暗さと熱の距離感。@仮面のロマネスク
2012年2月1日 タカラヅカ 宙組中日劇場公演『仮面のロマネスク』初日観劇。
ゆーひさんハマり役。美しい、いやらしい(笑)。
すみかちゃんもさすがだ。この難しい役をよく息づかせてくれた。
それはともかく、改めて思った。
『仮面のロマネスク』って、プロットおもしろい。
こんだけ入り組んだ話を、テレビドラマとかで見てみたいなああ。連続ドラマでさー。
心理描写メインだから、表情がアップで見られる映像向きのプロットだよな。
……なんてことを考えたよ。今の恋愛ドラマって単純明快だもんなあ。
このジャンルは小説の得意分野だから、小説では別に読みたくない。原作が小説である、ということは置いておいて。あえて、映像とか演劇とか、アウェイなところで表現して欲しいな。
ドラマスキーでもあるので、ついそんなことを考えちゃったが、ヅカヲタとして思ったことは、本公演で観たかった、だ。
セットの豪華さや、ムラ東宝と2ヶ月かけて作品を深めていけること……加えて、宙組フルキャストで観てみたかった。
別箱公演のいいところではあるんだけど、どうしても人数が少ない分、未熟な人たちが目立ってしまう。
勢いで押す作品ならそれでもいいけど、この物語はもうちょい芸達者な人たちで観たいなあと。や、この公演の経験を得て、下級生たちはどんと成長するんだろうけど。下級生の成長を見守るのがヅカだから、別箱でこそ彼らが活躍しているのは正しいことだとわかっているんだけれど。
作品を好きだからってだけのタワゴトです、はい。
『仮面のロマネスク』は、柴田先生の最後のオリジナル作品、という認識。
良い作品をたくさん作ってきたクリエイターの、最後の佳作。
『黒い瞳』など佳作はその後にあるけれど、あれらは謝作品認識っすから。
柴田先生自身が演出した、最後の作品。
謝先生と袂を分かってからはさらに、劣化の一途をたどり、『霧のミラノ』他のひどい作品も書いちゃう。(で、悪いのは全部組んだ演出家、柴田先生は悪くない!ということになる。辟易)
『仮面ロマ』までだ……わたしの中の柴田先生……。
あ、原作があっても、そのまんま完璧コピーでない限りはオリジナル作品とカウントしてます、わたしは。原作表記はネタ元を明示しているだけのこと、独自の色で「宝塚歌劇」用にミュージカル化してキャストにアテ書きしている以上、オリジナルだ。
(太田作品の『アリスの招待状』『それでも船は行く』が原作表記なしでオリジナル作品とされて、小柳タンの『めぐり会いは再び』が原作アリ作品とされるくらい、境界線がいい加減だよヅカは)
ずいぶん時間が経っていたので、わたし自身意識することもなくなっていたんだが、開演してゆーひくんとののすみが主題歌とそれに至るやりとりを繰り広げるのを観て。
泣きスイッチ入りました。
……退団公演だったんじゃん!! 泣きながら通ったってばよ!!
当時のわたしは今ほど回数観るファンじゃなかったけど、ふつーに1公演7回くらいは観てたんだよね? カリさん時代からの雪組ファンで、いっちゃん時代を堪能し、ゆきちゃん時代に夢を馳せていた。なのにそのゆきちゃんが、たった2作で退団。
泣きながら通ってましたがな、『仮面のロマネスク』。
ヅカ初心者もエスコートして、張り切ってリピートしてた。
そんな思い出がだーっと押し寄せてきた。
が、いろいろと別物なので、初演と比べてどう!とかは、特に思わない。
これはコレ、あれはアレ。初演はいつだって思い出とともに美しくなっているもの。気にしていてもはじまらない。
まあその、「チガウ」ことに対し、ヴァルモンよりダンスニーより、ロベールに反応しまくった自分にびっくりだ(笑)。あたしロベール好きだったんだ……。
思い出の切なさはともかく。
「次はセシルだ」がないっ。
えええ。
『仮面のロマネスク』のいちばんの萌え台詞カットってどーゆーことおお?!
再演が発表になったとき「ゆーひさんの『次はセシルだ』が聞ける!!」ってワクテカしたのに?!
わかりにくいよ……。
あの台詞がないと、いろんなところがわかりにくくなる。
萌え云々の話だけぢゃないのにー。柴田せんせ、わかってないなー。
主人公が別物だと、初演に思い入れがあっても「別物」として割り切れる。
ヴァルモン@ゆーひさんは、わかりやすく別物だ。初演のタカネくんと。
タカネくんは抑えよーがどーしよーが、発散型の熱を持った人だった。エロも得意な人だったけど、ゆーひくんとは血の色からして違っている。
タカネくんの粘度と湿度の高いエロっぷりに狂喜乱舞して通ったクチだけど、ゆーひさんの低温かつ闇色の濃いエロっぷりもまた、たのしい。
いやあ、ヴァルモンってこんなに、内にこもるっちゅーか、暗い男だっけ……(笑)。
必要に応じて社交的な態度を取っているけど、ほんとは孤独を愛する暗い人だよね、ゆーひヴァルモン。ナニかことあるたびに、自分の内側へ内側へ発酵するタイプだよね?
だからこそ、あの人間味のあるメルトゥイユ夫人@ののすみに惚れたんだよね?
また、どこか自分に似たニオイのするトゥールベル夫人@えりちゃんに惹かれたんだよね?
ヴァルモンとしての「アクション」部分と、台詞や動きにはない、「表情」部分の乖離っぷりがイイ。
その行動、その台詞で、何故その表情。何故その目つき。
……それが、ヴァルモンをさらにミステリアスに、魅力的にしている。
ヴァルモンってややこしい男だし。ゆーひさんのカラーによって、さらに謎めいていて萌える。
メルトゥイユ夫人のすみ花ちゃんはもお、「うまい」なと。
そんなの今にはじまったことじゃないけど。
メルトゥイユ夫人にこんだけ泣かされるとは思ってなかった。
『仮面のロマネスク』という話も、メルトゥイユ夫人の性格もわかって観ているわけですよ。だから最初からネタバレ上等っていうか、彼女の孤独な闘いがわかっているわけですよ。
その上で、あの冷たい悪女っぷりを、そこかしこに現れる心の揺らぎや焦りを見せられると、すげー切ない。
ラストの独白なんかもお、彼女と一緒に大泣きですよ。や、メルトゥイユ夫人は泣いてないけど、彼女の心の声に同調して。
ののすみが泣くと世界が泣くんだもん。
トゥールベル夫人は、実に好みだ。
えりちゃんの役の中で過去最高に、演じているえりちゃんが好みだ(笑)。あの泣きそうな顔がたまらん。
観ながら、トゥールベル夫人がうらやましくてならなかった。もしもこの作品中の誰かに代われるなら、トゥールベル夫人がいい。で、ゆーひさんに口説かれて「だめよだめよ」って言いたい。逃げて、追われたい(笑)。
すっしーに姫抱っこもしてもらいたい。←
トゥールベル夫人の持つ「暗さ」が、ヴァルモンと同色なのがいい。このふたりは両思いにならない方がいい、絶対ろくなことにならない、と思わせるとこが。
ほんとに楽しかった、新しい『仮面のロマネスク』。
ゆーひさんハマり役。美しい、いやらしい(笑)。
すみかちゃんもさすがだ。この難しい役をよく息づかせてくれた。
それはともかく、改めて思った。
『仮面のロマネスク』って、プロットおもしろい。
こんだけ入り組んだ話を、テレビドラマとかで見てみたいなああ。連続ドラマでさー。
心理描写メインだから、表情がアップで見られる映像向きのプロットだよな。
……なんてことを考えたよ。今の恋愛ドラマって単純明快だもんなあ。
このジャンルは小説の得意分野だから、小説では別に読みたくない。原作が小説である、ということは置いておいて。あえて、映像とか演劇とか、アウェイなところで表現して欲しいな。
ドラマスキーでもあるので、ついそんなことを考えちゃったが、ヅカヲタとして思ったことは、本公演で観たかった、だ。
セットの豪華さや、ムラ東宝と2ヶ月かけて作品を深めていけること……加えて、宙組フルキャストで観てみたかった。
別箱公演のいいところではあるんだけど、どうしても人数が少ない分、未熟な人たちが目立ってしまう。
勢いで押す作品ならそれでもいいけど、この物語はもうちょい芸達者な人たちで観たいなあと。や、この公演の経験を得て、下級生たちはどんと成長するんだろうけど。下級生の成長を見守るのがヅカだから、別箱でこそ彼らが活躍しているのは正しいことだとわかっているんだけれど。
作品を好きだからってだけのタワゴトです、はい。
『仮面のロマネスク』は、柴田先生の最後のオリジナル作品、という認識。
良い作品をたくさん作ってきたクリエイターの、最後の佳作。
『黒い瞳』など佳作はその後にあるけれど、あれらは謝作品認識っすから。
柴田先生自身が演出した、最後の作品。
謝先生と袂を分かってからはさらに、劣化の一途をたどり、『霧のミラノ』他のひどい作品も書いちゃう。(で、悪いのは全部組んだ演出家、柴田先生は悪くない!ということになる。辟易)
『仮面ロマ』までだ……わたしの中の柴田先生……。
あ、原作があっても、そのまんま完璧コピーでない限りはオリジナル作品とカウントしてます、わたしは。原作表記はネタ元を明示しているだけのこと、独自の色で「宝塚歌劇」用にミュージカル化してキャストにアテ書きしている以上、オリジナルだ。
(太田作品の『アリスの招待状』『それでも船は行く』が原作表記なしでオリジナル作品とされて、小柳タンの『めぐり会いは再び』が原作アリ作品とされるくらい、境界線がいい加減だよヅカは)
ずいぶん時間が経っていたので、わたし自身意識することもなくなっていたんだが、開演してゆーひくんとののすみが主題歌とそれに至るやりとりを繰り広げるのを観て。
泣きスイッチ入りました。
……退団公演だったんじゃん!! 泣きながら通ったってばよ!!
当時のわたしは今ほど回数観るファンじゃなかったけど、ふつーに1公演7回くらいは観てたんだよね? カリさん時代からの雪組ファンで、いっちゃん時代を堪能し、ゆきちゃん時代に夢を馳せていた。なのにそのゆきちゃんが、たった2作で退団。
泣きながら通ってましたがな、『仮面のロマネスク』。
ヅカ初心者もエスコートして、張り切ってリピートしてた。
そんな思い出がだーっと押し寄せてきた。
が、いろいろと別物なので、初演と比べてどう!とかは、特に思わない。
これはコレ、あれはアレ。初演はいつだって思い出とともに美しくなっているもの。気にしていてもはじまらない。
まあその、「チガウ」ことに対し、ヴァルモンよりダンスニーより、ロベールに反応しまくった自分にびっくりだ(笑)。あたしロベール好きだったんだ……。
思い出の切なさはともかく。
「次はセシルだ」がないっ。
えええ。
『仮面のロマネスク』のいちばんの萌え台詞カットってどーゆーことおお?!
再演が発表になったとき「ゆーひさんの『次はセシルだ』が聞ける!!」ってワクテカしたのに?!
わかりにくいよ……。
あの台詞がないと、いろんなところがわかりにくくなる。
萌え云々の話だけぢゃないのにー。柴田せんせ、わかってないなー。
主人公が別物だと、初演に思い入れがあっても「別物」として割り切れる。
ヴァルモン@ゆーひさんは、わかりやすく別物だ。初演のタカネくんと。
タカネくんは抑えよーがどーしよーが、発散型の熱を持った人だった。エロも得意な人だったけど、ゆーひくんとは血の色からして違っている。
タカネくんの粘度と湿度の高いエロっぷりに狂喜乱舞して通ったクチだけど、ゆーひさんの低温かつ闇色の濃いエロっぷりもまた、たのしい。
いやあ、ヴァルモンってこんなに、内にこもるっちゅーか、暗い男だっけ……(笑)。
必要に応じて社交的な態度を取っているけど、ほんとは孤独を愛する暗い人だよね、ゆーひヴァルモン。ナニかことあるたびに、自分の内側へ内側へ発酵するタイプだよね?
だからこそ、あの人間味のあるメルトゥイユ夫人@ののすみに惚れたんだよね?
また、どこか自分に似たニオイのするトゥールベル夫人@えりちゃんに惹かれたんだよね?
ヴァルモンとしての「アクション」部分と、台詞や動きにはない、「表情」部分の乖離っぷりがイイ。
その行動、その台詞で、何故その表情。何故その目つき。
……それが、ヴァルモンをさらにミステリアスに、魅力的にしている。
ヴァルモンってややこしい男だし。ゆーひさんのカラーによって、さらに謎めいていて萌える。
メルトゥイユ夫人のすみ花ちゃんはもお、「うまい」なと。
そんなの今にはじまったことじゃないけど。
メルトゥイユ夫人にこんだけ泣かされるとは思ってなかった。
『仮面のロマネスク』という話も、メルトゥイユ夫人の性格もわかって観ているわけですよ。だから最初からネタバレ上等っていうか、彼女の孤独な闘いがわかっているわけですよ。
その上で、あの冷たい悪女っぷりを、そこかしこに現れる心の揺らぎや焦りを見せられると、すげー切ない。
ラストの独白なんかもお、彼女と一緒に大泣きですよ。や、メルトゥイユ夫人は泣いてないけど、彼女の心の声に同調して。
ののすみが泣くと世界が泣くんだもん。
トゥールベル夫人は、実に好みだ。
えりちゃんの役の中で過去最高に、演じているえりちゃんが好みだ(笑)。あの泣きそうな顔がたまらん。
観ながら、トゥールベル夫人がうらやましくてならなかった。もしもこの作品中の誰かに代われるなら、トゥールベル夫人がいい。で、ゆーひさんに口説かれて「だめよだめよ」って言いたい。逃げて、追われたい(笑)。
すっしーに姫抱っこもしてもらいたい。←
トゥールベル夫人の持つ「暗さ」が、ヴァルモンと同色なのがいい。このふたりは両思いにならない方がいい、絶対ろくなことにならない、と思わせるとこが。
ほんとに楽しかった、新しい『仮面のロマネスク』。