それがさぁ、面白いのよ、いろんな意味で。@仮面の男
2011年9月12日 タカラヅカ えー、『仮面の男』ですが。
いろんな意味で「前代未聞」だとわたしは思っています。
まず、「初日に観劇して良かった、と、これほど強く思ったことはない」というのがひとつ。
わたしはもともと初日好きだし、星組『スカーレット・ピンパーネル』とか、『ロミオとジュリエット』とか、その作品力ゆえに感動に飲み込まれる客席で「初日に観て良かった!」と思うことは過去に何度もあったけど。
反対の意味で、「予備知識なくこの作品を観、客席の人々とドン引きする空気を共有できた」ことは大きい。
客席がひとつになる一瞬。しかも、悪い意味で……って、そうそうナイよ?(笑)
そしてなんといっても、「宝塚歌劇であるない以前に、ミュージカルでも芝居でもない、ただのアトラクションである」ということ。
これを超える前代未聞さはナイだろう。
それこそ、レストランに入って料理を注文したのに、たわしが皿に入って出てきたような驚き。味以前の話、食べ物ちゃうやん!という。
初日の幕間、わたしと友人の木ノ実さんは、大劇場内のソファーで乾いた笑いを交わしていました。
「あまりに別次元過ぎて腹も立たないねー」と。
レストランに入って、あまりにもまずい料理とか、料理の中に小さな虫が入っていたとか、そーゆーことなら不快にもなるだろうけど、たわしが皿に入って出てきたんだもん。怒る気にもならないっていうか。
ふつーの人はレストランに入ってたわしが皿に入って出てきたら、とりあえず笑ってくれるかな。ネタとして「たわしを出す店があるんだよー(笑)」と話題にはしてくれるかな。
ただし、その店には二度と行かないよね。たわしは食べられないものね、料理じゃないものね。
うん、ほんと。
わたしは別に、腹を立てているわけではなかった。
脱力感があったというか、肩を落としていた。止めるのはいなかったのか、と。
植爺のトンデモ作品とかはね、どんだけトンデモでも、とりあえず芝居ではあるから。
面白い、面白くないは主観の問題。
「面白くないから」という理由で止めることは、難しいだろう。
しかし『仮面の男』は面白いか面白くないかではなく、そもそも芝居ぢゃないだろコレっていうところだから。
止めようと思えば、止められたはずだ。主観ではない分、言い渡しやすい。
タカラヅカっておそろしいところだ。監査機関がナイために、どんな間違ったモノでも平気で商業作品として興行されてしまう。
そして前代未聞なのがもうひとつ、「複数回観ると、感じ方がまったく変わる」ということ。
初日は唖然とした。開いた口がふさがらない。
なんでこんな畑違いのカンチガイ作品が宝塚歌劇の舞台で展開されているんだと驚いた。これは許しちゃいけない間違いっぷりだろう、とそのことが気になった。
翌日観た2回目はその確認。夢じゃなかった、初日で失敗したと思って変更もされなかった、劇団にはコレを「おかしい」と思う常識すらナイのかと改めて絶望する(笑)。舞台にではなく、宝塚歌劇団に。
そして、3回目の観劇で。
面白くなった。
それ以降、ふつーに面白い。楽しんで観ている。
リピートは苦じゃない。芝居とショーなら、芝居の方が楽しめるくらいだ(笑)。
ここまで感想が変わる作品は、わたしははじめての経験。前代未聞。
というのも、『仮面の男』はミュージカルでも芝居でもナイ。遊園地のアトラクションだ。
ディズニーランドでもUSJでもいいよ、ライドに乗って映像を見たり踊る人形を見たりする、アレ系の内容なので、可もなく不可もない。その場でその一瞬だけ楽しむアトラクションに、本気で「テーマが」「ストーリーが」と腹を立てる人はあんまりいないでしょ?
悪趣味な人形が出ましたー、でもライドが2m進んだらきれいなお花畑が現れましたー、みたいな。さっき悪趣味な人形が出たから、このアトラクション全部駄作だわ!とは思わないでしょ?
こだまっちの自己顕示欲場面は「異次元空間」として、脳が処理できる。
まずい料理なら食べて「まずい」と思うけど、そもそも食べ物じゃないので、出てきても食べずに捨てられるので、「まずい」とも思わない。
つーことで、ぜんぜん平気。
そして、短いストーリー部分、本来の「仮面の男」部分を楽しむことができる。
で、この本来の部分は、面白いんだ。
あまりにも異質だから、斬り捨てられる。
脳の「物語」や「芝居」を楽しむ部分には、こだまっちの「ワタシを見てスゴイと言って!」という部分は入ってこないんだ。
試験勉強するときに、暗記する答えを赤ペンで記入し、赤い透明下敷きを置いて見えなくし、黒い文字だけ読んで解答を考えたように。こだまっちがどんだけ全身赤尽くしで目の前で踊っても、赤い画面のわたしには見えないの。黒い文字で真摯に「芝居」をしているキムくんたちしか見えないの。
人間の脳ってすごい。
てことで、面白いです、『仮面の男』。
こんだけ前代未聞の怪作もナイ。
つくづく、なんの予備知識もない初日に観て良かったわー。
そして、こんだけひどい作品なのに、今楽しんで観ているってのがまたアリエナイわー。
だから雪担のみなさん、安心してください。
回数観たら、楽しくなります。
でも、ご贔屓が出ていない人たちは、1回観てそれで終わりだよなあ。
たわしは食べられないから、そんなレストラン二度と行かないわなー。
いやでもほんと、1回は観て欲しい。
いろんな意味で、すごいから(笑)。
いろんな意味で「前代未聞」だとわたしは思っています。
まず、「初日に観劇して良かった、と、これほど強く思ったことはない」というのがひとつ。
わたしはもともと初日好きだし、星組『スカーレット・ピンパーネル』とか、『ロミオとジュリエット』とか、その作品力ゆえに感動に飲み込まれる客席で「初日に観て良かった!」と思うことは過去に何度もあったけど。
反対の意味で、「予備知識なくこの作品を観、客席の人々とドン引きする空気を共有できた」ことは大きい。
客席がひとつになる一瞬。しかも、悪い意味で……って、そうそうナイよ?(笑)
そしてなんといっても、「宝塚歌劇であるない以前に、ミュージカルでも芝居でもない、ただのアトラクションである」ということ。
これを超える前代未聞さはナイだろう。
それこそ、レストランに入って料理を注文したのに、たわしが皿に入って出てきたような驚き。味以前の話、食べ物ちゃうやん!という。
初日の幕間、わたしと友人の木ノ実さんは、大劇場内のソファーで乾いた笑いを交わしていました。
「あまりに別次元過ぎて腹も立たないねー」と。
レストランに入って、あまりにもまずい料理とか、料理の中に小さな虫が入っていたとか、そーゆーことなら不快にもなるだろうけど、たわしが皿に入って出てきたんだもん。怒る気にもならないっていうか。
ふつーの人はレストランに入ってたわしが皿に入って出てきたら、とりあえず笑ってくれるかな。ネタとして「たわしを出す店があるんだよー(笑)」と話題にはしてくれるかな。
ただし、その店には二度と行かないよね。たわしは食べられないものね、料理じゃないものね。
うん、ほんと。
わたしは別に、腹を立てているわけではなかった。
脱力感があったというか、肩を落としていた。止めるのはいなかったのか、と。
植爺のトンデモ作品とかはね、どんだけトンデモでも、とりあえず芝居ではあるから。
面白い、面白くないは主観の問題。
「面白くないから」という理由で止めることは、難しいだろう。
しかし『仮面の男』は面白いか面白くないかではなく、そもそも芝居ぢゃないだろコレっていうところだから。
止めようと思えば、止められたはずだ。主観ではない分、言い渡しやすい。
タカラヅカっておそろしいところだ。監査機関がナイために、どんな間違ったモノでも平気で商業作品として興行されてしまう。
そして前代未聞なのがもうひとつ、「複数回観ると、感じ方がまったく変わる」ということ。
初日は唖然とした。開いた口がふさがらない。
なんでこんな畑違いのカンチガイ作品が宝塚歌劇の舞台で展開されているんだと驚いた。これは許しちゃいけない間違いっぷりだろう、とそのことが気になった。
翌日観た2回目はその確認。夢じゃなかった、初日で失敗したと思って変更もされなかった、劇団にはコレを「おかしい」と思う常識すらナイのかと改めて絶望する(笑)。舞台にではなく、宝塚歌劇団に。
そして、3回目の観劇で。
面白くなった。
それ以降、ふつーに面白い。楽しんで観ている。
リピートは苦じゃない。芝居とショーなら、芝居の方が楽しめるくらいだ(笑)。
ここまで感想が変わる作品は、わたしははじめての経験。前代未聞。
というのも、『仮面の男』はミュージカルでも芝居でもナイ。遊園地のアトラクションだ。
ディズニーランドでもUSJでもいいよ、ライドに乗って映像を見たり踊る人形を見たりする、アレ系の内容なので、可もなく不可もない。その場でその一瞬だけ楽しむアトラクションに、本気で「テーマが」「ストーリーが」と腹を立てる人はあんまりいないでしょ?
悪趣味な人形が出ましたー、でもライドが2m進んだらきれいなお花畑が現れましたー、みたいな。さっき悪趣味な人形が出たから、このアトラクション全部駄作だわ!とは思わないでしょ?
こだまっちの自己顕示欲場面は「異次元空間」として、脳が処理できる。
まずい料理なら食べて「まずい」と思うけど、そもそも食べ物じゃないので、出てきても食べずに捨てられるので、「まずい」とも思わない。
つーことで、ぜんぜん平気。
そして、短いストーリー部分、本来の「仮面の男」部分を楽しむことができる。
で、この本来の部分は、面白いんだ。
あまりにも異質だから、斬り捨てられる。
脳の「物語」や「芝居」を楽しむ部分には、こだまっちの「ワタシを見てスゴイと言って!」という部分は入ってこないんだ。
試験勉強するときに、暗記する答えを赤ペンで記入し、赤い透明下敷きを置いて見えなくし、黒い文字だけ読んで解答を考えたように。こだまっちがどんだけ全身赤尽くしで目の前で踊っても、赤い画面のわたしには見えないの。黒い文字で真摯に「芝居」をしているキムくんたちしか見えないの。
人間の脳ってすごい。
てことで、面白いです、『仮面の男』。
こんだけ前代未聞の怪作もナイ。
つくづく、なんの予備知識もない初日に観て良かったわー。
そして、こんだけひどい作品なのに、今楽しんで観ているってのがまたアリエナイわー。
だから雪担のみなさん、安心してください。
回数観たら、楽しくなります。
でも、ご贔屓が出ていない人たちは、1回観てそれで終わりだよなあ。
たわしは食べられないから、そんなレストラン二度と行かないわなー。
いやでもほんと、1回は観て欲しい。
いろんな意味で、すごいから(笑)。