魂は、再生する。@薔薇に降る雨
2009年4月22日 タカラヅカ 『薔薇に降る雨』、ジャスティン@タニは、イヴェット@ウメとあれこれさんざんもつれて絡んでいるのに、ヘレン@まちゃみにプロポーズする。
たしかに行為だけ見りゃひどい男なんだが……わたしはソレこそが萌えだ。
三角関係萌えとか、そーゆーことではなくて。
ジャスティンの中では、それがふつーのことだと納得できるからだ。
これは、大人になったジャスティンの一人称の物語である。
彼には現在の彼の生活があり、そのうえで初恋のイヴェットにとらわれている。
もしもイヴに再会しなければ、ジャスティンはなんの疑問もなくヘレンと結婚し、幸せな家庭を築いただろう。
タカラヅカは「宿命の恋」命の世界観だから、ドラマティックなヒロインとの恋を中途半端にしたまま、平凡な女と結婚して平凡に暮らすなんて「幸せ」じゃない、そんなの「偽り」だ、ってなもんだけど。
べつに偽りでも半端でもない、ふつーに「幸せ」だと思う。
このスタンスだからこそ、イヴと再会しても「恋人はヘレン」なんだよ。
イヴと一夜だけ燃え上がり、彼女のために奔走しても、彼女との未来は考えていない。
ジャスティンにとってイヴは「青春の象徴」だった。
絶頂で摘み取られた恋は傷となり、ジャスティンを歪めた。
イヴを失った7年前、彼は夢まで失っている。それまでの彼が持っていたものを、自分で否定し、手放してしまった。
今、イヴと再会し、彼女の窮状を救うことで、ジャスティンは「止まっていた時計の針」を動かすようになった。
魂の再生。
7年前、少年の日に受けた傷を今修復し、やり直そうとしているんだ。
それは別に、イヴとやり直すということではなくて。
歪んでしまった人生を正し、新たに歩み出そうとしたとき、ジャスティンが伴侶として思い浮かべるのはあたりまえにヘレンだった。
イヴと再会し、半端なままだった恋を精算して。
少年の日に止まったままだった「ジャスティン」を、ジャスティン自身が赦し、未来へ解き放ったんだ。
そーして現在の彼が歩き出すには、現在の彼の恋人が横にいてしかるべきでしょう。
少年時代の夢の地図を、わくわくと語る姿が愛しい。
安定した暮らしを捨てて、もう一度夢を追うってさ。
ジャスティンの行動には、筋が通っているの。
イヴと再会したからって、イコール、ヘレンにさよならする男じゃない、今現在の大人のジャスティンが好き。
初恋にココロ取られ足を取られ、ちょっと傾倒しすぎではあったけど(ついでにえっちまで一発やっちゃってるけど)、彼のスタンスは変わっていない。
いや、変わっていないところが、彼が変わってしまった……大人になってしまった、ということなんだ。
少年時代のジャスティンなら、「初恋の人と再会した」だけで全部捨てて走り出す。
ここで走り出せない段階で、イヴェットとの未来はない。
彼はもう、変わってしまった。
イヴェットを失ったときが、ジャスティンの最初の変化。そして、イヴェットと再会し、過去を清算したときが、2度目の変化。
どちらも、人生が変わっている。
さて、わたしがジャスティンを好きなのは、ヘレンを好きだということも大きい。
いつもしつこく書いているけど、そのキャラクタの格を決めるのは、「どんな相手を愛しているか」が大きいんだよね。
つまんねーヤツを愛していたとしたら、その程度の人間だってこと。つまんねー、にはいろんな意味があるけどね。
ジャスティンがつきあっている女が、つまらない女だったとしたら、ジャスティンはその程度の男。
わずかな出番で「ナニこの女。こんな女、捨てられてとーぜん、ジャスティン早くイヴとくっついて!」と思わせるような嫌な女だったら、そもそも「なんでこんな女とつきあってるの?」になる。
一方的に惚れられ、つきまとわれているとしたって、そんな状態を許す男だってことになる。
でも、ヘレンはふつうにいい娘だった。
自立していて、母親思いで。
そして、聡明な女性だった。
突然アメリカへ行くと言い出したジャスティンに、ヘレンが異を唱えるのは当然のことだし、また、別れを切り出すのも当然だと思える。
ふたりの場面が好きだわ。
タニちゃんがすごくかっこいい。
悪いのはまちがいなく、ジャスティンなの。ヘレンはなにも悪くない。
ジャスティンは浮気をしたのでもなく、心変わりしたのでもなく、本人が変わったの。
傷つき歪んでいた人生を、修正したの。
わくわくと将来のビジョンを語り、そのテンションにヘレンがついてこないとわかったときの、とまどった顔。
アクセル踏んだ途端、横からブレーキ引かれてびっくり。
言われるまで気づかなかった現実に、水を差され、とまどい、なんとか咀嚼しようとする……一連の感情の流れがイイ。
……ジャスティンとヘレンのくだりで、ものすげー好きなのは、ジャスティンが妥協しようとするところ。
ふつう、主人公である大人の男が、あきらめていた少年時代の夢を再び追うことに決めた! てなったら、そのままGO!GO!じゃん? 物語的に。
事件があって、それが一件落着して、それゆえに主人公は昔の夢を取り戻した。さああとは旅立ちというエンディングを迎えるだけ!! ……な展開なのに、ジャスティンはその夢を妥協しようとする。
アメリカについていくことは出来ない、とヘレンに言われたから、外国へ行かないで、この場所で夢を追う方法もあるんじゃないかな、と現実的な妥協をする。
あ、すごい。あのテンションで盛り上がっていながら、ヘレンを失いたくないために、夢の方を部分的にあきらめるんだ。
リアルにはあることだけど、物語内では例を見ない展開(笑)。
このみょーなリアリティに、ぞくぞくする(笑)。
そして賢いヘレンは、ジャスティンが変わってしまったことに、気づいた。
だから彼女は別れを切り出す。
せっかくジャスティンがアメリカ行きは考え直すと言っても、それにすがりつかない。
アメリカ行きはただの記号でしかない。
ジャスティン自身が変わってしまったから、場所がどこであれもう、ふたりはきっとうまくいかない。
7年前イヴをジャスティンは、それまでの自分を否定して魂の彷徨中。ヘレンが出会ったのはそんなジャスティンで、彼女が愛したのはそんなジャスティンだった。
イヴを失う前の自信満々に夢を語るきらきら少年ジャスティンにだったら、恋していなかったんじゃないかな。
こーゆー場合、男の方が鈍感なのも世の常で。
自分自身が「変わってしまった」……少年時代のジャスティンではないけれど、くすぶっていた7年間を経て、「ジャスティンVer.3」になったことの重大さを、ジャスティンはわかっていない。
OSが勝手に新バージョンになっちゃって、今まで使っていたソフトや周辺機器はどうなるのよ? たしかにこのまま使えるとは書いてあるけど、なんか細かいとこで不具合出るんですけど? ソフトも新OS対応版に買い換えるべき?
……そんな感じ?
Ver.2を愛していたヘレンは3なジャスティンと別れる。
誰が悪いわけでもない。「変わってしまった」んだもの。そして、それに合わせて「変われない」んだもの。
こういう、誠実で聡明な「ふつう」の女の子とふつうに建設的なつきあいをしていたジャスティンだからこそ、いい男だと思える。
生涯懸けた夢ですら、恋人のために妥協を考える(そしてあとできっと後悔する・笑)、そーゆー男だからときめく(笑)。
心の動きがいちいちリアルだから、人生が見えるから、ジャスティンの物語を楽しむことが出来る。
萌えることができる。
ヘレンにプロポーズするジャスティン、そしてヘレンに振られるジャスティンが、すごく好き。
たしかに行為だけ見りゃひどい男なんだが……わたしはソレこそが萌えだ。
三角関係萌えとか、そーゆーことではなくて。
ジャスティンの中では、それがふつーのことだと納得できるからだ。
これは、大人になったジャスティンの一人称の物語である。
彼には現在の彼の生活があり、そのうえで初恋のイヴェットにとらわれている。
もしもイヴに再会しなければ、ジャスティンはなんの疑問もなくヘレンと結婚し、幸せな家庭を築いただろう。
タカラヅカは「宿命の恋」命の世界観だから、ドラマティックなヒロインとの恋を中途半端にしたまま、平凡な女と結婚して平凡に暮らすなんて「幸せ」じゃない、そんなの「偽り」だ、ってなもんだけど。
べつに偽りでも半端でもない、ふつーに「幸せ」だと思う。
このスタンスだからこそ、イヴと再会しても「恋人はヘレン」なんだよ。
イヴと一夜だけ燃え上がり、彼女のために奔走しても、彼女との未来は考えていない。
ジャスティンにとってイヴは「青春の象徴」だった。
絶頂で摘み取られた恋は傷となり、ジャスティンを歪めた。
イヴを失った7年前、彼は夢まで失っている。それまでの彼が持っていたものを、自分で否定し、手放してしまった。
今、イヴと再会し、彼女の窮状を救うことで、ジャスティンは「止まっていた時計の針」を動かすようになった。
魂の再生。
7年前、少年の日に受けた傷を今修復し、やり直そうとしているんだ。
それは別に、イヴとやり直すということではなくて。
歪んでしまった人生を正し、新たに歩み出そうとしたとき、ジャスティンが伴侶として思い浮かべるのはあたりまえにヘレンだった。
イヴと再会し、半端なままだった恋を精算して。
少年の日に止まったままだった「ジャスティン」を、ジャスティン自身が赦し、未来へ解き放ったんだ。
そーして現在の彼が歩き出すには、現在の彼の恋人が横にいてしかるべきでしょう。
少年時代の夢の地図を、わくわくと語る姿が愛しい。
安定した暮らしを捨てて、もう一度夢を追うってさ。
ジャスティンの行動には、筋が通っているの。
イヴと再会したからって、イコール、ヘレンにさよならする男じゃない、今現在の大人のジャスティンが好き。
初恋にココロ取られ足を取られ、ちょっと傾倒しすぎではあったけど(ついでにえっちまで一発やっちゃってるけど)、彼のスタンスは変わっていない。
いや、変わっていないところが、彼が変わってしまった……大人になってしまった、ということなんだ。
少年時代のジャスティンなら、「初恋の人と再会した」だけで全部捨てて走り出す。
ここで走り出せない段階で、イヴェットとの未来はない。
彼はもう、変わってしまった。
イヴェットを失ったときが、ジャスティンの最初の変化。そして、イヴェットと再会し、過去を清算したときが、2度目の変化。
どちらも、人生が変わっている。
さて、わたしがジャスティンを好きなのは、ヘレンを好きだということも大きい。
いつもしつこく書いているけど、そのキャラクタの格を決めるのは、「どんな相手を愛しているか」が大きいんだよね。
つまんねーヤツを愛していたとしたら、その程度の人間だってこと。つまんねー、にはいろんな意味があるけどね。
ジャスティンがつきあっている女が、つまらない女だったとしたら、ジャスティンはその程度の男。
わずかな出番で「ナニこの女。こんな女、捨てられてとーぜん、ジャスティン早くイヴとくっついて!」と思わせるような嫌な女だったら、そもそも「なんでこんな女とつきあってるの?」になる。
一方的に惚れられ、つきまとわれているとしたって、そんな状態を許す男だってことになる。
でも、ヘレンはふつうにいい娘だった。
自立していて、母親思いで。
そして、聡明な女性だった。
突然アメリカへ行くと言い出したジャスティンに、ヘレンが異を唱えるのは当然のことだし、また、別れを切り出すのも当然だと思える。
ふたりの場面が好きだわ。
タニちゃんがすごくかっこいい。
悪いのはまちがいなく、ジャスティンなの。ヘレンはなにも悪くない。
ジャスティンは浮気をしたのでもなく、心変わりしたのでもなく、本人が変わったの。
傷つき歪んでいた人生を、修正したの。
わくわくと将来のビジョンを語り、そのテンションにヘレンがついてこないとわかったときの、とまどった顔。
アクセル踏んだ途端、横からブレーキ引かれてびっくり。
言われるまで気づかなかった現実に、水を差され、とまどい、なんとか咀嚼しようとする……一連の感情の流れがイイ。
……ジャスティンとヘレンのくだりで、ものすげー好きなのは、ジャスティンが妥協しようとするところ。
ふつう、主人公である大人の男が、あきらめていた少年時代の夢を再び追うことに決めた! てなったら、そのままGO!GO!じゃん? 物語的に。
事件があって、それが一件落着して、それゆえに主人公は昔の夢を取り戻した。さああとは旅立ちというエンディングを迎えるだけ!! ……な展開なのに、ジャスティンはその夢を妥協しようとする。
アメリカについていくことは出来ない、とヘレンに言われたから、外国へ行かないで、この場所で夢を追う方法もあるんじゃないかな、と現実的な妥協をする。
あ、すごい。あのテンションで盛り上がっていながら、ヘレンを失いたくないために、夢の方を部分的にあきらめるんだ。
リアルにはあることだけど、物語内では例を見ない展開(笑)。
このみょーなリアリティに、ぞくぞくする(笑)。
そして賢いヘレンは、ジャスティンが変わってしまったことに、気づいた。
だから彼女は別れを切り出す。
せっかくジャスティンがアメリカ行きは考え直すと言っても、それにすがりつかない。
アメリカ行きはただの記号でしかない。
ジャスティン自身が変わってしまったから、場所がどこであれもう、ふたりはきっとうまくいかない。
7年前イヴをジャスティンは、それまでの自分を否定して魂の彷徨中。ヘレンが出会ったのはそんなジャスティンで、彼女が愛したのはそんなジャスティンだった。
イヴを失う前の自信満々に夢を語るきらきら少年ジャスティンにだったら、恋していなかったんじゃないかな。
こーゆー場合、男の方が鈍感なのも世の常で。
自分自身が「変わってしまった」……少年時代のジャスティンではないけれど、くすぶっていた7年間を経て、「ジャスティンVer.3」になったことの重大さを、ジャスティンはわかっていない。
OSが勝手に新バージョンになっちゃって、今まで使っていたソフトや周辺機器はどうなるのよ? たしかにこのまま使えるとは書いてあるけど、なんか細かいとこで不具合出るんですけど? ソフトも新OS対応版に買い換えるべき?
……そんな感じ?
Ver.2を愛していたヘレンは3なジャスティンと別れる。
誰が悪いわけでもない。「変わってしまった」んだもの。そして、それに合わせて「変われない」んだもの。
こういう、誠実で聡明な「ふつう」の女の子とふつうに建設的なつきあいをしていたジャスティンだからこそ、いい男だと思える。
生涯懸けた夢ですら、恋人のために妥協を考える(そしてあとできっと後悔する・笑)、そーゆー男だからときめく(笑)。
心の動きがいちいちリアルだから、人生が見えるから、ジャスティンの物語を楽しむことが出来る。
萌えることができる。
ヘレンにプロポーズするジャスティン、そしてヘレンに振られるジャスティンが、すごく好き。