和希そらの、本気を見た。

 新人公演『ベルサイユのばら-オスカル編-』にて。

 そらくん、新公初主演おめでとー。

 いやあ、きれいに仕上げてました、そらくん。本気で、お化粧がんばってた。なんだよ、ここまできれいに化けられるんじゃん! 本気だな、キミ、本気なんだな! と、ツボに入った。その攻めの姿勢はイイ!
 実力派の彼に足りないモノはビジュアル(身長含む)、と思っていたゆえ、「オスカル? えええ? そんな柄違いの役で新公って……」と危惧していたんだが。
 すまして立っていれば、ちゃんときれいなオスカル様がいた。
 表情がつくとまた別っていうか、特に口元はいつものそらくんで、残念っちゃー残念……なんだが、そこはもう個性ってもんでしょう。なんかタータンに似てるなーって気がした。これであと、きれいにこだわった表情が出来るといいな。

 星組のことちゃん新公と同じく、開演アナウンスからウケた。なんてイイ声!!

 で、幕が上がるなり大階段にそらくんひとり。ライトを浴びて歌い出す……。

 最初の歌は思ったほどではなかったけれど、十分歌えている。いろんな条件下でこれだけ歌えるんだから、大したものだと。

 そらくんに関しては、ほんと「オスカル」というビジュアルに不安があっただけで、それ以外は安心していた。つか、期待していた。いいものを見せてもらえるだろうと。

 若くしゃきしゃきした、優等生なオスカルだった。
 大人ではまったくなく、少年のよう。正義感も空回りも幼さゆえ。本公演のモンチオスカルがそのまま大人と称して動き回ってるみたい。
 男役云々よりも、たしかに「女性が演じているオスカル/オスカルって女の子だよね」という気がした。わたしのオスカル像とはまったくチガウけれど、これはこれでアリだと思う。

 本役のテルカルが人類を超えた美スタイルの持ち主ゆえ、そのイメージを残したまま見ると、たしかに小柄さにびっくりする。
 てゆーか、問題は身長よりも頭身バランスか。六頭身に足りてない?……ってのは、男役には少々つらい。カツラのせいで今回は、頭身低く見えているのかも。

 そらくんが真ん中向きとはあまり思ってないんだが、それでもこうして彼が真ん中を経験してくれたのはうれしい。
 一観客として、実力のあるスターさんの存在はマジ助かるんだもの。声よし歌よし芝居よしのスーパー下級生。これからも若手を牽引して欲しい。

 最後の挨拶で、「自分の持ち味とはチガウ役に挑戦させていただいたこと」と言っているのを聞き、ああそうだよなあとうなずいた。
 本人も思ってたんだな、自分はオスカルキャラじゃないって。わたしのイメージでは、そらくんはジャルジェ将軍かブイエ将軍だった。……実力のある子にやらせる、大切な役。この舞台もだが、これからの組に必要な役者認識。
 そらくんオスカルがアリなら、いまっちにもオスカルやらせてほしかったよ……と、今さら言う(笑)。


 アンドレ役の実羚淳くんという子は、わたしはまったくもっての初認識。今までまったくノーマーク……なので研2くらいの大抜擢なのかと思った。
 背が高いので、新公メンバーではよく目立つ。てゆーか宙組ってのっぽさんのイメージ強かったけど、若い子たちはそれほど大きくないのね。

 誰かに似てる……と思い続け、途中で気づいた。英真なおきだ! エマさんの若い頃を存じ上げないのだけど、こんな感じだったのかなあと思いながら見てた。いやその、似ているのは顔だけで、芸風はまったくかすりもしてないと思うけど。
 そらくんが角度によってはタータンっぽく見えたので、タータンとじゅんこさんって、いつぞやの星組か??てな気分に(笑)。

 実羚くんには、終始首をかしげていた。というのも、とても不思議な声をしているからだ。
 彼の素の声はどんな感じなんだろう? 舞台でがんばって男役として発声しているから、あんな不思議な声になったんだろうか。

 下級生男役にありがちなオンナノコ声……女子校演劇部風の、「ふつーのオンナノコが男言葉を使っている」声じゃない。
 だけど、男役の声でもない。
 なんだろう、この二重線みたいな声は?
 変な表現ですまん。うまく表現出来ない。ふつーなら1本線で描くところの絵が、2本線になっている感じ。なんで2本線? 1本でいいのに。何故こんなぼわんぼわんとした声?

 苦手な音色だったので、彼の芝居の善し悪しはよくわかんない。まず音の段階で降参しちゃった。

 若いならまだ発展途上だろうし、これから声も変わるだろう。今判断するより、今後の彼に期待しよう。……わたしが苦手なだけで、一般的に魅力的な声なのかもしれないし。今まで聞いたことがないタイプの声ってことは、かえって武器なのかもしれないし。
 歌はふつーに歌えてたよね? びっくりしたのは声だけで、歌はなにも思わなかったから。
 初抜擢の緊張の中でそれなりに歌えるってことは、歌ウマさんなのかも?

 今、彼の学年を調べてびっくりしたっす……。研6だったのか……。
 てゆーか、みなとくんと同期なら、何故みなとくんより役付上になったんだろう……。


 で、ジェローデル@みなとくんは、堂々たるもんですな。新公で主要役やるの慣れてます的な。
 順当に彼がオスカルやるのかと思ってた。

 きれいだし安定しているし、かちっといい仕事してました。
 新公学年でこういう仕事をする人って、このまま脇固め要因にされちゃうのかしら。
 アゴ以外はタカラヅカ的にきれいな子だと思うんだけどなあ。主演回ってこないのかなー。


 アラン@パッションくんは、とってもパッションでした。
 てゆーか、出てきた瞬間からアゴ割ってきた!!と、ウケました。
 タカラヅカでお尻アゴ作る人ってめずらしいよね?
 そーゆーことをやっちゃうところがパッションくん(笑)。
 芝居も歌もまかせろ!! 特に歌は新公随一のうまさだよね。
 あとはほんと、ビジュアルのみ。実年齢も若いし、顔も変わっていくだろう。いい男に育ちますように。


 ヒロインのロザリー@うららちゃんは……。

 『翼ある人びと』は、ほんと素敵だった。歌以外完璧だった、見たいモノを見せてくれた。

 でも……。

 なんつーか、困るなあ……。
 見ていて困るというか、途方に暮れる。

 わかりやすいところでいうと、歌。
 ここまで歌えない人ってのは、なかなかめずらしい。音を外す以前に、声が「ない」。歌の途中で声がなくなるんだもん。びっくりした。『殉情』のれーれを思い出した……。

 そして、「ロザリー」じゃなかった。
 きれいなんだけど、「春風」じゃない。
 おとなびた、陰のある、寂しい美女だった。
 『翼ある人びと』のクララまんま。
 クララは素晴らしかったけど、出来る役がクララ限定というのは……。

 ここまで出来る役と出せる音域が限られている美貌の娘役、もう研6、つーのは、なんつーか、途方に暮れる……。
 ハマったときがあんなに素敵だとわかっているだけに。
 これからうららちゃんはどこへ進むんだろう。

日記内を検索