公式発表以来、いろーんな人から聞かれる。

「韓国公演、行くんですか?」

 星担だもんなー。そりゃ聞かれるよなー。
 わたしも、星担仲間には聞くし。

 わたしは、行きません。

 今までも、海外公演の追っかけはしたことないや。

 だって、お金ないもん。

 観劇だけ目的の「移動」に国境越える余裕はない……みんなびんぼーが悪いんや……。
 まあ今回は場所がお隣の国なので、それほど移動料金は高くつかないだろーけど、同じ出し物を国内で、自宅から電車で10分のところで観られるのだから、無理をしてまで行かなくていいや。

 そーさ、わたしには梅芸がある!!
 梅田で気軽にタカラヅカ! 県境越えてあの山際の宝塚ムラまで行かなくても、大阪平野の大都会で観劇できるのだから!
 さらに遠い、海の向こうなんて、行く必要ないさ! 梅田でやってる公演と、内容同じなんだし!!

 …………えっ。
 同じ、じゃないんですか?

 公式発表からわずか数時間後に、出演者がさらに発表された。

 トウコちゃん、出るのぉおおっ?!

 韓国公演をすっぱりあきらめられる理由のひとつは、トウコだったのに。「トウコちゃんもいないことだし」って思ってたのに。

 トウコ、『シバ魂』だけ出るんや……オーキッドだよね? あのすばらしー歌声、聴けちゃうんだね? オーキッドの歌う「ジェラシー」は鳥肌もんなんですが。
 うわああああ、トウコぉおお。

 い、いいもん。
 わたしには梅芸があるから。
 トウコちゃんいないけど、そのぶん他の子たち見て堪能するもん。

 海外まで追っかける余裕は、わたしにはないもん。みんなみんな、びんぼーが悪いんや〜〜(←ナマケモノの言い訳)。

 
 つーことでサトリちゃん、わたしの分まで韓国公演たのしんできてねっ。ぜひぜひソウルに乗り込んでくれたまえい!
 報告たのしみにしてます、ピュア・ファン・パワー!
 そんでもって、わたしの分もプログラム買ってきてぇ。ハングルで書かれたプログラムが見てみたい。カケラも読めないけど(笑)、きれーだよね、ハングル文字って。

 
 にしても、今日の梅芸星組公演発売、わたしは玉砕しました(笑)。
 持っているチケットより、少しでもイイ席を! と思ってチャレンジしたが、ぜんぜんダメだった……おとなしく、後ろの隅っこで観劇しますです、はい。
 
 ツアー初日、誰よりも早くすずみんオスカルを見るぞぉー!
 ……って、配役まだ知らないんだけどさっ。すずみんだよね?


 雪組新人公演『霧のミラノ』の話、その2。

 とてもまっとーに新人公演でした。
 演出も変わったところはなく、キャラもほぼ本公と同じ。
 演出は小柳せんせ。この人のときは、いつもこんな感じだよね。つか、これがふつう?

 ちがいがあるとすれば、おのおのの役者の個性。

 ジャンバティスタは、何故にああまで健康的ですか。

 てゆーか、ヘタレだよな……アレはな……。

 存在意義に欠ける役、ジャンB。
 もともとなんでいるのかよくわかんねー役で、出てくるたびストーリーを停止させ、ひたすら女といちゃつくだけ。
 どーしたもんですかこりゃ、という役だっただけに。

 ジャンBから色気を取ったら、なにも残りませんよ?!

 本役水くんは、その色気で存在意義を証明していた。彼ひとりエロっちくて浮き上がっていて、作品的に余計変だったんだが、とりあえず「あー、お色気担当なのね、ジャンB」と思うことができた。
 しかし新公のらぎくんには、色気がない。致命的に、ない。
 ストーリーに不要なキャラに、他と差別化するナニかがないとなると……ますます存在意義がなくなる。

 がんばれ、らぎくん。
 色気はないが、誠実でどんくさそーで、かわいい男の子だったよ。役を離れた意味では、好きだぞ、こんな子(笑)。技術的にも相当苦しいモノが目についたが、ルックスは素敵なんだからさ。
 きれいでヘタレ……好きだけど(笑)。がんばれー。

 
 そのらぎくんジャンBのお相手、エンマ@リサちゃん。
 きれーやなー……。溜息。
 華麗に美少女。
 アニメチックに美少女。
 いいなあ、きれいってだけでどきどきするわー。
 ただ、カジノを経営するマダムには、カケラも見えない。どこのお嬢様ですか(笑)。
 らぎくんとのデートシーンなんかは、初々しい10代のカップルにしか見えません。

 
 新聞記者@くらまくんは、いい味出してた。意欲的なのがいいね。本役のすべりっぷり(彼はそこがかわいいんだが・笑)を見ると、難しい役なんだと思うが、それでもさらに、「すべったらなお恥ずかしい」路線をあえて選んだ役作りを評価(笑)。
 これでもっと、場を自由に操れるよーになったら、彼の財産になるだろうな。

 
 クリスチャン@せしる、わたし的になかなかツボった。
 この役は独りコントがあるとゆー、変な役。正直わたしはあんなコント、イラネと思ってるし、せしるくんのコントはとくに笑えるほどでもなく、どっちかっつーと痛々しさの方が目についたんだが。
 それとはべつに、ツボに入ったのは。

 クリスチャン、小物っ!! ということ。

 ぎゃーぎゃー青筋立ててがなりたててる様がもー、「人間できてません」「お勉強はできるけど、それだけです」的な、無能人間風で、とても素敵だったの。
 姿と血統だけが取り柄の小型犬が、必死にきゃんきゃん吠えたてている感じ。軍服の着こなしもイマイチで、「借りてきました」的なとこがさらにポイントUP。
 わたし、小物とかヘタレとか大好きだから(笑)。

 
 結局のところ、新公のなかでいちばん好きだったのは、ピエトロ@そらくんかもしれない。

 だってなんか、めちゃうさんくさいじゃん?(笑)

 彼はなんで、さりげなくもくどいんですかね?
 嘘くさいっていうか。
 やっぱアレか? 顔があまりに派手こく美形だからイロモノっぽく見えるのかな?

 きれいなのになあ。
 顔だけなら、ものすげー美貌なのに。

 なのになんで、どっかお笑いの風が吹いてるんだろう……。顔ガ大キイカラデショウカ……。

 相手役のミランダ@大月さゆちゃんが安定したうまさとかわいさで、なんかほっこりするカップルぶりだったのもうれしい。
 ラストの改心ぶりが、えっ、こんなに正当派においしい役だったんだ? と思わせてくれたよ。

 
 それにしても、雪組男役は美形揃いだねえ。

 どこを見てもきれいで、たのしいわー。

 谷みずせ、不思議と高温だった? 本公ではいるのかいないのかわかんないよーな存在感(笑)なのに。あれは役作りなのか? 熱を出そうと思えば出せるのか。

 ちとせくんはやっぱ、高温だー。
 出番一瞬のベッポ役、微妙にやりすぎてる気がする(笑)。
 それよりもふつーに市民役やってるときの、活き活きした感じが好きかも。あーでもやっぱ、あの温度は保ってほしー。

 
 幕が下りるなり後ろの席の本役さんたちは立ち上がり、まだ客電が点く前に退場していく。
 最近はカーテンコールが「お約束」なので、客電点くの遅いんだわ。今年になってカーテンコールがなかったのって、宙組の『ステラマリス』のみだよなー。
 そしてとーぜん、今回の雪組もカーテンコールがあり、再び幕が開いた。
 本役さんたちの半分は、もう客席の外に出ている。
 整列して歩いていた彼らは、幕が開くなり舞台の方に視線を戻し、「わーーーー!!」と歓声を上げる。

 振り返ったわたしの目に飛び込んできたのは、ノリノリの水しぇんの姿だった。
 さっきまで、能面のよーに歩いてたのに、幕が上がるなり、ピエロみたいな口を大きく開けて、満面の笑顔。
 わー、ノリノリ笑顔の水くん。いいもん見たー(笑)。

 
 舞台では、まだまだ泣きっぱなしのかなめくんが、またしてもかわいー挨拶をしていた。
 本挨拶で「明日からの本公演でも」って言っちゃったのね。それを、「明後日からの、のまちがいです」と言い直してるの。べそべそ泣きながら。
 かっ、かわいー。
 おばさん、ハート射抜かれちゃったよ。きゅんとしたってばよ(笑)。
 あんなにクールな美貌で、そのかわいさは反則だろう!!

 
 終演後、かなめくんの初主演を見るために初有給取って、高額チケット購入してまでやってきたもずえさんが、つぶやいていた。

「あたし、『かなめのかき氷屋さん』、浴衣着て行ってるかもしれません……」

 ショッピングモール『ソリオ』のイメージキャラクター・凰稀かなめ。舞台ではエロっちい美男子だが、素顔はスタイル抜群のきれーなおねーさん。
 “凰稀かなめがゆかた姿でかき氷屋さんに扮し、子供達(先着50名)にかき氷を振舞います。また、後半はゆかた姿のご来場者の方を限定に「ゆかた撮影会」を行います。”という、ものすげーイベント。
 なにがものすごいって、「男役」なのに、「女性タレント」として扱われていることよ。
 しかもタイトルが、『かなめのかき氷屋さん』って……すごいよ……。

 ここまでかなめくんにクラクラなら、行っちゃうべきだよ、もずえさん! もちろん浴衣着てさ! ああ、わたしも見たいなー、行きたいなー。

 浴衣持ってないし(最近はサイズあるのかな? わたしの若いころは、身長のせいで安い既製品がなくて買えなかったよ)、その日はチェリさんと別のとこでデートだから無理だけど(笑)。
 ぜひ行って、ブログで報告してください!(と、発破をかける・笑)


 振り返るとソコに、まちかめぐる。
 新人公演のおたのしみ、本役さんたちが客席に。

 この間の星組公演のときは、わたしの席の後ろがトウコちゃんで、
「緊張してるってか。キンチョーの夏、日本の夏。ぎゃはは」
 とゆー、オヤジギャグを耳にし、目眩がしたりもした、たのしい客席。トウコちゃんあなた、その美しい姿で何故にそんなにおやぢなの……(笑)。

 ななめ後ろの席のコム姫をうっとり眺めたあと、「あんまり後ろを見ては失礼だから、あと一度だけ、ちょっとだけ振り返ろう」と思ってこっそり振り返った、開演前。

 わたしの目は、まちかさんをしっかりロックオンしてました。

 あー、まちかだー。隣はまーちゃんだー、かわいー。

 そこではっと我に返る。
 ちょっと待てっ、水くんどこよ水くん! ナマ水見なきゃだめでしょわたし!

 ……意識して探しましたよ、水しぇん。
 探さなくても目に入るまちかとのちがいは、いったいナニ?

 
 なにはともあれ、新人公演『霧のミラノ』

 大型新人凰稀かなめ、満を持しての新公主役!

 最近の新公、そしてバウ。
 成長著しい若く美しい男役。
 ついに彼が真ん中に立つ日が来た。

 わくわくしながら、幕が開くのを待った。

 
 …………あ、あれ?

 
 正直ちょっと、とまどった。

 過去1年の新公『スサノオ』『青い鳥を捜して』と、かなめくんは十分及第点を出していた。学年や実年齢を考えたら拍手モノの結果だったと思う。
 なによりすばらしいと思うのは、彼の「オリジナリティ」だった。
 本役のコピーではなく、自分なりの「役」を作ろうとする意志が見えること。

 たとえ技術が本役に劣っていようと、世界でたったひとりの「自分」で挑戦するさまを見るのがたのしかった。

 ところが、どーしたこったい。

 コムちゃんの、まんまコピーかよ。

 見事にコピーしていた。
 それはすごい。
 台詞回しや、ちょっとした声や笑い声なんかも、そのまんま。
 浮かべる表情まで同じ。

 そーか、ひとというのは、他人のことをここまで真似られるんだなー……と、感心してしまった。

 でもさあ、かなめくん。
 君とコムちゃん、別人だから。
 持ち味自体チガウから。
 コピーしても、技術が足りてない分、見事にただの劣化コピーになってたよ……がっくり。

 ロレンツォって役はそもそも、低温な人に向いたキャラじゃない。
 それでもコムちゃんはそのスター性でなんとかモノにしているけれど、それはコムちゃんだからだ。
 もともとロレンツォ役に向いていないコムちゃんの芸風を、そのままコピーしても、意味ないから!

 いやー、いっぱいいっぱいだったねええ。
 あんなにいっぱいいっぱいなかなめくん、新鮮だわねえ。いや、普段の彼がどんな子かは知らないけど、それほどあくせく空回ってるイメージないもんだからさ。
 今回の空回りと自爆っぷりは、意外だった。

 それでも物語が進むに連れて、コムちゃんコピーではあるけれど、その奥にかなめくん自身の「若さ」が透けてくる。

 ロレンツォは年齢設定無視の「若い」役だから。
 お花畑で「好きだーーっ!!(絶叫)」だから。

 コム姫より、さむくなかった。
 ラヴシーンが(笑)。

 しかし、さむい、こそばゆいことが「味」な作品だから、ソレがないと物足りない気もする(笑)。

 いろんな意味で「あちゃー」な新公初主役ぶりだったけど。

 その美しさで、すべてゆるせる(笑)。

 これだけ立ってるだけで美しくて、あちこち課題だらけ、最後の挨拶マジに泣いちゃって喋れません、みたいな子、応援し甲斐あるだろ。

 この子の成長を見守りたい。と、素直に思った。
 美しさだけでなく、いじらしさも感じるのだわ。
 そしてなにより、将来性を。

 なんでもあったりまえにできちゃう子より、はらはらする分、絶対目が離せないって!(笑)

 
 かなめくんのダメっぷりを、見事に支え、作品の質を上げまくっていたのが、フランチェスカ@かおりちゃん。
 マジ、うまい。
 可憐でいて強さも必要、下手すりゃ女がいちばん嫌うタイプのブリッコ女フランチェスカを、かわいらしくも華やかに演じていた。
 ほっとするわ、この子の存在。リアルに息づいてる女の子。華奢すぎない(笑)のも、たしかな存在感としてアリだと思う。

 
 さて、ある意味主役よりも注目していた、カールハインツ@オヅキ。

 緒月遠麻、ただいま美形修行中。

 がんばれオヅキ。ファイトだオヅキ。GO!GO!オヅキ。

 オヅキったら、オヅキったら、かっしーと同じ髪型でした! きゃー!!

 タカラヅカを代表する美形のかっしーですら微妙な、30年前の少女マンガみたいな髪型に、あのオヅキも果敢に挑戦してましたー!
 すごいわオヅキ、チャレンジャーだわ。

 それにオヅキもまた、必死にかしげのコピーをしているの!
 表情とかね、かっしーのカールハインツまんまなのー。

 いかにも「美形様」って感じに微笑んだりするのー!!

 すごーい、かしげがやるからこそ「仕方ねーか、ほんとに美形だもんな」ってゆー表情なのに、それをそのままオヅキがやるのよー。
 もー、どーしよーかと思った〜〜。

 うん、はじめのうちだけね。

 かっしーのコピーだったのは、最初のウチだけ。どんどんかしげを離れ、「オヅキ」になっていった。
 よ、よかった。最初はもー、どーなることかと(笑)。

 オヅキはよくも悪くも「薄くはならない」人なので、骨太なカールハインツになっていた。
 美形揃い、線の細いかわいこちゃん揃いのオーストリー軍のなか、ひとり男らしい系軍人で、異彩を放っていていいんじゃないかと。
 笑いも取ってたけど、それを含めて「武骨な人」「スマートに軍人できない人」なのはアリだと思う。

 そしてなにより、ロレンツォに本役よりも温度がある分、カールハインツとの「男の友情」シーンに説得力があった。
 そーなんだよ、男ふたりに温度とくどさがないと、つまんないんだよ、このシーン。

 
 主演の3人が華やかで、納得のいく「真ん中」ぶりだった。
 これからも、彼らの芝居を見てみたいよ。

 それにしても、観客に配布される「新公プログラム」。
 裏はいつもどーってことない広告が載っているだけなんだが。

 今回は、ソリオの広告でした。
 ソリオ。
 はじめてだよな、新公に広告打つの。

 フルカラーで婉然と微笑みかける凰稀かなめ!!
 キャッチコピーは「かなめはソリオでお買い物」だ!

 すげえ。

 表紙もかなめくん、裏もかなめくん。
 なんかすごい豪華。
 得した気分。

 このプログラム、大事にしよう!(笑)


 ところで、カールハインツの話。
 『霧のミラノ』のラストについて、あえて触れないままきたけど、そろそろネタバレしていいかな。

 カールハインツ@かしげってキャラ、失敗してるよねえ?

 なにを考えているのか、さーっぱりわからない。
 薄い。薄すぎるっ。

 ロレンツォ@コムの二面性が明暗はっきりと書き分けられていないだけに、カールハインツが彼に一目置くのがわからないんだよねえ。
 「男の友情」をやりたいのなら、もっときちんとふたりの関係を描くべきだよ。
 脚本も演出も足りていないし、その足りていない脚本を埋めるには、かしげも足りていない。
 総じて、薄い。

 カールハインツが好きだったのは、フランチェスカか? チガウだろ? ロレンツォだよな。

 いちばん好きなのは誰か。それをはっきりさせるだけで、ぜんぜんチガウと思う。

 フランチェスカか、ロレンツォか、ひとりにしぼって描くべきだった。
 フランチェスカだというなら、もっと恋愛色を押しだし、あくまでも彼女を通してロレンツォに興味を持つよーに描かなければ。
「カールはそんな安い恋愛はしないのよ! フランチェスカを愛していたって、表に出したりしないんだもの!」
 という設定ならば、そもそもそんな男を準主役に2500人収容の大衆劇場で上演する作品を書くことがまちがっている。
 女への個人的感情で、その女の恋人を注目してたらそいつがレジスタンスだった、という「安い」流れにするしかないさ。

 安くしたくないならやはり、ストイックに「男の友情」パターンを選ぶべきだろう。
 すなわち、カールハインツが好きだったのは、あくまでもロレンツォただひとり。フランチェスカはおまけ。
 フランチェスカに好意はあった。美人だからだ。それは男としての本能で、それ以上じゃない。カールハインツは美人の令嬢をたのしそーにバールに連れ回していたりするから、ふつーに美人が好きなんだろー。
 ロレンツォへの好意とは別。
 フランチェスカに対してどうこう、てのは、ロレンツォの女だってことだけで十分。

 カールハインツが好きだったのは、ロレンツォだよな?

 職場にロレンツォが訪ねてきたとき、カールハインツは単純にロレンツォと会えたことをよろこんでいる。ロレンツォが自分に会いに来てくれたことを、うれしいと表現している。
 ロレンツォはフランチェスカの家の件で話をしに来ただけなのに、カールハインツはそれに思い至らない。説明されてはじめて、「ああ、あの話」と理解する。
 仕事以外になんで、お前に会いにくるんだよ、カンチガイしてんぢゃねーよ。という、観客のツッコミを待っているかのよーな、とぼけっぷり。

 ロレンツォはとくに「すばらしい」部分も「したたか」な部分も見せていないんだが、カールハインツはひとりで勝手に盛り上がる。「ロレンツォに会えてよかった!!」と銀橋で歌っちゃったりする。
 カールハインツはそうやって「ロレンツォってなんかイイかも! 好きかも!」とやっているが、当のロレンツォの温度は低い。
 ロレンツォがカールハインツに一目置くという、エピソードはおろか台詞すらないんだ。彼はカールなんて、まったく眼中にない。
 なんでロレンツォに、カールと対をなす意味の銀橋歌がなかったんだろう……「男の友情」モノならば、必要だろうに。
 ロレンツォが色ボケしてるぶん余計に、カールハインツの独り相撲がかなしい。
 夢見て盛り上がってんぢゃねーよ。という、観客のツッコミを待っているかのよーな、浮かれっぷり。

 ひとりで勝手に盛り上がって、ひとりで勝手に友情を感じているカールハインツ・ベルガー少佐。
 レジスタンスとして逮捕されたロレンツォを相手に、ひとりで「君とは酒でも飲みたかった」てなことを言い出す。
 ロレンツォはそもそも全編通して温度が低いし、彼の方はカールハインツを他の脇役との区別もしていなかったので、一方的に友だち扱いされてとまどっているよーにしか見えない。
 挨拶しかしたことのなかったクラスメイトに「俺たち親友だよなっ」と言われて、びっくり顔のままつい「う、うん」とうなずいてしまった中学生みたいだ。

 せっかくの「男の友情」シーンなのに、ロレンツォとカールハインツの掛け合い歌がものすごーく唐突……。

 カールハインツの描き方が、まちがってるんだ。

 カールハインツは敵であるロレンツォの器を認め、好意と尊敬ゆえに彼の命を助ける。
 彼は、優秀な軍人である以上に、貴族として人間として誇りと公正さのある高潔な人物。
 だからこそ、彼が「個人的に行ったこと」に対しての責任を、ラストシーンで「個人的に決着をつける」ことになる。

 というキャラ設定と物語の流れを描くためには、今のままじゃぜんぜんダメだろ。

 カールハインツが好きなのは、ロレンツォ。他は一切見ない。短い時間と限られた出番では、他を描いている余裕はないからな。
 そしてロレンツォもまた、カールハインツに一目置き、なにかと彼を特別視する。「あの男は危険だ」と台詞にして歌にして意思表明する。アマポーラの歌1回削って、そっちの歌を歌わせろよ。

 そーやって、ふたりのの関係を印象的にすることではじめて、それまで何度会っても「伯爵」「少佐」としか呼び合わなかったふたりが(なんかこーゆー書き方すると別のマンガみたいやな……)、ラストのアマポーラの丘で「ロレンツォ」「カールハインツ」と名前で呼び合う、という演出が生きるんじゃん。
 あー、できればこの名前を呼ぶのも、ナマ声にしてくれよ。なんで録音なの。突然テレパシーで会話されても、観客引くから!
 ちゃんと花畑にカールハインツ自身が姿を表し、台詞で責任と覚悟を言ったうえで、ロレンツォを射殺する。
 でないと、フランチェスカの立場がない。
 男たちふたりはいきなりテレパシーで会話して、名前呼び合って、「これでいい」「こうするしかない」とか言って納得してるらしいが、ソレ、フランチェスカ聞こえてないから! ヒロイン置き去りのラストシーンはあんまりだから!

 カールハインツがなにを考えているのかわからないのは、描き方を失敗しているせい。
 ただでさえロレンツォは温度が低いのだから、そーゆー人に片想いさせるには、あらゆる意味で足りていない。

 
 てゆーか。

 そもそもこのキャラクタと作品、コム姫と雪組に合っていないってのがいちばんの問題なのかもしれないけど。

 ロレンツォに「温度」があれば、すべて片が付く、というか、欠点が目立たなくなる問題かもしれん……。

 らしくないキャラを演じているコムちゃんはかわいいし、ラヴシーンはこそばゆさが味な気もしているし、かっしーきれいだし、それはそれでいいんだろうけど。
 あくまでも、「作品」として見た場合。

 やっぱ、きついよな、『霧のミラノ』。


 人生を謳歌しに。
 

 脚本、演出、出演者、どれも等しく「足りていない」この作品『霧のミラノ』
 主人公のロレンツォ@コム姫が、オーストリアによるミラノ支配の被害者のひとりフランチェスカ@まーちゃんと出会って恋に落ちたり、オーストリア軍将校カールハインツ@かしげと出会ったり、表のカオと裏のカオを使い分けてレジスタンスやったりしている間に。

 ジャンB@水くん、なにしてた?

 バールで酒飲んでた。
 カジノで踊ってた。
 昔の女口説いてた。
 劇場でデートしてた。
 祭りでコスプレして踊ってた。
 キスしてた。
 腰に手を回してた。
 いちゃついてた。
 とにかく、たのしそーに遊んでいた。

 ……なにをしに来たんだ、ジャンB。

 人生を謳歌しに。


 ジャンBが出てくると、ストーリーが止まる。
 だってこの男、なにもしてないんだもんよ。出てきてただ踊って、女といちゃついてるだけなんだもん。
 ラストでよーやくストーリーにからむんだが、この男がレジスタンスに入る理由がまたすごい。「カノジョがやってるから、ボクもやろうっと」
 エンマ@いづるんがやってなかったら、やってないんかい。最後まで、踊るためだけに来たんかい。
 レジスタンス活動について、ロレンツォと「話した」と言うが、そのシーンはナシ。ジャンBが「主役と物語にとって重要」ならば、彼の生き方が変わるきっかけとなった「話し合い」を描くはずだ。しかしソレはナシで、女と話してるシーンだけで終わり。

 ひでえよ。

 ここまで本筋と無関係なら、いっそロレンツォとも赤の他人にすればよかったのに。市井のお気楽にーちゃん、つーことにして、最後に偶然ロレンツォを助け、「まったく別の物語が、ラストでリンクするのね」ってことにすりゃ、まだ格好ついたのに。
 もしくは、ロレンツォの真のカオを知らない友人、にすればよかったのに。ロレンツォがレジスタンスの勇士だなんて知りもしない、お貴族ぼんぼんだと信じてるのーてんきな友だち。一緒に行動して、ロレンツォのボケっぶりを指摘し、「ほんとにお前はぼーっとしてるから」とか言わせておけば、ロレンツォの「二面性」が際立つじゃん。クライマックスで真実を知り、自分も活動に加わり、ロレンツォを助ける。……これなら、存在意義もあるし、物語にも深みが出るじゃん。

 壊れている、と声高に言うほどぶっ壊れているわけではないが、あちこち失敗しているこの『霧のミラノ』。

 いちばんの大失敗がジャンBの存在、てのはなんですか。

 その次に失敗してるのがカールハインツの描き方だったりするから、やりきれないよな……主要人物ふたりも失敗かよ……。

 そしてその失敗キャラを演じている、水とかしげのファンであるわたしは、せつないことですよ。

 わたしは柴田脚本に幻想を持っていない人間なので、「柴田脚本はすばらしい」「なのに、つまらなく感じるとしたら、演出をした奴が無能だからだ」とは思わない。
 脚本、足りてないから。ぜんぜん。脚本から書き直してくれ、としみじみ思う。ここ数年の柴田作品の質の低下は周知のこと。演出のせいだけじゃないさ。マジ、脚本がやばい。
 もちろん、今回に関しては演出もひでーがな。

 ジャンBが無意味に、かつ盛大に自爆している横で。
 主役カップルが、これまたこそばゆい恋愛をしているんだ。

 なにしろ「フランス語でコクリコ、英語でポピー、中国では虞美人草」だ。恋人同士が愛を込めて歌う歌がコレだ。
 どこの中学生の会話ですか。
 目眩がするほどダサい、古い歌を、びんぼくさいアマポーラの原っぱで歌われてしまったりすると、泣けてきます。

 ヒロイン・フランチェスカの謎の若作りといい、このみょうちくりんな主題歌といい、30年前の少女マンガのような世界観が不思議でしょうがない。「愛し合う恋人同士がキスをしたら、神様が赤ちゃんを授けてくださるの。早くこうのとりさん来ないかなぁ」的な世界。
 
 そう、全体的にどーしよーもなく幼稚なんだよね。

 他国の支配下における生活、命がけの反体制活動、そして恋愛と友情。
 描かれているものが、ふろく付き幼年向け少女マンガ掲載作品みたいなの。

 主役カップルのラブシーンが、お日様の下でクソ明るく「好きだーーっ!!」(絶叫)だったり。

 中学生日記なら微笑ましいけど、19世紀半ばの30前後の男女の恋愛がコレだと、薄ら寒いものが……。

 まあ、だとしても、それはそれでアリだとは思うよ。そーゆー世界観を貫いた作品があってもいい。
 女の子が変身して悪と戦うマンガが載っている雑誌に、同じよーに載っていそうな物語でも、ぜんぜんかまわないさ。
 世界観が正しく貫かれているならば。
 『キャンディ・キャンディ』を読んで、「こんな幼稚な話、つまらないわ! 描かれていることが嘘ばっかりだもの、現実ならキャンディはここでレイプされてるはずよ!」とか思わないのと同じで。

 明るくかわいい、薄い軽い全年齢対象の歴史ロマン風(あくまでも、風。だって軽すぎるから)ラヴストーリーなら、ますます、なにをしに来たんだ、ジャンB。

 作品の軽さと幼さを、ひとりで裏切る色気担当ジャンB。

 出てきて踊るか、女といちゃつくしかしないこの男、無意味に色気を振りまいている。
 合ってないから! 世界観に。
 お花畑で「好きだーーっ!!」(絶叫)が正しいそんな作品で、エロっちいカオと手つきでラヴシーンしてちゃダメだってば。

 どこまでも存在が無意味なジャンB。とほほ。
 

 それにしても、主役カップルはこそばゆい。
 たぶん、温度の問題なんだよな。
 主役カップルはラヴラヴバカップル。お花畑で追いかけっこするがごとし。
 そんな「うふふ♪」「あはは☆」なふたりが、コムまーだという、薄ら寒さ。

 コムちゃん、温度低いから……。

 基礎体温の低い人がバカップルを演じると、こんなにこそばゆいものになるなんて。

 このカップル、たかちゃんとお花様でやるとなんの違和感もないよね。いつものふたりって感じ。ワタさんと檀ちゃんでもOK。ワタさんの「好きだーーっ!」は、さぞかし暑苦しくて説得力があるでしょう。あさことかなみんでもハマるでしょう。かわいいふたり。あ、花組さんだけは、やっちゃいけません。絶対。こそばゆいどころか、凍るから。
 
 しかし、コムまーでやるとなー……。
 コムちゃんがそーゆータイプでないだけに、なんかこー、気恥ずかしいというか。目を覆ってしまうというか。

 でも。

 覆った手の、指の間からしっかり見てしまうよーな、みょーな「味」はあるんだけどな(笑)。
 ……とどのつまり、かわいいから。ぼそっ。

 
 ジャンBの自爆具合と相乗効果。あー……。


 そうかあれは、kineさんちに向かうバスの中だったか……。

 いつだっかはっきりおぼえていないが、kineさんと、少女コミック『キャンディ・キャンディ』星組キャスティングをして盛り上がっていた。

 ええ、そもそもは星組話。わたしなんせ、星担ですから!

 でもなんで、どっから『キャンディ・キャンディ』だったか。

 ふつー、妄想配役をたのしむのなら、主人公やヒロインからあてはめてきゃーきゃー言うよねえ。

 しかし、わたしたちの場合は。

「アーチーを、すずみんで見たい」

 とゆーところからはじまったのですよ!!(笑)

 アーチーこと、アーチーボルト・コーンウェルくん。アメリカの富豪コーンウェル家の次男坊。
 ものすごーく美形で、ものすごーくお洒落。
 髪をかき上げながら話し、いつもフリルブラウス着用。香水も忘れない。
 ウインク、投げキスお約束。プレイボーイでお調子者。

 すずみんだろ? コレ、絶対すずみんで見たいよな、みんな?!

「キャンディはウメで、テリィはまとぶん」

 わたしはまとぶを「男っぽいタイプ」だとか「黒い役が似合う」と思ったことなど、一度もない。

 真っ白な貴公子、まっとーなヒーロータイプだと思っていた。

 ただ、一般的に女性は「男っぽいタイプ」や「黒い役」の方が好きだから、あえてそういうイメージで売るんだな、と納得していた。
 その方が人気取りやすいもん。

 そしてテリィ役がハマるタイプは、「正当派ヒーローだが、心に傷、雰囲気に翳りアリ」ってことで、「黒い役」もできるからなー。そーゆー意味でも主役向き。やっぱ「翳り」や「色気」がないとヲトメはときめかないもん(笑)。

 「翳り」や「色気」はまだまだだが、れおんもテリィOKタイプだよなー。やっぱこの子も真ん中向きだよなー。

「アニーは? パティは? てゆーか、イライザは?」

 アニーとパティはキャンディの親友。どっちもおとなしくて人見知りの富豪のお嬢様たち。ただしアニーはブロンドの美少女、パティは太めのめがねっこ。

 そしてイライザは、孤児のキャンディをいじめまくる、性格最悪の縦ロールのいぢわるお嬢様。

「コトコト、みなみちゃん、せんどーさんとか?」
「イライザ役は、モモカさんとかでもぜんぜんOKだよね……」
「イライザのママ、ラガン夫人にしのぶさん、エルロイ大おばさまがきんさんとか」

「てゆーか星娘、イライザ役者多すぎ」

 そう。
 気弱な美少女アニー、太めのおっとりめがねっこパティ、そして最悪最強悪役おぜうさまイライザ。……コトコト、みなみ、せんどー、全員どの役もばっちりできるし!! トリプルキャストOK。
 アニーとパティとイライザ、これらを違和感なくやってのけるだろー持ち味の女の子たちって、どうよ、どうなのよ?! 濃すぎるだろう、星娘よ。
 この話をしたときは、まだとなみちゃんの星組じゃなかったので、名前があがっていない。

「やっぱやるなら、ロンドン学園編だよねー」
「アルバートさんも出演」
「アルバートさんは、トウコちゃんで」

 たったひとりの「大人」キャラ、アルバートさん。自然と動物を愛するボヘミアン。キャンディが壁にぶち当たったとき、さりげなく現れては手を差しのべるオイシイ男。不良少年テリィが唯一心を許している相手でもある。(さりげなくテリィ@まとぶ×アルバート@トウコありなネタ振り・笑)
 とにかく、キャンディたち少年少女たちの、「頼れる兄貴」ポジ。

 でも、アルバートさんには物語の根幹部分となる秘密があり、アンソニー、テリィに続いてキャンディの「ダーリン」キャラなのだ。その後記憶喪失(笑)になったりなんだりと、けっこー忙しいんだが、「ロンドン編」ではあくまでもただの「みんなの兄貴」。

「まとぶんとウメちゃんの物語だから、トウコさんはゲスト出演みたいな感じで。中堅・若手メンバーで、バウでやるとか」
「学園祭だっけかの、強引なチュー、是非見たい。キャンディはまだ初恋のアンソニーを忘れてないのに、テリィが強引に……」
「回想シーンのアンソニー役は、トウコさんに若作りして出てもらって!」
「若作りって……!!(笑) たしかに若作りか……アンソニー、死んだの14歳とか15歳とかだよね?」

 そんな話で盛り上がっていたよーな。

 個人的に、若作りしてアンソニーをやるトウコちゃんが見たいです。
「キャンディ、君は泣いてる顔より、笑った顔の方がかわいいよ」
 とか言って笑ってほしいですなっ。
 馬から落ちて死ぬとこは、コロス入り交じっての抽象的なダンスとかで(笑)。

 いや、あくまでもトウコちゃんはゲストでしかなく、物語の本筋はまとぶとウメで。
 

 kineさんちに行くバスの中での会話で、なによりよくおぼえているのは、『ガンダム』と『イデオン』の話で盛り上がっていたことですよ。若いサトリちゃんが話について来られないのを放っておいて(笑)。

 そしてわたしら昨日は、若いパクちゃんやもずえさんがついて来られないのを放っておいて、『グイン・サーガ』の話で盛り上がってましたな。

 ビバ同世代。


 あはははは。

 訂正訂正。
 そうそう、ステアだステア。

 でもって、そのあと、アンソニーもいいじゃん、なにが悪いの? って話になったっけ。
 世の中テリィばっかもてはやしすぎ! と。

 えー、ステアこと、アリステア・コーンウェル。お金持ちのおぼっちゃまなんだが、庶民テイストの発明大好きめがねっこ。

 完全に「お友だち」キャラ。
 『キャンディ・キャンディ』に出てくる男たちのなかで唯一「美形」認知が薄い好青年。

 ステアとアーチー、せっかく兄弟で出てきてるわりに、萌えに発展しないキャラってのが、こいつらの敗因かと。

 ごめん、今言われるまでステアっちゅーキャラがいたこと自体、ころっと忘れてた。アーチーじゃないならアンソニー?(笑)
 それくらい地味だぞ、ステア。
 ただし彼は、イロモノではない。癒し系だ。

 つーことで、つつしんで訂正。

 kineさんの好きなキャラは、ステアですよ!!

 
 と、太字で訂正しました、kineさん!!
 (こっそり本文をなおせば済むことなんだが、それをしない。だって、どっちにしたって、微妙すぎて愉快だもん! 王道からのはずれっぷりがな……わたしら……)


 以前、kineさんと話した。

「テリィがハマるのって、誰だろ?」

 テリィ−−テリュース・G・グランチェスター、イギリスのグランチェスター公爵の嫡男。母親はエレノア・ベーカー、アメリカ人のトップ女優。母譲りの美貌と、名門貴族ゆえの気品を持つ青年。されど、母を捨てた父への反発、加えて母に捨てられたという孤独感からちょいと不良生活。
 最終的には、貴族であることと父を捨て、アメリカへ渡って俳優になる。

 同世代の女性なら誰もが知っている少女コミック『キャンディ・キャンディ』のヒーローですわ。
 『キャンディ』は早い話が逆ハーもので、とりたてて美人ってわけでもない主人公キャンディの周りに、いろーんなタイプのいい男が次々現れ、もれなく全員が主人公に惚れるという、わっかりやすい関係図がある物語。
 さまざまな美形男たちのなか、不動の人気を誇るのがこのテリィことテリュースくん。
 ちょっと不良っぽいハンサムで、口が悪くてわがままで強引。でもほんとうはやさしくて、つらい過去があって、秘密があって、貴族様で超お金持ちで、そのくせそれらを全部捨てて夢に生きて、演技の天才で、俳優として実力で名声と富を手に入れるの。

 よくぞここまでッ、ってくらい、ヲトメたちの夢をひとりにまとめあげたキャラクタ。

 女性向けダーリンキャラはいろいろあれど、テリィはそのひな形と言っていいくらい、完璧な造形をしている。

 このテリィ役が、ぴたりとハマる持ち味の男こそが、トップスターに相応しい男だろう。

 という話をしていたんだ。

 女性が本能的に好きなタイプの男。
 マニアとか趣味とかを超えて、不特定多数がふつーに好意を持つタイプの男。

「あさこちゃんとか」

 そう。
 最初に浮かんだのは、あさこだ。

 あさこなら、テリィまんまイケる。
 悪ぶったハンサム。ちょっとやんちゃ。純粋な心をその奥に隠している。強引に抱き寄せたり、無理矢理キスしたり。でも、時折見せる少年ぽい笑顔や、さみしそうな横顔にきゅんとくる。……みたいな。

 テリィが似合う人は、トップ向きの資質を持つ。

 わたしはあさこちゃんを「俺様」と思ったことも、「黒い役が似合う」と思ったことも、一度もない。

 真っ白な貴公子、まっとーなヒーロータイプだと思っていた。

 ただ、一般的に女性は「俺様」や「黒い役」の方が好きだから、あえてそういうイメージで売るんだな、と納得していた。
 その方が人気取りやすいもん。

 白い王子様のアンソニーではなく、不良キャラのテリィが大人気だったように。

 『Ernest in Love』で華開くあさこを見て、しみじみ思い出したよ。
 『キャンディ・キャンディ』の配役を考えたときのことを。

 やっぱりあさちゃんは、トップに相応しい人だな、と。

 正当派の魅力。真ん中に立つこと、白い役をやることで輝く力。求心力。
 タカラヅカのトップスターは、夢を見せてナンボ。
 テリィに恋するキャンディになってナンボ。テリィに愛されるキャンディになってナンボ。

 あさこちゃんならきっと、ヲトメに極上の夢を見せてくれる。

 
「で、kineさんもテリィがいちばん好きだったの?」
 と聞けば。

「いいえ。私はアンソニーです」

 アンソニー?!
 はじめて聞いた、そんな人。みんなアンソニーのことは「きれいな思い出」「白いだけの人」「ただのステップ」ってスルーして終わりでしょ?
 小学校のときや、大人になって文庫が発売されたころ、みんなで「誰が好きだった?」って話しても、アンソニーの名前だけは絶対あがらないよ?

「いいじゃないですか、アンソニー!!」

 kineさん、語尾強し。

「そーゆー緑野さんは、誰だったんですか」

 途中アルバートさんが好きだったけど、なんつーか、ほんとのところは、

「アーチーが好きだった」

 アンソニー以上に人気ナッシングキャラ!! 未だかつて、この男を好きだという人に出会ってない(笑)。
 てゆーか、ブリッコアニーを「消去法」で選んだ瞬間に株価暴落、ニール以下の嫌われキャラ。

「そう来ますか!」

 kineさんにも、なんかウケているぞっ。

 所詮わたしたち、「王道」からはずれた趣味をしているのね……。

 
 今日、感動の2列目で『Ernest in Love』観てきましたー。隅っこだけど、前方列は1列が短いから、それほど端にならないんだ、知らなかった。
 前に座席がなくて最前列(笑)、みんな触れそうに近くて堪能。客席降りもたのしー。

 アーネスト(ジャック)@あさこの、素敵なこと。

 でも。

 所詮マイナー好きなわたしですから。

 イロモノ・越リュウにときめきっぱなし(笑)。

 でもってアルジャノン@きりやん、素敵……。


 チケットは持ってないけど、初日だ祭りだトップお披露目だ!

 とゆーことで、大雨の中、ワンピの色がグラデーションになるまで濡れながら、梅田芸術劇場メインホールへ行って来ました。

 瀬奈じゅん&彩乃かなみ、トップお披露目公演『Ernest in Love』

 
 かーわーいーいー。

「『Ernest in Love』って、どうよ?」
 と聞かれれば、わたしはこう答えます。 

「かわいい」

 もー、悶絶もののかわいさ(笑)。

 主要4人のファンは心おきなく劇場へ、回数券でも定期でも用意して通ってください。

 かわいいっす。

 あさこが反則なほどかわいい(笑)。
 見た目はすっとしたハンサム、でも恋にでろでろで適度にダメ男。母性本能くすぐりまくり。
 ほんとうに愛らしいひとだ。
 わんこ系な男が好きな人には、たまらんだろー。

 かなみちゃんは柔と剛を兼ね備えた(笑)、キュートな美女。
 ドスをきかせて凄味もするし、ブリブリのおじょーさまで舞い上がっていたりもする。

 あさことかなみが、かわいい。

 天下無敵のバカップル。

 主演カップルのでれでれピンクハートっぷりにツボがある人には、たまらないだろー。
 ほんとにもー、つける薬ナシな雰囲気で、めちゃかわいいぞ。

 きりやんは納得のうまさ。
 すっきり痩せて、男ぶりがあがってる。
 こいつももー、かわいくてしょーがない。あさこが大人になりきれない青年のかわいさなら、こちらは大人の男のかわいさ。やってることはバカでも、実力に裏打ちされた余裕が見えるからか。
 小さいけど成犬なんだよね。こちらもわんこ。わかっていてバカをやっている。そこがまた、魅力。

 あいあいは、はじけてる。
 たぶんもっともすっとんきょーなキャラを、じつにのびのびと演じている。うわー、わたしのクール・ビューティーあいちゃんが、なんてこと〜〜。
 かわいいぞー、くそぉー!

 かなみ×あいあいのカップル……ぢゃねえや、「お姉さまと呼んでよくってよ♪」「お姉さま♪」の爆走コンビは、一場面まるまる男ふたりを喰っていたぞ?(笑)

 きりやんとあいあいも、かわいい。
 バカでちょっと電波入ってるけど、かわいいっ。

 
 とにかく、出てくる人たち、どいつもこいつもかわいすぎ。

 越リュウはもちろん、セクシーだしなっ。

 無駄にうさんくさく、色気振りまきまくってますよ。
 すげえよ。

 主役カップルばかり見て、ぽーっとなってちゃダメですよ。

 越リュウも何気にラヴラヴしてますから! ラヴシーンありですから!

 舞台セットもかわいいし、個人的にヒツジがハートに直撃したし(笑)、お衣装もかわいいし、とにかくたのしかったなー。

 おめでとう、あさこちゃん、かなみちゃん。
 こんな素敵な作品でお披露目で、よかったね。

 
 キャラクタのかわいさだけで、たのしみました。
 物語については、またいずれ。

 あ、もちろん『アリスの招待状』と同じネタを使ってできた話でした。


 東宝星組初日を見たジュンタさんから、速報が。

 台詞が増えているそうですよ!!

 主題歌の途中に。

>♪神田囃子が聞こえる
>すさみ果てた心の中に
>「すると、どうだ」
>♪愛しい記憶熱く熱くよみがえる

 …………速報ありがとう、ジュンタさん。

 大爆笑しました。

 おもしろい。
 おもしろすぎだぞ、植田紳爾。


7月7日。

2005年7月7日 タカラヅカ
 んじゃkineさん、一緒に歌いましょう。

♪ちょーせいでんのやくそくはー、てんにーありては〜、ひよーくのとぉりー

 玄宗が安禄山(李林甫でも可)といちゃついて、楊貴妃とのデートに遅れたので、それを誤魔化すためにアクセをプレゼントしてお茶を濁した、とゆー、あの7月7日ですね。

 あれ? ちがったっけ?

 
 −−檀ちゃん写真集を眺めながら、去年の夏に想いを馳せる。


 ドリーさんから教えてもらい、あわててあきりんぐさんのとこ読みに行きました。
 レスポンスが遅くて申し訳ない。カテゴリが「演劇」の人のはわりとマメに読んでるんですが、それ以外の人は更新がわからなくて……と言い訳してみる。

 えー、質問は、『Ernest in Love』と『アリスの招待状』の類似性について、ですよね?

 たしか、「原作が同じ」だと聞きました。

 『アリスの招待状』のビデオ、持ってるんですけど、べつにどこにも「原作」とか「**より」とか書いてないんですけどね。
 太田のことだから、パクリなどではなく、「これぐらい観客すべてが知っていて当然」という意識の上で、拝借しているのでしょー。同じことを児玉っちがやると、「パクリだ!」と騒がれると思いますが。

 浅学なわたしは、原作を知りませんけども(笑)。

 原作が同じでも、『アリスの招待状』はあくまでも太田のオリジナルであるはずなので、『Ernest in Love』とまったく同じになるとは思っていません。
 同じ原作を使っても、クリエイターの個性で別物になるのは当然なので、それを期待しています。いや、まだ『Ernest in Love』のチケット持ってないんだけどな(笑)。

 『アリスの招待状』のたかちゃんの役、すごかったですよねえ。あのノリできりやんがなにかしらやってくれるとしたら、それはそれでたのしみなんですが(笑)。

          ☆

 ついでに、私信Part.2。

 はなはなさん、「ミュージカル・バトン」はスルーさせてください。
 すんません。

          ☆

 さらに私信Part.3。
 ってゆーかメール書け、てなもんですが。

 nanakoさん、指定席無事Getしました。
 そして、乗車券はあとで買ってもいいそうなんで、結局買ってません。だから指定席代だけ立て替えてます。
 詳しいことは、新公の日にお話ししましょー。

 チケット持ってないけど、博多座行くぞぉーっ!(笑)

          ☆

 それでも私信Part.4。
 だからメール書けってな内容です。

 もずえさんとパクちゃんに会いたい。
 わたしもがんばってムラに行く〜〜。チケット持ってないけど(こればっかや……)、とりあえず行く〜〜。
 kineさんが行くって言ってる公演に便乗すれば、会えるのよね?

          ☆

 私信というか、つぶやきというか。

 かねすきさんも、まちかの美しさに注目している……うれしい……ふふふ。


 あー、とりあえず、麻月れんか大活躍です、わたし的に。

「麻月くんがあんなに台詞喋ってるの、はじめて見た!」

 とわたしが興奮気味に言えば、

「いや、今回のバウはそんなのばっかだから!」

 と、kineさんに冷静に訂正される。

 さららんバウ、『BourbonStreet Blues』の話。
 ええ、今年のバウホール公演はワークショップ。下級生ばかり、今まで動く背景しかやったことのないよーな子たちに役と台詞があるのがテーマ、らしい。
 だからべつに、おどろくべきことじゃないのだろう。
 されど、わたし的にはうれしい衝撃。

 麻月れんかっちゅーのは、わたしの好きな顔の男の子です。
 どんな子なのか、なにが得意なのか、なにも知りません。

 ただ、初舞台のロケットからずっと、顔が好みだった。
 もっと言えば、音校生時代、某喫茶店でパスタを食べているところを見たときから、顔が好みだった。

 まっつとか谷みずせ系の顔です。
 幸薄そうな、薄い顔。

 顔が好きなので、いつもなんとなーくチェックしてる。
 しかし。
 それ以上はわからない。踏み込めない。

 だって、役が付かない。

 大劇はもとより、バウホールとかに出ても、通行人レベルの役とかしかやってねーもんよー。
 たびたびこうやって名前をフルネームで書いても、検索が来たためしもないもんよー。谷みずせや紅ゆずる、純矢ちとせはまだ検索くるぞ、それなりに。

 人気以前に、知名度がないんだなあ。
 いい顔してるのになぁ。

 てな麻月くんが、この公演ではやたら活躍してました。いや、わたし的に。(客観的にどうかは知らん・笑)

 うおお、麻月くんが喋ってる、何役もしてる、いちばん前の列で踊ってるー!!

 そんなおどろきでいっぱい。

 演技ですか?

 相当微妙です。

 ソロはなかったと思うんで、歌はわからない。ダンスはもともと、わたしにはうまい下手がよくわからない。

 だから、どうやって彼をほめたらいいのか、わかりません(笑)。

 でもいいの、好きだから(笑)。

 彼はおおむね3役やってるんですが、最初はまず、チンピラで出てきます。
 デイモン@めおちゃん、ダイアナ@ゆりのちゃんと一緒に、ジェフ@さららんの職場に来ていやがらせをする。そして速攻ジェフにボコられる。

 麻月くんだけの話ではなく、全編通して言えることなんだけど、ケンカシーン、かっこよくないんだよね。初日だったせいかしら。みんな「手順」って感じにぎこちなく動いていて、どんくさいってば。
 ジェフがちっとも強そうに見えない……。
 なんか、アクションシーンがあるたびに、薄ら恥ずかしい気持ちになった……。

 とくに最初はいちばん、恥ずかしかったなー。
 ああ、外部の男の人のいる舞台なら、きっとかっこいいんだろーなー、と、心が冷えてしまった一瞬(笑)。

 そーやって、麻月くんはボコられて終わり。

 次に出てくるのはどこぞのクラブで、ジェフの彼女シンシア@れみちゃんの友だちの彼氏、という関係。

 先日ボコったチンピラが、彼女の友だちの彼氏?! やーん、大変〜〜!

 と、思ったら。

「はじめまして」
 と、ジェフと麻月くんは笑顔で挨拶していた。

 別人なんかいっ。

 このふたつめの役は、さらにさらに、薄ら寒かったです(笑)。

 なにしろセレブだから!!

 顔ヨシ金ヨシ地位ヨシ、おまけに性格もヨシ! という、スーパー青年の役だった。いつも笑顔。笑顔笑顔。余裕の微笑み。……の、はず。

 うっわー、嘘っぽ〜〜(笑)。
 このあたりで、麻月くん、演技やばいかも(笑)と思った。

 まあねえ、今までろくに台詞ある役やってないんだから、仕方ないっちゃー仕方ないんだが。

 彼の友人のヤングエグゼクティブ(死語)な青年たちも、みんなそろって力一杯薄ら寒かったから、それはそれでいいと思うけどな(笑)。
 足りてなくて寒いのもあるし、わざとうさんくさくさわやかなヤツもいるし(笑)。

 ここまで見て、あー、麻月くんがんばれー、と思っていたら。

 みっつめの役は、めっちゃ好みでした。

 
「なんかこの芝居さあ、途中からうまいも下手もわかんなくなってたよねえ」
「テンション上がってましたからねえ。なんかもー、力技というか」

 2幕途中から、さららんのブーストが全開になってね。
 ぶっ飛ばしやがるわけですよ、彼は。
 うまいも下手もない。
 こっちが萎えている暇もない。
 力技で、ただただパワーだけで、押し切るのよ。
 他の出演者も、一緒になってアクセル踏むわけよ。

 スマイル@みりおとジェフのケンカの演技、そして「スマイルが自殺するかも?!」とさらに演技でたたみかけるお笑いシーン。
 うまいも下手もないから。
 さららんの熱さ、それについていくみりおの熱さ、そしてそれに巻き込まれている刑事@麻月の空回りぶり!!

「……バカだよね」


「すっごいバカー(笑)」
「3人ともバカ〜〜(笑)」

「てゆーかもー、かわいいー」
「かわいすぎ〜〜」


 寒いはずの「猿芝居」シーンを、とにかくバーニング・ハートで無理から「カタチ」にしちゃった瞬間。

 いやあ、客席大いにウケてましたよ。

 ジェフもスマイルも、そして刑事も。
 みんなバカでお人好しで、そしてかわいい。

 さららんがかわいい。みりおがかわいい。
 そして。

 いやあ、すっげえ好みです、この刑事役!!

 ヘタレ刑事!!

 わたしの好きなヘタレ顔の麻月くんが、ヘタレ刑事を演じるなんて。
 たのしかったっす。

 あのお人好しのまぬけ刑事が、超かっこいージェラルド刑事@嘉月さんの部下だと思うと、萌える(笑)。
 てゆーか、気の毒だなジェラルド……あんなのが部下だなんて……(笑)。

 
 さて、この麻月くん。
 どーゆーことなのか単なる学年順なのか、なぜかいつも最前列で踊ってくれるので、見つめやすいっす。

 今回はぢめて、目線いただきました。

 今、わたしを見て笑ってくれたよねっ?!
 わーいわーいわーい。

 麻月くんの、笑ってるのか泣いてるのかわかんない笑顔が、大好きです。

 
 と、ちょっくら麻月くん語りなんぞしてみました。
 彼をこれまでになくいっぱい見られた記念に。

 
 まあ、それとはべつに、いちばんときめいた相手は、真咲なんですけどね(笑)。

 ああ、笑ってくれるのよー、真咲くんってば。
 客席一本釣りしてるだろー、おめー(笑)。


 月船さらら主演、『BourbonStreet Blues』初日観劇。

 わたしは当初、ものすっげー大喜びしてました。さららん主役で正塚晴彦作で、不良少年で、タイトルが『BourbonStreet Blues』!!
 これだけで、ツボに入って大ウケしていました。
 気恥ずかしくなるくらい、くっさ〜いモノが観られるにちがいないと。
 男のロマンでやせ我慢なモノが観られると。
 実際「あらすじ」を読んでもそんな感じだったし。
 だってだって、タイトルが『BourbonStreet Blues』! バーボンストリートで、ブルースなのよ? シリアスでやさぐれていて、やるせない、裏街道でむせび泣くよーな男の物語だと思うじゃない。

 実在の地名だかなんだか知らないが、とりあえず「バーボンストリート」というと、洒落た男のロマンな本だとか店だとかが検索できるぞ。
 一般的に、そーゆーイメージの名前なんだよな。

 えーと。

 どのへんが『BourbonStreet Blues』なんですか?

 タイトル、浮きまくり。
 どっちかっつーと、そうね、『JAZZYな妖精たち』の方がまだしっくりくるかなっ。

 かわいい物語でした。
 高校生の男の子と女の子の、かわいいラヴストーリー。
「なにがやりたいのか、わかんねー」
 と、卒業を前にすねている男の子・ジェフ@さららん。キレやすい彼はしょっちゅう他校生と喧嘩しては補導される毎日。「どうせ孤児院育ちのオレなんか、卒業してもフリーターさ」と、生まれの不幸を嘆いている。着崩した黒の学ランがすてきです。
 堅実なGFシンシア@れみちゃんは、そんなジェフに「ケンカはやめて。まじめになって」と再三懇願。スタイルのよさで紺色のセーラー服(スカーフとハイソックスは白)を着こなしてます。長いおさげも新鮮。
 不良少年ジェフに説教を垂れるのは、熱いハートの体育教師ジェラルド@嘉月さん。エンジ色のジャージと竹刀がトレードマーク。「そうやって悪ぶっているが、お前はほんとうは立派な人間なんだ。俺はわかってる!」
「へん、教師なんて所詮、口ばっかじゃないか!」と、先生の言うことなんか聞く耳持たないジェフは、やくざ絡みの事件に巻き込まれてしまった。シンシアを人質に取られ、絶体絶命。
 たったひとりで凶器を握ってやくざ事務所にカチコミをかけようとしたジェフに、体育教師の愛の鉄拳が炸裂する。
「馬鹿野郎!!」「先生……っ! だってもう、どうしたらいいかわからないんだ」「俺を信じろ! なんとかしてやる!」「先生ぇ〜〜」体育教師のジャージにすがりついて泣く不良少年。
 そしてたのもしい言葉に偽りなく、体育教師はやくざに撃たれながらも、かわいい教え子たちを救ったのでした。
「ありがとう、先生。オレ、真人間になるよ!」
 シンシアの愛と、ジェラルド先生の愛。ひとの愛を知り、ジェフは心を入れ替えて就職活動をするようになりました。
 かわいい妖精のよーな、幼い感性の子どもたちの冒険活劇、『JAZZYな妖精たち』ただいま上演中!!

 
 てゆーお話しでした、『BourbonStreet Blues』。あ、設定は上記とは少しちがうけど、ストーリーはまちがってないわよ?(笑)

 この「17歳は多感なお年頃☆」みたいな話のどこが、『BourbonStreet Blues』。
 しかも主人公ジェフ、どんどん幼くなるんですけど。
 1幕の最初はハタチぐらいに見えたけど、2幕の終わりになると、中学生にしか見えない……。
 学園モノのノリだろ、これ。

 どこがブルースなの?
 コドモがどたばたしている話の、どのへんがブルース? それに2幕は思いっきりコメディでしたが? ねえ、どのへんが「ブルース」なのよぉ。

 とってつけたよーに、ラジオのDJが台詞だけで「ブルース」と連呼していたけど。
 
「あれー? 書いてるうちに、タイトルと関係ない話になっちゃったなぁ。ま、いっか。ストーリーに関係ないヤツにてきとーにタイトル連呼させとけば、かっこつくし、なんか意味ありげに見えるだろー。問題ナシ、はっはっはっ」

 てことですか、正塚せんせー?

 
 とまあ、ここまで書いたあとで、言います。

 わたし、この話、好き(笑)。

 正塚のライフワーク「自分探し」炸裂。
 主人公の幼さがかわいいやら、くすぐったいやら、ある意味ムカつくやら(笑)で、とってもたのしい。

 昔の正塚作品なら、「アウトローこそ、もっともすばらしい価値観」みたいなところがあったが、ここ数年は逆だよね。
 「ふつうこそが、いちばん」「ジェットコースター展開を期待するなら、韓国ドラマや昼メロでも見てろ」って感じ? 『La Esperanza』も『ステラマリス』もそうだったよね。

 ジェフにしろシンシアにしろ、ものすげーふつうなの、感覚が。
 ふつー「ドラマ」なら、そっちへ進むだろう、ってときに、あえて逆へ進むのね。地味な方、ふつうな方へ。
 まあそのぶん、盛り上がりが薄くなったりもしてるんだけど……ここまで逆ばかりに進まれると「わざとなんだ」とわかるしな。

 1幕の冗長さと先の見えなさ「なにがやりたいんだろー……どこへ行くんだろー……」というおぼつかなさ(笑)を越え、2幕まで行けばあとは加速度でなんとかラストまで。
 ツッコミどころは満載、だけどそれらも含めて、たのしめる。

 
 嘉月絵理万歳。

 この芝居を支えているのは、まちがいなくこの人。
 てゆーかえりりん、マジかっこいいんですけど。

 色男の嘉月さん、ひさしぶりに見た。この人が本気で二枚目やると、ものすげー二枚目になるよなー。
 おやぢ役なのに、主役よりかっこよくてどうする(笑)。
 ときどき、どっちが主役かわからなくなった。

 えーと、じつは2番手だったんだね、嘉月氏。

 
 萌え友のかねすきさんももちろん初日の客席にいたわけなんだけど、終演後に言い合ったことは。

「設定は萌えなのに、萌えないっ!!」

 ジェラルドとジェフの関係は、ホモとしか言いようがないし、ジェラルドなんかしっかりコクってるし、ジェフはそんな彼にめろめろになってるしで、オイシイはずなのに。

 萌えない。

 役者の問題だろうか。
 嘉月さんはエロキャラだが、なにしろさららんが……。

 ジェフが幼すぎるんだ。

 ショタ属性の人なら、萌えられるのかもな。
 いたいけな幼児、知識のなにもない幼児に対していろいろ考えられる人なら、萌えられるかも。
 わたしはちょっと無理だ……。

 それぐらいなら、ジェラルドに片想いしてるアーネスト(だっけ?)の話でも考えた方がたのしいわ。

 
 なんにせよ、ブーストのついてるさららんは、いいなあ。
 

 文字数足りないのでまたいずれ。


 宙組の発売日だったんで、並びに行きました。いつもの三番街です。

 はずれました。

 ほほほ。400番台引いちゃったよ。最前列が欲しけりゃ、100番以内でなきゃーいかんのに。
 つーことでなにも買えず。
 すごすご手ぶらで帰りました。友だちとお茶しただけだー。

 に、しても。

「今やってる公演でさ、まちかめぐる、なんか美形だよね?」

 と言ったら、ものすげー反対の声をあびました……。完全否定の雨あられ。

 「白鯨」限定だって言っても、聞いてくんねー。

「緑野さんはまちかファンだから、目が曇ってるのよ」

 うおおお。
 曇ってるんですか、よどんでるんですか、わたし。

 まちかの美形度を確認するために、もう一度雪組観に行こう……。


 今さらだが、星楽の話。

 わたしは張り切って入りからムラにいた。舞台中心のファン人生なので、舞台外のジェンヌさんを眺めに行くことは、退団の楽でもなけりゃありえない。

 檀ちゃんのムラ最後の入りの時間は、10時ジャストでした!

 次に必要なときのために、ここにメモっておく。開演ちょうど3時間前。
 まさにジャスト。

 時計の秒針とにらめっこしていたときだったから、まちがえようがない。

 ゆうひくんのDSのチケ取りしてたんだもの!!

 10時からはゆーひのチケ取りだー、さあ電話するぞー、とスタンバイしてたら、お待ちかねのミューズ檀ちゃんの登場だ。

 うそーっ、なんでこのタイミングなのよーおっ。

「檀ちゃんきれーい」
「脚細ー」
「オトコマエ〜」

 とか口々に言いながらも、指は必死にリダイヤル。チェリさんとふたり、ややこしい真似をしておりました。当人たちは必死なんだけど、客観的にはまぬけな姿……。

 結局、ゆうひDSは取れませんでした。
 電話をするのは発売開始から15分、と決めていたので、潔くあきらめました。
 演出家が石田でなければ、もっともっとがんばったんだけどな……。

 檀ちゃんはフェミニンな姿での楽屋入りでした。
 が、せんどーさんは会服姿でした。

 せんどーさんとこの会服、Tシャツだったんだよね。

「せんどーさん、Tシャツ着てるー」

 と、あるがままのことを口にしただけなのに、横にいたチェリさんに肘打ちされました。

 会の人たちと話したあと、せんどーさんは小走りに楽屋口に向かいました。
 せんどーさんをずっと見つめていたわたしは、

「せんどーさん、走ってるー」

 と、あるがままのことを口にしただけなのに、横にいたチェリさんに、

「このオヤジ!!」

 と、突っ込まれました。

 なんでー?
 見たままを口にしただけやーん。

 わたしの愛する巨乳娘、せんどーさん。
 最後の入りはTシャツで、しかも走ってくれますか。
 なんてサービス精神旺盛なんだ。いやあ、眼福眼福。

 せんどーさんは素顔もすごくかわいい。
 丸くって小さくて、でもなんか強そうで、とても素敵。

 恵斗くんの入りはあっとゆー間。相変わらずスタイルいい。
 わたしは彼の「靴」を見るのに必死でした。
 お茶会のプレゼントが「千秋楽で履く白い靴」という話だったので、わたしとkineさんもその靴の何百分の一かは関与している、ちゅーことで、「靴を見なければっ」と思ってました。
 そして、まだ現れないkineさんを捜し、「もう恵斗くん来ちゃったよー、kineさんどこよ?!」ときょろきょろし。なんて忙しい(笑)。……恵斗くんの入りがあっとゆー間だったのは、わたしの落ち着きがなかったせい?

 恵斗くんの靴は、わたしの思いこみに反して、華奢なヒールの女らしい靴でした。
 もっと男っぽい感じかと思ってた。

 
 たまの入り待ちはイベント感覚で、たのしかった。
 みんなみんな、美しくて。

 
 檀ちゃんのサヨナラショーはひたすらオトコマエでした。

 添え物の「娘役」ではなく、ピンで立つ「トップスター」だった。

 彼女が真ん中で、動く舞台。動く空間。
 硬質に、輝き続ける、もっとも美しく、もっとも硬い鉱石のように。

 咲き誇る。

 大輪の、赤い花。

 『ドルチェ・ヴィータ!』の檀ちゃんは「黒」だった。このむずかしい色を着こなしてしまう美女だった。
 しかしサヨナラショーでの彼女のトレードカラーは、まちがいなく「赤」だった。
 タイトルロールだった『BMB』の「赤い花」そのままに。

 そうか、赤か。
 ピンクだとかパステルカラーだとかいう「女の子色」ではなく、「大人の色」か。
 大人。
 女だとか男だとかいうことは抜きに、ただ「大人」。
 自立した色。

 月組で育てられ、中国でその美貌をもてはやされ、そして星組で成熟した姿を見せた。
 それらすべてを端的に見せる、そーゆーショーだった。

 マミさんの持ち歌である『Endless Dream』を迫力のアルトで熱唱する檀ちゃんを見て、

 わたしが「檀れい」に求めていたあとひとつはコレだ!

 と、思った。
 今まで檀ちゃんはじつにさまざまな顔を見せてくれたけど、まだ足りない気がしていた。

 そうか、「男歌」だったんだ。

 一人称が男の歌。
 オトコマエな女が歌うからこそ、かっこよさが映える歌。

 ヅカの女の子たちは通常、男の歌は歌わないからな。きっとそれは「ルール違反」なんだろう。娘役が「男」を歌ってしまったら、「女なのに男役をしている」人たちと同じことになってしまう。領域侵犯は混乱のもと。

 だけど、最後の最後、サヨナラショーで、その「ルール」を破った。

 そんなものを超えて、「トップスター」がここに存在している。

 由来がわからなかったのは、ワタさんと歌ったヤツだけだった。ふたりのなれそめ、『風共』の歌なんだって? ナマを観たんだが、さすがにおぼえてなかった(笑)。

 『ドルチェ・ヴィータ!』もうれしかったし、やっぱり『王家に捧ぐ歌』の「檀れい様賛歌@ファラオの娘だから」もうれしかった。女官ダンサーズのウメちゃんがめちゃくちゃかっこよかった(笑)。となみちゃんがいるのも、豪華。

 同時退団者たちの銀橋があったのも、うれしい。
 みんな言ってくれるのよ。
「よかったじゃないですか、せんどーさんの衣装」
 って。
 今回のショーはぜんぜんせんどーさんの胸が見えないもんだから、わたしがなにかと嘆いていたもんでな。サヨナラショーはGJ! 肩出しドレスですよ! 2階席で観たかった!

 せんどーさんといえば、組長の読む「手紙」がすごかったな……。彼女の「栄光の歴史」を余すことなくつづってあるの。自分で自分の「栄光」ぶりをここまで発表する人、はじめて見た(笑)。
 プライド高い人だってのが、よーっくわかった。らしくって、なんか笑ってしまったよ。

 サヨナラショーのラスト・ソングが河村隆一作のMSのアンコール曲だったのがまた、檀ちゃんの「トップスター」ぶりを表している。

 自分のためだけのオリジナル曲で行きますか。
 たぶん、ほとんどの人が知らないはずだよ、その曲。それでもその曲で行きますか。

「もう行かなくちゃ」ではじまる、「あなたに会いたい」と歌う歌。
 別れなのに、「会いたい」という歌。

 MSでもスイッチ入って泣いてたけど、やっぱりサヨナラショーも泣いて終わった。
 泣くために行ったんだから。

 途中、トドの歌う「でんでんむし」に涙も引いたけどな……。まさかこんなときまで歌うとは思ってなかった……。

 
 パレードはロールスロイスのオープンカーに制服の運転手付き、という祭りっぷり。
 なのに檀ちゃんは髪を下ろした「娘役」姿だった。ふつう、みんな髪はアップにするものなのに。
 「女」ではなく「娘役」として、現れた。
 どこまでも、予想の斜め上を行く人だ。

 歩く檀ちゃんを追いかけて、思わず走ってしまった自分に、「そんなに好きやったんか」と改めて思ってみたり。

 ありがとう、檀ちゃん。

 
 トドは、ホモネタOKな人だと思う。

 昔、まだわたしが若くキヨラカだったころ(笑)、『宝塚グラフ』の座談会記事を読んで、目からウロコが落ちた。
 ある公演で、トドは主人公の親友役だった。舞台上で長い年月が流れる物語だ。座談会で、「トドの役は、結婚したの?」てなことを聞かれ、トドは「生涯独身」と答える。そしてその理由をこう答えるのだ。「親友のことを、愛しすぎていたから」
 親友のために、彼の愛した女を捜し出し、会わせてやる。「そのときの自分の役の気持ちを思うと、泣けてくる」と言う。愛した男のために、恋敵のはずの女を捜し出すけなげさに、泣けると。
 この記事を読んだときに、わたしは目からウロコをぼろぼろ落とした。
 トドロキ、ホモだと理解したうえで演じてたんだ! あたしも、この男ホモくせぇ、と思って見てたけど、マジだったんだ!
 友情が行き過ぎて、ホモになる。……そーゆーの、トドロキ的にアリなんだ!

 と、理解して見てみれば、たしかにトド様はホモネタ好きそーな人でした。アドリブでそれ系よくやるし。
 まあ、トドに限らずジェンヌさんはそっち系のネタ好きそーな人多いけど(笑)。
 やっぱ「腐女子」ってのは女のDNAに刻み込まれている因子なのかもしれん。

 
 そんな素敵ジェンヌ、漢トドロキが『長崎しぐれ坂』千秋楽でかっとばしたアドリブは、「にーさん、それはちょっと……」と腐女子を困惑させるほどのモノでした。

 ただでさえ、野郎ホモ話にしか見えない伊佐次と卯之助。愛の小舟でスモークの中で昇天するふたり。

 李花と伊佐次のベッドシーンに乱入する卯之助、というシーン。
 初日は李花と伊佐次がけっこうきわどい感じだったのに、2度目に観たときからすでに、卯之助登場が早くなっていた。「ええっ、このままヤっちゃうんですか」というエロいムードが高まる以前に、卯之助が茶々入れに登場するよーになっていた。つまんねー。エロはエロでちゃんと見せろー。卯之助がギャグでひっくり返すのは、そのあとでいいっつの。
 李花とヤらせたくなくて、卯之助が早々に出てくるよーになったのかな。てゆーか卯之、デバガメ日常? と戦慄したりもするこのシーンで。

 のぞかれた李花が悲鳴を上げて消え、ベッドに残ったのは伊佐次ひとり。
 いつもなら、照れ隠しだかすねてんだかとゆー風情でベッドに坐り直す伊佐兄。

 千秋楽では、わざわざ掛け布団をめくって、ベッドに横になった。

 アゴの下まで布団をかぶり、このまま寝ちゃう気かしら、と思ったら。

 ベッドの向かって右側に横になった伊佐次、人ひとり分の余裕を確保した上で掛け布団をまくり、卯之助に向かって、ぽんぽん。

 なんてことするんですか兄貴!

 同衾のお誘いしますか!!

 掛け布団まくって、ぽんぽん。
 ここまで直接的で、簡単で、日常でもふつーにありそーなお誘いを、舞台の上で、しかも野郎同士で見ることになるとは、夢にも思いませんでした。

 えーと。
 観客は、笑ってました。
 大爆笑してました。

 一緒になって笑っていた卯之助@ワタさんも、次の瞬間には招かれるままに、ベッドに入ってました。

 入るんかいっ!

 お断りするかと思ったのに。
 新床の妻のよーに、はにかみながら。でかい図体で、布団まくって兄貴の隣に横になりました。

「これで俺たち、明日から関係変わったりしないかな」
 とかなんとか、つぶやきながら。

 えーとソレ、BLの定番台詞ですか?
 初えっちにのぞむ友人からスタートした恋人同士の?

 あー、観客は、笑ってました。
 大爆笑してました。

 布団に仲良く並んで寝た伊佐次と卯之助は、すぐにふたりともベッドから転がり出てぎゃーぎゃー叫んでました。
「お前、でかくなり過ぎ」
 とかなんとか、伊佐次が叫んでいたっけか。
 でかく……って、どこが? すみません、すみません。

 観客は、大ウケでした。
 大爆笑。
 笑いが過ぎて、次の台詞までに間ができるほどに。
 次の台詞が、笑いで聞こえないほどに。

 なんで観客の反応をいちいち書くか。

 スカステニュースでも放映されなかった、ということで、「お布団ぽんぽん」事件の全容を知らないというハイディさんに解説した際、彼女が真顔でたずねたからです。

「ソレ客、引いてませんでした?」

 ハイディさんの顔にはシャレになんねえよと書いてありました。

 あー、たしかに。
 出来事を耳で聞いただけじゃ、ひびるわな。
 実際にあの場にいても、びびったけど。

 それでも劇場内は大爆笑でしたよ。
 大丈夫。
 みんなホモネタ大好きだから!(ちょっとチガウ)

 
 幕間に、ワタさんファンのkineさんが、
「あいつら、シャレにならん。まあ、わかってないでやってるんだろうけど」
 と言っていた。

 それを聞いて、思ったのよ。

 絶対、確信犯だって。
 わかってやってるよー。トドはホモネタOKだし。ワタさんも好きだよね。『ドルチェ・ヴィータ!』博多&ムラを見てたら、すげー好きなのがわかるし(笑)。

 『長崎しぐれ坂』っちゅー、どーしよーもない作品を、正しく盛り上げた結果じゃなかろうかと。

 
 自分からベッドに誘う漢トドロキ。
 いやあ、いいもん見ました(笑)。


 たら・れば話は、意味がないとわかっているが。

 もしもケロがいたら、ぼら役だった。
 と、みんな口をそろえて言う。

 『長崎しぐれ坂』の話。

 最初に聞いたとき、わたしはなにしろ作品にヘコんでいたし、ぼらという役にも気持ち悪さしか感じていなかったので、そのままスルーしていた。
 何回目かにその話を耳にしたときに、よーやくのーみそが動き出した。

 ぼらがケロか。
 あー、ケロならきっと別人になってただろうなあ。あの人は、良くも悪くも、下っ端が似合わない人だったから。
 きっともう少し賢く……じゃなくて、狡猾なキャラになっていただろー。腰低くへらへらしていても、なんか腹に一物系というか。絶対裏があるだろ系というか。

 狡猾なぼらか……それはそれでアリだよなー。
 宝塚歌劇の範囲の悪役になっただろう。

 しかし、そんなことはこの際どーでもいー。
 アタマが動くよーになったわたしが瞠目したのは、「ぼらがからむ相手」についてだ。

 ぼらが絡む相手って……らしゃ@トウコじゃん。

 奉行所の手先(中年。妻子あり)とおたずねものの不良少年。
 敵同士の関係なのに、密会を続けるふたり。

 伊佐次はじめ、周囲はらしゃを止めるけれど、らしゃはそんなの耳に入らない。
「ぼらはいい奴」「ぼらに会いたい」と、いそいそと会いに行く。
 恋人の美少女芳蓮@となみといちゃいちゃしているときでも、「ぼらが来た」と聞くと「俺を探してるんだ」と芳蓮を置いて走り出す(着物の裾は太腿までまくりあげる)。

 らぶらぶ?
 しかも、トウコの方がケロに惚れているという、世にもめずらしい力関係?

 しかしぼらは、らしゃを利用しているだけだった。

 いちおーぼらも、らしゃのことは「好き」で、「かわいい」と思っている、と、公言している。
 伊佐次たちに問いつめられるときに、そう言うもんな。「らしゃがいちばん好き」「あいつはかわいい」と。
 へー、かわいいんだー。ぼらがケロなら、きっと観客も、「かわいい」までしか耳に入れないだろー。そのあとの「母親思いで」という台詞はスルーされるはず(笑)。

 ぼらに騙されたらしゃが、ぼろぼろになって戻ってきて、恨みをこめてぼらを刺殺するのも、確実に意味が変わってくる……。

 無理心中?

 でもって、重なり合って死ぬし。

 
 ケロトウでやれば、ものすげーラヴロマンス?

 エンディーだと誰も萌えないし、そんなヨゴレたことは考えないみたいだけど。エンディー氏、キヨラカだから。

 しかし、ケロならっ。
 ものすげー話になってるよ……。

 『長崎…』が別の話になる。

 伊佐兄ィがらしゃにぼらのことで釘を刺すのも「遊ばれてるだけなのが、わからねぇのか」とゆー意味になるし。「堅気の男相手に不倫はやめとけ」ってことよね。「いずれ泣くことになる」って、兄貴は心配してるんだよね。
 らしゃがぼらに呼び出されて出て行った、と泣く芳蓮。つまり「らしゃとぼらが、駆け落ち?!」ということだよね。ぼらを信じていない伊佐次が血相変えるのは、「駆け落ちなんて言って呼び出されて、騙されて酷い目に遭うのはわかりきってる」と心配しているんだよね。
 ぼらがらしゃに恋を仕掛けて愛欲まみれに絡め取ったのは、伊佐次をおびき出すため……伊佐次を愛している卯之助も李花も見抜いている。

 って、そーゆー話になるわな。

 最後は卯之助と伊佐次で「愛の小舟」で終わる話なんだから、いっそこれでも正しいのかもしれんが。

 あー、ぼらがケロなら、腐女子は通ったんじゃなかろーか、この芝居。
 熱い書き込みが、あちこちの掲示板に華開いたんぢゃなかろーか。
 ケロとトウコがラヴいことをするたびに、大喜びする女子はたくさんいたみたいだし。今でもそんなワードで検索は毎日やってくるし。

 
 たら・れば話は、意味がないとわかっているが。
 そして、エンディー氏がすばらしいジェンヌだとわかっているが。このまま素敵に舞台人生活を続けて欲しいと熱望しているが。

 パラレルワールドのどこかで、ケロがタカラヅカの舞台に立ち続けてる世界があれば、行ってみたいと思う。
 心から。


「あたし、ふと思ったんだけど。今の嶺恵斗に足りないモノは、眼鏡だ」

 と言ったら、kineさんにずいぶんウケました。

 恵斗くん、眼鏡かけて舞台に立ってくんないかなー。

 眼鏡っこの鈴木同心。
 真面目で女っ気のない独身。
 ……いいじゃん、キャラ立つじゃん。

 着流しに眼鏡……ハァハァ。

 眼鏡っこの、クラブの踊り子さん(笑)。
 きれいにターンができなくて、後ろの人にぶつかりそーになっても説得力! だって眼鏡っこだもの!
 ……いいじゃん、キャラ立つじゃん。

 タキシードに眼鏡……ハァハァ。

 
 嶺恵斗萌えはともかくとして(笑)。

 『長崎しぐれ坂』の卯之助の話、Part.2。

 卯之助というキャラクタは、なんであんなにぶっこわれているのか。

 わたしは原作を知らない。
 が、原作を読んだサトリちゃんの言う、「幼なじみなんかじゃなかった」「ルパンと銭形の関係」という事柄に、すべてが表れていると思う。

 あのストーリーの流れで、なにが気持ち悪いかというと、卯之助のストーカー偽善者ぶりだ。
 伊佐次を捕まえる立場でありながら、伊佐次を愛している、という二面性。

 この壊れきった部分はすべて「幼なじみ」という関係に端を発している。

 もしもふたりが幼なじみでなかったのならば。

 卯之助が岡っ引きになったのは「伊佐次を愛しているから」ではなく、純粋に「仕事」として選んだだけになる。
 おたずねものの伊佐次と出会っても、「裏でこっそり助けるために岡っ引きの仕事をする」「でも口では伊佐次を捕まえると嘘をつきつづける」なんて不実なことをしないですむ。
 あくまでも「仕事」として、「伊佐次を捕まえる」でOKだ。
 なにも気持ち悪くない。
 卯之助は仕事に忠実な、裏表のない誠実な男になる。

 歪みは消えた。

 そのうえで、「ルパンと銭形」だ。

 伊佐次はおたずねもの。
 卯之助は岡っ引き。
 追われる者と、追う者。さまざまな事件や駆け引きのなかで、男ふたりに友情のようなものが生まれる。

 唐人屋敷という「非武装地域」では、まるで友だちのような気やすい軽口をきいたり、掛け合いをしたりする。

 これで、伊佐次と卯之助がいちゃいちゃする、のもOKだ。

 そうやって一見友だちのようにしていても、ことあるごとに卯之助が、「伊佐次は俺が捕まえる」と言うのも、まちがっていない。あたりまえのことだ。だってそれが、彼の仕事だから。

 卯之助は、伊佐次に惹かれながらも、自分の立場をわきまえている。
 今は休戦中だが、いずれ戦わなければならない相手だと知っている。
 他の誰かに渡すくらいなら、自分の手で引導を、と思い詰めるくらいには、伊佐次に惚れ込んでいる。

 伊佐次を捕まえる、という言葉に嘘はない。葛藤があるだけで。
 その葛藤ゆえに、最後の最後で、伊佐次を逃がそうとする。

 
 ストーリーラインは植爺の『長崎…』とまったく同じで、筋道の通った、気持ち悪くない物語になるよ。

 いわば、「敵と知りつつ愛してしまった葛藤」だな。
 「敵を助けるために、自発的に二重スパイしてました。毎日嘘ついて、へらへらしてます!」ではなくて。

 原作はきっと、まちがっていない、ふつーな物語だったんだろう。

 ではなんで、こんな気味の悪い間違い方をしたのか。

 植爺はたんに、「追う者と追われる者」「敵同士のはずなのに、いちゃいちゃ」「追う者の立場だけど、最後に逃がしてやる」という、表面的なモノだけしか、読みとれなかったんだろう。

 伊佐次と卯之助の間にある、敵同士である男たちの、相手を認めるがゆえの友情だとか、葛藤だとかいうものは、まったく理解できなかった。
 ただ、「オイシイところ」だけを取り、無神経な台詞を山ほど付け加え、本質を理解しないまま物語を歪曲し、『長崎しぐれ坂』を作り上げたのだろう。

 やれやれ。
 原作まんまを上演してくれればいいのに。
 植爺が余計なことをするから、壊れるんだ。

 ま、原作を自分で読んだわけじゃないので、ただの妄想にすぎませんが。

 こうやって考察でもしないと、こんな気持ち悪い作品を世に出す神経がわからないもので。

 
 『長崎…』が駄作なのは、日本物だからでも、江戸モノだからでも、タカラヅカらしくないからでもない。
 気持ち悪いからだ。

 もちろん、作品が壊れている上に、古くてダサいせいも、あるけどな(笑)。

 日本物でも、江戸モノでも、タカラヅカらしくない題材でも、お洒落でセンスのいい作品は作れるはずだ。
 壊れていない、まっとーにおもしろい作品は、作れるはずだ。

 なんだか、「客入りが悪い」のは、「日本物だから」とか「江戸モノだから」とか「タカラヅカらしくないから」とか、責任転嫁しそうで嫌だ。

 善良な観客は、主人公が可哀想だったり、死んだりするだけで感動して泣くけれど、そんなことで作品が壊れてない証明にはならないから。
 コレ、ぶっ壊れてるから。

 
 そして。

 こんなおそろしい作品で退団していく檀ちゃんや、キモ過ぎキャラの卯之助をけなげに演じているワタさんが、せつないのよ。

 あー、もー、大嫌いだ、植田紳爾。

 ……と。
 植爺嫌いが災いしての、妄想過多の暴言ですわよ。
 ええ、「嫌いだから悪口捏造してるだけじゃん」と思っていただいて結構ですわ。

 それでも5回観て、乗り越えたけどさっ(笑)。
 キモさを笑えるところまでたどりついたけど。

 「タカラヅカ」が好きだから。


 水くん船長の船、すごすぎないっすか??
 テーマが「漢」なのはわかるよ。『ミレチャ』でいうところの「ソーラン」のシーンだよね? 石田の大好きな、野郎野郎したシーンだよね?

 なにがすごいって。

 水船長の後ろのW2番手が、ハマコとまちかなんですけどっ。

 ハマコとまちか?! な、なんなの、そのものすごい並びはっ。
 ハマコ−水−まちか、って、わたしへの挑戦ですか、そんな並び。

 そして、この海の荒くれ野郎ども。
 ヒゲ率高し。

 ……もっと美しい船員たちでも、いーんじゃないですか? なんでみんな、そんな漢らしー姿になってるの?

 ハマコ副長のヒゲ、すばらしいですよ!

 なにがすごいって、違和感ないことが。
 ブラボー、ハマコ。

 荒くれ水船長、ヒゲ熊ハマコ副長ときて、まちかくんの役割は。……どーやら、きれいどころ、です。

 クールビューティまちか!!
 オーマイガッ!

 すげえよ……すごすぎるよ……まちかが「きれいどころ」役割の船だよ……それくらい、他は荒くれ男たちだよ……。

 いや、実際、なんかきれーなんですけど、まちか!

 き、きれーだよな? クールビューティだよな? わたしだけじゃないよな、そう見えたの。…………誰か同意してーえっ!!

 そ、それとも、他の誰かきれいな人を、わたしの目がまちか変換したとか……?
 そう思ってしまうくらい、まちかにくらくら☆

 
 阿鼻叫喚の雪組ショー『ワンダーランド』を観てきました。

 なにしろ石田昌也演出だから。みんな期待より不安の方が大きかっただろう。石田はそんな人。

 石田ショーといえば、わたしは「ナンチャッテSF軍服」を思い出す。
 石田くんはアニメファンなのかな? って感じの衣装でプロローグを作るイメージ。
 それと、「漢」なシーンがあること。
 下世話なギャグ落ちシーンがあること。

 はい、『ワンダーランド』もそれらすべてを網羅してました。さすがだ石田。

 プロローグの男たちが勢揃いした瞬間に「ああ、石田だ」となつかしく思ったよ(笑)。
 このエセSFアニメコスプレみたいな衣装!! これぞ石田テイスト!
 アニメキャラ的な、意味のない模様のアップリケや、ポケットの多さが、うわー、安いなーって感じ。
 もう少しお金かけてくれてたら、それなりにかっこよくなりそーなんだがなー。安さの方が目立っちゃったかな。

 あ、でもわたし、所詮ヲタクなんで、石田のアニメコスみたいな衣装はわりと好きよ(笑)。

 花道から銀橋まで、勢揃いする男たち。センターに立つのは、ただひとり帽子をかぶっていない、壮一帆。

「壮くん、帽子落としました?」
 と、終演後ハイディさんが言うまで、わたしは「壮くんはひとりだけわざとかぶっていない」ものだと思い込んでました。

 真ん中だから、帽子ナシで目立つようにしてもらってるんだと思ってた。
 コムちゃん登場後はキムと対だけど、だからこそ、キムより目立つように、演出家が気を遣ったんだと思い込んでたよ……。意図して目立つよーにしないとイカンのだろうな、と。いやその、がんばれ壮くん!

 コムちゃんの登場は、愉快でした。
 バビュン! って感じ? アレ、当人はこわくないのかな?
 いちばん客席が沸いたのは、その一瞬ではないかと(それって……)。

 
 ところでさ、雪組って、スター多いよねっ!

 なんかもー、あちこちキラキラしていて、目がいくつあっても足りないぞ。
 なにしろ銀橋渡っちゃう5人口が、かなめセンターにオヅキ、くらま、ラギ、まことだからなー。この学年まで、スター認識なんだ。
 どさくさにまぎれて、せしるもオカマやってるし。
 今までショーの女装というとかなめくんの専売特許だったのが、ついに卒業か。そーだよ、かなめくんはこれから、どんどん男くさい男になるんだってばよ。

 かしげ、水の並びだけでも贅沢なのに、若手たちまでキラキラしてて、ああなんて充実してるんだろー、と堪能しました。

 女の子たちも、かわいいしさー。カウガールは反則だろー、かわいすぎ。あの巻きスカートのスリットがね……下はホットパンツ? ハァハァ。
 まあ、若干一名疑問な娘さんもいたけど。

 それにしても、愛耀子歌いすぎ。劇団はなにか弱みでも握られてるんだろーか……他のかわいくて歌のうまい子に歌わせてやってくれよ……。

 
 中詰めのトランプ衣装、好き。はじめて見た。新調かな。
 いちばんふつーなダイヤ柄がお気に入り。幾何学模様が好きだっつーのもあるが。

 『ワンダーランド』というタイトルから、わたしは「ああ、『不思議の国のアリス』をやるのね。遊園地の幼児ショーみたいにはしないでくれよ、石田」と思ってたら、遊園地は遊園地でも、『インディ・ジョーンズ』アトラクションノリではじまったので「そっちかよ!」と、盛大に突っ込んでいたんだが。

 いちおー『アリス』もやるつもりだったのね。トランプ衣装を見て納得。
 まーちゃんアリスで、水くんチェシャ猫で全編ストーリー仕立てでやってくれてもよかったのになー。ハートの女王ハマコとか。コムちゃんはその都度オイシイ役で登場して、まーちゃんアリスを守ったり導いたりしてさ。あー、キムはウサギ希望。かしげは帽子屋さん。

 まあ、ただのバラエティショーでよかった、かな。なにしろ石田だから、変なコトされて取り返しがつかないことにならなくて。
 ……かっしーの「記念撮影」は、取り返しがつかない部類だとは思うけど……まあ、その前に踊ってるのがオカマだからいいのか……?

 まーちゃんエトワールはびっくりしました。
 まーちゃんの歌声大好きだけど、エトワールはチガウやろ、と思っているので。
 それにびっくりしていたら、なんか怒濤のよーに階段降りして、コムちゃんが歌っていた。

 あ、あれ?
 なんなのこれ。時間なかったの?
 ビデオの早送りみたいな、情緒のないパレード。
 星組のパレードが変則的で落ち着かなかったのに、雪組もかよ。ふつーのひとりずつに拍手できるパレードがなつかしい……。

 
 芝居にしろショーにしろ、べつに怒り心頭なほどまちがってるわけじゃないし、嫌悪感もない。
 ただ、萌えもない。

 どんなどーでもいい作品にも、大抵どこかひとつくらいは萌えなシーンがあって、「あのシーンのためだけに通うわ!」と思えるもんなんだけど。
 今回は、それが皆無だった。

 だから「悪くないんじゃない? おもしろくもないけど」という感想になる。

 とりあえず壊れてるわけでもないんで、ひとのツボはさまざま、見る人にツボさえあれば、いいかと。

 わーん、かっしー、水く〜ん。
 通いたかったのに、とても通えないよー。

 
 雪初日を観に行ったのに、いちばん衝撃的で胸に残ったのが、炎にくちづけを@宙組ポスターだったとゆー現実は、いかがなものか。


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