近づく別れに、岐路を振り返る。@きんぐとわたし。
2016年4月20日 タカラヅカ きんぐを見ていると、何故にこうなった……、という気持ちになる。
きんぐというと銀橋ソロでひどい歌を披露する二枚目スター、みたいな認識になっていると思うけど……彼も、デビュー当時は「歌える人」だったんだよなあ……。
美形揃い、スター候補揃いと言われた花の89期。今でいう95期みたいな華やかな期で、入団当初から注目されていたひとりだった。
なにしろ元月組トップスター似の美貌、てのは大きなセールスポイントだもの。ずらり並んだ初舞台生の中でもわかりやすく目立つ。
当時は路線スター登竜門だったスカステの「スカイフェアリーズ」に最短の研3で抜擢、美貌と名前をまずお茶の間に知らしめた。無名の新人は、顔を売ることがなにより大事だものね。
役付きも順調。研2の新公でテルの役とかやってるし。バウで研3からすでに役が付いてるし、全ツではカーテン前とはいえ場面もらって「スター修業」してるし。将来のトップ候補のひとりなんだと組ファンにはよくわかる、そんな滑り出し。
最下の研4で『エンカレッジ・コンサート』出演。
研5の『エリザベート』で若手スター枠のジュラやって、新公ではルドルフ。そして、次の公演で、89期として最初の新公初主演。月組のみりおくんより早かったし、当時は花組のだいもんなんて本公演ではモブか子役、新公でも2~4番手役あたりをうろうろしているだけだった。
スター街道走ってたよな。
美形で(雪組では)長身で、歌も歌える。早くからスター扱いされていたからか、舞台からアグレッシブにアピールしてくる。
このまま行くと思ったのにな。
何故にこうなった……。
いちばん不思議なのが、歌。
きんぐって昔は、「歌える」認識だったのに。「可能性を持ちながらも歌唱力を発揮するチャンスが限られがちな若手」が出演することになっている『エンカレッジ・コンサート』で、ちゃんと歌っていたのに。
そりゃ雰囲気優先の歌声だったけど、研4であんだけ歌えて場面として成り立たせていたんだ、そのまま成長すれば十分「歌ウマ」になるでしょう。
新公時代は「歌に関しては、本役より上」と言われ続けてきたし。…………そりゃ、本役が水しぇんでしたから! 歌の基準値低かったと思うけど! 本公演では謎のメロディが、「新公ではじめてわかった」とか、あったりまえでしたけど!
当時のヅカは「音痴大歓迎」シフトだったため、スターに歌唱力は問われなかった。そんななか、きんぐは「歌唱力は問わない」他のスターたちに比べ、よっぽど「歌ウマ」だったのよ。
あのまま歌唱力を磨いてくれると、思ってた。せっかくトウコちゃんに似てるんだし、本人も『エンカレ』でトウコの歌を歌うくらいだし、トウコの歌唱力を目指して欲しかった……。
それがいつの頃からか、「背が高くて歌のヘタなトウコ」とか言われるようになり……ダメじゃん、ソコ大事なとこなのに!
歌唱力が伸びなかったこと、てゆーか退化してないか……? てな感じになっているのも残念極まりないのだけど。
もうひとつ不思議なのが、ヘタレキャラになったこと。
下級生時代は超肉食系っていうか、雪組にはめずらしくガツガツ前に出て来る子、って感じだったのになあ。
抜擢が早かったから、単に与えられた役目を果たすためになりふり構ってなかったら、ガツガツして見えた、ってことなのかしら。
気がついたらきんぐさん、ヘタレキャラになってた。
『ノン ノン シュガー!!』以来だと思うけど。そこでヘタレキャラやって直後の『エリザベート』でヘタレルドルフやって、『シルバー・ローズ・クロニクル』でもヘタレキャラやって。さらに次の『ロシアン・ブルー』でもヘタレキャラやって。
1年間ヘタレキャラばっかやってたら、すっかりヘタレキャラ一丁上がり!って感じになってた。
本人は「フェロモン・スタァ」だと思っていたみたいだけど……わたしとその周囲では「ヘタレキャラ」ゆえに、ショーでキザりまくるのを「微笑ましく」見守る、という位置が定着した。
なんであんなにヘタレちゃったんだ……早期抜擢の鼻息荒くぶんぶんぶっ飛ばしている男の子だったのに……。
やっぱり、「実力」かなあ。
歌唱力もそうだけど、基本となる技術がふんだんにあれば、舞台でヘタレることも、キザりがオモシロになっちゃうこともなかったと思う……。
スタート時点では他の同世代の子よりうまかったし、抜擢されて経験も与えてもらっていたから、優に先を進んでいた。
でも、そこから技術は向上しないまま、持って生まれた長身と美貌だけで来てしまった。
もったいない……。
もう少し、なんとかならなかったんだろうか……。
わたしはオラオラ言ってた頃のきんぐも愛着持って見ていたし、まあその、ぶっちゃけヘタレてからの彼が好みど真ん中だったわけなんだが。だもんで、わたしがこんなこと言っても「でも、そんなきんぐが好きなんでしょ?」はいそうです、そんなきんぐだから好きなんです……なんだけど、でも。
でも。
もどかしい。
じれったい。
彼にはもっと、別の未来もあっただろうに……そう思えるだけに、くやしくて。
結局きんぐは、バウ主演はおろか、バウ2番手すらなかったもんなあ。
なのにショーでは銀橋ソロもらってたし。ふつー、銀橋ソロ常連クラスだと、別箱2番手くらいはしてるもんですが。
新公2回も主演してるのになあ。
学年が上がってもヘタレなままで、下級生スターの台頭で、きんぐはもう路線スターくくりではないんだろうなと、わかっちゃいたけれど。
それでもまだ、スター枠ではいられたし。
きんぐに止めを刺したのは、ほんとのとこ、大ちゃんの組替えだと思う。
大ちゃんが雪組にやって来る、とわかったときに思ったことは「きんぐがいるのに?」だった。
大ちゃんときんぐって、得意分野も苦手分野も丸かぶりしてる。
長身美形で新公2回主演してるけど路線コースからは外れていて、得意技は銀橋でのキザり、ウインク、一本釣り、そして学年のわりにいろいろ技術微妙で、潔く音痴。
こんだけ丸かぶりな人がくると、きんぐやばいなと思った。
学年順のタカラヅカ、大ちゃんの方が上級生だし、パイがひとつしかない場合、学年順で大ちゃんが得て、きんぐには回らない。や、大ちゃんに含みはないよ。ただ、事実として。
や、キャラかぶりだからこそ、きんぐと大ちゃんが並び立つなんて「夢の競演!!」とも思ったけど(笑)、ふたりの銀橋とか、ものすげーことになってて耳は大変、目にはキラキラ、楽しかったけど!
左之助役が取れなかったときに、覚悟した。ああ、きんぐはここまでなんだなって。きっと退団しちゃうんだろうなって。……誰にも言えなかったけど。
もしも大ちゃんがいなかったら、左之助は順番的にもキャラクタ的にも、きんぐに回ってくる可能性が高かった。いや、大ちゃんがいてもなお、きんぐが取るくらいでなきゃ、今後生きづらかったろう。
大ちゃんやがおりと違い、きんぐは本当の老け役とか脇の役、下級生主演バウの脇はやっていない。
脇でもなく、キャラと立ち位置的に合っていた花形役も取れない。
これは、覚悟するよ。
何故にこうなった。
あんなに華やかな下級生時代だったのに。
ヘタレてからのきんぐが好きよ。今のきんぐが好きよ。
出会えて良かった。今の君に会えて良かった。
そう思うこととは別に、もどかしくて、切ない。
ナニかボタンが掛け違っていれば、今、きんぐとの別れを迎えずに済んだのかもしれない。
そう思えて。
きんぐというと銀橋ソロでひどい歌を披露する二枚目スター、みたいな認識になっていると思うけど……彼も、デビュー当時は「歌える人」だったんだよなあ……。
美形揃い、スター候補揃いと言われた花の89期。今でいう95期みたいな華やかな期で、入団当初から注目されていたひとりだった。
なにしろ元月組トップスター似の美貌、てのは大きなセールスポイントだもの。ずらり並んだ初舞台生の中でもわかりやすく目立つ。
当時は路線スター登竜門だったスカステの「スカイフェアリーズ」に最短の研3で抜擢、美貌と名前をまずお茶の間に知らしめた。無名の新人は、顔を売ることがなにより大事だものね。
役付きも順調。研2の新公でテルの役とかやってるし。バウで研3からすでに役が付いてるし、全ツではカーテン前とはいえ場面もらって「スター修業」してるし。将来のトップ候補のひとりなんだと組ファンにはよくわかる、そんな滑り出し。
最下の研4で『エンカレッジ・コンサート』出演。
研5の『エリザベート』で若手スター枠のジュラやって、新公ではルドルフ。そして、次の公演で、89期として最初の新公初主演。月組のみりおくんより早かったし、当時は花組のだいもんなんて本公演ではモブか子役、新公でも2~4番手役あたりをうろうろしているだけだった。
スター街道走ってたよな。
美形で(雪組では)長身で、歌も歌える。早くからスター扱いされていたからか、舞台からアグレッシブにアピールしてくる。
このまま行くと思ったのにな。
何故にこうなった……。
いちばん不思議なのが、歌。
きんぐって昔は、「歌える」認識だったのに。「可能性を持ちながらも歌唱力を発揮するチャンスが限られがちな若手」が出演することになっている『エンカレッジ・コンサート』で、ちゃんと歌っていたのに。
そりゃ雰囲気優先の歌声だったけど、研4であんだけ歌えて場面として成り立たせていたんだ、そのまま成長すれば十分「歌ウマ」になるでしょう。
新公時代は「歌に関しては、本役より上」と言われ続けてきたし。…………そりゃ、本役が水しぇんでしたから! 歌の基準値低かったと思うけど! 本公演では謎のメロディが、「新公ではじめてわかった」とか、あったりまえでしたけど!
当時のヅカは「音痴大歓迎」シフトだったため、スターに歌唱力は問われなかった。そんななか、きんぐは「歌唱力は問わない」他のスターたちに比べ、よっぽど「歌ウマ」だったのよ。
あのまま歌唱力を磨いてくれると、思ってた。せっかくトウコちゃんに似てるんだし、本人も『エンカレ』でトウコの歌を歌うくらいだし、トウコの歌唱力を目指して欲しかった……。
それがいつの頃からか、「背が高くて歌のヘタなトウコ」とか言われるようになり……ダメじゃん、ソコ大事なとこなのに!
歌唱力が伸びなかったこと、てゆーか退化してないか……? てな感じになっているのも残念極まりないのだけど。
もうひとつ不思議なのが、ヘタレキャラになったこと。
下級生時代は超肉食系っていうか、雪組にはめずらしくガツガツ前に出て来る子、って感じだったのになあ。
抜擢が早かったから、単に与えられた役目を果たすためになりふり構ってなかったら、ガツガツして見えた、ってことなのかしら。
気がついたらきんぐさん、ヘタレキャラになってた。
『ノン ノン シュガー!!』以来だと思うけど。そこでヘタレキャラやって直後の『エリザベート』でヘタレルドルフやって、『シルバー・ローズ・クロニクル』でもヘタレキャラやって。さらに次の『ロシアン・ブルー』でもヘタレキャラやって。
1年間ヘタレキャラばっかやってたら、すっかりヘタレキャラ一丁上がり!って感じになってた。
本人は「フェロモン・スタァ」だと思っていたみたいだけど……わたしとその周囲では「ヘタレキャラ」ゆえに、ショーでキザりまくるのを「微笑ましく」見守る、という位置が定着した。
なんであんなにヘタレちゃったんだ……早期抜擢の鼻息荒くぶんぶんぶっ飛ばしている男の子だったのに……。
やっぱり、「実力」かなあ。
歌唱力もそうだけど、基本となる技術がふんだんにあれば、舞台でヘタレることも、キザりがオモシロになっちゃうこともなかったと思う……。
スタート時点では他の同世代の子よりうまかったし、抜擢されて経験も与えてもらっていたから、優に先を進んでいた。
でも、そこから技術は向上しないまま、持って生まれた長身と美貌だけで来てしまった。
もったいない……。
もう少し、なんとかならなかったんだろうか……。
わたしはオラオラ言ってた頃のきんぐも愛着持って見ていたし、まあその、ぶっちゃけヘタレてからの彼が好みど真ん中だったわけなんだが。だもんで、わたしがこんなこと言っても「でも、そんなきんぐが好きなんでしょ?」はいそうです、そんなきんぐだから好きなんです……なんだけど、でも。
でも。
もどかしい。
じれったい。
彼にはもっと、別の未来もあっただろうに……そう思えるだけに、くやしくて。
結局きんぐは、バウ主演はおろか、バウ2番手すらなかったもんなあ。
なのにショーでは銀橋ソロもらってたし。ふつー、銀橋ソロ常連クラスだと、別箱2番手くらいはしてるもんですが。
新公2回も主演してるのになあ。
学年が上がってもヘタレなままで、下級生スターの台頭で、きんぐはもう路線スターくくりではないんだろうなと、わかっちゃいたけれど。
それでもまだ、スター枠ではいられたし。
きんぐに止めを刺したのは、ほんとのとこ、大ちゃんの組替えだと思う。
大ちゃんが雪組にやって来る、とわかったときに思ったことは「きんぐがいるのに?」だった。
大ちゃんときんぐって、得意分野も苦手分野も丸かぶりしてる。
長身美形で新公2回主演してるけど路線コースからは外れていて、得意技は銀橋でのキザり、ウインク、一本釣り、そして学年のわりにいろいろ技術微妙で、潔く音痴。
こんだけ丸かぶりな人がくると、きんぐやばいなと思った。
学年順のタカラヅカ、大ちゃんの方が上級生だし、パイがひとつしかない場合、学年順で大ちゃんが得て、きんぐには回らない。や、大ちゃんに含みはないよ。ただ、事実として。
や、キャラかぶりだからこそ、きんぐと大ちゃんが並び立つなんて「夢の競演!!」とも思ったけど(笑)、ふたりの銀橋とか、ものすげーことになってて耳は大変、目にはキラキラ、楽しかったけど!
左之助役が取れなかったときに、覚悟した。ああ、きんぐはここまでなんだなって。きっと退団しちゃうんだろうなって。……誰にも言えなかったけど。
もしも大ちゃんがいなかったら、左之助は順番的にもキャラクタ的にも、きんぐに回ってくる可能性が高かった。いや、大ちゃんがいてもなお、きんぐが取るくらいでなきゃ、今後生きづらかったろう。
大ちゃんやがおりと違い、きんぐは本当の老け役とか脇の役、下級生主演バウの脇はやっていない。
脇でもなく、キャラと立ち位置的に合っていた花形役も取れない。
これは、覚悟するよ。
何故にこうなった。
あんなに華やかな下級生時代だったのに。
ヘタレてからのきんぐが好きよ。今のきんぐが好きよ。
出会えて良かった。今の君に会えて良かった。
そう思うこととは別に、もどかしくて、切ない。
ナニかボタンが掛け違っていれば、今、きんぐとの別れを迎えずに済んだのかもしれない。
そう思えて。