『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』のいいところは、モブがおのおの個性を出して、長時間舞台上にいる、ということ。
 リピートしていると、モブの下級生をじっくり観られて楽しい。

 わたしは目もアタマも悪いので、人の顔覚えが悪い。わかんない下級生もいっぱいいるし、知っていても記憶に残らない生徒もきっといっぱいいる。

 そんなわたしの、ある視点。

 初日はストーリーも追うし、だいもんも翼くんも気になるけれど、できる限り組子のチェックもする。目立つ役があると「あれは誰?」ってオペラグラスを向ける。

初日
 観柳@翔くんが連れている男の子ふたり、美形っぽいぞ。よく見えなかった、次回チェック。

 比留間組はレオ様、まちくん、おーじ、叶くん、縣くんが目立つ。
 道場襲撃時に下級生を加えて水増しされるけど、加わった子たちはあまり目に入ってこない。

 赤べこ、主立った下級生は比留間組と店員だから、客はさらにモブ感強いな。

 加納の影? 誰だ? 知らない子……出番短っ。あんま好みじゃない。

2回目
 観柳の部下、ひとりは好みの顔立ち、あれが星加くんか! もうひとりは凰華くん……どっかで見た名前……ああ、加納の影なー。

 比留間組、前述の他、すわっちもよく目につく、もうひとりのハムスターみたいな少年がたわしくんなー。
 あとはなんかビミョー……。でも、みんな活き活きしてる。楽しそうだな。

3回目・代役公演
 玉突き代役で式尉@まなはるの位置に入ることになった子、なんか見たことある字面? ……ああ、加納の影だ。
 ここでようやく認識。
 第一段階。


 突然の代役は、わたしみたいなアタマの悪い人間でも個別認識に至るわな。大きなことだもの。「とりあえず新公の子を使ってお茶濁し」ではなく、まったく無関係な下級生を選んでいるあたり、ガチな配役っぽいし。
 凰華くんは初日と2回目で点呼だけはしていたけれど、個別認識には至ってなかった。
 本役が加納の影で新公が剣心の影、そして代役で式尉って、身体能力高いダンサーってことよね? お庭番衆は踊れる人しか配役されてないわけだし。

 わたしが観たのが代役入って3日目だったので、もう違和感なく式尉役を務めていた。代役初日に観た人の話じゃ、相当ぼろぼろだったらしいけど……わずかな間に、ちゃんと追いついてきていた。

 えー、凰華くんを個別認識した式尉代役の第一印象。

 顔でかっ。

 ……すみませんすみません、お庭番衆だから、顔しか見えないじゃないですか。仮面取ったりとか、「顔」だけがクローズアップされるじゃないですか。隈取りメイクしてるから、顔立ちよりも「顔」自体……フェイスラインが強調される。
 それに、小顔のまなはるの位置に入るわけだから、どうしても目が比べてしまうし。
 んで、ふつーに踊っているから、悪目立ちもせず、「顔のでかい子」という特徴をインプットすることで、わたしの海馬は認識完了する。……顔立ち自体は、好みではない、と。

 隈取りメイクでわかりにくいけど、初日に加納の影が登場したとき「あれ誰だ?」とオペラでチェックもしていたし、観柳の部下にしろ「好みの顔が星加くんだから、星加くんでない方」という識別していたくらいだから……好みの顔ではないらしい。

 これら一連の作業で、わたしのなかで「まなはるの代役やってる、凰華くんって何者?」には答えが出、そこで彼への疑問・興味は消失した。

 だが、そのあとももちろん観劇は続く。チケット取り過ぎたから(笑)、週一以上のペースで劇場へ通う。
 作品は所詮「イケコ・オリジナル」、パッケージが派手なだけの駄作だ。作品自体に感動が少ない。
 中身ではなく、派手なパッケージを楽しむ作りだもん、アタマを空っぽにしてわちゃわちゃしているいろんなところを観て楽しむ。
 ご贔屓がいないから、いろんなところを観られるわー、こんなにフラットに雪組を見られるっていいわねえ。
 てな観劇姿勢なので、大勢口はメインをあまり観ず、その後ろのモブのみなさんを観るのに必死になる。

4回目
 比留間組の点呼に燃える。名前を一致させるというより、舞台上での動きとかキャラを楽しむ。
 博打場面にはいない、襲撃場面で加わるメンバーにひとり、気になる子がいる。
 きれいってわけじゃないけど、目に入って仕方ない。
 比留間組はじっとしていないから、顔までよく見えないことが多く、動きで認識する感じ。

 赤べこのモブはいろいろとひどいなー。翼くんとかたっちーとかはいるけど、それ以外は基礎値の低い子たちが全員ここにぶっ込まれているからなー。
 そのなかに、うまくないなりに、目に付く子がいるなー。

5回目
 比留間組の目に付く子の動き、トレース完了。襲撃時に加わったメンバーは基礎値の低い子たち(人数水増し目的の下級生たち)だからいろいろ残念なんだけど、そのなかで所作に無理がないから目に付くんだわ。
 ビジュアルも調ってる。整う、ではなくて、調う。三枚目の三下として違和感ない姿と動き。いわゆる美形じゃないし、好みの顔でもないし、てゆーか顔大きいけど……ん? 顔大きい……あれ? あれって凰華くんじゃね……?

 あれ。赤べこの違和感ある旦那、ひょっとして比留間組のあの子じゃね?

6回目
 例の三下くん、凰華くんだわ……。彼は観柳の部下役だから、比留間組にはいないと思い込んでた。

 いや、比留間組水増し隊に星加くんがいることはすぐにわかってたんだけどね、顔が好みだから。そっか、同じ観柳の部下役の星加くんがいるくらいなんだから、凰華くんもいるか。
 気づかなかった言い訳としては、星加くんが残念極まりないへっぽこぶりで「水増し隊」らしいのに比べ、凰華くんの三下ぶりは妙に決まってて、レオ様たちレギュラー陣の方に近いと思う。水増し隊なのにレギュラー陣っぽい収まりの悪さっちゅーか、わたしののーみそが処理しきれないあたりにいる感じがね……。

 赤べこの方もさすがにわかる、前から目について仕方ない旦那さん、あれ凰華くんだ……。に、似合ってねー……。


 3回目の代役で「個別認識した!」とか思っておきながら、他の役に気づくの遅っ。結局、プログラムに名前載ってる役しかわかってなかったんじゃん。
 名前のないモブを認識するまで、こんだけかかるのか。アタマ悪いと大変。
 けっこう初期から目に付いていた子だった。そして、「顔が好みではない」という一点から、あらゆる場面で認識に遅れが生じた模様。どんだけ視野狭いの。


 いやあ、比留間組のあの子が凰華くんだ、と自覚したときの「おおっ」という感じが楽しくてね。
 前もって見ていたし気になっていたし、眺めるのを楽しみにしていたのに、何故かピースがうまくはまらないままで、それがうまく噛み合って、すべてがクリアになったときの快感っていうか。
 モブ眺めるの楽しいなあ。知らない下級生と出会えるのは楽しいなあ。
 わたしがアタマ悪くて、一発ですべての出演者の顔を認識出来ないゆえに、感じられる楽しみ方なんだけど(笑)。このピースが埋まっていく感じは癖になるっす。

 翼くんもそうだけど、好みの顔じゃないのに目を奪われる子ってのは、やっぱりどこか好みなんだろうなあ。

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