「愛」が踊る世界で。@ロミオとジュリエット
2010年7月10日 タカラヅカ 泣きっぱなしで、消耗した。
星組梅田芸術劇場公演『ロミオとジュリエット』初日観劇。
シェイクスピアの有名すぎる物語。
反目し合う、モンタギュー家とキャピュレット家、敵同士の家に生まれながら、愛し合うロミオとジュリエット、その悲劇。
物語は知っている。
ちなみに、水くん主演の『ロミオとジュリエット’99』も観劇している。
だが、その有名すぎる原作を元にした今回のミュージカル自体は、知らない。動画サイトでいくらでも鑑賞可能だそうだが、見ていない。芝居にしろ映画にしろ、小さな画面の映像で見るのは苦手だ。芝居は舞台で、映画は映画館で、実際に観るのでないと、わたしの少ないのーみそにはうまく入らないようなので。
なんの予備知識もないまま、観る。
だが、潤色・演出が小池先生なので、全幅の信頼を置いている。
きっと美しく、スベクタルで、タカラヅカらしいモノになっているだろうと。
実際、美しかった。
モンタギュー家とキャピュレット家の争いを、歌とダンスで表現したオープニングから、その美しさ、格好良さに引き込まれた。
まあその、いちばん最初に水トートが登場したことに、心底驚いたが(笑)。
あれ、トート@『エリザベート』ぢゃなく、水トート(限定)だよね? わかっててやってるよね?! ……てのは、置いておいて。
音楽、セット、衣装、ダンス、なにもかもカッコイイ。
大公@水輝りょおの正しい使い方!
危険な美青年たち、ティボルト@かなめ、ベンヴォーリオ@すずみん、マーキューシオ@ベニー。
あまりにカッコイイから、忘れてた。
彼らが10代の少年であり、これが子どもたちの物語であることを。
……そーだった。
『ロミオとジュリエット』ってそもそも、そーゆー話だった。
知っていたのに、わかっていなかった。
若さゆえにあんなことになっちゃう話だった。
タカラヅカって基本、大人が主人公だから。主要人物が30代とか、戦争とか不倫とか人妻とかがあったりまえに出てくる世界観。
もうすっかりソレで慣れきっていたから、中高生の子どもたちが主役の物語だってこと、わかっていたのにぴんと来ていなかった。
ので、そのカッコイイ人々があまりにコドモであることに、驚く(笑)。
彼らが言ってること、マジに中学生レベルなのよー。
そ、そうか。そーゆー話だった。
すずみさんまでもが、10代の少年なのでびびる。わかっていても、びびる(笑)。
ロミオ@れおんくんはもお、きらっきらの美少年。
純粋で天使のような男の子。
「奥手のロミオ」「恋に恋してるのか」……聞いていて眩暈のするよーな単語が飛び交う。や、男子同士でナニそのじょしちゅうがくせえみたいな会話。
ジュリエット@ねねちゃんがぴかぴかの美少女なのは違和感ないんだけど、男たちの「10代」ぶりはいろいろと……(笑)。
でも、そーゆー世界観なんだとアタマに叩き込んで。アタマを切り換えて。
実際目に映る彼らはみんな、美しい少年たちなのだから。
美しいビジュアルと音楽に酔っていた、ただ、あるがまま。
パリス@ミッキー最高だ(笑)、ジュリエット母@コロちゃん色っぺー、仮面舞踏会キターーッ! 女の子たちの衣装可愛すぎる!!(ハァハァ)
どいちゃんのバトントワラー、うますぎる! すごすぎる! 物語の進行止める勢い、つか、みんな本筋観ないでどいちゃんに釘付けですよあの場面!(拍手でわかる、みんなどいちゃん見てた・笑)
ところが、だ。
恋に落ちたロミオとジュリエット、あの有名なバルコニーの場面。
ああ何故アナタはロミオなの……形を変える不実な月に誓うなどおやめなさい、てなあの場面ですよ、教養のないわたしでもてきとーに台詞を並べられるような。
あそこから、ダダ泣き。
別に悲しいことなぞ、一切ありませんが。
ジュリエットの乳母@れみちゃん、めちゃうまい。微妙に着ぶくれて、かつ巨乳を作ってコミカル演技。
セット前でまるまるソロ1曲あるんだね。
彼女のソロでも泣きっぱなし。
1幕の最後、愛し合うふたりの結婚式、ここでも幕が下りるまで泣き通し。
青春のきらめきが、愛しくて。
ロミオとジュリエット、ふたりの恋が愛しくて。
純粋さ、愛情、無償の想い、それってこんなに愛しいモノなのか。切ないモノなのか。
ロミオとジュリエットもだし、彼らの恋を成就させようと力を振り絞る、乳母やロレンス神父@くみちょーにも、泣けて仕方なかった。
うつくしいものを見た、それだけで、こんなに泣けるモノなのか。
2幕はリセットして観ていたんだけど、やっぱり途中から泣きっぱなし(笑)。
案の定やり過ぎちゃってるベニーの死にっぷりには別に泣けないんだが(笑)、ひとり残されるすずみさんの嘆きのソロには泣かされた。
幼さに驚いた、中学生男子たち。仲良し幼なじみ3人組。なのに、ベンヴォーリオひとり、残されたんだね。失うのはつらいね、残されるのはつらすぎるね。
誰もが愛ゆえに傷つく。
娘を殴って、ついでに妻に愛されていなかったことまで暴露されて、ヘコんでるジュリエット父@ヒロさん、ロミオとジュリエットのために画策する神父、おそろしい計画のはずなのに、なんの躊躇もなくきらきらと実行するジュリエット。
神父の手紙より先に、ジュリエットの死をわざわざロミオに伝えるベンヴォーリオ。
ただ、愛ゆえに。
たしかに、憎しみはあふれている。
「生まれたときから敵がいた」と歌う少年たち、そんな状況がまかり通る狂気。
それでも。
憎しみは群衆芝居や歌とダンスのみで、物語部分にあるのは、結局は、「愛」。
主要人物がなにかするのは全部全部、「愛」が動機なの。
立場や考え方がチガウから、行き違ったり理解されなかったり、間違っていたりしても。
でも間違いなく全員が「愛」ゆえに行動している。
「憎しみ」を歌うところからはじまった物語、「憎しみ」を舞台にした物語、なのに、そこには、「愛」しかないの。
間違っていようがどうしようが、誰もがただ「愛」しかないの。
象徴的な存在、死@真風と愛@礼くんが踊るように。
眠るジュリエットを、そうとは知らず後を追うために毒をあおるロミオ、死んだロミオを眠っているだけだと信じ、幸福の絶頂の歌を笑顔で歌うジュリエット。
ほんとうに死んでしまったロミオとジュリエット、ロミオのアタマを抱くように愛しそうに触って、泣き崩れるベンヴォーリオ。
ふたりを失ってはじめて、憎しみを捨て、手を取り合うモンタギュー家とキャピュレット家の人々。
「愛」しかない人々は、ただもお美しくて、愛しくて、泣き続けた。
愚かだけど純粋で、そのなかでもロミオとジュリエットは、とびきりの純粋さで、青春のきらめきに満ちていて。痛さに満ちていて。
なんて美しく、愛しい物語だろう。
わたしも泣きすぎかなー、と思ったが、隣の席の人(知らない人・笑)も同じ濃度で1幕からダダ泣きしていたので、そーゆー作品なんだなと思った(笑)。
この作品、好き。
愛しいから、好き。
それだけ。
それだけで、十分。
星組梅田芸術劇場公演『ロミオとジュリエット』初日観劇。
シェイクスピアの有名すぎる物語。
反目し合う、モンタギュー家とキャピュレット家、敵同士の家に生まれながら、愛し合うロミオとジュリエット、その悲劇。
物語は知っている。
ちなみに、水くん主演の『ロミオとジュリエット’99』も観劇している。
だが、その有名すぎる原作を元にした今回のミュージカル自体は、知らない。動画サイトでいくらでも鑑賞可能だそうだが、見ていない。芝居にしろ映画にしろ、小さな画面の映像で見るのは苦手だ。芝居は舞台で、映画は映画館で、実際に観るのでないと、わたしの少ないのーみそにはうまく入らないようなので。
なんの予備知識もないまま、観る。
だが、潤色・演出が小池先生なので、全幅の信頼を置いている。
きっと美しく、スベクタルで、タカラヅカらしいモノになっているだろうと。
実際、美しかった。
モンタギュー家とキャピュレット家の争いを、歌とダンスで表現したオープニングから、その美しさ、格好良さに引き込まれた。
まあその、いちばん最初に水トートが登場したことに、心底驚いたが(笑)。
あれ、トート@『エリザベート』ぢゃなく、水トート(限定)だよね? わかっててやってるよね?! ……てのは、置いておいて。
音楽、セット、衣装、ダンス、なにもかもカッコイイ。
大公@水輝りょおの正しい使い方!
危険な美青年たち、ティボルト@かなめ、ベンヴォーリオ@すずみん、マーキューシオ@ベニー。
あまりにカッコイイから、忘れてた。
彼らが10代の少年であり、これが子どもたちの物語であることを。
……そーだった。
『ロミオとジュリエット』ってそもそも、そーゆー話だった。
知っていたのに、わかっていなかった。
若さゆえにあんなことになっちゃう話だった。
タカラヅカって基本、大人が主人公だから。主要人物が30代とか、戦争とか不倫とか人妻とかがあったりまえに出てくる世界観。
もうすっかりソレで慣れきっていたから、中高生の子どもたちが主役の物語だってこと、わかっていたのにぴんと来ていなかった。
ので、そのカッコイイ人々があまりにコドモであることに、驚く(笑)。
彼らが言ってること、マジに中学生レベルなのよー。
そ、そうか。そーゆー話だった。
すずみさんまでもが、10代の少年なのでびびる。わかっていても、びびる(笑)。
ロミオ@れおんくんはもお、きらっきらの美少年。
純粋で天使のような男の子。
「奥手のロミオ」「恋に恋してるのか」……聞いていて眩暈のするよーな単語が飛び交う。や、男子同士でナニそのじょしちゅうがくせえみたいな会話。
ジュリエット@ねねちゃんがぴかぴかの美少女なのは違和感ないんだけど、男たちの「10代」ぶりはいろいろと……(笑)。
でも、そーゆー世界観なんだとアタマに叩き込んで。アタマを切り換えて。
実際目に映る彼らはみんな、美しい少年たちなのだから。
美しいビジュアルと音楽に酔っていた、ただ、あるがまま。
パリス@ミッキー最高だ(笑)、ジュリエット母@コロちゃん色っぺー、仮面舞踏会キターーッ! 女の子たちの衣装可愛すぎる!!(ハァハァ)
どいちゃんのバトントワラー、うますぎる! すごすぎる! 物語の進行止める勢い、つか、みんな本筋観ないでどいちゃんに釘付けですよあの場面!(拍手でわかる、みんなどいちゃん見てた・笑)
ところが、だ。
恋に落ちたロミオとジュリエット、あの有名なバルコニーの場面。
ああ何故アナタはロミオなの……形を変える不実な月に誓うなどおやめなさい、てなあの場面ですよ、教養のないわたしでもてきとーに台詞を並べられるような。
あそこから、ダダ泣き。
別に悲しいことなぞ、一切ありませんが。
ジュリエットの乳母@れみちゃん、めちゃうまい。微妙に着ぶくれて、かつ巨乳を作ってコミカル演技。
セット前でまるまるソロ1曲あるんだね。
彼女のソロでも泣きっぱなし。
1幕の最後、愛し合うふたりの結婚式、ここでも幕が下りるまで泣き通し。
青春のきらめきが、愛しくて。
ロミオとジュリエット、ふたりの恋が愛しくて。
純粋さ、愛情、無償の想い、それってこんなに愛しいモノなのか。切ないモノなのか。
ロミオとジュリエットもだし、彼らの恋を成就させようと力を振り絞る、乳母やロレンス神父@くみちょーにも、泣けて仕方なかった。
うつくしいものを見た、それだけで、こんなに泣けるモノなのか。
2幕はリセットして観ていたんだけど、やっぱり途中から泣きっぱなし(笑)。
案の定やり過ぎちゃってるベニーの死にっぷりには別に泣けないんだが(笑)、ひとり残されるすずみさんの嘆きのソロには泣かされた。
幼さに驚いた、中学生男子たち。仲良し幼なじみ3人組。なのに、ベンヴォーリオひとり、残されたんだね。失うのはつらいね、残されるのはつらすぎるね。
誰もが愛ゆえに傷つく。
娘を殴って、ついでに妻に愛されていなかったことまで暴露されて、ヘコんでるジュリエット父@ヒロさん、ロミオとジュリエットのために画策する神父、おそろしい計画のはずなのに、なんの躊躇もなくきらきらと実行するジュリエット。
神父の手紙より先に、ジュリエットの死をわざわざロミオに伝えるベンヴォーリオ。
ただ、愛ゆえに。
たしかに、憎しみはあふれている。
「生まれたときから敵がいた」と歌う少年たち、そんな状況がまかり通る狂気。
それでも。
憎しみは群衆芝居や歌とダンスのみで、物語部分にあるのは、結局は、「愛」。
主要人物がなにかするのは全部全部、「愛」が動機なの。
立場や考え方がチガウから、行き違ったり理解されなかったり、間違っていたりしても。
でも間違いなく全員が「愛」ゆえに行動している。
「憎しみ」を歌うところからはじまった物語、「憎しみ」を舞台にした物語、なのに、そこには、「愛」しかないの。
間違っていようがどうしようが、誰もがただ「愛」しかないの。
象徴的な存在、死@真風と愛@礼くんが踊るように。
眠るジュリエットを、そうとは知らず後を追うために毒をあおるロミオ、死んだロミオを眠っているだけだと信じ、幸福の絶頂の歌を笑顔で歌うジュリエット。
ほんとうに死んでしまったロミオとジュリエット、ロミオのアタマを抱くように愛しそうに触って、泣き崩れるベンヴォーリオ。
ふたりを失ってはじめて、憎しみを捨て、手を取り合うモンタギュー家とキャピュレット家の人々。
「愛」しかない人々は、ただもお美しくて、愛しくて、泣き続けた。
愚かだけど純粋で、そのなかでもロミオとジュリエットは、とびきりの純粋さで、青春のきらめきに満ちていて。痛さに満ちていて。
なんて美しく、愛しい物語だろう。
わたしも泣きすぎかなー、と思ったが、隣の席の人(知らない人・笑)も同じ濃度で1幕からダダ泣きしていたので、そーゆー作品なんだなと思った(笑)。
この作品、好き。
愛しいから、好き。
それだけ。
それだけで、十分。