昔話と美少女と。@新人公演『ロジェ』
2010年7月14日 タカラヅカ 年寄りなので、昔話をする。
あれは『虹のナターシャ』新人公演。タカネくんがトップになり、新生雪組がスタート、『エリザベート』初演の成功・盛り上がりも記憶に新しいそのときに、まさかの大駄作。
植爺の駄作は数あれど、終わってないなんて、物語とか作品とか以前の問題。創作者としての品性を疑う事態なんだが、理事長様はナニやっても許される。
そんな怒濤の公演にて、新公ヒロインが研1の紺野まひるだった。……って、誰。
まひるちゃんの82期は、タカラヅカのテレビ進出を狙った期で、tapが結成されてCDデビューしたり、シャンプーのCMにずらりと出たりとにぎやかだった。
タカラヅカに一般客を引き入れようという試み、テレビのアイドルタレント的な扱いをしてみよう、という時期だった。
その祭りの一環での、研1の新公ヒロイン抜擢。
かなりの異例で話題になってしかるべき事態なのかもしれないが、まだネット普及率も低く、世の中的にヅカファン的に、どこまで大事件だったのかはわからない。
わたしとしては、研1ヒロイン抜擢より、なんで江上さんが専科さんの役なのよおおっ、というショックの方が大きかった(笑)。いやその、江上さん、つーのはケロちゃんのことでね、前回の『エリザベート』新公でフランツを演じ、歌はともかく芝居は素晴らしく、惚れ惚れしていたところだっただけに、なんでこんなに急に扱いオトされるのか納得できないっちゅーか、ああうだうだ。
それでも江上ファン……仲間うちでだけ、「江上さん」と勝手に呼んでいた……『大上海』の江上役のせい……見逃してなるものかと駆けつけた。『虹ナタ』新公。
江上さんは専科さんの役でもすっごくうまくて、出番少なくて横顔しか客席に見せないよーな、そんな役でもじーんとさせてくれたんだけど! 仲間たちと「江上さんすげえ」って言い合っていたんだけど!
それは置いておいて、新公ヒロインのまひるちゃん。
ナターシャというのは、絶世の美少女だが、男の子みたいながさつな役。演技しているのかどうかもわかんない、等身大のオンナノコのままで演じられる役。
まひるちゃんがうまいのかどうかは、さっぱりわからない。や、ヘタではないけれど、たまたまナタ公がハマっていただけで、他の役ができるのかはそれだけじゃまったくわからない。そーゆー出来映え。
いちおー、成績は3番、娘役ではトップだった……かな。それなりに実力はあったんだと思う。
でも、音楽学校で良い成績を取ることと、実際の舞台で成果を出すのはまた別問題。
それでも、ひとつだけわかったこと。
まひるちゃんは、かわいい。
ビジュアル重視の期の中で、わざわざ抜擢されるのが納得の美少女だった。
かわいいは正しい、かわいいは正義。
動いて、喋っているだけでかわいくて、一気に注目された。
いつもは現れないトドロキが、わざわざ新公観に来てたっけ。直後のバウ公演で、そのまひるちゃんがヒロインを演じることになると決まっていたので、新公に興味のないトド様も、さすがに足を運んでいた……そしてそのことがわざわざ「トドがまひる見に来てた!」と噂になるあたりもまた、いっそ愉快。
まあそんな昔話を、年寄りの偏った記憶で語るのは、まひるちゃん以来14年ぶりに、「研1の新公ヒロイン」が誕生したためだ。
偏った記憶……あくまでも、わたし個人の記憶に過ぎないので、どこまで正しいかは謎。
しかし、新人公演『ロジェ』を観ながら、痛切に、思い出していた。
まひるちゃんは、かわいかった。
舞台人としての経験は皆無の研1生だったけれど、タカラヅカという狭い世界の美人ではなく、テレビに出ててもおかしくない美少女だった。
経験がない分、もとからの可愛さで「絶世の美少女役」をやっていた。
「かわいい」っていうのは、「きれい」っていうのは、たしかに、わかりやすい説得力だよなあ。
これで実力皆無で動いて声を出したら目も当てられない、てな出来ならともかく、周囲に支えられながらでもふつーに新公レベルの仕事をこなしてみせたら、「かわいいは正義」で通るよなあ。
とゆーことで、『ロジェ』ヒロインのレア@夢華さん。
改めて舞台姿を認識し、首を傾げた。
文化祭を観たときは、かわいかった気がする、んだが。
好みのタイプではなかったのでスルーしていたが、それでもふつーにかわいい、ヒロインらしい人だった、と思ったんだ。カオ自体はおぼえてなかったにしろ。
歌がうまいことも、芝居が出来ることも、文化祭でわかっていた。
だから新公でも実力的なことは、危惧していない。きっとそこそこ役目を果たすだろうと。
でもなあ。実力のある研1生なら、今までもいくらでもいたと思うの。男役は出来上がるまでに時間がかかるから研1抜擢主演は難しいとしても、娘役なら文化祭ですでに出来上がっている子だっている。
首席入団してくる娘役なら、ある程度のことはできると思うんだ。
せんどーさんでも、くまくまちゃんでも、アグレッシヴにヒロインやったろうなあ、入団早々、機会さえあれば。
実力だけで言うならいろいろどーんと来い!な、せんどーさんやくまちゃんが出来なかった研1新公ヒロインだ、彼女たちとまひるちゃんの差は、研1にしてすでに出来上がっているビジュアルかなと。
せんどーさんもくまちゃんも美人さんだけど、彼女たちが舞台上であか抜けて輝きだしたのはやっぱり、何年かしてからだし。(くまちゃんは最初からヒロイン路線じゃなかったかもしんないけどさー)
テレビタレントみたいなビジュアルを最初から持っている、舞台人として美しく見せる技術がなくても、きれいな子だとわかる……舞台スキルがナイまま舞台に「ヒロイン」として載せるには、やはりソコにこだわりがあるのかなと。
思っていただけに、夢華さんにまひるちゃんほど圧倒的なかわいさがなかったことが、残念だ。
や、うまいんだけどね……ふつーに「新公学年」レベルの芝居とビジュアルを見せてくれたんだけど、ふつーに「新公学年」レベルなんだったら、なにもまひるちゃんと同じ「研1で新公ヒロイン」である意味がナイんじゃあ、と。
ふつーに「そこそこいい役」で「え、あの子研1? うまいじゃん」と思わせた方が良くないか? せんどーさんやくまちゃんがそうやって少しずつ昇ってきたよーに。
難しい正塚芝居で、浮かずによく演じていたと思う。
本役よりもやわらかいというか、意志の在処がわかりにくいけれど、そーゆーキャラクタもアリでしょう。みなこちゃんほど強く演じる必要はないのだから。
そしてなにより、歌は素晴らしい。固いままであれだけ歌えるんだから、キャリアを重ねればもっと聴かせてくれるよーになるだろう。
ビジュアルもまた経験で補えるので、このまま経験を積めばどんどんあか抜けてきれいになると思う。
でもせっかくの、まひるちゃん以来14年ぶりの大抜擢なんだから、ビジュアルにおいて、まひるちゃん並の感動を与えて欲しかったっす。残念。
あ、でもビジュアルは好みによるところが大きいからなー。わたしの好みの顔立ちでなかった、つーだけのことかも。
あれは『虹のナターシャ』新人公演。タカネくんがトップになり、新生雪組がスタート、『エリザベート』初演の成功・盛り上がりも記憶に新しいそのときに、まさかの大駄作。
植爺の駄作は数あれど、終わってないなんて、物語とか作品とか以前の問題。創作者としての品性を疑う事態なんだが、理事長様はナニやっても許される。
そんな怒濤の公演にて、新公ヒロインが研1の紺野まひるだった。……って、誰。
まひるちゃんの82期は、タカラヅカのテレビ進出を狙った期で、tapが結成されてCDデビューしたり、シャンプーのCMにずらりと出たりとにぎやかだった。
タカラヅカに一般客を引き入れようという試み、テレビのアイドルタレント的な扱いをしてみよう、という時期だった。
その祭りの一環での、研1の新公ヒロイン抜擢。
かなりの異例で話題になってしかるべき事態なのかもしれないが、まだネット普及率も低く、世の中的にヅカファン的に、どこまで大事件だったのかはわからない。
わたしとしては、研1ヒロイン抜擢より、なんで江上さんが専科さんの役なのよおおっ、というショックの方が大きかった(笑)。いやその、江上さん、つーのはケロちゃんのことでね、前回の『エリザベート』新公でフランツを演じ、歌はともかく芝居は素晴らしく、惚れ惚れしていたところだっただけに、なんでこんなに急に扱いオトされるのか納得できないっちゅーか、ああうだうだ。
それでも江上ファン……仲間うちでだけ、「江上さん」と勝手に呼んでいた……『大上海』の江上役のせい……見逃してなるものかと駆けつけた。『虹ナタ』新公。
江上さんは専科さんの役でもすっごくうまくて、出番少なくて横顔しか客席に見せないよーな、そんな役でもじーんとさせてくれたんだけど! 仲間たちと「江上さんすげえ」って言い合っていたんだけど!
それは置いておいて、新公ヒロインのまひるちゃん。
ナターシャというのは、絶世の美少女だが、男の子みたいながさつな役。演技しているのかどうかもわかんない、等身大のオンナノコのままで演じられる役。
まひるちゃんがうまいのかどうかは、さっぱりわからない。や、ヘタではないけれど、たまたまナタ公がハマっていただけで、他の役ができるのかはそれだけじゃまったくわからない。そーゆー出来映え。
いちおー、成績は3番、娘役ではトップだった……かな。それなりに実力はあったんだと思う。
でも、音楽学校で良い成績を取ることと、実際の舞台で成果を出すのはまた別問題。
それでも、ひとつだけわかったこと。
まひるちゃんは、かわいい。
ビジュアル重視の期の中で、わざわざ抜擢されるのが納得の美少女だった。
かわいいは正しい、かわいいは正義。
動いて、喋っているだけでかわいくて、一気に注目された。
いつもは現れないトドロキが、わざわざ新公観に来てたっけ。直後のバウ公演で、そのまひるちゃんがヒロインを演じることになると決まっていたので、新公に興味のないトド様も、さすがに足を運んでいた……そしてそのことがわざわざ「トドがまひる見に来てた!」と噂になるあたりもまた、いっそ愉快。
まあそんな昔話を、年寄りの偏った記憶で語るのは、まひるちゃん以来14年ぶりに、「研1の新公ヒロイン」が誕生したためだ。
偏った記憶……あくまでも、わたし個人の記憶に過ぎないので、どこまで正しいかは謎。
しかし、新人公演『ロジェ』を観ながら、痛切に、思い出していた。
まひるちゃんは、かわいかった。
舞台人としての経験は皆無の研1生だったけれど、タカラヅカという狭い世界の美人ではなく、テレビに出ててもおかしくない美少女だった。
経験がない分、もとからの可愛さで「絶世の美少女役」をやっていた。
「かわいい」っていうのは、「きれい」っていうのは、たしかに、わかりやすい説得力だよなあ。
これで実力皆無で動いて声を出したら目も当てられない、てな出来ならともかく、周囲に支えられながらでもふつーに新公レベルの仕事をこなしてみせたら、「かわいいは正義」で通るよなあ。
とゆーことで、『ロジェ』ヒロインのレア@夢華さん。
改めて舞台姿を認識し、首を傾げた。
文化祭を観たときは、かわいかった気がする、んだが。
好みのタイプではなかったのでスルーしていたが、それでもふつーにかわいい、ヒロインらしい人だった、と思ったんだ。カオ自体はおぼえてなかったにしろ。
歌がうまいことも、芝居が出来ることも、文化祭でわかっていた。
だから新公でも実力的なことは、危惧していない。きっとそこそこ役目を果たすだろうと。
でもなあ。実力のある研1生なら、今までもいくらでもいたと思うの。男役は出来上がるまでに時間がかかるから研1抜擢主演は難しいとしても、娘役なら文化祭ですでに出来上がっている子だっている。
首席入団してくる娘役なら、ある程度のことはできると思うんだ。
せんどーさんでも、くまくまちゃんでも、アグレッシヴにヒロインやったろうなあ、入団早々、機会さえあれば。
実力だけで言うならいろいろどーんと来い!な、せんどーさんやくまちゃんが出来なかった研1新公ヒロインだ、彼女たちとまひるちゃんの差は、研1にしてすでに出来上がっているビジュアルかなと。
せんどーさんもくまちゃんも美人さんだけど、彼女たちが舞台上であか抜けて輝きだしたのはやっぱり、何年かしてからだし。(くまちゃんは最初からヒロイン路線じゃなかったかもしんないけどさー)
テレビタレントみたいなビジュアルを最初から持っている、舞台人として美しく見せる技術がなくても、きれいな子だとわかる……舞台スキルがナイまま舞台に「ヒロイン」として載せるには、やはりソコにこだわりがあるのかなと。
思っていただけに、夢華さんにまひるちゃんほど圧倒的なかわいさがなかったことが、残念だ。
や、うまいんだけどね……ふつーに「新公学年」レベルの芝居とビジュアルを見せてくれたんだけど、ふつーに「新公学年」レベルなんだったら、なにもまひるちゃんと同じ「研1で新公ヒロイン」である意味がナイんじゃあ、と。
ふつーに「そこそこいい役」で「え、あの子研1? うまいじゃん」と思わせた方が良くないか? せんどーさんやくまちゃんがそうやって少しずつ昇ってきたよーに。
難しい正塚芝居で、浮かずによく演じていたと思う。
本役よりもやわらかいというか、意志の在処がわかりにくいけれど、そーゆーキャラクタもアリでしょう。みなこちゃんほど強く演じる必要はないのだから。
そしてなにより、歌は素晴らしい。固いままであれだけ歌えるんだから、キャリアを重ねればもっと聴かせてくれるよーになるだろう。
ビジュアルもまた経験で補えるので、このまま経験を積めばどんどんあか抜けてきれいになると思う。
でもせっかくの、まひるちゃん以来14年ぶりの大抜擢なんだから、ビジュアルにおいて、まひるちゃん並の感動を与えて欲しかったっす。残念。
あ、でもビジュアルは好みによるところが大きいからなー。わたしの好みの顔立ちでなかった、つーだけのことかも。