観劇に至るまでの理由。@グレート・ギャツビー
2008年10月28日 タカラヅカ 『グレート・ギャツビー』を観に行こうという、直接の動機は、キャスティングだった。
関西で公演してくれたら絶対に行くけれど、それ以外の地域までは遠征しない。長年のわたしのスタンスである。や、単純にびんぼーでな。遠征費用が出ないのだ(笑)。
しかも月組は東京と博多で公演がある。びんぼー人のわたしに両方なんて、とても無理。作品が好きなのは絶対『ギャツビー』だけど、きりやんとそのかとまさおが見たいので、軍配は博多に上がった。
残念だけど、あきらめよう……と、思っていたら。
キャスティングが発表になった。
トム・ブキャナン@もりえ。
……ええ、ここです、わたしが食いついたのは(笑)。
勝手に「ヒゲのもりえが見られる!」と思い込みました。ミーマイのヒゲ紳士もりえがあまりにかっこよかったので。
夢よ再び、ダンディもりえにわくわく!
いやその。実際ヒゲじゃなくて、かなりがっかりしましたが、まあソレは置いておいて。
ヒゲもりえに期待して、てのも嘘じゃないんだが、初演ファンとしては「役の意義」にいろいろ思うところがあってね。
初演の『華麗なるギャツビー』では、主演が杜けあき。2番手は一路真輝、3番手高嶺ふぶき、と順番が決まっていたが、ここにもうひとり、当時の雪組には海峡ひろきという別格スターがいた。
全国ツアーの『ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-』で、主人公オスカル@杜けあきに対してのアンドレ@海峡ひろきだったりしたことからわかるように、ある意味2番手かそれ以上にオイシイところにいた人だった。
華やかな美形ではなかったが、色気のある大人の男だった。
この海峡ひろき……ミユさんが、トム・ブキャナンを演じていた。
主人公ギャツビーの恋敵、ヒロイン・デイジーの夫。
三角関係ものすべてに言えることだけど、恋敵に説得力がないと三角関係自体が成り立たなくなる。主人公と同等の魅力や存在感を持つ男が相手でないと、その間で迷うヒロインはバカみたいだし、つまらない男と秤にかけられてしまう主人公の格も落ちる。
トム役のミユさんは、トップスターであるカリンチョさんと対峙して違和感のない人だった。
本来ならトム役は、2番手スターの演じる役だと思う。
トップスターと2番手の実力が伯仲している円熟期にこそ、公演してほしい作品だ。
当時の2番手のいっちゃんは、もちろん実力のある人ではあったけれど、若かったし、持ち味的なこともあり、トップが演じる主役の弟的位置の役ばかり演じていた。
友だち(ロベール、ピート)とか恋人(オスカル)とか弟(小次郎)とか。2番手になってから一度もトップスターの「敵」を演じていなかった。(そののち張栄勲を演じるが、コレも結局は「いい人」でほんとの敵役ぢゃないし……いっちゃんってそーゆー持ち味の人だったんだよなー)
色悪とか恋敵とかは、いっちゃんの任ではなかった。弟キャラだったんだな。友だち役でも、主人公になついている弟分的キャラだったし。
若いかわいこちゃん2番手には務まらない、大人の悪役。ミユさんは、そのポジションを背負っている人だった。
だから、『グレート・ギャツビー』のキャスティングに注目していた。
先に発表になっていた出演者の顔ぶれから、役に相応しいのが誰か、考えていた。
ギャツビー@あさこ、デイジー@あいあい、ここまでは予定調和。前提事項。
問題は、それ以外。
ぶっちゃけ、トム役。
番手上は、2番手の役がニックであり、トムは番手外の役になっているが、実質は2番手格の役だ。
弟キャラ、友だち役でも弟分的な友だちしかやらせてもらえないいっちゃんが、さわやかにかわいらしくヘタレに演じていたニックは、べつにわざわざ2番手がやるほどの役でもない。ただの視点にすぎないのだから。
物語に必要なのは、恋敵のトム役。
あさこと女を取り合い、勝利するのに相応しい貫禄のある人は、越リュウしかおりませんがな。
当時のミユさんはまさに、今の越リュウみたいな感じの人で。セクシーな大人の男、芝居で悪役をやり、ショーでも悪役やってヒロインを刺しちゃったりしてる人(ふたりの男が女を取り合い、男をかばって女が刺されるアレ)。
形式上2番手のニック役があひくんで、実質2番手のトムは越リュウかな。そうして「作品」を支えるのがいちばん確実だろう。せっかくの名作の再演、ポシャりたくないだろうし。
また、あひくんは引き出しが相当少ない人だが、「いい人」と「悪役」のふたつだけは演じられるようなので、ひょっとしたらあひくんがトムになるかもしれない、と思った。
形式上2番手なんて面倒な真似をせず、素直にトムを2番手として描き直した方が、据わりがいいことは明白だ。
ヅカの番手制度ゆえに、なにがなんでもあひくんを2番手にしなければならないなら、あひくんにトムをやらせればいい。なにもやってもアギラール、な、あひくんだから、彼の演じるトムは見る前から想像ができてしまってわくわくに乏しいけど、彼のためには「彼が出来る唯一の格好いい役(=アギラール)」をやらせてあげるべきだ。『ME AND MY GIRL』での汚名を返上させてあげるべきだろう。
それに、演出家がイケコなので、彼がアギラール役を気に入っていた場合、あひくんにトムをやらせるかもしれない。同じ役者に同じタイプの役を与える癖のある人だから。
作品クオリティ重視なら手堅く越リュウ、番手重視ならあひ。
そんなとこかと思っていた。
そして、それなら無理をしてまで観に行く気になれなかった。
越リュウのトムはかっこいいと思うし、がっつり演技するところは見たいとは思うけど……うまいことも、演じられるだろうことも、わかってるし。
あひくんのトムは、悪いけどはるばる遠征してまで見る意欲には結びつかない。なにしろアギラールになるのが目に見えてるし。アギラールもリチャードも、演技的には「?」なものだったし。(かわいかったし、萌えだったけど、芝居としては……)
それが、まさかのもりえ。
……長々語ったように、実質2番手な役が、もりえ??
トップスターと対峙する、トップスターと同等の存在感が必要な役が、もりえ?
大人の色男役、身勝手さや屈折を秘めたややこしい役が、もりえ?
あひくん差し置いて、もりえくんなの?!
……これには、興味が湧くじゃないか。
『ME AND MY GIRL』のもりえくん、かっこよかったし。
いったいどんなことになるんだろう?
影の主役ウィルソン役がソルーナさんだってのは、まあ、そんなもんかなと。ほんとにうまい人にやってもらわなきゃ物語が壊れてしまう役だから、専科さんに登場してもらうのは、仕方ないのかなー、と、あきらめた。
や、古代みず希ファンであるわたしは、この役を専科さんがやるのはうれしくないんだが。
トム役がトップスターと対峙する役なのと同じ意味で、ウィルソンもまたトップスターと対等に芝居で渡り合わなければならない。存在感や技術を披露しなければならない。
初演にて、芝居巧者の古代みず希がトップスター杜けあきと息の詰まるような同期対決を舞台で繰り広げてくれていた……あの「並び立つ感じ」が良かったので、年代や立場の違いすぎる人が演じるのは、残念だ。
作品クオリティのために、安直に専科さんを使わないで欲しかった。……かといって今の月組に、ウィルソンができる人がいない。嘉月さんカムバック!!
トム役がもりえだった。
これが、直接の観劇の動機。
初演を知るものとして、この役をこの学年、ポジションの子が演じるというのは、ちょっと考えられない。
もりえがトム役であることで、わたしの知る『ギャツビー』とはパワーバランスがちがってくる。
いったいどんなことになっているのか、どれほど変更されているのか、俄然興味が湧いた。
もりえくん云々ではなく、初演ファンとしては「役の意義」にいろいろ思うところがあってね。
関西で公演してくれたら絶対に行くけれど、それ以外の地域までは遠征しない。長年のわたしのスタンスである。や、単純にびんぼーでな。遠征費用が出ないのだ(笑)。
しかも月組は東京と博多で公演がある。びんぼー人のわたしに両方なんて、とても無理。作品が好きなのは絶対『ギャツビー』だけど、きりやんとそのかとまさおが見たいので、軍配は博多に上がった。
残念だけど、あきらめよう……と、思っていたら。
キャスティングが発表になった。
トム・ブキャナン@もりえ。
……ええ、ここです、わたしが食いついたのは(笑)。
勝手に「ヒゲのもりえが見られる!」と思い込みました。ミーマイのヒゲ紳士もりえがあまりにかっこよかったので。
夢よ再び、ダンディもりえにわくわく!
いやその。実際ヒゲじゃなくて、かなりがっかりしましたが、まあソレは置いておいて。
ヒゲもりえに期待して、てのも嘘じゃないんだが、初演ファンとしては「役の意義」にいろいろ思うところがあってね。
初演の『華麗なるギャツビー』では、主演が杜けあき。2番手は一路真輝、3番手高嶺ふぶき、と順番が決まっていたが、ここにもうひとり、当時の雪組には海峡ひろきという別格スターがいた。
全国ツアーの『ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-』で、主人公オスカル@杜けあきに対してのアンドレ@海峡ひろきだったりしたことからわかるように、ある意味2番手かそれ以上にオイシイところにいた人だった。
華やかな美形ではなかったが、色気のある大人の男だった。
この海峡ひろき……ミユさんが、トム・ブキャナンを演じていた。
主人公ギャツビーの恋敵、ヒロイン・デイジーの夫。
三角関係ものすべてに言えることだけど、恋敵に説得力がないと三角関係自体が成り立たなくなる。主人公と同等の魅力や存在感を持つ男が相手でないと、その間で迷うヒロインはバカみたいだし、つまらない男と秤にかけられてしまう主人公の格も落ちる。
トム役のミユさんは、トップスターであるカリンチョさんと対峙して違和感のない人だった。
本来ならトム役は、2番手スターの演じる役だと思う。
トップスターと2番手の実力が伯仲している円熟期にこそ、公演してほしい作品だ。
当時の2番手のいっちゃんは、もちろん実力のある人ではあったけれど、若かったし、持ち味的なこともあり、トップが演じる主役の弟的位置の役ばかり演じていた。
友だち(ロベール、ピート)とか恋人(オスカル)とか弟(小次郎)とか。2番手になってから一度もトップスターの「敵」を演じていなかった。(そののち張栄勲を演じるが、コレも結局は「いい人」でほんとの敵役ぢゃないし……いっちゃんってそーゆー持ち味の人だったんだよなー)
色悪とか恋敵とかは、いっちゃんの任ではなかった。弟キャラだったんだな。友だち役でも、主人公になついている弟分的キャラだったし。
若いかわいこちゃん2番手には務まらない、大人の悪役。ミユさんは、そのポジションを背負っている人だった。
だから、『グレート・ギャツビー』のキャスティングに注目していた。
先に発表になっていた出演者の顔ぶれから、役に相応しいのが誰か、考えていた。
ギャツビー@あさこ、デイジー@あいあい、ここまでは予定調和。前提事項。
問題は、それ以外。
ぶっちゃけ、トム役。
番手上は、2番手の役がニックであり、トムは番手外の役になっているが、実質は2番手格の役だ。
弟キャラ、友だち役でも弟分的な友だちしかやらせてもらえないいっちゃんが、さわやかにかわいらしくヘタレに演じていたニックは、べつにわざわざ2番手がやるほどの役でもない。ただの視点にすぎないのだから。
物語に必要なのは、恋敵のトム役。
あさこと女を取り合い、勝利するのに相応しい貫禄のある人は、越リュウしかおりませんがな。
当時のミユさんはまさに、今の越リュウみたいな感じの人で。セクシーな大人の男、芝居で悪役をやり、ショーでも悪役やってヒロインを刺しちゃったりしてる人(ふたりの男が女を取り合い、男をかばって女が刺されるアレ)。
形式上2番手のニック役があひくんで、実質2番手のトムは越リュウかな。そうして「作品」を支えるのがいちばん確実だろう。せっかくの名作の再演、ポシャりたくないだろうし。
また、あひくんは引き出しが相当少ない人だが、「いい人」と「悪役」のふたつだけは演じられるようなので、ひょっとしたらあひくんがトムになるかもしれない、と思った。
形式上2番手なんて面倒な真似をせず、素直にトムを2番手として描き直した方が、据わりがいいことは明白だ。
ヅカの番手制度ゆえに、なにがなんでもあひくんを2番手にしなければならないなら、あひくんにトムをやらせればいい。なにもやってもアギラール、な、あひくんだから、彼の演じるトムは見る前から想像ができてしまってわくわくに乏しいけど、彼のためには「彼が出来る唯一の格好いい役(=アギラール)」をやらせてあげるべきだ。『ME AND MY GIRL』での汚名を返上させてあげるべきだろう。
それに、演出家がイケコなので、彼がアギラール役を気に入っていた場合、あひくんにトムをやらせるかもしれない。同じ役者に同じタイプの役を与える癖のある人だから。
作品クオリティ重視なら手堅く越リュウ、番手重視ならあひ。
そんなとこかと思っていた。
そして、それなら無理をしてまで観に行く気になれなかった。
越リュウのトムはかっこいいと思うし、がっつり演技するところは見たいとは思うけど……うまいことも、演じられるだろうことも、わかってるし。
あひくんのトムは、悪いけどはるばる遠征してまで見る意欲には結びつかない。なにしろアギラールになるのが目に見えてるし。アギラールもリチャードも、演技的には「?」なものだったし。(かわいかったし、萌えだったけど、芝居としては……)
それが、まさかのもりえ。
……長々語ったように、実質2番手な役が、もりえ??
トップスターと対峙する、トップスターと同等の存在感が必要な役が、もりえ?
大人の色男役、身勝手さや屈折を秘めたややこしい役が、もりえ?
あひくん差し置いて、もりえくんなの?!
……これには、興味が湧くじゃないか。
『ME AND MY GIRL』のもりえくん、かっこよかったし。
いったいどんなことになるんだろう?
影の主役ウィルソン役がソルーナさんだってのは、まあ、そんなもんかなと。ほんとにうまい人にやってもらわなきゃ物語が壊れてしまう役だから、専科さんに登場してもらうのは、仕方ないのかなー、と、あきらめた。
や、古代みず希ファンであるわたしは、この役を専科さんがやるのはうれしくないんだが。
トム役がトップスターと対峙する役なのと同じ意味で、ウィルソンもまたトップスターと対等に芝居で渡り合わなければならない。存在感や技術を披露しなければならない。
初演にて、芝居巧者の古代みず希がトップスター杜けあきと息の詰まるような同期対決を舞台で繰り広げてくれていた……あの「並び立つ感じ」が良かったので、年代や立場の違いすぎる人が演じるのは、残念だ。
作品クオリティのために、安直に専科さんを使わないで欲しかった。……かといって今の月組に、ウィルソンができる人がいない。嘉月さんカムバック!!
トム役がもりえだった。
これが、直接の観劇の動機。
初演を知るものとして、この役をこの学年、ポジションの子が演じるというのは、ちょっと考えられない。
もりえがトム役であることで、わたしの知る『ギャツビー』とはパワーバランスがちがってくる。
いったいどんなことになっているのか、どれほど変更されているのか、俄然興味が湧いた。
もりえくん云々ではなく、初演ファンとしては「役の意義」にいろいろ思うところがあってね。