風に立つライオン。@舞姫
2008年3月19日 タカラヅカ よっしー@みつるの、目の下のシワが、大層好みです。
それでもまだ『舞姫』の話。
わたしは「好きな男のタイプ」の中に、「目の下のシワ」つーのがあるようで。
何故そうなのか自分でもわからんが、そんなところにときめくようだ(笑)。
原芳次郎は、大人の男だと思う。
夢に命懸けて、無鉄砲なことやって死んじゃうわけだから、「若者」であることも確かなんだけど……彼のいちばんの魅力は、大人であることだと思う。
豊太郎@みわっちより先に渡独しており、外国でひとり暮らす辛酸を知っている……ということで「大人」だと言っているわけではなくて。や、もちろんソレもあるけど。
彼も別に、最初からみじめな生活をしていたわけではなくて。
お金持ちのぼんぼんとして成長したわけでしょう?
明治時代に親の金で海外留学って、どんだけ富豪の令息だったんだ?
しかも「絵」ですよ。商売のためとかじゃなくて、絵の勉強。親としては「物見遊山に金を出す」くらいの余裕がなきゃできんでしょー。息子を「天才」だと思っていたにしろ、「西洋画」なんつー日本でどうしようもないもののために大枚はたくんだから。
若いウチは好きなだけ遊んでいらっしゃい……くらいの気概がなきゃ、絵の勉強のために留学はさせないでしょう。
それくらいの、桁外れのぼんぼん。
お金があり、美術学校にいたころは、ちゃんとその才能を評価されてもいた……らしい。
よっしーが真の意味で「若者」だったのは、このあたりまで。
実家が破産して仕送りがなくなり、学校に通えずベルリンの下町に落ちて来た今は、もう純粋キラキラなおぼっちゃまではなく。
汚れることを知った、大人の男。
アトリエにやってきた豊太郎がエリス@ののすみとの恋を語り、それまでの枠を超えて輝きだしたのを見て「お前は俺と同種の人間だ」とうれしそうに言っておきながら……言葉を、濁す。
この、言葉を飲み込むよっしーが好きだ。
エリスとの恋……新しい自分、真の自分の姿に気づき、希望にキラキラしている豊太郎になにか話しかけ、「いや、いい」と言葉を飲み込み、話を変える。
言いたかったはずなんだ。
豊太郎は、かつての自分。
挫折を知る前の、幼い自分自身。
自分ひとりで世の中を変えることが出来ると、世界を革命する力(笑)があると無邪気に信じている純粋な姿。
それがどれほど危険なことであるか……高く舞い上がった分、地面に墜ちるときの痛みが、被害が、尋常ではないことを、忠告するべきだったのに。
もしもそれを言ったところで激情が止まらないこと、心の中の獅子が治まらないことも全部全部見通した上で、言葉を飲み込む。
それは彼が、大人だから。
たしかにあったはずの翼を失い、傷ついたカラダを引きずり、2本の足で歩いているところだから。いつかまた、翼を広げ飛び立てる日を信じて。
2幕での芳次郎の絶望が深いのは、彼が大人だから。
子どもや青年の挫折なら、とっくに経験しているんだ、彼は。
美術学校を辞め、芸術のためだけでなく「生活のため」に絵を描きはじめたときに、味わっている。
それを乗り越えた、泥にまみれてなお絵を描くことにこだわった大人の男だからこそ……今度の絶望は、とことん深く、超えることが出来なかった……。
世間知らずの若者が、勢いだけで吠えて、浅はかさから自滅するなら、そこまでかなしくない。
悲劇は悲劇だけど、ありがちっていうか。
だから原芳次郎は、小僧っこになってはいけないと思うの。
若さゆえの獰猛さ、精神力、野生は必要だけど、子どもっぽくてはいけないの。
だから。
青年館でのよっしー@みつるは、バウより大人びていて。
だからこそ、彼の最期が、かなしかった。
1幕で大河内@しゅん様や丹波@らいらい相手に吠えているときからすでに、彼が小僧っこではない、ちゃんと挫折を、人生を知り、それでもなおあがいている男だと感じられて、せつなさが大きかった。
「野良犬の方が飼い犬より強いんじゃ!」
と吠える彼の、経験から来る誇りが輝いて見えた。
挫折を知る前の豊太郎の純な瞳を、マリィ@ゆまちゃんの肩を抱きながら見つめるまなざしが、ひたすらやさしくてせつなかった。
この男だから、こんな男だからこそ、志を遂げて欲しかった。
彼が絶望に苛まれ、崩れ落ちていく様を見るのはかなしかった。
病床で「くやしいなあ、こんな死に方……」と絞り出す彼に、拳を握って同意した。
くやしいよ。くやしい。
やせ細ったライオン。
百獣の王でいてほしかった。
傷だらけでも毅然と顎を上げる姿を、見ていたかった。
子どもの挫折ではなく、大人の男の絶望。
純なものも汚れたものも、全部飲み込んだ上での破滅。
だから、やるせない。
よっしーはバウよりさらに、大人だった。
みつるは成長していた。美貌も、演技も。あああもー、美しいってばー。
そして、目の下の、シワ。
や、だって、「大人の男」ですから。苦労してるわけですから。
わたしの好み云々だけでなく、役としても良い感じにマッチしてるでしょ? でしょ?
いやあ、いいなあ、華形みつる……。(芸名とあだ名の区別がつかなくなってます)
それでもまだ『舞姫』の話。
わたしは「好きな男のタイプ」の中に、「目の下のシワ」つーのがあるようで。
何故そうなのか自分でもわからんが、そんなところにときめくようだ(笑)。
原芳次郎は、大人の男だと思う。
夢に命懸けて、無鉄砲なことやって死んじゃうわけだから、「若者」であることも確かなんだけど……彼のいちばんの魅力は、大人であることだと思う。
豊太郎@みわっちより先に渡独しており、外国でひとり暮らす辛酸を知っている……ということで「大人」だと言っているわけではなくて。や、もちろんソレもあるけど。
彼も別に、最初からみじめな生活をしていたわけではなくて。
お金持ちのぼんぼんとして成長したわけでしょう?
明治時代に親の金で海外留学って、どんだけ富豪の令息だったんだ?
しかも「絵」ですよ。商売のためとかじゃなくて、絵の勉強。親としては「物見遊山に金を出す」くらいの余裕がなきゃできんでしょー。息子を「天才」だと思っていたにしろ、「西洋画」なんつー日本でどうしようもないもののために大枚はたくんだから。
若いウチは好きなだけ遊んでいらっしゃい……くらいの気概がなきゃ、絵の勉強のために留学はさせないでしょう。
それくらいの、桁外れのぼんぼん。
お金があり、美術学校にいたころは、ちゃんとその才能を評価されてもいた……らしい。
よっしーが真の意味で「若者」だったのは、このあたりまで。
実家が破産して仕送りがなくなり、学校に通えずベルリンの下町に落ちて来た今は、もう純粋キラキラなおぼっちゃまではなく。
汚れることを知った、大人の男。
アトリエにやってきた豊太郎がエリス@ののすみとの恋を語り、それまでの枠を超えて輝きだしたのを見て「お前は俺と同種の人間だ」とうれしそうに言っておきながら……言葉を、濁す。
この、言葉を飲み込むよっしーが好きだ。
エリスとの恋……新しい自分、真の自分の姿に気づき、希望にキラキラしている豊太郎になにか話しかけ、「いや、いい」と言葉を飲み込み、話を変える。
言いたかったはずなんだ。
豊太郎は、かつての自分。
挫折を知る前の、幼い自分自身。
自分ひとりで世の中を変えることが出来ると、世界を革命する力(笑)があると無邪気に信じている純粋な姿。
それがどれほど危険なことであるか……高く舞い上がった分、地面に墜ちるときの痛みが、被害が、尋常ではないことを、忠告するべきだったのに。
もしもそれを言ったところで激情が止まらないこと、心の中の獅子が治まらないことも全部全部見通した上で、言葉を飲み込む。
それは彼が、大人だから。
たしかにあったはずの翼を失い、傷ついたカラダを引きずり、2本の足で歩いているところだから。いつかまた、翼を広げ飛び立てる日を信じて。
2幕での芳次郎の絶望が深いのは、彼が大人だから。
子どもや青年の挫折なら、とっくに経験しているんだ、彼は。
美術学校を辞め、芸術のためだけでなく「生活のため」に絵を描きはじめたときに、味わっている。
それを乗り越えた、泥にまみれてなお絵を描くことにこだわった大人の男だからこそ……今度の絶望は、とことん深く、超えることが出来なかった……。
世間知らずの若者が、勢いだけで吠えて、浅はかさから自滅するなら、そこまでかなしくない。
悲劇は悲劇だけど、ありがちっていうか。
だから原芳次郎は、小僧っこになってはいけないと思うの。
若さゆえの獰猛さ、精神力、野生は必要だけど、子どもっぽくてはいけないの。
だから。
青年館でのよっしー@みつるは、バウより大人びていて。
だからこそ、彼の最期が、かなしかった。
1幕で大河内@しゅん様や丹波@らいらい相手に吠えているときからすでに、彼が小僧っこではない、ちゃんと挫折を、人生を知り、それでもなおあがいている男だと感じられて、せつなさが大きかった。
「野良犬の方が飼い犬より強いんじゃ!」
と吠える彼の、経験から来る誇りが輝いて見えた。
挫折を知る前の豊太郎の純な瞳を、マリィ@ゆまちゃんの肩を抱きながら見つめるまなざしが、ひたすらやさしくてせつなかった。
この男だから、こんな男だからこそ、志を遂げて欲しかった。
彼が絶望に苛まれ、崩れ落ちていく様を見るのはかなしかった。
病床で「くやしいなあ、こんな死に方……」と絞り出す彼に、拳を握って同意した。
くやしいよ。くやしい。
やせ細ったライオン。
百獣の王でいてほしかった。
傷だらけでも毅然と顎を上げる姿を、見ていたかった。
子どもの挫折ではなく、大人の男の絶望。
純なものも汚れたものも、全部飲み込んだ上での破滅。
だから、やるせない。
よっしーはバウよりさらに、大人だった。
みつるは成長していた。美貌も、演技も。あああもー、美しいってばー。
そして、目の下の、シワ。
や、だって、「大人の男」ですから。苦労してるわけですから。
わたしの好み云々だけでなく、役としても良い感じにマッチしてるでしょ? でしょ?
いやあ、いいなあ、華形みつる……。(芸名とあだ名の区別がつかなくなってます)