新人公演『エドワード8世』、他のキャスト感想覚え書き。

 ボールドウィン@ゆりやくん。
 新公主演した長の期の子が、下級生主演を脇の役で支える、という図は好きだ。主演経験があるからこその、豊かな実力と余裕を披露してくれるから。……してくれる、から。
 えーと。あんまり、主演経験者だから、という実力は感じられなかった……。いっぱいいっぱいにも見えないのは、もともと出番が少ない役だからっつーか、今回は専科さんがふたりも出ていたので組長の役は比重が低かったんだよなー。
 1回の経験で人が劇的に変わるとか成長するとか、都合のいい妄想でしかない、現実はナニも変わらずコツコツ日々を積み重ねていくしかないのですよ、と教えられたようでした。や、それはゆうきくんにも感じたんだけどさー。
 ほんと、出来る役の幅がすげー狭いなあ、ゆりやくん……(笑)。

 ゆりやくんは「キャラ売り」が正しいのかもな。
 と、思った。
 タカラヅカではまかり通る、スターのあり方。
 「ナニをやっても**(名前)」ってやつ。役名関係なし、生徒個人のキャラで押し通しちゃう。
 ハンパなキャラだとただの芝居できない人だが、ヅカ全体に名を知られるくらいのキャラが確立できれば、それはオイシイ人になる。
 気の良い二枚目半とかへたれ男が得意なゆりやくん、そのまま突き抜けて薔薇様系を目指すとか。あさこちゃんコピーだった帽子屋@『アリスの恋人』を、コピーのままだとダメだから、もっと発展させてみるとか。
 せっかくきれいなんだもん、新公主演もしたんだもん、今のままではもったいない。
 大人になると良い味を出すタイプかもしれないし、これからもまったり見守ります。

 フレッド@まんちゃんはダンスの期待にばっちり応え、歌の不安にばっちり応えてくれました……(笑)。その裏切らないところはステキです。
 役割がばしっと押さえられた人だと思います。
 歌はもういいから、芝居がうまくなってくれるといいな。ダンスとビジュアルはほんと良いんだもん。

 その相方、アデール@紗那さんは硬質でしゃきしゃき? フレッドの奥さんがお姉さんやってる……と、なんか混乱(笑)。
 色気とはチガウ、なんか目に残る雰囲気がある。あまり娘役っぽくないのかなあ?

 ルイーズ@早桃さん、きっつい感じが良い、キュートだ。

 トロッターさん@ジョーくん、とっても好々爺。年齢上げすぎな気もするが、これはこれで好みだ(笑)。
 侍従カルテットはかわいい。色の統一感は新公の方が上。しかしコレは善し悪しか……トーマス@ちなつくんも含め、4個イチに収まってしまう感じが。

 マルグリット@ゆめちゃんは本役とまったくチガウ役作り。マンガ的な金髪バカ女。
 夫・エジプトのプリンス(自称)@星輝くんがわかりやすいアラブの大富豪として登場していることもあり、場面自体がはっきりした位置づけになっている。
 つまり、「遊ぶのにちょうどいい女」だったのね。エジプトのプリンスもシンボル的に妻を欲したんだなとか、マルグリットは間違いなくただの金目当てで結婚したんだなとか丸わかりなので、間男のデイヴィッド@たまきちを含め、誰も責められない、みんなひどいわ、やってること、と。
 ただの遊びだから、ギャグ寄りの場面でよし。デイヴィッドはベッドの中から乱れた衣服で登場。
 きりやんデイヴィッドが「夫に現場へ踏み込まれた瞬間の間男」とは思えない、びしっとキメたスーツ姿なのが違和感ありすぎ(でもソレがきりやんらしい)だったので、新公演出もアリだろう。

 ただ、そーなるとそのあとの銀橋が嘘っぽくなる。
 恋をくり返すデイヴィッドは、王子様モノのお約束であるところの「本当の僕を愛してくれる女性」を求めているのだとつぶやく。王子様だから好意を持たれるのではなく、自分自身を見て欲しいのだと。
 …………マルグリットみたいな、わかりやすい金目当てバカ女と愉しんでおいて、「本当の僕」はナイわー。ソレ、ただの言い訳やん!に、なる。
 デイヴィッドの銀橋は、複雑でわかりにくい彼が、一瞬本音を見せる場面。でもすぐに「プリンス・チャーミング」という表向きの顔で歌い出す。明るく含みのある様子で「本当の僕を誰も見ていない」と歌っても、それはただのパフォーマンスに見えてしまう、本音を軽薄に口にすることでそんなことは別に求めていないと見せかける、二重にわかりにくいことをしている場面。
 王子様だからと近づいてきた、あんな女に引っかかってしまった自嘲もあるんだろう。でも彼女だって最初は情熱的な恋人だったんだ、金目当てにまったく見えなくて……てな物語を想像させる。
 それが本来のマルグリット事件からの流れっしょ?
 でも新公だと、マルグリットがあまりにアホアホなので、彼女一瞬でも「夢を見た」とは思えない。割り切って遊んだ、愉しんだ、としか思えない。あのテの女に本気で入れ込むとしたら、デイヴィッドがバカってことになってしまう。
 ただの遊びだったのに、それをトーマスに咎められたら「信じてみたかったんだ」と口先で「王子の孤独」を歌う人になってしまう。
 マルグリットをバカ女にして笑いを取ったために、デイヴィッドのキャラに哀愁が消えたなああ。
 や、これはゆめちゃんや星輝くんがどうというより、新公演出の上田先生の意向でしょう。役者のアドリブや役作りというより、がっつりした演出だったもの。
 マルグリットの役割は、ウォリス@ちゃぴに「あんな女と一緒にしないで」と言わせるためだけのモノになっていたんだなあ。
 たしかに、アレと一緒にされたらたまらんわな、ウォリス。

 ゆめちゃんは持ち味が現実的というか、フェアリーっぽさが少なめな気がする。
 それが役を選ぶ感じ?

 演出変更の是非はともかく、乱れた服装のままジャケットを肩に引っかけて銀橋を歩くたまきちは格好良かったっす。
 きりやんがぴしっと英国スーツ!って感じの場面だから、新公でも服装を整えるのかと思って待っていたんだが、なかった。そのまま通しちゃったよ(笑)。

 カメラマン@晴音アキちゃんだったのか(笑)。観ているときは気づいてなかった。コメディでかわいかった。
 本公演では大人の男だから殴り倒してよし、しかし新公は年端もいかない少年だったので、ロッカート@輝月くんは殴るわけにいかない。
 問答無用で殴り倒すのがロッカートのカッコイイところだったわけで、それがなくて残念だった。
 コメディっぽく脳天をげんこつで、ゴツン。少年は目が回ってくらくら~~、ぱたん!

 あ、まだキャスト感想書き切れてない。もうちょっとだけ続く。

日記内を検索