間違ったパロディって?@タカラヅカスペシャル2011
2011年12月18日 タカラヅカ 今年も行ってきました、1年を締めくくるお祭り、『タカラヅカスペシャル2011』。
タカスペと言えば今年1年を振り返る組ごとのパロディ。
参加は花・月・星。
今年は、花組圧勝かと(笑)。
というのも、今年のパロディを構成した演出家が、悪い。
作劇の指針を間違えてる。
タカスペは年に一度のお祭り、ファン向けのイベントだ。
だから客席にいるのはファンばかり、ヅカヲタ相手だからこそのパロディ。
パロってのは、元ネタを知っていてはじめて成立する。客席にいるのはヅカファンだから、元ネタを知っていて当然。
……という姿勢で作劇するのは、間違っていない。
が。
パロディであっても、「より多くの人にわかりやすくする」「客を喜ばせる・楽しませる」のは、エンタメの基本だろう。
今年のパロディは、本末転倒していたと思うんだ。
「今年1年の上演作品をネタにしたパロディ芝居を上演して、観客を楽しませる」ではなく、「今年1年の上演作品を網羅したパロディ芝居を上演する」になっていた。
観客を楽しませる手段としてのパロディなのに、パロディを作ることだけを目的としてしまった。
手段と目的が逆転、本末転倒。
パロディとして楽しめるのは、せいぜい2~3作品を混ぜ合わせたり、元ネタを違う角度でいじったりする程度だ。
もちろん世の中にはもっと複雑な構造のパロディも存在するが、イベントの一発芸でそんなもんは求められていない。
観客もまたヅカファンとはいえ、全組全公演脇のキャストに至るまで顔やキャラクタ、どの公演でナニを演じてどんな持ち台詞があったかなどを知り尽くしている者は少数だろう。
そのギャグをやると面白いか、観客にウケるかは考えていない、「多くの作品を、パロディに取り入れたぞ!」という作家の自己満足が前面に出てしまった。
たくさんの作品とキャラを出すだけでごちゃごちゃし、それがナニを表しているのか、わかりにくい。
おかげで、観客が置き去りにされる率高し。
また、舞台パロディでもっとも安直、かつ、やってはいけないことをやりまくっているし。
同じ役者がいくつもの公演、作品に出ているわけだから、いちばん簡単にギャグに出来るのは「あなたは**(役名)じゃないの? **と同じ顔だけど」ってやつ。
例に出すと、ラブロー神父@みわっちに対し、「シャンドン伯爵?」と呼びかけ、「ちがいます」と言わせることね。
それを言っちゃおしまいよ、っていうか、ソレをやると出演者全員が「**(役名)じゃないの?」になってしまう。Aさんはナニも言われないのに、Bさんだけが「**じゃないの?」と言われるのはおかしい。
ダブルスタンダードの極地。「ズル」になってしまうので、多作品を混ぜ合わせるパロディでやっていいことではない。
同じように、禁じ手なのが「あなたは**(役名)だから、私の恋人でしょ?」「いいえ、※※(別の役名)だから、私の恋人よ」というネタ。
アンリ@みりおが、突然「ルイス・キャロル!」と声を掛けられ、アリス@ちゃぴとアナベル@みくの板挟みになることね。
それを言っちゃおしまいよ。他の人たちもつれあいのいた役すべてが「あなたは私の恋人」になってしまう。Aさんはナニも言われないのに、Bさんだけが言われるのはおかしい。
コレをよしとすると、今後すべてのパロディが、「あなたは**(役名)じゃないの? **と同じ顔だけど」とか、「あなたは**(役名)だから、私の恋人でしょ?」「いいえ、※※(別の役名)だから、私の恋人よ」とかやって、済んでしまう。
これから先何十作何十年、同じことが出来るよ、どの作品、どの出演者でも。
だってこんなの、パロディでもなんでもない。プロが書く話じゃない。
プロがお金を取って上演しているんだ。
お祭りだから、イベントだからとバカにしないで、真面目に作って欲しい。
たかがパロディぢゃねーよ、これもひとつの「作品」なんだよ。
ただ複数作品を混ぜ合わせただけ。
ひとりで複数の役割をやって、それゆえに混乱したものを見せただけ。
なんてレベルの低いパロディなんだ……。
二次創作好き、パロディ好きとしては、肩を落とす低レベルさ。
演出は去年と同じ中村A。
「**(作品名)だけでなく、※※(別の作品名)も入れて欲しかった」と要望を多くもらったのかな? それで、どの作品のファンも喜ぶようにと、全作品を入れることを考えたのか?
そんなの、無理だから。
観客は勝手なこと言うもんですよ、でも全部の声に応えられるわけないじゃん。万人が納得するモノなんてないんだから、まず演出家として、最低限の作劇をすることを念頭に置いて欲しかったわ。
「わたしは**ファン。**がパロディにしてもらえなくて残念だったけど、面白かったから、いいわ」と思わせるような作品にしてくれよ。
ということで、花組がいちばん良くて、月組がいちばん残念だったのは、混ぜ込まれた作品数と知名度ゆえ。
花組はらんとむがトップになってからの公演のみなので、『ファントム』『小さな花がひらいた』『ル・ポァゾン 愛の媚薬II』『カナリア』の4作しかない。『ル・ポァゾン』は歌のみなので、パロディに使ったのは実質3作。
しかも『ファントム』は近年立て続けに再演された作品なので、組ファン以外にもキャラやストーリーが浸透している。『ファントム』をベースにパロをやるなら、らんとむの『ファントム』を観ていない人の多くにも理解できる。
星組は『メイちゃんの執事』『ノバ・ボサ・ノバ』『めぐり会いは再び』『ランスロット』の4作だけをチョイス、中日の『愛するには短すぎる』と花組とかぶる『ル・ポァゾン』はスルー。
『ノバ・ボサ・ノバ』が有名作かつ、『めぐり会いは再び』と共にムラ東京博多名古屋と4都市半年間公演していたこともあり、観ている人は多いだろうし、観ていなくても内容を知っている人が多い。
『メイちゃんの執事』はすでにスカステで放送済み。知らない人が多いのは『ランスロット』のみ。
月組がひどい。『バラの国の王子』『ONE』『アルジェの男』『Dance Romanesque』『アリスの恋人』『我が愛は山の彼方に』と6作混合。
ベースになる『アルジェの男』は、再演作とはいえ、近年何度も再演されたりスカステでなにかっちゅーと放送された作品ではないため、ナマで観た人でないと話がわからない。今作もスカステ未放送。『アリスの恋人』『Dance Romanesque』も同じ、劇場に行った人しか知らない。
現実に劇場まで行ってリピートしている人以外、相当わかりにくい作りになっていた。
混ぜる作品数が増えるほど、構成力が必要になる。ややこしくなる分、緻密な計算で演出しなければならない。ヅカファンならば絶対知っている超有名作6作で作るとしてもかなりの難業だ。それを、てきとーなやっつけ仕事で混ぜただけのクオリティで、一部の人しか知らない作品ばかりでやっても、観客は置き去りにされるだけだ。
ひでーなー。
演じている人たちに罪はないし、差があるとも思わない。
ただ、演出に差があったために、笑いや満足度にひどく差が付いたと思う。
わたしは全作品ナマで観ているし、出演者全員顔も名前もわかるし、咄嗟にナニが出てきても「ああ、あれか」とわかるけれど、それとは別に、演出に不満を持った。
パロディなめんな。と(笑)。
例年のパロディがそれほどハイクオリティだと思っていないが、それでもいろんなとこに目をつぶって楽しめたんだけどなあ。
今年は残念過ぎる。
あくまでも、演出家の姿勢が。
タカスペと言えば今年1年を振り返る組ごとのパロディ。
参加は花・月・星。
今年は、花組圧勝かと(笑)。
というのも、今年のパロディを構成した演出家が、悪い。
作劇の指針を間違えてる。
タカスペは年に一度のお祭り、ファン向けのイベントだ。
だから客席にいるのはファンばかり、ヅカヲタ相手だからこそのパロディ。
パロってのは、元ネタを知っていてはじめて成立する。客席にいるのはヅカファンだから、元ネタを知っていて当然。
……という姿勢で作劇するのは、間違っていない。
が。
パロディであっても、「より多くの人にわかりやすくする」「客を喜ばせる・楽しませる」のは、エンタメの基本だろう。
今年のパロディは、本末転倒していたと思うんだ。
「今年1年の上演作品をネタにしたパロディ芝居を上演して、観客を楽しませる」ではなく、「今年1年の上演作品を網羅したパロディ芝居を上演する」になっていた。
観客を楽しませる手段としてのパロディなのに、パロディを作ることだけを目的としてしまった。
手段と目的が逆転、本末転倒。
パロディとして楽しめるのは、せいぜい2~3作品を混ぜ合わせたり、元ネタを違う角度でいじったりする程度だ。
もちろん世の中にはもっと複雑な構造のパロディも存在するが、イベントの一発芸でそんなもんは求められていない。
観客もまたヅカファンとはいえ、全組全公演脇のキャストに至るまで顔やキャラクタ、どの公演でナニを演じてどんな持ち台詞があったかなどを知り尽くしている者は少数だろう。
そのギャグをやると面白いか、観客にウケるかは考えていない、「多くの作品を、パロディに取り入れたぞ!」という作家の自己満足が前面に出てしまった。
たくさんの作品とキャラを出すだけでごちゃごちゃし、それがナニを表しているのか、わかりにくい。
おかげで、観客が置き去りにされる率高し。
また、舞台パロディでもっとも安直、かつ、やってはいけないことをやりまくっているし。
同じ役者がいくつもの公演、作品に出ているわけだから、いちばん簡単にギャグに出来るのは「あなたは**(役名)じゃないの? **と同じ顔だけど」ってやつ。
例に出すと、ラブロー神父@みわっちに対し、「シャンドン伯爵?」と呼びかけ、「ちがいます」と言わせることね。
それを言っちゃおしまいよ、っていうか、ソレをやると出演者全員が「**(役名)じゃないの?」になってしまう。Aさんはナニも言われないのに、Bさんだけが「**じゃないの?」と言われるのはおかしい。
ダブルスタンダードの極地。「ズル」になってしまうので、多作品を混ぜ合わせるパロディでやっていいことではない。
同じように、禁じ手なのが「あなたは**(役名)だから、私の恋人でしょ?」「いいえ、※※(別の役名)だから、私の恋人よ」というネタ。
アンリ@みりおが、突然「ルイス・キャロル!」と声を掛けられ、アリス@ちゃぴとアナベル@みくの板挟みになることね。
それを言っちゃおしまいよ。他の人たちもつれあいのいた役すべてが「あなたは私の恋人」になってしまう。Aさんはナニも言われないのに、Bさんだけが言われるのはおかしい。
コレをよしとすると、今後すべてのパロディが、「あなたは**(役名)じゃないの? **と同じ顔だけど」とか、「あなたは**(役名)だから、私の恋人でしょ?」「いいえ、※※(別の役名)だから、私の恋人よ」とかやって、済んでしまう。
これから先何十作何十年、同じことが出来るよ、どの作品、どの出演者でも。
だってこんなの、パロディでもなんでもない。プロが書く話じゃない。
プロがお金を取って上演しているんだ。
お祭りだから、イベントだからとバカにしないで、真面目に作って欲しい。
たかがパロディぢゃねーよ、これもひとつの「作品」なんだよ。
ただ複数作品を混ぜ合わせただけ。
ひとりで複数の役割をやって、それゆえに混乱したものを見せただけ。
なんてレベルの低いパロディなんだ……。
二次創作好き、パロディ好きとしては、肩を落とす低レベルさ。
演出は去年と同じ中村A。
「**(作品名)だけでなく、※※(別の作品名)も入れて欲しかった」と要望を多くもらったのかな? それで、どの作品のファンも喜ぶようにと、全作品を入れることを考えたのか?
そんなの、無理だから。
観客は勝手なこと言うもんですよ、でも全部の声に応えられるわけないじゃん。万人が納得するモノなんてないんだから、まず演出家として、最低限の作劇をすることを念頭に置いて欲しかったわ。
「わたしは**ファン。**がパロディにしてもらえなくて残念だったけど、面白かったから、いいわ」と思わせるような作品にしてくれよ。
ということで、花組がいちばん良くて、月組がいちばん残念だったのは、混ぜ込まれた作品数と知名度ゆえ。
花組はらんとむがトップになってからの公演のみなので、『ファントム』『小さな花がひらいた』『ル・ポァゾン 愛の媚薬II』『カナリア』の4作しかない。『ル・ポァゾン』は歌のみなので、パロディに使ったのは実質3作。
しかも『ファントム』は近年立て続けに再演された作品なので、組ファン以外にもキャラやストーリーが浸透している。『ファントム』をベースにパロをやるなら、らんとむの『ファントム』を観ていない人の多くにも理解できる。
星組は『メイちゃんの執事』『ノバ・ボサ・ノバ』『めぐり会いは再び』『ランスロット』の4作だけをチョイス、中日の『愛するには短すぎる』と花組とかぶる『ル・ポァゾン』はスルー。
『ノバ・ボサ・ノバ』が有名作かつ、『めぐり会いは再び』と共にムラ東京博多名古屋と4都市半年間公演していたこともあり、観ている人は多いだろうし、観ていなくても内容を知っている人が多い。
『メイちゃんの執事』はすでにスカステで放送済み。知らない人が多いのは『ランスロット』のみ。
月組がひどい。『バラの国の王子』『ONE』『アルジェの男』『Dance Romanesque』『アリスの恋人』『我が愛は山の彼方に』と6作混合。
ベースになる『アルジェの男』は、再演作とはいえ、近年何度も再演されたりスカステでなにかっちゅーと放送された作品ではないため、ナマで観た人でないと話がわからない。今作もスカステ未放送。『アリスの恋人』『Dance Romanesque』も同じ、劇場に行った人しか知らない。
現実に劇場まで行ってリピートしている人以外、相当わかりにくい作りになっていた。
混ぜる作品数が増えるほど、構成力が必要になる。ややこしくなる分、緻密な計算で演出しなければならない。ヅカファンならば絶対知っている超有名作6作で作るとしてもかなりの難業だ。それを、てきとーなやっつけ仕事で混ぜただけのクオリティで、一部の人しか知らない作品ばかりでやっても、観客は置き去りにされるだけだ。
ひでーなー。
演じている人たちに罪はないし、差があるとも思わない。
ただ、演出に差があったために、笑いや満足度にひどく差が付いたと思う。
わたしは全作品ナマで観ているし、出演者全員顔も名前もわかるし、咄嗟にナニが出てきても「ああ、あれか」とわかるけれど、それとは別に、演出に不満を持った。
パロディなめんな。と(笑)。
例年のパロディがそれほどハイクオリティだと思っていないが、それでもいろんなとこに目をつぶって楽しめたんだけどなあ。
今年は残念過ぎる。
あくまでも、演出家の姿勢が。