いつも自組のニュースを追うだけで精一杯、余裕のない日々が悲しい。
 7月の雪組の他、発表になったラインアップは、7月花組大劇場、9月の星組全ツとバウ。……あれ? 9月の宙組大劇場だけ抜けてますよ? 9月まで発表するなら、まずは大劇場でしょうに。代替わり公演じゃなかったら、一緒に発表されていたかな。

 いちばんインパクトがあったのは、なんつっても花組の「星の王子さま」。
ミュージカル・ファンタジー
『サン=テグジュペリ』-「星の王子さま」になった操縦士(パイロット)- 作・演出/谷正純
ラテン・パッショネイト
『CONGA(コンガ)!!』
 作・演出/藤井大介

 ほれ、わたしには『ICARUS』で頭を抱えた経験があるので、またそんなことになったらどうしよう、と(笑)。
 小柄な美形ではあったが、下級生時代から大人の男余裕でOKな芸風、というか、持ち味自体は男っぽかった雪組のトウコに、少年を通り越した幼児風味のメルヘン少年イカロスを演じさせた作品が、『星の王子さま』を下敷きにしていましたね、と。
 タカラヅカは女性が演じる子役を喜ぶ、ファミリー劇場じゃない。なんで初主演作で子役をやらなきゃいけないんだ、そんなの外部の劇場でできるじゃないかと、なんでヅカでやるんだと、心から残念でした。おかげで、植田景子という新人演出家の評価は、かなり低いところからスタートを切りましたなー。
 そんなトラウマ。タカラヅカで『星の王子さま』は鬼門。

 別に『星の王子さま』の舞台化ではなく、その作者サン=テグジュペリの話だとわかるが、タイトルにわざわざ「星の王子さま」と付けているので、絶対出てくるんだろうなと。てゆーか、サン=テグジュペリと付けるからには「星の王子さま」を出さなきゃ成り立たないだろうと。
 「サン=テグジュペリ」と言って通じなくても、「星の王子さま」と言うと通じるのが現代日本人の多くぢゃないっすか? ならば絶対「星の王子さま」は使わないと。

 いったいどんなカタチで『星の王子さま』が使われるのか、それがこわいです……(笑)。
 景子たんのドリーミーさもアレだったが、ファンタジーをまったく解さない、谷正純作品だよ?! 妖精と言ったら素っ頓狂な格好で「白い血の病気、ミャハッ」とかやっちゃうセンスの人だよ?! いやもお、こわいを通り越して、楽しみです。
 「ミュージカル・ファンタジー」ですよ……ファンタジーて……。谷せんせ……(笑)。

 わたしは、『星の王子さま』は「ぼく」と「王子さま」のラヴストーリーだと思っている腐った大人なので、「ぼく」=サン=テグジュペリの格好良さは理解しています、期待しています。
 いやその、ぼくは受だと思ってましたが……王子さまはS入った攻だよねとか、振り回されるぼくがたまらんとか、片思いっぷりがツボ過ぎるとか、「ぼく、君のそば離れないよ」なんかどんだけ深い愛の言葉なんだとか……。

 腐った意味は置いておいて、『星の王子さま』はマジに大好きなので、語り出すと止まらなくなります(笑)。
 今よりはるかにびんぼーだった、少女の頃のわたしが、なけなしのおこずかいでハードカバー本を買った、大切に大切に読み返していた宝物のひとつです。

 わたしが蘭寿さんを「ぼく」として『星の王子さま』を描くなら、王子さまは壮くんだなあ(笑)。少年ではなく、あのままのえりたんがらんとむさんの前に現れ、わがまま言いまくって、そのくせキラキラの笑顔できゅんとさせて、らんとむさんを振り回すの~~。
 パイロット姿のらんとむと、クラシックなロングジャケット・スーツのえりたん。砂漠でふたりきり。現実と切り離された空間で、ふたりきり。
 『復活』でもそうだったけど、えりたんの「救いの光」はすごい。しがらみとか現実とか、わたしたちが抱える澱んだモノを、彼はぱかーっとぶった切る。ふんわり癒すのではなく、Sにたたっ切る。
 いろんな現実に打ちのめされるサン=テグジュペリ@らんとむの前に、王子さま@えりたんが現れ、すぱーっと空気をぶった切ってくれたら、そりゃ「救い」になるだろう。彼が現実のものでナイとしても。

 とまあ、『星の王子さま』だと妄想が止まりませんわ。いくらでも創作できるネタだもんよ。
 さて、あくまでも主人公はサン=テグジュペリ。どうなるのか楽しみです。
 でもってらんとむ、タイトルロールだね。すごいなー。

 ショーはまたしても藤井くん。
 花組的にはやっぱ「また」になるよな。本公演では2009年から藤井くんしかやってない……ミキティが1回だけで、4年間全部藤井ショーってナニ。
 4年間で1作をのぞき、あと全部同じ演出家のショーしかやってないって、他に例はあるのかしら。


 星組の全ツ、演目よりナニより、梅田公演があって、よかったです。
 もしも大阪公演がなかった場合、いちばん近い会場はどこだろうか、とれおんファンと話していました。
 とゆーのも、大阪のいつもの全ツ会場である梅芸メインホールが、全ツ日程とオサあさ『エリザベート』が丸かぶりしていたため。
 『エリザベート』千秋楽の翌日が全ツなんだ……。公演終わったあとに、セット全部撤収して、そのまま全ツのセットに替えるんだ……中の人、大変だなー。

 演目は、『琥珀色の雨にぬれて』『Celebrity』
 何故今さらまた、『琥珀色の雨にぬれて』……。
 それほどいい作品とも思っていないので微妙ですが、今となってはヒロインのシャロンを演じられるトップ娘役がねねちゃんだけなんだなあと。蘭はな、みみ、ちゃぴはみんな、現時点で持ち味が「少女」。大人の女を演じられるトップがねねちゃんだけか……。
 れおんくんのクロードは、柄に合っているわけじゃないけど、似合うと思う。今のれおんくんなら、こーゆー受け身の男も魅力たっぷりに演じてくれるだろうなと。
 2番手が気になりますが、やっぱすずみんかな。うーん、ちょっと新鮮味に欠ける組み合わせになるなあ、それだと。


 今回のラインアップで、いちばんシンプルに「おもしろそう! 楽しみ!」と思ったのは、星バウ『ジャン・ルイ・ファージョン -王妃の調香師-』です。
 景子たんの趣味に走った感じの題材と、主演がベニー。心から、わくわく。

 『ICARUS』で「この人ダメかも」と思ったことが嘘のように、期待のクリエイターになってます(笑)。

 だからこそ、未来ってのはあなどれない。

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