花組公演『マラケシュ・紅の墓標』は、初日に観に行きました。ダンピングされたチケットで、2階A席で機嫌良く観ましたよ。
 そしてさらに、SS席で観ましたとも。こちらはもちろん定価ですわ。かなしみの5列目センター、ひとつ後ろの席は7500円、なのにわたしは1万円……わたしのチケット運って、なんかこー、いつもギリギリ感漂ってるよなあ、当たるだけマシか、友会……。
 千秋楽当たったかと思ったら2階の端席だし、今日(じつは23日だ)届いた『ゴールデン・ステップス』も端の端(友会席ちゃうやん、こんな端っこ!)だし、ほんとにわたしのくじ運って……っ!!
 いや、去年までカケラも当たらなかったから、まだマシなんだけども……それにしてもなんかこー、ギリギリ感が……。

 なにはともあれ、初日に観ているわりに『マラケシュ』の感想書いてなかったのだわ。
 他に書くことが多すぎて。

 てゆーか、『睡れる月』に萌えまくって、『お笑いの果てに』にウケまくって、『マラケシュ』の感想に辿り着かなかったんだわ……! 砂漠で迷うクリフォードのように!(笑)

 
 わたしがぼーっとしているうちに、kineさんが作品語りをいっぱいしてくれているので、それでなんか満足しちゃっている節も大いにあるんだが(kineさんのブログは http://diarynote.jp/d/42631/ です、よろしく!)。

 初日の段階で、わたしとkineさんとでいちばん意見が違ったのは、リュドヴィークの最期。

 最果ての地マラケシュに集う者たちの物語。
 恋人の犯した罪を自らかぶり、華のパリからここまで堕ちてきた男、リュドヴィーク@オサ。
 過去の傷を引きずって生きる彼は、同じ傷を持つ女オリガ@ふーちゃんに惹かれる。
 互いの姿に、失った日々を見たふたりは惹かれ合い、共にパリへ行くことを決意する。
 しかし。
 失ったはずの過去は歪んで現在につながり、パリに焦がれていた小悪党レオン@樹里ちゃんの渇望と破滅をBGMに、リュドヴィークはパリに行くことができない自分を知る。
 オリガに別れを告げ、彼女を未来へと導く力を持つ彼女の夫クリフォード@ゆみこにデザート・ローズを託し。
 リュドヴィークは、ひとり去っていく。

 
 えー、ひとから聞いたところ、プログラムにはいろいろ補足説明がしてあるそーで。
 わし、そんなもん買ってないからなにも知らんよ。
 舞台の上だけがすべて、補足説明なんぞ認める気はない(笑)。

 だからプログラムにリュドがどーなったか書いてあっても、関係ない。
 それに初日は、誰もそんな知識ナシで観、感想を語り合っていた。

 その、最初の感想にて。

 kineさんはリュドは死んだと思った、と言い、わたしは生きていると思ったと言った。

 舞台から判断すると、ラストシーンでリュドの生死は描かれていない。
 レオンは死したのち、ベドウィンの列に加わって去っていくが、リュドヴィークはそうじゃない。
 たしかにひとり客席に背を向けて去っていくが、それが死者の列に加わることなのかどうかまでは、描かれていない。
 彼の魂の放浪を象徴する姿にも見える。

 わたしは、彼は生きていると思った。
 何故か。

 その方が、救いがないからだ。

 死んで解放されるなんて、レオンのよーに解き放たれた顔をするなんて、好みぢゃないわ。

 生きて、汚れ続けろ。

 その方がより残酷で、好みだ。

 初日を観てすぐ、取り急ぎ書いた感想では、あて書きの話をした。クリフォードという「正しい」キャラクタに、ゆみこをあてたオギーの手腕に感心した。

 そして、主役であるリュドヴィーク@オサ。
 なんて容赦のないあて書き。

 結局のところリュドは、鏡に向かってひとりでぶつぶつつぶやいているだけの男だ。誰も愛していないし、誰の愛も受け付けない。
 究極のナルシストで、だからこそ孤独な男だ。
 彼の魂の乾きは、誰にも癒せないだろう。
 鏡に映った自分には、触れることが出来ないのだから。

 誰も愛せない、誰も救えない。

 だけど愛を求め、癒しを求め、自分と他人を傷つけながら、なおも生き続ける。

 死んじゃダメだよ、リュドヴィーク。
 生きて、苦しみ続けろ。

 その方が、絶対好み。萌え。

 続編希望、と思ったくらいだ、初日を観て。
 リュド主役でなくていい、誰かまた別の、マラケシュに堕ちてきた人の物語で。そこに、魂をさすらわせたままのリュドがちらりと出てくれればいいなと。
 ああまだ彼は、こんなに絶望したままなんだ、かなしいままなんだ、と思わせてくれるだけでいい。

 作品のまとまり的には、kineさんが感じた通り、きれーに死んでいることにした方が、落ち着くんだけどねー。

 わたしはほら、萌えを主食に生きているヲタクですから!

 オサ様演じるリュドヴィークが、生きて、苦しみ続けてる、なんて考えるだけで萌えですよっ。
 自暴自棄に自堕落に、アレな生活なんかしてくれると、さらに萌え萌えですよ。
 ムッシュ・コルベット@はっちさんには、絶対手をつけられているだろーし、他の男たちとも怪しいもんですなっ。
 わたし的にはレオンより、イズメル@みわっちとどうこう、てな気持ちなんですが。
 今回みわっち、かっこいーよねー。男らしいよねー。いいおにーちゃんぶりだよねー(笑)。妹の一花ちゃん、かわいーよーねー。

 イズメル × リュドヴィーク で!!
 うおー、デカタンな雰囲気に鼻血もんですわー。

 
 まともな作品語りはまたいずれ。


 わたしがのんびり感想を書いているうちに。
 『さすらいの果てに』の台詞が少々変更されたんですって? チェリさんから教えてもらいました。

 わたしが震撼した「せっかく追いつめたのに!」とかが、別の台詞になってるんですって?

 なーんだー。変えちゃったのかー(笑)。

 めちゃくちゃすぎておもしろかったのになー。
 そして、多少台詞をいじったくらいじゃ、あの芝居がマトモになることはありえないんだから、コワレたままでもよかったのに。

 しかし、公演途中で台詞を変更するなんて、よっぽど突っ込んだ人が多かったんだろうな(笑)。

 
 誰が注進したのか知らないけど、プライドないなぁ、中村A。横槍入ったからって、脚本いじるんだー。
 だってもう、幕は上がってるのにさ。できあがったものに、手を入れるなんて。
 演出を変えるでなしに、ただ変すぎる台詞だけこちょこちょ直すなんて。かっこわるぅい。

 そのプライドのなさに、心から拍手。

 いいものを作るために、少しでもクオリティを上げるために、することなら。
 かっこわるくていいよ。
 変なプライドにこだわって他人の意見をシャットアウトする人より、ずっと好きだ。

 
 ヅカの芝居ってなんで、まちがったまま誰も添削しないで上演されつづけるんだろー?
 いつも不思議だったよ。
 単純な日本語のまちがいとかさ。助詞の使い方、ソレまちがってるから! 程度のことも、平気で使用しつづける。
 誤字脱字を直すぐらい、「ここを変更したら、作品の質が変わる! 素人が口を出すな!」てな深刻な問題じゃないでしょうに。
 なんでそんなどーでもいいまちがいすら、正さずに上演しつづけるの?
 わたしみたいな素人でも、日記に誤字脱字があったらこっそり訂正してるのにさー。まちがったままだと、恥ずかしいから。

 ヅカの演出家って、恥ずかしくないんだろうか……日本語をあきらかに誤用したままとか上演していても。

 言葉だけでなく、演出やストーリーのまちがいまで、言い出したらキリがないけどさ。
 演出だのストーリーだのキャラ立てだのは、ほら、ひとの好みで左右されるものだから、絶対的な「正解」はないよ。どんなにまちがっていても、狂っていても、「わたしの大好きな**ちゃんが出ているから名作! ※※先生ありがとう、こんな作品が観たかったの!」てのはアリだと思ってるよ。
 しかし、日本語のまちがいとかはさー。「**ちゃんが出てるから、全部正しいの」では済まないだろー。
 

 誰も注意しないからですか? 「ソレ、明らかにまちがってますから!」って。
 それとも、「舞台は神聖。一度開演してしまったら、なにがあっても変更は一切しない」というルールがあるの?
 それとも、「俺の作品はいつも完璧、作品に対する賞賛以外の意見はすべてただの誹謗中傷だから、聞く耳持たない」とか?
 それとも、「途中での変更は混乱の元だから、まちがいに気づいてもあえて知らないふりをする」ことにしているとか?

 板に載ってからでも変更できる演出家がいるんだから、最低限ルールではなさそうだな。

 注意する人がいないのか、演出家が聞く耳を持たないのか。

 なんにせよ、一観客としてファンとして、少しでもおもしろいもの、いいものが観たいので、まちがいに気づき、変更してくれる作家には好意を持つよ。

 不思議なのは、なんで初日の幕が上がる前にソレができないのか、ということだが……ゲフンゲフン。

 修正する心意気は買うが、やっぱ『お笑いの果てに』はとことんコワレている方が愉快なんぢゃないかと思ってみたりなんだり……ゲフンゲフン。


 4月9日は、ひさしぶりにHOTEL DOLLY’Sメンバーがそろう日だった。

 みんなで雪バウ『さすらいの果てに』を観よう!!

 残念ながら、イベント発起人のサトリちゃんが来られなくなっちゃったんで、フルメンバーではなかったのだけど。
 チケットを用意してくれたのはサトリちゃんだったのよね……ありがたかったよ、前補助センター。美しい人たちを身近で観られて幸福でした。

 ドリーさんとは、数ヶ月ぶりの逢瀬。
 会えてうれしい会えてうれしい、きゃーきゃーきゃー。
 思いがけずマナさんたちとも会えたし。うれしいうれしい、きゃーきゃーきゃー。

 ねえねえドリーさん。
 あたしさぁ、いつも持ち歩いているミニパソ、最後のケロ祭りの日のままにしてあるの。
 今年の1月8日、トークショーからの帰りのバスの中で、ネットにつないだ。ドリーさんのブログを開いた。
 そのときのまま、画面を残してある。
 1月8日「罪作り」とゆータイトルの、ドリーさんの日記のまま。

 それきり画面の更新をしていないので、ずーっとそのまま。
 わたしのミニパソの中でだけ、時を止めてあるの。

 ミニパソくんはどこで電源落としても、次に電源を入れたときに前のままの画面が残ってるのね。いちいち「Windowsを終了する」てな作業をしなくていいのさ。
 ミニパソでネットするときは、べつにブラウザ画面立ち上げてるから、ひとつだけ時を止めた画面があっても平気。

 
 どうしてかなあ。
 あの画面は、消せないのよ。
 更新できないの。
 ずっとずっと、時を止めたまま。

 痛くて、せつなくて、そして幸福な記憶。

 
 この、痛くてせつなくて幸福な記憶を共有する仲間たちが集まった日に。

 チェリさんがわたしに、思いがけずプレゼントをくれた。

 頭に星をつけた、青いカエルのぬいぐるみ。

 
 MOON FROG  “いつも見守ってるよ”
 生息地 : 空
 性質 : 好物は月見団子
 〜夜眠れない人へ〜


 12月26日、あの日わたしが握りしめていた赤いカエルと、対になるだろーカエル。

 星で、カエルだなんて。
 しかも。
 おなかには、月と星がついてるの。

 月組と星組にいた、わたしのカエルさん。
 いや、雪組にもいたけどさ(笑)。印象がより強いのは、月組時代と、星組。

「赤いカエルと、一緒に飾ってください」

 と言って、手渡してくれたの。雪バウの幕間。

 いやあ、不意打ちだったからさぁ。
 青いカエル見て、アタマの星見て、おなかの月と星見て、そして、タグについてるメッセージ見て。

 腰砕けちゃったよ(笑)。
 その場で、坐り込んで泣いちゃった。

 バウホールの床に、ぺたんと坐り込む日が来ようとは、その瞬間まで思ってなかったよ。
 『お笑いの果てに』を見て、大笑いしていたのにさー。

 “いつも見守ってるよ”

 ってソレ、直撃ですよ。
 串刺しですよ。
 わーん。

 
 チェリさん、ありがとう。
 今もカエルは2匹並んで、パソコンの横にいます。

 kineさんにもらった、赤いカエル。白いセーラー帽をかぶった水兵さん。
 チェリさんにもらった、青いカエル。黄色い星をつけた夜の使者。

 旅立つ者と、見守る者。

 
 並べてみると、赤いカエルはすでにうすら汚れている感じが……握りしめすぎたんだよねー(笑)。


 なんか作品についての文句ばかりで、マイナス面ばかりを書いているのって、自分でもヤだから、キャスト話もする〜〜。
 『さすらいの果てに』、壮一帆主演バージョン。

 なんといっても話題騒然なのは凰稀かなめ。

 あまりの美しさとかっこよさ、セクシーさに、彼のことで持ちきりだった、幕間と終演後。

 前回のドラマシティでは力不足が出過ぎていたけど、どーしたこったい、今回のこの華々しい変化は。
 顔とスタイルがいい、だけがウリでここまで来ました、てな子だったのに、男役になってるよ。
 きゃーん、すてきぃ。かっこいー。

 サービスよく開けた胸元と、モミアゲに乾杯!!

 いやあ、彼のモミアゲは要チェックですよ!
 長くて太い、までは、いい。ここまでやる人だって、たまにはいる。
 しかし彼の場合、その長くて太いモミアゲが、で書かれているのですよ。塗りつぶしてないの。細い線をたくさん描くことで、モミアゲにしてあるの。
 しかもその線が。横線なんですよ!!

 モミアゲってふつー、縦線だよねえ? そして下を細く長く尖らせたり角度付けたりしてるよねえ?

 なのにエドウィン中尉のモミアゲは、長く太く、しかも横線で描いてあるんですわよ!!

 ルパン三世に出られますよ! 銭形警部とタイマン張れますよ!!

 その男気に拍手!!

 ワイルドな色気にあふれているところもヨシです。これでまだ研6。将来がたのしみですな。
 「こんな男に抱かれたい」と女に思わせてナンボですよ、ヅカの男役! がんばれかなめくん。

 
 さて、彼に次いで話題沸騰は、いわずとしれたアフロ犬・オヅキ。

 すみませんわたし、彼が1幕の最初、無言で舞台を横切っていっただけでツボ直撃されて、大笑いしてました。

 だってオールバックだよ?
 あのアフロ犬(『スサノオ』新公参照)が、軍服着て真剣な顔して、「大人の男っ」て感じで黙って歩いていくのよ?

 あー……やっぱいいなあ、オヅキ。

 昨今のかわいいきれい系アイドル男役しか生息しないタカラヅカでは、絶滅危惧品種。
 保護せよ、保護。

 このままうまく育てば、大型のスターになると思う。
 彼に大輪の華と色気が加われば、こわいモノなしだ。

「星組に組替えを!」
「今すぐワタさんの下で新公をやらせるんだっ」

 と、星担なわたしたちは意見白熱。
 今の雪組の白さに染まって欲しくない。色濃く男臭く育って欲しい。
 もちろん、今の雪組で、今の人たちの間にいるオヅキが好きだけど。

 ニコリともしないクールな大人の男を、オヅキ、全霊をあげて演じております!!
 うひょー。
 かっこいいぞー。色っぽいぞー。ただし語尾に(笑)がついてしまうのはオヅキだからかしらー。

 落ちぶれて再登場してからは、いきなり前髪ぱらりですよ。いやあ、わかってますねっ。いいですよ、いい。

 オヅキにはぜひ、二枚目になって欲しい。
 三枚目に流れる方が楽というか、持ち味に合っているだろーけど、ここはどうか踏ん張って、美形修行を積んでくれ。それが明日のタカラヅカのためだ。

「かなめちゃんってスタイルいいよねー。『ドリキン』のときとかさあ、息のんだよねえ」
 てな会話に、ついついわたしは付け加えてしまうのよ。

「オヅキだってスタイルいいよー。そのかなめくんと対だった『ドリキン』の極楽鳥。チチのでかさはオヅキの方がすごいって!」

 いや。その。ヅカの巨乳愛好家のわたしとしては(愛好家かいっ)、オヅキの胸の谷間には釘付けだったからさぁ。
 かなめくんは女が見て最高のプロポーションの持ち主だと思うが、オヅキはかなめくんよりボンバーで肉感的、オトコ好みかなぁ、とか。……意味ないか。

 とまあ、毎公演確実に男ぶりを上げている緒月遠麻。

「ねえこの緒月遠麻って子、オカマ役をよくやる子でしょ?」
「そうそう、いつもオカマ役をやっている子!!」

 後ろの席のおばさま方が、プログラム開いて話してました……オヅキの世間認識って……ッ!!

 
 さて、オヅキが「オカマ御用達」キャラ(違)ならば。

 ヒロイン、涼花リサちゃんは。

「ねえねえ、この涼花リサって子、今までどんな役やってた?」
「ほら、この間の壮くん主演バウで、奥さんやってたじゃない」
「えっ、ヒロイン?」
「じゃなくて、愛のない妻の方」

「チャルさんに、後ろから抱きしめられていた女の子よ!!」
「ああっ、わかった、あの子だ!!」


 …………誰主演作のなんて役、じゃなくて、チャルさんとのエロシーン認識ですかっ!!(笑)

 えー、正式タイトル失念の壮くんバウで、チャルさんにエロエロされていた美女。
 あのときから、ものごっつーかわいい子だったけどさ。

 ほんとにかわいいよ。
 ああ、ヒロインってのはこれくらいかわいくなきゃだわー。

 とくに最初の舞踏会シーンでは、ドレス姿がすげーきれい。派手な衣装に負けず、ちゃんと「ヒロイン」している。
 主役の壮くんとの並びがお似合いの美男美女。
 しどころのない役だが、若さや純粋さ、いっぱいいっぱいさも魅力だと思う。

 
 こんなに台詞喋ってるのはじめて見た! ってゆーか、歌声はじめて聞いた! の、谷みずせ。
 ははは、この人演技するとこんなふーになるのか……(笑)。
 ショーだとか芝居の背景だとかで、なんとも温度の低い、覇気や幸福感に欠けるみょーな雰囲気を醸しだしている美人さん。
 役のせいもあるだろーけど、ものごっつアタマ悪そう(笑)。
 そしてそれが、すげー、かわいい(笑)。

「谷みずせにしっぽが見えます……しっぽが……しっぽがー……」

 と、わたしと同じ顔の趣味を持つデイジーちゃんが繰り返していました。
 ええデイジーちゃん、わたしにも見えたわ、しっぽ!!
 盛大に振られていたわね!

 犬のしっぽ。
 きゅーんきゅーん、わんわんわん!!
 うれしいときは全開で振られ、しょぼんなときはぺったりうなだれ……ああっ、こんなところに犬がっ!!

 おバカでかわいくて素敵です、谷みずせ。
 美しさはすべてを凌駕する。

 
 そうそう、主役の壮いっぽくんですが。
 彼のキャラでいちばんウケたのが、「赤ん坊を抱いているかつての恋人」の姿を見て、回れ右してしまうところ。

 ヤッてなかったんかいっ!!

 自分の赤ん坊かも? とカケラも思わないところが壮一帆って感じで、大好きです(笑)。
 キムくんがこの役を演じるときは是非、「俺の子ども?! いや、計算が合わない」てな迷いを付け加えてくださいねっ。
 キムならヤッてるだろう!(笑)と思えるから。はぁと。


 どうしてこの子を好きだったか、思い出した……。

 爆笑コメディ『さすらいの果てに』を観ながら、思ったんだ。

 純矢ちとせくん。

 顔の好みでいうなら、谷みずせの方が絶対好みだ。群衆の中で「あっ、あの子好み」と見つけるのは、谷みずせ系の顔。わたしと同じ好みをしているデイジーちゃんと「やっぱあの顔だよね〜〜」と盛り上がれる、好みの顔。

 はじめて観に行った数年前の音楽学校文化祭で、わたしが注目したのは凪七瑠海、望海風斗、夢咲ねね、そして暁郷(笑)。すみれ売りで写真を撮らせてもらった美弥るりか、明日海りおはどこにいるのかわかんなかった……(素顔しか知らなかったんだもん)。
 そして、いちばん興味を持ったのが、純矢ちとせ。

 わたしの顔の好みは「切れ長の細い目と長い顔、受け口と尖ったアゴ」とゆーデイジーちゃんとかぶっているパターンと、もうひとつ「カエル顔」とゆーのがある。
 でかい目が離れていると、好み。でかい口が横に広がると、好み。
 ケロちゃんは、わたしのこのふたつの好みがほどよくミックスされていたと思う。
 ゆみこちゃんとかそのかとかあすかちゃんとかは、わたしの「カエル顔スキー」ハートにぐぐっとくるのよ。

 ちとせくんは、「カエル顔」系だった。
 だからたしかに好みの顔だ。

 でも、初舞台からこっち、首を傾げていた。
 たしかに好きな顔だけどさー。わたしのいちばんの好みとはチガウんだよなー。なんでわたし、この子を好きだと思ったんだろ?
 男役とゆーより、まるまるした「女の子」に見えるちとせくんを眺めながら、そう思っていた。

 その謎が、今回よーやく解けた。

 
 通し役ももらっていない、脇の下級生のひとりにすぎない純矢ちとせ。
 しかし。

 ものすげー、アツい。

 そうか……。
 文化祭でいちばんわたしの目を引いたのは、なによりも芝居でだったんだ。
 かわいい女の子女の子した顔じゃなくて。男役にしてはえっと、てな小柄さだとか、スタイルの微妙さじゃなくて!!

 クドい、「男役」な表情。
 それが、好みだったんだ。

 思わず、過去の日記を確認しに行っちゃったよ。
 2003年2月23日の日記で、やっぱそう書いてるよ。
 日舞のときのカエル顔がとても好みだったこと、そして芝居の表情が好みであること。
 (ちなみに、最後あたりに、「男役としてソレは財産だが、年頃の娘さんとしてはどうよ?!」と余計な心配をしている生徒さんは、言わずとしれた暁郷のことだがなっ・笑)

 『お笑いの果てに』で、本筋とは関係ない、いてもいなくてもかまわないよーな借金取りの役をやるちとせくんを見て、わたしゃ抱腹絶倒だったよ。
 声殺すのに必死。

 やりすぎだから、借金取り!! そこまでしなくてもいいから!!

 てなレベルまで、ひとりでがんばってるの。濃いの。

 かわいい童顔にヒゲまでつけて。てゆーかアゴまで書きますか、ヒゲよ!

 そうか……そうだったんだ……。
 群舞のひとりだとか、通行人だとかしかやっていない本公演では、すっかりわかんなくなっていたよ。
 どうして君を見つけたのか。
 ショーではまだかわいさばかり、小柄なことが災いしてか、かわいこちゃんとしてしか使ってもらえていないことだしね。

 こんなに、濃い子だったんだ。
 熱い子だったんだ。

 ハマコやさららん、そして暁郷を好きなのと同じハートで好きなんだわ。
 手加減ナシで熱く突っ走る人が好き。格好つけずに好きなことを「好きなんどぅわぁあっ」と全身で叫ぶ人が好き。

 ヒゲ中年男を、そりゃーもーたのしそーに演じるちとせくんを見て、自分の好みを再確認したよ。

 そりゃ、デイジーちゃんがちとせくんを好きになれないわけだ……(笑)。
 デイジーちゃんとわたしは、「男の顔の好み」が笑えるほど一致しているが、わたしのもうひとつの好みのタイプは、彼女にとっては鬼門系なんだよねえ。アツ過ぎる人、苦手らしいのよ、ハマコとかハマコとかハマコとか。

 モブ兵士のひとりとして出てきても、無駄にアツく戦って死んでいくし。
 いいなあ、その体当たり感。
 フィナーレもいちばん端っこでやたら濃くアピールしながら踊っているし。

 すばらしいよ、ちとせくん。
 どうかこのまま、濃いクドい男役として育っておくれ。
 そのアツさを忘れないでおくれ。

 わたしは、その温度の高さが好き。

 でもお願い、ハマコにはならないで。ハマコはひとりで十分です(笑)。


 謎の看護婦登場により、さらに別宇宙へかっとんでいく抱腹絶倒ギャグ芝居『さすらいの果てに』の感想、その3。あれ? 4かな?

 
 ふつう、物語には伏線っちゅーものがある。
 そのシーンでその人が出るのには、理由がいるのだわ。
 1+1=2、みたいな数学的な理由だ。精神論ではなく、現実論。
 コレが壊れていると、物語は駄作になる。

 さて、物語も後半、それもさらに終わりの方になってから、ある看護婦が登場した。
 病院だから、看護婦がいるのは仕方がない。
 しかし、この子はなんだ?
 ジェフリーくんを理解し、母のよーな愛で見守り、諭し、癒すのだ。そして女の子としても、ジェフリーくんに思いを寄せているらしいのだ。

 この子の存在のめちゃくちゃさは、例を挙げるならば。

 ……こうして桃太郎は、さる・いぬ・きじのお供と力を合わせ、鬼ヶ島の鬼を退治することが出来ました。さあ、鬼が隠していたたからものを持って、おじいさんとおばあさんのところへ帰りましょう。
 そこへ、ひとりの娘が現れました。
「桃太郎さん、あなたは、あなたを育ててくれたおじいさんとおばあさんに感謝しなければいけないわ。人は感謝の気持ちを忘れてはダメよ」
「そうですね、娘さん。ひとにはやさしく、いつも感謝の心を持って生きなければ!」
「そのとおりよ!!」
「ありがとう、娘さん」
「元気でね、桃太郎さん。おじいさんとおばあさんによろしく」
 そして桃太郎は、おじいさんとおばあさんの元に帰り、みんなで末永くしあわせに暮らしました。めでたしめでたし。

 なんなの、この娘って?? 突然出てきて、倫理的にいいことを言っているけど、なんでそれをわざわざここで、あんたが出てきて言わなければならないの?
 作品の大筋となんの関係もないのに、ただテーマを台詞で言うタメだけに登場するって、物語として最低最悪の部類ですがな。溜息。
 そんなことしたら、なんでもアリになるわな。『シンデレラ』のラストで硝子の靴を持ってシンデレラを捜しているお城の人たちの前に、突然「最近の宝塚歌劇、どう思います? こまったときの『ベルばら』頼みって、なさけなくありません?」と一席ぶつ通行人が現れてもOKってことじゃん。ただの通行人、街には通行人がいて当然よ、てな理屈で。
 なにかしら「いいシーン」を作りたいわ、と思ったら、いつでも突然好きなときに、脈絡も意味もなく、キャラクタ増やして言いたいことだけ言わせて、本筋とはなんの関係もなく、ソレで終わり。でも観客はバカだから、てきとーに「泣かせる台詞」を言わせておけば、勝手に感動してくれるからOKてか?
 いやその、観客べつに、そこまでバカじゃないし。

 あまりに本筋と関係ない謎の看護婦登場、スポットライト浴びて長々とひとりで歌っちゃったり、このシーンだけ見たら、主人公は彼女てな視点の混乱ぶりに、笑うしかない。

 そのうえ、ジェフリーの死んだ父と瓜二つ(てゆーか同じ人)のエドウィン父@汝鳥伶サマまで現れた日にゃあ……。
 看護婦とWパンチで、破壊力増大。すばらしい景気の良さ。

 『お笑いの果てに』は全部が全部壊れていて、どこをどうしたらまともになる、てな生やさしいものじゃないけど、この看護婦を出さないだけでももう少しマシになるのになー。
 こんな看護婦出している暇があったら、ヒロインのはずのエレノアを描けばいいのに。えっ、ヒロインはエドウィンでしたっけ?

 この看護婦のくだりを正しく機能させたいのなら、全編改稿するしかない。そう、彼女をヒロインにして、エレノアの存在は抹消する。父への確執と復讐だけにしぼる。
 つまり、ヒロインの存在を危うくするほどの重心なんだよな、看護婦。それほど壊れた存在。

 そして、それほどの重心で出てくる看護婦のことを、ジェフリーがまったく気に留めていないのがまた、ジェフリーのキ*ガイさに拍車をかけている……。
 ふつー、これほどの重心で人が人に接する場合は、双方向になる。助けてもらったらありがとうって言うでしょ? 叩かれたら痛いでしょ? そーゆーあたりまえの反応。
 だがジェフリーは看護婦になんの意識も向けない。そこにいて会話しているのに、ジェフリーに看護婦は見えていないんだ。
 気持ち悪い……。
 「せっかく追いつめたのに!」という台詞と同じくらい気持ち悪いのは、これらのエピソードがすべてジェフリーの脳内完結ぶりを表しているからだろう。
 見たいモノしか見ない。感じない。他人と正しく関わることが出来ない。

 おそろしい……。

 
 でもってもう、この作品について語ることに疲労感ばかりが募って、この通り文章もおもしろくなくなっているので、このへんで強引に終わりたいと思う。
 まあ、作品に相応しい感想の終わり方だと思うし。ははは。

 んで、あとは駆け足。

 ストーカー被害者だったクレイトンは、都合よく死期を迎え、いきなり懺悔をはじめてしまうんだな。
 ジェフリー父の冤罪に、たしかに彼も関係していた、と。
 拷問された容疑者が、苦痛から逃れるために嘘の自白をしているよーに見えてしまうあたりが、この作品のチャームポイント。壊れた脚本って素敵です。
 彼の自白ではじめて真相がわかるわけだから、今までジェフリーがしてきたことは魔女裁判と同じなんだが、勝てば官軍、容疑者が自白してくれたから、それまでジェフリーがしてきたことは全部正当化、「正義のジェフリーくん・悪をやっつけろ編」はハッピーエンド。よかったね。

 あとは「ハンサムジェフリーくんのラヴストーリー編」なんだけど、こちらも素敵にコメディ。
 父の冤罪を晴らし、意気揚々と凱旋してきたのに、なんと彼は死んだことになっていた。ありえねえ。死人がどうやって事件の真相を世間に認めさせたんだ? いやあ、ささやかなところでも笑わせてくれる芸の細かさに脱帽。
 辻褄があっていなくても平気。だってこれはそーゆー物語。
 やりたかったのは、「戦死した恋人を待ち続けるヒロイン」と、「死地をくぐり抜けて愛のために生き抜いた主人公」の感動の再会でしょ? 書きたかったのは、「再会」。それまでの過程じゃなくて、ただこの記号のような再会。
 ……それまでの過程をいい加減にして、「定番すぎてパクリとも言われないテンプレ的」な再会シーンをやっても、意味がないことを証明してくれた、すばらしいシーン。
 場内爆笑。
 とってつけた小ネタに観客は気持ちよく笑うことが出来る。すげえよ。ラストシーンで笑わせるなんて、他の「シリアスなラヴストーリー」ではできないことだよ!
 最後の最後まで、ツッコミを入れさせてくれる、捨て身の誘い受作品。

 ありがとう、『お笑いの果てに』。ものすっげーたのしかった。


 絶好調でギャグ芝居『さすらいの果てに』の感想を書いているところだが、日付の関係で本日は花組新人公演『マラケシュ・紅の墓標』の話。

 ……そーいや本公演の感想もまだ書いていないよーな気もするが……まあいいか。

          ☆

 温度の上がる瞬間、てのがあると思う。

 ナマモノ−−ライヴであることの醍醐味。
 映像を一方的に眺めるのではなく、同じ空間を共有するということ。

 それがあるから、この映像の進化した時代に「舞台」なんちゅーエンタメが存続しているのだろう。
 

 クリエイター荻田浩一の、はじめての「新人公演」。
 そーなんだよ、オギーってばキャリアはもうそこそこ重ねてきているっていうのに、新人公演ははじめてなんだよ!

 今さら説明するのもなんだが、新公ってのは、本公があったうえで存在するものだ。
 宝塚大劇場で上演される公演を、1日だけ研究科7年以下の若手たちだけで上演する。衣装も舞台セットもなにもかも本公演まんまに。
 キャスト以外はすべて、本公演と同じ。

 つまり、本公上演経験がない作家の作品は、新公もない。
 バウホールその他のハコで何本芝居を作っていようと、新公はない。

 オギーはバウホール作家であり、ショー作家だ。
 バウホール作品に、新公はない。いくら大劇場作品でも、通常ショーは新公にならない。

 オギーは、大劇場で以前一度だけ芝居を上演している。
 しかし。
 そのときの新公は、芝居ではなく名作ショー『ノバ・ボサ・ノバ』だった。芝居『螺旋のオルフェ』ではなく。

 だからこの期に及んで、はじめてなんだ。オギーの新公って。

 オギーの独特の作品を、別キャストで観られる。
 この意義は、大きい。

 なにしろオギーは、同タイトルの同作品でも、キャストが替わると新キャスト用に新作と言っていいくらいのアレンジをしてしまう人なので。
 純粋な「役替わり公演」は、はぢめてだ。

 さあ、いったいどうなるのか。

 
 結論から言えば、役替わり公演などではなく、ほんとに純粋に「新人公演」だった。

 キャストに合わせた変更皆無。
 淡々と本公のコピーをしていた。演出も演技もテイストも。

 なるほど、こうくるのか。
 それはそれで、いろいろ感慨深いし、おもしろい。

 
 主役リュドヴィーク@朝夏まなと。2002年初舞台の研4、たぶんまだハタチ……。
 こんな若い若いお嬢さんが、いきなり主役に抜擢されてびっくりだ。
 えー、男役で若い子のまさかの抜擢って、いつ以来だ? 研4以下で主役やったのって、最近では2001年の音月桂ぐらい? 20世紀のうちは、きりやん、タニ、水といろいろ抜擢してたけどさー。
 最近は手堅く研6や7でよーやく主演、それでもいっぱいいっぱいだよねえ。
 研4で抜擢といったって、キムくんはそれまでも十分抜擢されていた。研2のときからトウコの役をやっていたりしたわけだからな。研4で主演が来ても、それほど早すぎた感はない。
 大型新人として早くから注目されていたれおんだって、研5でよーやく主演。

 しかしまなとくんは、マジで抜擢だ。だって前回の新公でも、名前のある役やってないよねえ? 群衆とかやっていたよねえ?
 観た人が極端に少ないバウホール公演『くらわんか』の、いちばん知名度の低い役替わり配役(初日も楽も含まない、映像にも残らないパターン)で、2番手の貧ちゃん役をしただけ。
 そんな子が、突然主役。

 それだけで、ドラマだわ(笑)。

 まさかの抜擢、ヲイヲイ主役ハタチの小僧だってぇ、大丈夫かよぅ、大人の男が演じられるのかぁ? とか、観客の期待を懸念を一斉に受けての1時間半。

 立ち姿の美しさ、スーツの着こなし、演技、歌、すべてふつーに新公メインキャスト・レベル。
 とくにこれといった破綻もなく、これといった売りもなく。

 もちろん、その若さ、突然の抜擢を受けてこのレベルを見せているのだ、ということ自体が売りと言えるだろう。

 しかし不思議なもので、「若さ」以外に破綻のないキャラは新鮮味に欠けるのだ(笑)。
 むしろ、レオン@みつるの愉快にブッちぎれている歌や、登場時から変態ムード最高潮のギュンター@りせの方が、話題になったりする。

 まなとくんはいろいろと「ふつー」だから、ふつーに流して観てしまいそうだなあ、てな。

 そのふつーに若くてきれーで破綻のない主役がだ。
 どんどん、役に入り込んでくるのがわかるのな。
 彼のまとう緊張感ゆえ観客も拳握って観ていたんだが、観客が「なあーんだ、ふつーにやれる子なんだ」と緊張を解いていくのに比例して、彼も「役」に入っていく。

 ライヴだということ。
 同じ空間を共有しているということ。

 彼は「役」に入り、動き出す。
 折りも折り、無理な大人の演技、厭世観が必要なマラケシュの場面が終わり、等身大の姿で勝負できるパリの回想シーンになる。

 田舎から出てきた青年が、ステージスターに恋をする。
 はじめは高嶺の花。手の届かない大輪の花。
 しかしどんな巡り合わせなのか、彼の一途な瞳に彼女が振り返り、ふたりはあるがままの姿で向かい合う。
 舞台の上のスターと、裏方の掃除夫としてではなく。
 ひとりの男と女として、恋をする者同士として、向かい合う。

 温度の上がる瞬間、てのがあると思う。

 リュドヴィークとイヴェット@きほちゃんが見つめ合い、歌い出したそのときに、温度が上がった。
 あ、舞台が変わった。リュドヴィークが、イヴェットが、変わった。

 空気が動く。
 熱が動く。

 ふたりの間にある熱、ひとりでは出せない熱。
 見つめ合ったときに、なにかが起こった。

 うわ。
 気持ちいい。
 今、ここにいるということ。
 同じ空間を共有しているということ。

 ひとは、ひとを動かす力がある。
 感動させる力がある。
 もちろんそれは技術も大きいけれど、それ以外の部分もある。それが、ナマの舞台……ライヴのおもしろいところだ。
 茶の間でビデオを見ているだけじゃわからない、皮膚感覚。
 それがあるから、どんなに映像技術が発達しても、完璧なSFXがあってもCGがあっても、ひとはひとの演じる生の舞台を観に行くのだろー。

 なにはともあれ、初主演おめでとー、貧ちゃん。
 涙をこぼしながらの挨拶に、どれだけの想いを乗り越えて君がここに立っているのか、逃げずに戦い抜いて、立っているのかがあらためてわかったよ。
 キャストの成長を見守るのが、ヅカの楽しみ方のひとつ。まなとくんの成長過程は、きっと多くのヅカファンをたのしませることでしょうな。

 
「よくもやったな、悪人め!」
 突然、クラスメイトが襲いかかってきた。おれにはわけがわからない。誰だ、コイツ? 同じクラスだから顔は知ってるけど、口をきいたこともろくにないぞ?
「お前が、石を置いてボクを転ばせたんだ! 悪者め!! なんの罪もないボクを、よくも!」
 石につまずいて転んだ? ソレ、自分のせいなんじゃ……? てゆーか、それとおれが、なんの関係があるっていうんだ? アイツが転ぶ前に、おれが道を通った? だって学校に行くためには、あの道を通らなきゃ行けないわけだし……。
 問いただすことも出来ない。アイツはひたすらおれに襲いかかってくる。道で出くわせば殴りかかってくるし、階段では突き落とそうとする。
 毎日、毎日だ。
「これは正義の復讐だ! 悪人をこらしめてなにが悪い!」
 と、わけのわからないことを言って、襲いかかってくる。
 このままでは、身が持たない。おかしくなりそうだ。
 ……やらなければ、やられる。
 あのストーカーを野放しにしていたら、おれはいつかおかしくなるか、アイツに殺されるか、そのどちらかだ。
 やるしかない。
 殺される前に、殺すんだ。

 
 とゆー物語が、わたしの頭の中を走り抜けていった。
 病院に現れたクレイトン大尉を見たとき。
 唐突に現れ、唐突にジェフリーくんに襲いかかる姿を見て。

 そうか、ついに逆ギレしたか!
 仕方ないよな、あそこまで電波ゆんゆんにストーカーされたら、戦うことを選んでも不可抗力、正当防衛だよなあ。

 
 雪バウ公演『さすらいの果てに』感想の続き。

 この作品の中での、わたしの最大級のツッコミは、ジェフリーがアフリカでクレイトンと再会したとき。

 クレイトンと事件の関係を調べる、と言っていただけだったのに、次にこの話題になったときは、クレイトンが真犯人というゆーことになっていた。
 えええっ?! そんなバカな! パパの書斎に入っただけで、真犯人認定?!
 ジェフリー、マジにアタマ変!!
 まともな会話も証拠も取り調べもなにもなく、一方的にクレイトンに「お前が犯人だーっ、うわーーっっ!!」と掴みかかり、エドウィンに止められたジェフリー。

 ここで彼が言う台詞に、わたしは、魂が震撼するのを感じた。

 
「せっかく追いつめたのに!!」


 
 追いつめてないから!! たまたま会っただけだから!!

 ジェフリーという男、それまでもかなりやべえとは思ってたけど、それは「言動が一致していない」「そのときそのときで別人格」というだけだった(いやソレ、相当イタイから!)。
 しかし、この台詞は、彼がマジにやばい人間であることを表している。

 ここでわかっている事実は、「ジェフリー父が冤罪ゆえに死んだ」「書斎から父の有罪証拠が見つかった」「事件の真犯人が他にいる」「事件発覚の直前に、クレイトンがジェフリー父の書斎に入った」これだけだ。
 クレイトンが事件に関係している可能性は高いが、絶対ではない。なにしろたかが書斎だ。いったい何人の人間が入ることができる場所だと思ってるんだ?

 いつも事件の真相を考え、いろいろ調べていたというなら、いざ知らず。
 そんなこときれーさっぱり忘れていたにもかかわらず、ひさしぶりに事件関係者の顔を見た。

 その途端、「事件関係者(かもしれない、程度)」 → 「こいつが真犯人!!」脳内変換した。
 たまたまそこで会っただけ、なのに、「苦労の果てに真犯人として追いつめた」脳内変換した。

 これは、マジやばい。
 自分の脳内で、自分の都合のいいストーリーを創り上げ、それを真実だと思い込む。これは、病気の域の心理展開だ。

 毎日同じ電車で会う彼女。名前も知らないし、口もきいたこともない。
 でも、毎日同じ電車で僕と会う。
 彼女は僕を愛しているから、同じ電車に乗っているんだ!!
 ごめんよハニー、気づいてあげられなくて。
 君は僕を愛しているんだから、僕が君にナニもしてもいいんだよね。当然のことだよね!!

 てゆーレベル?
 なんの証拠もないのに一方的に犯人扱い。しかも、「犯人だから、殺していい、当然の権利」だし。

 こわかったよー。ここまでコワレた人間を「主人公」として、しかも「正義」として描いてある物語って。
 ジェフリーって、「善良なぼっちゃん」なんですって……? 「壮くん、またいい人の役よー、物足りないわぁ」とか、言う人は言うんですって……?

 震撼しましたよー、渾身のツッコミ入れましたよ、「いや、追いつめてないから!!」って。
 マジ、こわかった……。

 
 さて。
 ヤられる前にヤれ、ってことで、ジェフリーくんを襲撃に来たクレイトン大尉。ご都合主義このうえなく、胸を押さえて倒れる。中村A芝居の定番。誰かひとりは絶対、胸を押さえて倒れなきゃね!
 さあ、復讐のチャーンス!! ジェフリーくんは病人相手に凶器を振りかざす。が、殺すことが出来ない。

 「何故殺すことが出来ないんだ、父の仇なのに!」てなふーに、ジェフリーくんはなんかすっごく真面目に苦悩しているよーなんだが、なにしろこの時点でクレイトンが犯人だという証拠はどこにもない。ジェフリーくんだけが宇宙からの電波か神の声を聞いて、犯人だと思い込んでいるだけ。苦悩すればするほど、「いやソレ、君が思い込んでるだけだから!」というツッコミが大きくなり、コメディとしてのベタベタギャグを観ている気分に。
 そしてここで、突然謎の看護婦クレア@大月さゆ登場!!

 この看護婦の謎ぶりがまた、すばらしい。
 彼女が登場することで、さらに物語としてのレベルが落ちるという、破壊力あふれる切り札。

 文字数がないので、続く〜〜。


「ねえ、質問なんですが、私が寝ている間に、あのクレイトン大尉が父親を陥れた犯人だっていう証拠がわかったんですか?」

 雪組バウホール公演『さすらいの果てに』の幕間、ドリーさんが言う。

「ちょっと気が遠くなっている間に、いつの間にか冤罪事件の謎が解けてるから、びっくりして」

 安心して、ドリーさん。
 ここ数日ろくに寝ていないにもかかわらず、眠気のカケラもなく隅から隅まで舞台を観、物語に集中していたわたしも、クレイトンが犯人だという話は、初耳だから!!

 抱腹絶倒の雪バウ『さすらいの果てに』。
 ちょっとおつむが不協和音の美青年ジェフリーくん@壮くんのパパ@汝鳥伶サマが、公金横領の罪で逮捕された。
「パパは無実だから、大丈夫」と当のパパが言うもんだから、ちょっとおつむがアレなジェフリーくんは、パパが逮捕されたことなんかすっかり忘れてしまった。
 そしたら、なんてこと! パパはしっかり有罪になって、獄死してしまった。がーん。
 「なんでパパを助けるタメになにもしなかったんだ!」と自分を責めるジェフリーくん。仕方ないよ、君、パパのことなんてきれーに忘れてたんだもの……。
 おとなしく自責してりゃーいいものの、ジェフリーくんは真犯人を捜そうとする。責任転嫁しなきゃね! 悪いのはパパのことを忘れてた私じゃない! パパを陥れた真犯人だ! ……いやもちろん、犯人がいちばん悪いんだけどね……なんだかね……。

 パパが逮捕される前に、パパの書斎に入った者がいる。クレイトン大尉@オヅキだ。クレイトン大尉ならパパを陥れるチャンスがあった!!
 さあこれから探偵やるぞーっ、てなときに、赴任命令。そう、ジェフリーくんは軍人さんなのだ。北アフリカで戦争やることになった。……ので、ひとつのことしかおぼえていられないジェフリーくんは、真犯人探しのことはまたきれーに忘れてしまった。

 さて、エレノア@リサちゃんという女の子がいる。ジェフリーくんの幼なじみだ。子どものころにお守りを交換したりなんだり、かわいいことをした関係。しかしもちろんジェフリーくんは彼女のことをすっかり忘れており、大人になってから再会したはいいが、「あのかわいい子は誰だろう、どきどき」と、初対面気分でときめいていたというお手軽さ。
 エレノアはたぶん、ジェフリーくんのおつむがアレだということを知っているんだろう。伊達に幼なじみはやってない。忘れられていても、カケラもめげずにアタックアタック!

 ジェフリーくんのパパが不幸な死を迎えたこともあり、孤独なふたりの心は急接近。戦場へ行くジェフリーくんとエレノアちゃんは、「必ず君のところへ戻るよ」「待ってるわ!」とゆー、恋人同士の定番会話を交わして別れるのだった。

 が。なにしろジェフリーくんはおつむに羽が生えているので。いつもメモリ不足だから、上書きしながらでしか作動できないんだよね。ひとつ考えたら、ひとつ前のことは消去されてしまうのだわ。
 北アフリカでエドウィン中尉@かなめくんっちゅー、ものすげー美形でセクスィ〜なおにーちゃんに出会ってしまった途端、どうやらエレノアのことは忘れてしまった模様。
 命懸けの危険な任務をすすんで引き受けるジェフリーくん。どうして死に急ぐんだ? とエドウィン中尉に問われ、「私は死んでもイイ人間なんだ」などと斜に構えて言ってみたりする。エレノアに「必ず帰る」と言ったことは、もちろん完全に忘れてる。そんなことより、エドウィン中尉を助ける方が大事!!

 なのに。
 いざ彼女からラヴラヴな手紙が来ると、ジェフリーくんのおつむは一転、「私の愛するエレノアよ」モードに切り替わる。砂漠で幻を見てみたりな。……お手軽……うらやましいほどお手軽……。

 パパの冤罪事件の真相を突き止めることは、きれーさっぱり忘れていたジェフリーくん。たまたまクレイトン大尉に再会した途端、細かいことはすべて忘れて真犯人=クレイトン大尉だ!! と、脳内完結した。ちょっと待て、彼はただパパの書斎に入った、ちゅーだけだ! なんの証拠もなければ、因果関係すらない!

 石につまずいて転んだ。なんでこんなところに石が?! そうか、ボクの前にここを通ったクラスメイトのアイツが、ボクを転ばせようと石を置いたんだ! ゆるせない! 復讐してやる!!

 ……そーゆーノリだよなー……。
 さらに。

 だってあいつは、石を置いてボクを転ばせたんだから! ボクがアイツを階段から突き落としても、当然だよな。これは正義の復讐だ!!

 とゆーノリで、ジェフリーくんはクレイトン大尉をぶっ殺そうと虎視眈々。
 みんなで戦争やってて大変なときに、同じイギリス軍、味方同士で殺し合い。……あのー、真面目に働こうよ……税金で給料もらってんだろ……? 強制招集された一般兵やなくて、職業軍人なんやろ、君ら。てゆーか、そんなことしてるから、仲間が敵兵に殺されちゃうんだよ……?

 おバカなジェフリーくんをかばって、なんてこったいエドウィン中尉が敵兵にやられてしまった。瀕死のエドウィンは、恋人のなんとかゆー娘(プログラム買ってないんでわからん)についてのことをジェフリーくんに託そうとする。
 が。もちろんジェフリーくん、聞いちゃいねえ!!
 エドウィンが苦しげに最期の言葉を口にしているのに、ジェフリーくんは落とし物のペンダントを探していた……。聞いてやれよ!! 抱いていてやれよ! おめーのために死ぬんだぞ?!
 えー、場所は砂漠なんだけどね。砂漠の真ん中で、落としたペンダントを探し当てるとゆー、警察犬もびっくりの特技を披露したジェフリーくん、意気揚々と「ペンダントあったよ!」と戻ったときには、あわれ、エドウィンは還らぬ人に……(涙)。
 エドウィンの遺言は、誰の耳にも届かず。……悲惨だ……はてしなく悲惨だ……。

 ジェフリーくんを責めてもイカンよね。なんせ彼、ひとつのことしか考えられないから。エドウィンがペンダントを落とした、ということだけで彼の思考回路はいっぱいいっぱい、瀕死の  恋人  仲間を放置して砂漠で探し物をするぐらい、あたりまえの行動だよね。

 命からがら、病院に収容されたジェフリーくん。ケガしたのは自業自得なんだが、そんなことはもちろん忘れて、悲劇のヒーロー気分は絶好調。
 今彼の頭の中にあるのは、腕の中で死んでいった愛しいエドウィンのこと。エレノア? 忘れてますよ、もちろん。思い出しもしねえ。元気に歩き回っていても、彼女の元に帰る気はまったくナシ。

 そこに何故か、突然現れたクレイトン大尉!! すげえ唐突だ!!
 そして何故か、突然ジェフリーくんに襲いかかる!! すげえ唐突だ!!
 そのうえ何故か、突然胸を押さえて苦しみ出す!! すげえ唐突だ!!

 
 うわー、たのしく書きすぎだよ、文字数がないよ!!(笑)
 翌日欄へ続く〜〜。


 えー、『さすらいの果てに』を観てきました。
 くわしい話はまた後日書きますが、今はとにかく叫びたい。

 抱腹絶倒。

 笑えます。心の底から笑えます。5分に1回脚本にツッコミ入れられます。

 作品は、ぶっ壊れてます。
 潔いです。
 整合性とか、リアリティとか、辻褄とか、なにもありません。
 ここまでくると、爆笑必至。

 最近の作品で、コレに一番近いテイストなのが『天の鼓』です。あれくらい、ぶっ壊れてます。
 『天の鼓』を観て、「なによこの駄作!」と怒った人には向きません。「おもしろい、おもしろすぎるぞ『天の鼓』!!」と大笑いした人なら、今すぐバウホールへGO!! 

 気持ちよく大爆笑できます。……あ、いちおーシリアス作品らしいので、笑うときは声を殺してくださいね。

 
 以下、とにかく羅列しておく。詳しいことはまた後日。
 ……幕間にしろ、終演後にしろ、これほど感想を語り合いたくなる作品も稀だ。わたしと友人たち総勢7人は、ものすげー勢いで喋りまくった。
 突っ込まずにはいられない、トンデモ作品だ。

 
・主な登場人物
  ジェフリー少尉@いっぽくん。……多重人格のイギリス軍少尉。きれい。でも薄い。たぶん主役。
  エレノア@涼花リサちゃん。……きれい。かわいい。ジェフリーの恋人らしい。ひょっとしたらヒロイン。ジェフリーにはよく忘れられる。
  エドウィン中尉@かなめくん。……ジェフリーの上官。美形。たぶん、ヒロイン。
  クレイトン大尉@オヅキ。……被害者。

・いっぽくん、バウ主演作多いのに、1本もまともな作品がなくて気の毒……。
・てゆーか、薄い……薄いよいっぽくん……。
・なにはともあれ凰稀かなめ。ジェフリーの愛は君のもの、その全開の美貌と色気、そしてモミアゲに乾杯☆
・オヅキ、美男子修行中。
・主人公はかなり電波系。宇宙と交信していても不思議はない。
・イギリス軍には、バカしかいない。
・その筆頭がウィリアム軍曹@谷みずせかもしれない。
・でも谷みずせ、きれいだ(笑)。
・ドリフ的コント多数。観客のツッコミ待ち。
・純矢ちとせ、無駄に濃い(笑)。
・ところでコレ、ミュージカルじゃないよね?(笑)
・1幕の終わりの意味不明さ。「砂漠で巡りあった男」って、誰のことですか? エレノアにとって。エドウィンにとって。クレイトンにとって。エドウィンの恋人さんにとって。
・ジェフリーひとりが歌っちゃ、場が持たなかったのか。
・戦死広報、てきとー過ぎ。世界は広い。同姓同名はいくらでもいる、らしいぞ。(例『それでも船は行く』)
・あの看護婦、なんなんですか? 『ホップスコッチ』でいうところのルーシー? 駄作感を盛り上げる不要キャラの独壇場。
・あ、看護婦役のお嬢さんは、かわいいし、うまかったっすよ。役が不要なだけ。
・死んだあと、元気にベッドを飛び降りてハケていく某被害者。
・ふたりの汝鳥伶様は、どうやら別人らしい。
・とりあえず、この主人公、人格壊れすぎ。絶対、友だちになりたくない(笑)。
・壮くんが何度も何度も何度も歌うテーマソング?に注目。「〜〜きたずー、〜〜きたずー♪」……きたず? なんだろ? わたしの知らない言語かしら。
・フィナーレでかなめとオヅキが歌う。「〜〜来たはずー、〜〜来たはずー♪」
・壮くん、「来たはず」って歌ってたんだ!!(愕然)
・早急に、「H」の発音が出来るようになってください、壮いっぽくん!
・客席が笑いにつつまれる主人公とその恋人の、感動の再会。
・作品はめちゃくちゃだが、とりあえずフィナーレはいい。

 てゆーか、ツッコミどころがありすぎて、忘れた(笑)。

 
 とにかく、マジでおもしろいです、『さすらいの果てに』。
 中村A作品だから観るのやめよう、と思っている人も是非一度ごらんあれ。
 最近の中村A作品の中でも、最悪ランクの駄作です。つまり、最強!

 めちゃくちゃおもしろい。
 行き過ぎた悲劇は、すでに喜劇。
 退屈なだけの平均点作品より、100倍おもしろいので、興行価値があります。

 なにより、キャストはとても美しいぞ!

 1回でいいや、と思ってたけど、あまりにおもしろかったので、また観たくなった。


 今さら過ぎて、書くのもなんだし、書きたかったことも忘却の彼方だが、書く予定だったから、こーやって1日分欄を空けてあったわけだし、やっぱし少しだけ書いておくかー。

 檀れいミュージック・サロン『DAN-ke schon!』のこと。

 わたしは、カエルの水兵さんと一緒に行った。
 2004年12月26日、東京宝塚劇場であのひとを見送ったとき、ずっと握ってたFROG STYLEのぬいぐるみだ。(2004年12月27日の日記参照)

 わたしのドルチェ・ヴィータ、麗しの檀ちゃんを見つめるために。

 カエルの水兵さんを連れて行った段階で、わたしの覚悟がわかろーというもの。
 ええ、ミュージック・サロンがはじまるやいなや、1曲目から、全開で泣いてました。

 たとえ曲がJポップス……ありていに言えば懐メロであったとしても、関係ない。

 退団を決意し、ソレが決まってしまった美しい人が、きらきらきらきらしながら舞台にいる、それだけで泣けて泣けて仕方ないんだ。

 うわあああ、檀ちゃんきれーだー。きれーだよー、うれしいよお、きれいってのはなんでこんなにすごいことなんだろう、きれいできれいで、せつなくて仕方ない。

 大好きな人が、いるべき場所で、しあわせそうに輝いている。
 ……それはこんなに、うれしいことだ。泣けて泣けて仕方ないことだ。

 カエルの水兵さんを握りしめながら、思ったさ。

 
 いきなり温泉芸者風ではじまるあたり、石田めっ! とは思ったけどな。
 この人、どーしてこういうはじまり方が好きなんだろう。
 昔、『ライト&シャドウ』っちゅー作品でもコレ、やりやがったのよねえ。
 ガンガンにロックなイントロで、民謡ショーはじめやがったんだわ……うわー、あのときのままかい。

 まあ、檀ちゃんの襟足が間近で見られたからよかったけど。いなせな和装姿で、客席練り歩いてくれたんだもんよ。わたしの席の前で一瞬立ち止まって歌ってくれて、生唾もんでした。はい。

 てゆーか。
 触りたい……。はっ、心の声がこんなところに漏れてしまったわっ。

 和服あり、ドレスあり、チャイナドレスあり、男装あり。檀ちゃん七変化、自由自在。
 
 かっこよくて、かわいい女性だと思う。

 
 「檀れい」という人を最初に見たのは、バウホール公演『イカロス』でだったと思う。かっしーの相手役、そしてケロの妻。
 そのときは、とくになんとも思わず。「組替えで来た人ね、きれーねー。ふーん」程度。

 次に見たのが、大劇場公演『浅茅が宿』新人公演。組替えしてきて即主役。
 この人、すごいかも? と思ったのは、この新公でとんでもねーハプニングが起こったんだ。
 落雷で、舞台が中断しちゃったの。
 舞台は進行しているのに、マイクが入らない。照明とか変になってる。
 どーなるんだヲイ、と思っていたら、幕が下りてしまった。
 途中だよ? たった一度の新人公演の途中。まさかの中断。
 何分後だったかな。また幕が開いて、中断した場の最初から上演しなおしになったんだけど。
 初の組替え、新公初主演、しかも自分が出ている場で中断、というコンボが決まっていたにも関わらず、このヒロインはふつーに舞台を務め上げたのだわ。
 うまい下手なんか、わかんねー。ただ、舞台度胸に感心した。

 どーやら雪組には、新公主役をしに来ただけだったらしい。すぐに月組へお嫁入り。
 彼女と前後してわたしのダーリンも嫁入り……あっ、チガウか、組替えしたんで、また同じ組の人になる(このへんわたしゃ雪担でありながら月担にもなっていた)。
 最初に夫婦役やったのもなにかの縁だよなー。組替え先に戻ってくるなんてなー。

 月組時代は、あまりに下手なんで、ちと辟易してもいたよ(笑)。きれーだからいいけど、けっこー芝居やシーンをぶちこわしてくれるよなー、と。
 でもその美しさとにヤラレていた。
 『BMB』の赤い花役で、ずきゅんと胸を撃ち抜かれた。
 降参です、美しいものは正しい。

 
 そんな、今までの思い出を噛みしめつつ。
 念願の男役(多分にナンチャッテ風味)も堪能したさ。
 ほんものの男役じゃなく、女の子がわざとかっこつけている風、なのがまたヨイのだ。
 ……本気の男役も見てみたかったけどなー(笑)。

 嶺恵斗くんのヘタレ具合も相まって(3月25日の日記参照)、途中から涙より笑いの方が多くなったけど、ラストでやっぱりどーんと泣かせてくれた。
 アンコール曲は河村隆一作『あなたに会いたい』……タイトルだけですでに泣きました(笑)。

 だってさ、別れの曲だよ? 別れる曲なのに、「あなたに会いたい」だよ?
 矛盾してんじゃん。会いたいなら、別れるなよ。ここにいろよ。どこにも行くなよ。
 ……わかってるよ。これから「別れる」からこそ、また「会いたい」んだよ。ずっと一緒にいたら、「会いたい」なんて思わないさ。
 「会いたい」と思えるのは、そばにいないからさ。
 孤独だと思うのは、幸福を知っているからだよ。
 さみしいと思うのは、幸福を知っているからだよ。
 痛いと思うのは、幸福を知っているからだよ。

 「あなたに会いたい」……そう思えるのは、あなたと出会い、そして今は別のところにいるから。会えないから。

 幸福だった。
 幸福、だった、から。

 ……「会いたい」という、別れの曲。
 前を向いて歩いていく女の子の歌。
 んなこと言われたら泣くだろう! さめざめ。

 
 ミュージック・サロンが終わったあと、チェリさんだったかな、「結局タカラヅカの曲はほとんどやらなかったですね」と言っていたので、わたしはこう答えた。
「それはサヨナラショーでやるんじゃない?」
 ケロちゃんはディナーショーがいわばサヨナラショーだったけど、檀ちゃんはチガウ。本舞台でのサヨナラショーが待っている。
 このミュージック・サロンは、あくまでも檀ちゃんと、檀ちゃんのファンのためのサービス・ステージだ。タカラヅカの娘役「檀れいというファンタジー」を、一緒にたのしみましょう、というコンセプトだ。
 サヨナラショーじゃない。

 ……本番のサヨナラショー、キツイだろーなー……。お笑い路線だったミュージック・サロンでさえこれだけ泣いたんだから……。
 また、カエルの水兵さんと一緒に行こう(笑)。

 
 あ、これはメモとして。
 ミュージック・サロンは、ディナーショーより狭い会場で開催された。
 狭いのは、いい。そのぶんステージが近いから。
 ただ。

 スタッフのサービスは、悪かった。

 仮にもホテルのディナーなのに、給仕の数がまったく足りていない。飲み物ひとつオーダーできねーのよ。誰もいないんだもん。
 ディナーショーのときは、グラスが乾く暇がなかったんだがな。次から次へと「お飲物はいかがでしょうか」って言ってきて。
 もともとメニューのレベルも低いのに、サービスまで低くなって、それでも値段は23000円……。
 高っ。


 下の欄で、言いたい放題ぎゃーぎゃー書いてますが。
 改めてここで、書いておきます。

 
 たぶん、タカラヅカに『ベルサイユのばら』は必要なのでしょう。

 原作のマンガは、時を経てなおすばらしい作品だし。
 世間一般の人々は「タカラヅカ=ベルばら」だと思っているわけだし。

 時代錯誤で劣悪な駄作だとしても、世間がそれを「タカラヅカ」だと思っているのだから、仕方ない。
 大衆が求めるものを上演するのが、ビジネスです。エンタメです。

 大衆(除タカラヅカファン)が求めているのだから、『ベルばら』にはそれに相応しい力があります。

 ヅカファン歴が浅く、まだリアルで『ベルばら』を観ていない人。
「タカラヅカといえば『ベルばら』でしょ? 観てみたいなー」と思っている人。

 とりあえず、体験してみてください。

 良くも悪くも、お祭りです。
 
 楽しむが勝ち。

 そう。
 ヅカファンは『ベルばら』の洗礼を受けて、ひとつステップを上がるモノ。
 『ベルばら』未経験者は、存分に楽しんでください。
 わたしも、平成元年の『ベルばら』はたのしんで観ました。……あのときは、『ベルばら』がナマで観られる、ちゅーだけで感動していたさ。
 若かったわ……純粋だったわ……。

 そーゆー純粋さは、そのとき限りのモノだから。
 豪華なドレスに目を奪われ、人の話やビデオでだけ目にしたことのあるオスカルが、現実に舞台の上にいる感激。

 作品が駄作であることなんか関係ない。

 作品が偽物にすぎなくても、それを観ているあなたの感動は本物だから。

 
 おお。
 なんかえらそーなこと書いてるぞ。見知らぬ人に語りかけてやがるぞ。

 いやその、下の欄の言い訳なんですがね。
 言い訳がえらそーなのは、どーゆーこっちゃ。
 あきまへんなぁ(笑)。
 
 
 言いたいことはひとつ。
 
 ディープなヅカファン(たとえば、緑野こあらとかな)が、どれほど口汚く『ベルばら』を罵っていても、気にせず自分の目でたしかめ、味わってくださいな。

 
 ワタさんのフェルゼンは素敵だろうし、となみちゃんのアントワネットは美しいだろう。
 コム姫オスカルは垂涎モノだろーし、かっしーと水しぇんがアンドレとフェルゼンのどっちをやるのか知らないけど、きっとかっこいいだろう。

 すずみんジェローデルが見たい見たい見たいー、すずみんは絶対貴族でなきゃいやー、平民はだめなのよー! とか。オスカルが誰かによって悶絶だなー、とか。
 ハマコがベルナールだったらどうしようとか(ありえない。でも見たい)、さらに愛耀子がその奥さん役(キャラ名は出したくない・笑)だったらさらにどうしようとか(ハマコがアリなら絶対アリだ。いやすぎる・笑)、新公はかなめオスカルにオヅキアンドレかよおもしろすぎ、とか、たのしみはいくらでもある。(いや、ハマコとアミはないから!!)

 
 タカラヅカの、良くも悪くもタカラヅカらしい作品、『ベルサイユのばら』。

 いい公演になることをのぞむ。


 今度のことで、しみじみ思った。

 わたしは、タカラヅカの『ベルばら』が大嫌いだ。

 チェリさんから速報メールもらって、ヘコんだのよ。泣きたい気分で乾いた笑いを浮かべている、そんな状態。

 そうか、そこまでキライだったか……。

 いや、もちろんキライだと自覚してはいたけど。
 ほんっとーに、キライやったんやな……感心したわ。

 
 2001年の『ベルばら』フェルゼンとマリー・アントワネット編。

 人形のように美しいたかちゃんフェルゼンで目を洗われ、その美しさとさえちゃんオスカル見たさに劇場へ足を運びましたさ。
 すでに『ベルばら』はキライだったので、「ネタ」としてたのしむだけ、目で眺めるだけ、真剣に作品を観ようとか味わおうとか感じようとかは、全放棄、の覚悟で行きました。
 ええ、うれしがって初日に。ネタ公演だもん、最初に観なきゃなー。
 

 初日は、さえカルではありません。水カルでした。

 ええ、水しぇんオスカル……なんかみょーに強くて前向きで、フェルゼンを押し倒すんぢゃないかといらん心配をしてしまうよーな、オカマ色全開の愉快なオスカルでした。

 あー、水カルってそのうち野太い男声で啖呵きりそーだなー。てゆーか、喉仏あるんぢゃねーか? たかこフェルゼン、逃げなきゃヤられちゃうよー、あんた絶対負けるよー。

 そんなものすげーオスカルの横には、とても控え目な、やさしげなアンドレがおりました。
 大変やなー、さえドレ……雰囲気ですでに負けてる……。存在感薄……。あの強烈な光の影なわけかー、ははは。

 と、初日は笑っていられたんだけど。なにしろネタ公演でしかないわけだし。
 

 2回目の観劇も、よせばいーのにまた水カルとさえドレだった。
 あたしはさえちゃんオスカルが観たいのにー。なんで水カルのチケットしか持ってないのよー。友会で当たったのが水カル日程だけだったんだもんよー。

 2回目はヅカ初心者と一緒で気を遣いつつも、かなり作品に辟易。
 水カルに笑えなくなったら、駄作ぶりばかりが目についてつらい。

 ああそして、運命の新人公演。

 何故かわたし、新公まで観に行ったんだよな……リッキー・アンドレ目当てに。

 リキくんはうまかったよ。新公のアンドレとして納得の出来さ。なんで本公でろくに役がつかないのか疑問でしょーがなかったさ。
 あいりオスカルの壊滅ぶりに震撼しつつ、さららんフェルゼンの暴走ぶりに大爆笑していたさ。

 新人公演の特色として、駄作が剥き出しで駄作になる、ということがある。
 本公演ではスターがスター力でなんとか補ってしまっている部分が、観客にありのまま差し出されてしまうのな。

 駄作は、救いようもない駄作になる。

 役者の力による底上げナシに『ベルばら−フェルゼンとアントワネット編』を観てしまったわたし。

 ギブアップした。

 もうダメだ、これ以上観られない。

 大嫌いだ。

 これ以上、こんなキチガイ作品を観ていたら、わたしの感性が汚染される。

 自分を大切にしなくては。感受性を破壊される前に、観るのをやめなければ。

 ネタ公演なんだから、真面目に観なくていいんだから。がんばっている、美しい生徒さんだけを観るのよ。作品は観ちゃダメ、考えちゃダメ。
 ……そう思っていてなお、ギブアップした。

 
 新公は時間の関係で、本公演の一部分だけの上演になっている。
 どこのシーンがカットになっているか、知らずに観たんだ。
 幕が開くたび、「あ、このシーンやるんだ」「ああ、今1シーンとんだな」とかがわかる。

 そのとき、思ったんだよ。
 幕が開くたび、「あ、このシーンやるんだ。やらなくていいのに」と。
 幕が開くたび開くたび、そう思っている自分に気づいたのよ。

 「今宵一夜」と「バスティーユ」以外のシーンは全部、観たくないと思っている自分に。

 「今宵一夜」と「バスティーユ」ってソレ、イベントで上演しているよーなとこだけじゃん。イベントで十分ってことじゃん。

 つまりわたし、ほんっとーにキライなんだ。

 宙組新公で、思い知ったのよ。
 役替わりだとかネタだとかで、笑って観られるのは1〜2回まで。それ以上はアタマがおかしくなるから観られない(笑)。

 おかげで。

 さえちゃんオスカルを観られなかった。

 観たかったのにぃ。
 もう『ベルぱら』を観たくない一心で、観に行けなかったのよ。水カルは2回も観てしまったのにな……。

 宙ベルばら2001のお楽しみは、麗しのたかちゃんフェルゼンと、さえちゃんオスカルだったのに……!! がっくり。

 生徒さんへの好意を覆すほどの、嫌悪感。
 それがわたしにとっての『ベルばら−フェルゼンとアントワネット編』。

 『オスカルとアンドレ』はまだマシなんだ。『フェルゼン』が最悪なのよ。

 だって「フェルゼン主役」のフェルゼンって、キチガイなんだもの……!
 人としておかしいよ、気持ち悪いよ、あんな男。偽善者。卑劣漢。暴君。ストーカー。自分だけが正義で、自分とちがう考えを持つ者はすべて悪。
 ここまで壊れきった男なのに、物語は「彼こそが正義。まちがっているのは彼以外のすべて」という描き方をする。
 観ていると、自由な感性を破壊される気がする。歪んだ大地。

 今まで観た「フェルゼン」のなかで、キャラとしてよかったのは、さららん@宙ムラ新公だけだ。東宝は観てないから知らない(たぶんさららんは、計算してあのキャラ立てにしたわけではないだろーから、東宝では別物だった可能性もある)。
 それ以外のフェルゼンは、人として気持ち悪かった。

 
 ああ、その最低最悪の人格破綻者の役を、ワタさんがやるんですか……。がっくり。

 わたしの大好きな星組が、わたしの大嫌いな『ベルばら−よりによってフェルゼンとアントワネット編』をやるんですか。がっくり。

 
 とまあ、ここまでヘコみ、かつ毒を吐いてますがな。
 ぶっちゃけ、わたしも『平成ベルばら』でタカラヅカにハマったクチなので、初心者向きの演目であることは認めてますよ。
 集客力があることも、わかってる。

 まあせいぜいがんばって金儲けしてください。
 新規ファンを増やしてください。1公演だけなら、我慢しましょー。
 決まったものは仕方ない。

 ただ。

 神様お願い。
 こんな超絶嫌悪作で、誰も退団しませんように!!

 1回は笑えるからまだ、観られる。最悪2回までなら、なんとかなる。キャスティングがちがえば、またなんとかなる。
 しかし、ヘヴィ・リピートはできない。
 だからお願い、これで退団だけはやめて。

 『ベルばら』は、初心者や一般人のための演目なんだから。
 退団公演っちゅーのは、ディープファン向けにやるものでしょう?
 その棲み分けさえ、区別さえしてくれるなら、もうなにも言わないから。

 もう、願いはそれだけです。


 まだ語るか『睡れる月』の話。最後に、腐女子話。
 そーなのよ、これほど何度も語っておきながら、まだ腐女子話してなかったわ。式部卿宮@かしげに単体で萌えてただけで。

 もちろん、中納言×式部卿宮で!

 通常のわたしの嗜好からすれば、「より人間ができていない方が攻」「より愛している方が攻」なんですけどね。
 式部卿宮はヘタレの度が過ぎているので、総受よろしく!!
 いくらヘタレ攻好きのわたしでも、式部卿宮を攻にはできません。ヘタレ攻好きつっても、限度がある。ここまでバカで人畜有害な奴は、総受するがよろし。攻なんて能動的な性質を持ったら、そのへんで愚行を繰り返してろくなことにならんて。
 な? 黙ってヤられてろ?(やさしく諭す口調)

 
 わたしは、トップ・コム姫、2番手・かしげという現雪組の布陣に納得のいかない人でした。
 見た目の相性悪すぎるじゃん。コム姫は相手の色を映す「白」、かしげは完全健康な「白」。ふたり並ぶと真っ白。
 トップと2番手は、持ち味を対比させるべきだ。

 白いトップスターの横には、黒い2番手。
 黒いトップスターの横には、白い2番手。

 そーやって互いに相手にない部分を補い合い、また引き立て合うのですわ。ジェンヌは競ってこそ華。相乗効果ってヤツ。

 人気の出る組っちゅーのは、トップと2番手のキャラ相性がいいことがかなり重要。
 ヤンミキしかり、マミリカしかり、オサアサしかり。

 なのに雪組ってのは、いつもトップと2番手のキャラがかぶる組でした。

 なんでいっちゃんの横がタカネくんなのよ?
 キャラかぶってんじゃん。おかげで3番手のトドに美味しいとこ持ってかれるじゃん。トップとがっぷり組むのは2番手であるべきなのに。
 タカネくんは黒い役もできる人だけど、演出家は彼に「白い貴公子」をやらせたがった。甘い二枚目だったからな。いっちゃんは「白い役しかできない人」だし。
 トップと2番手で、お互いの魅力を相殺していた。

 なんでトドの横がタータンなのよ?
 キャラかぶってんじゃん。重くて堅い芸風。しかも救いのないことに、3番手がコウちゃん。同じキャラしかいないの、この組? 劇団は雪組を売る気まったくないのね。同期トリオとかやる前に、トップから3番手までを解体しろよー。
 トップと2番手と3番手で、それぞれの魅力皆殺し状態だった。

 そして。
 なんでコムちゃんの横がかしげなのよ?
 キャラかぶってんじゃん。どっちも白くてきれいな美形様。近くで見ればきれいだけど、2500人クラスの劇場で眺めると真っ白でなにも見えない、見分けがつかない。コム姫はアクの強いキャラと絡めるとものすげー光を発するけど、漂白剤かしげの横じゃ、輝けない。
 トップと2番手で、白いお花畑。カラーも売りも見失い中。

 トドの横にブンちゃんが来たとき、どれだけ美しい並びだったか。男臭い美形の横に、たおやかな美青年だよ。剛の横に柔だよ。
 ワタルくんの横にコムちゃんがいたとき、どれだけ美しい並びだったか。オトコマエな野郎の横に、魔性の美少年だよ。動の横に静だよ。

 コンビってのは、そうあるべきじゃん?
 テレビや映画を見たって、男ふたりのコンビはコントラストはっきりつけてるよねえ? そーしないとキャラが立たないもん。

 コム姫とかっしー。並ぶと魅力相殺中。
 ふたりのためにも雪組のためにも、なんとかならんのか……そう思っていた。

 だって雪組ってきれーで薄くて白い人たちばっかしで、唯一濃いのが、ハマコなんだもん。
 ハマコの濃さは、カウントしちゃいけない濃さだから! 路線の美形様のセクスィーな濃さとは別モンだから!
 なのに、ハマコだけだなんて……うう。
 

 そんなわたしだが。
 今回はじめてこのふたりをイイと思ったね。

 そうか、コム×かしならいいんだ!

 いやー、今まで漠然と、「かし×コム? そんな幼年向けふろくつき少女マンガみたいな絵ヅラには萌えねーんだよ」と思ってたんだが。

 そっか。コム×かしなら問題ないわけだ。

 かしげに濃くなれ黒くなれなんて無理なことは自明の理、それならコム姫が色を放てばいいんだ。

 コムちゃんはどんどん真ん中としての度量を身につけ、かっしーは相変わらず薄いヘタレ男。コムちゃんが主導権握ってる限りは、この並びもアリだわ。

 つーことで、はじめて現在の雪組布陣に狂喜乱舞。きゃーきゃー。

 
 宮様は中納言に爆裂片想い。賢い中納言はすべてをわかったうえで、あえて距離を取っている。傷ついた小鳥のよーな宮様(カラダはデカイがな)を抱いてやるのは簡単だが、それで彼の心を救えないことを知っているので、あえてカラダにも触れないのだ。
 もちろん中納言が愛しているのは大君。宮様への愛はまた別物。
 宮様にはよりシンプルな愛しか見えない。だから、その「別物」の愛が理解できず、いつも中納言の愛を渇望している。

 ああ……なんて絶望的な関係……うっとり。

 式部卿宮はバカだから愛に気づかず、男前な中納言は宮様のそのバカさすら愛しているのよー。
 彼の欠点も過ちも全部全部赦して、受け入れてしまうの。
 たとえ、最愛の大君を殺されても。聖地吉野を踏みにじられても。自分自身が殺されても。
 それでも、中納言の愛は揺るがない。ただひたすらに、式部卿宮を愛し続ける。

 
 ところで。
 小次郎@まちか × 式部卿宮@かしげ でもあるよね、この話。

 まちかとかしげぢゃ、萌えないけど。

 だって美しさと色気に欠けるんだもん……っ。
 まちかには色気があるよ。ただ、美しさがないだけで。
 かしげには美しさがある。ただ、色気がないだけで。
 ……なんて不自由な奴らなんだっ!!

 式部卿宮をいちばん愛していたのは、小次郎だろう。彼のそばで、彼の痛みや傷、過ちも慟哭も全部見てきた。だからこそ、彼のために手を汚すことを厭わなかった。
 式部卿宮とともに、堕ちる覚悟で吉野を攻めた。

 しかし。
 まちかとかしげじゃなー……ううう。

 まちか氏はいい仕事をしている、相変わらず。くそぅ、やっぱうまいぜ。彼へのインタビュー番組『舞台に懸ける#22』は大事に録画してあるよ(あたしってやっぱりまちかファンっ?!)。
 まちかは悪くない。悪いとしたらかしげの方だ。
 宮様があまりにバカなので、ラストシーンで小次郎が宮様を見捨ててしまうよーに見えるのだわ……。
 あそこでは、式部卿宮はひとつ階段を上がり、もう小次郎は役目を終えたからこそ、黙って身を引く場面なのに。かっしー宮様じゃちっとも成長したよーに見えんから、まちか小次郎が頑是ない子どもを置いていくよーに見えちゃうんじゃん。

 あうう。式部卿宮と小次郎、キャストがどちらかでもちがっていたら、わたしがいちばん萌えていたのはこのカップリングですわ。主従モノ好きなんよ……。
 しかし、いくらわたしでも、まちかとかしげでは……苦苦苦。

 
 いいや。
 中納言×宮様で萌えておこう……。


 今まだちんたらと『睡れる月』の感想を書いているところなんだが(しつこい)。

 ちと、目眩のする画面を見てしまったので、嘆かせてくれ。

 アクセス元表示で、気になる検索ワードがあったんで、ナニ気に観に行ってみたわけよ。

 そしたらさ。

彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... いいのよ、ケロはショーでフェロモン振りまいてるからっ。 第59問)★2001年10月『血
と砂』: わが人生、最大の萌え。正気じゃないくらい、萌え狂ってた。 第60問)フアン総受:
わたしは攻キャラスキーなので、受にはそれほど入れ込まないし、ましてや ...
diarynote.jp/profile/22804/ - 36k - キャッシュ - 関連ページ

彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... わたしはケロトウ萌えなんで、ケロちゃんが困惑しながらもトウコの名前を出して
くれるのがうれしかったですが。 ... えーとそれじゃあ、ケロ仕様に『血と砂』や『巖
流』のプログラムも売ってなきゃおかしいってことになるよ……?(笑) 「キム仕様です。 ...
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彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... 花恋』も『血と砂』も、壊れてたけどおもしろかった。萌えがあった。 壊れてない
代わりにつまらなくなるくらいなら、壊れててもおもしろいもの ... 竹内と須田少年は
接点があるから、ケロ×トウコ的にもおいしいし。中年ケロと少年トウコ……萌え(笑)。 ...
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彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... もしもケロが倒れてしまったときは、ゆうひが彼の代わりにリーダーになり、ケロ
を治すために奔走します。……萌え(笑)。 ... 血と砂』の、フアンだ。我らがケロちゃん
おめでとう初主演! の、フアンだ。 そのころはまだ、『血と砂』の舞台の興奮が ...
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彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... 血と砂』のときなんか、5人並んで5人全員はずれたのよ? ここ数年であれほど本気で
チケット欲しかった公演はなかったのに。 ... ワタ×ケロ萌えなわたしとしては、黒燕尾
でワタルくんとエロエロに絡むシーンは今回のいちばんの期待だったのだよ。 ...
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彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... それって萌えなんですけど。 シュワちゃんはさすがにもう、見ていてつらい。 別の人
がやってくれていいんだけどなあ。 ... ケロちゃんてばいつも初日がいちばんいやらしい
の?(『血と砂』とか『長い春』とかを思い起こしている・笑) ...
diarynote.jp/d/22804/_0_480.html - 69k - キャッシュ - 関連ページ

彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... 役者さえよければ、『血と砂』系の話だよね、『睡れる月』って。 ところが。 肝心の
汚れ役、式部卿宮が薄く美しいかしげ。 ... ヲトメゴコロも、腐女子はぁとも、萌え萌え
です(笑)。 あと、個人的にとてもウケてしまったこと。 ケロちゃん尽くしの ...
diarynote.jp/d/22804/ - 89k - キャッシュ - 関連ページ

彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... 昔はケロちゃん、ふつーに攻男だったのに、『ゼンダ城』あたりから受もOKにな
っちゃって、『血と砂』では総受してるし、 ... 長い春の果てに』だっけかのクロード×
ジャンを彷彿とさせる萌えなシーンだったよ。 体格のいいワタさんが、小柄なケロの ...
diarynote.jp/d/22804/_0_970.html - 75k - キャッシュ - 関連ページ

彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... 弟は「萌え」に代表されるオタク文化がキライ(すまんな、姉がオタクで)。ゲームに
美少女なんぞ必要ないと思っている。 ... だって、『血と砂』も2年間くらい部屋に貼って
あったんだもん。CANちゃんがプレゼントしてくれた車内吊りポスターを機嫌 ...
diarynote.jp/d/22804/_0_590.html - 81k - キャッシュ - 関連ページ


彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... そのワタさんの悪事を、熱血新米医師さららんと、熱血新聞記者ケロが暴き、
追いつめる。14歳のえみくらちゃんに ... も、萌え……。 あと、夭逝した天才闘牛士
ホセリートと、そのライバルのベルモンテの話とかな。 某『血と砂』のために、闘牛と ...
diarynote.jp/d/22804/_0_100.html - 89k - キャッシュ - 関連ページ

彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... そしてふと、暗転したあともしつこく絡み合い、うごめいていた、『血と砂』のフアン
とドンニャを思い出したりな… ... 下手にトウコ、上手にケロにーちゃん。物語はアイーダ@
トウコを中心に進み、ウバルド@ケロにはもう台詞もなく、そこにいるだけ。 ...
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彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... 月バウの『血と砂』があまりにもすばらしかった(笑)ので、興味を持って読んだ。
絶版しているうえに、最寄りの図書館にはなく、 ... 新公『エリザベート』もバウ『イカ
ロス』も、ケロちゃん目当てで行った、このわたし。嫣然たるトート様より、あぶな ...
diarynote.jp/d/22804/_0_20.html - 93k - キャッシュ - 関連ページ

彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... オペラグラスでケロちゃん見てたら、そこにゆーひが現れる。初日もそうだった。
べつにここは振りはついてなさそうだから、そばに ... といっても、まともに観たのは『
花恋吹雪』『血と砂』それと『BMB』だけなんだけどさ。 どれも、明確な「萌え」… ...
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彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... ケロー、ケロちゃあん。なつかしーよー。 でも、路線でもない君がフランツを新公で
演じたなんて、君のファン以外は ... こんな完全敗北は、『血と砂』以来なんですけど?!
そりゃまあ、通常公演は1列目4列目以外興味ない、それ以外は新公や楽しか ...
diarynote.jp/d/22804/_0_420.html - 89k - キャッシュ - 関連ページ

彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... ケロちゃんの「おとめ」に載っている身長が167センチだから、今のままでもわたし
としては不満なんだっ。 ... by『血と砂』) ナイスリー×ビッグ・ジュールが基本だけ
ど、あるときなんかの弾みで、ビッグ・ジュール×ナイスリーになっても、わたし的に ...
diarynote.jp/d/22804/_0_90.html - 75k - キャッシュ - 関連ページ

彼女は陽気な破壊的気質をもっている。
... 役者さえよければ、『血と砂』系の話だよね、『睡れる月』って。 ところが。 肝心の
汚れ役、式部卿宮が薄く美しいかしげ。 ... ヲトメゴコロも、腐女子はぁとも、萌え萌え
です(笑)。 あと、個人的にとてもウケてしまったこと。 ケロちゃん尽くしの ...
diarynote.jp/d/22804/_1.html - 63k - キャッシュ - 関連ページ



 なんの悪夢ですか?

 思わず、ムンクの「叫び」を再現しちゃいましたよ。

 検索ワード「血と砂 萌え ケロ」。
 Googleで1ページ目2ページ目を、わたしが埋め尽くしてました……。オーマイガ。
 どーやら3ページ目以降にもぽつぽつあるみたいだ……492件中、何件がわたしなんですか……?

 まちがってる……なにかまちがってるよママン。


 以前、タカラヅカのチケット発売日に某プレイガイドに並んだときのことだ。
 わたしは2番目で、1番目は別ジャンルのイベントチケット目的のおねーさんが並んでいた。

 そのおねーさんは、タカラヅカも好きで観ていたことがあると言った。過去形。どれくらい前かというと、「シメさんとか好きだった」とのこと。

 そんな非ヅカファンのおねーさんが言った。

「で、花總まりって、まだ在団してるの?」

 います。ばりばり現役です。

 おねーさんはケラケラ笑った。

「あの子、まだいるの? じつはアタシ、花總まりと同級生なのよ。といってももうつきあいは年賀状だけだけど。年に一度、公演の写真を使った年賀状が来るから、まだいるんだろーとは思ったけど……そっか、まだいるのか。んじゃ来年の年賀状も公演写真のが来るんだろーな」

 すごい、同級生なんだ。
 まだいるどころか、トップスターですよ!

「トップスター?! アタシと同じ年だから、**歳だろ? まだトップやってんの?!」

 そうか、公演写真の年賀状だけじゃ、トップかどうかはわかんないもんなー。

 花ちゃんと同い年ってことは、そのおねーさんはわたしよりずっと年下なんですが、最初からタメ口っちゅーか、「ひょっとして年下だと思われてる?」てな口調だったんで、気分的に彼女の方が「おねーさん」(笑)。

「学生時代はさー、あの子『プリマ』って呼ばれててさ。バレエが巧いからとかそーゆーんじゃなくて、雰囲気が『プリマ』って感じだったから、アタシらはみんなそう呼んでたのよ」

 あー、なんかソレ、わかる気がする……。「プリマ」かぁ。

「年賀状には毎年、『今年こそは、舞台を観に来て下さいね』ってメッセージが書いてあるんだけど、行ったことないのよね、一度も」

 まあ、年賀状だけの友だちなんて、そんなもんだな。一般人だって毎年、「今年こそは一緒に旅行しようね!」とか書くもんなあ。

 いろいろ話を聞いたんだが、この明るくしゃきしゃき喋るおねーさんは、ある重大発言をした。

「毎年『今年こそは観に来てね』って書いてるのに、アタシがいつまでたっても観に行かないもんだからさー。
 今年の年賀状は、『あなたが観に来てくれないから、いつまでも辞められません』って書いてあったよ(笑)」

 うおお、重大発言ですよ!!

 お花様が辞めない理由が、こんなところに!!

 
 そっかー、友だちがいつまでたっても観に来てくれないんじゃあ、そりゃ辞められないよなあ。友だちに観て欲しいよなあ(笑)。
 当のおねーさんは、「なんかついに脅迫めいてきたよ、文面が」と言って豪快に笑ってたけど。
 いやはや、貴重な情報をありがとう(笑)。

 並びの間中、たのしく過ごせましたよ。
 ええ、時効かなと思って書きました。最近のことじゃないっすよ。

 今も現役、華爛漫のトップスター花總まり様を観ると、ときおりあのおねーさんのことを思い出すの。

 あのおねーさん、きっとまだお花様の舞台を観に行ってないんだわ……(笑)。
 だから辞められないんだよね、花ちゃん(笑)。


 さっそく『マ王』の録画に失敗しました。うおー、しょっぱなからかよ!!
 誰か録画している人、貸して下さい……。Be-Puちゃんもわたしをアテにして録画してなかったってよ……めそめそ。

 
 追記。

 無事に『マ王』は貸していただけそうです。複数の方からお声をかけていただきました〜〜。
 わーいわーい、うれしー。
 ありがとうございます。

 『マ王』はやっぱ人気あるんだなぁ、録画している人が多いんだわ。←うれしい

 だって、『澪つくし』のときなんか、ここで呼びかけても無理だったし……(笑)。アニメとNHKドラマを比べても無意味ですけどね〜。
 でも、ワード検索は山ほどきたなぁ、『澪つくし』……。

 あ、あと『あぐり』の辻村燐太郎も、検索されまくりだったよ……すまん、腐女子語りしかしてなくて……(笑)。燐太郎さん、すげー人気だった。気持ちはわかる。マジ、ヅカの舞台にいそーなくらい、現実味のないいい男だった(笑)。
 
 『あぐり』もあちこち録画しそこねてるんだけど、持ってる人、いないすよね……? おそるおそる書いてみる。
 第7週とか8週とか、ケロちゃん祭りの最中、録画ミス続出だったんだわ。
 そして何故か22週もうっかりと……。

 録画している人、いませんかー。
 と、ささやかに書いてみたりする。
 ついでに、 koala@104.net  と、メルアドもひっそりと書いてみたりする。

          ☆
 
 これだけではなんなので。
 ちと、家族ネタを書いてみる。

 本日ママがわたしの髪に整髪料をつけて、いろいろ遊んでいた。

「これ! この髪型がいいわ! アンタ、今度からこうしてみなさいよ!」

 と、やたらウケていた髪型は。

 ワタさんの髪型にクリソツだった。

 注意・母は宝塚もワタさんもまったく知りません。

「サイドはこう流して、前髪はこれくらい持ち上げて……ほら、丸顔が目立たないわ! 今日はアタシがやってあげたけど、次は自分でできるよーになりなさい」

 母は自画自賛。
 わたしは、「あー、そーねー、時間と気力があったらねー」と生返事。
 もちろん心の中では、するわけねーだろー、んな髪型っ。ワタさんファンに殺されるわっっ。と、応えてましたがね。
 てゆーか、んな髪型でムラへ行ったら、ジェンヌ気取りのイタイおばさんになってしまう!!

 しかし……そうか、ワタさん……「丸顔が目立たない髪型」なのか……。


 さて、3/29の日記を書いているウチに、自分でも愉快になってきたので、もう少し話を続けてみよー。

 キャラクタのタイプ別分類について。

 タカラジェンヌのキャラクタは、おおむね「太陽」系と「月」系に分けられる。これはけっこーいろんなとこで目にする分類だよね。

 「太陽」「月」を個人の持ち味として、わたしはそれに、その人の魂の色、「健康」と「苦悩」を追加してみた。
 
 「太陽」−「健康」− とことん明るいキャラ。そこにいるだけで輝くアイドル。
 「太陽」−「苦悩」− カリスマ的スター。よくも悪くも目が離せない吸引力。
 「月」−「健康」− 地味に誠実な友だちキャラ。脇にはこういう人も必要。
 「月」−「苦悩」− 耽美系、色悪系ヒーロー。ハマると抜け出せない魅力。

 たとえばワタさんは、「太陽」−「健康」のアイドル(ワタさんには語弊を感じる単語だ・笑)キャラだよね。
 寿美礼ちゃんは「太陽」−「苦悩」のカリスマキャラ。
 さえちゃん、コム姫は「月」−「苦悩」の耽美キャラ。
 たかちゃんも実は「月」−「苦悩」系だと思ってるんだが、普段は「太陽」−「健康」キャラぶってるよなー(笑)。

 現在のトップスターは、キャラがかぶってなくていい感じだ。宙組が「一般的」「初心者向き」と言われるのは、トップのたかちゃんが2つのキャラを持っているせいもあるんじゃなかろーか。そーゆーの、初心者にやさしいぞ。

 この4つの分類でも自分的にとてもたのしくて、いろーんな人をあてはめて「うきゃきゃ」とよろこんでいたんだが、さらに項目を増やしてみる。

 温度設定だ(笑)。

 その人の、舞台の上での発散の仕方。これがチガウだけで、同じタイプでも別物になる。

 「太陽」−「健康」−「熱血」
          −「ふつー」
          −「クール」
 「太陽」−「苦悩」−「熱血」
          −「ふつー」
          −「クール」
 「月」−「健康」−「熱血」
         −「ふつー」
         −「クール」
 「月」−「苦悩」−「熱血」
         −「ふつー」
         −「クール」

 てな感じに。
 同じ「太陽」−「健康」系でも、ワタさんとタニちゃんは温度がチガウ。ワタさんはバランスがいい。

 顕著なのが「月」−「苦悩」キャラのゆーひとさららん。さららんは「高温注意」なのに、ゆーひくんは「クール」。温度によって、まったく別タイプ(笑)。

 わたし、トウコちゃんは「月」と「太陽」両方持ってると思うのね。なにしろ彼女は雪時代バリバリの「太陽」キャラでブイブイ言わせていたから。没落してから(没落言うな!)「月」にジョブチェンジした人なんで、今は「月」が表に出ているけど、「太陽」も本来はあると思う。トップになれば、寿美礼ちゃんと同じカリスマ属だと思うな。
 ただし、温度がチガウ。
 彼女は「苦悩」−「熱血」キャラだということ!
 苦悩系で暑苦しい人って、ハマる人には堪えられない魅力があるのよー。「太陽」でも「月」でもね。

 反対に、寿美礼ちゃんは「太陽」−「苦悩」−「クール」キャラ。ナルシス全開で素敵(はぁと)。

 そして同じ「月」−「苦悩」系でも、コムちゃんの方がさえちゃんより温度が低いと思う。

 
 3/29の日記を読んだチェリさんから「ケロちゃんの分類」についてのメールをもらったんで、そのお答えのつもりで、今日の日記を書きました。

 ケロちゃんはチェリさんご指摘の通り、「魂が苦悩系で持ち味が月」だと思います。
 でもケロちゃん、「いい人」オーラを全開にしているときは、めちゃしてるよねえ? あー、この人の魂は健康だわー、なんて感じさせてくれる、癒し系の魅力。
 「健康」と「苦悩」は魂の色だから、持ち味とちがって両方アリ、なんてことはないと思う。
 じゃあどうして、苦悩系でありながら、癒し系なの?

 それは、「温度」のせいだと思う。

 ケロちゃん、高温な人だから(笑)。
 暑苦しいとかゆーんじゃなくて、高温。他者に働きかける力。温度がオーラになって、魂の色を「健康」に見せてしまうの。
 クールなままで舞台に立つケロちゃんには、「いい人」オーラ出てないでしょ?

 魂の色を反対のタイプに近づけるのが「温度」。
 ハマコは「健康」でありながら、そのバーニングハートゆえに「苦悩」に近かったりもする。
 温度が低い人は、より魂の色まんまが表に出る。

 
 だからさ、「かっしー救出計画」としては(ヲイ)、今さら持ち味や魂の色は変えられないんだから、「温度」を変えるしかないと思うわけよ。

 持ち味「月」−魂「健全」−温度「ふつー」ぢゃ、埋もれちゃうよ。

 ここは、温度を変えるのだ! 思い切りクールにするか、暑苦しくするか。
 かしちゃんのキャラからクールは難しいと思うので(さらに地味になりそうだ……)、いっそ熱血いっとけ。

 アツくアツく、全開で空回るかっしー。

 うわ、どーしよー、すげー好みだ……(よーするに自分の好みだけで言ってるんかいっ)。

 
 てなことを、考え出すととてもたのしい。
 あー、わたしほんとに、タカラヅカが好きだなあ。
 
 
 この12種類の分類に、さらに「若さ」「オヤジ度」というカテゴリを追加すると、さらに詳細な分類ができてですねー……(いい加減にしなさい)。


 わたしは猫を飼っている。

 我が家の猫は、コレで4匹目。他にもわらわらいた時期はあるが、それらは勘定に入れず、生涯看取ったものだけで、4匹目だ。

 なんで4匹目かというともちろん、猫は死ぬからだ。

 猫は死ぬ。
 寿命は人間よりはるかに短い。

 3匹目の猫のことは、最高にかわいがっていたので、死んだときは泣いた。
 いや、死ぬのだとわかったときに、最大級に泣いた。
 腕の中から命が消えていくことを、憤り、嘆いた。

 他の猫たちもそうだ。
 別れるときは、泣いた。

 この腕の中に抱きしめられる、あたたかくやわらかいものが死ぬことは、何故にこんなにもかなしいのか。
 身近な人間の死とはまた別の、そしてそれと同じくらいの悲しみと喪失感がある。

 
 それでも、猫を飼い続けてきた。

 どれほど哀しくてもつらくても、わたしは猫が好きだ。
 猫を愛し、抱きしめて生きる。

 
 地面に這いつくばって泣いても、それくらい別れがかなしかろーがつらかろーが、猫と過ごす日々の方が重要なんだ。

 出会わないより、愛さないより、ずっといいんだ。

 
 星組集合日。
 今日もまた、別れの発表があった。

 覚悟していた檀ちゃんとはちがい、恵斗くんとせんどーさんの退団はショックだった。
 てゆーか、気がついたらだーだー泣いてた。

 去年の9月2日でさえ、泣かなかったのにな。←あのときは喪失感で人間やめてました。

 泣きながら、ちとこわくなったよ。

 わたしこれからも、こんなにこんなにつらいのか? って。
 好きな人が退団するたび、こんなに泣くのか? って。

 こわくなって……でもだからって、好きになったことに後悔はなくて。

 ああだから、そーゆーことなんだなぁ。

 猫と同じだ。

 失うときはこの世が終わるくらいつらいことがわかっていて、それでも、失うことがわかっているものを、愛さずにはいられないんだ。

 その悦びを、知ってしまったから。

 どれほど痛みが激しいとわかっていても、愛の方が大切だ。

 未来をこわがるより、今を愛したいんだ。

 
 恵斗くんとせんどーさんの、好きだったシーンがアタマの中でランダムに再生されて、泣けてこまるよ。
 知らなかった、そんなに彼らを好きだったのか。いや、もともと好きだと公言していたけど、ここまで動揺するのか、わたし。

 てゆーか。

 彼らを失うことは、わたしのなかの『ドルチェ・ヴィータ!』が、欠けていくことなの。

 ケロがいた、あの美しい世界がまた、遠くなっていく。

 そこにつながっているから、いっそう痛いのかもしれない。

 
 これからも、やっぱりこんなに痛いのか。つらいのか。
 恵斗くんとせんどーさんでコレだぞ? しいちゃんや、ワタさん、トウコちゃんのときは、どーなるんだわたし。

 こわい。もー、プリミティヴにこわいぞ。

 
 それでも、出会えてよかった。
 『ドルチェ・ヴィータ!』を、ケロを、タカラヅカを知らないより、ずっといい。

 恵斗くんもせんどーさんも、出会えたことの方がうれしい。
 別れを聞いた今は、思い出すだけで痛みと共に泣けてくるよーな、そんな思い出があることがうれしい。

 
 でも、かなしい……。
 そして、友会で星楽がはずれたことも、さらにかなしい。
 わーん。


 かしげちゃんは、ほんとーにいい人なんだろうなあ、と思う。

 きっと、人をねたんだり憎んだり陥れてよろこんだり、そーゆー邪な部分が本質的に薄い人なんだろう。
 魂が健康な人。

 だから、式部卿宮が演じられない。

 技術はあるから、ちゃんと演技してはいるけれど、その演技の内側から、かしちゃん自身の「健康さ」がにじみでている。

 一見かしちゃんは耽美OKな人に見える。美形だからだ。
 しかし彼は、とことんまで「健康」な人だ。
 「健康」と耽美は相容れない。

 ある意味、タニちゃんに似ている。
 タニちゃんもまた、「魂が健康な人」。
 悪人の役はできないし、なにをやっても「いい人」オーラが出ている。

 でもタニちゃんは「太陽」の人で、かしちゃんは「月」の人なんだよなー。

 かしちゃんがブレイクできない理由は、そんなところにあるのかもしれない。

 魂が健康で持ち味が太陽なら、とことん明るいキャラになる。そこにいるだけで輝くアイドル。
 魂が苦悩系で持ち味が太陽なら、カリスマ的スターになる。よくも悪くも目が離せない吸引力。
 魂が苦悩系で持ち味が月なら、耽美系、色悪系のヒーローになる。ハマると抜け出せない魅力。

 しかし、魂が健康で、持ち味が月だと。

 それってたんに、「薄い人」だよね。

 地味とか、華がないとか、どこにいるかわからないとか。
 おいしいはずの悪役も「いい人」とか「まぬけ」に見えてしまう。てゆーかまず、目立たなくなってしまうので、おいしく見えない。
 「いい人」ってのは基本的に色気がない。セクシーっちゅーのは、危険さを含んでなきゃいかんわけだから、「いい人=安全牌」な段階で、色気なんか期待できないわな。
 タカラヅカは恋愛モノが基本、愛あればこそ・愛がすべての世界観。観客を魅了するセックスアピールのなさは致命的。

 いやはや。
 大変だなあ、かっしー。あんなに美しいのに、人気が出ないままここまできちゃったのもわかるよ。
 地味で誠実で健康的なんじゃなあ。テレビドラマでもこんな男、「ヒーローの友だち」「当て馬」「所詮いい人」で終わってるじゃん。

 そんなキャラの役者が演じていい役じゃない、式部卿宮は。

 式部卿宮は、はっきりいって「まちがった」キャラクタだ。
 幾重にも屈折し、その行動は悪に近い。
 ブレーキ踏むつもりでアクセル踏み切っちゃったドライバーみたいな、道路横切るなら立ち止まらずに一気に走り抜ければいいのにクラクションにわざわざ立ち止まってはねられる猫みたいな、とにかく「あちゃー」なキャラ。

 この「まちがった」キャラを、まちがったままにしないのが、役者の仕事だ。

 何故ならば、最初から式部卿宮は「まちがったキャラクタ」だと作者が設定しているからだ。
 作劇に失敗して行動がおかしくなったキャラじゃない。作者はこの「まちがった男」に美学を持って描いてるんだ。言うならば、滅びの美学。(男は好きだよなー、こーゆーの)

 式部卿宮がどれだけまちがったことをしようと、観客に気づかせてはならない。
 彼の慟哭に苦悩に、観客を巻き込まなければいけないんだ。

 心から血を流しながらあがきつづける姿に、見ている者も息も絶え絶え、彼と共に泣き、苦悩し、憎しみも愛も共有してこそ。
 ラストの悲劇が生きるんだ。
 式部卿宮視点で観客が見ていれば、他に道がなかったこと、そうやって戦うしか前へ進むことができなかったことがわかっている。唯一の正義を貫いた結果が、愛する者の死という、クライマックスにたどりついてこそのカタルシス。
 そこには「てめーがいらんことばっかするから、そんなことになったんぢゃねーか」というツッコミの入る余地などない。

 かっしはなー……ははは、ツッコミの嵐だよ。
 滅びの美学、超絶かっこいー美しー役なのに、どこかお笑いの風が吹く。
 式部卿宮という役を、台無しにしている。こまったもんだ。

 かしげってほんと、「健康」なんだなぁ。ある意味体育会系だよなぁ。耽美とゆーより、「いい汗かいたぜ(白い歯がきらり)」っつースポーツマンのかほりがする……。

 でもそんなかしげちゃんが好き(はぁと)。

 
 さて、健全キャラといえばこの人。

 楠木二郎@ハマコ!!
 ああ、ハマコだー。ハマコ好き〜(笑)。

 楠木二郎はけっこーすごいことを言ってるしやってるんだが、ハマコが人情モード全開で演じているので、ソレが気になりません!!(笑)

 都の退廃と吉野の健全っぷりを表現するのに、都にヒロさん、圭子女史を配し、吉野にハマコを配する大野先生に拍手!!

 将軍義教のエロくせえ病み方と、楠木二郎のうるさいまでの健全さの対比はいいですよ!

 そりゃー、陰謀渦巻く都と人情あふれる癒しの地吉野、式部卿宮のいる都と中納言のいる吉野、のちがいがわかりすぎるくらい伝わってきますよ。

 なにしろハマコだし!

 そのうえあのうざってえキツネとウサギがいるし。

 キツネもウサギもそれぞれ1曲限り、しかも短くしてくれよ……「すごつよ」狙いなのかもしれないけど、心からうんざりだー。「すごつよ」は1回限りだから許されてるのよ。合わせて3回、フルコーラス、リフレインまで完璧にやられるとつらすぎる。

 とゆー、客席で脱力するよーなお遊戯系ほのぼのキャラとシーンまであるくらい、「吉野」の精神的位置を印象づけているもんな。

 ハマコの持ち味はかしちゃんと同じ健康系だ。役を離れたところで、ハマコ自身がいい人なんだろーなー、てのが、透けて見える。
 だからハマコがハマコらしいストレートさで演じるキャラは、それだけで「いい人」になる。

 でもハマコちゃん、慟哭芝居もできる人なんだよな。かっしーとちがって。
 てゆーか、悪役もできる。
 健康なのに黒い役もできるのは、彼が器用なこともあるだろうけど、まず「きれいであることにこだわらない」ってもあるんじゃないかな。
 かしちゃんは二枚目路線スターの宿命で、「美しいこと」「逸脱しないこと」が求められるが、脇キャラのハマコにはそれがない。
 そこまで汚すか、ってくらい、ぐだぐだに汚れた演技も力一杯やっちゃう人だもんなー、ハマコ。
 だからこの人が本気で悪役やるとそりゃーくどくて濃くてえらいことになるんだが(笑)、人情芝居をやらせるとさらに、ハマるのよねえ。手加減なしだから。

 ハマコが「桃源郷・吉野」を作っていると思う。
 楠木二郎が腹に一物のどす黒いキャラだったら、まったくちがう物語になっていただろうから。
 同じ台詞と演出で、楠木を悪人にすることもできると思うのよ、ハマコになら。
 でも彼は、それをしない。いい人モード全開。

 おかげで、観客は気持ちよく楠木二郎を信用し、彼のうるさくも立派な最期に拍手できるのよ。

 吉野が美しく平和な地であるからこそ、最後にそこが踏みにじられ、ほのぼのキャラだったキツネやウサギが皆殺しになることに、悲劇が際立つのよねえ。

 健康的だからこそ、その破滅が痛い。

 
 と。
 共に健全キャラでありながら、雪組一薄い男熱い男のことを語ってみました。

 愛ゆえです。キラリ。


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