ルドルフって、どーゆー人なんだろう。

 今回の『エリザベート』を観ながら、真面目に考える。

 わたしずーっと、ルドルフってオイシイキャラクタだと思っていたのね。
 この役をやれば絶対人気沸騰する、劇団が将来を期待する人にやらせる役。もしくは、なにかしら「この人がルドルフをやる」ことが客寄せになる「売り」を持つ役。

 タータン、たかこ、ブンちゃん、コム姫、樹里ちゃん、ゆみこ、ゆーひ。
 歴代のルドルフは、やはり「オイシイ役」だと思う。

 だが、何故だ。
 なんか今回、オイシく見えないんですけど?

 かなめくんは、この役をやることで人気がブレイクしているのでしょうか……。

 で、考える。
 ルドルフ役って、なんなんだろ。
 ルドルフって、どんな人なんだろ。

 わたし的には、彼の人となりをいちばんに表す台詞だと思っているのは、シシィに助けを求めるところ。
「最悪の事態に陥ってしまったんだ」
 と歌う彼が、ママに「助けて」と懇願する内容は、「パパがボクを皇位継承者からはずすって言うんだ、大ピンチ! ママから取り直して、ボクの地位を守って!」ではない。
 流れからいって、そう訴えても不思議ではないのに。

 彼が歌うのは、帝国の未来だ。

「今ハプスブルクを滅亡から救える道は、ドナウ連邦しかない」

 この青年は、本気で祖国の未来を考えているんだ。自分の保身よりも、世界の行く末を憂いているんだ。

 この、「政治家」としての「未来の皇帝」としての部分が活きることで、ルドルフというひとりの男の「強さ」になる。

 たしかにマザコンで「ママ、ママ」で、トートに誘惑されて革命家たちに持ち上げられて、後先考えずに行動して破滅するおバカさんだけど。
 それだけではない、一国の皇子としての気骨を持った人物であるということ。
 繊細さとは別。美しさとは別。

 かなめルドルフには、この「政治家」としての部分が感じられないんだ。
 多感な男子中学生みたいだ。
 はじめて万引きして現行犯逮捕され、親が金を使って黙らせました、でも学校は転校させるからな、今の友だちとは縁を切れ! ……てなことを父親に言われて、その日のうちに自殺した、よわよわな中学生みたいだ。
 一度の失敗で人生全部投げ出しちゃうよーな。小さな擦り傷でも、傷ついたことがショックで、耐えられなくて逃げ出してしまうよーな。

 ルドルフという役の持つ、耽美だとか美しい部分だけがもてはやされてきた結果の、ルドルフ役という印象。
 ただきれいなだけ。

 弱いことだけがすべてなのかな、この役?

 「もうひとりのエリザベート」であるはずなのに?

 ルドルフを思春期の少年として描くのもべつに、悪くはない。少年だからこそ持つ、青臭い理想論を胸に若さで突っ走って破滅した、という設定はアリだと思う。
 万引きが見つかって自殺する中学生のよーなメンタリティでも、べつにいいっちゃいいんだが。

 かなめくん……外見が中学生に見えないんだもんよ……。
 ハタチ過ぎているよーに見えるから、精神年齢が低すぎて、つらい……。

 ルドルフ自身の「欲」や「闇」が見えないので、トートのひとり勝ちになってしまう。
 革命家たちと同じ。
 トートが一方的に支配して、弱い人間を利用して終わり。

 拮抗してくれないと、緊迫感が生まれないっす……。
 いやその、ビジュアルは最高に美しいんですがね。

 なんかかなめくん、「翻弄される=ヘタレ」だと誤解してないか?
 もう少し、知性とか精神年齢とか、上げてくれるとうれしいんだが……ってまあ、つまりはわたしにショタ属性がないってことなんですがな。
 幼児プレイには萌えないんですよ(笑)。
 大人が好きです、はい。

 かなめくん自身は、今までになくテンション上げてがんばっていると思うのだけど。
 その姿にエールを送ってはいるのだけど。

 でもさあ、このルドルフ、シシィ@となみが「ママはボクの鏡」には見えないよねえ?
 シシィはすげー強いしさー。
 

 新公のキングにも、かなめくんとまったく同じモノを感じたので、今回の『エリザベート』の演出意図なのかもしれないとも思う。

 トートのトンデモなさ、人間じゃないっぷりを表現するために、出てくる人間たちをみーんな弱くした。
 ルキーニ、シシィ、フランツ、ゾフィ以外のキャラはモブと同じ、ひたすら弱く、色を薄く。
 その淡い色合いの世界で、トートの毒々しい緑が浮かび上がる。

 それが、狙いなのかもな。

 
 新しい演出ならソレで仕方ないけれど、わたしの好みはルドルフもモブではなく「主要キャラクタ」である演出の方だな。


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