17日の朝、友人からすっげーあったりまえ、って感じのメールが届いた。「今日観る?」と。
 わたしが、ヲヅキアンドレ初日を観ないはずがない、という前提のメールだった。

 ごめん、今日は『太陽王』観る、と返した。
 まったく劇団め、なんで初日を東西でぶつけるのよ、両方観られないじゃない!!

 ヲヅキを捨ててキムシン新作を選んだわけではなく、チケットが手に入ったのが、『太陽王』だったの。
 ヲヅキも『太陽王』もどっちも観たい。そして、どっちもチケ難。
 だからあとは、神様の言う通り。
 チケットの手に入った方を取った。

 神様が、『太陽王』初日を観なさいと言ったのだわ。
 そう思って、ムラではなく、東京へ向かった。

 それが結果的に良かったのか、悪かったのか。

 わたしは初日が好き。
 まだ誰の目にも触れていないモノを、まず自分の目で見て、どう感じるか、自分だけのモノにしておきたい。
 余力があれば文章にする。「書く」ことで頭の整理が出来るから。

 ただし、舞台はナマモノ。
 初日が最高のクオリティであることは、あまりない。
 その作品、そのカンパニーの本当の力を知るには、初日は避けた方がいい。
 いいものを観たいのなら、公演があたたまった中日あたりを観るべきだ。

 実際、張り切って観に行った『太陽王』初日は、いい出来ではなかった。こなれてくればまたチガウと思うけれど、少なくとも初日の段階では、なんとももったりした舞台に思えた。
 肩を落として帰路に就いた。

 そして、ヲヅキアンドレは、幕が開いて数日後に観た。
 初日とは違っていたのかも、しれない。
 もしも初日に観ていたら、別の感想だったのかもしれない。

 だってわたし、『ベルサイユのばら―オスカル編―』も、初日に観た。

 そして、いろいろと肩を落とした。
 植爺キライ、『ベルばら』キライなわたしだから、作品に毒づくのはいつものこと。
 だからそれをさっ引いて、「宙組公演」自体にも、わりと残念無念な感想だった。

 まあこんなもんか……と、受け止めていたけれど。

 あれってやっぱ初日だからか!
 公演も中日を過ぎ、役替わりも初日を過ぎ、公演は後半戦に入っていて。

 そんな時期に観に行ったらば、だ。

 すっげーよかったんだ。

 うわあぁぁん、いいよお、宙組。いいよお、テルカル!!


 いやはや。
 初日好きってのは、諸刃の剣よねええ。
 今わたし、担当以外の組は初日しか観られない状態が続いてるからさー。いろいろと損してるんだろうなあ。
 熟する前、真においしいところを食べずに「すっぱい」って顔しかめてる残念な人なんじゃね?

 それを改めて思い知りました。

 ほんと、よかったのよ、宙組『ベルばら』。や、作品は大嫌いだけどな!(笑)


 半月振りの宙『ベルばら』。
 平日だというのに、駐車場が観光バスで埋まっていることに、まず驚いた。
 数台じゃないよ、何十台だよ。
 向こう側が見えないくらい、観光バスで埋まってる……。

 100周年すげえ。『ベルばら』すげえ。
 改めて、思った。

 この「タカラヅカすげえ! 『ベルばら』すげえ!」って感覚、好きなのよ。テンション上がるのよ。
 わくわくするの、お祭りハートに火がつくの。
 だってわたしも、最初は「『ベルばら』観るの! だってタカラヅカって『ベルばら』でしょ?」とタカラヅカに出会ったひとりだもん。ヅカ自体は関西在住女子のたしなみで子どものころから観ていたけれど、それとは別に『ベルばら』祭りに乗せられて、自分から観に行ったんだもん。
 タカラヅカとはじめて出会うひとびとの、きらきらわくわくした空気が大好きなの。

 そして、今回は2階のど真ん中席。
 舞台がきれいに視界に入る。

 いやあ……泣きました(笑)。
 オープニングから。

 だって、きれいなんだもん。

 大階段が出て、ドレス姿の娘役や、軍服姿の男役が、次々降りてくるのよ?
 ライトもセットもなにもかもキラキラして、嘘みたいに豪華で、夢みたいにきれいなの。

 なんか、ぶわーっと泣けた。

 「タカラヅカ」が、きれい。

 それだけで。
 泣けて仕方なかった。

 ちくしょー。『ベルばら』め。
 ずるいよ、いかにも「タカラヅカ」なんだもん。観たかった「タカラヅカ」なんだもん。

 『ベルばら』でわくわく泣けてしまう、わたしはどーしよーもなくヅカヲタなんだなと思う。

 衛兵隊の家族とジャルジェ家の人々の場面では神経擦り切れる苦痛を味わったけれど、それ以外はほんと、宙組さんたちのパワーに圧倒され、どきどきわくわく胸躍らせっぱなしだった。
 その衛兵隊の家族とジャルジェ家の人々だって、悪いのは植爺であって演じている人たちのせいじゃない。むしろ彼女らが演じているからこそ、まだ救われているはず。

 ああ楽しかったと、幕が下りきるまでずっと、心から拍手した。
 やっぱタカラヅカはいいよなと思った。


 タカラヅカゆえに悲しいこともあるけど、タカラヅカゆえにしあわせもある。

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