んで、いまさらですが、先日のラインアップ発表についての感想の続き。

 花組『エリザベート』自体は想定内。つか、みりおくんトップ時にやるだろうと思った。
 みりおくんは2009年に『エリザベート』新公で主演した。あのチケ難ぶり、好評っぶりを見たら、経営者なら「次のトート=みりお」だと思うだろう。
 ただ、お披露目に持ってくるのはどうかと思う。『エリザベート』は初々しい新人トップに似合う作品ではなく、どっちかってーと円熟したトップに似合う作品だと思うから。
 まあ、オサ様にしろ水しぇんにしろ、お披露目でやってるけどさー。みりおくんの若々しい持ち味には、お披露目よりも体制が落ち着いてからやった方がいい、と思った。

 でも、『エリザベート』は主演だけハマってりゃ上演OKな作品じゃない。
 タイトルのヒロイン・エリザベート、歌ウマフランツ、この3人が揃わないと、苦しい。
 役者が揃っているから、お披露目から上演なのかな。

 エリザベート@蘭はなちゃん、フランツ@だいもん。


 蘭ちゃんがシシィ役者だとはまったく思えないけど、じゃあ他に誰がというと……思いつかない。
 皇后エリザベートは、「初々しい新人」向きの役じゃない。ジュリエットなら、初々しさが売りだから、新人でも素人でもかまわない、と劇団は思っているようだけど。
 エリザベートとアントワネットは、場数を踏んだスターでなければハマらない。
 つまり、「新たにトップ娘役に就任する、舞台を踏んで数年の初々しい下級生」には、荷が重い。
 男役とちがって娘役は、初舞台から数年でトップになるのだから。圧倒的に経験値が不足しているのがふつう。

 みりおくんのお披露目に『エリザベート』をやりたかったら、蘭ちゃんに残ってもらうか、他組のベテラントップ娘役をスライドするか、男役スターにヒロインをやらせるか、この3つしか選択肢がない。

 現状、シシィ可能なベテラントップといえば星組のねね様一択だし、男役でシシィが出来そうなのって、同組内なら歌ウマ同期だいもん? 他組なら同期でもあるかちゃ再び? 歌唱力と人気の琴ちゃん?
 どっちにしろ、イレギュラー人事や配役になる。

 蘭ちゃんが残ったのは、いちばん無難な選択かなと思う。

 トップスターがいて、トップ娘役がいるのがいいよ。トップスターが主役をやり、トップ娘役がヒロインをやるのがいいよ。ほんとに、それがいちばんだよ。それだけでいいんだよ。それだけは、死守してくれよ。

 そんな、すげー基本ラインを求め、蘭ちゃんシシィで良かったなと思います。

 いやもおほんと、今のタカラヅカってさあ。

 わたしとしては、だいもんがシシィでなくて良かった、と前向きに受け止めます。
 蘭ちゃんが卒業してて、でも『エリザベート』上演は決まってて、シシィを演じられるベテラン娘役スターがいなくて、ヲカマ祭りになったりしなくて、良かったなと。
 舞台経験の少ない、若さと可能性だけがウリの下級生娘役抜擢して、なにがなんだかわからない舞台を見せられる事態にならなくて、良かったなと。

 まとぶん、らんとむ、そしてみりおくんと、3人のトップスターと組む、という、平成のタカラヅカでは希有なベテラン娘役が天下の「エリザベート」役を演じる、てのは、外側の事情だけ見ればとても「ありうる」ことだわ。

 あとはほんと、その「立場」にふさわしい結果を、舞台で出してさえくれれば。

 せっかくの大作ミュージカル、伝家の宝刀なんだもの、良い舞台になることを祈っている。


 5年前、新公のトートは、楽しませてくれた。
 だからこそみりおくんには、さらにスケールアップした姿を期待する。


 個人的には、だいもんの役付によって、期待度が変わるかなー(笑)。
 順当に行けばフランツ。歌ウマなので安心安定のキャスティングかな。安定の役より、ルキーニが見てみたいですが。
 縁の下の力持ち・別格スターが演じるフランツ、実力不問・劇団推しのスターが顔見せするルキーニ、というタカラヅカならではの縛りを捨ててくれたら、おもしろいのになあ。

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