なにしろもう、3本目なわけだから。

 配役が発表になった瞬間から、話題になるわけですよ。

「で、ダンス・ソロを踊るのは、にしきさんなの?」

 『外伝 ベルサイユのばら-ベルナール編-』の、革命場面。
 雪組『ジェローデル編』ではロベスピエール@ひろみが演説したあと、センターで民衆を率いて踊り、彼に付き従っていた市民の男@そらくんが中央に出てソロを踊り、撃たれた。
 花組『アラン編』では演説無し、市民の男@まっつがセンターで民衆を率いて踊り、さらに自分で中央に出てソロを踊り、撃たれた。
 革命場面はどうやら3組共通であるらしい……からこそ、まず、話題になる。
 ロベスピエール@にしきさんが、『ジェローデル編』に引き続いて演説して群舞センターで一場面務めるの??

 にしきさんは貴重な上級生だけど、長く派手なダンス・シーンのセンターをまるまる一場面任されるよーな扱いの人ではない……よな?
 じゃあいったいどうするつもりなんだろう、と思っていたら。

 演説する人(歌)→ベルナール
 センターで踊る人・その1→ベルナール
 センターで踊る人・その2→ロベスピエール
 ソロで踊って撃たれる人→市民の男@しーらん

 と、役割分担してました!

 ロベスピエール@にしきさんは、登場するなり観客に笑われる。……だって『スカーレット・ピンパーネル』の直後だし。
 ロザリー@あすかという嫁連れで革命の仲間たちに合流したベルナールは、市民たちを集めてかっこよく演説をする……わけだが、初日初回はトウコちゃん、台詞忘れてえーらいこっちゃ、にしきさんがあわててフォローしていた。
 聞いた話によると、けっこーな量の台詞をとばして進んでみたいだな、初回(笑)。

 革命のリーダー格はロベスピエールであるべきで、ベルナールはその片腕ポジションのはずなんだが、完全逆転、リーダー様はベルナールでロベスピエールはその手下状態。
 それでも、「主役」が物語を動かす様は、見ていて気持ちいい。

 ベルナールの演説から、いつもの市民たちの歌になる。歌を牽引するのはベルナール。ドラマティックな歌声の華。
 そして、彼を中心とした、市民たちの群舞。

 そうさ、もっともドラマティックな場面である、「革命」シーン。ここの真ん中に「主役」がいること……あたりまえの画面なのに、3作かかってはじめて叶ったんだよ?!
 主役がクライマックスの真ん中にいて、主役が物語を動かすの! あたりまえのことだけど、すげーキモチいい。なにしろ過去2作のフラストレーションが溜まってるからな。

 それでも植爺的こだわりなんだろう。「革命」場面に主要キャラクタを入れないことは。なんでそんなこだわり持ってんのか謎だけど。
 ベルナールは途中で姿を消し、ロベスピエールがセンターとなる。
 そして「アンタ誰?!」な若者@しーらんが登場して、ひとりでくるくる踊って撃たれる、と。

 しーらんはかっこよかったっす。
 なにしろ「ココがオレの見せ場!」とすげー気合いの入り様(笑)。どんとこーい!なダンスっぷり、若さと幼さが浅慮な健気さと結びついていい感じ。

 でもってわたしは、関係ないトコでウケてました。

 まっつひとりでやったパートが、トウコ、にしきさん、しーらんの3人パートになってる!(笑)

 まっつは演説してないから、場面全部をひとりで真ん中担ったわけじゃないが、それ以外を全部ひとりでやってたんだ。『ジェロ編』ではひろみちゃんとそらくんふたり、『ベルナール編』では3人て……全部ひとりでやったまっつは愉快だなと(笑)。

 いやその、『アラン編』がいちばん場面としてアレな作りでしたけどね。物語中のキャラがひとりも出てなくて、「アンタ誰?!」だけで長い場面ひとつ強引に持っていったんだから。
 そして、キャラがいないからほんと、地味なシーンになっててねえ……まっつが地味とかいう話以前に(笑)。

 ところで、革命軍のおちゃめな帽子は、花組だけの小道具だったんですか? みんなかぶってないじゃないですか! まっつにも被り物無しで踊ってほしかったっすよ!(笑)

 革命場面最後では、ちゃんと主役であるベルナール中心の画面になる。盛り上がる場面の真ん中には、主役がいなくちゃね!
 勝利の歓声の中、オスカルの剣を抱きしめて泣き崩れるロザリーがいい。

 
 で、こっからどうつないでいくのかと思いきや。

 いきなり愉快な旋律で、戦災孤児たちの歌になる。……このへんの「昭和」センスがいかにも『ベルばら』、いかにもタカラヅカ(笑)。
 ちびっこちゃんたちはみんなかわいいし、ソロを歌っていた子もうまい。

 あまりにカラーが変わりすぎて、「なにすんの?!」とどきどきしながら(なにしろ植爺を信じていない・笑)、10年後、ナポレオンのいる時代を見守る。

 いやあ、いつチャルさんがスターブーツ履いて「ナポレオンです」と出てくるか、気が気じゃなくてな(笑)。
 『アラン編』がすっかりトラウマになっていて、無意味に専科さんがきれーな衣装で長々喋るモノだと思い込んでて。

 すっかり大人になって、大人になってなおいちゃいちゃしている感じのかわいい夫婦、ベルナールとロザリーがいい。
 アラン@しいちゃんがものすげーかっこよくて惚れ惚れしちゃうことは、これまた世界の常識ってことで置いておいて。

 そーいやベルナール夫妻の子どもの名前、初回はトウコちゃん「オスカル」って言ってました。
 あまりにまんまでストレートすぎるセンスだなと思っていたんですが、どうやらこれも間違いだったよーですな。2回目以降は「フランソワ」だったそうで。
 だよなあ、いくらなんでも「オスカル」はないよな(笑)。

 あちこちでちょろりと出てくるともみんがかっこよくて、なにがどうってほどのこともない扱いなのに、「あ、今の子かっこいい」と思えるあたり、ほんとにいい男に育っているなと思う。
 一方まひろはしどころないっちゅーか、たしかに扱いもよくないが、とりたてて目を引くモノもあまりないよーな……と思っていたら、最後にアントワネットで驚いた。
 そ、そうか……この大役があるから、バランス取ってたのか。や、ともみんのフェルゼンも大役だけど、やっぱ男役がアントワネットを演じるほどの意義っつーか役割はまた格別だろうと。

 配役が出たときの予想では、革命場面のダンス・ソロは「あかし」だったんだけどなあ。
 なんか、あかしがもったいない使われ方をしていたが……なにしろ番手・学年至上主義の植爺だからなあ。

 
 やー、『アラン編』の傷が大きすぎるもんで、いちいち「はうっ」となりながらも、『ベルナール編』はすげーたのしかったっす。
 トウコちゃんすごい、あすかすごい、しいすずすごい。
 脚本がまともなうえに、実力もキャリアもある人たちががっちり固めて、見応えのあるモノになってた。

 うらやましい……。あたしはあの『アラン編』を6回も観たんだよ……しくしくしく。

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