キャトレでパーソナルカレンダーを買った。

「小分け用の袋はいりますか?」

 と、店のおねーさんに言われた。

 いりません。
 てゆーか。

 全部、わたしひとりの分です。6種類も買っちゃったけどっ!

 ごめんね、ひとりで6種類。ごめんね、気が多くて。
 すでにもう、部屋に貼る場所ないよ……どうしてくれよう。

 誰のカレンダーを買ったのかは、内緒です。

          ☆

 雪組公演『青い鳥を捜して』『タカラヅカ・ドリーム・キングダム』初日に行ってきました。

 まだアタマの中が『ドルチェ・ヴィータ!』なので、なんだか混乱。
 もう雪組初日なんだ……そんでもって明日は月バウ初日かよ……でもって明後日はディナーショーかよ……くらくら。

 さて。

 芝居の感想は、置いておく。
 わたしが石田昌也作品に好感を持つわけもないしな(笑)。

 なんつっても、ショー『タカラヅカ・ドリーム・キングダム』だ!!

 なんかすっげーツボったんですけどっ(笑)。

 ナチュラルにホモな作品らしい、ことは小耳に挟んでいたさ。
 通いまくった星組公演、ロビーで流れるスカステ映像では、えんえんえんえん、トドコムがラブシーンもどきをやっていたしな。

 あー、ホモだわ……ホモがじゃれてるよ……。
 ぼーっと画面を見るわたしに、
「でもここの演出、藤井くんらしいですよ」
 と、デイジーちゃんがささやいた。

 藤井かよっ!

 耽美を描く才能のない、あの藤井大介?!

 抱き合う素顔のトドコムを眺めながら、わたしの祈りはひとつだった。

 頼む。このシーンは地毛でやってくれ。阿呆なカツラはいらん。

 ヅカの男役ってのは、存在自体がファンタジーでドリームで耽美なんだよ。
 オスカル様カツラはいらん。心からいらん。そんなもんがあった方が、耽美よりお笑いに近くなるんだ。
 ついこの間見た、ゼウス様@寿美礼ちゃんの「涙で前が見えません」てなものすげー「藤井流耽美姿」だとか、体育会系筋肉男がニューハーフ・ショーのノリで披露した水仙ダンスとかの悪夢が、脳裏によみがえる。

 びくびくしながら、本日初日。

 カツラじゃなかったっ!!

 「Part1 ROSE〜深紅に染まる夢」演出・藤井大介。
 タイトル通りの真っ赤っかの世界。

 コム姫、魅力爆発。

 紅薔薇のドレスのよーな燕尾服姿に、まず、くらり。
 燕尾部分が行きすぎてて、後ろ姿だとドレスのよーです。

 次に出てきたときも、やはり薔薇の蕾を連想させる衣装。際立つ美少年ぶり。

 その美少年が、気だるげに美女たちをはべらせる……。
 しどけなくソファーに坐った美少年に、妖艶な女が「札束」をばらまく……。

 か、買うんですかっ、その美しい少年をっ?!

 ちなみにこのシーンの設定は、“伝説のタトゥーを持つダンサー”ROSSO@コム姫で、札ビラきる女が、伯爵夫人@まーちゃん。
 なんなの、この配役はっ。
 他のどんなトップコンビでも、ありえないキャラ立てだぞ(笑)。
 美少年とパトロンかよ……。
 それとも、男娼と客……? ゲフンゲフン。

 この女たちをはべらせる「魔性の男」コムちゃんもすばらしいのですが。

 さらに愉快なのは、そこに薔薇収集家@トド様が現れること!!

 薔薇収集家がトドで、薔薇がコムって!!
 なんなの、その妄想配役じみた世界は。

 コム姫、トド様に「収集」されちゃうのっ?!

 と、思いきや。

 逆でした。

 薔薇収集家が、魔性の薔薇の「虜」になる物語でした。

 う・わー……。

 なにがすばらしいって、ナチュラルなトド様の美中年ぶりと、コム姫の美少年ぶりですよ!!

 ふたりの年齢差、キャラの差がいい感じ。
 トド様、なんてふつーにおっさんなの……青臭い青年が道を踏み外すんじゃなく、世慣れた壮年の男が堕ちるからこそ、際立つ背徳感!

 いやあ、美しい。
 いいもん見せてもらいました。
 なんだよ藤井、やればできるんじゃないか。
 ってゆーか、役者のキャラ勝ちってだけな気が、しないでもないが(笑)。

 トドロキの正しい使い方だよなあ……。

 
 タカラヅカは、トップスターを中心としたピラミッドを形成し、成り立っている。
 トドロキ降臨は、そのシステムを否定するものであり、どーしたって軋轢を生む。

 んじゃ、そこで生まれる齟齬をどーやって緩和するか。

 俗に「2番手はオイシイ」という言い方をする。
 主役というものは大抵、善で白で没個性だ。それに対峙する役こそが、悪で黒で個性的、客観的に見るととても魅力的な役回りだったりする。

 トド様降臨するなら、そうするしかないだろう。
 トップになってしまったあとは、毒にも薬にもならないどーでもいいハンサムの役しか当たらない、そこで一発、そのどーでもいいハンサム役をトドにやらせて、トップスターは色濃いオイシイ役をやる。

 でなきゃ、トドを使う意味がない。

 だからこその、薔薇収集家と薔薇の美少年。
 真ん中に立つ男を誘惑する美少年なんて、本来のヅカなら、トップスター様がやる役じゃない。コレクターがトップで、誘惑者は若手男役だろーよ。
 されどコム姫は本来、この誘惑者がハマる美少年キャラ。
 トップになってしまった以上、しかも2番手があのヘタレのかしげである以上、見ることはできないと思っていたシーンが、現実に。

 ありがたいねえ。
 ふたたび、魔性のコム姫を堪能できるとは。

 それに、どれだけトド様が出張っていても、ちゃんとコム姫がトップスターだってわかるよ。
 成長したんだね。かっこいいよ、コムちゃん。

 
 「Part2 白昼夢−IMITATION DREAM−」演出・齋藤吉正。
 「白」昼夢、だからですか? 白、でした。真っ白カラー。

 てゆーか。

 今度は狼かよ、齋藤吉正!!

 脚線美をさらしたかわいこちゃんたちが、白耳つけてました……。

 どこまでマニアックなんだ、齋藤吉正。
 もうすでに、狙ってるだろ? 齋藤とくれば、耳キャラだって。観客が「次はなに耳かしら」と期待すると思ってるだろ。その域にまで達してるだろ(笑)。

 しかも、ロリータだのナースだの婦人警官だの、力一杯行き過ぎてますがな。
 齋藤くんの趣味全開で、笑いが止まらなかった。

 どこを見たらいいのかわからないバラエティぶり。みんなかわいい。みんな愉快。
 和風というか中国というか、そっちテイストのごった煮風。かわいい、も、かっこいい、も、なんでもアリ。とにかく齋藤色全開。齋藤ファンならたのしめるだろう。

 しかしこの物語も、トド×コムなんすね?
 恋人同士のコムまーを、白狼S@トドが引き裂いちゃうわけっすか?
 そして、最後にコムが選ぶのが、白狼って……。

 
 続く

    
 幸運なのか、不運なのか。

 わたしは『ドルチェ・ヴィータ!』というショーを、とにかく見倒した。
 最初は積極的に通ったし、最後の方は半分義務みたいに通った。

 それは、幸運なのか、不運なのか。

 この作品は大変クオリティが高いし、またわたしのツボにハマる。
 そんなすばらしい作品で、ダーリンを見送れるのは幸運だろう。

 でもな。
 わたしどーしても、損している気がするんだ。

 わたしのダーリンがケロじゃなかったら、もしくはケロちゃんが最後でなかったら、わたし、どんなふうにこの作品と向き合っていた?

 もっと冷静に、客観的に視ることができたんだよ。

 それが、くやしい。
 冷静でない自分が。
 もっと他のなにかを感じられたかもしれない、わたしの可能性が、閉ざされてしまっていたこと。

 他のどーでもいい駄作ショーなら、潔くケロだけを見つめ、オペラグラス固定、かのひとの姿だけを目で心で追い続けるさ。
 しかし『ドルチェ・ヴィータ!』だよ? この作品を、いくらダーリン恋しとはいえ、ONLYの目線にはできないよ。それは、渾身の力で作品を創り上げているダーリン自身にも失礼だ。
 わたしは公演中いろんな席で舞台を見たし、発売日に1枚もチケットを持っていなかったわりに、オペラグラスなしでかまわない席でけっこう観劇していたので(がんばったよオレ……)、ケロ以外見てません視界でいたことは少ない。
 ケロを見つめつつも、全体を理解したいと心から思っていた。

 彼がいる、彼が生きる「世界」を、愛していた。

 だから、「ずっとオペラグラス使ってたんで、ケロちゃんしか見てません。どんなショーだったか、シーンだったか知りません」てなことにだけは、なりたくなかった。

 そう、思ってはいたけれど。
 やっぱり、わたしの視点はケロ中心になる。
 冷静であるはずがない。

 どうしてこれで見納めなの?
 たしかにすばらしい作品で、この作品なら何十回見たってかまわないよ。通うことが苦じゃないよ。
 だけど。
 すばらしい作品だからこそ、「これで最後」という事実が、意識が、邪魔だった。
 わたしのなかで。

 オギーに利用されているのも、くやしいし。

 オギーは「別れ」の演出がうまいよ。
 現実の別れを作品の中の別れにリンクさせ、そりゃあすばらしいモノを創ってくれるさ。
 ケロファンとして、ここまでの花道をよくぞ用意してくれました、と、感涙したさ。

 でもさ。
 ある意味それって、利用されてるんだよね。
 現実の別れをリンクさせることで、自分の作品を盛り上げているの。表現に深みを出しているの。

 両刃の剣。
 現実と虚構。相乗効果と相互依存。

 博多座と、ストーリーもテーマも変わっちゃってるじゃん? 博多座の主人公はドルチェ・ヴィータ@檀ちゃんだったでしょう?
 でも大劇では、彼女は主役ではあり得ない。

 そこに作為を感じる。
 何故ディアボロがトウコなのか。ケロが去るこの舞台で、トウコの役がディアボロなのか。

 ディアボロを中心とした物語として『ドルチェ・ヴィータ!』を見た場合、男S@ワタルを得ることの出来なかった孤独な悪魔は、最後にもうひとりの男@ケロと出会う。
 男には、誰にも見えなかったはずの悪魔が見え、自分の意志でその手を握る。
 男が悪魔の孤独を癒せるのかどーかはわからないが、とりあえず、悪魔は共に堕ちるつれあいを見つける。

 男を演じているのがケロなもんだから、こいつってばやたらうれしそーで、ディアボロのこと素直に愛しちゃってるみたいで、「ハッピーエンドかよ」って終わり方なんだが。

 千秋楽。
 涙をこらえて顔をゆがめたままのディアボロに、男はとてもすがすがしい、美しい笑顔を見せる。

 物語の上では、ディアボロは共に堕ちる者を見つけた。
 握る手と手。

 しかし。
 現実のトウコは、この手を、失うんだ。

 男は、いってしまう。寂しがりやの小柄な悪魔を残して。

 うつむいて泣き出したトウコの手を握って微笑むケロは、いなくなるんだってば。

 ねえオギーってさ、これをやるために、この作品を創ったんじゃないの?

 ディアボロを二重の意味で孤独にするために。
 物語のディアボロが友を見つけたとき、現実のトウコは友を失う。
 この仕掛けを、最後にぶちかますつもりだったんじゃないの?

 ……と、うがった見方をしてしまったよ。

 もしもケロがこのままずっといてくれれば、やっぱりこの作品は別のものになっていた気がするんだ。
 ケロの花道を盛り上げてくれたのは事実だけど、ケロの存在を利用して作品を盛り上げることも、目的だった気がするんだ。

 もちろんそれは、すばらしいことだよ。

 くやしいけど、すごい。
 冷静になれない自分、オギーの仕掛けた罠の中にずっぽりハマってしまっている自分が、そしてたぶん、それこそがこの作品を味わう醍醐味なんだろうと思うことが、うれしく、せつない。

 
 幸運なのか、不運なのか。

 最後の方は、義務みたいな気持ちで通ったよ。
 心を鈍化させるために観続ける、みたいな。

 いっそ、どーでもいい駄作ショーなら、よかったのかもな。
 なにも考えず、感じず、ダーリンだけを見つめていられる。
 剥き出しの心臓を握られるよーな、そんな想いをせずにすむ、仕掛けだの罠だののない、ふつーの作品なら。

 
 うん、いろいろ考えたんだけどさ。
 いちばんいいのは、ケロが、辞めるのやめればいいんだよ。

 そーすりゃ、すべて丸く収まるさ。オギーの仕掛けなんかに惑わされず、作品をたのしめるさー。利用されずにすむさー。
 すげー本気で、思ってるよ(笑)。

    
 千秋楽の日記は書きたくないので、おとなしく「み」さん=チェリさんの日記をたのしんでいる。

 楽公演のことで今書けることと言ったら。

「しいちゃんのモミアゲ、チェックしました?」
「ああっ、してません!!」
「なんで〜、今日もまたしいちゃんのモミアゲ、耳の下まであったよ? 見なきゃ!」

 とゆー会話を、kineさんとしたことぐらいかしら。

「しいちゃんひとり、またハズしてましたね……」
「ねえ。どーしてああハズすかな、あの人は」

 フィナーレの白いスーツの男たち、もうすでに脚本を忘れ役を忘れ、「サヨナラショー・バージョン」になっていた。
 ひとりずつの顔を、親しげにのぞきこむケロ、それに笑顔ややさしい表情で返す男たち。
 ディアボロ@トウコですら、役をはなれて「トウコちゃん」になっていた。

 なのに、しいちゃんときたら。

 ひとりだけ、役のまんまで踊ってる……。
 みんな素敵な笑顔なのに、ひとりだけいつも通りのこわい顔。

 素の笑顔で踊ってもよかったのに。
 真面目っつーか要領が悪いっつーか。

 そこがいいんだけど。

 泣くのを我慢して、顔がこわばっていたのだと、解釈しておこう。
 コーザノストラのときもすでに、場の雰囲気からハズレていた気がするんだが、それもまあ、味だと思っておこう(笑)。

 あ、でもでも、そのコーザノストラ。
 上手から帽子を脱いだ姿で出てくるとき、いつもケロ&しいはなにかしら小芝居してるよね。
 それが楽のときはさいこーに萌えでした。

 てゆーか。

 あっ、こいつらデキてるんだ。

 と、素直に納得しました。
 ケロに見せた、しいちゃんの大人の男の微笑に、絆を感じて。

 なんだよしいちゃん、あんな顔もできるんじゃん! いつの間にか大人になっちゃって。ナニがあったの? やっぱりナニか? ケロ兄さんはいい男だよね。

 あくまでも、「コーザノストラ」としての話なんで、べつに本人たちの関係の話じゃないすよ、念のため。役名がないのが悪い。

 
「あそこは良かったですね」
「ずーっと欠かさずチェックしてきて、最後にいいもの見せてもらいました」

 わたしとkineさんの共通言語はしいちゃんなので、ふたりでよくしいちゃんの話をしている……。
 いや、ケロやワタさんの話も、もちろんいろいろしているんだが。

 だって、しいちゃんの話をできる人なんて、他にいないもんよ。

 しいちゃんをわざわざ見ている人だって、周りにひとりもいないもんよ……kineさんだけさ。
 だから必然的に、共通言語化するのだった。

 あと、すずみん語りとかなー。他にできる人いないもんなー(笑)。

          ☆

 さて、楽の夜は2時半だっけか3時までだっけか、Be-Puちゃんと一緒だったってのに。

 翌日もまた、一緒にメシ食ってました。
 『ハウルの動く城』の試写会に、一緒に行ったもんでな。
 いや、つっこみどころの多い映画でしたよ(笑)。

 そのときに、Be-Puちゃんは言うのさ。しみじみと。

「今、電車の中ではコレを読んでる」

 彼女が取り出したのは、ハガレンの小説本だった。
 なんであなたがハガレンなの?

「友だちがコレのすっごいファンでね。この間、うちに泊まりに来たときに、誕生日プレゼントだって言って、コミックスと小説の既刊本全部買ってきてくれたの」

 …………誕生日って……あなたの誕生日、半年も前じゃん?

「その子、ハガレンがものすごく好きで、布教したかったらしいの。原作もアニメのDVDもみんな集めてるらしくて」

 貸してくれたんじゃなくて、買ってくれたんだ……。

「わたしにもハマれって」

 ハマれそうですか?

「……前にも、『NARUTO』を強引に置いていったなあ……」

 ああ、おぼえてるよー。
 まだコミックスが出る前で、「絶対おもしろいから読んで!」って、少年ジャンプのページをコピーして、製本したお手製本を置いていったんだっけ。
 ただでさえ印刷の悪い週刊マンガ雑誌をコピーして製本したものだから、印刷めちゃ悪で、見せてもらったわたしも、目が滑って読めなかったっけ。

「『ハガレン』でも『NARUTO』でもいいから、わたしに話を振らないでよ……わかる人、ハマってる人と話してくれよ……」

 遠い目をしてBe-Puちゃんは言う。
 家だと読む気にならないから、わざわざ電車で読むためにハガレン小説本を持ち歩いているのだという。
 いやその、そこまで読むのが苦痛なら、読まなくていいと思うんだけど。Be-Puちゃん、真面目だから。

 萌えるのはその人の自由だけど、他人に押しつけちゃダメだよねえ。
 とくに、腐女子でもなんでもない人にしちゃ、ダメだよ。

「なんかいろいろ、萌えを話してくれるんだけど、なに言ってんのか、どこがいいのか、さっぱりわからないのよ。マンガはふつうにおもしろいんだけど……おもしろいってだけだし、小説版まで読むほどでもないし」

 Be-Puちゃん自身はオタクでも腐女子でもないんだが、マンガ好き・本好きなのが災いして、周りにオタクが多い。かく言うわたしもそのひとりだ(笑)。
 気の毒にな、Be-Puちゃん。拒絶反応がないから腐女子話も笑って聞けるとはいえ、べつに興味ないのになー。オタクってすぐに「布教!」とか言って押しつけるからイカンよなー。

 「他人事」と、なまあたたかく笑って聞いていたわたし。

「『花舞う長安』だってさ、緑野さんが玄宗総受だとか、安禄山攻だとか、変なことばっか言うから、わけわかんなくなるし」

 はうっ?!

 わ、わたしも迷惑オタクですかっ?!


 人を呪わば穴ふたつ。わーん、ごめんよBe-Puちゃん!!
 でもこれからも、萌え話聞いてね! 懲りないさ……(笑)。

     
 自慢することがある。

 わたしは、しあわせな人間だ。

 千秋楽、いろんな人から「倒れてませんか?」と聞かれた。実際に言われたり、メールだったり。
 お茶会で泣きすぎて、帰り道で貧血起こして倒れて、雨の中べちゃべちゃになって泣きながら這うようにして帰った。あんまり悲惨な姿だったので、もうネタにして笑うしかない、てな具合で、持ちネタのひとつにした。

 そしたら、いろんな人に聞かれたよ。

「大丈夫ですか?」

 ありがとう。
 大丈夫。

 FCに入っていないわたしは、楽屋口でケロちゃんを見送って、そこでおしまい。
 さあ、どうしよう?
 ねえ、どうしよう?

 なんだか途方に暮れるわたしの脇に、友だちがいる。

「おなかすいた。ごはん食べようよ」

 「MDはダビングして明日、送ってあげる。1日も早く聴きたいでしょう?」と言ってくれたモリナ姉さんと別れ、Be-Puちゃんとkineさんとファミレスへ。

 喋る喋る喋る。
 チープに食べて、ひたすら喋って。

 笑って。
 なんかもー、ひたすら笑って。

 ちょっとドーピング気味。立ち上がるために薬を多めに飲んで(使用上の注意は守りましょう・笑)。
 いいんだ、わたしは今ここで、笑っていたい。

 帰り道は珍道中。
 地図を片手にkineさんの家までドライブ。
 道はこれでいいの? なんかどんどん寂しくなるんですけど、周囲。行きはいいけど、帰れるのか??

 BGMは『ドルチェ・ヴィータ!』、エンドレス。
 ワタさんの歌、なに歌ってんだかわかんない、とわたしたちが言えば、kineさんが歌ってくれる。

 とにかく喋って、笑って。
 流れているのは『ドルチェ・ヴィータ!』、別れと痛みと喪失の歌。

 くっだらないこと言って笑っているBe-Puちゃんとkineさんの声を聞きながら、わたしはときどき泣きたくなる。
 わっと声あげて泣きたくなる。
 それでも、一緒になって、くっだらないこと喋って笑って。
 

 自慢することがある。

 わたしは、しあわせな人間だ。

 こんな夜に、こんな帰り道に、ひとりじゃない。
 喉が枯れるまで馬鹿話して笑う。

 ありがとうケロちゃん、こんな夜をありがとう。
 かなしくてかなしくて、そしてなにか突き抜けて、すこんとなんだかあたたかい。
 くるしいけど、癒されている。

 ありがとう。
 なんかもー、よくわかんないけど、ありがとう。

 かなしくてせつなくて、感謝の気持ちでいっぱいだ。
 今日同じ空間にいた人たち、響き渡る拍手の音、愛しそうに視線をめぐらしていたケロちゃん、動く空気、鳴る空気、ひとのこころが満ちているのがわかるよ、ありがとう。
 Be-Puちゃんもkineさんもモリナさんもチェリさんも、ありがとう。メールくれた人たちもありがとう。

 こんなに、大好きでいさせてくれて、ありがとう。

       
 わたしにケロファンの友人は少ない。ぶっちゃけ、チェリさんだけだ。
 わたしにとってこの公演は特別なモノだが、他の友人たちにとっては数ある公演のひとつでしかない。

 だけど、千秋楽を明日にひかえ、なんかしらみんな集まってきている。

 それが、作品の持つ力なんだと思う。

「観ないと後悔すると思って」

 1回観たからもういいや、とすっかり足を遠ざけていたBe-Puちゃんが、現れた。

 「これで見納めです」と昨日劇場からメールをくれたデイジーちゃんが、

「何故か今日も来てしまいました」

 と、現れた。

「視力が弱いので、限界です」

 と言いながら、モリナカ妹さんがやってきた。

 星組公演『ドルチェ・ヴィータ!』が明日で終わる。
 終わってしまう。

 そのことに急き立てられ、背中を押され、劇場にやってくる。

 そのときその一瞬を共有することでしか、味わえない「舞台」というもの。
 映像でなく印刷でなく、空間と時間。
 どこに残すこともできないモノ。

 自分の目と耳と心でしか、残せないモノ。

 消えることが前提、終わることが前提のモノ。

 
 終わってしまうことを惜しんで、人が集まってくる。

 
 ちなみにわたしは、kineさんとデート。
 ふたり同時にオペラが上がるところがしいちゃん限定ってのは、どういうことですか(笑)。
 終演後もみんな集まってファミレスで喋り続け、喉が痛いってばよ。

 
 終わる、ことはわかっているけれど。
 わたしはなんだか、夢を見ているようだ。
 ディアボロの夢の中にいるんだろうか。

 終わるなんて、信じられない。

 いつか見た夢の続きだろうか。
 ほんとうにこれは現実だろうか。
 てゆーか、現実ってなによ?
 あたしのなにが「リアル」だというの。

 みんな嘘でしょ?
 そんな気がする。

 
 水の中を歩いているような、そんなわたしが今日思ったこと。

 コーザノストラ@しいちゃん、モミアゲがんばりすぎ。 胸毛がありそうな、そんなモミアゲっぷりに目が釘付け。

        
 ずーっと貼りっぱなしだった、トド様のディナーショー・ポスターを、剥がしました。
 95年、と書いてある。
 わたしが、江上さん@大上海と出会った年だ。

 剥がすの、大変だったよ。
 なんつっても10年近く貼ったまんまだったわけだからなー。押しピンが、びくともしない。

 いざ剥がそうとして、突っ込んだよ。押しピンかよ、自分!!

 当時、トド様をいちばん好きだったはずなのに、平気で押しピン使ってたんだ……穴空いてますがな、はずすときに周囲の紙が傷みますがな。
 あんましモノ考えてなかったんだな……。苦笑。

 そしてその場所に新しく、江上さん……ケロちゃんのディナーショー・ポスターを貼る。

 押しピンなんぞ、使いませんとも!!

 裏からテープを貼って四隅を補強し、テープの上から「耳」を貼り、その「耳」を押しピンで留める。
 これでポスター本体はまったくの無傷。
 いい仕事したわ、惚れ惚れ。

 トド様のポスターはかなり天井寄りに貼ってあったので、あんまり見えなかったけれど、ケロちゃんのは思い切って目線に貼ってみた。
 う・わー、目が合う(笑)。

 ただ、「いちばんよく見える、毎日わたしが見てうっとりできる場所」に貼ったってことはさ。
 それってつまり、ベッドの横のことで、ベッドで本を読んだりゲームをしたり小説書いたりするわたしは、そこにかなり強い照明器具を置いている。
 60W裸電球の真横ですがなっ。

 絶対、色褪せる。

 それだけが心配……。
 まあ、毎日直射日光にあたるわけでなし、日に何時間のことだから、数年は無事だと思うけどさ。

 色褪せる・傷む可能性のある場所、ってのは、いちばんよく使う場所であるってことだから。
 やっぱりどうしても、そこに貼りたかった。
 生活にいちばん近いところに、貼りたかった。

 大丈夫、そのためにポスター2枚GETしたんだもん!!(笑)

 1枚は貼って眺める用、1枚は完全保存用。
 2回も同じ店で同じメニューを食べたのよ。ポスターのために!!

 
 ケロちゃんのディナーショー・ポスターは、宝塚ホテルで食事をするともらえます。決まった店の決まったメニューな。
 ひょっとしたらディナーショー当日もホテル側が抱き合わせ販売をしているかも、しれません。
 無料で配布されているちらしとは写真もデザインもなにもかもチガウので、ケロファンならばぜひGETするべし。

 てゆーか、あのちらしはひどいよねえ。「間に合わせです」と書いてあるがごとき、素人臭いデザイン。ケロちゃん本人の写真うつり云々ではなく、デザインな。
 スパークヒップスの公演ちらしがいつもものすげーので、オギーの、ちらしにはあまりこだわっていなさそうな、正直「そのちらしはどうよ?」なセンスを彷彿として、目眩がしたもんっすよ。
 よかった、ポスターはまともで。
 ぜんぜん凝ってないけど、正攻法でかっこいい。

 それにしても、ムラを歩いていて、タニバウ&ゆうひバウ、そしてきりやん&ケロDSポスターが並べて貼ってあると、どこのホストクラブのメンバー表ですか?! って気がする(笑)。
 やっぱホストクラブ『シューマッハ』ですか?

 なにがどうじゃないけど、せつないね。
 大好きだったよ、4兄弟。

 
 部屋に貼ったケロのポスターも、時間と共に色褪せていくんだろう。
 わたしの過ごした時間の分だけ、変化していく。

 共に変わる。
 同じ時間を生きる。

 会えてよかった。

       
 以前、あるパーティで知り合った人に、メールをもらった。ちなみに女性だ。

「緑野さんとは同じ大阪在住ですし、またお会いしたいですね。なにかありましたら、ぜひ声を掛けてください」

 挨拶文が主なメールの最後に、そう書いてあった。

 わたしはよろこんで返事を書いた。

「じゃあいつ会います? わたしは*日と*日以外なら、いつでもいいです!」

 ………………返事は来なかった。

 社交辞令だったのか……っ!! がふっ。

 これってさあ、がっついたナンパ男みたいじゃん?
 コンパで会った女の子に「そーね、また会いたいねー。みんなで集まるときは声かけてね」程度の温度のメールもらって、「よっしゃあ、んじゃデートしよーぜ、いつ会う、どこ行く?」と鼻息荒く騒ぎ立てるよーな。
 向こうとしてみれば「ええっ? あたしただ、挨拶メール出しただけじゃん、大人として! なんで本気メールが返ってくんのよ、キモッ」てなもんなんじゃあ?

 あたし、カンチガイ男ですかっ?!(泣)

 
 と、涙に暮れた日のことを思い出しました。

 とゆーのも、
 メールをもらったんだわ、モリナ姉さんに。

「緑野さん、花DCは観るんですか? チケット用意できそうなんですが、いつがいいですか?」

 これを読んで、わたしは思った。デートの誘いだっ!!

「星東宝楽付近以外で、モリナさんと一緒に観られる日なら、いつでもいいです」

 わくわくと返しましたともさ。
 そしたら、それに対しての返信は。

「え、私におさちゃんを観ろと?いや、考えさせて。(笑)」

 デートの誘いぢゃ、なかった……っっ!!

 またやった? あたしまたやったのね?!
 またしても、ひとりでカンチガイしちゃったのねっ?!(泣)

 モリナさんは、オサちゃん大好きなわたしのためにわざわざ、「チケットありますよ」って声をかけてくれたのよ。自分は観る気もないよーな公演なのに、わたしのために骨を折ってくれるんだわ。
 ありがたい、ありがたいよ、ねーさん。心から感謝します。

 でもわたし、そのうえさらに、デートの誘いだと信じて舞い上がったわ(バカ)。

 チケットを譲ってくれることもうれしいけど、「一緒に行きましょう」と言ってくれるのもまたうれしいのだ。
 観劇というとっておきの時間を、「共有しましょう」と誘ってくれるわけだから。

 そしてカンチガイ者は恥じ入りながらフォローメールを出す。

「い、いやその、無理にとはもうしません…。」

 モリナさん、オサちゃん嫌いだった……観るわけないわな、オサちゃん主演DCなんか。しかもこだまっち作品だし。
 わたしの分だけでも、用意してもらえたらすげーうれしいです。はい。自分でもチケ取りがんばりますが、お願いしていいですか。もぢもぢ。

 
 春夏秋冬、365日、いつでも人恋しい緑野です。
 カンチガイも勇み足も人生の華。
 
         
 わーいわーい。
 ついにゾロ目を踏みました。

 いつもいつも、運悪くゾロ目を踏めないこのわたし、今回よーやく、「99999」をこの目にすることが出来ました。

 や、ちょっとズルしちゃったんだけどね。
 パソコン立ち上げて、日記ページに来てみたら、「99996」だったんだもんよ。迷わずリロードしちゃったよー。1回リロードしたら、運良くゾロ目になってくれました。

 理由はないけど、なんかゾロ目ってうれしいなあ。

 それにしても、最近はカウンターが飛ぶことなくなったなあ。以前は何回か飛んで、0スタートになってたけど。訪問者の数は今の方が断然多いのにねえ。サイトの仕組みはよくわかりません。
 いつまた0に戻っているかもしれないので、ことさらに、たくさんの数字のゾロ目がうれしいぞっと。

          ☆

 カウンターの話だけではなんなので。
 星組語りに欄を取られて、書けなかったことでも書いておきましょう。

 あさこちゃんのパーソナルブック、買いました!! ちゃんと発売日に。

 買う予定はまったくなかったんだが(笑)、対談相手がゆうひくんだったもんで、つい。

 あさちゃんのパーソナルブックを買うつもりがなかったのは、「わたしが買わなくてもみんな買うだろうから」という理由です。
 プレゼント応募のために4冊買う予定で、そのうち3冊は、大好きなトウコ・ゆうひ・水しぇんと決まっているので、残りはあと1冊。
 やっぱここは、売り上げが低そうなかしげを買うべきだろうな、と思ってたんですよ。
 がんばれかっしー! いつも応援してるぞーっ。ということで。あ、こうなったらかしげも買います、ちゃんと。はい。

 ああ、それにしてもあさこちゃん、かっこいい……っ。
 溜息。
 眼福眼福。

 かっこいいだけでなく、かわいいしなぁ。

 でも、ひとつ不満だぞ。

 今回のパーソナルブック、エロくない。

 前回のパーソナルブックでいちばんどきどきしたの、わたし的には顔に痣のある瀬奈さんだったんですけどっ?!

 ケンカのあとなのかしら、ボクサーという設定なのかしら、口元に痣、拳に包帯。鋭い眼光。

 なんかすげえ萌え〜〜っっ!(鼻息)だったんですけどっ。

 それから、かなみちゃんと1枚の毛布にくるまっているところ。
 かなみちゃんがに見えて、これまた鼻息っ。
 どーせなら、あさこも裸でくるまれっ、シャツが邪魔だっ! と、心から思いましたよ。

 ジゴロ風というか、チンピラ風な写真が多いのも、ツボでしたわ。

 でも今回のパーソナルブックは、育ちが良くなっちゃってる……。
 きれいなんだけど……かわりにエロくない……。

 瀬奈じゅんの持つ、男の色気度が下がっている気がする。
 かわりに正当派美男子度が上がった気はするけど。

 まあ、受度の高い表情が多くて、それはそれで萌えなんだがな(笑)。

     
 愛ですわ、愛。

 本日の観劇を決めたのは、チェリさんが同公演を観劇すると聞いていたから。
 どうせなら、友だちと一緒の方がいいもーん。
 まあ、この公演ではわたし、ムラ生息率が異様に高くて、「今度いつムラに行きますか?」と問われて「毎日いるから、いつでも携帯に連絡して」なんて答え、相手を絶句させたりしていたけど。(そのへんの日付がたまたま毎日だったんで、べつに皆勤賞ってわけでもないんですが)

 なんか疲れが溜まっているのか、睡眠不足のせいか、毎日やたら眠い。だるい。
 お茶会で泣きすぎて発散しすぎて、精神的にもどーも呆けている気がする。

 行き帰りの電車で寝るつもりが、えんえんメールしてたりで、寝てないしな(笑)。

 チェリさんと同じ公演を観る、ったって、座席聞いてなかったなー、公演が終わったら電話してみるかー、と、ぼんやり考えつつ、幕間は睡眠補給しよう、と寝ていたら、当のチェリさんに襲撃された。

「もう芝居は終わってますよ(笑)」

 わーい、チェリさんの方から来てくれた。うれしー。
 ……のはともかく。

「ちゃんと起きてましたよー、最後拍手したもん!」

 芝居の間中寝ていたワケじゃないですってば。そんな、人聞きの悪い(笑)。
 もうカラダにリズムが刻まれているので、寝ていいところと起きているところとは、ちゃんと区別がつくのよ。
 芝居の途中から劇場に入るとしたって、「あ、今何時何分だから**のシーンだわ」とかわかるしな。

「髪飾り渡してました?」
「……渡してません」

 チェリさん曰く、起きていたかどうかを確認するのは、7月7日のラヴラヴ玄宗が楊貴妃に「愛の証の髪飾り」を渡すところを、見たかどうか。
 起きている人が極端に少ないシーンゆえに、確認事項にされている。

「でもでもっ、返品シーンは見たし!」

 最後のシーンで、楊貴妃が玄宗にその髪飾りを返す。そこはちゃんと見ているよ。

 すみません。
 こんな見方がいけないのはわかっているけど、さすがにこの回数観ていると、どーしても幕開きから数えて「約45分後〜1時間15分」までの30分間が、つらくてつらくて。
 かなりの回数、ふつうにちゃんと観ているので、力尽きているときだけ、この30分間オチていることをお許し下さい……。

 チェリさんはどうも「すずみんファン認定」されたみたいっすね。
 ずーっとすずみんだけを見ているから。
 すずみんから目線もらえたって?(笑)

「見てない〜〜っ!!」

 チェリさんじたばた。
 ははははは。

 わたしは好きな人には絶対近づきたくない、こうやって遠いところで勝手に日記書いたりしているのがいちばんたのしい人なので、FCにも入らないし、入り出待ちもしない。相手に顔を覚えられたり絶対にしたくない。
 舞台から目線をもらえたらうれしいけど、それは「わたしだから」もらえるんじゃなく、「たまたま」もらえるのがいい。「今日はラッキー」と思えるのがいい。

 だから、ケロちゃんがどんな人なのかは、関係ないんすよー。
 釣った魚に対してどうなのか、なんかとても興味深くも他人事として聞いておりました(笑)。なにを聞いてもわたしの愛に変わりはないんだもーん。

 そっかあ、知った顔の自分のファンが前方席で必死に見つめていても、目線くれたりしないんだー。
 チェリさんと一緒に某さんの生徒席にいたときは、ちゃーんと某さん、こっち見てくれたし、わたしたちもお辞儀したり拍手したりで、双方向に意思の疎通があったのにね。

 見てくれない人を必死に見つめていたら、隣のすずみんが「おっ、俺様のファン発見」ってことで、目線くれたのねー。
 すずみんって愛想いいよね、わたしも前、目が合ったらウインクされたし(笑)。

「すずみんって絶対、自分をスターだと思ってますよね」

 うん、思ってる。絶対思ってる。

 てゆーか、ソコがいいのよー(笑)。
 ひとりだけ張り切ってマントひるがえしてたり、花道から銀橋に入るときと出るとき、わざとゆっくりして長くいい位置に滞在してみたりさ。
 ふつーならしないって!! ってことを、大真面目にこつこつやっているところが、わたしにはすげーツボだ(笑)。

 サテュロス@すずみんなんか、すげー好き。あのイタイまでの毒々しさがイイ。
 オギーはすずみんの使い方うまいよねー。彼の持ち味であるカンチガイ・オーラを全開にさせてOKなんだもんよ。

 すずみんには、少年マンガの「フリルのブラウスを着て薔薇の花を持った美形悪役」的な愛らしさがあると思うの。
 見ていて、「こいつ、後ろから膝カックンしてやりたい(笑)」と思わせる、ちょっかいを出したいよーな魅力。
 この人がこれからどうなっていくのか、とても興味深いです。へんに卑屈になったり、小さくまとまったりせずに、「わたしはスタァ☆」なまま、突き進んで欲しいなぁ(笑)。
 正直なとこわたしは、すずみんは「路線」ではないと思ってるけど。そんな位置なのに扱いなのに、ひとりだけ派手にがんばって「スタァ☆」しているのが、イイんだよなー(笑)。
 この人を語るとき、語尾の最後にどーしても (笑) をつけてしまう、そんな個性が好きよ、すずみん(笑)。

「え゛え゛〜〜?(語尾上がる)」

 チェリさんは思いきり怪訝な顔。
 そんなあ、共にすずみんに「ファン認定」された仲じゃないですか!(笑)

 
 忙しいチェリさんを見送ったあとは、またもチェリさんのお友だち(2日前とは別の方)と宝ホでランチ。
 さすがに、1日おきに同じメニューは飽きる……。

 チェリさんのお友だちさんはみんな愉快な方々なので、ましたしてもきゃーきゃー盛り上がって、レストランに長居して(笑)、途中まで一緒に帰った。

 電車の中、にぎやかな学生たちが大勢ふざけあいながら入ってきたとき、座席に坐っていたわたしとそのお友だちさんは、ふたりそろって無言で手にしていたポスターを抱きしめた。
 だって、学生たちにぶつかられて、ポスターが傷んだらいやだもの。
 ふたりそろって同じ動作をしたので、ウケてしまった。

 そうよね、大切な大切な、ダーリンのポスターだもんねっ。

 愛ですわ、愛。

       
 なんか今、激しくしいちゃんネタで創作したいんですけど……。

 何故しいちゃん?!
 てなもんですが。

 kineさんとメールで『ドルチェ・ヴィータ!』語りをえんえんやって、その傍らでしいちゃん語りをやっているせいですね(笑)。

 『ドルチェ・ヴィータ!』でパロというか、モチーフにしたオリジナルを書きたい気持ちは多分にあるんだが、プロット考えただけで「……長編じゃん……」と遠い目になってしまった。文庫1冊分のテキストは軽く行くな……。
 書くのはたやすいが(たやすいのかっ?!)、『ドルチェ・ヴィータ!』という作品の性質上、ただの自己満足オナニー作品になりそうで嫌だ。読む人がたのしいレベルまで持っていくのには、このネタはきついよなあ。自分の筆力の限界を感じる。

 自分だけがたのしい作品、は、基本的にわたしは好きじゃない。
 書くなら、「読者をどうやってたのしませるか」を念頭に置く。
 ……わたしの技術が目標に届いているかどうかは置くとして(笑)、書くうえでのスタンスはいつもそうだ。

 だから『ドルチェ・ヴィータ!』ってば、難題。
 絶対、ただの自己満足になるー、「ああ、書いた人だけがたのしいのね、読む人のことなんか考えてないわね」って作品になるー。
 そんなのやだー、わたしがやだー。じたばた。

 
 てな傍らで、しいちゃん萌え。
 彼の持つ幼い健全さに萌え。

 コーザノストラで、しい×ケロとか、ダメっすか……?
 はっ。いかん、これじゃケロ受じゃん! わたしは攻キャラスキー、でもわたし的にしいちゃんは不動の攻キャラなので、どーしてもしいちゃん絡みだと相手が受になる。

 『ドルチェ・ヴィータ!』全体をどうこうした作品は書くのが大変だが、コーザノストラのみにしぼったやほひなら、書きやすいよなー。

 ケロはマフィアを演じればぴたりとそれにハマる人なので、かっこいー腕も頭も切れる兄貴としてまんまOK。受でも攻でもオイシイ人。

 問題は、しいちゃん。
 えー、コーザノストラのしいちゃんは、すげーかっこいいです。なんかひさしぶりに、かっこいいしいちゃんを見た。黒いしいちゃんを見た。
 しかし。
 かっこいいけど、黒いけど……やっぱり、アタマ、悪そうだよね……。
 小物っぽいというか。
 ケロと同じ格好していても、チンピラっぽいというか。若いというか、青いというか。

 そこがツボなの。

 年齢でも立場でもなく、魂が幼い男。
 世慣れているし、腕も立つし、はったりもきく。
 だけどどこか、幼い。
 相棒のケロと比べ、安定感がない。もしなにか、このチームに、組織に破滅が訪れるとしたら、この男が火種になるのではないか。
 そんな不安を感じさせる、青さ。
 それが魅力。

 図体のでかい、大人の男なのにねー。
 どーしてそう、思春期の少年のよーな青さを持っているのか。

 バカ攻男、ヘタレ攻男、大好きだから。
 しいちゃん攻には萌えるわー。

 コーザノストラたちの設定は、どうなってんですかね?
 女ボス@シビさんとその手下たちでOK? そのわりにシビさんの役名、「ジプシーの女」だけど。
 まあ、女ボスということにしておこう。あの迫力はすげえしな。ケロもしいもその手下(幹部クラス)ってことで。

 ルールがあり力関係があり、ちゃんとバランスを保っていたはずの彼ら。
 しかし、謎の女ドルチェ・ヴィータの登場で亀裂が入る。

 静かに魅入られるケロ、熱く激しく堕ちるしい。
 疑心暗鬼と対立と、独占欲と裏切りと。

 幻の女が残した毒は、男たちをじわじわと破滅へ導く。

 ……てな話を考えて。

 ものすげー壁があることに、気がついた。

 名前。

 あいつらの名前、どーすんのよ??
 イタリアだろ? イタリア〜ンな名前をつけなきゃなんないじゃん。
 アントニオだとかフランチェスコだとかルチアーノだとか(てきとー)、くどくてこってりした横文字名前にしなきゃイカンわけ?!
 そんなの、独自でつけてもぴんとこないし、イメージつかめないよ。

 イタリアマフィアが「待つんだ、しい」とか「これはオレの問題なんだ、ケロさん」とか言ってたらバカだし。

 シオミーノとタツキーノにするとか?(語尾を伸ばせばイタリア風だと信じるバカ)

 だめだ……言葉の壁に負けた……っ! がっくり。

     
「結局、お茶会の日記は書かないんですか? 最後なんだから書いてくださいよ」
 と、「み」さん=チェリさんに言われた。

 いやあ、書くもなにも。
 書けることがないし。
 なにしろわたしは、ずーーっと泣きっぱなしだったから。

 今までお茶会やイベントでジェンヌさんと握手したりできるときは、必ずナニか言ってきた。黙って握手だけするの、相手に失礼だろうと思うし。感想なり激励なり、なにかしら伝えてきた。

 が。
 ケロちゃんとの握手、わたしは泣きっぱなしハンカチに顔埋めっぱなしで、話しかけるどころじゃなかった。
「大丈夫ですか?」
 と、ケロちゃんが言ってくれるほどに。

 大丈夫じゃないです。あなたのせいです。
 めそめそめそ。

 握手のあと、泣きながら引いたくじは、もちろんはずれ。
 なんでもケロちゃん直筆のくじらしい。たしかに1枚1枚たのしそーにいろんな言葉や書き方で「はずれ」が書いてある。アタリにしたって、愉快な書き方がしてあったし。

 ケロファンやって長いけど、FCには一切近寄らなかったわたしの、最初で最後のケロ氏直筆サインは「ざんねん」、最初で最後のわたし個人への言葉は「大丈夫ですか?」

 なんつーか、わたしの人生を象徴しているよーな気がするな……。

 いや、よいお茶会でしたよ。
 感動的でね。

 ありがたい席だったしね。
 ピアノの真ん前。
 大切にメロディを聴いているケロ、歌詞のひとつひとつを丁寧に歌っているケロ、そして泣いているケロが目の前だったし。

 わたしはとにかく盛大にヘタレていて、ひたすらがーがー泣いてたんだけど、それでも気になったよ。
 ケロちゃんの、ハンカチの行方。

 ピアノの前で泣いてしまったケロちゃんに、わたしと同じテーブルの方がハンカチを差し出した。
 泣く予定のなかったケロ氏(本人に伏せられていた演出ゆえに、キちゃったらしい)はそのハンカチで涙を拭く。
 あー、ケロの涙を吸ったハンカチ、持ち主の手に戻ったら触らせてもらおー、と、わたしはひそかに思っていた。

 しかし。
 涙の止まらないケロ氏は、はじめはおとなしく涙だけを拭いていたんだが……ついに、鼻水も拭いた。

 ……あのハンカチ、どうなるんだろう?
 涙だけならきっと、貸した人にそのままこの場で返すよねえ?
 しかし、鼻水まで拭いてしまった場合は……?

 気になった。ものすげー気になった。ハンカチの行方。

 ケロがピアノ前から去るときに、持ち主さんがハンカチを返してください、とリアクションした。
 するとケロちゃんは。

「ダメです。……絶対ダメ」

 と、ハンカチを握りしめて、返さなかった。

 一瞬躊躇したのは、返すのが礼儀かしらとかこのまま持って行っちゃったらまずいかなとか、ちらりと考えたせいだと思う。
 でも結局、ハンカチを私物化してお持ち帰り。

 そーよねえ、鼻水ついたまま、返せないわな。

 きっとFC経由で持ち主の元に、洗ってから返されるのだと思う。
「あのままでも良かったのに」
 と、ハンカチの持ち主を含めたわたしたちは話し、返却されたハンカチをどうやって保管するかなどの話に花が咲く。わたしなら、額に入れて飾るかしら。

 同じテーブルの方々、お世話になりました。
 盛大に泣きすぎてヘタレすぎてすみませんでした。

 なんかもー、逃げ帰りたい気持ちで、このアホみたいな腐女子日記書いてる自分も嫌で、「緑野こあら」はとっとと抹消しようかとか、本気で考えてもいたんですが。

 ま、いいか。
 所詮「緑野こあら」はここだけのキャラクタだし。
 わたし本人とはキャラがチガウわけだし。
 バーチャルはバーチャルでたのしみますわん。

 
 お茶会のことはこのへんでおくとして。
 今日は朝からムラでチェリさんに会って、まずはふたりがかりでタニバウさばき。
 ごめんねタニちゃん、もう一度観るつもりだったのよ、わたしは。たとえ「スコットがタニでなければ、この作品は名作だったんじゃ?」と首を傾げていたとしても、もう一度君に会いたかったよ。

 無事にさばけてよかった。とゆーのも、わたしたちがさばいたすぐあとに、さばきの人混みができていたから。
 あれほど売り手がいたんじゃ、出遅れていたらさばけなかったかも……?

 ちょっくら時間をつぶしたあと、宝ホでランチ。本日の目的。タニバウをあきらめても、このランチが目的。
 チェリさんのお友だちも合流。
 仕事のあるチェリさんは早々に退場。残ったわたしとお友だちさんでダーリン語り。何時間? 店を出たのが4時だから、わたしたち5時間も喋っていたの??
 すげー美人さんと、ケロちゃんのことだけを語るとゆー、なんとも贅沢なひとときでした。ほろほろ。

 じつはモリナ姉さんもムラに来ていて、「会えたら会おうね」と言っていたんだが、ごめんモリナさん、会いに行く時間がなかった。メールだけでお喋り。

 おつかいを頼まれていた父の病院は梅田だ、5時までだ、急がなければ。

 それから次は毎年恒例、第九のレッスン。梅田とは名ばかり、福島だろソコ、というレッスン会場へ急げ。
 最初のうちみょーに眠くて、そーいやここ数日ろくに寝ていないことを思い出す。

 遅れてあらっち登場。
「レッスンも再来週で終わりだね。打ち上げ行こうね。来週と再来週、どっちがいい?」
「あ、わたし来週休むよ」
 星組の千秋楽だから。
「じゃあ再来週の、最後のレッスンのあとだね。最終日は来るんでしょう?」
「うん、最後は行くよ。なにしろ最後なんだし……あれ?」
 千秋楽の翌週、って、ナニかあったよーな?

 ありました。
 ディナーショーの日じゃん!!

「ダメだわたし、最終日も休む」
「ええっ、じゃあ緑野ちゃん、今日がレッスン最後?」

 ぜんぜん、わかってなかった。
 わたし、今日がレッスン最後だ。
 がーん。

 千秋楽の日、1日だけ休んでも、最終日は行く気満々だったからなー。ぴんときてなかった。
 やっぱ最後、ちゃんと通しで歌いたかったよ、第九。

「じゃあ緑野ちゃん、今日なにか食べに行く? 急だからふたりだけだけど」

 うん。
 ふたりで打ち上げー。

 てくてく歩いて堂島へ、あらっちおすすめの田楽おでんの店へ。

「それで緑野ちゃんのおかーさんは、どの会に所属しているの? どんなところへ行った?」
 最近山登りに目覚めたあらっちは、目をきらきらさせてわたしの母の話を聞きたがる。
 あうー。うちの山オタクは、「万歳万歳。山万歳」と毎日歌をうたう鳥なみにうるさいよ。
「いいなあ、緑野ちゃんのおかーさん。会って話を聞きたいわあ」
 憧憬の眼差しはよせ。あの人と家族をやるのは、なかなかにしんどいぞ。

 それにしても、朝から夜まで予定びっしり、歩き回り喋りまくり。忙しい1日だった。

 その間ずーっと、大きなポスターを持ったまま。

 うっかり握りつぶしちゃわないよーに、ぶつけてヘコまさないよーに。
 もらった姿のまま、大切に大切に、気を配って。

 チェリさんからのメールで、「ポスターを一度袋から出して、裏と表を逆にして巻き直した」というのを読み、「そうか、そのテがあったんだ!」と気づいたのは、帰宅途中の電車の中。

 わたし、ずーっと表をさらしたまま、ポスター持って梅田の街を闊歩してたよー。

        
 昨日は思わず、全日記削除してひきこもり生活しようかと本気で考えたけれど、日記の人格は別物ということで開き直り、このまま行きますわ。
 

 今日はコーナン貸切に敗れ、またヘコむし。
 同行者のキティちゃんはなぐさめてくれたけど……神様わたし、前世でよほど悪行を積んでた? だからこんなにチケ運ないの?!

 本日初見のキティちゃんは、芝居の前に、
「どこが見どころ?」
 と目をきらきらさせて聞いてくれるので、わたしは答えに窮した。

「…………………トウコが、檀ちゃんを押し倒すところ」

 キティちゃんは溜息と共に「なんじゃそりゃ」とつぶやきました。

 すみません。
 そんな芝居です。
 他に言うべき言葉がないというか。

 
 ところでその、楊貴妃を襲う安禄山、そこに現れる玄宗。「三人模様の絶体絶命〜♪」なシーンですが。

「わたしの陛下に手を出さないで!」
「手を出してなどおりませんよ。陛下がワタシをお離しにならないだけで」
 玄宗をめぐって対立する楊貴妃と安禄山!
「おまえの贈った鳥など見たくもない!」
「あっ、その鳥は陛下のために……!」
 陳貴妃@歌をうたう鳥を殺す楊貴妃!
「虫も殺さぬ顔をして、おそろしい女だ」
「お離しなさい、雑胡ごときを陛下が本気で相手にするものですか」
 もつれあうふたり。
 ばしっ。どさっ。さあ大変!

 なところへ、玄宗たちが現れた。

 ……と、玄宗は考えたんじゃないかな。

 オレをめぐって、楊貴妃と安禄山が争った?! 正妻と愛人の修羅場?! 玄宗ピーンチ!!
 なんて罪作りなオレ!
 てゆーか、やばいぞコレ。かーちゃん怒らせると、機嫌取りが大変だ。とりあえず楊貴妃の機嫌とらにゃあ。

「よくやった楊貴妃。それでこそ玄宗の妃だ」(正妻はお前だ、愛人のことなど気にせず、どーんと構えていろ)

「陛下、安禄山に謀反の心が」
「あいつにそれほどのことが出来るものか」(オレの愛人だぞ? そんなバカなことをするはずがない)

 でも安禄山ははじめから、バカ玄宗を騙すつもりで近づいたわけだから。
 カラダを許す=心まで手に入れたと信じていた単純皇帝は、実際に乱が起こるまでなにも気づかなかったわけですね。

「安禄山、よくも裏切ったな」(あの愛の言葉は全部嘘っ?! ひどいっっ!!)

 
 という展開に見えます。はい。

 安禄山が楊貴妃を襲った、なんて、あのタイミングでやって来てわかるわけないし。
 オウムを殺したのが誰かも、わかるわけないし。

 安禄山と楊貴妃が、玄宗をめぐってもみあいになっていた、と玄宗が思ってもおかしくない!(笑)
 だって玄宗、安禄山のこと大好きだし! お気に入りだし! 騙されてるし!(笑)

 つまり玄宗にしてみれば、安禄山の反乱は、壮大な痴話ゲンカ

 彼は恋人に裏切られて落ちぶれる男。
 しかもそのどさくさで、奥さんまでも失うことに。

「民衆はお妃様を引き渡すようにわめいて、一歩も引きません!」(痴話ゲンカ戦争なんだから、そうなるだろうよ)
「貴妃となんの関わりがある?!」(てゆーか悪いのは二股かけて捨てられたオレか?! いや、悪いのは他の奴らだ!)

 安禄山が煽っているんだ。なにがなんでも楊貴妃が邪魔なんだ。それほどオレを愛しているのか。
 ああ、罪作りなオレ!!

「私は国を造り、天下を貫くことが出来ても、ただひとりの女を如何にすることも出来なかった……」
 (安禄山となんか浮気してごめん!!)

 嘆きの玄宗。
 そこに現れる、幻の楊貴妃。

 愛の証にと7月7日にプレゼントした、あの髪飾りを持っている。(ちなみに同じモノを、玄宗は安禄山にもプレゼントした・笑)

 現れた楊貴妃は、たおやかにその「愛の証」の髪飾りを玄宗に返す。

 えっ、返品?!!

 あわれ二股男は、死してなお、最愛の妃にも三行半を突きつけられました。
 みんな、浮気はほどほどにねっ。

 
 大丈夫、玄宗のことをはてしなく愛している陳玄礼がいるから!
 玄宗がどれほどバカでも、陳将軍は見捨てずに愛してくれるから。

 楊貴妃リタイアのあとは、安禄山VS陳玄礼で、玄宗争奪戦。審判は高力士で。
 どっちもがんばれー。

 
 またしても、かなり自棄入ったよーな日記になったなー。

 
「緑野がどこでオペラグラス上げるかで、ケロがどこに出てくるかわかったわ。おかげで迷わずケロちゃんを見られた。今日はケロちゃんを見るつもりできたから」

 キティちゃんはそう言った。

       

NO COMMENT

2004年10月30日 タカラヅカ
10月30日土曜日、雨。

 緑野は、盛大にヘタレでした。
 以上。

       
 続きなんで、ひとつ前から読んでくださいな。

 究極のチラリズム。
 布の隙間から見える内股と股間。


 ワタル兄貴のすばらしいチラリズムに悩殺された、『宝塚舞踊会』

 あー、言っておきますが、オペラグラスは使ってません。
 股間を覗こうかと、ちらりとは思いましたが、人として、それはどうよ?!と、理性が止めたので、していません。
 肉眼で見る、あの暗い股間がまた、卑猥でよかったです。
 着物っていいなあ。エロスだよなあ。ハァハァ。

 えっ。
 十分ヘンタイですか?
 そんなことないですよ、アナタだってきっと同じところを見ていますって!!
 ねえ?!

 
 にしても、ほんっとーにワタル兄貴はかっこよかった。
 男の中の男。
 あんなかっこいー男見ちゃったら、しばらくは帰って来られなくなるねっ(笑)。

 
 ワタル兄貴は、わたしにとって救いであり、癒しでした。
 彼がいなかったら、もっともっと、わたしはめためたなだけだったと思う。

 けろゆーひを見る、が目的だったわけだけど。

 実際に見たら、やっぱどこか、頭の回路がショートしたみたいだ。

 泣けるんだもんよ。
 ふたりがふたりでいる、ことに。

 彼らの出番はふたつめで、「えっ、もう?!」という感じ。
 こっちの心の準備も間に合わないまま現れて、舞われちゃって。
 日舞のデキなんか知らないけどさ。
 ふたりで扇使って触れあわれたりなんかしたらさ。
 ヨコシマ心より先に、せつなさがこみあげてきてさ。

 それでも、そこはまだ、よかったんだよ。

 問題はフィナーレさ。

 素顔化粧のまま袴姿って、ナニよソレ?!

 わたしさ、ほんの半年前、その姿見に行ったんですけど。『春の全国交通安全運動』、袴姿で花を配るかの人に、ヲトメハートで会いに行ったんですけど。

 卒業の日と同じ姿で、ゆうひくんと見つめ合われたりしたらさ。
 ショートするよ、回線のひとつやふたつ。
 ゆーひくんは相変わらずあんま表情ないんだけど、ケロちゃんはにこにこ笑っててさ。
 「清く正しく美しく」の歌声が美しくてさ。

 あんまり美しいもんだから、涙が止まらなかった。

 
 痛くてせつなくてくるしくて、しあわせであまくて感謝していて、でもやっぱりかなしくて泣いているのにさ。

 そこに、青天のままのワタルくんが出てくるわけさ。

 それまで順番に出てきていた人たちみんな、素顔化粧に緑の袴姿なのに。
 ワタルくんは、さっきの白塗り色男のまま登場。

 …………笑って、しまった。
 ツボに入って。
 あの白い着流しの下は、赤いフンドシなのよ。
 ふふふ。
 かっこいー、オトコマエ〜、いなせだねぇ。

 ワタルくんの男らしさが、かっこよさが、ツボ。
 何故か笑える。

 泣きながら、笑った。

 ああほんとうに、救いだよ、ワタル兄貴。ありがとうありがとう。
 どんなに泣いてもヘコんでも、力強く「この世」に引きずり戻してくれる、そのオトコマエさ。
 力強さ。
 正しい存在感。
 そして、赤フン(笑)。

 ありがとうありがとう。

 ってことで、やっぱいちばんに語るべきは、ワタル兄貴の赤フンだよねっ?(笑)。

 
 緑野は、今日も幸福でした。
 きっと明日も明後日も幸福だ。
 わたしには好きな人がいる。わたしには、好きなモノがある。
 だからしあわせ。

 どれだけ泣いてもしあわせ。

     
 書きましょうとも、ワタル兄貴の漢らしい赤フンドシの話を!!

 『宝塚舞踊会』、わたしはフィナーレでめためたになり、終了するなりたまたま後ろの席にいた、今日はじめて会って挨拶をしただけの、つまりは「初対面の方」の前で号泣したりしてたんですが(すみません。彼女がこの日記を読んでないことを祈る)。

 でも友人たちに会って最初の話題は、「ワタさんの赤フン」ですよ。
 どんなに泣こうが、とりあえず語るのは、ワタさんの漢らしさについてですよ。

 てゆーかさ。
 「み」さん、kineさん、「緑野さんの日記のネタは赤フンにちがいない」って、なんで口をそろえて言うのよ??
 もちろん、そのつもりだけどさ。

 ネタをありがとう、ワタルくん。君こそ漢の中の漢。

 『宝塚舞踊会』。
 どんな催しなのかは、噂で聞くばかり。

「眠い」
「長い」
「最悪」
「苦痛」

 ……悪い噂しか聞かなかったさ。
 贔屓の出る数分を見るためだけに安くない金額を払い、残りの数時間を眠気と戦う。
 誰に聞いても、そんな感じだった。

 だからわたしも、覚悟して行ったよ。そーゆーもんなんだって。所詮、ストイックに発表会のノリで、興行として成り立つほどのサービス精神はないんだろうって。

 そう思ってたからさー。
 プログラムがもらえないことに、まず愕然。
 ええっ?! プログラム有料なの?!
 新公のときみたいな、出演者の名前だけ書かれた紙が入口で配られるんだと思ってた。
 釈然としないまま、プログラム購入。通常公演とちがい、プログラムがないとなにもわからないんだもの。

 このプログラムがすごい。
 B5版、厚さ6mm、114p。もちろんつるっつるの上質紙。
 凶器になりそうな厚さと硬さ、重さ。

 114pもあるっちゅーに、広告のないpは、9pだけだった……。
 114分の9。
 すごい。
 もしも12pの冊子だったら、表紙裏表紙あわせて1pしか、広告のない本文だけのページはないっちゅーこったな。

 そして114pのうち、63pは広告だった。

 残りの50pほどは、広告混じりの本文pだった。

 そりゃまあ、ふつー芝居やなんかのプログラムは広告だらけだよ。そのくせものすげー高いさ。それはわかってるけど、これはいくらなんでもはしたないんじゃないか?と思ったわ(笑)。

 てゆーか、厚さ6mmもあるなら背表紙をつけろ。同人誌かよ……。

 広告が多すぎてめちゃくちゃ読みにくいプログラムを片手に、いざ舞踊会初体験。
 わたしには「日舞」なんてものはさーっぱりわかりません。
 わたしの目的はただひとつ、ケロゆーひを見ること!

 どんなに長くて眠くて苦痛でも、ケロとゆうひくんが同じ舞台に立つ、その数分のためなら、なにも惜しくない。

 苦行を覚悟して行ってみたら。

 たのしかったんですけど。

 ええっ、舞踊会ってこんなんなん?
 おもしろいじゃんよー。

 たしかに、専科のおねーさま方の「真面目に日舞」なシーンはつらい。
 わたしには善し悪しも、そこでなにが行われているのかもわからないんだ。
 しかし、それだけじゃないっつーか、それはほんの一部でしかないというか。

 ほとんどは、ふつーに日本物ショーだった。

 人数少ない、下級生メインの日本物ショー。
 下級生ファンにはたのしいだろコレ。
 大劇のあの広大な舞台に、下級生がたった数人で立つのよ? 見せ場もらっちゃうのよ?
 日舞は日舞でも、衣装きらきら、セットもそれなり、の、ちゃんとした日本物ショーよ? 生演奏よ?
 えええ、おもしろいじゃん。下級生チェックするなら今だ〜、あの子かわいー、あの子は誰? あの子愉快。目移りするわ。
 勉強になるだろうなあ。日舞だけでなく、「舞台に立つ」という勉強。数人であの空間に立ち、自分の色を出す、存在感を出す勉強。
 わたしはオペラグラスがなくてもこまらない程度の席だったんで、とても愉快に過ごせました。

 わたしがオペラグラス使ったのは、ユズ長の男役@ちょびヒゲ付きを見るときだけだ(笑)。

 日舞といっても、ほんといろいろだよな。なんせ着ぐるみまで出てくるし。
 雷様@鈴鹿照さん。ほんとに着ぐるみ……乳首までついてるよ……。
 小柄で等身がマンガチックな方なので、似合うのなんのって。ユーモラスで、愛らしい。

 萬ケイ兄貴はしぶく、チャルおじさまはなんとも味をしたたらせ。
 おねーさま方は美しく、そしてやっぱり松本悠里姐さん……すげえや。この人ほんと、フェアリーだ……わたしが子どものころからまったく年取ってない。

 ああ、そして。
 ワタル兄貴!!

 ストーリーや背景はまったくわからないものの。
 船と一緒に櫂を持って登場、オトコマエな海の男だ!!

 ああ、ワタル兄貴!
 なんてかっこいいの、素敵なの!
 月代が青々しいだけじゃないぞ、顎の下もが青い、ぴかぴかの野郎ぶりだ!
 出てくるだけで舞台の雰囲気が変わる。「スター」の登場に空気が変わる。
 潔く開いた脚、割れた裾からすねが見える。あら、ちらりと見える赤い色はまさかフンドシ?!
 と言ってる間に、ねじり鉢巻き。その仕草の男らしいこと。
 すげえなあ。

 だが、これだけでは終わらなかった。
 なんとワタル兄貴はこのうえ、尻絡げして、大盤振る舞い!!
 尻絡げですよ、着物の裾をまくりあげて、帯に挟んじゃうのよ。

 超ミニスカ、太股見せちゃいます状態!!

 しかも前側は裾が全開、赤フン全開!!

 フンガー!! なんですかソレっ?!

 赤フン? 腰巻きじゃなくて、わざわざフンドシ?!
 ええ、たしかにフンドシでしたとも。フンドシの前垂れでしたわよ。
 本物じゃないにしろ、そう見えるものをわざわざ身につけておりましたとも。

 いいのか。わたしはよく知らないけど、ワタルくんだってたぶんきっと、ひょっとしたら女の子なんでしょう?
 風聞に過ぎないから、ほんとのとこはわかんないけど。たぶん女性なんじゃないですか? 昔極楽鳥とかやってたから、あのころは女の子かなとも思ってたけど、最近はとみにわかんなくなってるんだけど……ひょっとしたら、今もまだ女性だったりするかもしれないのに。

 フンドシしめてていいの?!

 じゃなくて。

 赤いフンドシが、そんなに似合ってていいのっ?!

 オトコマエだ、ワタル兄貴!!
 も、「一生ついていきます!」なオトコマエさだ。
 わたしはツボにジャストミートして、笑いを抑えるのに苦労した。

 とにかく潔い見せっぷりでねえ。後ろは腰が隠れるだけの長さまでまくってあるのよ。そんな姿で踊って、しゃがんだりするわけだからさ。

 しゃがんだ内股に、釘付けですよ!!

 ビバ前方席!! ビバ客席の低さ!! わたしに兄貴のフンドシの奥をのぞかせるための席なのね!!

 堪能しました。合掌して言いましょう、「ごちそうさま」。
 大変愉快な、興味深いモノを見せていただきました。

 続く(笑)。

     
 輪廻の輪が回る。メビウスの輪が回る。

 なつかしい人と出会った。
 そこがどこかはわからない。

 海の底?
 船の上?
 夜の街?

 出会っては別れ、別れては出会う。

 なんのために?

 罪を、確認するために。


          ☆

 実は、『ドルチェ・ヴィータ!』でつづられる物語の中で、「男と少女」の物語がいちばん好きだ。

 『ドルチェ・ヴィータ!』は誰をどう主人公として見てもたのしめる作品なんだが、そのなかでいちばん、「男と少女」が好き。

 いくつかのシーン、いくつかの時代、いくつかの生。
 出会っては必ず別れる、男と少女。

 ふたりの間に愛があったのは、海神と漂流者としての出会いのみ。
 あとは、街で会ったときは男が少女を助けるだけで終わり、船上ではすれちがうだけだ。

 シーンごとのつながりはあるよーでないよーで、次元が正しくつながっているかどうかは知らない。
 全部時系列順につながった物語として見るも良し、別の時代の物語として見るも良し。

 わたしの好みとしては、やはり「別の時代」だな。

 どの「出会い」でも、ふたりは「異質なもの」として出会う。
 異種族として出会う。

 夜の街では、世慣れた男と清純な娘。
 豪華客船の上では、共に上流階級の人間であるが、男は既婚者。
 青の洞窟では、海神と人間。

 何度出会っても、ふたりは「異質」だ。「異種族」だ。
 ふたりに接点などない。

 ないはずなのに、生まれ変わるたびに彼らは出会う。

 なんのために?
 なにを、成し遂げるために?

 いったいどんな罪を犯して、彼らは彷徨うのか。永遠の輪を廻るのか。

 彼らの人生の影、立ち止まった足の先、1匹の悪魔の姿が見え隠れしている。悪魔はときに嗤い、ときに哀しい顔をしている。

 決して交わることなどない、異質な存在として出会う男と少女。
 過去の記憶もおぼろげにしかない。

 すれちがって、振り返る。
 なつかしい気がする。
 でも、誰だかわからない。
 心が残る。
 心だけが、残る。

 唯一愛し合うことができた海神と少女は、すれちがうだけでなく触れあうところまでいっている。
 そう、触れあうことができれば、すべてわかるはずなんだ。
 探していた相手だって。
 愛すべき人だって。

 だけどふたりは異界を生きる者たち。
 どんなに出会っても、触れあうことさえない。
 ただ、すれちがうだけ。

 すれちがって、すれちがって、すれちがって。
 そんなに異質なら、交われないのなら、はじめから出会わなければいいのに。
 それでも生まれ変わって。
 何度も、何度も、何度も。
 出会い続ける。

 別れ続ける。

 繰り返される「別れ」。繰り返される「喪失」。

 男を惑わすドルチェ・ヴィータ。少女と踊ろうとするディアボロ。

 わかりあい、愛し合ったはずの海神と少女は、それでも別れを迎える。
 彼らが「異質」なもの同士だから。
 本来出会ってはならない、共に生きることの出来ないもの同士だから。

 ってそれなら、はじめから出会うなよ!
 しつこくしつこく生まれ変わって。

 結局なにも出来ないなら、はじめからするなよ!!

 ……とは、思わない。
 思わないよ。

 だから、ふたりは出会い続けるんだね。
 だから、ふたりは別れ続けるんだね。

 
 わたしの好みとしてはね、前の日記にもちょっと書いたけど、海神と少女がはじめだとツボなんだよな。

 だってそれって、「人魚姫」でしょ?
 人間に恋をした人魚が、人間に生まれ変わって恋の成就を願う話。

 ディアボロもたしかに「人魚姫」かもしれないけどさ、それとはべつに、こちらも「人魚姫」だと思うの。

 ただし、えらくごつくてでかい人魚だけどさ(笑)。

 人間の少女を愛した海神が、人間に生まれ変わって少女とめぐりあう物語。
 だけどお互い、愛し合っていたときの記憶はないの。
 たしかに愛し合っていたのに、その愛を裏切った罪。
 「相手のために」身を引いた……その傲慢。
 愛を手放した罪。出会ったことが奇跡だったのに、愛し合ったことが奇跡だったのに。それを自分から拒絶した罪。愛の悪夢は終わらない。

 男と少女の人生の先を、ディアボロが歩く。海の上に長く伸びる影。彼の影に導かれるように、男が歩き、少女が歩く。
 出会い、別れる。

 人魚姫の物語。
 愛を求め、恋に生き、そして破滅する物語。
 半永久的に繰り返される、寄せて返す波のような物語。

 もう神だったころには戻れない男は、ひとり銀橋で、孤独と闇を歌う。

         
 その昔。
 「ケロ受」で検索すると、わたしのこの日記がいろんな検索エンジンでトップに出た。

 ヘコんだ(笑)。
 パソの前で悲鳴あげた。

 ちょっと前は『ケロロ軍曹』のおかげでトップには出なくなった。ありがとうケロロ軍曹!

 と、よろこんでいたのに。

 何故だろう。今日また、Yahoo!で検索したらこの日記がトップだった……。

 ヘコんだ。

 
 そしてもうひとつ、何故なんだYahoo!よ。

 「彼女は陽気な破壊的気質をもっている」で検索すると、9月8日の日記にたどりつくんですけどっ。

 なんで9月8日限定なのよ、日記は毎日書いてるのにー。
 よりによって何故9月8日。

 他にいいこと書いてる日記もあるじゃんよ(あるのか?)。何故アサコシシィについて盛大に吠えている日限定なのよ。がっくり。

 単語で検索したならともかく、日記タイトルなのに……。

 
 それにしても今日は、同じ検索ワードでこの日記にやってくる方が多かった……。
 まあ、それ以外にもいろいろいろいろと……。びくびく。

 わたし、チキンハートなんすよ……1日にカウンタ1000も回ったらびびりますって。
 やはりどこかで盛大に笑われてるのかしら……道化の自覚はあるんですけど。ああそれでもチキンハートっ。おどおど。

      
          ☆

 kineさん、結局ソレ、ワタさんとケロの歌を「下手」だと言ってるんじゃあ……?(笑)
 技術はどうあれ、『ドルチェ・ヴィータ!』に不必要な「声」はひとつもないの。すべてがあるがまま、必要なの。
 絶妙のバランスで!

 とゆーことですよねっ。

 最後に私信でした。

         
 やーん、「み」さんに、わたしが「ケロは歌が下手」と断言してる、と書かれちゃった〜〜(笑)。

 えー、今回限定です、念のため。
 いやいつも、決してうまいとは思ってないけど。
 にしても今回は、ずいぶん下手だよね??

 
 Be-Puちゃんと話しているときに、彼女はものすごーく言いにくそうにしていたのだ。

 彼女は今現在、通勤の車で『ドルチェ・ヴィータ!』の録音テープをエンドレスで毎日聴いている。
 毎日だし、日常だし、運転しているわけだから、意識は特に音楽のみに向けられているわけじゃない。

 だが、同じところで必ず、「正気に戻る」そうだ。

 それまで音楽は無意識レベルのところを流れているのに、ある箇所に来ると必ず、「はっ、この音はっ」と、音楽に意識を戻してしまう。

 それが、フィナーレの白スーツのケロのソロなんだってさ。

 言いにくそうに、懸命に、言葉を選んで言うのよ。
 ああ、わかったわかった、そんなに気を遣ってくれなくてもいいよ。つまりアレだろ?

 あまりに歌が下手なんで、びっくりして耳をそばだててしまうんだろ?

 わたしがずばりと言うと、電話の向こうでBe-Puちゃんは心からほっとした声を出す。
 わたしがケロファンだから、本当のことを言ったら失礼なんじゃないかとか、傷つけてしまうんじゃないかとか、いろいろ気を遣ってくれた模様。

 大丈夫、わたしもアレ、すげー下手! だと思ってるから!!(笑)

 
 でもことさらそう思ってしまうのは、ショーの構成マジックかもしれないと思うのよ。
 というのも今回のショーは、歌える人が歌い、踊れる人が踊っている。
 一般のヅカショーのよーに、「歌えない人に無理矢理歌わせる」とかしていない。

 ソロを朗々と歌うのは、歌唱力に優れた人!
 がしがし踊るのは、ダンスが得意な人!

 適材適所。
 よそのカンパニーではあったりまえのことを、今はじめて挑戦中。

 てなわけだから、そもそも歌が不得意な人は、目立つソロをもらっていないのよ。

 例外は唯一、トップスターであるワタルくん。
 ワタさんはトップだから、星組の顔だから、どんなに歌がアレでも歌いまくる。
 多少の弱点を吹っ飛ばすほどのオーラがあってこそのトップスター。
 そう、ワタさんは歌がアレでもいいのだ。そんな些細なことで彼の魅力は損なわれない。

 そんななかで。

 どーしても悪目立ちしてしまう、ケロのソロ。

 だってケロちゃん、歌の人じゃないもん! 歌手じゃないもん! 昔っから歌は苦手って公演評にも書かれていた人だもん!

 歌によっては、なんとかそれなりに聴かせるものもあるけど、今回の曲は相性が悪いみたいで、さらに下手っぽく聞こえるんだもん。

 相乗効果よ。
 ワタさん以外は「歌手」しか存在しない作品で、ひとりだけ歌手じゃないのに歌ってるから! しかもなんか声大きいし。

 美しい音楽と歌ばかり聴いた耳で聴くから、ケロのソロで「はうっ?!」ってスピーカーを振り返ってしまうのよ、Be-Puちゃん。

「おかけで時間がわかっていいけどね。あ、今何分だ、職場まであと何分ね、って」

 すでにアラーム代わりかよ、ケロのソロ……。涙。

 
 それでもね。
 うれしいの。
 ケロちゃんの歌声が聴けること。

 どんなに「うわっ、こりゃひでえ(笑)」と思っていてもさ。
 とにかく、ケロがセンターでひとりで歌っていることが、うれしくてうれしくてしょーがないのっ!!

 ありがとうオギー。
 ケロちゃんを歌わせてくれて。

 歌手にしか歌わせない、そーゆーコンセプトの作品なのに、それを曲げてまでケロちゃんに花道を作ってくれてありがとう。
 うれしくて号泣したよ。

 
 わたしはやっぱ、歌のうまさは、好きになるときの条件に深く食い込んでいるなー。
 でもこの「歌のうまさ」ってのは、「好みの声」に大きく左右されるので、真の意味での「歌のうまさ」ではない。
 好みの声の人は、多少歌がアレでもいいのだ。その人の声質自体が「音楽」として耳に届くから。

 だから、ケロの歌は好き。

 あのしゃがれ声が好き。音程のあやしい歌声も好き(笑)。

 
 だから今さらだが言うぞ。

 祝・エトワール>ケロちゃん!!(笑)

 
          ☆
 
 今さらといえばもうひとつ。

 ハイディさん、同じときに劇場にいらしたんですね! 今ごろ書いててすみません、さっき日記読みました〜〜。
 わたし、ペルソナ貸切にもいました。
 トウコちゃんの「早く帰ってペルソナ観よ」には、わたしも盛大にツッコミましたともさ……どーやって観るんじゃい!と(笑)。

 トウコちゃんはなんか、あちこちヤラカシテくれるので、リピートするのがたのしい人ですわ。
 「み」さんと一緒に観ていたときなんか、安禄山がプレゼントに持ってきた「歌をうたう鳥」が籠の中で落ちちゃったし。
 ヲイヲイ、鳥、死んでるよ!!と、盛大に突っ込んだなあ。
 ワタルくんがアドリブでフォローしてくれてたけど。

 緑野は今現在、劇場生息率がとても高いので、またいつかすれちがっているかもしれません。
 よろしくお願いします〜〜。

    
 とりあえず、タニちゃんはほんとーに美しい人だなあ。
 その美しさを堪能する。
 終始シンプルな服装、頭のカタチまんま出るタイトなオールバック。足長っ、顔小さっ、スタイル良っ。
 今まで彼のことを「かわいい」と思ってはいても、「美しい」とは思ってなかったので、びっくりだ。
 こんなに美しい人だったのか。

 ほぼ出ずっぱり。膨大な台詞の量、全体からみれば少ないとはいえ重要な歌、そしてダンス。
 …………何回台詞噛んだかな……けっこーな回数、噛んでたぞ。

 たぶんタニちゃん自身の引き出しにはない、「大人の男」の役。
 挫折と破滅。時の流れ。退廃と鬱屈。

 宙組バウホール公演『THE LAST PARTY 〜S.Fitzgerald’s last day〜』、植田景子作。

 20世紀アメリカ文学を代表する作家のひとり、スコット・フィッツジェラルドの物語。
 えー、アレだ。野心に燃えていた学生時代、文壇デビュー、天才だベストセラーだ大騒ぎだ、毎晩パーティだ! から一転落ちぶれてどん底生活。聖と俗、理想と現実の狭間で、ひとりの天才が苦悩しちゃう話。
 ……というと、身も蓋もないか? 天才じゃなくても、苦悩するのは一緒だけどな! とわざわざ台詞で解説していたな。プログラムにも書いてあったよーな?(作者、喋りすぎだ)
 

 さて、この作品はどうだろう。
 美しいタニちゃんが主演する、とにかく「美しい作品」。
 画面のひとつひとつが美しい。
 景子先生らしい、繊細な美しさに満ちている。

 わたしは相変わらずなんの予備知識もなく観ていたので、まず「フィッツジェラルドの一代記」だということにおどろいた。
 ええっ、20年間もの出来事を、ひとつひとつ本人のナレーションでやっちゃうんですか?

 一代記モノって、苦手なんだよなー。大抵「出来事」を羅列するだけで精一杯で、エンタメにならないから。散漫でシーンがぶつ切りで話がつながらなくて盛り上がりに欠けて、とにかくいいことがない。
 長い時間を短い上演時間で表現するのには、テクニックが必要。むずかしいんだってことが最初からわかってるのに、何故かヅカの作家はすぐに一代記を書きたがる。
 きっとアレだな、一代記の最後は大抵主役が死ぬから、それで観客を感動させられるとか安直に思ってるんだろうな。どんなに他がめちゃくちゃでも、バカな客は主役が死ねば泣くから、って。
 とまあ、わたしは一代記ものにいいイメージがない。あるのはトラウマばっかしさ、駄作を見せられたゆえの。

 だからこの作品の、「出来事羅列」「キャラ紹介に大忙し」「ナレーションにつぐナレーション」な構成に、「テンポ悪!」「どっから本編? いつまで前解説?? 全部ナレーションぢゃ感情移入できねーよ」と、盛大に首を傾げていたさ。

 あと、人数の少なさも、すげーさみしい。
 ローリング20’sの華やかなパーティのはずなのに、印象は「ショボっ!!」。
 なまじっか雪組公演の『華麗なるギャツビー』のオープニングとかが鮮明に記憶に残ってるからなあ。ああ、きっとあれくらい派手で華やかなシーンなんだろうなあ、ものすげーしょぼいけど。と、さみしく脳内補完したさ。

 ぐんちゃんのひとり芝居『ゼルダ』の記憶も新しく、キャラも出来事の流れも全部頭に入っている。それでもなお感じる、テンポの悪さ、展開のタルさ。

 盛り上がらないよね……てゆーかコレ、エンタメ系の話じゃないよね……? 拍手する箇所(していい箇所)もほとんどないし。
 ヅカだし景子せんせだし、美しくミュージカルに仕上げてあるけどコレ、やっぱしどうあがいても、純文系の話だよねえ?? アクション(動作)により視覚に直接訴えかける映画とかのビジュアル系ではなく、内面の動きにより精神に訴えかける小説系の話だよねえ?
 アクションより心理描写、の物語を、「オシャレ」とか「たのしい」というより「美しい」作品として整えている。それってやっぱし、純文ってことだよなあ。

 エンタメエンタメとこだわってごめんよ。
 ヅカは大衆演劇、エンタメだと思っているもんだからさ。その観点で見ちゃうのよ。

 エンタメは「自分で転がっていくボール」だと思う。
 どんなふうに転がるか、スピードはどうかで、いろいろカラーが分かれるけれど。

 この作品は、スムーズに転がらない。
 ビロードの上を転がっている感じ。
 転がりにくいなー、スピード出ないなー。
 でもきれいだなー。

 てな感じっすね。

 でもね、そーゆーテンポですすむ話なんだ、と観つづけることで体感してしまえば、あとはけっこー入り込める。
 作品世界への手触りに慣れたら、もう大丈夫。

 なんか、ものすげー泣けたんですけど。

 場内すすり泣きの渦。

 ことさらな「さあ、泣けっ」な押し売りシーンはないんだけど(例・谷正純、植田紳爾作品)、やるせないかなしみが、ずーっと満ちているのね。
 ひとつひとつのやるせなさ、ひとつひとつのせつなさが、芝居が進むに従って積み重なってくる。1枚ずつは薄い軽いベールなんだけど、ラストまでたどりつくころには、泣かずにはいられない重さになってわたしを覆い尽くしていた感じ。

 エンタメよりは、純文寄り。
 それでもバウホールである以上、この路線はアリだと思う。
 バウ以上のハコでやると、きついだろうが。

 タカラヅカですから。
「どうだった?」って聞かれて、「おもしろい」とか「たのしかった」と答えるよりも、「きれいだった」と答えるのはアリでしょう!
 画面もキャラも、そしてキャラの心の中も、みんなしんと美しいのよ。

 
 それにしても、この出演者の少ない舞台を支えていたのは、ヒロイン・ゼルダ役のかなみちゃんと、編集者マックス役のまりえっただ。
 うまい。このふたりだけ、群を抜いてうまい!
 エンタメ系の芝居なら、華だとかアイドル性だとか、若さやけなげさ元気さで、なんとでもなる面があるが、こーゆー系の芝居は、演技力がないときついよー。

 タニちゃんはなー……とにかく美しいから。
 あの美しさで、十分物語を盛り上げていたと思う。
 技術とは別の部分で、主役としての仕事をしていた。
 空気をつくるのは重要さ。タカラヅカだからな! 美しくてナンボだ!
 アレでスコットが不細工だったりふつーの5等身しかない日本人の男が演じていたら、それだけでNGだ。

 あ、もちろん熱演だったし、タニちゃん比としては、うまかったと思うよ。

 でもさー……。
 正直なとこ、スコット役は演技力のある人にやって欲しかったな……。ごめんねタニちゃん、ごめんねごめんねごめんね! 君のことは好きだけど、好意とは別のとこにある希望なの。

 
 それにしても、なに組を見ているのか、いまいち実感が湧かない……。
 タニちゃんにまりえったにあひくんって……月組……?

 
 萌えはなかったよ、かねすきさん。
 たぶんキャスティングの問題が大きいと思う。
 月バウなら萌えられるかも?

 でもさー……。
 正直なとこ、スコット役は演技力のある人にやって欲しいな……。ごめんねゆうひくん、ごめんねごめんねごめんね! 君のことは好きだけど、好意とは別のとこにある希望なの。

 だってスコットってさ。ほとんどひとり芝居のウエイトなんだよ??

     
 続きなんで、ひとつ前から読んでくださいな。

 無自覚なまま安禄山に惚れている玄宗と、それをなまあたたかく見守っている安禄山。

 安禄山が玄宗に襲いかかるのは、反乱のあと、なにもかも失った玄宗に対して。
 サディズムを満足させるために、どうぞお好きなだけ。……ってことでいいかしら。

 と、最初のうちは思っていたのよ。
 前にも書いたように。

 
 でもなんか最近、それだけだとつまんなくなってきたわー。
 せっかく玄宗があんなにバカで、あんなに安禄山に惚れてるんだからさー。

 安禄山、つまみ食い、しちゃわないかな。

 大丈夫、あんな男、すーぐ堕ちるって。
 口手八丁でてきとーなシチュエーションにもちこんで、さっさと押し倒しちゃえよ。
 瞳に物言わせて愛の言葉なんかささやいたら、絶対その気になるって。
 あとは気持ちよくさえしてやれば、100%リピーターになるねっ。

 てゆーか安禄山に本気で口説かれて、堕ちない女と受はいないだろう!(断言)

 楊貴妃が堕ちてないって? だって安禄山、本気で口説いてないもんよ(笑)。最初からバカにして、せせら笑いながら迫ってたじゃん。落とす気もなかったんだろうな。嫌がって泣くのを、組み伏せる気でいたとしか思えない。
 ただ、あそこまで抵抗されるのは、計算外だった、と(笑)。

 玄宗が一時期楊貴妃のもとから足が遠ざかっていたのは、彼女が疑うよーに梅妃のもとに行っていたのではなく、安禄山といろいろしていたから!ってことで。
 梅妃も十分イライラしてたもんね。そんなに足繁く玄宗が彼女の元に行っていたとは思えない。
 やっぱここは伏兵、安禄山だ(笑)。

 玄宗が楊貴妃に贈った髪飾り。
 アレもさ、安禄山の入れ知恵かもよ?
 「七夕の夜に男女が愛を誓うとしあわせになる」なんて、「誓いのアクセサリーをプレゼント」なんて、玄宗にしては突然すぎるロマンチック路線。
 安禄山に寝物語に入れ知恵されたんじゃないの? 髪飾りも安禄山の見立てだったりして。

 てゆーか。
 玄宗ならいっそのこと、安禄山にも、同じ髪飾りをプレゼントしていて欲しいですな! それくらい突き抜けてバカであって欲しいですな!

 せっかくの七夕の夜に、なかなか楊貴妃の部屋に現れなかった玄宗。
 そう彼は、まず安禄山と一緒にいたのさ。高力士たちも、んなことはとても楊貴妃に言えないから、あんなにあたふたしていたの。なんとか殿でまだお仕事中、なんて言っていたのは、半分だけ本当。本来は仕事をする場所で、安禄山とランデヴー中だったわけだ(笑)。

 楊貴妃のところへ行かなくていいのかと問う安禄山に、
「お前に、これを渡したくてな」
 と、髪飾りを見せる玄宗。
「それはお妃様に……」
「同じものをふたつ作らせた。今宵は七夕、お前が教えてくれた通り、愛を誓う夜だ。天にありては比翼の鳥となり、地にありては(面倒だから略)……さあ、髪に挿してやる。これでふたりの愛は永遠だ」
 あわただしく抱きしめて、キスだけして、玄宗は出て行く。次は楊貴妃、今夜はダブルヘッダーだ忙しい。
 あの黒尽くめの軍装、かぶとむしにしか見えないかぶり物つきの髪に、豪華な髪飾りを挿されてしまった安禄山。
 想像以上の玄宗のバカっぷりにぽかーんとして。

 あきれて、溜息ついて。
 そして。
 そして、愛しそうに、ふと笑ってくれたら、いいな。

 玄宗のことはバカだと思っている。軽んじている。体よく操っている。
 それでいてなお。
 彼のことをそのバカさごと「気に入っている」のも、事実。

 そんな関係。

 …………うっとり。
 玄宗は素敵にバカで、そのからっぽのアタマの中と広い心のうちには、愛がつまっている。
 楊貴妃と安禄山、ふたりの人間を同時に同じだけ深く深く愛せるだけの、たーくさんの愛があったりまえにあるの。

 楊貴妃は女だから、玄宗の愛がどこにあるのか、どれだけあるのかだけに執着し、野心家の安禄山は玄宗を愛で満たすことによって、本来そこにあるべきだった政治やら国の未来やらを払拭したのね。
 そうやって国は傾き、安禄山の乱が起こるんだ。

 
 ああ、すばらしきかな『花舞う長安』。(半ば自棄)

     

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