王子様と影の男。@ベルサイユのばら―オスカル編―
2014年5月27日 タカラヅカ ヲヅキのアンドレを見たことによって、まぁくんのアンドレを強く思い出す。
てゆーか……まぁくんって面白いなああ。
まぁくんとヲヅキはまったく別の人生を歩んできた男たちだ。
かたや路線人生まっしぐら、かたや脇の個性派ロードくねくね。
そんなふたりが同じ役を演じることで、ふたりのキャラクタの違いが顕著過ぎて愉快。
『ベルサイユのばら―オスカル編―』にて、まぁくんアンドレは公演日程の前半、ヲヅキは後半だった、ということもあるかもしんないけど。
まぁくんは笑われ、ヲヅキは笑われなかった。
わたしの観た回では。
まぁくんのアンドレは、なんかいろいろ濃くてクドくて、観客が思わず吹き出してしまう部分があった。
同じことをしてもヲヅキのアンドレは、言動に説得力があって、おかしくなかった。まあこんなこともありか、と思えた。
ジャルジェパパ@汝鳥さんがオスカルを成敗する! と息巻くのを止める場面で、まぁドレの「しゃきーーん!」と音がしそうな特撮ヒーローポーズには、笑いが起こった。
ナニこの人面白い!
また、ひとりでうっとり「オスカルの肖像画が見たい! いや、オレには見える!」と言い出すときの雲の上感や、「オスカルが結婚する(かもしれない、っていう噂がある)」と知ったときの「人の話聞いてねえええ!!」感……。
面白い……。
同じ場面がみんな、キタドレだと別モノ。
同じアクション、同じポーズなのにキタさんには擬音が聞こえない。ポーズというほどポーズをつけているように見えない。実際笑いは起きなかった。
なんか堅実で思い込みの激しさがないため、ペガサス・オスカル様妄想をしそうにないし、オスカルと衛兵隊の話もしっかり聞いて吟味しした上で毒殺という結論に達したように見える。
演技がリアルで、嘘がない。
ヲヅキさんの芝居はいいんだけど……イベントとしての『ベルばら』には、そぐわない、気がする。
まぁくんの濃さ、「スター!」が演じているゆえの面白さが必要だと思う。
まぁくんはどこかに毒があって、それがイイ感じに作用している。
キレイな布にぽつんとついた染みのような。あれなんだろ、なんかあそこに変な色がある……模様? なんで? まさか染みじゃないよね、そんなもんついてるはずないし、ついたとしてもすぐに落としているはずだし……でもやっぱ染み? なんで?
気になって気になって仕方ない。で、気がついたら彼ばっか見てた、彼のことばっか考えてた、的な。
でも小さな染みだから、気づかない人は気づかないし、そもそもそんなとこまで見ない人にはどうでもいいことだし。
この微妙な感じが、彼がスター路線である所以なのかなと思う。
ただキラキラ明るいとか、スタイルがいいとかだけでは、真ん中向きではないんだよなあ。そこになにか、引っかかりがあると強い。
染みが大きすぎると路線には向かないし、そのへんとってもデリケート。微妙なバランスで成り立っている。
てゆーかまあ細かいことは置いておいて。
わたしの気分としては。
まぁドレのときの方が、テルカルがしあわせそうに見えた。ので、まぁドレの方がいいかな。
まぁドレさんには、有無を言わさない「王子様力」があって、こいつ平民だしストーカーだしろくなもんじゃねえとわかっていてなお、膝の上で髪撫でられたりしてるとこで「だってワタシの王子様だもん」的酩酊感に酔える(笑)。
本気でこの人「オレはなんの力もない平民男だけど、今はキミの王子様さ(はぁと)」と思ってる。そーゆー顔で髪撫でてる! やだナニ恥ずかしい! そゆの大事!(笑)
「オレはキミの王子様」と本気で言える男なら、テルカルみたいなめんどくさい女もしあわせになれるんじゃないかな。
キタドレ見たあと、まぁドレの記憶を紐解くと、なんか切ないのですよ。
まぁドレ相手のときの方が、救いがあったなと。
オスカルは孤独で壊れているのかもしれないけれど、アンドレがそれをぶっ飛ばす勢いで「王子様にまかせろ!」とやってくれたら、たとえそれが一時のなぐさめにすぎないとしても、なんかうるっと来るじゃん? そのときだけは救われた気持ちになるじゃん?
キタドレの「お前が破滅するなら、俺も共に滅びよう」てな瀕死のナイトだと、あとはもう心中するしか道がない。
翌日前後して死ぬ運命なのだとしても、今宵一夜のオスアンの意味合いの違い。
まぁドレ王子様に、一時の夢を見せてもらった方が、わたしは救われるなああ。
悲しすぎるオスカルを見るのがつらいので、嘘でも夢がある、方が助かる。わたしは。
一観客としては救いのあるまぁドレ派なんだが、もしも自分が書くなら、キタドレの「心中・恋のパリ進駐」の方が好みかも(笑)。
てゆーかさ、今回こんなにアンドレが王子様or影の男で差が出ちゃったのって、いつも必ずあった「明るい場面」がないからじゃないのかな。
どのバージョンであっても、オスカルとアンドレが登場する作品の場合、ふたりのいちゃいちゃ場面はあった、よね?
気負うオスカルをアンドレがいなす、ふたりの親密さを表すエピソード。
また、ルルーやマロングラッセ相手の、アンドレの日常っぽい、明るめの場面。
深刻場面しかないから、アンドレも本質勝負になっちゃった。
これが不利だなと思うのは、キタドレの方。
まぁドレはきっと、ほっこり場面でも素敵に王子様キャラ。影に控える役割だけど、「ヒーロー」であることをわかっている。本質は変わらない。深刻場面でも、そうでなくても。
しかしキタドレは、ほっこり場面こそが役者ヲヅキの旨味部分。それがあるとないとでは、印象が大きくチガウ。
ヲヅキのなんともいえん魅力って、ゆるさと愛嬌、だと思うんだよなああ。
どんだけハードな役、暗い役だとしても、人間的な愛嬌がある。
技術やビジュアルの問題ではなく、その役がより「人間」としてリアルに浮かび上がるか……それはテキストで書かれた部分や計算で作られるものではない、形にならない部分。
ヲヅキの芝居がただ「うまい」だけでなく、「魅力的」なのは、そこ。
彼がかもしだす雰囲気って、得がたいモノだと思うよ。他にない手応え。
朴訥で不器用そうな、生まれ持った愛嬌。計算で出来ることじゃないから、彼はもう「選ばれて生まれてきた」んだと思うよ(笑)。
そしてわたしは、ヲヅキのそーゆー神様からの贈り物部分の魅力にくらくら。他の人では代えがきかない、彼だけの魅力。
今回のアンドレに、オスカルと幼なじみらしいいちゃいちゃ場面や、ルルー相手でもアラン相手でもいいから明るい息抜き的な場面があれば……ヲヅキの愛嬌がアンドレのイメージを今とは大きく変えていただろう。
今のアンドレ、真面目で暗いんだもん……。愛嬌がほとんど出てないんだもん……。
この暗いアンドレはそのままに、ヲヅキならではのゆるい愛嬌のある一面を見せてくれたら……うわどうしようそんなアンドレ好み過ぎる!!
アンドレの比重を下げるのは植爺の勝手だけど、おかげでアンドレが深刻一途なのは残念だわ。
安易な役替わりは好きではないし、まぁくんにきちんと2番手やらせたれよと思うけど、その反面、やっぱ役替わりはおもしろいんだよなあ。
ヲヅキさんの扱いにはいろいろ疑問もあるけれど、キタドレが見られたことはうれしい。
てゆーか……まぁくんって面白いなああ。
まぁくんとヲヅキはまったく別の人生を歩んできた男たちだ。
かたや路線人生まっしぐら、かたや脇の個性派ロードくねくね。
そんなふたりが同じ役を演じることで、ふたりのキャラクタの違いが顕著過ぎて愉快。
『ベルサイユのばら―オスカル編―』にて、まぁくんアンドレは公演日程の前半、ヲヅキは後半だった、ということもあるかもしんないけど。
まぁくんは笑われ、ヲヅキは笑われなかった。
わたしの観た回では。
まぁくんのアンドレは、なんかいろいろ濃くてクドくて、観客が思わず吹き出してしまう部分があった。
同じことをしてもヲヅキのアンドレは、言動に説得力があって、おかしくなかった。まあこんなこともありか、と思えた。
ジャルジェパパ@汝鳥さんがオスカルを成敗する! と息巻くのを止める場面で、まぁドレの「しゃきーーん!」と音がしそうな特撮ヒーローポーズには、笑いが起こった。
ナニこの人面白い!
また、ひとりでうっとり「オスカルの肖像画が見たい! いや、オレには見える!」と言い出すときの雲の上感や、「オスカルが結婚する(かもしれない、っていう噂がある)」と知ったときの「人の話聞いてねえええ!!」感……。
面白い……。
同じ場面がみんな、キタドレだと別モノ。
同じアクション、同じポーズなのにキタさんには擬音が聞こえない。ポーズというほどポーズをつけているように見えない。実際笑いは起きなかった。
なんか堅実で思い込みの激しさがないため、ペガサス・オスカル様妄想をしそうにないし、オスカルと衛兵隊の話もしっかり聞いて吟味しした上で毒殺という結論に達したように見える。
演技がリアルで、嘘がない。
ヲヅキさんの芝居はいいんだけど……イベントとしての『ベルばら』には、そぐわない、気がする。
まぁくんの濃さ、「スター!」が演じているゆえの面白さが必要だと思う。
まぁくんはどこかに毒があって、それがイイ感じに作用している。
キレイな布にぽつんとついた染みのような。あれなんだろ、なんかあそこに変な色がある……模様? なんで? まさか染みじゃないよね、そんなもんついてるはずないし、ついたとしてもすぐに落としているはずだし……でもやっぱ染み? なんで?
気になって気になって仕方ない。で、気がついたら彼ばっか見てた、彼のことばっか考えてた、的な。
でも小さな染みだから、気づかない人は気づかないし、そもそもそんなとこまで見ない人にはどうでもいいことだし。
この微妙な感じが、彼がスター路線である所以なのかなと思う。
ただキラキラ明るいとか、スタイルがいいとかだけでは、真ん中向きではないんだよなあ。そこになにか、引っかかりがあると強い。
染みが大きすぎると路線には向かないし、そのへんとってもデリケート。微妙なバランスで成り立っている。
てゆーかまあ細かいことは置いておいて。
わたしの気分としては。
まぁドレのときの方が、テルカルがしあわせそうに見えた。ので、まぁドレの方がいいかな。
まぁドレさんには、有無を言わさない「王子様力」があって、こいつ平民だしストーカーだしろくなもんじゃねえとわかっていてなお、膝の上で髪撫でられたりしてるとこで「だってワタシの王子様だもん」的酩酊感に酔える(笑)。
本気でこの人「オレはなんの力もない平民男だけど、今はキミの王子様さ(はぁと)」と思ってる。そーゆー顔で髪撫でてる! やだナニ恥ずかしい! そゆの大事!(笑)
「オレはキミの王子様」と本気で言える男なら、テルカルみたいなめんどくさい女もしあわせになれるんじゃないかな。
キタドレ見たあと、まぁドレの記憶を紐解くと、なんか切ないのですよ。
まぁドレ相手のときの方が、救いがあったなと。
オスカルは孤独で壊れているのかもしれないけれど、アンドレがそれをぶっ飛ばす勢いで「王子様にまかせろ!」とやってくれたら、たとえそれが一時のなぐさめにすぎないとしても、なんかうるっと来るじゃん? そのときだけは救われた気持ちになるじゃん?
キタドレの「お前が破滅するなら、俺も共に滅びよう」てな瀕死のナイトだと、あとはもう心中するしか道がない。
翌日前後して死ぬ運命なのだとしても、今宵一夜のオスアンの意味合いの違い。
まぁドレ王子様に、一時の夢を見せてもらった方が、わたしは救われるなああ。
悲しすぎるオスカルを見るのがつらいので、嘘でも夢がある、方が助かる。わたしは。
一観客としては救いのあるまぁドレ派なんだが、もしも自分が書くなら、キタドレの「心中・恋のパリ進駐」の方が好みかも(笑)。
てゆーかさ、今回こんなにアンドレが王子様or影の男で差が出ちゃったのって、いつも必ずあった「明るい場面」がないからじゃないのかな。
どのバージョンであっても、オスカルとアンドレが登場する作品の場合、ふたりのいちゃいちゃ場面はあった、よね?
気負うオスカルをアンドレがいなす、ふたりの親密さを表すエピソード。
また、ルルーやマロングラッセ相手の、アンドレの日常っぽい、明るめの場面。
深刻場面しかないから、アンドレも本質勝負になっちゃった。
これが不利だなと思うのは、キタドレの方。
まぁドレはきっと、ほっこり場面でも素敵に王子様キャラ。影に控える役割だけど、「ヒーロー」であることをわかっている。本質は変わらない。深刻場面でも、そうでなくても。
しかしキタドレは、ほっこり場面こそが役者ヲヅキの旨味部分。それがあるとないとでは、印象が大きくチガウ。
ヲヅキのなんともいえん魅力って、ゆるさと愛嬌、だと思うんだよなああ。
どんだけハードな役、暗い役だとしても、人間的な愛嬌がある。
技術やビジュアルの問題ではなく、その役がより「人間」としてリアルに浮かび上がるか……それはテキストで書かれた部分や計算で作られるものではない、形にならない部分。
ヲヅキの芝居がただ「うまい」だけでなく、「魅力的」なのは、そこ。
彼がかもしだす雰囲気って、得がたいモノだと思うよ。他にない手応え。
朴訥で不器用そうな、生まれ持った愛嬌。計算で出来ることじゃないから、彼はもう「選ばれて生まれてきた」んだと思うよ(笑)。
そしてわたしは、ヲヅキのそーゆー神様からの贈り物部分の魅力にくらくら。他の人では代えがきかない、彼だけの魅力。
今回のアンドレに、オスカルと幼なじみらしいいちゃいちゃ場面や、ルルー相手でもアラン相手でもいいから明るい息抜き的な場面があれば……ヲヅキの愛嬌がアンドレのイメージを今とは大きく変えていただろう。
今のアンドレ、真面目で暗いんだもん……。愛嬌がほとんど出てないんだもん……。
この暗いアンドレはそのままに、ヲヅキならではのゆるい愛嬌のある一面を見せてくれたら……うわどうしようそんなアンドレ好み過ぎる!!
アンドレの比重を下げるのは植爺の勝手だけど、おかげでアンドレが深刻一途なのは残念だわ。
安易な役替わりは好きではないし、まぁくんにきちんと2番手やらせたれよと思うけど、その反面、やっぱ役替わりはおもしろいんだよなあ。
ヲヅキさんの扱いにはいろいろ疑問もあるけれど、キタドレが見られたことはうれしい。