花組トップ娘役・花乃 まりあ 退団会見のお知らせ
2016/08/01
花組トップ娘役・花乃 まりあが、2017年2月5日の東京宝塚劇場公演『雪華抄(せっかしょう)』『金色(こんじき)の砂漠』の千秋楽をもって退団することとなり、2016年8月2日(火)に記者会見を行います。

なお、会見の模様は当ホームページでもお知らせ致します。

 びっくりした。

 大阪の人間だし、遠征しないライトなヅカヲタだし、スカステも基本あまり見ないし、東宝公演のスケジュールにはうとい。前日が花組東宝千秋楽だったことを意識していない。
 気分としてはごくふつうの月曜日に、モバタカメールが来た。なんだろ、なんかの演目発表? それとも会員限定キャンペーンとかのお知らせ?
 めっちゃ油断してチェックした。

 かのちゃん退団?
 なんで??

 年寄りの「ついこの間」発言はアテにならないもんだが、それにしたって、かのちゃんが花組トップ娘役に就任したのは「ついこの間」のことだ。わたしの感覚では。
 まだ新公学年の、若いトップ娘役。まだまだこれからじゃん?

 なのに、退団? 3作で?
 いや、次の公演を入れたら4作か。それにしても短い。

 なんというか、転校してきたばかりのクラスメイトが、仲良くなる前にまた転校していく感じ。
 そう思うのはわたし、まだかのちゃんと仲良くなってない……もとい、彼女の舞台での仕事に距離を感じているせいだ。
 『新源氏物語』を観ていたときが顕著だったかな。ヒロインなのに、彼女の顔をしっかり見た気がしなかった。後ろ姿とか斜め後ろからの横顔とか、絵巻の姫君ばりに、顔が見えなかった。
 それでも、まだまだ先があるし、とのんびり構えていた。そのうち仲良くなれるだろう、距離がなくなって彼女の芝居に、役に、没入して観劇出来る日が来るだろうと。
 わたし、大抵の人とは仲良くなれるから、心配してなかった。ちょっと時間かかってるだけ、そのうち仲良くなれる。そりゃ人間だから、どうしても無理!な相手も稀にいるけれど、そんなレアケースを取り沙汰して悪い方向に考えることなんかしない。
 前提として「いずれ仲良くなる」というのがあった。

 だから、ただびっくりした。
 え、もう行ってしまうの??
 日々の流れは速い、あっちゅー間に役替わりの新バージョン日程になった。『エリザベート』Bパージョン、りくルド初日!!

 ルドルフ@りくくんで、いちばん驚いたこと。

 歌が、大丈夫だ!!

 りくくんといえば音痴。歌の神様から愛されなかった美貌のダンサー、という「タカラヅカあるある」を体現するスターのひとり。
 今回のルドルフ役替わりメンバーで、実力面でもっとも「だ、大丈夫か?」と不安視していたのが、彼。
 『エリザベート』って歌ばっかのミュージカルだけよ、ルドルフって歌うんだよ、出番短いのにいろいろ歌うんだよ、誤魔化し効かないソロだの掛け合いだのがあるんだよ。
 歌重要作品において、メインキャストに音痴さんがいると、集客に響く印象がある。いくら美しければ実力不問と言われるタカラヅカでも。3人のルドルフで、もっともチケットレートが低かったのがりくルドだった、とわたしは個人的に思っている。
 わたしの周囲のヅカファンではないけれど「『エリザベート』なら観てみたい」という人たちが、「なんとか取れた」という日程がすべてりくルドだったとかなー。役替わりも、そもそも主演が誰かも知らない人たち……「いつでもいいから、とお願いしていて、取れたのがこの日」とか、「人づてにチケットあるよとお誘いを受けた、よくわかんないけど有名ミュージカルなんでしょ、母と観に行くことにした」的な、ゆるい流れ。
 『エリザベート』自体チケ難当たり前、りくくん日程ももちろん入手困難ではあったけれど、ずんちゃんとあっきー日程はさらにチケ難な手応えだった。
 まあなあ、音痴なルドルフはきついもんなあ、仕方ないよなあ、と。

 でもわたしは、りくくんスキーなので。
 歌がアレでも、りくくんのルドルフはうれしい。
 そして、Cバージョンでのシュテファン@りくくんがイイ感じで、『王家に捧ぐ歌』のサウフェもそうだったけど、なんかわたし好みの芸風になってきてくれているので、期待大。好みのルドルフなんじゃないかなと。
 キャラクタに関しては不安はナイ、問題は歌唱力……だったのに。

 歌が、大丈夫だ!!(2回目)

 その、「うまい」とも「うまくなった」とも、言わないし言えないけど。
 危惧したほど壊滅的じゃない。
 作品全体としてアリだと思えるくらい、大丈夫だった。
 と、わたしは思った。
 ……贔屓目かな? 世間的にはどうだったんだろう。

 とにかくわたしは、これくらい歌えれば大丈夫、物語を楽しむのに水を差されることはなかった。

 そして、なんつってもダンスだ。
 ルドルフというと、死の間際に黒天使たちに翻弄されるダンス場面がある。
 ここがもう、美しくてな! ここが美しいと悲劇性上がっていいんだな、てなことを再確認する。
 いやその、この場面ダンス以外が意外と難しいというか、上着はぎ取られて下半身ラインむき出しになるので、男役として無駄に難易度上がるのよ。大抵のみなさん、丸いお尻強調衣装+振付で、ダンス苦手な子だったりするとますます「ああ、女の子だもんねえ」と一瞬思っちゃったりする危険ナンバー。
 りくくんちゃんと、夢を壊さずきれいだった! 踊れるっていいな!

 そして、肝心のキャラクタは。

 よっしゃ、バカ来たーー!!

 最近のりくくんの芝居は好みだ。本人がナニを目指してどう芝居しているのかは知らないが、わたしの目には「愛すべきバカキャラ」に見える。
 アホの子ではなく、バカ。
 無害なゆるキャラではなく、能動的な分有害なイメージ。
 本気で強いベクトルがある、しかしなんの役にも立たない、むしろ傍迷惑、というような。
 愛すべきバカキャラ。
 現実にいたらめんどくさいけど、フィクションの中ではひたすら愛しい。

 りくルドは、繊細系爆弾バカに見えました。
 脆弱な分傷つきやすくて、でもそれを表面的には認めてなくて強がっていて、でも意識下では自覚もあって、それゆえ暴力的なほど強く自分の欠点を他者へ転嫁して、とりあえず自意識を保っている系。
 やだわー、こんな男(笑)。ただの暴力バカと違って「繊細系」ってのがタチ悪い。自称繊細系って、自分の痛みだとか弱さだとかには過剰反応するからなー。で、「繊細な自分が大切に扱われない」と、切れる。
 ルドルフの破滅はまさにソレ。
 「パパに理解されない」「正しく評価されない」ことに傷ついてる風なのが、もう……。
 メンタル幼い。身体は大人なのに、わかりやすくバカでヘタレ。
 そして、プチ革命失敗後は、精神崩壊方面へ流れる。うんうん、繊細くんはそうなるよねえ。


 そして。
 ええ、そして、素晴らしいのがエルマー@ずんちゃんとの関係性。

 今回のバージョンのトピックスは、わたし的にはりくルドではなくて。

 エルマーに知性がある!

 ということ。

 や、びっくりだ。知性派エルマーなんて!
 エルマーって新公主演済み若手スターがやる役。若手のヒーロータイプがやるとハマるのね。グループのリーダーだから、「オレに付いてこい!」が自然に出来る人でないと。いっそ脳筋タイプでも良い。知性担当はツェップスさんがいるから。

 それが、ずんちゃんエルマーは、知性派リーダーだったの。
 台詞も演出も同じなのに、知性が見える。
 え、このエルマー賢い。なんかふつーに革命成功しそう。

 賢いエルマーと、おバカルドルフ。

 なにソレ、滾る!!

 でもってエルマーさん、ふつうに真面目で誠実そうなの。賢いからって、ずるくないの。
 アホな王子様相手に、誠実につきあってるの。「このアホを利用してやろう」とか思ってないの。本気でルドルフと手を取り合って、未来を築こうとしている。

 まあ、あのヘタレ皇太子で革命出来るとか思っちゃうあたり、ほんとの賢さはないのかもしんないけど、今ある選択肢で最善を選んだら「ヘタレを王にする」しかなかったのかも、とも思う。

 ルドルフはトートなんぞに頼らず、エルマーを信じていれば良かったんだよ……って、そのエルマーもトートに踊らされていたひとりだから、無理か……。


 ところで、ルドルフを観て、歌大丈夫、と胸をなで下ろしたりくくん。なんだよ、これくらいには歌えるんじゃん! と、見直したのに。

 何故だ。
 パレードの階段降りソロでは、いつもの潔い音痴ぶりでした。

 なーぜーだー(笑)。
 日にちが前後してますが、書くだけ書いて、その日にち欄にUP出来ないまま埋もれていた記事をこんなところに挿入しておきます。
 ……星組事情に言及しがちなのは、それをやたら話題にしてくる友人がいるせいですわ……(笑)。
2016.07.22 星組 宝塚大劇場/東京宝塚劇場公演『桜華に舞え』新人公演一部の配役決定

主な配役/新人公演
桐野利秋【通称:中村半次郎。薩摩藩の貧しい城下士。類稀な剣の才能を持つ】北翔 海莉/天華 えま
大谷吹優【薙刀を手に勇敢に官軍と渡り合う。会津藩の武家娘】妃海 風/小桜 ほのか
衣波隼太郎【中村半次郎の親友。薩摩藩の貧しい郷士】紅 ゆずる/綾 凰華
大久保利通【通称:一蔵。薩摩藩士。内務卿】夏美 よう/桃堂 純
西郷隆盛【通称:吉之介。薩摩藩士。近衛都督。陸軍大将】美城 れん/音咲 いつき
八木永輝【会津藩士】礼 真琴/紫藤 りゅう
竹下ヒサ【薩摩藩の郷の娘】綺咲 愛里/真彩 希帆

 新公の一部配役発表って、主演とヒロインを報せるモノ、だったよな……?
 もしくは、2番手まで、さらにもしくは、ポスターメンバーまで。
 ……本専科さんの役をわざわざ番手スターに並列して発表する不思議。

 や、情報は多い方がテンション上がるから、決まっていることはちゃっちゃっと教えて欲しいけどな。

 新公主演は天華くん……名前は知ってるし、これまでも新公で観てきた。ショーでアピールしてくれて「おおっ」と思ったこともある。
 今までの新公で、とくにヘタだと思ったこともなく、歌も芝居も出来る子なんだろう、と思う。でもって、ふつうにきれいな子だったと思う。
 思う、思うといちいち書くのは、記憶にはあるのに、わたしが彼を舞台で見つけられないからだ……。
 っかしーなー。名前は知ってるしぴーすけという愛称も知ってるし、いろいろおぼえているのに、顔が思い出せない……。
 年取ったな……。衰えすぎっすよ……。
 新公主演で確実にわかるよーになるはず!

 ヒロインのほのかちゃんはまったく知らないので楽しみ楽しみ。新しい出会いはわくわく。


 専科さんの役まで発表になっているから一見混乱するけど。
 この発表でわかったことって、新公の配役と、ことちゃんが3番手ってことよね。

 や、それはわかってたけど。
 みっちゃん政権になってからずっとことちゃんが3番手だったけど。
 代替わりすることが明らかになったあとだから、もしも番手をいじるとしたらこのタイミングかな、という危惧もあった。
 ことちゃんが学年以上に芸風が若いことを理由に、番手ぼかしされたらイヤだなあと思っていたから、はっきりと打ち出してくれるのはうれしい。
 番手ぼかしなんて、いいことないもん。今は組のピラミッドがシンプルに組み上がっている方が安定する。

 このままベニー政権ではことちゃんが2番手昇格し、ショーヴランでありますように。歌ウマさんで聴きたいのよ。


 わたしは若手ではあやなくんスキーなんですが、歌バウで「あちゃー……」と思ったあとだったので、「やっぱりなー」と肩を落としました……(笑)。
 歌ウマみっちゃんの役は、回ってこないよな……。
 キターーーー!!
2017年 公演ラインアップ【宝塚バウホール】<2017年2月・雪組『New Wave! -雪-』>
2016/08/04
8月4日(木)、2017年宝塚歌劇公演ラインアップにつきまして、【宝塚バウホール】の上演作品が決定しましたのでお知らせいたします。
  
雪組公演
■主な出演者・・・月城 かなと、永久輝 せあ ほか

◆宝塚バウホール:2017年2月9日(木)~2月19日(日)
一般前売:2017年1月14日(土)
座席料金:全席5,300円

バウ・ショーケース
『New Wave! -雪-』

作・演出/三木 章雄

雪組若手メンバーによるフレッシュなショー!かつての雪組の名場面の再現と共に、未来への飛躍を目指して古今東西の名曲に乗せて歌い踊るエネルギッシュな作品です。オンステージの生バンドをバックに繰り広げられる、ライブ感溢れるエンターテインメントショーをお楽しみ下さい。

 れいこ、ひとこで『New Wave!』!!
 ひとこは置いておいて、れいこがうれしい!

 何故ひとこを置いておくか。それはもちろん、ひとこちゃんは「出来る子」で、ショーの真ん中修行しなくても本公演の抜擢だけでスキルアップ出来ると思うし、このまま行けば間違いなく近い将来ショーの真ん中に立つだろう。

 だがしかし、れいこは違う。
 れいこちゃんはショーが弱い。ダンス苦手だし、真ん中育ちでナイためか自家発電力に乏しい。弱いなら経験積んで鍛えるしかないけど、番手ナシくんにお勉強させるためだけに、本公演で場面を作れない。

 はたして、ショーが得意なひとこは本公演でステップアップし、苦手なれいこはますます沈む、というサイクルが出来上がりつつある。

 それを打破するためには、別箱でショーの主演をさせるしかない。
 あーさの『A-EN』を観ながら、歯がみしたもんなあ。『銀二貫』なんかやってる場合か、れいこに『A-EN』やらせろ!って。
 日本物も耐える男も辛抱役も、すでに「出来る」とわかってる。もともとあるものを今、貴重な主演機会を使ってまでせんでええ、それより今のれいこに明らかに欠けるもの、アイドル的軽さと明るさが必要な学園ラブコメと、ショーの真ん中、歌って踊って「スター!!」であることをそのやたら奥ゆかしく不器用なキャラクタに叩き込むことが最重要課題ですがな!
 れいこに『A-EN』やらせろ~~!
 と、ないものねだりいたしましたな。うん。

 そんなわたしですから、『New Wave!』主演はもう、願ったり叶ったり。
 ありがとうタカラヅカ!!

 『New Wave!』は「主な出演者」という表記で、「主演」とは呼ばない、ということになっているけれど、実際に観ればわかる、ふつーに「たったひとりの主演」がいる。トップスターがいて、2番手がいて、という、ふつーにピラミッドになったタカラヅカのショー作品だ。
 れいこ・ひとこと連名であれば、間違いなくれいこが主演、ひとこが2番手だ。

 ショーが弱いれいこちゃんが、ショーの勉強するための公演。
 よかったあ、劇団はそういうことをちゃんと考えてくれてるんだねええ。

 れいこ・ひとこの並びが良いことは実証済みだし。
 なんて楽しみな公演だろう。
 こんなに、純粋に「うれしい! 楽しみ!」と思う演目発表はレアだ。

 というのも。
 同時に雪組のもうひとつの公演が発表になったわけなんだけど……。
 翌日欄に続く。
2017年 公演ラインアップ【中日劇場】<2017年2月・雪組『星逢一夜』『Greatest HITS!』>
2016/08/04
8月4日(木)、2017年宝塚歌劇公演ラインアップにつきまして、【中日劇場】の上演作品が決定しましたのでお知らせいたします。
  
雪組公演
■主演・・・早霧 せいな、咲妃 みゆ

◆中日劇場:2017年2月4日(土)~2月28日(火)
一般前売:2016年12月3日(土)
座席料金:A席8,000円、B席6,000円 

ミュージカル・ノスタルジー
『星逢一夜(ほしあいひとよ)』

※ご利用環境によっては「逢」の文字が正しくご覧いただけない場合がございますが、1点しんにょうの「逢」です。
作・演出/上田 久美子

時は江戸中期、徳川吉宗の治世。とある藩で起きた叛乱を背景に、藩主の子息、天野晴興(あまのはるおき)と身分なき娘、泉(せん)の恋を、烈しく哀切に描きだす。
江戸から遠く離れた九州の緑深き里、山々に囲まれた三日月藩の小さな空を見上げ、天文学に夢中になる少年晴興(幼名 紀之介(きのすけ))は、里の娘、泉やその幼馴染の源太と一緒に星観(ほしみ)の櫓(やぐら)を組みあげて、星探しに明け暮れる日々。晴興は、二人と身分を超えて友情を育むが、少年時代が終わりを告げるころ、別れは突然訪れる。
遠い江戸で将軍吉宗に伺候することになった晴興。晴興を思い続ける泉と、泉に心寄せる源太。彼らには思うままにならぬ運命が待ち受けていた。大人になった三人の関係は、巡る星々のもと、目に見えぬ力によって変貌させられて……。
江戸での晴興の躍進は、はからずも三日月の領民らの困窮を招いてゆく。ついに起きた叛乱の中で、晴興と泉、源太の愛は、哀しく鮮烈な軌跡を描いて、破局へと向かい始める。
2015年に初演された本作品は大好評を博し、作・演出の上田久美子が第23回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。再演希望が寄せられる本作を、中日劇場公演としてお届け致します。

ショーグルーヴ
『Greatest HITS!』

作・演出/稲葉 太地

人々の心を酔わせ、躍らせる名曲の数々で構成するショーグルーヴ。熱いエネルギーを放つソウルミュージックに乗せて繰り広げるプロローグに始まり、時に甘く、時に切なく、それぞれの時代に燦然と輝き、今なお愛され続ける数多の楽曲に乗せて、クールでありながらもホット、そしてセクシーな魅力を持つ早霧せいな率いるグレイテストな雪組出演者が、煌めくハーモニーと情熱的なダンスをお届け致します。

 えええ。『星逢一夜』

 中日公演の演目発表。
 まさかの『星逢一夜』。

 モバタカメールを見て、公式を確認して。
 演目を知った、シンプルかつ率直な感想は。

 今さら?

 ……だった。

 『星逢一夜』は大好きだった。2015年のぶっちぎりナンバーワン作品だと思っている。タカラヅカオリジナルで、こういう作品が出たことをも誇らしいと思っている。
 だが。

 別に、もう一度観たいわけでもナイ。

 好きだったことと再演を求める気持ちは、イコールじゃない。
 なんつーか、『星逢一夜』ってわたしのなかでは「終わった」作品なのね。
 きれいにエンドマークついて、「良い思い出」ファイルにしまい込まれている。

 そうだなあ、中学生のときの宝物とか、そういう? 当時クラスで流行ってたキャラクタものとか。
 それを、10年も経ってから父親から「お前コレ、好きだったろ? 買ってきてやったぞー」とドヤ顔でそのキャラクタの絵が付いたTシャツとか渡されちゃって、「お、おう……」ってなる感じ?
 好きだったのはたしかだし、別に嫌いじゃないし、今も好きだけど、20代半ばのOLに、中学生が好きそうなファンシー絵のTシャツ渡されてもコレどうしろと? 思い出のままでいさせてくれればいいのに、無粋なコトするなあ。でも善意でしてくれてることだし困ったな。

 的な?
 たった1年しか経ってないのになにを大袈裟な、かもしんないけど、気持ちのブランクとしてはそんな感じ。

 それに、『星逢一夜』はムラと東宝でかなり色が変わっていて、手直しされた東宝版の方が好みから離れていた。東宝版のままの再演ならがっかりだし、そのまんまじゃないよ、さらに手直し入るよ、だったりすると、中日版はさらに落胆する出来になっているかもしれない。
 いやあ、初恋は初恋のまま、きれいなまま置いておこうよ……30年後の同窓会とかで現実突きつけられるのきついよー。

 それに、キャストの問題もある。
 『星逢一夜』って、演じる人たちかなりきつかったのでは……? ちぎくんは舞台から感じるギリギリ感ゆえに、だいもんは舞台の燃焼っぷりとお茶会での様子から、役者にとってかなりハードな役であり、作品であるのだなと思った。
 前のご贔屓が再演嫌いで「同じ作品の同じ役を、時をおかずにもう一度やる」ことに鬱屈していた記憶があるだけに……わたしは役者じゃないからわかんないけど、やっぱ、きついんじゃないかなと思ってみたり。

 新作の方が良かったけどなあ。や、中日は再演作品限定だけど、ちぎくんの雪組にとっての新作。
 どのスターさん、どの組を観る場合でも、一観客としてのわたしは、再演より新作を観たい。タカラジェンヌの寿命は短いのだから、新しいモノが観たい。
 芝居もショーも再演なんて、省エネ過ぎるやろ。

 直近作品を再演する場合は、役替わりやポジションUPを楽しみにするもんだ。
 ふつうは、トップと2~3番手が別箱に分かれるから、同じ作品でもスターの番手がいくつか繰り上がる。それが新鮮な画面になる。

 ……けど、『星逢一夜』ってことはちぎ・みゆ・だいもんは固定だし、別箱がれいひとバウと発表されてる以上、咲翔もそのままだからトップから4番手まで変化なし、95期以上の別格スターも全員中日だろうから、大がおりまなはるたちもそのまま……うわあ、芝居は調整入るとしても、ショーは本公演とほとんど変わらなくなるんじゃ……?
 芝居より、ショーが問題かも? 相当の名作でないと、東西2ヶ月強上演して、わずか何十日後にまた1ヶ月とか、すげーハードル高い。

 と、考えれば考えるほど盛り下がるんだが、どうしよう(笑)。

 『星逢一夜』はぶっちゃけ、ちぎ・みゆ・だいもんさえいれば成り立つ作品だ。(エマさんも重要なんだけど、組子でないので除外して考える)
 組をふたつに割って上演する場合、どうしても作品の安定度が低くなるもんだけど、『星逢一夜』は他の役の比重が格段に低いため、誰がどの役をやっても作品にあまり影響しない。てゆーか、大劇場でやる必要のない小さな芝居だったから、半分の人数で別箱で再演するのに向いているかもしれない。
 全国ツアーでなく中日劇場なのは幸いかな。エンタメ度が低くて純文学度が高いと、全ツには向かないもんなー。

  今さら? と、思ったけれど。
 ……好きな作品なのは確かだから、気持ちを切り替えて楽しみにできる、かなあ。
 ムラ版みたいにわくわく出来るといいな。

 てゆーかウエクミ、改稿してくんないかなあ。同じように主要3役固定のこだわり再演された中日版『王家に捧ぐ歌』は、本公演バージョンまんまだったんだよなあ。
 『ローマの休日』梅芸公演を観ました。
 初日に観劇するつもりでチケット取ってたんだけど、もろもろの事情(笑)で手放すことになり、別の日にひっそり観に行きました。
 あるときはジェンヌさんたちの観劇日にあたって膝先を麗しい方々が2往復していく様を見られたり、またあるときは青春時代の思い出を語り出すと止まらない母をエスコートしていったりと、タイトルの安定感と梅田という立地の良さ(家から近い)もあり、まったり楽しみました。

 なんつーか、とっても「まったり」だよなあ……。
 『ドン・ジュアン』で精神が上から下に右から左にとシェイクされまくる体験をしたことを思うと、なんともまったり……『THE SCARLET PIMPERNEL』上演時に、ロビーでこの前やってた『ソルフェリーノの夜明け』が流れていて、「同じカンパニーの演目とは思えない……」と愕然とした、あの感じを思い出しました。

 『ローマの休日』は中日劇場初日を観て以来。
 ……やっぱさあ、3都市巡業は長いわ……。巡業をすべて追いかけるコアファンにはそうでもないかもしんないけど、わたしみたいなゆるいファンには「1ヶ月半以上前に観た公演」というと、すごーく以前のことのように思える。
 大劇場では1ヶ月ごとに演目が変わるんだもの。ふたつ前にやっていた演目を「さあ、どうぞ」と出されても「え、まだやってるの?」と違う時の流れの中に放り込まれたみたいな違和感がある。
 別箱公演って短い、あっという間に終わってしまう、本公演くらい長くやってくれればいいのに、と思っていたけれど、うーん、別箱は短くていいのかもな。本公演並に2ヶ月興行だとモチベーションが下がる。
 てゆーか、2ヶ月興行で盛り上がり続ける本公演って、やっぱすごいんだなあ。

 中日で観たときはちぎみゆ尊い、ふたりがかわいくてかわいくて、それだけで胸がいっぱいで心があたたかくなって涙してた。
 でも、1ヶ月半も間を置いてから短期間でリピートすると、作品微妙じゃね? という意識が浮上してしまい、素直に楽しめない(笑)。
 ゼイタクになったもんだわ……『ローマの休日』ってタカラヅカの平均的紙芝居作品じゃん、それに不満持ってたらヅカヲタやってらんないわー。

 なんでこうつまんないのかなあ、とか、どうやったらもっと盛り上がるんだろう、とか、きゅんきゅんさせるにはナニがたりないんだろう、とか、分析しはじめちゃうと、物語に没入できない……。
 ちぎみゆはすっげーかわいいのになあ。

 やっぱりアン王女に視点を絞った方が、きゅんきゅん出来るかな。
 となると、男主人公でなくてはならないタカラヅカ的におかしくなる。女の子主人公でも、いっそ『伯爵令嬢』くらい突き抜けてくれたら退屈しないんだけど、『ローマの休日』はなんとも平坦でなあ……。
 ストーリーがシンプルな場合、演出を派手にする必要があるよなー。『ローマの休日』って画面がいつもすごく寂しいんだなあ。カメラでキャストをUPにしているならいいんだろうけど、舞台っていつも舞台全部が見えているから、がらーんという寂しさが常にある。
 映画をそのまんま舞台にしているだけ、ってことか。2次元のスクリーンを、3次元のステージに転化出来ていない。

 いっそイケコ演出で『ローマの休日』をやっていたらどうなっていただろう、とか、サイトーくんだったら、とか、植爺でなかったことを喜ぼう、とか、どうしようもないことを考えてみたり。

 次の中日公演が『星逢一夜』だとわかったあとだと、さらに「ちぎみゆで観たいものはなんだろう」と考えてみたり。や、公演ひとつが再演で消費され、「新しいちぎみゆ」を観られる機会が1回減ったってことだから。なんか飢餓感を持ってしまうのね。
 どうせ再演するなら『伯爵令嬢』の方が良かったなああ、だいもんさんにはディナーショーでもしててもらって。ともみんの役は咲ちゃんで、って。や、だいもん悪役はもうおなかいっぱいだから(笑)。

 ああ、そうかわたし、とびきりキュートなみゆちゃんが観たいんだ!

 みゆちゃんは大人の女も子持ちも出来るけれど、それはもっと大人になってからでもいい、今は若さを最大限に活かしたキュートな女の子の役を見たいなあ。
 アン王女もキュートなんだけど……みゆちゃんだからこそこんなにかわいいんだと思うけど……うーん。せめてデュエットダンスがもっとかわいかったらなあ……。

 とかいろいろ言いながらも、結局のところちぎみゆがかわいい『ローマの休日』を、楽しく観ている(笑)。
 『ローマの休日』役替わり感想。梅芸限定のBバージョン、アーヴィング@れいこ、マリオ@翔。

 本来のキャスティングは、アーヴィング@翔、マリオ@れいこ。
 もしもこの『ローマの休日』が3都市巡業公演でなければ、いやせめてラストが梅芸長期でなければ、役替わりはなかったろう。梅芸で集客するのはマジ難しいから。3都市回って役替わりがあるのが梅芸だけとか、わかりやすすぎるくらいなりふりかまわなくてちょうど良いくらいの劇場だから。
 正しいのはアーヴィング@翔、マリオ@れいこ。アーヴィング@れいこ、マリオ@翔は客寄せのための非正規キャスティング。
 わかってる。わかってるけど。

 マリオ@れいこが苦手過ぎたわたしには、アーヴィング@れいこ、マリオ@翔しかない。
 観る前から決まっているのだ。わたしはBバージョン推しであると。

 そんな人間の感想ですが、アーヴィング@れいこ、マリオ@翔は良かった。ええ。

 翔くんの汎用性の高さを実感した。
 彼、二枚目が出来るのはもちろんだけど、マリオみたいなイロモノキャラも問題なく出来る。
 や、むしろイロモノ得意だよね、うまく出来るって観る前から知ってた。知ってたけど、実際観てみて本当にハマっているなと感心した。

 わたしはマリオみたいな「笑わせるためだけに滑稽にしたキャラクタ」が苦手。『TOP HAT』の愛ちゃんの役とか。『ハウ・トゥー・サクシード』のバドとか。や、脇役としてちょろっと存在する分にはいいけど、2番手、3番手の役がソレだと作品自体の評価も落ちる。
 愛ちゃんにしろバド役だったちぎくんにしろ、苦手だった、笑えなかった。

 それでも翔くんには、苦手な役の持つ苦手部分をあまり感じない。
 何故なのかよくわからないんだが、翔くんはアリなんだ。ただの好みの問題だろうか。翔くんの持ち味が、イロモノキャラの毒を中和してくれるんだろうか。
 「嘘くささ」のファンタジー加減が好みなのかな?
 反対にれいこは、まったく受け付けなかったし。

 翔くんがマリオ得意で、ほんとに助かった。救われた。
 わたしは素直にBバージョンだけ観ていれば済む。これで翔くんのマリオも無理だった場合、『ローマの休日』は今より楽しめなかったろう。
 翔くんのアーヴィングも好きだったから、そこは残念なんだけど。

 アーヴィングもマリオも出来る、翔くんすげえなと。
 あー、『あかねさす紫の花』の役替わりを思い出す。タカネくんは中大兄皇子も天比古もどっちも出来るけど、トドには中大兄皇子しか出来ない。天比古は繊細な演技力が必要だから、大味なトドには無理。……そう思ったもんだった。
 トド中大兄皇子はBバージョンだから、TCAビデオには残ってない……つまり、スカステで放送されることはない。(NHK収録がBバージョンなので、映像自体は存在する)
 『ローマの休日』はどうなのかしら……Bバージョンも映像はあるのかなあ?

 『エリザベート』役替わりの潔いずんちゃん推しを鑑みても、正規バージョン以外は映像に残らない可能性が高い。
 のでわたしは、梅芸ではBバージョンをリピートした。

 マリオ役を語る資質を持ち合わせないので、わたしの意識はアーヴィング役にのみ向いている。

 ふたりのアーヴィング、翔くんとれいこちゃん。

 どっちもいいな!

 同じ役で同じヒゲ男、台詞も演出も同じ。なのに、演じる人が違うとキャラが微妙に違う。
 そして、どっちにしろジョー@ちぎくんとの関係性に萌える。


 てなわけで、アーヴィング×ジョー語りは翌日欄で! あ、ジョーは右側です。翔アーヴィングはジョーと同い年くらい、れいこアーヴィングは4つくらい下イメージ。←年齢設定重要(笑)
 『ローマの休日』、最初にAバージョンを観て、次にBバージョンを観た。

 主人公ジョー@ちぎくんの友人のカメラマン、アーヴィング役を、翔くんとかなとくんで役替わり。

 先に翔くんを見ているから、ごく自然に思っていた。
 ジョーとアーヴィングは友だち。

 トップスターと下級生が自然に「友人」に見える……てのはけっこう難易度高い。
 今のタカラヅカでは役職付きを除いて、トップスターが組の最高齢、路線スターも別格も若年層ばかりうじゃうじゃ、てのが当たり前。
 トップスターになれる学年は上がっているし、トップが見えている人でない限り早々に辞めていくので、「トップと同年代に見えるスター」が減っている。

 ちぎくんは87期。研16という大人ぶりだ。
 研16より上の生徒って、全組見渡しても組長・副組長を除くと数名しかいない。それくらい、ダントツで大人だ。(組長・副組長は学年関係ないのと、路線役はしないので除外して語っている)
 そんな、ずば抜けて大人な人と、若者が「同世代・対等」に見せなくてはならない難しさ。実年齢の若さって、どうしても出てしまうものだし。

 でも翔くんは、ふつーに「友人」に見えた。
 翔くんは92期、研11。
 5学年差。
 ふつーなら「親子」でもおかしくない。(5期差であきら・カレー、がおり・れいこはふつーに親子役をやっていた)

 翔くんは『星逢一夜』でちぎくんの親友役をやっていた、その経験も活きているんだろう。
 同世代を演じられる下級生がいる、というのはトップスターにも、そして観客にもありがたいことだ……だって、作品のバリエーションが広がるってことだもん。

 ジョーとアーヴィングは、気の置けない友人同士に見えた。
 てゆーか、アーヴィングがジョーを好きなのがわかって、微笑ましかった。
 だって、ジョーが身勝手にアーヴィングを振り回して、アーヴィングは文句言いつつもそれを受け入れてるんだもん。
 対等だからこそあり得る、「しょうがねえな」感がイイ。

 うっわ、アーヴィング、ジョーのこと大好きじゃん。カノジョ@あんりちゃんより、ジョーを優先するんじゃん。
 ラブラブ~~(笑)。

 だから最後、なんだかんだ言ってアーヴィングがジョーに折れるのは、わかってた。うん、そうだよね、惚れた弱みだよね。
 今までもジョーに振り回されてきた。それを受け入れてきた。そんなアーヴィングだったら、わかってた。今回の件も、ジョーに従うって。受け入れるって。

 このふたりはこれからもきっと、今のまんまの呼吸で、一緒にいるんだろう。
 アーヴィングはジョーに乞われれば、恋人との約束をすっぽかして駆けつけるんだろう。
 ジョーに恋人が出来ても、アーヴィングが今のカノジョと別れてもまた別のカノジョが出来ても。隣に立つ女性は変わっても、男ふたりが並んで歩くのは変わらないんだろう。

 そう思えるのが、たまらん。萌え。


 そういう翔くんアーヴィングを観たあとだったから。

 かなとくんのアーヴィングを観た最初は、ちょっと違和感があった。
 えーと。
 対等の友人じゃ、ない?

 ヒゲはありがたいね、見た目年齢を上げてくれるので、外見的に「大人と子ども」にはなってない。や、もともとちぎくん若々しいし、れいこは大人っぽいし。
 れいこは95期、研8。ちぎくんとの学年差すごい。ヒゲがなかったらさすがに、同年代には見えないだろう。ヒゲがあってなお、年下だとわかるし。
 それでも、体格もいいからそれほど違和感はない、外見には。
 だから、見た目というよりは、精神的なもの。
 ジョーとアーヴィングに、距離があるように思った。

 えー、なんで? わたしはちぎくんとれいこがラブラブしているところが見たかったのよ。翔くんバージョン見て「コレをれいこで見られる!」ってワクテカしたのに、なんだよー、なんでいちゃいちゃしてないんだよー。

 れいこ氏は狭量なんすか? や、れいこがではなくアーヴィングが、なんだけど、ジョーが無茶なことをするとマジに「カチン」と来ているように見える。
 「やれやれ」ではなく「ふざけんな」って感じ。
 好きで振り回されているのではなく、嫌々に見える。
 ……まあ、ジョーはかなり迷惑なヤツなんで、ムカついても不思議はないし、そんなあからさまに不快さを出しているわけじゃない。てゆーかれいここそがふつう? 友人でも迷惑かけられたら「ちっ」てなるよね。
 それでも、翔くんアーヴィングが甘々だったため、「ちっ」という感じで演じられると違和感を持つ。え、れいこアーヴィングは翔アーヴィングほど、ジョーのこと好きじゃない? と。

 期待したようなラブラブじゃない……この人たち親友ちゃうやん……ただの仕事仲間やん……。
 と、肩を落としました。

 ついでにれいこアーヴィング、ちゃんと計算高く見えるね。ジョーへの好意が先立たないから、打算でうまい話に乗る感じが強く見える。

 れいこがふつう、翔くんはジョーのこと好き過ぎ……、と、れいこスキーなわたしは、期待通りにいかないれいこを内心擁護しつつ見ておりました。

 ただの仕事仲間、打算でつながった関係で、どうやって最後、スクープをあきらめるところに持って行くんだろう、れいこはこのままの温度感でただ身を引くのかと思っていたら。

 なんと。
 最後にキました、どんでん返し!

 アーヴィング、ジョーにオチる。

 ただのスクープ屋、自分と同じハイエナだと思っていたジョーが、愛ゆえにスクープをあきらめた! ……という様を目の当たりにして……アーヴィングが、はじめて、「ジョー」自身を見た……ジョーに対して、心が揺れた。
 れいこのあのでっかい瞳が動揺と衝撃を映す。葛藤する。

 そ、そうか……。
 翔くんは最初からジョーLOVEだった。かなとくんは、この事件をもって、ジョーLOVEになるんだ……。そうか……。

 ジョーはアン王女@みゆちゃんのハートを奪っただけでなく、アーヴィングのハートをも奪ったんだねえ……。
 わー……。


 いやはや、いいもん見ました。
 翔くんバージョンだと、大人の男の片恋物語ね。「一生告げるつもりはない。オレには愛するひとがいる……」てな。安定した関係のなかで起こる細波、心の複雑さをじっくり描く楽しみ。
 かなとくんバージョンだと、恋のはじまり、スタート地点ね。「俺はあの日、恋に落ちた」で、これから物語は続く、ふたりの関係性は変わっていく。出来事を波瀾万丈に描く楽しみ。

 いいですなー(笑)。
 宙組新人公演『エリザベート』観劇。

 なにをさておいてもわたしは、ルキーニ@和希そらが観たかった。

 それだけだった。
 『エリザ』新公は本気でチケットなくて手に入らなくて、かなり大変だったんだけど、「かずきそらのルキーニ」と思ったら、がんばれた。
 なにがなんでも観るんだ、と。


 そんでもって。

 和希そら、かっこよくないですか?

 わたしの目の錯覚ですか?
 わたしの心の錯覚ですか?

 和希そらがかっこいいです。
 ハンサムです。
 び……美形に見えます……お、おかしいでしょうか……?

 どきどきどきどき。

 うまいことは、わかりきってたし。出来ることも、わかりきってたし。
 だから、「思った通りうまいわ」「思った通りいい出来だわ」と思うだけで、新しい発見も感動もないの。安心して眺めて聴いてるの。
 それだけなの。

 なのに何故だ、わくわくする、どきどきする。

 和希そらがかっこよく見える……っ。

 ルキーニ効果なのかしら?
 ルキーニやると大抵男ぶりが上がって見えるよね? だから本公演では超トップ路線のスターにしかやらせないし。


 実を言うとわたし、前回の花組『エリザベート』から、「ルキーニって存外つまんない役だな」と思うようになっていて、役自体には気持ちが動かないのね。
 だからこれは、演じる役者への飢餓感度合いで変化する感覚なのだと思う。
 ルキーニの持つ「おいしさ」は、観ているわたしが、演じている人に対し「こんなにいい役をやってる! こんなに出番がある!」ことに感嘆の思いがないと、いまいち盛り上がらないもんなんだなあ、と。

 ルキーニ自身は愛に苦悩したり、人生に悩んだり、しないものね。最初から最後まで同じところにいて、変化も成長もない。
 ルキーニの変化って、ラストのシシィ暗殺場面だけだもんなあ。それ以外は時間経過すら彼にはない、物語を俯瞰しているだけの傍観者。
 カタルシスは、変化にある。同じリズムを刻むだけでは、華々しい主旋律に意識を持って行かれてしまう。

 だからわたしは、カズキソラに飢餓感を持っているのだと思った。メロディを放っておいて、ベースラインに注目しているもの。
 もっとそらくんを見たい。
 舞台上にいる彼を、声を出し、歌っている彼を見たい。
 「ルキーニ」という役は、それを満たしてくれる役だ。

 出番がある、台詞がある、歌がある。
 それだけでうれしい。ありがたい。

 カズキソラの変わり続ける表情を観ているだけで楽しい。
 シニカルな笑い、不意に冷徹になる面、内側から圧力を破裂させる、笑い。

 ……カズキソラの本役にちょっと不満があることもあり、余計にルキーニ役に食いついちゃうんだわ……。

 そしてわたし、かずきそらくんのビジュアルに夢を持っていない。どっちかっつーと、ビジュアルは難アリだと思っている。彼が美形だったら、いくら小柄でももっと路線スターとして扱われていたと思う、他組の小柄美形さんたちの扱いから鑑みて。
 これだけ実力があっても路線として弱いと判断されるのは、ひとえにビジュアルが原因なんだろうなと。
 そう思っていてなお。

 そらくんが、かっこいい。

 と、瞠目してしまう。
 今までの自分の認識に、揺らぎを感じる。
 ビジュ難だと思っていたのはわたしだけで、実はかずきそら、美形なんじゃ……?

 どきどきどきどき。

 ルキーニは出番が多くてオイシイ役。
 いやいやいや、ぜんぜん足りないよ、あっちゅー間に終わっちゃうじゃん、まだ足りてない、わたしにもっとかずきそらを見せろ~~!

 そう思いました。

 観る前からわかっていた、「思った通りうまいわ」「思った通りいい出来だわ」と思うだけで、新しい発見も感動もないの。安心して眺めて聴いてるの。
 ……ん? 観る前からわかってた?
 かっこいい、美形だ、てのは、新しい発見? 感動? え、そうなの?
 いやそのもっと、「彼のこの芝居はどーたら」とか語れることが発見とか感動とかかと……語る言葉がないのでなにもないのかと……。
 たんなるわたしの語彙力の問題?

 かずきそらは、新しい発見と感動に満ちている?
 宙組新人公演『エリザベート』観劇。

 一部のキャストは、本役よりも歌唱力が上だと言われていた、期待もレベルも高い新人公演。
 わたしのお目当ては歌ウマルキーニで、それ以外はわりとフラットに眺めていたと思う。
 途中までは。

 背もたれに身体を預けて、椅子に沈み込んで、悠々と観劇。そんなイメージ。ルキーニにだけがっついていたけど(笑)、それでも全体イメージとしては、悠々まったり。
 ご贔屓がいるわけでもない、ぬるいヅカヲタだからねー。

 それが。
 あるときから、ぐぅわばっ、と前のめりになった。
 や、イメージの話なんで、実際に前のめったわけじゃない。
 気持ちが前のめりになった。
 え、今のナニ、わたしはナニを見たんだ? と。

 エリザベート@まどかちゃん。

 本役の少年ルドルフはものすげー美少年ぶりだが、シシィとして登場した新公では、「納得の美少女」というわけでもなかった。
 丸い……幼い……。
 少女というより、子役でしょう、そのむちむちほっぺは。

 歌えるし、芝居も出来るし、別に問題ないのだけど。
 もう少し、きれいだといいなあ。やせてくんないかなあ。漠然とそんな風に思って見ていた。
 まどかちゃんがロリータ風なのはわかっていたけど、シシィとして幼すぎるなあ。ゾフィ@瀬戸花さんにいじめられているところとかも、まるきし子どもでなあ……。
 持ち味は仕方ないか……。スタイルいいから、年齢が上がって痩せてくれば、きっともっときれいに……とか、思わず今ではなく未来に期待をかけようか、てな気持ちだった。

 それが。
 大きく、変化した。

 絶望したシシィがナイフを手にし……だけど、自殺はせずに高らかに自我を歌う……エリザベート役の見せ場、「私だけに」のソロ場面にて。

 歌い出したまどかちゃんの、顔が変わった。

 幼かった。子どもだった。どーすんだこれ、と思った。
 そのまるぷく少女が、どんどん変化した。

 大人に。

 「私」を歌うシシィが変わる。
 子どもから、大人へ。
 わけもわからず駄々をこねるだけだった子どもから、自我を持った大人の女性へと変化していく。

 「嫌よ」「私が選ぶ」「この私」……確固たる、意志。
 「私」とはなに。
 意識しなかった、形のなかったものが、今、名前を付けられて、輪郭を得る。

 私は、エリザベート。

 まどかちゃんのハイライトは、鏡の間じゃない。
 刃物を手に歌う、天空だ。

 刃のような自我。
 意志。
 存在。

 あやふやな存在が、少女が、一個の女性となった。

 ぞわぞわと、産毛が逆立つような感覚。
 変化、というカタルシス。

 それを、見事に見せてくれた。

 え、なにこれすごい。
 面白い。
 星風まどか。この子やっぱり、面白い。

 それ故に、思った。
 新公『エリザベート』、つまんない!

 シシィが「エリザベート」になった。目覚めた。
 ナイフを鞘へ戻し、倒れた。
 それで?
 そのあと彼女はどうなったの?
 彼女は変わった、もう子どもじゃない、彼女はこれからどう生きるの……?
 好奇心がむらむらわき上がるのに、「その後」が描かれない。
 彼女の葛藤、戦いがない。
 自分の武器である美貌に目覚め、それを使うことを知り、ハンガリーで武器を抜き、戦勝を得る。
 ここまでが一区切りでしょう? 「エリザベート」の物語としては。

 なのに、それがないのよ!!
 つまんない!
 わたしにこの女性を、タイトルロールである主人公「エリザベート」の物語を見せてよ!!

 そう思った。
 歯がみした。

 新人公演って、場面ツギハギだから、つまんないなあ。そりゃいつもそう思うけれど、「エリザベートの物語」としてそう思ったのは、はじめてだ。

 そのあとのまどかちゃんは、ロリータ少女ではなく、大人の女性だった。
 暗さというか、濁ったものを抱えた女性。
 彼女は声がいいから、それでいろいろ表現出来るのね。
 美貌という点ではまだまだ磨く必要があるのだろうけど、「ヒロイン」を演じたときの彼女の破裂力はすごいなと。
 真ん中から四方八方へぱーんとはじけるのね。飛び散るのね。打ち上げ花火みたいに。

 これからも楽しみにしてる。
 ……もう少し、痩せてくれることも含めて。
 宙組新人公演『エリザベート』
 1本モノを1幕に無理にまとめたわけだから、あちこち省略されている。新公担当は、野口先生。

 場面チョイスと演出に、目新しさはなかった。
 過去に観た新人公演と同じ。

 これの前に観た花組『エリザ』新公では、トート@カレーくんが歌う「愛と死の輪舞」のあとが存在しないことに、「うきー!」となったなあ。
 なんで「最終答弁」がないのよ、トートとフランツの直接対決を見せろ~~!

 花組新人公演『エリザベート』は、トートとエリザベートの「恋愛ドラマ」だった。強気な女の子と、彼女を愛して振り回される男の意地の張り合い……あれ、変だなコレ、昼間隣の劇場で似た物語を観たぞ……『伯爵令嬢』と同じテイストを感じる……と、軽く混乱した思い出。あ、観たのはムラではなく東宝ね。

 それが、今回の宙組『エリザ』新公では、エリザベート@まどかちゃんの「私だけに」のあとが存在しないことに、「うきー!」となった。
 なんで「夫婦の絆」と「ハンガリー訪問」がないのよ、エリザベートの戦いを見せろ~~!

 宙組新人公演『エリザベート』は、エリザベートの物語だった。幼い世間知らずな女の子が、自我に目覚め、人生と闘っていく物語。トート@もえことフランツ@るいまきせに、大きな差は感じなかった。シシィにとって、どちらも同じくらいの障害だったんじゃないかな、彼女の「私だけに」を貫くための。

 あちこち割愛されているからこそ感じる「何故この場面がないんだ!」……それをどこで強く感じるかで、わたしがこの物語を、……「新人公演『エリザベート』」をどう受け取ったかが、よくわかる。

 えー、今回は「病院訪問」も観たかったなあ。あそこはシシィの見せ場だからなあ。
 要するにわたし、「エリザベート」の場面をもっと観たかったのよ。トートでもフランツでも、ルキーニでもなく。
 2幕って改めて観ると結構、視点はエリザベートから離れてるのね。ルドルフ陥落場面もいいけど、病院訪問がなくなっちゃうと、旅に出たあとのエリザベートがなにしてるかまったく描かれてないまま、ルドルフを突き放すことなっちゃうよ。
 もっと「エリザベート」に視点を置いた作りで観てみたいなあ。……でもそれじゃ、タカラヅカじゃないしな。タカラヅカの主役は男役。うーむ、悩ましい。


 それにしても、改めて、思ったわ。
 割愛上演される、新人公演について。

 今後も『エリザベート』は上演されるだろうし、新人公演では同じ場面が割愛されての上演となるだろう。
 それでわたしが、どの場面がないことに憤慨するか。それが楽しみになった。
 演じる人によって、こんだけ感じ方が違ってくるんだもの。

 それに気づくことが出来たのは、ありがたい。
 短いスパンで再演してくれたゆえに、だわ。
 ねえねえ、雪組と花組、日程詰まりすぎてやしませんか?
 雪が7/30までで、花が8/11からって、10日ほどかよ。そんなに詰まっていたら、感想UPする欄がないじゃん!(そこか)

 てことで、『Bow Singing Workshop~花~』の感想行きます。まだ雪組書いてないけど、「最初の1回だけは日付遵守」というMyルールゆえに、観劇日の欄にUPしときます。

 や、毎回だらだら書きすぎだ、今回は短くいく。

 とりあえず、花組、ずるいです。

 組3番手が出演しているなんて、花組だけです。雪組なんかバウ主演者すらいなかったのよ? 会のある生徒自体ほとんどいなくて、ふつーなら会の人たちが箱持って横並びしている階段がしーんとしていて、びびるくらいだったんだから!
 カレーくんだけでも大概なのに、スターとしての知名度も人気もあるマイティーに、組ファン以外にも歌ウマとして有名な和海くんとびっくまで擁して、注目株の若手スターぼろぼろ連れてきて、そんでたった5回の公演とか、ふざけてるわ。そんなの、チケット取れるわけないやん!

 複数回観たかったけど、1回観るだけで精一杯でした。チケット手に入らん……。

 や、そのカレーくんが声を潰していてえらいことになっている、というのは聞き及んでいたのですが。
 カレーくんの場合、純粋な歌声に期待して観に来る人はほとんどいないだろうし(すまん)、歌声自慢な人が息みたいな音しか出せずにソロ歌に全部コーラスかぶせられる事態になるより、被害は圧倒的に少なかったと思う。
 実際わたしも聴いてみて「こりゃ大変なことになってるなあ」とは思ったけれど、声のものすごさよりも、そんな声でもかまわずキラキラしてるカレーくんに感動した。

 彼が純粋に「美しい声で完璧な音程でメロディを再現する」という職業の人なら料金取っちゃまずいことになっていたかもしんないけど。
 彼は、「タカラヅカスタァ」だ。
 美しい声も完璧な音程も、あるに越したことはないが、それだけあったって、客は評価しないのだ。
 タカラヅカスタァには、タカラヅカスタァの仕事がある。

 カレーくんは、タカラヅカスタァとしての仕事を完遂した。

 1幕最後はもちろんカレーくんが締める。喉を潰していたって、彼が熱唱して緞帳が下りる。「スター!!」という演出だ。ソロコンサートをするトップスターのみに許される演出だ。
 曲は「ジタン・デ・ジタン」……ザ・タカラヅカでド昭和な曲だ! 必要なのはタカラヅカ力とスター力!

 柚香光は、スターだ!!

 気持ちよかった。
 ほんっとに気持ちよかった。
 コーラスものすごかったけど(笑)、それは「スター!!」を盛り上げる組子たちのパワーってもん、カレーくんがめっちゃスターで、その勢いを肌で感じられて、かえって楽しかった。

 はー、おもしろい。
 生の舞台っておもしろい。


 えーっと、あとは駆け足に、当日書いたメモを元に。

 オープニングの全員ソングは「Jupiter」……なつかしいねえ。
 歌いだしの和海くん、堂々たる美声。びっく、えみちゃん、ひらめちゃん、「腕に覚えアリ」な男ふたりと女ふたりが強くてこわい(笑)。

 MC開けの1曲目がつかさくんの「ル・ポァゾン 愛の媚薬」、いきなりノリノリ、そだな、1曲目はそうあるべきだ。場に負けてなくてありがたい。

 続く泉くん……知らない子だ、100期、研3かー。何故『シークレット・ハンター』? 好きなのかな。トウコファンとしては「Eres mi amor -大切な人-」を聴けるのはうれしい限り。
 かみしめるように歌っているのが印象的。
 ああ、この子好きだな。そう思う。言葉の意味とドラマを理解している。

 「Home」を歌う咲乃深音ちゃん……101期研2ですか、うまい。かわいくてヒロイン力あり、安心。
 しかし「さきのみおん」ってきれいな芸名だな。「深音」って文字と音が好き。

 出演者最下にカウントされているかずまくん……あれ? 深音ちゃんと同期だよね? 入団時トップ3のひとりで、組配属時は首席だった記憶なんだが……成績落ちてるのか。
 初舞台生口上で「イイ声」と思って以来、なんとなく注目していたんだが……。
 はじめてまともに歌を聴いた。……思ったほどいい声じゃない。
 つっても、学年のわりにうまいし、声も出ている。男役は難しいからなー。娘役ほど早く仕上がらないし。
 まだ足りてない、だからこそ伸びしろに期待。

 「花吹雪 恋吹雪」いい選曲だ、とわくん。「別格歌ウマさん」の典型的ビジュアル、いい声だー。うまいー。
 ただ、曲の持つ派手さに負けてる。歌いやすくノリやすい曲だと思うからこそ、外連味っちゅーか、スター力を必要とする。たぶん経験値の問題だな。これから歌う機会が増えれば改善されるのではないかと思う。
 今の時点では、まだ声が軽い。

 あれんくんと萌香ちゃんは英語曲。下級生は持ち歌のうち1曲はデュエットだもんな。
 うまい。けどわたしはこれ求めてないなー。

 『愛と革命の詩』主題歌を歌うあかちゃん、うまいなー。素直に歌って、とてもいい曲に思える。らんとむの声にはえぐみがあったんだな。それで慣れていると、きれいなだけだとちょっと物足りないかも。
 しかし、このビジュアルでこんだけ歌えるっていいな。わくわく。

 糸月さん「Memory」。先に観劇した友人から酷評というか、引っかかった的な感想を聞いていたけれど、わたしの耳ではそれほどわからず。
 ただ、好みではなかった。ごめん。棒読みというか、芝居音痴の人が歌う歌みたい。

 『オペラ座の怪人』を歌うびっくは余裕。ひとり上のランクにチャレンジしてるみたい。

 ソロ曲の合間に入る数人口、マイティーのりのり。うんうん、オープニング以来出番なかったから、パワー持てあましてる感じだねー(笑)。

 えみちゃんうまい。得意分野理解してのたたずまい。
 ただ、英語曲なのはわたし的につまんない。

 男役としてすごいのは和海くん。声がちがう。『THE SCARLET PIMPERNEL』から、「君はどこに」。
 こういう人に、こういう歌を歌わせてあげたい……路線じゃないから無理なんだろうけど。惜しいよなあ。

 『ジキル&ハイド』、ひらめちゃんうまい。でもなんかわたし、集中力切れてきているような。乗り切れないのはわたしの問題?

 1幕ももう終盤、待ってましたのマイティー登場、「君はマグノリアの花の如く」。
 マイティー、大暴れ。
 つか何故登場で拍手起こる(笑)。や、発表会ノリでみんな静かに視聴していたのに、マイティー登場するなり「タカラヅカ」な感じになって、客席の雰囲気変わった。
 バトラーなりきりがすごい……愛しい。


 続きは8月15日欄で。
 そしてやってきました、宙組『エリザベート』お楽しみのAバージョン、あっきールドルフ!
 や、単に「ルドルフ」にいちばん合うのはあっきーでしょ? ロイヤルな持ち味というか、美形で大人で品があって、ルドルフかフランツが似合う人だよね。
 だからいちばん楽しみにしてた。

 役替わりは、エルマー@りく、シュテファン@ずん。

 わたしの周囲限定かもしれんが、このバージョンがいちばん人気というか、チケ難度合いが強かった印象。ずん・りく・あきだと、いちばん人気あるのがあっきー、というイメージ。ずんちゃん押され出したの最近だし、露出が上がれば人気も出るので今後はわかんないけど、『エリザベート』前売り段階では。

 さて、その「最後のお楽しみ」的なバージョンにて。

 まさかの萌えの嵐がやってきた!

 萌えた。
 めちゃくちゃ萌えた。
 自分でもまったく予想しないところに。

 シュテファン×エルマー。

 カップリング来ました、萌え神様降臨しましたっ。思わず公演二次を書いてしまうくらい萌えた(笑)。

 いやはや。
 りくくん、やばいわ。

 どの役をやってももれなくバカに見える素敵芸風。でも、そのバカっぷりにバリエーションがあって、バカスキーのわたしからすれば「なにやってもオイシイ」という奇跡の人。
 そして、エルマーのバカさ加減は好みど真ん中。よくぞこんなバカを演じてくれました……っ。

 って、こんだけバカバカ書いてると、怒られそうだが。わたしの語彙力の問題で、きっと他に彼の魅力を表現する言葉はあるのだと思う。
 ただわたしは手っ取り早くこの単語を使う。

 りくエルマーは、バカだった。

 それも、最悪なタイプのバカ。
 なにかあるとすぐ暴力に訴える系。そんなことをしてどうなるのかなんになるのかは考えない、ただ、なにかあれば即暴力。
 たぶん、すぐに武力蜂起を訴えてるんだと思う。オーストリアむかつく→暴動起こしてやる、エリザベートむかつく→暗殺してやる、など、とても短絡。

 すぐに爆発するタイプは、ある意味組織のリーダーに向いている。より過激な言動をする者は、注目を集めやすいからね。組織の成功や存続度合いとはまた別。とりあえず過激!ってのは、時代の華。

 りくくんエルマーのバカっぷり、許容量極少ゆえにすぐいっぱいになって爆発する感じがたまらん。
 いつも苛立って、満ち足りてなくて、怒っていて。
 ひとりで怒るだけでなく、他人を巻き込んで不幸にする、それを当たり前と思っている傲慢さと真の愚かさがたまらん。

 エルマーから発散される「不幸の香り」が素晴らしすぎる。

 時代もエリザベートも関係ないわ、きっとこの男はいつの時代どこの世界に生まれたってきっと、不幸だわ。他者に対して怒り続け、不満だけを抱き続け、やすらぐことなく地団駄を踏み続けるんだわ。
 萌える。

 そんな欠落した男、愚かで哀れで、愛しすぎる。

 だってエルマーさん、美形じゃないですか。
 まずその容姿だけで人生勝ったようなもん。
 しかも家柄もいいとかいうし。
 いくらでも、楽に生きられるはずなのよ。たぶん、怒るのをやめるだけで、幸福になれるのよ。
 なのに、それが出来ない。

 魂の欠落を、熱く滾る激しさを、制御出来ないまま喘いでいる。
 そのさまがなんとも切なく、愛おしい。

 いやあ、このテのバカは大好物です。ほんっと萌えます。滾ります。
 私怨と義憤を混同していて、自己正当化に余念ない、実は小心っぽいところも萌えます。
 ちょっと卑屈に見える感じが、正当化し切れてない不器用さというか、ほんとのとこ自分でも気づいてるんだよね、気づきたくないからそこまで頑なに怒りに転嫁しているんだよね? と思わせてくれて、滾ります。
 絶妙バランス!

 このテのバカは大抵自滅する。天才でもない限り、「気に入らない→暴れる」なんて論理で生きて、文明社会で通用するはずがない。一時華々しくても、すぐに瓦解する。
 だから、エルマーの組織が長続きしたのは、優秀な副官がいたためだ。

 シュテファン@ずんちゃんは、まさしく切れ者副官!
 バカなリーダーの手綱を取り、自滅しないように支える。

 なにコレ素晴らしい。
 アニメみたいなキャラ配置。
 戦隊モノのレッドの横にはブルー必須。

 エルマーを演じたときもそうだったけど、ずんちゃんには知性がある。彼の持ち味なんだね。
 リーダーだと賢く頼り甲斐がある。そして副官だと賢さにクールさが加わるんだ!

 熱血バカリーダーとクール知性派副官!
 やだ大好物!

 賢いシュテファンには、エルマーのやばさがわかっている。わかっていてなお、彼を自由に暴走させ、後ろから支えている。

 ここに、聡い大人の男、ツェップス@りんきらが加わるのよ? ツェップスはエルマーのバカさに危惧を抱きつつも、シュテファンとの関係性も含めて許容している感じ。
 いっそシュテファンがリーダーの方が、革命成功しそうじゃね? そう思いつつも、口に出さない。

 そしてシュテファンは、ツェップスがそう考えていることもわかっていて、あえて解説はしない。

 このバランス。神か。

 いやあ、めっちゃ萌えました。
 りくくんへの愛しさが渦巻き、ずんちゃんへのときめきが止まりません(笑)。

 そっかー、りくくん右かぁ。でもってずんちゃん左かぁ。今まで考えたことなかったしなあ。って、中の人の話ではなく、あくまでも役の話です。
 頭の中を、シュテファン×エルマーと、とりあえずオブザーバー決め込んでいるツェップス、そして、三角関係? 誘惑者? 謎の意図で絡んでくるもうひとりの同志……トートを交えた物語がだだだーっと出来上がりました。あ、シュテはもちろんエルマーに手ぇ出してます、not プラトニック。
 破滅に向かって歩く彼らの愛憎の軌跡。
 でもってジュラはもちろん、なーんにも気づいてません。テーブルの下でシュテとエルマーがこっそりエロいスキンシップしてても、ジュラはまったく気づかずごはん食べてる。気の毒なツェップスは見て見ぬふり。ある意味ジュラ最強(笑)。

 そんなこんな。
 はー、萌えをありがとう『エリザベート』。
 宙組『エリザベート』Aバージョン観劇。

 腐った萌えの話はともかく(笑)、3人目のルドルフについて。

 正統派のずんちゃん、バカのりく、ときて、あっきーは。

 ……ヘタレ?

 なんか最初から眉毛八の字で。
 とにかく悲観的。

 見た目はいちばん大人。年齢設定が高く見えるだけに、人生に対して腰が引けまくっているのが違和感。
 うーむ、このルドルフさんはどんだけ挫折だらけの人生を送ってきたんだろう。自分に自信が持てず、精神的引きこもり状態っぽい。

 大人だからかもしれないな。
 年食ってる分、現実が見えているのかもしれない。
 最初から「うまくいくわけがない」とあきらめてる感じ。
 そんな人が老いらくの恋……というか、ハンガリー国王だとか大好きなママに認められるだとか、見てはならない夢を見て、一気に弾け切っちゃった感じ?

 ルドルフがヘタレてるせいか、フランツ@マカゼがいちばんドSに見えた。他のルドルフのときはそんな風に感じなかったんだけど、三十路男がこれだけおびえるからには、父親に原因があるんだろうなと。

 もう少し凜々しい部分もあってほしかったかなあ。あまりにダメダメ度が高いわ、ルドルフ様。
 自分に自信がないためだろう、やたら勢いのあるりくエルマーみたいなバカ男にのせられちゃって……。

 や、そういうところは萌えます(笑)。わたしはヘタレスキー。
 ルドルフ像のひとつとして、こういうのもアリだと思うし。つか、なんでもアリだと思う。

 ただ、あっきースキーとしては、勝手に彼の今後を心配した。
 ルドルフ役はロイヤルな持ち味のあるあっきーが得意とするタイプの役、だと思っていた。得意分野なんだから、ここはこう、がつんと実力を見せつけて、劇団に「あっきーをふるい落とすのはもったいないぞ」と思わせてほしい。
 だから、劇団が好みそうな、正統派の美形皇太子路線で攻めてみるとか? この男を真ん中に立たせてみたい、と思わせるような。
 ……なんてことを、漠然と思ってたんだなあ。

 いろんな役作りがあるだろうし、正解が決まっているわけでもない。
 でも、タカラヅカ的に盛り上がるルドルフ像って、「ボタンが掛け違いさえしなければ、よい為政者になったろう能力と意欲と誠実さを持った皇太子」だと思う。悲劇の予感は最初からあるにしろ、悲しい最期を迎えることに、「どうして?」「可哀想」とやるせなさを感じるような。
 少なくとも、「ダメダメニートが自業自得で破滅した」というのは、タカラヅカ的ど真ん中なルドルフ像じゃないと思う……。
 母の愛に飢えて厳格な父に怯えて育った精神的引きこもり青年が甘言にのせられ事件を起こし、親にかばってもらえなかったことに絶望して自殺する、てのは、リアルかもしんないけど、女性ファン向けではないような……。や、わたしはダメンズスキーなのでそのへん好物だけど、今あっきーが示すべきルドルフ像はソレではないような……。

 3人のルドルフを見て、いちばん「トップ路線」に相応しいキャラを演じたのは、ずんちゃんだと思った。

 わたしの好み云々ではなく、「タカラヅカ」のトップスター資質という面で見て。

 あっきーが劇団推しの路線スターだったら、あえてヘタレを演じてみせるのはアリだと思う。でも、今の立ち位置でこのルドルフ像だと「やっぱ脇キャラだな」と判断されそうで。
 勝手に気を揉みました。きりきりと。

 もっとロイヤルに気高くくるかと思ったんだニャ……。
 大人の男の破滅、的な。


 あっきー、シュテファン役をやったときも、薄かったんだよなあ。
 3人組ではなく、エルマーと仲間たちになっていた。
 押しが弱いのは、路線育ちじゃないためか……。
 うおお、もったいない……。

 勝手にいろいろ考えてじりじりしたけれど、それはそれとして、ヘタレ美形はおいしくいただきました。
 うまうま。
 『Bow Singing Workshop~花~』のだらだら感想の続きっす。


 2幕頭は『EXCITER!!』。花組といえばコレ! という曲。
 泉くんがキザりまくってるの見て微笑ましかった(笑)。花男だなあ。

 あれんくんは2幕でようやくソロ。うまいけど……1幕目と両方英語の歌なのが残念。得意なことしかしたくないのか……その歌をどんだけうまく歌えても、タカラヅカでの力にはならないよぉ。
 きれいで歌える人なんだから、ここは「タカラヅカ!!」力を示して欲しかったな。

 とわくん、2曲目は外部曲。うんうん、1曲がコテコテのヅカソングで、もう1曲が実力勝負の外部曲、てのはバランスいい選曲だよねー、こういう選曲は好き。
 茶目っ気たっぷり、こっちの歌の方があってる。……ヅカソングはほんと、歌唱力だけでは歌えないんだよなあ。

 1幕で英語曲だった萌香ちゃん、今度はちゃんと日本語の歌、好感度アップ。『皇帝と魔女』って作品知らないけれど、歌は耳おぼえある。いかにもなヅカな曲調と歌詞(笑)。

 かずまくんとみおんちゃん、『ハードボイルド エッグ』の歌。
 ふたりともかわいいー。かずまくん、デュエットの方がいい声だな。
 『ハードボイルド エッグ』は観てません……震災で公演中止になったから、物理的に観られなかったのなー。その後、テレビ放送を録画して見ようとしたけど……わたし、テレビで舞台見るの向いてないみたいで、途中で脱落したんだ。内容がちっとも頭に入らなくて。
 だから曲とかなんもわかんないなあ。
 舞台作品は生観劇に限る、と再確認した若き頃の思い出。

 更紗さん、歌バウ定番曲のひとつ、「命をあげよう」。
 定番と思うくらい、ほんっとによく聴くし、いろんな人が歌ってるのを聴いてきたと思うけど、そのなかでもダントツに「きれい」な歌声だった。
 その、とても軽くきれいなさらりとした歌声で。せせらぎとか小鳥のさえずりとか、そんなイメージ。
 この曲をそんな風に歌う人はあまりいなかった印象。重みとか濁りがあって当たり前の曲だと思っていたので、ハッピーソング的なきれいさにちょっとびっくり。
 たんに、わたしの好みじゃないってことかなあ? ただきれいに歌うのではなく、物語が欲しかったかな。

 糸月さんと泉くんのデュエット、「輝く未来」。この曲、なんかもうヅカ曲かってくらい、ヅカでよく聴いているような。
 糸月さんの声で、泉くんの声が聞こえなくなっちゃうのが残念っす……。

 『ファントム』を歌うえみちゃんさすが。堂々たる。今度はヅカの歌うれしい。やっぱ2曲のうち1曲はヅカソングがいいっす。

 ひらめちゃんは『眠らない男・ナポレオン』のヒロインソング。難しい曲なんだなあ、としみじみ。本公・新公共に歌い切れていたか疑問、そしてこうして歌バウで聴いても、大変だなという印象。

 マイティーに「THE ROSE」を歌われると混乱する。や、だって、ケロの顔でトウコの歌を、っていうかええっと(笑)。
 どきどき。

 花組歌バウびどい、と思うのは、カレー、マイティーと「スター!!」とぶちかましたあと、びっく・和海と「本物!!」と止めを刺しに来るところだな。
 えげつないわー。
 4組目にしてはじめて、公演大トリがガチの歌ウマさんで締められましたよ!
 純粋に、歌の実力で圧巻して、フィナーレになった。
 おおおっ。
 盛り上がりすごい。


 「タカラヅカ」を観た!という満足感と、「歌ウマさんのコンサート」に来た!という満足感、両方を味わえる公演だったと思う。
 1幕トリのスターさんは歌ヘタでも良いから「これぞタカラヅカ!!」なスター力、2幕ソロ歌ラストを締める公演長は「これぞ別格歌ウマ!!」な歌唱力が欲しい。
 と、思いました。そうするときれいにまとまるんだなと。

 雪組の次の本公演演目が発表された。
ひ2017年 公演ラインアップ【宝塚大劇場、東京宝塚劇場】<2017年4月~7月・雪組公演『幕末太陽傳』『Dramatic “S”!』>
2016/08/16
2017年宝塚歌劇公演ラインアップにつきまして、【宝塚大劇場】【東京宝塚劇場】の上演作品が決定しましたのでお知らせいたします。
  
雪組公演
■主演・・・早霧 せいな、咲妃 みゆ

◆宝塚大劇場:2017年4月21日(金)~5月29日(月)
一般前売:2017年3月18日(土)
◆東京宝塚劇場:2017年6月16日(金)~7月23日(日)
一般前売:2017年5月14日(日)

ミュージカル・コメディ
『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)』

~原作 映画「幕末太陽傳」©日活株式会社 監督/川島 雄三 脚本/田中 啓一、川島 雄三、今村 昌平~
脚本・演出/小柳 奈穂子

1957年に封切られた、鬼才・川島雄三監督の代表作である映画「幕末太陽傳」。「居残り佐平次」を中心に、「品川心中」、「三枚起請」、「お見立て」他の古典落語を組み合わせ、実在した品川の遊廓・相模屋を舞台に起こる様々な人間模様を軽妙なタッチで描いた、日本映画史に燦然と輝く名作です。
幕末の品川宿。一文無しのまま相模屋を訪れ、女郎おそめを揚げて大尽遊びに興じた佐平次は、翌朝飄々と居残りを決め込んでしまう。そして番頭まがいの仕事を始め、次々と起きる騒ぎを持前の度胸と機転で解決しては、お礼の金をちゃっかり貯めこんでいた。相模屋で攘夷の計画を練る高杉晋作らとも交友を深め、いつしか佐平次は、廓の人気者となるのだが…。生への活力が漲る中に憂いを漂わせる人情喜劇に、早霧せいなを中心とした雪組が挑みます。

Show Spirit
『Dramatic “S”!』

作・演出/中村 一徳

“S”をキーワードに繰り広げる「Song&dancing Show」。ショースター(Show Star)として輝き(Splendor)を放つ早霧せいな(Seina Sagiri)率いる雪組(Snow troupe)の魅力を、最大限詰め込んだショーシーン(Show Scene)の数々をお届け致します。
また、宝塚大劇場公演は第103期初舞台生のお披露目公演となります。

 やだーー!!

 原作は知りません。だからただ、この解説文を読んだだけの感想。
 まず最初に、痛烈に思ったのが、日本物、もうやだー!
 勘弁してよ、また日本物、江戸時代だよちょんまげだよ、キムくんラストから何本やってんのよ同じ時代ばかり。戦国モノも入れたらどんだけちょんまげ尽くしなのよ。
 今世紀になってからのひと組のちょんまげモノの本数を、雪組の数年で超えてるんじゃない? それくらい不自然に同じことばかりやらされてる。
 話の内容とかテーマとか以前に、本能的に拒絶反応キタ。ノーモアちょんまげ!

 そして、話の内容がまた、タカラヅカからかけ離れている……。
 ザ・タカラヅカな作品ばかりやってきた安定コンビと組でマンネリ打破にやるにはいいかもしれんが、ヅカ的な作品ほとんどやってないコンビと組でやっても、新鮮味ない……。
 ああ、またちぎくんにイロモノをさせるのか。ちぎと雪組はイロモノ担当、タカラヅカ以外担当ってことか。溜息。

 そりゃちぎくんはタカラヅカ的でないものをやって成功した人だけど、だからといってソレばっかってどうなの。
 演目の偏りは、組子の全体の成長に響くのよ。植爺歌舞伎ばっかやってた組が大芝居になったり、一本モノばかりの組がショー苦手になったり、日本物経験ない組がたまにやるとえーらいこっちゃになったり、トップコンビと動く背景が長年続いた組が、トップが誰になっても組子の個性が出ず、未だに生え抜きトップスターがひとりもいないとか。
 偏るといいことないのよ。組の個性ってのは、同じ演目しかしないってことじゃないのよ。

 雪組の演目で、ここまで肩を落とすのはえりたんの『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』発表以来か……。
 『星逢一夜』再演発表の直後、ってのもタイミング悪いよな。バランス悪すぎるよな。

 唯一の救いは、ショーがあること。
 フラグ立ちまくっているのは気になるけれど、芝居がコレだから、フラグ否定要素にはいいのかも。
 『Bow Singing Workshop~雪~』初日観劇。
 当日書いたメモを元に感想つれづれ。
 贔屓組のワークショップは、それだけで楽しい。本公演ではちゃんと観ることの出来ない子たちと出会えるのがうれしい。


 1幕、幕開きは「Joyfull!!」。ああ、安定の選曲。や、花組の『EXCITER!!』位置にくる雪組曲がコレだと、個人的に思ってる。いろんな折に、なにかと使われてない? この曲。

 MC開けの1曲目はすわっち。曲は「君の瞳に恋してる」。
 何故いきなり彼。緊張してる。それがわかる。なんでも出来る下級生だけど、さすがにコレは重責過ぎたか。
 うまいんだけどね。あちこち制御しきれてない感じ。初日だから仕方ない。

 みちるちゃんは外部曲「ポビュラー」。
 難しい曲だなあ。かわいいけど、歌に振り回されててる感じ。
 歌唱力のなさがそのまま出てしまってつらい。
 みちるちゃんは演技力はあるんだと思うけど、それを表現する技術(歌唱力)が足りてないのが残念。

 あがたくんは、何故この曲……! 『ロミオとジュリエット』は名曲揃いだし、歌いたいのはわかる、ロミオだってやってみたいのかもしれない、しかし、なんでよりによって「僕は怖い」。
 難易度高すぎやろ。
 足りてない。歌唱力も演技力も。
 自爆、という言葉が浮かぶくらいには、見事に歌えてなかった。
 何故この選曲……。歌えると思ったのかなあ。いやでも、果敢にやりきったところは評価か。

 しかし、まだ幕開き間もないところで、みちるちゃん+あがたくんって破壊力大きいわ……場が温まりきってないところへ、演技力と歌唱力が必要なミュージカル曲を、華麗に自爆している人たちのコンボでぶつけてくるのって……。
 「雪組、歌唱力やばい……?」って、客席の空気が微妙になったような……。

 それでも、次に登場したせりなちゃんが、ふつうにきれいでふつうにうまくて、ふつうにタカラヅカだったのが幸い。ほっとした(笑)。
 せりなちゃんはまずなんつっても、美人キターーっ! てのが先に立つ。華やかな美女。幼い系ではなく、きれい系ってのがいいね。
 曲もいい、よかった、ヘタに外連味のいる曲じゃない、ふつーにショーの曲として独立して聴ける、「So In Love」。
 歌ウマというほど明かなアドバンテージがあるわけじゃないけど、これだけきれいな子がふつうにきれいに歌えるのは大きな武器だ。
 表情はこれからかな。バリエーション少ないっちゅーか、ずっと同じだったような。

 「愛と青春の旅立ち」デュエット、桜庭さんとゆめくん。
 桜庭さん、男顔だな。身長があればいい男役になった? うまいねー。
 ゆめくんの第一印象は、「タソに似てる」。顎のない丸顔で小さくて。そして、このテの顔立ちは共通して歌ウマさんなのか、そこもタソっぽい。
 下級生デュエットなのに、キラキラとか若々しさよりも、別格感がすごい……雪組っぽいのかな、こういうところ(笑)。

 次がひまりちゃん、『ムーラン』より「リフレクション」。
 ……あれえ? あんまりかわいくない……。『ドン・ジュアン』ではすげー美少女だったので、再会を楽しみにしていたんだ。あんなにきれいに見えたのは、『ドン・ジュアン』効果? 作品の熱?
 そして、歌、うまくないんやね……。ヘタというほどの破壊力もないけれど、歌唱力以外のモノを歌声に乗せることもままならず、なんとも不自由な印象。

 まのみやくん、何故その選曲……「Le gamin de Paris」。
 歌唱力だけでなくキャラクタで歌い切るような歌。若い子がかわいく歌うからいいのか……。まのみやくん、実にかわいく歌い切った。
 ただ、まのみやくん、持ち味はショタっ子じゃないのだわ……。
 ふつーにイケメン青年なので、突然繰り広げられる幼児プレイにびびった。
 そ、そうか、うまいんだね、よくわかったよ、若いもん、子役もまかせろだよな、ははは。……でも君もう大人だよね?
 大人の歌を聴かせてほしい。子役は男役以前の子でも格好が付く、女の子声でも歌える。うまいことはわかったから、次は男役としてどれくらい出来るのか見せて欲しいっす。


 なんか、「うちの組」という思いが強いせいか、他組よりも辛口になっているような。ん? あたしいつもこれくらい口悪いか。ははは。
 続く。

 『Bow Singing Workshop~雪~』初日観劇、曲順に感想だらだら、その2。
 まだ1幕の話っす。

 りあんくん、あがたくんと同じ『ロミジュリ』から……曲は「いつか」。この曲はこの曲だけ独立させて歌っても問題ない。過剰な演技力は求められない、ふつーに歌手としてうまければいい。
 なんつーか、自分の売りをよくわかってるな! と感心。
 甘い美形が歌う、甘い曲……! うんうん、とってもタカラヅカだわ。
 とくに破綻もなく、かわいい歌をうたいきった。

 叶くんはこれまた難易度高い曲を……。
 歌ウマさんだし、男役度高いし、そりゃあチャレンジしてみたくもなるんだろう。しかし、それにしたって『レ・ミゼラブル』の「独白」は大変だわー。
 よく歌っていたけど、男役と女声の限界を思ったわ……女性の声では、曲が必要とする深みや重みに到達しない。や、女性として歌うならともかく、「男」としてこの声だと、やっぱ物足りない。女性である限り、無理ないことだ。
 でも、ここを狙うのはすごい。叶くんの目の表情好きだな。

 ゆきのちゃんの美女力がすごい。
 登場した途端、きれいなお姉さんキターー! と気分が上がる。
 曲は「Saving All My Love For You」、歌はそれほどうまくないんだけど、雰囲気で「うまそう」に見せる(笑)。美人は正義。
 でもほんと、美貌から期待する美声を磨いてほしいと思う。新公でせしこの役をやり続けたせいか、「美貌の音痴」ポジまで踏襲しないでと、切に願う!

 たっちーの曲は「マック・ザ・ナイフ」。わーい、たっちーの声好き、たっちーが歌う「マック・ザ・ナイフ」ってだけで「よっしゃああっ!!」(拳突き上げ)という気持ち。
 彼も路線扱いされてないのに、こういう場できちっとショーを盛り上げることが出来る。それがうれしく、誇らしい。や、誇らしいって、わたしの立ち位置どこよ。だって『インフィニティ』から見守ってたからその。もごもご。

 レオ様の選曲「黒い鷲」に、勝手にまっつを思い出す。なんでもかんでもご贔屓に結びつける痛いファンの典型思考で嫌だけど、まっつ好きを押し出してくれていたレオ様が、まっつヲタが「まっつの代表曲のひとつ」と勝手に思い入れている曲を歌ってくれるのは、感慨深いというかソレだけで感涙モノっていうかね……!
 レオ様が愛し過ぎる。ほんとにこの人好きだー。

 くらっちはいつも良い仕事するよな。「シェルブールの雨傘」が、安定してステキな歌声。
 『ドン・ジュアン』でまたくらっち熱が上がっているので、点数甘いかも。や、でもほんとうまいよね?

 1幕ラストはもちろん、ひとこ。
 ただ、選曲が残念過ぎる。「Til Hear You Sing」……ぜんぜん知らない曲っす。
 うまいのかな? わたしのような門外漢にはさっぱりわかりません。うまいのだとしても、タカラヅカでは直接関係ないしなー。タカラヅカに必要なのは、歌を日本語で表現するスキルだからなー。主役の後ろでBGMとして歌うクラブの歌手役なら、英語曲を完璧に歌うスキルも必要だろうけど。
 ひとこは将来タカラヅカの主役になるんじゃないのか……? せっかくの「ソロ曲熱唱して緞帳を降ろす」経験が出来る場で、「タカラヅカ!」としてのスキルアップを目指さないのが残念っす。


 2幕の幕開き第一声、翼くんだった? わーい。

 大勢でのオープニングが終わって、ソロ歌手が登場する、そのシルエットだけで、あ、タソに似た子だ、とわかった。シルエットで個別認識できるって、舞台人としては大きな武器だよな、ゆめくん。
 曲は『JIN-仁-』の「My Life Your Life」……あああ、いい曲だー、いい声だー。ゆめくんうまいねー。
 ほんと、これできれいだったらなあ……。まだ下級生だからな、痩せれば変わるのかな? せめてアゴが出来るといいなあ……。別格歌ウマさんならビジュアル不問でいいのかな。

 『ファントム』は娘役さんのあこがれが詰まってる気がするな……ヅカソングは娘役に名曲がないからなー。
 にしても、難しいチョイスだ、「My Ture Love」。桜庭さんすげえ。

 叶くんの「散らば花のごとく」にテンション上がりまくる。
 あたしこの曲鬼門なのよ、泣くのよ。
 ヒーローソング、立役タイプが映える曲。この曲をかっこよく歌うスキルを持つ叶くんに、新公主演してほしい、と思う。劇団は彼を脇としか考えてないのだろうけれど、美形だし歌えるしイロモノばっかやらされてるけど芝居も出来るんだし、一度真ん中に立たせてやってくれよと思う。
 将来トップスターになるかどうかではなく、がおりやハマコを育てるのだとしても、新公主演は有効だと思うのに。
 ベニーみたく、劇団の思惑とは別のはじけ方をする場合だってあるだろうに……。雪組は最初に路線外に振り分けた子には、ちょっとやそっとじゃ機会を与えないからな……。


 続く。

 さっきから猫にキーボード押されまくって、余計な文字やらスペースやらが入る、それを消して正しく入力し直して……って、地味な戦いが続いているんですが。
 え? 猫を膝から降ろせ? ゴロゴロ喉鳴らしてご機嫌なイキモノを無碍には出来ないのです……(笑)。
 『Bow Singing Workshop~雪~』初日の感想だらだら語り、その3。これで最後。


 2幕の「恋の笹舟」デュエットのあがたくんとせりなちゃんに、ほっと胸をなで下ろす。
 よかった、あがたくん大丈夫だ。……と思うくらい、1幕の自爆っぷりが印象きつすぎて(笑)。
 てゆーかあがたくん、若いのにやっぱ持ち味昭和だよね。海外ミュージカルより、ド昭和なヅカソングの方がハマると思う。
 しかも植爺曲とかイケるクチではなかろうか。コブシ回しながらフェルゼンの曲とか歌って欲しいかも。


 「聞かせてよ愛の言葉を」、ひまりちゃんは印象が1幕と変わらず。歌苦手なのかな。今この場で表現出来ることが少なすぎる。


 すわっちはいいなあ。「Blues Requiem」ですよ……。
 わたし、歌バウでこの曲を選ぶ人は好き。「花吹雪 恋吹雪」と「Blues Requiem」は、歌バウで勝ちに行くための曲だと思ってる(笑)。
 「タカラヅカ」としての求心力の高い曲で、テクニック的にはそれほど難しい曲じゃない、という点でコスパ良好。歌唱力に自信ナイ場合は勢いで持って行く「花恋吹雪」、自信あるならしっとり歌い上げる「Blues Requiem」で。
 派手な芸風のイメージがあるすわっちが、しっとり「Blues Requiem」を歌い上げるのは意外だった。明るい持ち味の奥に、陰影深い物を秘めていそうだ。


 くらっちの「Amazing Grace」が美しくてな……!
 染み入るわー。


 じーんとしたあとで、りあん、まのみやの美形コンビが元気いっぱい「JUMP!」を歌ってくれて、なんかすげーほっこりした。
 いいなあ、このふたり!


 『レミゼ』から「オン・マイ・オウン」、みちるちゃん。
 ……ほんとに歌苦手なんやな……。
 歌バウの定番曲で、過去に何人もの別格歌ウマさんたちが歌ってきた、その記憶もあるもんだから、なんというか、うーむ。
 みちるちゃんはいわゆる「往年の路線娘役ポジ」で、「音痴ではない」「かわいいからOK」という位置づけでいくのかなと。
 ただ、近年はタカラヅカ自体が歌唱力重視になっているので、「かわいいからOK」がどこまで通用するのかはわからない。もっとうまくなってくれたらいいのになあ……。


 ひとこの2曲目は、「青い星の上で」。
 のびのびした、さわやかな歌声。
 すごく、ひとこっぽい。
 彼の笑顔のような歌声だ。
 わたし、ひとこっていつも笑っているような印象がある。目が線になっていて、ハンサムなんだかファニーなんだか、判断に困るようなくしゃっとした笑い顔。オサ様を思い出すような。や、わたし重度のオサファンです、今もオサ様の笑顔は鮮明に思い出せる。
 そのさわやかペパーミント、輝度と風通しの良さそうな笑顔まんまの、歌声だと思った。
 声に深みがあればいいのになあ、と思うくらいにすーっと空気に溶けていく。
 このすがすがしさはひとこの魅力だろう。雪組っぽくはないけれど、彼に濁や深という要素が加われば、さらに化けるんだろうなと思う。


 ゆきのちゃんの2曲目「あなたを見つめると」の違和感のなさ。「きれいなお姉さん」であるゆきのちゃんは、マルグリットが似合うんだな。
 そして、ヅカソングの方がハマるあたり、タカラジェンヌだー!と思う。


 たっちーの声が好きなので、彼が歌う「ひとかけらの勇気」はうれしい。
 でも歌ウマたっちーをもってしても、「ひとかけらの勇気」に物足りなさを感じるのは、この曲にはスター性も必要ってことなのかなあ。


 つばさくんの2曲目は、ほんとこの子雪組っこなんやなと。
 「足跡のない道」……ゆみこの声を思い出す。


 重ねてきた男役人生をのせて歌う、レオ様の「This is The Moment」が重く響く。はなたれ小僧には歌えない、10年近い道程あってこその歌声だ。

 初日だからだろうか、レオ様の緊張が半端なくて。
 なんかすげーキリキリと絞りきった弦のようだ。
 ガチガチではなくて、キリキリ。
 締めた弦はよく響いている。だけどその緩みのなさ、遊びのなさに、こちらも自然と息を詰めてしまう。
 なまじ、レオ様は歌ヘタ、ていう刷り込みがあるし、なのに十分歌えている現状に「最後までもってくれ……!」というアスリートを見守る祈りのようなものがあるし。

 破綻なく歌い切った瞬間の、レオ様の笑顔。

 どんだけ緊張してたんだこの人!
 はじけるような笑顔に、こっちの胸が熱くなる。ああもう、好きだーー!
 長として、見事に役目を果たしたね、面目躍如だね。


 ラストの「スイート・タイフーン」、なつかしの雪組曲。この曲聴くと思い出すよ、カリさんたち男役も全員かわいい小鳥さんになって踊りまくってた姿。
 風を起こせ、スイート・タイフーン。


 えーと、ぶっちゃけ歌唱力的にけっこうヤバめな人が多かった印象の歌バウでした。
 や、「歌唱力向上」がテーマなので、うまい人だけ出演するわけじゃないのは知ってる。他組だって微妙な人も出ている。
 でも他組では微妙さんは路線スターで、それ以外の人はみんな歌ウマを揃えてきたような。
 雪組は、路線でなくても微妙な人たちがいる……てゆーか明かな路線スターひとこしか出てないじゃん、っていうね……。

 わたしは組ファンだからなんでも楽しかったけど、純粋にコンサートとした場合、どうだったんだろ、コレ……。
 ちょっと不安(笑)。
 『Bow Singing Workshop~雪~』のMCは、レオ様、翼くん、たっちー、ゆきのちゃんの4人だった。

 ひとこは入らない。

 そのことに、びっくりしたなー。

 や、MCが学年順なのは、先の宙組、星組を観ていてもわかる。
 でも、宙組も星組も、「スター枠」の人が、上から4人目に入っていた。
 MCというのは、喋りがうまい人か、人気のある人、あるいは主催者側が推したいと思う人を入れるのが通常だろう。
 喋りがうまい人、人気のある人は観客のために必要。でないと素人が日替わりでなにか喋っても盛り下がる。へたすりゃ事故る。人気があれば、喋りはおろかまともに受け答えすらできなくても、観客は納得する。その人を観られればそれで満足するわけだから。

 しっかし、「スター枠」皆無でMCやっちゃうって、雪組すごいなー。身内しか観に来ない前提のワークショップすごい。一般興行なら、スター枠を入れるはずだから。

 や、わたしは組担なので上から4人で文句ないっす。もしも他組のように「スター必須」だと判断されてたら、ハズされてたのは翼くんだった気がするし。や、本公演・新公での役付きから見て、いちばん扱い低いの翼くんだもん。

 ただ、ひとこ抜きでOKと判断するプロデューサーすごいなと。や、誰が決めたのか知らないけど。
 劇団全体を考える立場の人が決めたなら、1幕トリを学年関係なくスターが務める、という構成と同じように、MCには1幕トリのスターを入れる。1幕トリは「劇団が、将来トップスターにと考えているスター」が務めるわけだから、そりゃMCにも入れるわ。(星組は候補未定)
 劇団全体ではなく、雪組単体で考えたら、学年順になったんだろうな。組と組ファン以外は念頭にないから、一般客に「誰?」と思われるようなメンバーでも気にならない。

 ひとこは雪組の超御曹司。抜擢されてから、丸4年? 4年間ずーっと「スター」であり、彼の下にはまだ明確な路線スターが置かれていない。
 それくらい特別扱いなのに、たとえば月組の暁くんみたいな「超劇団推し」のイメージが、わたしにはない。
 ……というのが何故か、この歌バウで思い至ったな、というメモ書きっす。

 歌バウラストの月組の出演者が出たときに感じた違和感、それが雪組MCメンバーを見てわかった。

 月組だけ、95~97期の出演者が少ないの。少なくともあと3人は、「歌バウ出てもおかしくないよね? 遊ばせとくのもったいないよね?」な人がいると思うんだが……彼らは、出ない。
 そっか……そのあたりの人を出しちゃうと、暁くんが「上から4人のMCメンバー」に入らないんだ……。
 1幕トリを98期の下級生暁くんに歌わせ、なおかつ上級生4人しか出られないMCに入れるためには、暁くんの上の学年を間引くしかないんだ。
 98期の子って、宙組は8番目、星組は9番目、雪組は7番目、花組は9番目っすよ。なのに月組だけ、4番目。間の3~5人、あえて出演させてないの。
 「MCは学年順ですよ、依怙贔屓してませんよ」という建前のまま、暁くんを推すために、そもそも間の生徒を出演させない……徹底してるわ……震撼。

 「超劇団推し」ってのは、これくらいやるもんだ。いや、その前に、「マギー名目主演、真の主演は暁くん」と銘打ったバウ公演をやっちゃうんだから、歌バウでの特別扱いごとき、大したことないのか。

 や、ひとこにも暁くんにも含みはなく、組の育成方法の違いに震えたの。
 これぐらいあからさまで容赦ないのが月組、そして、揺るぐことないひとりっ子政策を何年も続けるくせに、はっきりした態度は取らず日和っているのが雪組。

 ……ただの一般ヲタの目から見ると、どっちも効果的な方法じゃないと思うんだけどなあ。
 もっと臨機応変に、いろんなスターを競わせれば良いのに。
 や、ひとこも暁くんも、タカラヅカ100年の歴史に燦然と輝くビッグスターになってくれることを祈っているが。

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