「男役」のDNA。@新人公演『ロジェ』
2010年7月13日 タカラヅカ 咲奈くん、新公主演おめでとー。
と、再度言いたくなった(笑)。
と、ゆーのもだ。
雪組新人公演『ロジェ』、プロローグの回想シーンが終わり、スクリーンが上がって、ロジェ@咲奈くんが登場する、その瞬間。
カッコイイ。と、素直に思いました。
あれえ? なんかマジ格好いいぞ?
中卒研4の咲奈くんはまだハタチそこそこ。彼を「かわいい」と思うことはあっても、「カッコイイ」はなかった。
それは仕方ない、男役は一朝一夕では出来ないんだ、人生未熟なコドモに、簡単にどーこーできるようなヤワな世界なら、こんなに夢中になってない。
若すぎて足りていない、のは許容範囲、将来に期待を掛けるのでかまわない。
が、やっぱり「男役」としての魅力を見せてくれるのに、越したことはない。
前回までの新公や、今の本公演でのぷくぷくした「オンナノコ」な姿を残念には思っていた。
それがどーしたことだ、新公は格好良かった。
ぷくぷくしたオンナノコじゃない。男役だ。
てゆーか、声がチガウ。
本公演ではオンナノコな地声で喋ってるじゃん? 少年ぽさを出そうとして、あーゆーことになってるの?
新公ロジェ役では、作った男役声でした。
つか、水しぇんに似ている。
『ソルフェリーノの夜明け』のときは、まったく感じなかったのに。
『ロジェ』では、姿も声も喋り方も、水くんに似ている。
すごく丁寧に、コピーしている。
「水夏希」を。
オープニングのダンスで。
帽子アリのスーツのダンスで。
ものすごく丁寧に動いている彼を、肩のラインひとつに気合い入れて「型」をなぞる彼を見て、泣きたくなったのですよ。
「水夏希」が、受け継がれていく。
水しぇんが完成させた男役芸を、こーやって全霊を挙げて受け継ぐ子がいる。血肉にしたいと貪欲にあがいている子がいる。
水しぇんは卒業してしまうけれど、彼がこのタカラヅカに、この舞台の上にいたことは決してなくならない。
そのことが、理屈ではなくビジュアルで、今目の前にあるモノで、ずどんと胸に迫ってきて。
すごく、ありがとうなキモチだ。
咲奈くんに。
水しぇんに。
そして、タカラヅカに。
ああもお、タカラヅカっていいよな。こうして受け継がれていくんだ。終わりはないんだ。
咲奈くんがすごく水しぇんに似ているとか、よく言うDNAとやらを受け継いでいるとか、そこまでは思わないんだけど。
そうじゃなくても、そこまでじゃなくても、継がれていくモノはあるんだ。
ひとである限り。
ひととひとが、創っていくモノである限り。
デュナン役のときは、咲奈くんは彼自身の力で突っ走った気がしている。コピーするとかなぞるとか以前、今の自分で脚本にあることをやれるだけやる、みたいな。
課題をこなすことだけを考えましたっていうか。
それが今回は、水しぇんをコピーする……本役さんの素晴らしさを再現する、ということにも焦点を合わせてきた気がした。
等身大ではなく、ひとつ上の大人のビジュアルを目指したというか。
そして、やっぱりうまいというか、技術のある子なんだと思う。
コピーするとなると、ほんとにきっちりコピーしてるんだもの。
いろんなところで、水しぇんの幻影を見る(笑)。うわ、よくぞこれだけコピーしたな、と。
仕草や声色、表情の作り方。
もちろん、コピーだけで終わらず、どんどん咲奈くん自身の色が出てくるんだけど、基本は水しぇんのロジェなの、いろんなところで型を崩さずがんばってるの。
正塚芝居って大仰な台詞回しだとかゴテゴテした衣装とかで誤魔化しが利かない分、若手たちには敷居が高い。新人公演は軒並み大変なことになる。
が、どうしてどうして、よくやっている。
咲奈くんをはじめ、みんなうまい。
ちゃんと基本な正塚芝居をやって……ちゃんと基本な水しぇんのロジェをやって……だけど、咲奈くんらしいロジェになる。
脚本自体が「ロジェってただのコドモ?」な話なので、リアルに30過ぎの大人に見える水しぇんが演じるより、ぴちぴちに若い咲奈くんが演じた方が脚本の粗が目立たない……てのは、ある。
ヅカ作品にありがちな、「作品が壊れていて、なんでそうなるのか本公演では納得できなかったが、新公では行動が変でも『若いから仕方ないね』で納得できる」を地でいくわけですが。
それを踏まえても、一途で、ハートフルなロジェでした。
誠実さとアツさが見えるんだが、それと同時にまろやかさもある。復讐をあきらめるくだりが、なめらか。
自然に人を惹きつける力。ああ、このロジェって男、好きだな、と思える。
タカラヅカにおける「サヨナラ公演仕様」な演出は、物語的には不要なことが多く、おかげで新公では白々しくなったりするもんなんだが。(例『ソルフェリーノの夜明け』新人公演で、退団しないホタテくんが脈絡なく「退団者の歌」を歌って旅立たなければならなかった)
『ロジェ』もラストシーンがその物語的に不要な「サヨナラ公演仕様」で、旅立つロジェをキャスト全員で見送る、ロジェが銀橋からキャスト全員を見つめる演出があった。
仕方ないけど、退団しない、人生これからの咲奈くんにソレをやられても萎えるなー、と思っていたんだが。
なんと、演出が違った。
たしかに旅立ちの歌でキャスト全員登場するんだが、ロジェひとりが旅立つのではなく、そのまま花道までいっぱいにずらりと並び、新公メンバー全員の、「未来へ」の歌となった。
途切れることなく、そのまま終演挨拶になる。
そのことによって、最後の歌が、新公キャスト全員のこの新公に懸ける意気込み、これからの舞台人人生に懸ける意志、みたいなものに昇華された。
すごい。
これってすごい、キモチイイ演出だ。
一礼するキャストに、心から拍手を送った。
新公の長を務めるがおりくんの挨拶は端正で過不足なく、そして咲奈くんの挨拶はエネルギッシュだった。テンパって泣き出すこともなく、きちんと仕事を果たした。
成長してるんだなあ。若者ってすごいなあ。
本公演のヴィンセント役は足りなさが目立つんだけど、新公でここまでやれる子なんだもんなあ、実力はあるんだよな。
てゆーか、ふつーにこんだけうまいんだから、あとはこれから男ぶりを上げていくことだよな。
かなり背伸び感のあるヴィンセント役をやり続けることで、咲奈くんはいろいろ吸収中なのかもしれない。
ひとりっ子政策は反対、才能ある子だと思うからこそ、大切に育てて欲しいっす。
と、再度言いたくなった(笑)。
と、ゆーのもだ。
雪組新人公演『ロジェ』、プロローグの回想シーンが終わり、スクリーンが上がって、ロジェ@咲奈くんが登場する、その瞬間。
カッコイイ。と、素直に思いました。
あれえ? なんかマジ格好いいぞ?
中卒研4の咲奈くんはまだハタチそこそこ。彼を「かわいい」と思うことはあっても、「カッコイイ」はなかった。
それは仕方ない、男役は一朝一夕では出来ないんだ、人生未熟なコドモに、簡単にどーこーできるようなヤワな世界なら、こんなに夢中になってない。
若すぎて足りていない、のは許容範囲、将来に期待を掛けるのでかまわない。
が、やっぱり「男役」としての魅力を見せてくれるのに、越したことはない。
前回までの新公や、今の本公演でのぷくぷくした「オンナノコ」な姿を残念には思っていた。
それがどーしたことだ、新公は格好良かった。
ぷくぷくしたオンナノコじゃない。男役だ。
てゆーか、声がチガウ。
本公演ではオンナノコな地声で喋ってるじゃん? 少年ぽさを出そうとして、あーゆーことになってるの?
新公ロジェ役では、作った男役声でした。
つか、水しぇんに似ている。
『ソルフェリーノの夜明け』のときは、まったく感じなかったのに。
『ロジェ』では、姿も声も喋り方も、水くんに似ている。
すごく丁寧に、コピーしている。
「水夏希」を。
オープニングのダンスで。
帽子アリのスーツのダンスで。
ものすごく丁寧に動いている彼を、肩のラインひとつに気合い入れて「型」をなぞる彼を見て、泣きたくなったのですよ。
「水夏希」が、受け継がれていく。
水しぇんが完成させた男役芸を、こーやって全霊を挙げて受け継ぐ子がいる。血肉にしたいと貪欲にあがいている子がいる。
水しぇんは卒業してしまうけれど、彼がこのタカラヅカに、この舞台の上にいたことは決してなくならない。
そのことが、理屈ではなくビジュアルで、今目の前にあるモノで、ずどんと胸に迫ってきて。
すごく、ありがとうなキモチだ。
咲奈くんに。
水しぇんに。
そして、タカラヅカに。
ああもお、タカラヅカっていいよな。こうして受け継がれていくんだ。終わりはないんだ。
咲奈くんがすごく水しぇんに似ているとか、よく言うDNAとやらを受け継いでいるとか、そこまでは思わないんだけど。
そうじゃなくても、そこまでじゃなくても、継がれていくモノはあるんだ。
ひとである限り。
ひととひとが、創っていくモノである限り。
デュナン役のときは、咲奈くんは彼自身の力で突っ走った気がしている。コピーするとかなぞるとか以前、今の自分で脚本にあることをやれるだけやる、みたいな。
課題をこなすことだけを考えましたっていうか。
それが今回は、水しぇんをコピーする……本役さんの素晴らしさを再現する、ということにも焦点を合わせてきた気がした。
等身大ではなく、ひとつ上の大人のビジュアルを目指したというか。
そして、やっぱりうまいというか、技術のある子なんだと思う。
コピーするとなると、ほんとにきっちりコピーしてるんだもの。
いろんなところで、水しぇんの幻影を見る(笑)。うわ、よくぞこれだけコピーしたな、と。
仕草や声色、表情の作り方。
もちろん、コピーだけで終わらず、どんどん咲奈くん自身の色が出てくるんだけど、基本は水しぇんのロジェなの、いろんなところで型を崩さずがんばってるの。
正塚芝居って大仰な台詞回しだとかゴテゴテした衣装とかで誤魔化しが利かない分、若手たちには敷居が高い。新人公演は軒並み大変なことになる。
が、どうしてどうして、よくやっている。
咲奈くんをはじめ、みんなうまい。
ちゃんと基本な正塚芝居をやって……ちゃんと基本な水しぇんのロジェをやって……だけど、咲奈くんらしいロジェになる。
脚本自体が「ロジェってただのコドモ?」な話なので、リアルに30過ぎの大人に見える水しぇんが演じるより、ぴちぴちに若い咲奈くんが演じた方が脚本の粗が目立たない……てのは、ある。
ヅカ作品にありがちな、「作品が壊れていて、なんでそうなるのか本公演では納得できなかったが、新公では行動が変でも『若いから仕方ないね』で納得できる」を地でいくわけですが。
それを踏まえても、一途で、ハートフルなロジェでした。
誠実さとアツさが見えるんだが、それと同時にまろやかさもある。復讐をあきらめるくだりが、なめらか。
自然に人を惹きつける力。ああ、このロジェって男、好きだな、と思える。
タカラヅカにおける「サヨナラ公演仕様」な演出は、物語的には不要なことが多く、おかげで新公では白々しくなったりするもんなんだが。(例『ソルフェリーノの夜明け』新人公演で、退団しないホタテくんが脈絡なく「退団者の歌」を歌って旅立たなければならなかった)
『ロジェ』もラストシーンがその物語的に不要な「サヨナラ公演仕様」で、旅立つロジェをキャスト全員で見送る、ロジェが銀橋からキャスト全員を見つめる演出があった。
仕方ないけど、退団しない、人生これからの咲奈くんにソレをやられても萎えるなー、と思っていたんだが。
なんと、演出が違った。
たしかに旅立ちの歌でキャスト全員登場するんだが、ロジェひとりが旅立つのではなく、そのまま花道までいっぱいにずらりと並び、新公メンバー全員の、「未来へ」の歌となった。
途切れることなく、そのまま終演挨拶になる。
そのことによって、最後の歌が、新公キャスト全員のこの新公に懸ける意気込み、これからの舞台人人生に懸ける意志、みたいなものに昇華された。
すごい。
これってすごい、キモチイイ演出だ。
一礼するキャストに、心から拍手を送った。
新公の長を務めるがおりくんの挨拶は端正で過不足なく、そして咲奈くんの挨拶はエネルギッシュだった。テンパって泣き出すこともなく、きちんと仕事を果たした。
成長してるんだなあ。若者ってすごいなあ。
本公演のヴィンセント役は足りなさが目立つんだけど、新公でここまでやれる子なんだもんなあ、実力はあるんだよな。
てゆーか、ふつーにこんだけうまいんだから、あとはこれから男ぶりを上げていくことだよな。
かなり背伸び感のあるヴィンセント役をやり続けることで、咲奈くんはいろいろ吸収中なのかもしれない。
ひとりっ子政策は反対、才能ある子だと思うからこそ、大切に育てて欲しいっす。