本日はゆーひくんバウの発売日。
 いつものように梅田に並びに行きました。ええ、行きましたとも。

 いつもの時間、いつもの電車。
 いつもの道を通って、できているだろう行列の最後尾を目指す。

 三番街の並びの最後尾といえば、総合案内所の横のムービング・ウォークがない通路。三番街プレイガイドをスタート地点として、ぐるりと回ってコインロッカー前あたりがわたし的いつもの並び位置。

 大劇もバウも、大体同じくらい。
 大劇場公演はムラでの発売が主だから、梅田に並ぶ人は多くない。バウはムラでの発売がないので、その分にぎわう。
 どちらにしろ最近は600人くらいが平均的かな。コインロッカー前が最後尾だと、それくらいの人数。

 ゆーひくんだから、通常よりは多いと思っていた。ふつーが600人なら、800〜900くらいは行くだろー。人気者だとそれくらいが常。20年近くずーっと梅田で並んできた慣れというか感覚というか。
 人気がないと500切ったりして、最後尾位置でソレが丸わかりで、かえってつらかったりするが、人気がありすぎても購入できないからこまる。

 いつもの通路が見えた段階で、人が多いことがわかった。
 ロッカー前なんてとんでもない、案内所前まで来て、手すりのところを折り返している。
 うんうん、800人超えたら手すりまで行くよね。手すりのいちばん後ろぐらいまでは行ってるかも、なにしろゆーひくんだし!!

 ゆーひくん主演で景子先生新作でバウホール。
 その人気を、わたしは確信していた。ので、最後尾位置がいつもよりずっと後ろになっていてもおどろかなかった。

 おどろいたのは、そのあとだ。

 てっきり手すりあたりに並べると思った。
 だから手すりのところに出来た列を眺めながら歩いた。最後尾に入るために。

 あ、あれ? 最後尾……が、いつまでたっても出てこない。通常の公演なら、人気公演でもこのあたりに最後尾があるのに。

 まさか。

 嫌な予感がして、視線を遙か前方に向けた。
 その昔、まだ梅田でTCAチケットの一般販売があったころや、トップスター退団の大劇場公演などのときのみ、人が並ぶことになる阪急百貨店前コンコースを。

 行列が、あった。
 百貨店前に。

 えええ。
 バウだよ? トップサヨナラ大劇ぢゃないよ?!!

 や、きっとあそこに見えている人だけだ、最後尾はあのすぐ後ろなんだわ、と気を取り直してはるかコンコースを目指す。

 だが、コンコース前の行列は、ずーっと向こうまで続いていた……。

 なんで? なんでなんで??

 わけわかんなくて、必死に歩いた。どこまで歩けばいいの、このままだとコンコースいちばん奥まで行っちゃうよ??
 寿美礼サマ退団公演の並びと同じくらい歩いてますけど、最後尾まで?!

 なんとか列に入って、後ろを見る。
 どこまで増えるの、この列? このままじゃ、コンコースを折り返すことになっちゃうよ?
 時間的にぎりぎりなので、わたしの何メートルか後ろで「受付終了」のプラカードが掲げられる。さすがにコンコース折り返しにはならなかった。そこまで行ったら腰を抜かす。

 いや、今の状態だって信じられない。
 人気があることはわかっている。今のゆーひくんならバウ完売は当然だ。抽選倍率が通常より過酷だろうと覚悟もしていた。
 にしても、この人数は想像の範囲をまるっと超えていた。

 周囲の人たちがみんな電話をしたりメールをしたりしている。
「すごい人の数なの、絶対無理!!」……悲鳴だ。

 係のおねーさんがアナウンスをしている。並んでいる人はなんと1500人だという。
 あの、通常が600なんですけど……。ちなみに、寿美礼サマの『アデュー・マルセイユ』のときが、1400人だったんですけど。
 いくらバウは会がこぞって並んでいるとはいえ、この人数はありえない。チケット事情は年々変化し、並び人数は昔と比べて減ってきているというのに。今、この人数って。

 でもって、大劇とちがってバウは発売枚数が少ない。
 大劇なら900人×3枚が購入可能だが、今回のバウは370人×2枚だ。
 1500人のうち、370人しか購入できない。

 その過酷さはナニ?! ありえないでしょーー!!

 朝っぱらから、心を折られました。しかもわたし今日ひとりだし。話す相手もいないし。愚痴も言えないし、泣き言言えないし。……や、えんえんメールでチェリさんに泣き言ゆーてましたが。「絶対買えない〜〜」って。

 梅田並び歴長いけど、バウで1500人は初体験だ。
 実際、係のおねーさんも「史上初」と言っていたらしい。

 それでも混乱なく行列をさばいてくれたから、阪急交通社さんGJ!
 もっともっと無駄に長く並ばされるかと思ったよ、あの人数じゃ。

 
 わたしは整理券だけGETして会社にすっ飛んでいったnanakoさんの分も代わりに抽選し、1勝1敗、かろうじて番号のある紙を引けた。
 5分の1ちかい確率で、アタリ引けるとは思わなかったよ……おかげでnanaタンと並んで観劇できるぞぉー。

 そして、ぴあも2分完売だとかゆーてるのに、自宅でネット発売に参戦し、ちゃーんとわたしたちと同じ日時のチケットをGETしたチェリさんは、相変わらず凄腕だ。

 
 さて、そのチケ発売狂想曲の最中。

 グラビルのチケット発売ブースにてわたしは、なつかしい顔を見つけた。

「おひさしぶり」
「ご無沙汰してます」

 なんて挨拶をする、その知人はすでに卒業してしまった人のファン。それまでは劇場でよく会ったねええ。直接のご贔屓はちがっても、贔屓組が同じだったことがあるから、なにかと縁があった。
 どこかの会並びに参加している様子の彼女を見て、そうか、ご贔屓が退団しても、こうやって会におつきあいがあり、並んだりするんだ、助け合いの精神がヅカファンだもんね、と思い込んで話していたら。

 そーではなくて、今現在、その会に入って現役生徒さんを応援しているらしい。

「もう二度とやらないと思ったのに……」
 と笑う彼女は、照れくさそうでありながら、それでもたのしそうだった。

 それはなんだか、とってもほっこりとこころがあたたくなる笑顔だった。

 贔屓退団であんなに泣いていたけれど、わたしがおぼえているの彼女の顔は、千秋楽の泣きはらした目と顔半分を覆ったハンカチ、なのだけど。
 それがわたしたちが今日かわした「おひさしぶり」「ご無沙汰してます」の言葉の間にあった最後の記憶だったのだけれど。

 それでもまた宝塚を愛し、誰かを愛し、こーやって愛を表現している。

 もちろん、ただひとり人を愛し、ご贔屓が退団したらタカラヅカも卒業、というのも愛のカタチ。どちらがどうということではなく。

 今、しあわせそうにしている姿を見て、うれしくなった。

 愛は死なない。
 ひとつの愛に殉じるのも、愛の心を絶やさずに進み続けるのも、同じこと。
 みんなの心の、愛は死なない。

 1500人もいるなかで、よくもばったり会ったもんだ。はずれていたらわたし、さっさといじけて帰っていたしな。
 同じ購入時間だったからこそこうやって偶然出会って、「なんかすごい人ですよねえ」「すごいですねえ」なんて、他愛ない話をして、笑って別れた。

 またムラで会いましょう。約束はなくても、またどこかで会える。見かけたら挨拶をかわす、笑顔をかわす、それだけの知人。
 そんな人がいる、ささやかなしあわせ。

 ……半日ひとりで並んで、時間潰して、孤独だったからさー。もー、ほんと会話できてうれしかったよぅ(笑)。

 
 帰宅してからはえんえん、まっつグッズ作りしてたし。(またかよ!)
 

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