは、ヒロインが納得の美しさ。
 ああ、少女マンガだなあ、この子。となみちゃん系っていうか、美貌だけで他のすべてを乗り越える感じ。

 わかばちゃんはなんつっても鼻が好きです。華ではなく、鼻。
 男も娘も含め、凹凸のない横顔ばっか抜擢されている昨今、こーゆー舞台映えする立体感あふれる顔立ちの美少女にわくわくする。
 とくにうまいわけではないけれど、ヒロイン力で乗り切ってくれればヨシ。

 とはいえ、あまりうまくない主人公とヒロインってのは、あちこち技術が不協和音。
 がんばれがんばれ。

 そして、技術だけではないのが「タカラヅカ」。
 『ランスロット』は美しい物語。
 マカゼ、みっきー、わかばちゃん、彼らだからこその『ランスロット』。
 うるさすぎる芸風のアーサーと、表現力の乏しいランスロットとグウィネビアにやきもきしつつも、それを愉しむ。


 生田せんせのいいところは、いろんな役を作れることだよなあ。
 ヒロインに対する恋敵、恋愛面でのライバル関係として主人公と2番手があり、実際の敵として3番手を配置する。

 モルドレッド@キキくん、いいなあ。
 まるまるとオンナノコっぽすぎて残念な顔立ちを、ダークなメイクで底上げし、なんとも耽美な悪役になっている。
 でもって彼、ふつーにうまいわー。
 このメンバーの中だと、安定してうまいのがよくわかる。
 台詞の聞き取りやすさは、若い子たちの間では、みっきーとキキが双璧だな。

 モルドレッドの狂気と悪意、それが台詞とは無関係に発せられていて、ゾクゾク。

 で、主人公の友人であり同僚である騎士たち。
 ガウェイン@麻央くんが、すげー柄に合っている。なんつーんだ、モロ体育会系っ!っていうか。あー、いるいる、こんな男子。
 でかくて繊細さに欠け、単純で、悪意はないけど自分勝手で。
 ランスロットを認めるくだりの潔さと、敵に回る短絡さ、どれも納得。
 麻央くんはあいかわらずまったくうまくはないんだが、この子がこの役なのはわかる。
 ジャイアンっていうのはやっぱ、花形キャラなんだ。地味な人がやってはいけないキャラクタなんだ。
 華は十分だから麻央くん、キレイになって欲しいなあ。うまくもなってほしいけど……(笑)。

 美貌といえばやっぱこの人、ボールス@汐月くん! かっけーかっけーかっけー!
 とにかく目立ちまくる、そのイケメンさ。
 あと、このメンバーの中では声がイイ。ちゃんと男役の声で話しているのがポイント高い。
 弟ライオネル@レイラがまた甘い美貌で、なんつー眼福な兄弟。
 最後、ふたりが対立し、兄弟対決になるのがまたたまらん。てゆーか勝つの弟なんだ、兄の喉元に剣を突きつける弟、兄ののけぞった首からアゴのラインが美しい……。(真ん中も見ろよ)

 で、主人公の恋敵にも親友がいる、のがいいよね。
 アーサーの腹心・ケイ@千寿はるくん。最初のお忍び参加の祭場面、アーサーと画面外でいちゃついてるのがかわいい。
 横顔と正面顔が違いすぎてびっくりする千寿くん、それでも甘い雰囲気がキラキラしててステキ。
 こーゆーいかにも弱そうな(失礼)優しい風情の騎士が、アーサーのそばにあるのは、いいコントラスト。
 こんな優しい人を親友にしている恋敵くんは、人間的にも良い人だって、説明しなくても感じられるよね。そーゆー意味でも「友だち」って大事。どんな人とつきあっているかで、そのキャラの人となりがわかる。

 主人公とその恋敵。
 その周辺だけでも、こんだけ男たちに役がある。他にもいろいろあるし、バウでこれなら上出来、すごいことだよー。
 みんなやり甲斐あるだろうな。
 『ランスロット』観て来ました。

 出演者もさることながら、実はわたしのいちばんのお目当ては、生田大和新作ってことでした。
 新人演出家の中で、彼への期待っちゅーか、わくわく感ハンパないっす。
 生田くんのデビュー作、『BUND/NEON 上海』は、マジ恥ずかしかった!!
 こんなこっ恥ずかしい物語を、臆面なく真っ正面から作ってくる新人作家! 楽しみじゃないですか!

 わたしは、作家の鼻息は荒い方が好みです。
 「俺はコレを書きたいんだっ」と、がるがる唸りをあげているよーな人が好きです。
 なにがしたいの? ほんとにそれが作りたかったの? 別にここでなくてもいいんじゃないの?な作家には、あまりときめきません。
 原田作品に興味が薄く、生田作品にわくわくするのは、作家の鼻息の荒さ……恥ずかしさの差にあるのかも。

 生田せんせの新作だっつーだけで、誰が主演でも大喜びで駆けつけたけど。
 マカゼ主演ですと?!

 もともとマカゼのことは、「顔が好き」と言い続けてきた。オサファンで水ファンのわたしが、あの顔を好きにならないはずがない。
 しかしまあ、実力があまりにアレだったので(笑)、「頼む、うまくなってくれ」と祈り続けていた。
 そんなこんなで前回の『めぐり会いは再び』。
 わたしのなかで、マカゼブーム到来(笑)。
 エルモクラート先生@マカゼ、かわいすぎる。てゆーかあの人、いろいろとど真ん中過ぎるんですけど(笑)。
 何故かまっつメイト間でマカゼ株がみょーに上がっていたような……まっつファンをくすぐる役だったのか、いや、そんな狭いところに限定しなくても、世の女性の大半の好みたるキャラクタだったのか……。
 あのヘタレなとこも含めて魅力的。

 マカゼいいよねマカゼ……と盛り上がっているところに、『ランスロット』のポスターだ。
 あまりにかっこよくて、どーしよーかと。

 んで配役発表、アーサー@みっきー。……えええ、みっきー2番手?! 新公主役している子が複数出演しているから、みっきーはまた脇かと……。
 いや、2番手とは限らないがキング・アーサーならどう転んでも大きな役だ、そして生田くんなら2番手役はオイシイぞ……っ。

 期待ばかり膨らむが、チケットはない。友会全滅したしなー。
 なんか星組は最近ずっとチケ難イメージ。盛況なのはいいことだ。
 とりあえず1枚だけチケット入手。あとは野となれ山となれ。

 『燃えろアーサー』世代なので、アーサー王伝説はなんとなくわかっているし、何年か前の、中間管理職が悲しいアーサーさんとその愚痴っぽい奥さん・ランスロットの、ハリウッド映画は見た。トリスタン役のマッツ・ミケルセン目当てだったりしたんだが(笑)。
 キャラクタは知っているけど、生田くんがどう料理するかは別だもんよ。フィクションなんだから、自由にしてヨシ。
 どーゆー話なのか、予備知識はナシで観劇。

 なんというか。

 よかったね、生田くん、「タカラヅカ」があって。と、思った……(笑)。

 スクエニ系のコミックが好きで、各種ライトノベルが好きで、三次元でソレ系をやりたい人には、ヅカってほんと正しい生き場所だよなあ。
 小柳タンのヲタク全開作品とか観ても思うんだけどさー。
 ヅカはやっぱ、ヲタに対してもっと宣伝するべきだよ。年寄り相手にするよりいいマーケットじゃないかな?

 いまどきこんな、ガチな幼なじみで姫と騎士やって、友情やって罪と罰やって、己れの闇と闘って……しかも、二次元的に美しい世界なんて、ヅカ以外にないよ。リアル男性だと、どーしても二次元にはならないからなー。

 おもしろいなあ。

 いやほんとに、おもしろかったです。

 きれいでトンデモなくて、力押しで。
 いや、情熱押しかな。
 ジェンヌの舞台に対する掛け値なしの真面目さ、大人になってしまう前にしか出せないがむしゃらさ、それと演出家の中二ぶりがひとつになって、なんとも眩い作品に仕上がっている。

 『BUND/NEON 上海』に比べればトンデモ度は下がり、出来は良くなってる。
 それは作者のパッションが減ったというよりは、作劇のコツが飲み込めた感じ。
 根っこの恥ずかしさは同じってゆーか(笑)。

 わたしも中二病がなんたるかを自覚するヲタのなれの果てである分、あちこち作者の鼻息が気恥ずかしく、身につまされる思いがする。
 わたしが生田作品を好きなのは、チャンネルが合うからだろう。その鼻息、その気恥ずかしさも含め。
 彼の「やりたいこと」が、わたし自身のやりたいこと……今まさにやっていること(二次創作で・笑)だったりするので、うっわー、こう来たか、と観ながらアタマを抱えた(笑)。

 ヅカにおけるヲタク系演出家の元祖はサイトーくんだと思うが、彼はあくまでもメジャー系少年マンガ属だと思う。ジャンプとかマガジンとか。ジャンプっぽい見せ方をするサンデー系ってイメージなんだが。(ナニソレ)
 小柳タンはゲーム系、ストーリーやテーマよりキャラクタ重視、設定資料だけあればいいあたりの。
 このふたりは根っこが健全かつ、全年齢向きだから夕方とか日曜朝に地上波放送OK。ドラマじゃなくてアニメの話ですよもちろん。
 んで、彼らに比べ生田せんせは暗ーい重ーいラノベ系。宿命とか暗い過去とか山ほど背負って苦悩してるやつ(笑)。アニメ化されても深夜枠一択。
 同じアニメ系ヲタクでも、作風いろいろ(笑)。

 ただ自意識過剰な中二病系なだけでなく、底辺にまず「哀しみ」があり、上空に「光」がある。
 その上で、宿命だの過ちだのとうだうだやってるんですよ。
 舞台になっているところがどんだけうだうだいろんなことをやっていたとしても、「光」が不動である限り、それはやはりエンタメであると思う。さらに、「哀しみ」が加わっていると、わたしの好みになるんだと思う。
 『BUND/NEON 上海』『ランスロット』と共通した部分。底辺の「哀しみ」、上空の「光」。

 個人的な意見なんだが、「哀しみ」を言外に持つ人は、「美しいもの」を作れるのだと思う。
 『ランスロット』はかなり泥臭い画面の作品なんだけど、それでも美しさを凛と漂わせているのは、哀しいからだろう。
 最初からずーーっと、哀しみがチリチリと見えている。そこが、この作品がラノベであり、「タカラヅカ」である醍醐味かなと思う。
 センシティヴでナンボじゃんねえ、中二なんてもん!!(笑)

 つーことで、期待通りに楽しいです、『ランスロット』。
 わたしがまっつ切れで日々枯れきっているところに、来年のカレンダーについて発表がありました。
(1)宝塚スターカレンダー
◎掲載メンバー(計16名) ※下線は今回初登場者
(専科)轟 悠
(花組)蘭寿とむ・蘭乃はな・壮 一帆
(月組)霧矢大夢・蒼乃夕妃・龍 真咲・明日海りお
(雪組)音月 桂・舞羽美海・早霧せいな
(星組)柚希礼音・夢咲ねね
(宙組)大空祐飛・野々すみ花・凰稀かなめ

(2)宝塚卓上カレンダー
◎掲載メンバー(計26名) ※下線は今回初登場者
(専科)轟 悠
(花組)蘭寿とむ・壮 一帆・愛音羽麗・華形ひかる・朝夏まなと・望海風斗
(月組)霧矢大夢・青樹 泉・龍 真咲・明日海りお
(雪組)音月 桂・未涼亜希・緒月遠麻・早霧せいな・彩風咲奈
(星組)柚希礼音・涼 紫央・夢乃聖夏・紅ゆずる・真風涼帆
(宙組)大空祐飛・悠未ひろ・北翔海莉・凰稀かなめ・凪七瑠海

(3)宝塚ステージカレンダー
◎掲載メンバー(計26名) ※下線は今回初登場者
(専科)轟 悠
(花組)蘭寿とむ・蘭乃はな・壮 一帆・愛音羽麗・華形ひかる・朝夏まなと
(月組)霧矢大夢・蒼乃夕妃・青樹 泉・龍 真咲・明日海りお
(雪組)音月 桂・舞羽美海・早霧せいな 
(星組)柚希礼音・夢咲ねね・涼 紫央・夢乃聖夏・紅ゆずる
(宙組)大空祐飛・野々すみ花・悠未ひろ・北翔海莉・凰稀かなめ・凪七瑠海

  
(4)宝塚パーソナルカレンダー(全11種類)
◎発売メンバー 
(専科)轟 悠
(花組)蘭寿とむ・壮 一帆
(月組)霧矢大夢・龍 真咲・明日海りお
(雪組)音月 桂・早霧せいな
(星組)柚希礼音
(宙組)大空祐飛・凰稀かなめ

 雪組に、トップ娘役がいます!

 じーん……。
 2011年カレンダーには、雪組にはトップ娘役がいなかったの。
 2011年3月24日にはみみちゃんがトップ娘役だった。
 たかが2ヶ月と24日だけのために、残りの9ヶ月と1週間「雪組にはトップ娘役はいませんカレンダー」が作られたのね。

 何故数ヶ月間だけ雪組にトップ娘役がいなかったのかは、わからない。
 キムくんの相手役が決まっていなかったおかげで、『はじめて愛した』や『オネーギン』という素晴らしい作品が出来たわけだけど、別箱公演はともかく、本公演である『ロミオとジュリエット』はちゃんとトップ娘役のいる公演であって欲しかった。
 ロミオ@キム、ジュリエット@みみちゃんで、『ロミオとジュリエット』という純愛モノに相応しい、一夫一婦制の体制で上演し、舞台の最後にはデュエットダンスして欲しかった。「タカラヅカ」として「当たり前」のことをして欲しかった……。

 去年の今ごろ、やっぱり来年のカレンダーが発表になって、雪組布陣のいびつさにアタマを抱えたんだったねえ。
 時の経つのは早いねええ。

 ちなみに、去年のカレンダーについてあーだこーだ言うてる日記はコレ。http://koala.diarynote.jp/201008251221112450/

 みみちゃんがトップ娘役として公式カレンダーに掲載されることはほんとうれしいのだけど。
 卓上カレンダーは相変わらず謎だな……(笑)。
 ヲヅキさん登場はいい、おめでとー!
 ケロやそのかだって載っていたんだから、ヲヅキが載ってもおかしくない。や、ケロとそのかは新公主演してないけどバウ主演はしていた、ヲヅキはどっちもしていない……というなら、楓さんの例もあるしね。たしか楓氏は新公主演もバウ主演もナイのに、ポスカ発売されてカレンダーにも載ってたよね? 記憶違い? 当時ものすごーく不思議だったんだが、周囲も「不思議だ」というだけで誰ひとり理由を知らなかったなー……。
 楓さんに比べればヲヅキは舞台での活躍ぶりからしても、まーったく不思議はない、順当な掲載ですよ。
 しかし、もうひとりの新規掲載者が咲ちゃんって……。
 雪組には、新公主演経験アリ、バウ主演経験アリの上級生がいるんですが……? 順番から行けば、まずコマでしょう? んで、次が翔くん。咲ちゃんはその次じゃないですか。新公主演だけならもっといるし。
 新公とバウ、両方が揃って、かつ学年順に掲載スタート……あるいは、新公かバウどちらかで、学年が上がって順番が来れば掲載。そうルールが見えていたのになあ。花組なんて、このルール遵守でなかなかみんな扱い上がらないのにさー。
 雪組はルール無用かあ。組によってチガウんだなあ。

 そして星組の2番手不在っぷり……。
 なんでそんなことに。

 トップコンビと2番手、ここまでは崩して欲しくないのになあ。
 11月発売のスケジュール帳には、2番手欄には誰が載っているんだろう? ここでも星組は2番手ナシ、月組がふたりいるからいいじゃん的扱い? 掲載スペースはあるのに、わざわざ「MEMO」欄にしてまで載せないのかなー。


 ところで、「ステージカレンダー」の掲載基準は「主演経験者」じゃないですか。
 だからまっつが「ステージカレンダー」に掲載されることは永久にない、と思って掲載者のことをあまり深く受け止めていなかったんですが。
 バウ主演があるなら、「ステカレ」掲載の可能性も出てくるワケか、再来年以降。
 再来年……って、んな鬼が笑うどころの話じゃない。そのころ自分がどうしているか、タカラヅカがどうなっているか、誰にもまったくわからない。や、わたしは相変わらずヅカヲタやってるだろうけど、一応、未来は未定なのだから。
 そんな未来を考えても仕方ない、馬鹿げてる……とは思いつつ。
 来年の今ごろはわたし、まっつが「ステカレ」に入れてもらえるかどうかでうだうだゆーてるんだろうなあ、となまあたたかいキモチになりました。
 今までみたいに、「まっつは卓上だけ」とわかっているわけじゃないからなあ。うおお、気が揉める……(笑)。←だから再来年の話だっつーの。

 でも、贔屓の微妙な扱いに一喜一憂するのもヅカヲタの醍醐味。
 来年の今ごろ、気を揉んでうだうだ言っていられますように。卓上だろーとステカレだろーと、まず、再来年のカレンダーに、まっつがいてくれますように。


 あー、しかし、まっつ単体のカレンダーが欲しい……(笑)。
 新人公演『アルジェの男』、あとは自分の海馬のための覚え書き。

 アルジェの若者たちで踊るまんちゃんが格好良すぎ。てゆーか金髪目立つ。って、アレ、まんちゃん本公演でも踊ってなかったか?
 華蘭くんの気合いの入ったキザりが愛しい(笑)。
 ジュリアンの弟分@隼海くんが相変わらずの鼻息だった。てゆーか、子役似合わないなあ、嘘っぽいなあ。ん、子役ぢゃないのか? しかし本役の華蘭くんは子どもに見えるぞ?

 ボランジュ@有瀬くんが真っ当におじさんでいい感じ。彼はこれくらいの渋い役の方がいい気がするんだが、個人的に。
 ボランジュ夫人@舞乃ゆかちゃんもかわいいマダム。本役さんほど異次元入ってなくて、現実にありえそうな奥様ぶり。
 ボランジュ邸での演出がよりコメディちっくになっていたというか、わかりやすくジュリアン@ゆりやくんをいたたまれなくしていた。あの同じ動作で止まるメイドさんたちとか、そりゃびびるわー(笑)。

 パーティで執事さんのソロを歌うのは篁くん。歌手というほどではなかったけど、まあ、あんな感じなのかな……? 場慣れしたらまた違ってくるのかも。
 メイドさん@晴音アキちゃんはいろんなところに出ている気がするが、これが本役か? こちらは場慣れしている感じだなー。
 シャルドンヌ夫人@白雪さんがうまい。おおっ、いい感じに深みのある、大人の女だ。ミシュリュー@まんちゃんが口説くのも変じゃない。本役さんはさすがに、年齢差があり過ぎて不自然なんだよなあ。

 でもって、ミシュリュー@まんちゃん。
 ガイチに似てる……っ。
 今まで思ったことなかったのに、今回はガイチを思い出して思い出して、しょーがなかった。
 髪型? 役のせい? わかんないけど、とにかくガイチっぽい。

 シャルドンヌ夫人を口説いているところも、やりとりに漂う小物感がなあ。本役さんみたいに、母親以上の世代の女性を無理から口説いているわけじゃないのに、格負けしている感じがしてなあ。
 まあ、そーゆーのは微笑ましかったんだけど、この大臣さんって、そーゆー役じゃないんだよなあ?
 そしてなんつっても、そのあとの悪巧み場面。
 ジャック@ちなつくんに仕事を言いつけるところな。あそこがまた、あんまり迫力がないっつーか、芝居に重みがなくてなー。
 最初から最後まで、裏のある大物政治家らしくないんだけど、とりあえず色男。カッコイイからもういいや、って感じ(笑)。

 まんちゃんの課題は歌よりもまず芝居かなあ……。ヘタレ男や三枚目はうまいんだけどなあ。
 黙って踊ってるとすげーカッコイイし、実際「スター!」って感じに目がいくだけに、芝居がうまくなってほしい……。心から思うよー。

 ジュリアンの仲間たちは、輝月くんしか見ているヒマがなくて、他がよくわかっていない……。残念……。
 華蘭くんがここでもやる気満々なことと、輝城くんはなにかと気になるな。
 ミッシェル@ゆうきくんも、新公主演経験者だからたぶん余裕で演じていると思うんだが、彼は違いがよくわからない……。
 ジュリアンの仲間じゃないけど、同じタキシード組の麗奈ゆうくんが目につきまくる(笑)。彼はどこにいてもわかるカオだよなあ。ショーの客席降りでもまずわかるもんなあ。

 花売り娘@みくちゃんを見てはじめて、みくちゃんが出ていたことを知る。あっそうか、本公演でヒロインのひとりだから、新公はモブなんだろうな。わたしが余裕なくてモブまで見られていないだけで、きっといろんなところに出ているんだろう。

 月組は前回が『バラの国の王子』だからなあ。
 役が少なすぎて、下級生が覚えられないナリ。や、もちろんわたしの記憶力低下がいちばんの問題だと思うけど。
 ねえねえそれで、今度こそ、輝月ゆうまくんが、若者役やってるよね!

 新人公演『アルジェの男』にて。

 ちゃぴと同期の95期、まだ研3。
 なのに今までおっさん・じいさん役しかやってないって、どうなの(笑)。

 新公でまともに役が付いたのが、去年の『スカピン』。研2で、ちょろっとだがソロのある役、たしかにそれはすごいこと。
 しかしサン・シール侯爵はおっさんっちゅーか、じじいだった(笑)。

 その次の『ジプシー男爵』は本役がマギーだから、青年の役……と思いきや、新公ではよぼよぼのじじいに役割を変更されていた(笑)。

 その次の『バラの国の王子』は、本役リュウ様、ヒロインの父。容赦なくおっさん。

 こんだけ立て続けに年配、ヒゲばかりが続き、ある意味すごい逸材だとわくわくさせる。
 だってさー、かわいいオンナノコばっかぞろぞろいても仕方ないんだもん、歌劇団。ぷくぷくまるまるした女の子たちが男装して美少年役やってるばっかの舞台じゃさー、つまんないよー。

 おっさんやらせて色男の研3ですよ、彼のポテンシャルには期待するじゃないですか。
 いつか年相応、学年相応の若者役をやったら、どんな感じなのか。

 ……といっても、主役以外に役や、見せ場のない古い柴田作品、しどころなんてあるわきゃない。
 本公演でも、若手スターは十把一絡げで趣味の悪いカラータキシード着せられ、ただの歌う背景。本役さんたちでもキャラの違いを出せずにいるのに、新公にそれを求めるのは酷なこと。
 何人いるんだっけ、ジュリアン@ゆりやくんのパリの仲間たち。銀橋があるので、背景グループの中ではいちおーここが路線スター枠らしい。でもほんとに、「役も見せ場もない」言い訳にスターを放り込んであるグループだから、人数が無駄に多くてねえ。
 てゆーか純粋にだよね、パーティ参加者たちが色違いでお揃いの服着てるのって。客というより使用人みたいだ。仲良しグループが示し合わせてそうしているのかと思ったが(そんな大人の男たちは嫌だ)、それ以外の人たちも同じなので、単に演出家が衣装選びを面倒がったのか……初演もそうなの?

 まあとにかく、6~7人はいるんだ、歌う背景若手スターグループ。
 その中のひとりに、輝月くんが入っている。
 若者役だ、今度こそ、本当の若者役だ!(笑)

 なにしろ歌う背景なんで、6人組のひとりとかでキャラも見えないし役割も特にないし、今までのじいさん・おっさん役の方が役としては大きかったと思うけど。
 それでも、研3で若手スター枠に入っていることが、快挙。ほら、ここだけ抜き出すとすごいっぽいでしょ、「研3で若手スター枠」。過去のおっさん専科は置いておいて(笑)。

 パリの夜場面は輝月くんウォッチング。
 「若者」として喋って歌う彼を見るのがはじめてだもん。文化祭も、お芝居は観られなかったしねえ。(てゆーか、文化祭からして彼、大人役だったよなあ)

 なんつーか、芝居がクドい?
 けっこーわざとらしい系のような。いかにも芝居してます的喋り?
 ザ・昭和な芝居だからかもしれん。
 ひとりやたらでかいから、ことさらそう見えてしまうんだろうか。

 そしてこれは前から思っていたことだが、全体的に、めぐむ氏に似ている……(笑)。
 なにがどうじゃないが、あちこちでめぐむを思い出す。
 なんだ、カラダがでかくて歌ウマでおっさん系だからか?
 頬が似てるのかなあ。
 月組にマサツカ芝居が来たら、ナニ気に抜擢されないかな、輝月くん。マサツカの好きなタイプだと思うんだが。

 まだ声ができあがっておらず、喋るとちょい残念。
 見た目が男っぽいので、それと同等の声を期待してしまうためか。学年を考えれば十分なのに。

 前もってプログラムを確認していなかったので(ぎりぎりに劇場に着くのはやめましょう・笑)知らなかったけど、最後のカゲソロ。
 聴きながら、「これって輝月くんだよね?!」とワクテカ。
 いやなんとなく、彼のような気がした。
 なにしろ歌ウマさんなので、カゲソロが回ってきそうな気がしていたし。

 わたしは本公演のカゲソロ、宇月くんの歌声の大ファンだ。
 あまりに第一声からトップテンション、クラウチングスタートでもして歌っていそうなものすげー盛り上がりぶりに、思わずウケてしまう。歌声の前のめり感が愛しい。
 それが耳に焼き付いているので、テンションダウンした歌声だと思った。
 あの前のめり感は宇月くんならではなのか、と(笑)。
 耳に焼き付いた印象を取っ払って、新公は新公だと聴き入れば、まだ未熟な声質の、だけど素直な歌声。
 男役にはなりきっていない、届いていない。しかし素の女性の声でもない。タカラヅカにだけ存在する不思議な音色。そして、真剣勝負で歌っている。
 これがカゲソロでなれば、ここまで声に真剣さは出ないのかもしれない。舞台の上で歌うならば、歌う姿にも気を遣わなければならない。どんな表情でどんなしぐさで、と。
 でもカゲなので、出るのは声のみ。
 ……どんなカオして歌ってんだ、と思うくらい、「正確に歌うこと」に特化した歌声だと思った。
 真面目だなあ。力入ってんなあ。
 その余裕のない本気の声が、場面には相応しかったかと。

 終演後にカゲソロが輝月くんだとわかり、やっぱりなー、とニヤニヤする。
 クドい? わざとらしい? と思った芝居姿と、共通する部分アリな歌声でしたもの。
 いや、全体的にとにかく力入り過ぎてるんだと思う。
 新公だもの、若者だもの、それくらいでいいのよー。

 めぐむより二枚目系の顔立ちだと思うし(めぐむ好きだよめぐむ)、このままもっと役付上がらないかなあ。
 ぷくぷくオンナノコより、おっさんできる系の若者の方が見ていてわくわくするんだけどなあ。

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