歌声満ちる、エトワール。@インフィニティ
2012年1月25日 タカラヅカ 初見では、とまどってしまう。
なんつーんだ、過去の自分の記憶と照らし合わせ、いちばん好きなモノだけを求めてしまうから。
『インフィニティ』に出演する「歌手」、ヒメの話。
わたしはヒメのパワフルで狂気や毒のある歌声が好き。
今のヒメはすげー歌手だと思っているが、昔はそれほどだとは思っていなかった。
路線のちょっと外側というか、一瞬それっぽい位置まではいっていた、かわいい女の子。
なにしろ最初に彼女を認識したのが『アンナ・カレーニナ』のキティお嬢様だ。初々しい美少女役。
かわいくて、そこそこなんでも出来る……それ以外の認識がなかった。
ヒメがなんで路線に乗れないんだろう、って考えたとき、「正面顔と横顔が違いすぎるからだよ」って誰かに言われて、ごめん、納得してしまったのも、遠い思い出。
てゆーかあれから、11年も経つのか。
ただの「かわいこちゃん」認定だったのに。
彼女への認識が変わったのが、2006年。
彼女が持つ、毒。
オギーが「使う」舞咲りんは、トリッキーな魅力を持つ舞台人だった。
秀でた歌唱力がある、とまでは思わない。うまい人だとは思うけど。
でも、そーゆーモノ以外の魅力を持つ歌声。
ヒメの歌には、耳障りな「悲鳴」のようなものがある。ひとを不安にさせるような「狂気」がある。
それが、魅力的だった。
オギーがタカラヅカから消え、ヒメの毒部分を引き出す演出家はいなくなった。
ヒメもまた、正統派の歌手としての実力を磨き、毒の部分はすっかり影を潜めた。
だけど無意識にまだ、「あのころのヒメ」を求めている。
「Vai de Amores」を歌うヒメを。
「声」をテーマにした少数精鋭バウ公演。
ヒロインポジだろうと思うあゆっちは、歌は得意ではナイ。
ならば学年的にも、実力的にも、裏ヒロインはヒメだろう!と、期待した。
で、裏ヒロインならば、いろんな歌を歌うだろう。
『H2$』で聴かせたようなソウルフルな歌声を、『ロック・オン!』で響かせたようなパワフルな歌声を。
もう何年も聴いていない、オギー作品でのような歌声だって、聴けるかも……?!
と、勝手に盛り上がっていたモノで。
正直、初日はがっくりきました。
期待したヒメぢゃない……。
てゆーかヒメの活躍場面、少なくないか? もっとがっつり歌わせてくれてもいいじゃんよー。
なんか、ヒメの使い方が、すごく「ふつー」だった。
ふつうの歌ウマ娘さん的な、使い方。
えー? ヒメはもっと、いろんなことができるのにー。
回数を観るうちに、納得したけれど。
不満に思ったのは勝手な思い込みゆえ。
こんなヒメ、あんなヒメ、と自分でイメージを固定していた。
『インフィニティ』は、個人のコンサートではナイ。
主演のまっつですら、出ずっぱりのワンマンショーはやってない。
他のみんながそれぞれ、学年やポジションに合わせて、等しく見せ場をもらう「タカラヅカ・レビュー」だった。
女の子の歌ではヒメがワンマンショー状態、ぐらいの勢いで期待していたので、思いの外彼女が歌わないことに、がっくりきたっつーだけ。
歌っても、なんかふつーの歌い方ばっかしだし。
なんか、物足りない……。と。
でもそれも、失礼な話だ。
わたしは「過去」のヒメに思いを馳せ、勝手にそれだけを期待していた。
それなら過去作品のDVD観てろよって話で、なんの生産性もナイ。
自分で「観たいモノ」を決め、そのイメージ通りではなかった、と肩を落としていたんだな。
なんて不毛なの。
『インフィニティ』は、そんなところにない。
舞咲りんは、そんなところにない。
『インフィニティ』はヒメだけでなく、下級生の歌ウマちゃんたちにも等しく見せ場があり、ヒメはとても素直な、正統派の歌声を響かせてくれていた。
ああ、そうか。
これが、『インフィニティ』なんだ。
ワンマンショーではなく、古式ゆかしい「タカラヅカ・レビュー」。
タカラヅカを愛するがゆえに出来上がった作品。
美しいモノを、ただ愛する作品。
そこでヒメは、あの爆弾キャラで場をぶっ壊すことなく、着実にいい仕事をしていた。
あゆっちと双子姉妹を演じるフランスや、マッツマハラジャ様の侍女など、はじけられるポイントはあったのに、やり過ぎることはなかった。
エトワールとして「青い星の上で」を歌いはじめたとき、彼女から清浄な空気が広がった。
その前のまっつ黒燕尾で、彼がただひとり歌う「限りなき世界」で、ボロボロに泣いているわたしに、ヒメのやさしい光が差し込んで、どれだけ、救われたか。
舞咲りんは、タカラジェンヌだ。
夢を織り、人を癒す、人を救う、タカラジェンヌなんだ。
そう、心から思った。
舞台外でのムードメーカーとしても、いい仕事してたよねー。
まっつのカミカミ挨拶へのツッコミや、千秋楽のまっつへの突撃っぷり。
口火を切るヒメがいてくれるからこそ。
ほんとに、いい娘役さんだ。
ヒメの独壇場たる場面や歌がなかった……ことに、作品コンセプトとして納得はしているけれど。
ただひとつ、不満があるのよ、いなばっち。
まっつとヒメの、ガチ歌バトルが、なかった。
バトらなくてもいい、その、デュエットでいいのよ。
ふたりで声を合わせ、競わせ、歌ウマ同士マジで融和する歌声を聴きたかった。
何故か歌声は全員、単体ばかりで、デュエットはろくになかったよねええ?
デュエットがあったのが、翔くんと夢華さんという、微妙な人選のみって。
いやその、ヒメと歌対決したら、まっつが吹き飛ばされて気まずいことになったかも、しれないけどさ(笑)。
ま、負けないよね、まっつ? どきどき。
なんつーんだ、過去の自分の記憶と照らし合わせ、いちばん好きなモノだけを求めてしまうから。
『インフィニティ』に出演する「歌手」、ヒメの話。
わたしはヒメのパワフルで狂気や毒のある歌声が好き。
今のヒメはすげー歌手だと思っているが、昔はそれほどだとは思っていなかった。
路線のちょっと外側というか、一瞬それっぽい位置まではいっていた、かわいい女の子。
なにしろ最初に彼女を認識したのが『アンナ・カレーニナ』のキティお嬢様だ。初々しい美少女役。
かわいくて、そこそこなんでも出来る……それ以外の認識がなかった。
ヒメがなんで路線に乗れないんだろう、って考えたとき、「正面顔と横顔が違いすぎるからだよ」って誰かに言われて、ごめん、納得してしまったのも、遠い思い出。
てゆーかあれから、11年も経つのか。
ただの「かわいこちゃん」認定だったのに。
彼女への認識が変わったのが、2006年。
彼女が持つ、毒。
オギーが「使う」舞咲りんは、トリッキーな魅力を持つ舞台人だった。
秀でた歌唱力がある、とまでは思わない。うまい人だとは思うけど。
でも、そーゆーモノ以外の魅力を持つ歌声。
ヒメの歌には、耳障りな「悲鳴」のようなものがある。ひとを不安にさせるような「狂気」がある。
それが、魅力的だった。
オギーがタカラヅカから消え、ヒメの毒部分を引き出す演出家はいなくなった。
ヒメもまた、正統派の歌手としての実力を磨き、毒の部分はすっかり影を潜めた。
だけど無意識にまだ、「あのころのヒメ」を求めている。
「Vai de Amores」を歌うヒメを。
「声」をテーマにした少数精鋭バウ公演。
ヒロインポジだろうと思うあゆっちは、歌は得意ではナイ。
ならば学年的にも、実力的にも、裏ヒロインはヒメだろう!と、期待した。
で、裏ヒロインならば、いろんな歌を歌うだろう。
『H2$』で聴かせたようなソウルフルな歌声を、『ロック・オン!』で響かせたようなパワフルな歌声を。
もう何年も聴いていない、オギー作品でのような歌声だって、聴けるかも……?!
と、勝手に盛り上がっていたモノで。
正直、初日はがっくりきました。
期待したヒメぢゃない……。
てゆーかヒメの活躍場面、少なくないか? もっとがっつり歌わせてくれてもいいじゃんよー。
なんか、ヒメの使い方が、すごく「ふつー」だった。
ふつうの歌ウマ娘さん的な、使い方。
えー? ヒメはもっと、いろんなことができるのにー。
回数を観るうちに、納得したけれど。
不満に思ったのは勝手な思い込みゆえ。
こんなヒメ、あんなヒメ、と自分でイメージを固定していた。
『インフィニティ』は、個人のコンサートではナイ。
主演のまっつですら、出ずっぱりのワンマンショーはやってない。
他のみんながそれぞれ、学年やポジションに合わせて、等しく見せ場をもらう「タカラヅカ・レビュー」だった。
女の子の歌ではヒメがワンマンショー状態、ぐらいの勢いで期待していたので、思いの外彼女が歌わないことに、がっくりきたっつーだけ。
歌っても、なんかふつーの歌い方ばっかしだし。
なんか、物足りない……。と。
でもそれも、失礼な話だ。
わたしは「過去」のヒメに思いを馳せ、勝手にそれだけを期待していた。
それなら過去作品のDVD観てろよって話で、なんの生産性もナイ。
自分で「観たいモノ」を決め、そのイメージ通りではなかった、と肩を落としていたんだな。
なんて不毛なの。
『インフィニティ』は、そんなところにない。
舞咲りんは、そんなところにない。
『インフィニティ』はヒメだけでなく、下級生の歌ウマちゃんたちにも等しく見せ場があり、ヒメはとても素直な、正統派の歌声を響かせてくれていた。
ああ、そうか。
これが、『インフィニティ』なんだ。
ワンマンショーではなく、古式ゆかしい「タカラヅカ・レビュー」。
タカラヅカを愛するがゆえに出来上がった作品。
美しいモノを、ただ愛する作品。
そこでヒメは、あの爆弾キャラで場をぶっ壊すことなく、着実にいい仕事をしていた。
あゆっちと双子姉妹を演じるフランスや、マッツマハラジャ様の侍女など、はじけられるポイントはあったのに、やり過ぎることはなかった。
エトワールとして「青い星の上で」を歌いはじめたとき、彼女から清浄な空気が広がった。
その前のまっつ黒燕尾で、彼がただひとり歌う「限りなき世界」で、ボロボロに泣いているわたしに、ヒメのやさしい光が差し込んで、どれだけ、救われたか。
舞咲りんは、タカラジェンヌだ。
夢を織り、人を癒す、人を救う、タカラジェンヌなんだ。
そう、心から思った。
舞台外でのムードメーカーとしても、いい仕事してたよねー。
まっつのカミカミ挨拶へのツッコミや、千秋楽のまっつへの突撃っぷり。
口火を切るヒメがいてくれるからこそ。
ほんとに、いい娘役さんだ。
ヒメの独壇場たる場面や歌がなかった……ことに、作品コンセプトとして納得はしているけれど。
ただひとつ、不満があるのよ、いなばっち。
まっつとヒメの、ガチ歌バトルが、なかった。
バトらなくてもいい、その、デュエットでいいのよ。
ふたりで声を合わせ、競わせ、歌ウマ同士マジで融和する歌声を聴きたかった。
何故か歌声は全員、単体ばかりで、デュエットはろくになかったよねええ?
デュエットがあったのが、翔くんと夢華さんという、微妙な人選のみって。
いやその、ヒメと歌対決したら、まっつが吹き飛ばされて気まずいことになったかも、しれないけどさ(笑)。
ま、負けないよね、まっつ? どきどき。