月組『風と共に去りぬ』にて、バトラー@トド様とスカーレット@まさおがどーんっと突き抜けているもんで、他のキャラクタはいろいろ大変かなあ。
 どうにも薄いというか、格が違うというか。

 アシュレ@コマつんは、最初よくわかんなかった。
 いきなり舞台が中断し、コマくんの声だけ聞こえて、「コマくんにナニかあったの?!」と心臓ばくばくさせたまま、なんの説明もないまま再開した……てのが、尾を引いたかもしんない。
 再開した樫の木屋敷のメラニー@ちゃぴとのラブラブシーンは、生彩なく感じてしまったんだもの。
 わたしの先入観、単なる思い込みだとしても、わたしにはそう見えてしまった。

 アシュレはこの場面では、颯爽とした貴公子であるはず。まだ挫折を知らない、前途洋々たる若者よね? 愛する女性と婚約し、幸せ絶頂、人生勝ったも同然!よね。

 だけどコマつんアシュレは最初から、なんかとっても淡い色彩の人だった。
 スカーレットと画風がチガウっつーかね。
 まさおが『ガラスの仮面』の絵柄で描かれているとしたら、コマつんは大島弓子って感じ?
 貴公子というより、仙人みたいな人に見えた。

 うん、まあ、たしかにコレなら、スカーレットには絶対手の届かない相手だよなあ、と思えたけど。

 宙組版のアシュレはカッコイイ場面皆無だったけど、月組版ではちゃんと「ザ・貴公子!」場面があるんだから、もっと輪郭をしっかりしてくれてもいいんだけどな。

 敗戦後はその仙人みたいなとこがマッチしてた。ヘタレでも軟弱でもなく、生きている次元が違う感じ。
 それゆえ、KKクラン団なんつーアクティヴな活動をしているのが、かえって違和感だったり。
 うーん、むずかしいな。

 コマくんの芝居には、「毒」と「狂気」がある。
 仙人やってても、「心底の善人」ではなく、どこか落ち着かない……据わりの悪い「闇」がある。
 まっすぐな置物のはずが、微妙に歪んでいて、一見ではわからないだけに「なんか変だな、落ち着かないな」と思わせる感じ、つーか。
 それがメラニーの死で一気に壊れる・本性の闇が吹き出す、のは腑に落ちる。

 もともと狂気を持っている・得意とするコマつんだから、どうなるのかなと注目していた。
 や、ほんとに狂ってましたがな!!
 ショックとか意気消沈とかじゃなくて、マジにあっち側へ行ってしまいました。これまた極端な。
 幼児化してました。
 仙人から、妖精になった。
 心を守ることができる、誰にも傷つけられない、ところに行くには、「母の胸の中」に守られる年齢になるしかないのかな。
 もう誰も、彼を傷つけることは出来ない。誰の手も届かないところにこもってしまったから。


 アシュレ単体だとそーゆーのもアリだと思うけど、対スカーレット、対メラニーで考えると、あんましぴんとこないかな。

 まさおスカーレットは……まあ、誰が相手でもおかまいなしに、好きに暴れてるから仕方ないっつーか、いいのかな、あれで。


 メラニー@ちゃぴちゃんは、メラニーという役に、わりに合っていると思う。穏やかでやさしく強い女性。
 いや、合ってるというか、はずれてはいない、という印象。
 でもあの闇を抱いたアシュレの妻であり、トドロキバトラーの理解者として立つには、包容力っていうか、年輪の感じられないメラニーだなと。
 いっそ「聖・少女」メラニーにしちゃうとか、別モノにしてくれてもよかったんだけどなー。ちゃぴちゃんにできる役にする、ちゃぴちゃんしかできない役にする。

 ちゃぴの持つ透明感と清潔さは、メラニーに相応しい。芯の強さも。
 だからあと足りないモノって、やっぱ単純に「経験値」である気がする。この学年、この立場になってからの場数、そーゆーものが足りていないためかなと。
 あと何年か経ったあとのちゃぴで見てみたい役ではある。


 チャールズ@ゆりやくんは、役の出番と比重的にあんなもんかなあと思うけど、フランク@ゆうきくんはかなり物足りなかった。わたしは。

 わたしのなかのフランクのイメージが、しいちゃんだったりトウコだったりするので、ゆうきくんのフランクは色が薄すぎるというか脇役臭が強いというか。モブの男の子たちとの差がわかりにくい……。
 フランク、いい役なんだけどなあ。
 今回の出演者の中でなら、るうくんで見たかったな。彼ならきっと、いいフランクを見せてくれた気がする。

 るうくんはうまい人なんだけど、ベル役は、そのう、ごめん、もう少しきれいな人で見たかったっす……。バトラーとの画面の差が……。いやその、宙組だってヲヅキだったわけで、ベルは別に美女でなくてもいいのかもしんないけどさ、ヲヅキさんにあった「有無を言わせない迫力」は、るうくんにはなくて、ただその、美貌というわかりやすく出る部分で、そのう。


 ところでわたし、ジョーくんを探していて、ぜんぜん見つけられなくて、相当焦ったんですが。
 開演前にプログラムをぱらぱらめくって、ああ、ジョーくんこっちのチームだったのね、と認識した。
 ナニがどうではなく、月組さん観るときに「観る」人だから、ジョーくん。無意識レベルで必ず点呼する子だから。
 なのに。
 ああなのに。
 見つけられない。
 何故だ。
 南部の青年の中にいないんですけど??

 出演者も配役も前もってチェックしていないので、綾月くんとみっしょんが女役やってることに驚き、そこまででわたしの視界と思考はストップしていたらしく。
 てゆーかみっしょんマジ美女! 綾月くんも上級生女役さんに、いかにもいそうな感じ。
 ……えーとそれで、ジョーくんは?

 見つけられなくて、幕間に再度プログラムを確認。
 うん、やっぱり出てるよ。変だなあ、なんで見つけられなかったんだろ。

 えー、わたしが確認したのは、プログラムの「出演者写真」です。
 ジョーくんは黒燕尾スチールで凜々しく載っていました。

 2幕も半ばになってから、よーやく、気づいた。

 ジョーくん、女役やん!!(白目)

 スチールが男役写真使い回しだったから、男役だと思い込んでた……。他の「今回は女役」のみなさんは、ちゃんと女役写真で載ってるから!

 あー、えーと。
 ジョーくんは、男役がいいです……。

 うまいから、ふつーに女役やってるけど。
 でも彼は、男子がいい。男子であるべき。うん。

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