『懐かしの宝塚イブニングコンサート』汐美真帆の回の構成や進行をグダグダだなと思ったのは、「カラーセラピーと音楽の融合を狙ったコンサート」であるという点。
 試みはおもしろいけれど、足りないことばかり。

 まず、このコンサートのタイトルは『懐かしの宝塚イブニングコンサート』だ。
 カラーセラピーがどうのとは、まったく関係ない。
 タイトルに「カラーセラピーやりますよ」という意味の副題を付けるか、パンフレット(チラシ1枚でも可)を配布するかして、あらかじめ意図を明らかにするべきだ。

 「んな金や準備の必要なことはしたくない」というなら、台本を練り、コンサートの最初にコンセプトをしっかり解説する必要があった。

 このへん所詮タカラヅカってゆーか、お茶会感覚ってゆーか、すべて、なし崩しに進んだのよ……せっかくの興味深いコンセプトが。
 プロの主催するイベントならまずありえないことだけど、出演者が自分でコーディネートするハンドメイド・イベントだから、素人臭さ丸出しなグダグダっぷりが、残念で。

 ステージ……というか、段差もないレストランの一画のふつーの空間で歌うわけなんだが、そこにカラーセラピーのボトルスタンドが置いてある。
 登場したケロはそこからボトルをひとつ選び、グランドピアノの上にちょこんと置き、歌い出す。
 1曲ごとにボトルを替える。
 曲とボトル(色)になにか意味があるらしい。

 それはわかるんだが、ものすげー説明不足。

 カラーセラピーがなんなのかわかんない人にだって、「色になにか意味がある、イメージするものがある」くらいはわかる。
 ケロが説明したのはその「素人でもわかる、見たらわかる」部分のことで、肝心の「で、ソレがなんなの?」については説明しなかった。
 自分たちがわかっているので、説明しなかったんだろう。素人イベントにありがちな、客観性の欠如。

 選んだ色に意味があることは見たらわかるから、「何故そんなことをするのか」を教えてくれよダーリン。

 カラーセラピストの張さんも、真面目に色の持つ意味を解説してくれるけど、「で、それがなんなのよ?」についてはスルー。

 たとえば、NYな歌を歌うケロ。
 「NYはこんなイメージなんで、この色のボトルを選びました」
 ふーん、ケロちゃんにとってはNYってこんな色なんだー。……と、ここまではいい。
 そのあとに、ケロは張さんに聞く。「合ってますか?」

 えーと、この「合ってますか?」の意味は?
 NYのイメージは「この色」と、世の中ではカラーが決まっているの? 「黄色」が正解だとしたら、ここで「青」を選ぶことまちがい?
 それとも、NYに対してどんな色を選んだかの正誤ではなく、ケロが語った「色」に対する解釈がカラーセラピー的に合っているかということ?

 たぶん後者の意味だとは思うんだが、ケロは1曲歌い、その曲の色について語ったあと必ず張さんに「合ってますか?」と聞く。そして張さんが「合ってます」と答える。
 このやりとりの意味がわからない。

 曲に対して、イメージする色を選ぶ。
 これはわかるし、興味深い試みだと思う。

 だがそれを選ぶ人間と、その人間のスタンスがわからない。

 選んだのは、誰なのか?

 ケロのコンサートである以上、選ぶのはケロであるべきだと思うが、どうやらそうでもない。
 「次の曲は何番のボトル」と張さんが指示を出す。
 そしてケロが歌い、色の意味を語り、「合ってますか?」「合ってます」と言う。

 どんな曲を歌うか打ち合わせたときに、カラーセラピストの張さんも一緒になって、あらかじめ色も決めていたっぽい。

 では、その立ち位置をまずはっきりと説明してもらわないと、見ている方はわけがわからない。
 「この曲はこの色」と思ったその動機を、コンサートを通してどういう立ち位置で選んでいるのかを、最初に説明してもらわないと。

 ケロの立場が中途半端すぎるんだ。

 
 半端に長くなったので続く。

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