2003年夏コミ3日目。

 本日の予定。

10時 東宝劇場前 某氏とチケット交換
11時 有明 コミケ
15時 幕張 ゆーひトークショー
19時 新宿 ふうかちゃん夫妻とディナー
22時 新宿 夜行バス

 ……って、なんなのよ、このスケジュールはっ。
 無茶もいいとこだろう。
 正気か、わたしっ?!

 …………全部こなしました…………。ぜえぜえ。

 やっぱいちばんハードだったのが、幕張だよ、幕張。
 千葉じゃん!!
 コミケ会場から、千葉まで行くんかよ。すんなり電車に乗れるかどうかわからないから、かなり賭だぞ?
 なんで当たるかな、ゆーひのトークショー。〆切間際にはがき1枚出しただけなのに。これで運を使い果たしてしまったかもしれない……。

 さて、トークショー。
 会場は、よりによって今年はじめにママと泊まったあのホテルでした。まさか、今年のウチにもう一度行くハメになるとは。

 特別おもしろいというほどのトークじゃなかったっす。
 ゆーひくんはかなりナチュラルに見えた。気負っているようにも見えないし、かといってサービス精神満載ってわけでもなく。トークが本業でない人のお喋りなんて、あんなもんかなあ、ってとこ。
 ハンサムなゆーひくんを間近で見られてよかった、って、それだけかな。

 気になったことは、ただひとつ。

 ゆーひは、『アイーダ』を語った。

 最近見た映画や舞台、という話題のときに、
「舞台は星組さんの『アイーダ』を観ました」
 だそうだよ。
 ゆーひくんはただの一度も『王家に捧ぐ歌』とは言わなかった。ずーっと『アイーダ』。
 そして彼がクチにするのは……トウコのこと。

「すごいですね、あんなにナチュラルに女性で」

 他のなにに触れるでなく、トウコのアイーダを誉める。
 あの、他になにか言うことないの? 作品のこととか、共演したことのある、この作品で晴れてトップになったワタルくんのこととか。
 トウコのことだけ、語りますか。

「下級生とか、知ってる子が舞台にいるわけだから、あちこち観るのが大変なんですよ」

 知ってる下級生? 「大変」なくらい、そんなにいたの? 組替え経験なしの君が? ちかちゃんはともかくとして。
 ケロが花道とか、すみっこばっかにいるから、それで大変だったんじゃないの……?とか思ってみたりな。にやり。

 その話を聞きながら、わたしは質問がしたくてうずうずしていた。
「もしも『王家に捧ぐ歌』に出られるとしたら、なんの役がやってみたいですか? アムネリスとアイーダに愛されるラダメスがやってみたいとか、ラダメスと“ウバルド”に愛されるアイーダがやってみたいとか」
 ……て、聞いてみたかったんだけどなー。

 残念ながら、直接手を挙げてする質問コーナーはなかった。
 スターへの質問は、あらかじめ回収してあったもののみ。わたしはぎりぎりまでメシ食ってたんで、そんなもん書いてるヒマなかったよ。ちぇっ。

 もっとも、変な質問をしなくてよかったと、トークショーが終わって会場を出たあとで思ったよ。
 だってそこには、「トークショーの模様はスカイステージで放送します」と書いてあったんだもんよ。
 油断も隙もないな、スカステめ。欲望まみれの質問ができないじゃないか(笑)。

 しかし、答えは聞いてみたいなー。
 誰か質問してみてよー。『王家…』でゆーひがやりたい役はなに?って。

 
 2003年夏コミ2日目。
 本日はサークル参加。

 へんだな、と思ったのは、周りが花組サークルだったこと。
 わたしたちの机の上の本は、1冊だけ雪組で、残りは全部月組の本だ。
 なんで花組に分類されてんの?

「……ひょっとして、サークル名が『花』だからか?」

 真実はどうなんだろう?

 とりあえず、わたしのビッグ・ジュールのペットボトルカバーを、机の上に飾ってみました。
 わかる人にはわかってもらえるようで。何人かのお客さんにはウケていただけました。

 本は……売れないね(笑)。
 やほひすきーのヅカファンって、そんなに人口少ないのかなあ?
 孤独だなあ。
 今回も言われたよ、「すごいですね」って。
 ヅカでやほひ本作るなんて変なことをして、すごい、って。
 そうか、すごいのか……存在自体を珍妙がられてしまうのか……そこまで少数派なのか……。しょぼん。

 やほひすきーのみなさん、カミングアウトしてください。
 ひとさまの書いたやほひが読みたいです。
 今は『野風の笛』とか『王家に捧ぐ歌』とかが、ものすごーく読みたいです。
 同志の方、よければ緑野こあらにメールください……めそめそ。

          ☆

 さて、この日はわたしもWHITEちゃんも疲れ切っていた。
 ホテルに帰り着く早々、わたしは風呂だけ済まして爆睡。カタログ・チェックをしていたWHITEちゃんも、それに続くように爆睡したらしい。

 わたしたちの泊まるホテルは、安さ重視の変則的なところで、ふつーのビルの7階だけがホテルになっていたりする。外から見れば、そこがホテルだなんてわからない。だからけっこう穴場。
 ツインルームでひとり4130円(税サ込み)のくせに、何故か朝食のルームサービスが付いている。
 朝になってもさもさ起き出したわたしたち。ふたりとも、まともにベッド使ってない……。
 WHITEちゃんはワンピースのままパンツ丸出しで寝ていたし、わたしは買ってきた同人誌にまみれて、ショートキャミとショーツのまま寝ていた。……よく風邪引かなかったな、わしら……。
 WHITEちゃんがシャワーをあびている間に、ドアがノックされた。あー、もうそんな時間か、フロントのオヤジが朝食を運んできたんだわ。
 わたしはいちおー着替えを済ませてはいたが、バスルームを使えないので寝癖のついた髪のまま、部屋のドアを開けた。
 予想通り、そこにはフロントのオヤジが朝食のトレイを載せたワゴンと共に立っていた。
「おはようございます」
「あー、おはよーございます」
 とりあえず、挨拶をかわすわたしたち。
 フロントのオヤジは、とてもなまあたたかい目で苦笑していた。

「あのー、お客様。ドアに鍵が、刺さったままなんですけど……」

 はい?
 わたしは言われるままに、部屋のドアを見た。

 そこにはたしかに、鍵が刺さっていた。
 鍵穴に、鍵。

 昨日、疲れ切って帰宅した。よろよろと鍵を開けて、それから……。

 鍵を抜いた記憶が、ない。

「危ないですから、鍵はきちんと抜いておく方がいいと思いますよ」
「そ、そうっすね……」

 朝食を受け取り、ドアを閉めて。オートロックだから、ドアは閉めるだけでOK。
 でも、鍵穴に鍵を刺したまんまじゃ、ロックはかかってないのと同じ。

 ゆうべ一晩、鍵はドアに刺さったまんまだったってか?!

 ジーザス!!
 なにやってんだ、わたしら!!

「無事でよかったね、わたしら……」
「つーか……泥棒でも痴漢でも、入ってきたら驚いたんじゃない? あたしら、ベッドも使わず服のままでオチてたじゃん」
「最悪っす」
「バカ? あたしらって、バカ?」

 いいトシして、なにやってんだろうねえええ。

 
 2003年夏コミ1日目。大雨。

 荷物をホテルに預け、とっとと有明へ。
 しかし一般参加の列に並ぶ気はまったくなく、パナソニックのネットカフェで優雅にお茶をしながらインターネット。
 3時間くらい、遊んでたよ……。

 午後になってから、よーやく腰を上げ、入場。

 トシを取ったな、と思うのは、ジャンプ・ジャンルがわからなくなったとき。
 昔はジャンプ系好きだったし、少し昔は興味がなくても知識くらいはあった。
 ところが今は、まったくなにもわからないもんなあ。
 少年ジャンプがおもしろくなくなってから、もう10年くらい経っている。まったく読まなくなってから、5年くらいは経ってるよな?
 アレを理解できる若さは、もうわたしにはない……。

 つーことで、ジャンプの日である本日は、回るところがとても少ないのだ。
 『ときメガ』はなんで、やほひが少ないのだろう……。やほひが読みたいのにー。

 帰りははじめて水上バスに乗った。
 まあ、夜景がきれいですこと。
 バスというより、観光船だなこりゃ……。

 
 毎日ほんとに忙しい。

 コミケに新刊出そうとか、ちらりと思ったのよ?
 やっぱり今なら、『王家に捧ぐ歌』よね? って、ちらりと思ったのよ?
 んでもって、やるならやっぱりファラオ×ラダメスよね、とか、誰もよろこばないだろうカップリングを、大真面目にプロット作ったりはしていたのよ?
 そこにさりげなく、ケペル(妻子アリ・笑)×ラダメスもまぜてみようとか、そんなこともちらりと思ったのよ?

 でも、ダメだったわ。
 時間なんか、ありゃしねえ。

 ここ1週間、家にいる日がなかったし。
 今日は散髪してたら、あっという間に夕方だし。

 そうそう、友会から電話がありました。
 なんで電話?!
 正直、びびったよ。わたし、なにもしてないよねえ?
 友会チケットをオークションで叩き売ったりしてないぞ? てか、売れるほど当たってないぞ?
 この間、モリナカ姉に「緑野さんはいつもネットでチケットを手に入れてるんですよね。いくら出してるんですか?」と真顔で聞かれ、「……定価しか出したことありません。つーか定価以上のところは見てません」とゆー会話をしたなあ。世の中的にはチケットは高額でやりとりするのが普通なのか? ヅカの美しい風習はどこへ行ったんだ?
 なんてことが、アタマの中を駆けめぐる。
 電話では、わたしが返却したきりやんバウのチケットの話をまずされた。ご迷惑をおかけしまして申し訳ありません、てな。チケットは確かに返送されました、とな。
 返送確認はたしか、はがきだって書類に書いてあったぞ? なんで電話が来るのよー。
 そしたら理由は、返送のときにわたしが書いた「電話番号」が「登録電話番号」とちがっているから「番号を変更しますか?」という確認のTELだったわけさ。
 なーんだ。そんなことかー。
 入会したのはずいぶん前だから、すっかり忘れていたよ。どっちの電話番号だったか。うち、ふたつ番号があるんだわ。
 書類不備があると、速攻電話がくるのか、友会。あーびっくりした。

 雨はやまないし。

 おニューのピギーケースなのに、いきなり雨?!
 あわてて防水スプレー買いに行ったけど……雨のデビューはいやだああ。

 そうやって、コミケ旅行に旅立つのでした。

 
 昼間は未来ちゃんとデートして、夜はCANちゃんWHITEちゃんと映画。

 風邪っぴきの未来ちゃんをエスコートするはずが、ついついクリアランスセールに夢中になってしまった。
 だって明日から旅行だし!
 旅行前にはいろいろ買い物したくなるじゃない。

 それにしても、夏休みだなあ、お盆休みだなあ。
 どこもすごい人。

 WHITEちゃんからは悲鳴のメールが届く。

「映画館は人でいっぱい。『踊る大捜査線2』がまたしても見られなかった」
 また?
 あなた先週も同じこと言ってたよね?

 本日3人で見る予定だった『トーク・トゥ・ハー』も、定員オーバーでアウト。なんてこったい、わたしたちなんのために集まったの?
 仕方なくごはんだけ食べて解散。……ほんの3時間ほど、喋りまくってたけどな。

 それにしても、毎日出歩いてるよなあ。

 
 萌えです。
 ものすっげー、萌えで愉快な映画を見てしまいました。

 どれくらい愉快かというと、『ギャング・オブ・ニューヨーク』以来です!(笑)

 その映画の名は、『ワイルド・スピードX2』だ!

 走り屋モノだと聞いて、まったく興味がなかった。車なんかどーでもいいもん。しかも、走り屋さんたちの車ってば、わたしの目には「……バカ?」って感じのデコレーションされたものばかりだし。
 予告を見ただけで「一生見なくていいや」てな作品だったのに。

 宣伝のために日本にやってきた主演俳優のポール・ウォーカーを見て、気が変わる。
 だってアンタ、男前じゃないのっ。
 予告で見る限り、薄汚い感じなのに、ふつーにしてたらこんなにハンサムだったの?
 つーことで、現金に興味が湧く(笑)。

 主演が男前。
 走り屋モノ。
 どうやら続編らしい。
 ……これだけの、予備知識。
 あと、試写会場で司会のおねーさんが、「アメリカで、10代の若者にもっとも支持された映画」と言っていたのを聞いて、わりと萎える。わたしゃ、ばばあじゃけん、ガキのよろこぶよーな映画はきっと理解できねーよ、と。

 監督ジョン・シングルトン、出演ポール・ウォーカー、タイリース、エヴァ・メンデス。

 ストーリー自体はなんもわかんねーまま、さあ映画スタート。

 …………?

 なんなの、これ?

 ブライアン@ポール・ウォーカーは元警官で今は凄腕のストリート・レーサー。どうやら警官時代に一悶着あり、それが前作で描かれているらしい。
 現在は違法な走り屋であるブライアンは、警察に逮捕されてしまう。そして、罪を帳消しにしてやるかわりに囮捜査に協力しろと脅迫されちゃうのだ。
 なんでも、大悪人カーター@コール・ハウザーが裏金を運ぶための運転手を探しているという。ブライアンは、幼なじみのローマン@タイリースを相棒に抜擢し、ふたりで囮捜査にGO!

 このブライアンとローマンの再会のシーンが、わたしに首をひねらせた最初だ。
 なんつーんですか……こう、ねとっとしているというか。
 数年ぶりの再会らしいふたり。しかも、なんだか誤解があるらしく、ローマンはブライアンを恨んでいる。
「あんなにひどくオレを裏切っておいて、よくもおめおめと顔を出せたな!」
「それは誤解だ。俺はお前を裏切ったりしてない」
「オレはお前のせいで3年もムショに入れられたんだ! どれだけつらいめに遭ったか……」
 てな殴り合いの激しい会話。

 恋人同士の、痴話ゲンカ?

 にしか、見えないんですけど……。
 ローマン、刑務所でナニがあったの? やっぱりナニ?

 とにかく、必要に迫られてコンビを復活させたブライアンとローマン。ふたりで悪党カーターの館へ。そこでテストを受け、彼らは運び屋として合格する。
 カーターのもとには、女性囮捜査官モニカ@エヴァ・メンデスがいて、ブライアンたちをバックアップすることになってるんだけど。
 女好きのブライアンは、モニカに興味津々。それにいちいちローマンは文句をつけ、皮肉を言う。つーか、モニカと張り合うよーな言動……?

 浮気者のダーリンにやきもちをやくハニー?

 カーターもモニカも、そして警察も心の底から信じてはいないブライアンは、信頼できる走り屋仲間に協力を求める。
 マイアミの走り屋たちを仕切るナイス・ガイに相棒のローマンを紹介し、彼の住む部屋を探してくれと言ったらば。
「一緒に暮らさないのか?」
 と、ナチュラルに返される。

 誰の目から見ても、カップルなんですか?

 運び屋の仕事前夜。危険な勝負だ、仕事中に死ぬかもしれないし、成功したとしてもカーターに消されることぐらいわかってる。警察はあてにならない。
 明日、死ぬかもしれない……その夜に、ブライアンとローマンは語り合う。
「本当に誤解だったんだ。俺はお前を裏切ったりしてない」
「……わかってる。本当はわかってたんだ。オレがドジを踏んだだけさ。だが、お前を恨むことでその事実から逃げていたんだ」

 ら、らぶらぶ?

 そして、仕事当日の朝。
 それぞれのマシンに乗ったふたりは戦いへと赴く。そのときに、ブライアンは言うのさ。
「大丈夫か?」
 マシンの調子のことだと思ったローマン(仕事のことだったかな?)、
「まかせろ!」
 てなことを返すのだが。

 それ、えっちした翌朝に攻が受に向かって言う定番台詞だよね?
「昨日はつい激しくヤってしまったけど、お前、躰は大丈夫か?」
 って意味よね?

 ゆうべアンタら、ヤってたんですかいっ?!
 やっぱり?
 そうとしか思えない雰囲気だったけど!!

 さあて、物語も大詰め、大仕事。カーターを無事に逮捕することができるのかっ?! とことんカーアクション。
 ブライアンとローマンがんばる! マイアミの走り屋たちもがんばる!

 こーゆーハナシだから、オチを言ってもいいだろう?
 ラストはもちろん、大団円だ。
 仕事はすべてうまくいき、ブライアンとローマンは前科を帳消しにされ、一般人としてふつーに生きていくことを許される。

 しかも、ただの大団円じゃない。

 最後は、「プロポーズ」で終わった……。

 一緒に暮らすんかい、お前らっっ。
 女は? 美人捜査官モニカの立場は?! ただブライアンが、ローマンにやきもちをやかせるためにちょっかい出しただけ?

 もー、あちこち笑いこらえるのに大変だった。
 濃密な男同士の物語。
 見ている方が恥ずかしくなるようなバカップルぶり。

 レースものとしても、アクションものとしても、わたしはどーでもいー。
 ブライアンとローマンの「恋愛映画」として、めちゃくちゃたのしんだ。
 つーかコレ、ボーイズラブだよねえ? 定番まんまのストーリーだよねえ?

 ごついムキムキ黒人のローマンが受、てのがイイ感じです(笑)。
 ハンサム白人のブライアンは、ちょいわがままのカッコイイ系攻だしさっ。
 おもしろすぎ。

「アレ、女が見たら絶対たのしーよー。腐女子はなにがあっても行くべきだねっ」
 と語るわたしに、WHITEちゃんは冷たく、
「女はまず見に行かないタイトルだけどね。カーマニアの男しか見ないって」
 と、返してくれたよ。

 わたし、今度は吹き替え版で見たいけどなー。
 マイアミを舞台にした、アクション・ホモ・ロマンス(笑)。

 
 鉄道オタクの父がまた、「電車に乗りたい」と言い出した。
「京阪の2階建て特急に乗って、比叡山に行こう」
 あの……京阪特急って、思い切り通勤特急ですが? ふつーの勤め人が通勤のために乗っている電車ですが?
 それに、なんでわざわざ比叡山なの?
「比叡山に行けば、ロープウェイとケーブルカーに乗れるんだぞ」
 乗れる、って……目的はソレかい。

 父の旅行はいつもこうだ。
 目的地は後付け。先に「なにに乗りたいから」という発想で決められる。
 乗り物が先。乗り物にさえ乗ることができたら、どこにも行かずに帰ってきてもいいくらいらしい。

 予定段階でモメにモメて(なんでこー、父も母もわがままで気まぐれなんだ?!)、行くのが相当嫌になったりもしたが、とりあえず比叡山に向けて日帰り旅行出発。

 比叡山に行くのは何度目だろう。寺社仏閣好きの家庭に育ったために、近畿地方の主な寺には大抵行ってるからな。記憶が混ざってしまって、どこがどこやら。
 しかし、こういう大きなお寺と、テーマパークと化した空間は素晴らしいね。外国の教会とかもそうだけど、信仰の場というのはとても美しい独特の宇宙がある。
 根本中堂の、厨子の中で見ることはできないご本尊と、その前を照らす1200年間途絶えたことがないという不滅の法灯、そしてそれらとわたしたちを隔てる深淵。
 美しいものはどこか、こわさを秘めている。
 ……娯楽のない時代に、この空間を作ったわけだから、すげえよな。ディズニーランドもUSJもないわけだからな。ふつーの人が苦労して山のてっぺんまで登ってきて、そこにこの空間が広がっていたら、そりゃびっくりするさ。こんな世界があったなんて!と感動するさ。はじめてのヴァーチャル・リアリティ。ひとの手によって構築された別世界を見るという経験。神も仏も、信じたくなるだろうさ。
 とくに信仰を持っていないわたしでも、ははぁっ!とひれ伏したくなる空間だからな。

 愉快だったのは横川の角大師だ。
 わたしたち家族も、横川にまではそれまで行ったことがなかったんだ。はじめて横川に行って、清水寺に似た作りと、似てもにつかないカラーリングの横川中堂に驚嘆した、そのあと。
 おみくじの元祖だとかいう元三大師堂に行ったのね。
 そこにはあちこちに、とても愉快なお札が貼ってあった。
 ひとめで「悪魔」だと思える姿形。
 お寺に、悪魔?
 それは角大師という疫神らしい。角大師の姿を写したお札を入り口に貼れば疫病封じになるし、また身につければ魔よけになるらしい。
「じつにいい味をだしている」
 と、弟。デジカメにその姿をおさめながら、しみじみと言う。
 ほんとに素晴らしい造形だ。角大師。ここでしかグッズが手に入らないのがまたレアだわ。わたしは角大師様の根付けを買った。だってわたし、今年厄年なんだよ。
「なんつーか、ゲームキャラみたい」
「それを見た人に『モトネタなに?』って聞かれそうだよな」
「『メガテン』とかに出てそう」
 あやしくていい感じだ、角大師様。かなりお気に入り。今度また、時間のあるときにゆっくりと来よう。4時閉堂ってことで、ここにたどりついたときにはもう時間切れ、ろくに見ることができなかったのよねえ。

 帰りは琵琶湖花火大会へ。
 淀川花火大会がホームグラウンドなわたしたち、琵琶湖のことはなにもわかっていません。ビューポイントがどこなのか、どうすればいいのかさっぱりわからないままに、行きがけの駄賃程度の気持ちで参加。
 琵琶湖花火大会は、淀川花火大会の半分の規模。だけど人出は同じ40万人。……これだけは前もって情報誌で押さえてあった。
 半分の規模なのに、人出は同じ、ってなによそれ。さいてーじゃん。
 淀川のものすげえ混雑ぶりを知っているだけに、辟易してたんだけど。

 やっぱ田舎はいいよなっ。

 大阪とは都市の作りがまったくチガウのだ。
 なんなの、この道路のだだっ広さは。
 淀川とちがって開放感あふれている。しかも。

 その大きな道路が、完全に交通規制され歩行者天国になっているのだ。

 最寄り駅から湖岸まで、歩行者天国だよ?
 かなりな距離だよ?
 相当な広さだよ?

「祭りとは本来、都市機能をストップさせて行うものなんだ」

 と、史学科卒の弟が感慨深くつぶやく。
 これだけの距離、これだけの道路をたかが「祭り」のために機能停止させるなんて。大阪ではありえない。そんなことをしたら経済に支障を来す。パニックになる。
 だけど田舎では、それが可能なんだ。すごい。

 都市をあげての「祭り」だ、淀川と同じ40万人が参加しているはずなのに、人混みの密度は比べモノにならない。ガラガラ。ストレス最小。湖岸へとまっすぐ伸びた大きな道路は、どこからでもよく見える。なんて楽なの、この花火見物。

 打ち上げの規模は半分だとしても、演出のちがいで遜色ないモノになっていた。
 淀川の花火は、縦に重ねて上がる。
 琵琶湖の花火は、横に連なって上がる。
 淀川では、打ち上げられる花火のあまりの数に、空が煙で白んでしまう。重ねて重ねて、同じところに打ち上げられるからだ。
 琵琶湖の花火は、空間の広さを最大限に利用し、夜空全体に広がる。ひとつずつが重なることはないから、奥行きはない。
 どちらがすばらしいと決めるものではないだろう。

 まったくチガウふたつの花火大会を見て、とても感動した。

 まあ、なんといっても琵琶湖は遠い。そうそう見に行けるところでもないけどな。

 「電車に乗る」という手段のためだけにチョイスされた目的、日帰り比叡山。
 手段のおかげで、目的にもなってなかった花火が見られてラッキーだった。

 
 何回目だかの星組観劇。

 今回のテーマは「汐美真帆とツーショット写真」!!(笑)

 宝塚大劇場ロビーにある、変身写真館。
 衣装を着て記念撮影をするのとは別に、「ツーショット写真」ちゅーのがあるんだわ。
 スチール写真のスターの顔の隣に、自分の顔を合成するという力業な「ツーショット」。
 このサービスがあることは知っていたが、「誰がやるんだ、そんなもん」となまあたたかく思っていたさ。
 スターの顔と自分の顔を並べて合成して、なにがたのしいんだ。スターの顔はスターの顔だけで見ている方が美しくていいし、横に自分の顔があったりしたら興ざめだろう。
 本物と並んで撮れるならともかくさー、自分だけ写真撮って合成なんかしてもさー。つまんなーい。

 とまあ、興味がなかったために、知らないことがあった。

 アレってさ、限られた人しかないんだよ?
 「スター」の名前がある人だけなんだよ?

 ムラで働いているくせに、ヅカのことはなんにも知らないワゴンねーちゃん。彼女が言った。
「緑野ちゃんが好きな人はなんて人? 最近あたしスターの名前おぼえてきたから、わかるかも」
「そう? じゃ汐美真帆ってわかる?」
「わかるよ。だってツーショット写真にあるもん!」
「えっ、あるの?!」
 そしてワゴンねーちゃんは意気揚々と「汐風幸」の写真を指さした。

「チガウっ!!」

「えっ、ちがうの?」
「ぜんぜんチガウ、別の人!」
「だって『汐』の字が同じだし……」
「つーか『汐』の字しか合ってないよ」
 理解したワゴンねーちゃんは、改めて確認しました。
「緑野ちゃんの好きな人、ツーショット写真にはないわ。あれって、主立った人だけだから。で、あたし、スターぐらいしか名前わかんないし」

 わかってるよ。わかってるから、特に考えたこともなかったよ。
 汐美真帆は「スター」ではない、って、いちいち説明してくれなくても知ってるよう。ヅカをよく知らない人の口から、わざわざ言われちゃうくらい路線外なんだって。
 ワゴンねーちゃんがわたしのケロを個別認識する日が永遠に来ないことぐらい……わかってるよう。

 てなことがあったのだわ。ちょっと前にな。

 だから、我が目を疑ったさ。
 変身写真館の「ツーショット写真」のコーナーに、我がケロ兄貴の写真を見たときには。

 ケロが「ツーショット写真」のコーナーにいる!!

 各組たった5人、トップコンビとあと3人しか載ることができない「ツーショット写真」。
 そこにケロちゃん、載ってんじゃーんっ!!
 しかもしかも、ウバルドにーさんじゃーん!

 つーことで。

 今回のテーマは「汐美真帆とツーショット写真」。
 「誰がやるんだ、そんなもん」と思っていたことは棚上げさ。
 恥は一時、写真は永遠。
 いざ写真館へ!!

 本日の連れのキティちゃんも、仕事中のワゴンねーちゃんも、ひやかしに来てくれましたともさ。

「緑野ちゃん、ポーズとらなきゃ、ポーズ」
 とワゴンねーちゃんに言われ、ついポーズを取る。キティちゃんは横で爆笑している。
 カメラを操作している写真館の店長さんも、苦笑い。
 あの、そんなにイケてませんでした、今のポーズ?
 よし、へんなことをするのはよそう。ふつーにお澄まし顔で撮るぞっ。
 何枚かシャッターを切ってもらい、できあがりは30分後。

「あの、撮った写真全部わたしが見て、どれを使うか決めさせてもらえませんか?」
 と頼んでみたが笑顔で却下された。プロに任せろとのこと。

 そして、幕間に引き取りに行ってぼーぜんさ。

 できあがった写真は、よりによって最初の「ど阿呆なポーズ」を取っているモノだった……。

 こ、これを使いますか……。
 コレを使うくらいなら、あと何回もシャッター押す必要なかったやん!
 お澄まし顔して「うーん、表情が硬いなあ。もう少し笑ってみて」とか、いろいろ言われてがんばった意味ないじゃん。

 いや、いいんだけどな。
 どうあがいたってわたしの顔じゃ、見苦しいに決まってるんだから。
 ああほんとに、恥ずかしい写真だ……。

 ウバルドにーちゃんとツーショット。
 わたしは笑顔でポーズ。ほんとにうれしそう……馬鹿丸出し。

 これはただの記念品。
 ケロが「スター」として「ツーショット写真」コーナーに載っているのは最初で最後かもしれないんだからっ。
 撮るだけ撮ったらもう二度と見ることもなく、保管するだけなんだから。
 わたしの顔が馬鹿でぶすでもいいのよっ。

 コーナン貸切は、キティちゃんが抽選にのぞみました。
 15列目の上手。
 1列目を狙っていたわたしたち(夢は大きく!笑)はかなりしょぼーん。
 でも、当日来ていた友人たちより、いちばんいい席だったのよ。2階B席を引いてしまったCANちゃんに比べりゃパラダイスさ。

 わたし、檀ちゃんの歌声には耐性があって、多少のことでは平気になってるんだけど……。
 さすがにこの公演の檀ちゃんはすごかった。
 最後の蓮の女王のシーンで、カマすカマす。……涙も一気に引いたよ(笑)。

 んで、家でこうやって日記書きながら思った。

 「ツーショット写真」は組内で5人(スター専科含む)。
 つーと……『ガイドル』のときはケロ、入ってたんじゃないの?
 「ツーショット写真」初登場じゃなかったってこと?(わたし、詰め甘い?)

 
 6日のきんどーさんとデートは映画2本立て。
 夕方からは『バトル・ロワイアル2』を見ました。

 わはは。
 すごかったよ、これ。
 ツッコミどころ多すぎて、誘い受もここまできたらお手上げって感じ。

 わたしは映画の『バトロワ1』のファン。
 メディアミックスしまくりのこのタイトル、実際に自分で味わったのは映画と原作小説だけです。

 原作小説はねー、爆笑させていただきました。
 あのときはなー、長坂秀佳と立て続けに読んだもんだから、破壊力すごいのなんのって。長坂おぢさんのセンス劣悪さに笑いながらも疲労し、そのうえ『バトロワ』で同質のセンス皆無っぷりを見せつけられ……爆笑したけど、ものすごーく脱力した。

 長坂おぢさんのすごさは、現代文化を知らないおぢさんであるにも関わらず、聞きかじりのまちがった情報で「ナウでヤングな世界」を展開させること。携帯電話もメールも使ったことないなら、書かなきゃいいのに。まちがった事実を「オレってイケてる♪」と自信満々に書かれるうすら寒さ。
 それと同質のものを感じたんだよな、小説『バトロワ』。
 わたし、『バトロワ』の作者って、長坂おぢさんみたいな若者ぶった年寄りか、あるいは10代の男の子だと思ったの。
 感覚が、少年ジャンプを通り越して「コロコロコミック」だったから。
 それか、わたしが子どものころに見ていたロボットアニメとかの世界。シートベルトひとつない操縦席に坐って、必殺兵器の名前を叫びながらボタン押すような。子どもが真似をしてヒーローごっこをするような。あーゆー年代のセンス。
 少なくとも、現代社会の第一線で仕事したり恋をしたりしている年代ではないよな、って。
 ……作者の年齢を知っておどろいたさ……。

 映画の『バトロワ1』は、原作小説の寒い部分をオシャレに料理してくれていて、「メディアミックスはこうあるべきだよな」と感動した。
 あの長坂おぢさん系のセンスの悪さを、こう昇華させますか……。監督、センスいい人なんだなあ。センスってのは年齢じゃないんだなあ。見習いたいよ。

 その深作欣二監督が死去し、息子が引き継いだという、『バトロワ2』。
 小説を書いた人が映画『2』には関与していないことは、人づてに聞いていた。だからまったくのオリジナル続編なんだよね。

 欣二監督が生きていたら、どうなっていたのかな? 映画制作というものをよくわかっていないわたしには、見当もつかない。

 しかし。

 わたしには、最初から最後まで、わからなかった。
 主人公たちがなにを考えて、なにをしているのか。

 ここまで「?」なままだった映画は、はじめてだー。

 前作の主人公でもあった七原秋也@藤原竜也。
 アンタそれで結局、なにがしたいの? で、なにをしてるの?
 わかんないよー。

 中学生同士を殺し合わせるBR法。そーゆー法律が存在してしまうまちがった社会に対して、BRの生き残り七原秋也は戦いを挑む。
 ここまではわかる。映画『1』のラストがこうだな。
 しかし……それで秋也が映画『2』でやることは、無差別テロときたもんだ。
 え、えっと?
 テロ組織「ワイルドセブン」のリーダーとなった七原秋也のアジトを襲い、彼を抹殺する命令を受けたのが、新しいBR法によって無理矢理戦争をさせられちゃう今回の中学生たち。たくさん出てくるけど、個性薄いので誰が誰やら。
 壮絶な戦いの末、生き残った中学生たちは秋也たちに同調、一緒になって逃げたり戦ったり。
 結局なんの解決もないまま、「主人公生きてんだから、ハッピーエンドだよな?」的ラストへ。

 監督脚本・深作欣二、深作健太。出演・藤原竜也、前田愛、忍成修吾。

 テロの必要性を教えてください。
 ツッコミはいろいろありすぎるんだが、いちばんはコレかなあ。
 なんで高層ビル爆破なの?
 それにはなんの意味があって、どうやってその行為にたどりついたの?
 BR法がひどいのも、社会がまちがっているのもわかってる。
 だからといって、高層ビルを爆破しなければならない理由はどこ?
 それを描いてくれないと、わかんないよ。
 これは映画であり、「フィクション」だ。倫理観でどうこう言ってるわけじゃない。現実のテロがどうじゃなくて、この映画の中で「納得させてくれる理由」さえあれば、わたしはちゃんとテロリスト主役の物語としてたのしんだよ。
 でも、理由は描かれず「社会が悪い。だからテロなんだ」ってことで、戦争されても理解できない。なまじ前作で「本人の責任とは関係なく、無造作に殺される生命の理不尽さ」に憤慨していた秋也を見ているだけにな。
 彼は何故、『1』で憎んでいた「悪い大人たち」と同じことをするようになったの? 理由を教えて。

 全体的に感じたのは、物語としての方法論のまちがい。
 ストーリーがあって、それによって物語が進んでるというより、「言いたいこと」があって、それを言うためにストーリーを無理矢理ねつ造している感じ。
 Aくんがどれだけ善人であるかを言いたいために、隣にいるBくんの悪いところを書き立てているような。いや、Bくんが悪い人だってのはわかったから、Aくんがどうすばらしい人なのかを語ってくれよ。いくらBくんの悪口を書いたって、Aくんがすばらしいってことにはならないよ、それは別の問題だってば。
 「言いたいこと」を観客に押しつけるために、ストーリーはかなり変。なんでそうなるの? どうしてそこでそうハナシが曲がるの? の連続。
 わからないことだらけで、途方に暮れる。

 結局やりたかったのは「アメリカなんか大嫌い!!」と「銃撃戦」?

 なんで空爆しないのか、不思議でしょーがなかったんだが。
 中学生たちを兵士として送り込むのは、わざとだってわかるけど(しかし無理矢理すぎるよなこの新BR法。やめときゃいいのに)、そのあとの大人のプロ兵士たちがわざわざ徒歩で攻撃に行くのは何故? 味方に被害を出す意味がわからん。
 ミサイル一発で終わりじゃん。

 てなふーに、「言いたいこと」「やりたいこと」が最初にあって、あとは全部こじつけ? ストーリーなんかどーでもいいじゃーん、てか?
 とにかく人を殺せば観客は泣くし、自由とか愛とか言わせておけば感動するしってか?
 ひでーなー。

 アメリカ嫌いでもテロOKでもなんでもいいから、壊れていないおもしろいものを見せてくれよー。
 「映画」だから「フィクション」だから、おもしろければそれでかまわないんだからさ。
 そのうえで、好き嫌いがあって、「その考え方はわたしはどうかと思う」とか「その意見に同意だわ!」とかってのが出てくるんだよ。
 いくら「言いたいこと」ばっか鼻息荒く説教されても、作品が壊れてるんじゃ、評価対象にすらならないよ。

 ところで藤原竜也くんがずーっとずーっと、ゆーひくんに見えてしょーがなかった……(笑)。

 だってさー、テロリストくんたちってば全員、国籍無視のアラブ系ゲリラみたいな格好してるんだもん。わたしたちが「ゲリラ」というと想像する、あのまんまの格好。ここ、日本だよねえ? 彼ら日本人だよねえ?(笑)
 んで竜也くんは白のロングドレスのよーな、「カリスマ・リーダー」らしいファッションでキメてますのよ。さらに、ゲリラらしく髪はロン毛。

 プルミタス……。

 丸いフェイスラインとあらいぐま系の顔立ち。長身でスタイルよくて、そして黒い長めの髪。

 あー、ゆーひだー。
 やたら苦悩してて、美しいですなあ。
 いや、ゆーひより演技力はあると思いますが(失礼な)。

 プルミタス藤原竜也を見るぶんにはいいか。


 台風近付く中、CANちゃんの会社でバイト。そしてその帰りに、ついにピギーケースを買う。もちろんコミケ用にだ。ああ、オタク一直線(笑)。

 それはさておき、水曜日にきんどーさんとデートしたときの映画の感想いってみよー。

 『バトロワ2』を見るつもりだったのに、『バトロワ2』は夕方とレイトショーしかやってなかったのよ。きんどーさんとはランチの約束なのに。つーことで急遽『パイレーツ・オブ・カリビアン−呪われた海賊たち−』鑑賞。

 見終わったあと、長い長いスタッフロールの最中、きんどーさんがつぶやいた。
「思ってたのとちがった……こんなにおもしろくないなんて」
 えっ、ダメでした? わたし、けっこーたのしんで見たんだけど。

「でもま、所詮ディズニーだし」
 と、わたし。
「えっ、ディズニーなの?」
「ディズニーランドの『カリブの海賊』だよね? アトラクションと同じシーンがいろいろあって、笑えたよ」
 そう言っているうちに、「ディズニー」ブランドのロゴが流れていく。ね、ディズニーでしょ?

 監督ジェリー・ブラッカイマー、出演ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム。

 海賊にさらわれた、愛するお姫様を救え!な話。
 お姫様エリザベス@キーラ・ナイトレイが海賊バルボッサ@ジェフリー・ラッシュ一味にさらわれた。海軍なんかに任せておけない!てことで、彼女をひそかに愛する鍛冶屋の若者ウィル・ターナー@オーランド・ブルームは独自に救出作戦GO! うさんくさい海賊(なんせ船もなければ部下もいない)ジャック・スパロウ船長@ジョニー・デップと組んで愛と戦いの航海へ!
 そこに10年前の出来事だとか、ウィルの父親の秘密だとかが加わってきてさあ大変。最後に笑うのは誰だ?!

 えーと、たのしい冒険活劇。深く考える必要なし、気軽に見て気軽に笑え。なんで吹き替えがなかったんだろ、いつもの映画館。これこそ吹き替えがあってしかるべき。子どもが見てもいい映画じゃん。てっきり吹き替えがあると思ってたよ(それなら夏休みをはずして吹き替えで見たよ)。

 ストーリーについては、感想らしい感想がない。「どうだった?」と聞かれれば「おもしろかった」と答えるし、「キャストはどう?」と聞かれれば「ジョニー・デップすてき」と答えるし、「ホモはあった?」と聞かれれば(笑)「ジャック船長とウィルくんはずーっとラヴラヴだったよ(笑)」と答えるさ。
 でも、「絶対見に行くべき?」と聞かれれば、「べつに」と 答えるだろう。
 ひとことで言うと、萌えがなかった。たのしいけれど、見終わった瞬間内容を忘れているよーな。エンタメとしての出来映えを考察できるほど気力がわかないというか。
 おもしろかったんだけどなー。
 ジャックかっこいー、ジャックすてきー、しか言うことがない……。あ、あとキーラ・ナイトレイきれい、と(『ベッカムに恋して』の彼女だよね? レズにまちがえられたり、男の子にまちがえられたりしていた、あのハンサム・ガール)。

 ディズニーランドの『カリブの海賊』は大好きだ。
 特別なアトラクションだ。
 18の夏、はじめて友だちとふたりで旅行をした。行き先は東京ディズニーランド。なにもかもがはじめて尽くし。びんぼーなガキだったので、ずっと旅行ができるほど金がなかったのだ。アルバイトも禁止されていたし。で、18になってバイト解禁、自分で稼いだお金で、自分で計画して自分で旅行に出た。わくわく。
 そしてはじめてのディズニーランドで、最初に入ったアトラクションが『カリブの海賊』だった。そこがなんなのか、自分がどーゆーアトラクションに入ったのかも、わかってなかった。ただ手近だったから飛び込んだ。

 感動だった。

 そこにある「別世界」に酔いしれた。
 穴蔵をボートで進む高揚、光と闇、ブラックな世界観とかなり大味なユーモア。それらが微笑ましかった。
 海賊たちの豊かな表情と動きに、「人間」を感じた。
 一緒に歌いたくなるようなたのしさがあった。

 あれからそりゃーもーはてしなく時は流れ、『カリブの海賊』にも軽くフタ桁は入ったけれど、感動は忘れられない。
 やっぱり好きだと思う。

 その感覚をくすぐられる気はした。
 あーわたし、好きだったなあ、『カリブの海賊』。
 ボートに乗って最初に、水路に面したレストランの明かりを見たときのどきどきは格別だったなあ。アトラクションが本格的にはじまる前に、まずレストランの横を通るんだよね。だからまず、レストランにどきどきしたんだった(笑)。
 あの、幼いときめきがよみがえってくる。

 テーマパークのアトラクションのイメージを、裏切ることなく映画にしてくれたのはうれしい。
 だからわたしは、ちょっとせつなくて、たのしかった。

 それで十分、1000円の価値はあったよ。

 
 端の席のときはあえて端っこを。真ん中はセンター席のときに観ればいいわ。
 ……そう思っていたのは、センター席を確保していたから。

 星組観劇、えーと何回目だ?
 本日はヒト桁列センターブロックで観劇だー。オペラグラスは使わないぞ。いっつもケロ兄貴しか見てなかったから、今日だけはケロ兄貴だけでなく全部を見るぞ。

 そう決めていたのです。
 なのに。

 月組生がぞろぞろ現れるって、なによソレ?!
 聞いてないよ、予定外だよ。
 しかもしかも、わたしの席から丸見えのところに坐っちゃってるじゃないよ、そんなのこまるよ。

 しかも、いちばんよく見えるところにゆーひが……。
 サブセン通路際なんて、センターブロックの人間からいちばんよく見える席じゃん! 長い足が通路にはみ出してるのまでよく見えたってば。

 き、気になるじゃないかっ。

 下手にトウコ、上手にケロにーちゃん。物語はアイーダ@トウコを中心に進み、ウバルド@ケロにはもう台詞もなく、そこにいるだけ。物語の進行とは関係ない。
 なのにゆーひくん……ケロを見てます……。
 物語は下手で進んでるのに、上手を見てるよ。わたしと視線が同じだよ。
 そして、台詞のないままケロが上手袖に退場していくと、ゆーひの視線ははじめて下手の物語の中心へ動く。……あの、それ、わたしと視線の動きが同じですけど……。

 わたしほど完全にケロ兄貴だけを見ているわけじゃないにしろ、そりゃーあちこちでケロ兄貴に視線を向けてました、ゆーひくん。ケロは舞台の本筋とは別に花道に立つことが多いので、彼を見るためには頭を動かすことになるから、よくわかるのさ。
 他のヒトの頭は動かないのに、ゆーひくんだけ動いてるのが、よくわかる……。
 もちろん、フィナーレではケロちゃんときゃーきゃー手を振り合ってるし。ケロ兄貴、目がなくなってるし(ただの線だー)。
 仲良しさんだなあ。

 いやあ、いいもん見せてもらったよ……ってわたし、なにしに行ったのよ?! せっかくのセンターブロックがっ。

 あ、ゆーひくんはとにかく、ちかちゃんが出てくると大ウケしてました。隣の席のさららんとつつき合って喋り、笑ってる。
 まあ、ありゃウケるか……。
 ちかちゃんとも仲良しさんだったよねえ?

 初志貫徹、オペラグラスは使わず、全体を見ていました。
 やっぱ好きだわ、この作品。

 ビデオ撮りの日だったらしく、大きなカメラが何台も設置されていた。
 そのうち1台は、1階1列1番に。
 つまりそれって、銀橋中央でのキスシーンを撮れるってこと? この間のわたしの目線でワタルのエロい顔を撮影できますぜってこと?!
 たのむよカメラさん、チューしてるときのワタさんを撮ってくれー。それだけでビデオの売り上げが変わると思うぞ(笑)。

 幕間に、後ろから抱きつかれた。
 だ、誰っ?!
 と振り払ってみればBe-Puちゃん。
 そーいや初日も突然覆い被さってこられたっけ。わたし、襲われてる?(Be-Puちゃんはわたしよりアタマひとつ小さいです)
 聞けばBe-Puちゃんもハマってて、「今日で3回目」と言っていた。
「前に来た日は、トドロキが来てたよ」
「へ? トド様が来てた日、わたしも来てたよ? キティちゃんと」
 初日にわたしと偶然ばったり会って、2回目に来たときも偶然わたしと同じ観劇日で、3回目の今日も偶然一緒なの? なんかものすげー偶然づいてますけど(笑)。

 それにしてもBe-Puちゃんも、一緒にいたモリナカ姉も、
「緑野さんがあんまり『剣舐め』『剣舐め』って言うから、なんのことかと思った。そんなの知らないし」
 とか言うし!!
 なんで見てないのよ、あんたたち。3回以上観てるくせに。
「今日はじめて見たよ。ああ、これかー、って」
「でも『指舐め』ってなに? そんなのあった?」
「あったってばっ。2幕の最初の……」
「寝てたから見てないかも」
 と、モリナカさん。
「2幕の開始5分以内ですよ? ケロが銀橋走って……」(モリナカ姉には敬語)
「関係ないシーンは目を休めることにしたの。今日は朝早かったから」
 関係ない……ワタルっちが出てないシーンは「関係ないシーン」ですか……。男前な発言だ。
 そうそして、一緒に観に来たBe-Puちゃんとモリナカさんは、わざわざべつべつの席に坐っているのだ。「ワタルがよく見える席」「トウコがよく見える席」つーことで、上手と下手にそれぞれ当日券を買ったらしい。並んで観劇しないんだ……すげえよ。ヅカファンだなあ。

 Be-Puちゃんとは、千秋楽での再会を約束して別れる。
 つまり、4回あった彼女の観劇日は全部偶然わたしと同じだったわけだ……何故。運命?(笑)

 千秋楽は、コミケの翌日。
 起きられるのか、わたし??
 それにしてもこの日記サイト、ダメダメだねえ。書き込めないときが多すぎるし、書き込んだモノが消えてるよ……。
 昨日4回も書き込んだのに、「なかったこと」にされてるわ。

          ☆

 宙バウ『里見八犬伝』の続き。

 ストーリーは映画まんまなんだよね?
 映画のストーリーをすでに忘却しているわたしにはくわしい判別はつかないが。観ていると「あー、こんなだったなー」となつかしい感じ。
 全体的に漂う、少年マンガの雰囲気。
 もっとエロくできただろうに……作者が健全な人なのか? みょーにしらじらと明るかった。
 だからこそ、親兵衛と静姫のベッドシーンが唐突だった。
 えっ、やるの?! 早っ。……って感じ。
 ついでに、幕が下りるタイミングと、役者がハケるタイミング、なんとかしようよ……。
 せっかく岩の上で(初体験が岩の上か……痛そうだな……)折り重なったふたりが、暗転したあとさっさと起きあがってハケていくのが見えるんだもん。拍子抜け。
 そしてふと、暗転したあともしつこく絡み合い、うごめいていた、『血と砂』のフアンとドンニャを思い出したりな……あいつらはエロかった……。
 んでもって、初夜の翌朝、突然静姫さらわれてるし……(親兵衛、それは男としてどうよ?)。男を知ったばかりの女、とかゆー台詞があるわりに、やっぱり色っぽい画面にはならないしなあ。子どもが観ても大丈夫、ガイドラインはっきりの少年マンガのやう……。

 演出家が別の人だったら、もっと愉快な舞台だったろうな……とか思ってしまうのは反則?
 題材もキャスティングもいいから、あとは演出。
 シーンにメリハリをつけてくれー、健康的で体育会的な八犬伝ってのはちとチガウ気がするぞー、とかな。

 小さくまとまった印象の作品。
 失敗しないことを大前提にしました的。
 もちろん、それはそれでいいんだけど。
 壊れた物語ではないので、今後に期待。

 あ。
 ラストの宙づりは力いっぱい脱力した。
 着物の宙づりはかっこわるいんだとこの目で見て知ったというか。
 役者も大変だなー。あんなことまでやらされて。

 とりあえず、キャスティングはいい。
 水くんの親兵衛、かっこいいもんなー。
 やんちゃな男の子が、どんどんいい男になっていくのは、見ていて気持ちいい。
 そして、ブラック親兵衛になると、途端に色っぽく美しくなるし(笑)。もう少し長く見ていたかったんですけど、ブラック親兵衛。

 この作品でもっとも「すばらしい! 最高のキャスティング!」と思ったのは、もちろんぽっぽさんだ。玉梓、こわすぎ(笑)。ともちんと親子だなんて、濃すぎ(笑)。
 ヒロインあすみちゃんはかわいかった。嫌みのない少年っぽさと、水くんの腕の中に入っちゃう小ささがいいなあ。水くんの男ぶりが上がるヒロインだわ。
 そして、なんといっても右京くん。ある人に「ゆうひファンが右京さんの顔に惚れるのはわかる。共通項のある顔だから」と言われてたんだけど。……今回、しみじみ納得した。フィナーレの無表情に踊る右京くんを見て。たしかに、ゆーひの顔が好きなわたしが、好きになった顔だわ……。
 右京くんは蟇田一族側、幻人というよくわからないじーさん?おっさん?役。こんなにいっぱい台詞のある右京くん、はじめてかも……そしてこの程度でいっぱいと思うあたり、ほんとに役のつかない人だ……。トリッキーな役だったので、右京くんの演技のアレさが目立たなくてよかったと思います(ファンの台詞かっ?!) 演技はアレだし声がなによりアレだが、でも好きよ、右京くん(笑)。
 リキくんは相変わらずうまいなあ。このままいい男に育っておくれ。わたしの目には、なにをやっても受に見えるんだけど……(笑)。
 七央ちゃん、ものすごーくひさしぶりな気がした……。この人の悪役がみょーに気恥ずかしかったのは何故だろう。いい役だし、七央ちゃん好きなんだけどな……何故か恥ずかしい。
 和音ちゃんはうまくてあでやかな人だねえ。七央ちゃん、存在感ですでに負けている気が……あわあわ。

 原作小説の印象のすべてが「信乃と浜路」なこのわたし。
 信乃と浜路には注目していましたことよ。
 信乃って、七帆くんだったんだー。予備知識なく見ているもんだから、出てくるまで知らなかったよ。
 いや、すっきりとした二枚目ぶりを堪能。
 でもさすがに、浜路を押し倒して脱がせなかったね……当然か(笑)。

 しかしこの公演のポスター、2種類あるんだね。
 わたし、バウのポスターで2種類あるの、はじめて見た。
 大きさに合わせてデザインを変更してあるのは基本だけど、写真自体が別物だなんて。
 水くんって、劇団に期待されてる?

          ☆ 

 で。
 帰宅して「リカちゃんの退団会見の記事はあるかしら」とニュースサイトへ行ってみたら、さえちゃん一色だった……。
 あの、リカちゃんの退団会見は……?
 (だからこれは5日の日記)

 さあ、書き込めるかな?
 昨日4回書き込んだヤツは、どこに消えたのかなー。確認メールは4回とも来てたんだけど。

 
 通路横の座席をGETしたときから、祈っていた。
「客席降りがありますように!」
 ……祈りは通じた。水兄貴はヒロインと手に手を取って客席に降り、通路を走る。
 水兄貴が真横だよ、ブラボー。顔長ぇ(失礼)。

 わたしと水くんの出会いは、日本武道館だ。
 ……ええ。はるばる行ってましたのよ、真矢みきリサイタル。「真矢みきのものすごいファンでもないくせに、どうしてっ?!」と、よく言われたが、答えは簡単、わたしゃたんなるイベント好きだ。宝塚歌劇団80余年の歴史で、はじめて日本武道館でコンサートをやるなんて言ったら、そりゃイベント好きの血がうずくでしょう(笑)。もちろん、嫌いな人のライヴに大枚はたいて行かないよ。ミキさんはエンターテナーとして好きだったし、なによりも「大好きな矢吹翔様」がお出になられるんだから、こりゃ行っとくべきでしょう!と。
 武道館までちはる兄貴を観に。……そう言った方がさらにひとには驚かれることになったがな(笑)。
 不思議とチケット難だった武道館。楽勝だと思ってたのに、チケぴで発売開始数分でスタンドしか取れなかったよ。ごめんわたし、完全にナメてた。完売するとは思ってなかったんだもん。
 さて、その広大な日本武道館で、もちろん最初の最初から立ち上がって踊りながら(これがやりたかった。ヅカでスタンディング。黄色い声が飛び、観客全員が揺れている状態。下は小学生から、上は白髪のおばあさままで。この客層がすごい・笑)、わたしはステージ上のある人に注目していた。
「ねえねえ、あのエロい人は誰?」
 なんせ、ハコは広大だ。あまり馴染みのない組の若手の顔まで、わたしには判別できていない。隣の席のチャーリー命の花組ファン・Be-Puちゃんに聞いた。
 Be-Puちゃんはあっさり答えた。
「あれは、水夏希」
 演出はつんく。なんでこーレズレズした作りなのか理解に苦しむが、とにかくやたらエロいシーンがあった。ミキさんに押し倒されているチャーリーを見て、ノーマル志向のBe-Puちゃんは凍り付いていたっけね。
 そのエロいシーンでいつもひときわエロい男役がいた。
「ねえねえ、あのエロい人は誰?」
「だから、あれが水夏希」
 強烈なインプリンティング。水夏希=エロい人(笑)。
 以来、花組を観るときは春野寿美礼(すでにファンだった)と水夏希をチェック。ああわたしって、長い顔好きだよなあ(笑)。
 武道館のエロっぷりで惚れただけに、水くんには色男であって欲しい。いつぞやの『フィガロ!』とかいう駄作は、すでにわたしの記憶にはない。チャルさんが主演で、水くんはアントニオって役で15分くらいしか出てなかったよねえ。もったいないなあ、出番がたったの15分だなんて。演出家はバカよねえ。
 恐怖の漂白剤・宙組に組替えになり、水くんまでもが白くなるのかと戦慄したが、『鳳凰伝』でわたしの愛した水夏希と再会できて胸をなで下ろした。タイトル忘却の超駄作ドラマシティ公演でも、水くんはちゃんと色男だった。
 そして 今回のこの『里見八犬伝』のポスターも、思わず拝んでしまうほどの色男ぶりだ。ああ、かっこいいなあ、水くん……!

 武道館のころの水夏希健在だと思ったのは、通常親兵衛よりも、悪の血に染まったブラック親兵衛の方が美しかったこと(笑)。

 犬江親兵衛という役はこうるさい男の子で、決して色男でもエロ男でもない。
 幼い熱さを持つ若者が、いい漢に成長する物語だ。正当派な少年マンガ。冒険活劇。エロくはないが、とにもかくにも水くんがかっこいい。

 
 さて、鎌田敏夫作『里見八犬伝』。
 もちろんわたしは、リアルタイム組だ。年齢的に。あー、当時薬師丸ひろ子はものすげえ人気だったよ。友人のミヤビンスキーくんなんか、「わたしの女神様」って呼んでたよ。
 しかし、内容はよくおぼえていない。薬師丸ひろ子が矢を射るシーンと、京本政樹が美しかったことぐらいしか記憶にない。
 原作も読んだんだが「これって鎌田敏夫?」とびっくりしたのと(鎌田敏夫の小説を以前に何冊か読んでいた。下ネタお笑い刑事物シリーズとか。オ*ニーのことを「自家発電」と表現していたのが忘れられない……)、内容でおぼえているのは、やたらセックス描写が多くて長かったことと、

「いいぞ、浜路の汗を舐めるのだ……!!」

 ぐらいさ。
 毒娘にされた浜路は犬塚信乃をカラダで籠絡しよーとするわけだな。浜路にくらくらな信乃は、「おいおい、今ココでヤるのかよ?」という読者のツッコミも置き去りに、さっそく着物を脱いでおはじめになるわけだ。
 それを見ている敵方の人間が、「そうだ信乃、そーやって浜路とさくさくヤって、浜路の汗を舐めろ。そーすりゃお前はおしまいだっ(にやり)」てなことを言うわけさ。デバガメしながら手に汗握る感じで。
 で結局信乃はあやういところで「こんなことをしている場合ではないっ」と正気に返り、浜路の汗を舐めることはしなかったので助かっちゃうのな。くやしがる敵。「ええいっ、何故汗を舐めんのだっ」「浜路のカラダを舐めまわしてこそ漢!」「行け行け信乃!」……てな戦い方が、まだ高校生だったわたしにはショックだったのだ、いろいろと(笑)。

 これだけの知識で見に行きました。鈴木圭演出『里見八犬伝』。

 ストーリーは単純明快、妖怪蟇田一族VS正義の里見の姫君+八犬士。悪を倒せ、GO!GO!GO!
 里見一族への復讐に燃える妖怪蟇田玉梓@ぽっぽさんとその息子素藤@ともちんは、ターゲットのラスト1、静姫@あすみちゃんを追っていた。ちんぴらの犬江親兵衛@水くんは賞金目当てに静姫をGETするが、次第に彼女に惹かれていく。
 さて、その昔蟇田一族を滅ぼした伏姫と犬の八房は、蟇田一族が蘇ったときの保険というかブービートラップを仕掛けていた。いざってときには犬の使命を受けた八人の戦士が里見の姫を守り、蟇田を滅ぼすというのだ。
 それが現八@リキくん、道節@まりえった、信乃@七帆、大角@和、毛野@和音、小文吾@夢、荘助@綾花、そしてプラス親兵衛@水くんで、彼らひとりずつにも事情や物語があり、ドラマチックに最後の決戦へ突き進むのさ。

 最初にラインナップ発表を見たとき、思ったこと。
「宙組で『八犬伝』? なんて無茶な。他の組ならいざしらず、宙組に8人もスターがいるのか?!」
 宙組といえば、トップスターとその他大勢、の組。スターが育たず、スター候補生はその開花を待たず必ず退団するという不吉な組。トップスターのおふたりは不動の人気や立場を誇っているのかもしれないが、2番手の水くんをのぞけば、あとはみんな顔のない脇役たちばかり。代表作は「北京の民」。団体芸NO.1、しかし個性も花もナシ。博多座と二分してこんな演目やって、公演が成り立つのか?
 と、はなはだ失礼な心配をしました。

 結果はノープロ、モウマンタイ。
 たのしかったよ。

 原作となっているのが映画の『里見八犬伝』。べったべたのエンタメ、冒険活劇だ。そのままスライドさせれば、ふつーにたのしめる作品になってしかるべき。
 原作を壊すことなく「タカラヅカ」にしていたと思う。
 ただ、若い演出家のデビュー作だという気はあまりしなかった。新鮮味はないし、個性も感じられなかった。暗転とカーテン前芝居の多さが、とてもレトロな感覚。若手でここまでカーテン前芝居をさせる人、他にいたかなあ。
 大きな破綻もなく魅力もなく……って印象。ネタが鎌田八犬伝だから手堅く走り回っているうちにラストまでたどりついたって感じ。
 たのしかったけれど、もう一度観たいとは思わなかった。
 萌えツボはナシ。
 ただ、出演者への愛情次第でいくらでも作品の評価は変わってくると思う。水くん命!だったり、ともちんへの愛だけで日々が存在する!とかいう人なら、「最大級の名作っ!」と思うかもしれない。それがタカラヅカ。それが正しい。

 それにしても、セットのセンスの悪さが気になった。
 お金、なかったのかなあ。全部「ベニヤ板に絵を描きました」なのが、びんぼくさいのなんの……。
 金がないならないで、もっと抽象的なものにするとかすればいいのに。マンガみたいな絵を描かれて、ぴかっ、とか光られてもな……。
 もっと美しい舞台が観たい。小さなハコだからこそできる、美しさを。

 文字数が足りないので、翌日欄へ続く。


 猫のエサが、缶詰になった。
 それまではドライフード、カリカリだっのに。

 猫の愛を得たいがためだけに、わたしの親たちが猫に缶詰を与えたせいだ。
 口の肥えた猫は、おかげでカリカリに見向きもしなくなった。
 朝起きると、「親の家に連れて行け」と鳴く。
 つれていけば、親たちが「おー、よしよし」と缶詰を食べさせる。
 家に連れて帰ろうとしても「イヤっ」と言って、わたしの手から逃げる。

 むかーっ。
 アンタ、どこの家の子よっ?!
 飼い主は誰よっ?!

 そうやって数日が過ぎた。
 猫は、1日の大半を親の家で過ごした。わたしの家には、夜、寝に帰ってくるだけだ(わたしが無理矢理連れ戻す)。

「ほら、缶詰買ってきてあげたから、アンタんちで食べさせなさいよ」
 と、ある日母がわたしに猫缶の束をくれた。
 えっ、わたしの家でも缶詰を?
「用事があってアンタんちに行くじゃない。そのとき、家に猫がいないのがさみしくてねえ」
 そりゃいないよ。猫は今、缶詰で餌付けされて親の家にいるんだもの。
「アンタがアンタの家にいなくてもなんとも思わないけど、アンタの家に猫がいないとさみしくてしょうがないわ。だから、缶詰あげるから猫と一緒に家に帰りなさい。そして、わたしが用事があってアンタの家に行くときに、猫がいるようにしなさい」

 …………そんな理由ですか。

 とゆーわけで、わたしの家でも猫に缶詰をあげることになりました。
 猫缶を食べさせるようになった途端、猫は「親の家に連れて行け」とは言わなくなりました。
 ほんとーに、缶詰だけが目的だったんだな、おまえ……。

 
 昨年、あんなに鼻息の荒かった叔母がなにも言ってこない。
「変ね」
 と母は言うが、わたしには予想がつく。
 叔母にはきっと、連れができたんだよ。だって今年は日曜日だし。
 一緒に行く人が他にいれば、わざわざわたしたちを誘いに来たりしないって。

 1年に1度のおたのしみ。
 淀川花火大会。

 叔母がなにも言ってこないので、わたしと母だけで行くことになった。
 が。
 直前に母に仕事が入り、終わったのが午後7時過ぎ。
 花火大会は8時から。

 昨年は5時過ぎには出発していたから、2時間も遅い。
 こんな時間じゃたぶん、会場にたどり着けない。
 ……のに、母には通じない。
「時間的に間に合うわ!」
 あの、時間だけなら間に合います。電車の時間、歩く時間。
 でもな、それはなんの障害もない場合だ。
 花火大会開始時刻間際なんて、交通渋滞や規制があって、進むに進めないに決まってんじゃん。

 日本語の通じない母に噛み砕いて説明したけれど、自分の聞きたいことしか聞かない母は、やっぱり聞いてなかった。
 わたしは最初からあきらめモード。どこでもいいから、花火が見られればいいや、てな気持ちで出発。
 しかし母は、例年通りの特等席で見る気満々。
 規制され、進めないっちゅーのに、平気で「奥へ行くのよ、奥へ!」と言い続ける。
 だから、通れないってば。放送聞きなさいよ。
「そっちは通行止めだって放送で言ってるけど、それでもあえてそっちへ行くのね?」
「通行止め? なんで? いつそんなこと言ってた?」
「駅でさんざん警察の人が言ってたよ。そっちは通行止めで会場には行けませんから、右折してくださいって。それでもママはずんずん左へ進んだよね? わかっててだよね?」
「そんなの聞いてない!」
「あれほど耳元で拡声器で怒鳴ってたでしょ?」
「あのときは帰りの切符を買うことしか考えてなかったもの!」
「帰りの切符を買う話をしながら、わたしはちゃんと聞いてたし、聞こえてた。聞こえない方がおかしい」
「どうして? わたしは聞いてない! そんなこと知らない! 切符のことしか考えてなかったもの!」
「で? 通行止めの道をわざと進むのね?」
「進まない! なんでそんなことしなきゃなんないの」
「だってママがずんずん行くから。わたしがなに言っても聞かないで」
「聞いてないもの!」
「聞けよ」
「だって周りがこんなにうるさいんだもの! 人がいっぱいで! 放送なんか聞こえないのがふつうよ!」
「わたしには聞こえた」
「わたしは聞いてない!」
 万事この調子だ。
 母は絶対に「わたしのミスです、ごめんなさい」とは言わない。悪いのは他人、母は悪くない。
 大変だよな、警察の人も。あれほど動員して放送しても、聞く耳持たない人はまったく聞かないで「周りがうるさいから、放送なんか聞こえなくて当然。ちゃんと案内しない警察が悪い」ってことになるんだもんな。

 叔母さん……今回ばかりはあなたが恋しいです。
 母とふたりきりだと、わたしのストレス度は跳ね上がります。
 ママと旅行した今年のはじめ、わたしは神経を磨り減らしたせいで頭痛を起こしてたっけ。

「奥へ行くのよ、奥へ! 河原に降りるの」
「無理だよ、河原に行くにはスロープを降りなきゃ。スロープは数が限られてるから、どこにでもあるわけじゃないって」
「どうしてみんな立ち止まってるの? 河原に降りればいいのに」
「だから、河原に降りる道が規制されてるんだってば。聞けよ、ひとの話」

 もうここでいいじゃん、ここで見ようよ。疲労。

 人混みより騒音より、母の手綱を取るのに疲れ果てる。
 堤防の上、ガードレールの向こうへ行くために、母は四つん這いになってガードレールをくぐろうとした。
「ママ、下をくぐるならリュックサックは下ろした方が……」
 ひとの話なんか聞いちゃいねえ。案の定、リュックサックがガードレールにつっかえた。お尻だけ出した無様な格好で、前にも後ろにも進めなくなる。
 周囲の失笑。
 ……なまじ、「はい、ごめんなさいよっ」と人々を蹴散らしたあとだからねえ……。
 なんでそう、テレビの中の「大阪のおばちゃん」まんまなことをするかな。そして、お尻だけ突き出して動けなくなるなんて、ドリフでもやらないよーなネタを、身体を張ってやるかな。

 
 疲れたな……今年の花火大会。

 それでも、花火自体はすばらしかったのだけど。

 今年の新作はなんといっても「ドラえもん」だよね? あと「キティちゃん」。
 昨年感動したデイジーや魚はなかった。ハートや星は健在だったけど。

 花火は生で見なきゃダメだと思う。
 この目で見て、この耳で聞く。
 広がる光、太い音。

 そして、歓声。

 集まった人たちの声を聞くのが好き。
 よろこびに、声を上げる。
 感動に、声を上げる。
 なんて素直で、無私の響き。

 凝った仕掛けに声を上げ、賞賛の言葉を贈る。
 だけど。

 いちばん単純に感動を呼び起こすのは、

 大きい、花火なんだね。

 ただ大きい、小細工なしの直球勝負、シンプルに純粋に、ただ、大きいこと。
 そのことに、歓声と拍手が起こる。

 そしてそんなことに、わたしは感動する。

 やっぱ花火は生だよなあ。
 混雑がつらくても、わたしは人混みのなかでこそ、花火を味わいたいなあ。
 だってやっぱし、人間が好きだもの。
 テレビで見てもいいだろう、見なくても人生変わらないだろう、美しいモノを見るために苦労して集まってきて、感動して拍手をする。
 人間って、愛しいイキモノだよね。

「今の花火は5段階で言うと『3』ね。んー、今度のは『4』かな」

 ママ……。
 隣で点数つけるのやめてください……がっくし。肩が落ちる娘の図。

 
 「オリジナル・マウスパッド」につられて、『宝塚おとめCD−ROM』を購入。

 「オリジナル・マウスパッド」はこれで3枚目だ。毎年1枚の割合で増えている? プレミア商品好きだからさ、つい集めちゃうのよね。
 「オリジナル・マウスパッド」はいつも、全トップスターの写真入り。今回のやつはトド様も加わって6人写っている。にぎやかね。
 だがかなしーことに、その「トップスター」の顔ぶれは、3枚とも全部ちがっているのだわ。
 入れ替わり激しいもんな……。3枚通して載っているのは、トド様とたかこくらいのもん。

 わたしが「トップスターの退団が発表されて、ファンは大騒ぎなのよっ」てな話を弟にしても、返ってくるのは、
「また? しょっちゅう同じこと言ってないか?」
 という、冷静なツッコミ。
「だってしょっちゅうトップが変わるんだもん!」
「ありがたみないな、ソレ」
「…………うん」
 昔は、トップ交代ってのはもっとレアな大騒ぎだったよなあ。

 それはともかく、『宝塚おとめCD−ROM』。

 め、めんどくせー。

 最新データをダウンロードにより更新できる、ちゅーんでさっそくやってみようとしたんだけど、面倒くさいんで中止してしまった。
 もっと更新するべきデータが溜まってからにしよう。みやたんの退団を更新するだけで、これだけの作業をするのは面倒すぎるわ。べつに、みやたんが雪組のページにいてくれるのは、ぜんぜんかまわないんだし。

 予想通り、あまり使い道なさそうだ、『宝塚おとめCD−ROM』。
 いちいちこいつを立ち上げて、検索ワードをいれるより、書籍の『おとめ』のページめくった方が早いって。

 ま、ものは試しだ、なにごとも経験だ。
 コミケのカタROMだって、いちばん最初の年に1回だけ買って、2度と買ってないしな(笑)。
 とりあえず手を出してみる。イベント好きだから。
 そして非売品の「オリジナル・マウスパッド」は大好きだぞ。これからも集めるぞ(笑)。

 
「シャツはLサイズでなきゃダメなの。わたしは腕の付け根が太いから、袖が苦しいの。それ以外はMでもいいのに」
 と、母が言う。
 腕の付け根、てのは二の腕のことだよね。
 そこまでは、ふーん、と聞いていた。問題は、次だ。
「やっぱり長年手仕事をしてきたせいね。水泳選手とかも、腕の付け根が太いものね」

 をい。

「水泳選手は関係ないでしょ」
 と、わたし。母は不思議そうに。
「だって水泳選手は腕の付け根が太いわ」
「そりゃ水泳選手はそうだけど、それと母は関係ないじゃん」
「だからわたしも、腕の付け根が太いんだってば」
「女性はトシを取ると二の腕が太くなるんだよ」
「わたしは若いころから腕は太かったわ!」
「そりゃアンタ、デブだったからじゃん!」
「水泳選手はデブじゃないわ!」
「だから水泳選手は関係ないだろ」
「長年手仕事をしてきたから……」
「腕の力で全体重を支えるよーな仕事を何十年もしてきたっての?」
「わたしはそんなことしてないけど、水泳選手はしているわ」
「だからアンタは水泳選手じゃないだろ」
「水泳選手は腕が太いわ」
「水泳選手の腕は筋肉で太いの、ママの腕は脂肪で太いの。女はトシとると二の腕に脂肪がつくの!」
「だから、若いころから太かったのよ! トシとってから太くなったわけじゃないわ!」
「だからアンタ、若いころは今よりはるかにデブだっただろ! 若いころはデブだから腕も太ってた、そのあと身体は痩せたけど、今はトシとったから腕と腹には脂肪がついているんだって」
「水泳選手の腕も脂肪だっていうの?!」
「だから、水泳選手の話はしてないっっ」

 ………………誰か助けてください。涙。

 
 1階1列1番。
 ケロの剣舐め、指舐め、と、あれほど、あ−れ−ほ−どさわいでいたのに、いちばんドキドキしたのはケロではありませんでした。

 いちばんどきどきしたのは。

 銀橋での、ワタル@ラダメスとトウコ@アイーダのキスシーンでした。

 1列目1番に坐るのははじめてじゃない。真面目に発売日に並びに行き、そこそこのくじ運があればどの公演も1回は坐れる席だ。(星組はくじ運なくて全滅したのよ……ほろほろ)
 だから知っている。この席に坐ると、銀橋中央が見えないことを。
 だからはじめから、センターを観るのはあきらめていた。センターはセンター席に坐ったときに観ればいい。今は下手端だけを観て堪能しようと思っていた。
 ところが。
 ところが、だ。
 あなどれないぞ、1列目1番。
 この席は、ほとんど銀橋中央を「真横」から観られる席なのだ。
 つまりだ。

 ラダメスとアイーダのキスシーンが、「真横」から、ってことだ。

 タカラヅカのキスシーンは、「振りだけ」だ。ほんとーにチューするわけじゃない。だから、ほんとはしていないことが客席から見えないように、キスするときは客席に背を向けることになっている。
 客席に背を向ける……つまり、「真横」から観れば、ふつーのテレビのキスシーンのように、横顔同士が顔を重ねる、あの角度になるわけだなっ。
 ええ、1列目1番!
 ラダメスとアイーダのキスシーンが、テレビのキスシーンのようにふたりの横顔バージョンで見えるのですよ!! しかもラダメスの顔を傾ける角度の関係で、はっきりいって横顔以上です。

 キスをしているワタルの顔が、まんま見えます!!

 うきゃ〜〜っっ。
 萌えー。
 銀橋キス万歳。

 ワタルくん、いい顔してキスしてます。
 ちょっとせつなげな、「受くさい」顔をしています……(笑)。

 いや、正直びっくらこいたのよ。
 まさか、チューしている最中の男役の顔がモロ見えになるとは思ってなかったからさー。
 今までもこの席に坐ってきたけど……そっか、銀橋中央でキスかましてくれる演出がなかったせいか。
 つーことでワタルファン、1列目のいちばん端を狙え!! 色っぺーワタさんが見られるぞっ。1列目であってもオペラグラス用意だ、銀橋中央をマークしろ!

 あーゆー漢くさい男が、はかなげに顔をゆがめてキスをしているのは、萌えますなあ。そっかラダメス、アンタやっばし受かぁ(笑)。
 トウコ@アイーダの顔は見えませんでした。ちぇっ。

 それ以外では、1列1番はトウコファンのための席ですね。
 トウコちゃん……目の前率高すぎ。
 とにかく、目の前に立ってる。ずっと。
 こんなに目の前に立たれたら、物語が見えません。だってだって、本舞台無視して、下手セリ位置or銀橋下手端に立つトウコちゃんから目が離れないよお。
 近くで見ると、トウコちゃんはきれいでした。えっ、近く限定?! だってオペラグラスで見ても「こわい」って感じだったんだもん、今まで。
 でもでも、間近で見るとすごい美人さんだよー。素顔の美しさが視認できるからだろうなあ。やっぱこのお化粧はいまいちだと思うよ……。
 トウコちゃんこだわりのネイルとやらも堪能。そーだよなー、男役のときはつけ爪なんかできねーよなー。

 そして、エチオピアチームもずっと横(下手花道)にいるんですが、彼女らの演技の濃さと歌声が気持ちいいぞ。うわー、生コーラスだー。

 さて。
 わたしのいちばんのお目当て、ケロ@ウバルドにーさんは。

 「剣舐め」は、1列目からではちと遠かったです。5列目くらいかな、真横は。
 その前の「おおエチオピア〜♪」とか歌っているシーンから、わたしゃすでに緊張。わたしの背中からお兄様が出てくるとわかっているので、振り向くタイミングをはかるのに必死。
 今だっ、と振り返ったら、ほんの少し早かった模様。全員が舞台を向いているなか、わたしひとりが後ろを振り返ったので、客席の方々の視線が痛い。
 でもその一瞬後にはケロちゃん登場だもん。いいよねっ。
 「剣舐め」はあっちゅー間でした。あれ? こんなにあっさりしてたったけ?

 幕間にメル友のチェリさんと短い逢瀬をたのしんだのだが、彼女も言っていた。
「剣舐めって、前見たときはもっと濃厚でした」
 新公のあとだから変えたのかな、とは彼女の感想。新公では舐めてなかったから。
 うんうん、初日なんか舌突き出して、れろ〜〜ってやってたよねえ?
 あの、れろ〜〜ってやつ、好きなんだけどなあ。ケロちゃんてばいつも初日がいちばんいやらしいの?(『血と砂』とか『長い春』とかを思い起こしている・笑)

 「剣舐め」があっさりしていたぶん、わたしの萌は「指舐め」に向けられました。
 下手端で血の出た指を舐め、ずるずる坐り込むシーン。あれを見るのに、1列目1番に勝る良席はありませんて!!
 きゃっほう。
 こちらは、堪能しました。
 指を舐めたあとの下唇が揺れるところまで、しっかり見届けた。ハァハァ。
 このときの「空虚な瞳」がツボです。狂気というより、痛々しいような、はかない目をしています……。
 今回のウバルドにーちゃん、なんか痛々しくなかった? 前はもっと狂気全面で憎らしい男だったよねえ? アイーダに「虫けらだわ!」と言われるあたりのシーン、にーちゃんベソかいてないか? 泣いてるみたいに見えるよ……。
 こんなにこんなに傷ついて、どーやって次の「神のお告げ」につなげるんだろ? と心配したくらいだ。
 ちゃんとつなげたよ……傷ついて泣き出しそうだった男が、からっぽの瞳のまま「夢を見た」と歌い出し……最後の「哄笑」までつなげちゃったよ、ケロ! すげえ。
 歌の間に、ウバルドの心が変化していくのがわかるよー。
 押さえ気味だからこそ、暗転間際に狂ったように笑うのが、こわいよ。

 堪能堪能。ウバにーちゃん大好き。

 そうそう。
 ファラオ暗殺シーンで、ヒロさん@エチオピア王がアイーダを強引に連れ去っていくっての、わたし、今まで知らなかったの。
 だからなんで、アイーダがエチオピアにいるのかわからなかった。ま、そんなもんなんだろうと深く考えてなかったんだけど。
 そっか、エチオピア王が連れ出していたのか。
 ……どうして今まで知らなかったかって?
 当然じゃん、ウバルドにーちゃんを見ているからよ。
 暗殺、演説、死、目開いてます死体、を見るのに必死で、アイーダを見ているヒマがなかったもんだから。
 でも、さすがに今回、目の前を悲鳴あげながらアイーダが連れさらわれていったので、わかりました。そーだったのか!と(笑)。

 とにかく、これほど緊張した観劇は、そうそうない。
 作品が好きで、ケロが好きなので、めちゃ緊張して坐っていた、1列1番。わたしってばヲトメ(笑)。
 緊張の反動でしょうか。
 もー、おなかすいておなかすいて。
 ひとりでミスドで、ドーナツ食べて帰ったよ。家までもたなかったんだもん……空腹すぎて。
 人間は感情のイキモノなのだな……。

 
 なんか久しぶりな気がする、水曜日だ映画だレディースデーだ。
 空はいい具合に曇り、自転車に乗っていつもの映画館へGO!

 水曜日は映画の日であると同時に、欲望と戦う日でもある。
 映画館は映画館だけ単体であるわけじゃなく、ショッピング・ゾーンも充実してるんだよなあ。
 よせばいいのに、好きなブランドを必ずのぞき、「欲しい。欲しいけど金がないっ」というジレンマに身もだえる。無職なんだから自重しなさい……ああ、でも、欲しいなー。
 ウインドウ・ショッピングをして、おのれの欲望と戦う日、それが水曜日。

 さて、今日の映画は『ターミネーター3』。
 がんばって吹替の時間に合わせて映画館に行きました。吹替の方が上映数少ないからね。
 画面命のアクションものは、字幕を読むのが面倒なので、わたしは吹替で十分です。どーせ英語のヒヤリングできないし。字幕は情報量少ないから、意味が伝わりにくいし。
 座席も足を投げ出して坐れる通路の上が好き。足癖悪いのよ。通路上センターをGETして、意気揚々と映画館に入ったあとで。
 …………まちがいに気づきました。

 今、夏休みじゃん!!

 吹替でテーマパークのアトラクションな映画を見ようとするのは、子ども連れのファミリーばっかだってば!!
 うわーん。大失敗。
 吹替は「映画好き」を名乗る人たちが嫌悪するから、空いててイイのに、ふつーは。
 なんてこったい、夏休み。
 映画館のマナーなんかカケラも知らない大人と、映画館以前にマナーの存在を知らない子どもたちでいっぱいだー。

 まあな、言っちゃ悪いが所詮『T3』だ。わたしもあきらめがついたよ……。全編通して、最初から最後まで私語の嵐でもな。
「ねえアレ、なにしてんの?」
「**するつもりなんだよー」
「さっき**してたのは、**するからなんだよね」
「ねー、シュワちゃんいつ出るのー?」
「あの人誰? さっきの人と同じ人?」
 なんでスクリーンでの出来事を、全部口に出して説明しながら見るのかな、ふつーの人たちって。
 お茶の間でバラエティ見てるのと同じ感覚なんだよねえ。
 喋り続ける子どもたち、それと一緒になって喋る大人たち。
 そっかー、注意はしないんだね、世の親たちよ。映画館でお喋りしない、ということを、実地でしつけるチャンスだろうに。
 わたし? 注意なんかしませんよ。注意しておとなしくなるわけないし、「このおばさんがうるさいから、静かにしなきゃだめみたいよ? イヤなおばさんが横にいて不運だったね」とか、わたしが悪者になる可能性が高いからな(経験談)。

 夏休みを実感するのは、「パパと子どもたち」という図式であること。
 子連れの母親はめずらしくないが、こうも見渡す限り子連れの父親ってのは、新鮮な光景。
 うれしそーに小学生の娘とデートしている父親とかな。微笑ましいよ。
 しかし、なんで大人ひとりに対し、子どもは複数が多いんだろ。少子化問題は、結婚しない人や子どもを作らない人が多いせいだけかな。
 映画館や劇場にやってくる親子連れは、大人ひとりに子どもが3人以上、とか、当たり前だもんなー。大人の数が少ないから、子どもたちは野放しだしな。

 さて、そんな子どもたちにも大人気の『T3』。 監督ジョナサン・モストウ、出演アーノルド・シュワルツェネッガー、クリスタナ・ローケン、ニック・スタール。

 「審判の日」は無事スルーしたはずなのに、なんてこったい、またしても未来からジョン・コナー殺害のために超絶無敵な美女ターミネーターがやってきた。そして、前回と同じにジョン・コナーを守るため、シュワちゃんターミネーターもやってきた。
 さて、人類の未来と、コナーさん一家の運命は?

 おもしろかった。
 いやー、派手なアクションですなあ。そこまで派手になるのは展開としてどうよ、と首を傾げても、ま、相手は機械だからなにも考えてないんだ、それくらいやるか、とか思って納得したり。
 もしも殺戮者が人間だったら、この展開はありえない。人間なら、あれほど無意味に大袈裟に戦わないから。関係ない人たちを巻き込むマイナスもわかっているはずだし。
 ロボットだから、仕方ない。
 なにも考えてないんだから、仕方ない。
 アクションが売りだから大袈裟なんじゃなく、敵がロボットだというリアリティの表れなんだよね?

 とまあ、いつものように大味なんだけど、ストーリーは大味ながらもいろいろがんばっている。
 ツボはあちこちにあるぞ?
 やはり、「同じ顔をしたロボット」ってのは、萌えよね。
 昔愛した男と、同じ姿の男が現れた。なにひとつ変わらず同じ、しかし、彼はあのときの彼ではない。同じ型番のロボットだってだけ。
 しかも、未来でジョン・コナーを殺してるっていうし。あの、その未来の話を見たいです、わたし。それって萌えなんですけど。

 シュワちゃんはさすがにもう、見ていてつらい。
 別の人がやってくれていいんだけどなあ。もうこの型番は廃棄されたってことで、別のロボットが出てOKだよ。ロボットなのにトシ取ってるのが、すごく変だよー。
 あと、ロボットのくせにこの型、アレまでついてんですか。男性ストリップに群がる淑女のみなさんが、シュワちゃんターミネーターのオールヌードを堪能なさっていたようですが。
 セクサロイドならわかるけど、この型は完全戦闘用でしょ? ロボットと人間が戦っている未来に、人間とセックスするための機能を備えたロボットが作られているのか? 謀略のために? でも大量生産型じゃ、謀略にならんだろ? 謎だ。

 ジョン・コナー役には、とてもとても静かな悲しみが広がりました。
 だって、14歳のジョン・コナーは、マジ美少年だったじゃないですか。
 あの美しい少年が、こんなしょぼくれたおっさんに……。時の流れって、むごい。
 もう少し、少年時代の面影のある俳優にしてくれてもよかったのにさ……。
 ニック・スタールが悪いのではなく、わたしの中のジョン・コナーとの差異に悲しみが広がったのですよ。
 ところでジョン・コナーの吹替。素人くさい声だな、と思って聞いてました。わたしは声優にうといから、わたしの知らない若手さんなのかなと思ってたんだけど。
 物語が進むと、「素人くさい」から「へたくそ」に評価が変わりました。いやあ、ひょっとして声優未経験者とかがやってる?
 最後のスタッフ・ロール見て肩を落とした。
 辺土名一茶、って……ひょっとしてISSAかいっ?!
 エンディングで拍子抜けなISSAの歌が流れたあたり、かなりヘタレ感漂っていたんだけど……そーゆーことなのか。
 わたし、映画の情報は映画館で見る予告編だけの人間なんで、話題作りのためにアイドルとかが一枚かんだりするの、知らないのよ。
 ISSAはべつに、きらいじゃない。声も歌も顔も。
 でもな、声優はやめとけ。やるならもっとうまくなってからにしろ。ついでに、この歌は『T3』に合ってないよ……腰砕けた……。
 こうしてわたしのISSA株が少し下がった(笑)。

 ジョン・コナーの運命の恋人、ケイト@クレア・デーンズは、いいキャラですな。彼女の気の強さが、見ていて気持ちいい。
 罵倒慣れしていない日本人なんで、吹替で彼女が汚い言葉を吐くたびに「ああ、文化の差だわ」と痛感してました。字幕で見る分には気にならないけど、吹替で、日本語で言われるとびっくりする。日本語は悪口の語彙の少ない言語ですから。
 でもま、キャラが立っててイイ感じ。ジョンが彼女に一目惚れする(友人から恋へ変わる瞬間の)出来事ってのは、やはりアレなんでしょうな。雄々しく戦う彼女を見たとき。
「ママみたいだ」
 の一言に、くらくらしました。そうかジョン・コナー……あんたはやっぱり、こーゆー女が好きなんだな。シュワちゃんターミネーターもそうだけど、強い相手に守られるとときめくんだな……。
 クレア・デーンズのスタイルは好き。服装も似合っている。……が。この人、胴長くない……? それだけが気になった。

 女ターミネーター@クリスタナ・ローケンは、ほんとうに美しい。彼女が痛がったり傷ついたりしない、完璧に美しいままでいてくれるので、この映画は成功している。
 彼女に少しでも弱いところや欠けた部分があれば、見ていられなかったからね。大男と戦う女性の話なんて。
 シュワちゃんは血のよーなものを流して傷つき、観客の同情を誘い、敵の女ターミネーターは一切傷つかない。ダメージを受けたときは液体金属になるという徹底ぶり。これなら感情移入せずにすむ。
 勧善懲悪。悪に感情移入を許さないアメリカ映画だからこその、たのしさ。(日本映画じゃ、こうはいかない)

 とてもたのしかったっすよ、『T3』。
 主演がシュワちゃんでなく、もっと旬な美しい筋肉ぴちぴち俳優がやっていたら、もっとたのしめただろうなあ、なんて思っているフトドキ者ですが。


 星組新人公演の日。
 わーん、結局チケットが手に入らず、観られませんでした。めそ。

 しかし。
 しかしわたしの顔は、にやけっぱなしです。

 わざわざ遠くムラまで行ったのは、新公のチケ取りチャレンジもあったけど、もひとつ用事があったのさ。

 今回の星組公演、「1階1列1番」のチケットが手に入りました〜〜っっ。

 ありがとうインターネット、ありがとう掲示板。
 緑野、小躍り。

 雪組チケット1枚との抱き合わせだったんだけど、そんなのモウマンタイ、ぜんぜん平気さ。
 だってだって、「1階1列1番」だよっ?!
 下手花道横だよ?

 ウバルド様の「剣舐め」が真横ですがなっ。鼻息っっ。

 えっ、わたしはもちろん、星新公のためにムラまで行ったのよ? そうよ、それで新公が観られなくてかなしいのよ?
 ……顔がにやけてるなんて、そんなの気のせいよ。
 新公が観られなくてもぜんぜん平気、今しあわせの絶頂だなんて……そんなことないわ。だからWHITEちゃん、そんなにあきれた目で見ないでよ。

 チケットを譲っていただく方に、
「トウコちゃんファンですか?」
 と、訊ねられました。
「1階1列下手に飛びつくから、そうなのかなと思って」

「いいえ、ケロファンです」

 断言。
 1階下手花道横は、ケロファンにとってプラチナですから!
 「剣舐め」も「指舐め」も「トウコちゃん責めまくり」も、みんなみんな下手です。

「ああ、ケロちゃんもそういえば、下手ですねえ」
「はいっ、だからめちゃくちゃうれしいです!」
 そのままお喋り突入。
 おもに、サバキがなくなったことへの不満爆発TALK。その方は、雪組チケットを大量に余らせている模様。た、たいへんですね……サバキがないと。

 でも、本日新公時に限って言えば、見張りおじさんはいませんでした。
 昔通りのサバキ・ゾーンの姿がそこに。……ま、チケットまったく出なかったけどな。
 新公は見張りナシ? 彼らは5時以降は働かないのかな?

 「1階1列1番」チケットを握りしめ、サバキ・ゾーンに戻ってきたわたし。
「うれしいよーっ、うれしいよーっ、ケロの舌が真横だよーっ」
「落ち着け」
 WHITEちゃんに、肩を押さえられる。えっ、わたし揺れてました?
「前日の夜は、興奮して寝られないかもっ」
「寝ろ」
 ツッコミの冷静さが冴え渡ってます、WHITEちゃん。
 視線がなまあたたかいのは、気のせいですか……?

 つーことで、新公は観られませんでした。そのためにムラまで行ったのに。
 ええ、新公のためにムラまで行ったんですってば。
 ケロの舌間近で見られるチケット、のためだけに行ったんじゃないですってば。

 

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