「で、カップリングは誰と誰なの?」
 久しぶりというか何年ぶりかに会った友人が、開口一番こう言った。

 あー……ほんとに、久しぶりなんだな、こーゆーの。
 ほんの数年前までみんな、わたしに会うたびこーゆーことを聞いてきていた。
 別にわたしの意見に同意する気なんかまったくなく、ただ興味本位で聞くの。そして「そんな風に思うの、こあらさんだけだわー、ありえなーい(笑)」と言うのをたのしんでるのよ。「こあらビジョン」とか勝手に名前を付けて、「ふつうの人とはチガウ、歪んだフィルター」と決めつけて。

「ああ、アレは主人公とそのライバルの、壮大な愛憎劇だったわ」とか。
 わたしはドラマ・ヲタクでもあるので、いろんなドラマをわたしなりにかみ砕いて解説するんだけど、それをみんな「こあらビジョン」と言って、「別物」として楽しんでるの。……別物じゃなーい、同じモノを見て同じモノを語ってるんだってば。

 「こあらさん、どれだけありえない、変なことを言い出すのかしら」と、期待して聞いてくる。
 いやあの、わたしは別にウケを取りたいわけでも、「わたしってこんなにヒトとチガウのよ、ふふふ」と言いたいわけでもなく、ただ、腐った話をしたいだけなんだがな。
 たぶん、ヲタク属性の女子となら、話は通じると思うんだけど。
 ヅカ友に腐った人がほとんどいないせいで、今では語ることもなくなってしまった……。

「カップリングは?」と聞かれて、なつかしさに胸がアツくなったよ。
 そうよ、そうなのよ、緑野こあらといえば、腐女子でしょうが。腐った話をしてナンボでしょうが。
 なのにもう、リアルでそんな話ができなくなっているのよ、友だちいなくて!!(笑)
 ブログでは腐女子注意報話やってるけど、リアルではしてませんから、わたしが大人になったわけではなく、単に話せる人がいなくて。オレ、友だち少ないしさ……。

 友人で唯一腐っているのは、某ゆみこファンなんだけど(本人は「腐ってないもん!」と言い続けているが)、彼女はゆみこ絡みでしか腐った思考をしないので、ふつーの腐った話ができないんだよなー。

 語っていいなら語るわよ?
 カップリング話するわよ?
 
 つーことで、某喫茶店で『My dear New Orleans』カップリング萌え話をしたんだけど、聞いて来た相手も他のツレも、「へー」「そんなこと考えてるんだ」となまあたたかい笑いを浮かべて感心するばかりで、同意せず。

 誰か同意してよ、わたしと一緒に盛り上がってよ?!

 あー、ヲタ友が欲しい……(笑)。タムドクが受か攻かで盛り上がれる花組ファンとか、どっかにいないですかね? べつにチョ・ジュド×ヨン・ガリョで盛り上がれる人でもいいっすけど。

 語りはしたけど、なまぬるく笑われて終わった、『My dear New Orleans』の腐った話。

 アルバート@すずみん×ジョイ@トウコ。

 ねえ、このカップリングは王道よね? 腐女子なら誰だって考えるわよね?
 真の少数派はライアン@みずきりょお×レニー@れおんとかよね?

 王道カプを語るのは、ちょい面はゆいとこがありますが。
 
              ☆

「ニューオリンズ1美しいクレオール? それってジョイさんのことですよね?(素)」

 アルバートはずっと、人知れずジョイを愛していた。てかもー、一目惚れだろ。有色人種差別が横行する中、彼はそんなもんまったくヘとも思わず乗り越え、混血のジョイくんにめろめろだ。ジョイ会いたさに店に通い詰め、常連客として店の人間におぼえられるほど、あからさまな傾倒ぶり。
 しかしシャイな彼は、ジョイ本人にはなにも言えずにいた。そしてまた、高嶺の花であるジョイは、自分目当てで店に来る客なんて星の数ほどいるので、いちいちおぼえてないし(笑)。

 いったんはあきらめて「もっとビッグになって迎えに来るんだ」と人知れず誓うアルバート。ニューヨークで根回しして、あとはお姫様を迎えるだけ、までしてからだよな、プロポーズは。
 ところがどっこい、帰路の途中で知った。ストリートヴィル閉鎖の話。
 それってつまり、高嶺の花だった姫君の家が没落したよーなもん?! 準備ができてないなんて言ってる場合じゃない。他の狼どもにかっさらわれる前にプロポーズしなくては!

 つーことで、大慌てでアルバート登場です、本編です。
 怒濤の口説き文句、怒濤のプロポーズ……もとい、NYデビューの話。
 初対面の男に口説かれて困惑しているジョイに「返事を聞くまでホテル取って待ってますから」と、ボディタッチ。やるときゃやる男だ、アルバート。

 最初は声も掛けられず、遠くから眺めているだけだった、僕のブラックバード。
 それがビジネス・パートナーとなり、ついには親友になる。
 回想シーンでは敬語だったのが、現在場面ではタメ口、しかもジョイの気持ちを代弁したり、いちいち親密ぶりを発揮。

 美しい妻を持った夫の自慢と不安がまんま表れてる気がしたんですが、現在場面のアルバート。
 ジョイの崇拝者エリック@ベニーにいちいち牽制掛けてるよね、アレ(笑)。ジョイを自慢しつつ、「彼のことはオレがいちばんよく知ってるから!」と。「オレたちの間には誰も入れないから!」と。

 アルバートとジョイのNY時代の話が、心から知りたいのですが(笑)。

 ルル@あすかを失い、傷心のまま旅立つわけですよ、ジョイ。
 アルバートに返事をしたときは、ルルも連れていくつもりだったわけだし。それがまさかのひとりぼっち。故郷を離れ、見知らぬ大都会で、戦いの日々。ああ果てしない夢を追い続け、ああいつの日か大空駆けめぐる。
 そんなジョイのそばに、アルバート。彼に惚れきってる王子様めいた美形紳士。

 ルルを想って酔いつぶれたジョイを部屋まで送り届け、その寝顔を見ながら小さく「Sweet Black Bird」を口ずさむアルバート。
 髪を撫で、涙のあとの残る頬をたどる指がせつなく震え、不意に彼は部屋を出る。
 その気配に目を覚ましたジョイが、肩に掛けられたアルバートの上着を抱きしめるように、静かに「Sweet Black Bird」の続きを歌う。
 届きそうで届かない、いちばん近くにいて重なることのないふたつの心。

 ……王道過ぎて気恥ずかしいほどの、ありがちなシチュエーション、ありがちなカップリング。

 敬語がタメ口に変わる瞬間とか知りたいんですが。
 どれほどの出来事を経て、ふたりの心が固く結びついていったのか。

 なにしろ芸能界モノですから、助平な音楽界重鎮じじいとか下心見え見え金持ちパトロン気取りのおっさんやマダム、トゥシューズに画鋲、礼拝に着ていく制服の色をわざと嘘教えたり、ありがち設定詰め込んで、いざサクセス・ストーリー。
 負けるなジョイ、そしてがんばれアルバート。

 ジョイはきっと一生独身だし?
 ルルを愛し続けるその心ごと、アルバートなら愛して包んで支えていくさ。

 ちょっと切ない、でもあまあまなラヴ・ストーリーになりますよ、ジョイとアルバート。
 ねえ?

 腐女子なら、誰だって考えるよねえ?

 ……つーことで、次回はライアン×レニーを語ります。(嘘です)

日記内を検索