恋の夢に落ちても仕方ない、はず。@仮面のロマネスク
2016年9月2日 タカラヅカ 花組全国ツアー『仮面のロマネスク』初日観劇。
ねえねえ、最初にぶっちゃけた話していいですか?
『仮面のロマネスク』というと、プレイボーイのヴァルモンが、いろんな女性をゲームで落としていく話じゃないですか。
ヴァルモンの本命は昔の恋人メルトゥイユ夫人。彼女に持ちかけられた勝負(ゲーム)で、貞淑な人妻トゥールベル夫人や、無垢な少女セシルを弄んで、捨てる。
トゥールベル夫人を口説き落とすところは尺を取って描かれているけれど、セシル嬢は「ヴァルモンが彼女の寝室へ行く」ことと、翌日召使いたちの会話で「具体的な行為があったらしい」と示されるに留まる。その後、セシルの恋人ダンスニーに向かって、メルトゥイユ夫人が直裁な台詞でナニがあったか告げたりもするけど。
実際に、ヴァルモンがどんな風にセシルを口説いたのかは、描かれていない。
ヴァルモンは、セシルを抱いた。
これは、事実だと思う。
問題は……合意の上かどうか。
……ぶっちゃけた話題でしょ? 強姦か、和姦か、という、ミもフタもナイ話っす。
セシルにはダンスニーという恋人がいて、ヴァルモンのことは頼れる素敵な人、任せて安心、夜中に寝室に招いても大丈夫、という認識だったのだと思う。
や、どんなに信頼出来る人でも、若い娘が男を夜中に寝室に招き入れること自体あかんやろ、とは思うけど、なにしろセシルは純粋無垢、世間知らずのお嬢さんだ。彼女の迂闊さを責めるより、そんな無知な少女を手込めにする男を責めるべき。
悪いのはもちろんヴァルモンですよ。
でもそのヴァルモンだけど、ほんとのところ、どうなの? セシルは彼を受け入れたの? 拒絶したけれど、力尽くで手折られたの?
わたし、初演、再演と観てきて、「合意の上」だと思い込んでたの。
セシルはもちろんダンスニーを愛しているんだけど、いざヴァルモンに口説かれたらぽーっとなっちゃって、つい流されてしまったんだと。
嫌がって泣くのを力づくで……なんてことは、あの大人で百戦錬磨のヴァルモンがするわけない。自分から身を投げ出すように仕向けたんだ……そう思ってたの。
それが。
今回のみりおヴァルモン様ってば。
ご……強姦……?! マジに暴力でやっちゃったんすか……??
と、観ていて、焦りました。
や、殴る蹴るしたわけじゃなくても、合意ではなかったんだろうなと。無理矢理だったんだろうなと。
恋のマジックに流されて夢のような一夜を過ごしてしまった……わたしには恋人がいるのに……どうしよう……。
と、ミリちゃんにしろれーれにしろ、「不貞をはたらいてしまった」ことへの後悔と混乱に取り乱しているように見えたんだ。「自分で自分が信じられない」「どうしたらいいのかわからない」てな。
ヴァルモンが強引に仕向けたことは確か、だけどセシルもまた甘い蜜に酔ったのだと。
でも、今回の音くりちゃんは、「暴漢に身を汚された」被害者に見えた……。
えええ。
同じ行動でも、この差は大きいよ? 大きすぎるよ?
繰り返すが、行動自体は同じ、確実にヴァルモンが悪いよ?
30男が未成年を騙して処女を奪ったんだから。しかも、そこに愛も欲望もなく、ただゲームの手段として。
あ、年齢は知らないので、あくまでもイメージです。
ヴァルモンが悪いのは前提だけど、それでも。
セシルが恋の夢に落ちたのか、無理矢理強姦されたのかでは、意味がまったく違ってくる。
タカネくんもゆーひくんも、「男慣れしていないセシルがぼーっとなっちゃったんだろうなあ、仕方ないよなあ、あんなエロ気むんむんの大人の男に迫られたら、恋愛初心者の女の子なんて簡単にのぼせあがるわなあ」と思わせてくれた。
善良で色気皆無のアホBFがいるのに、うっかりときめいちゃっても、それはもう不可抗力だよ。相手が悪いよ、仕方ないよセシル、うんうん!
そう思った。
そして、しれっとセシルの前に現れるヴァルモンに、「悪いやっちゃな~~」と思った。
そういうもんだと思っていたから……。
びびった。
み、みりお様? あなたマジに鬼畜なことを……?
初演、再演とのいちばん大きな違いだと思った。今回の、再々演。
ヴァルモンが余裕綽々の大人の男……ではなく、もっと神経質というか、狭量な男に見えた。
そして、セシルが……。
見た目が13歳の健康優良児で、心も身体も恋愛OKなほど成熟しているように見えなかった。
一夜明けての様子も、暴力に傷ついた子どものようで……ヴァルモン最低っ!!って感じ。
わたしが音くりちゃん苦手だからか、ほんとに「え、セシル、それでいいの??」とびびるくらい、わたしが「セシル」「セシルとヴァルモン」にイメージしていた演技ではなかった……。
セシルが違えば、ヴァルモンは卑劣なレイパーではなく、プレイボーイに見えただろうに……と。
や、わたしにはそう見えた、というだけです。
「初演から一貫してヴァルモンはレイパーだよ! セシルは無残に暴力で強姦されたんだよ!」とか「みりお様こそ魅力で落としたの、セシルはヴァルモンに恋したのよ!!」とか、ひとさまの目にはそう映っているのかもしれませんが、そこはそれ、わたしはわたし。
みりおくんの持つ繊細さは、清顕のようなわがまま王子ぶりにはハマるけど、ヴァルモンのようなインモラルな行動を取る男だとガチ鬼畜に突き抜けちゃう持ち味なんだなと。
光源氏だってヴァルモンと同カテゴリの男だけど、少なくとも彼は、年端もいかない若紫をレイプして捨てたりしてないもんな。相手が大人になるまで見守るし、ちゃんと妻にするし。つか、若紫は音くりちゃんじゃないから、犯罪被害者みたいにはならないと思うし。
うーむ、『仮面のロマネスク』は好きな作品なんだが、今回なかなかスリリングだった。
みりおくんのヴァルモンはみりおくんのヴァルモンで、アリだと思う!
てな話はまたのちほど。
ねえねえ、最初にぶっちゃけた話していいですか?
『仮面のロマネスク』というと、プレイボーイのヴァルモンが、いろんな女性をゲームで落としていく話じゃないですか。
ヴァルモンの本命は昔の恋人メルトゥイユ夫人。彼女に持ちかけられた勝負(ゲーム)で、貞淑な人妻トゥールベル夫人や、無垢な少女セシルを弄んで、捨てる。
トゥールベル夫人を口説き落とすところは尺を取って描かれているけれど、セシル嬢は「ヴァルモンが彼女の寝室へ行く」ことと、翌日召使いたちの会話で「具体的な行為があったらしい」と示されるに留まる。その後、セシルの恋人ダンスニーに向かって、メルトゥイユ夫人が直裁な台詞でナニがあったか告げたりもするけど。
実際に、ヴァルモンがどんな風にセシルを口説いたのかは、描かれていない。
ヴァルモンは、セシルを抱いた。
これは、事実だと思う。
問題は……合意の上かどうか。
……ぶっちゃけた話題でしょ? 強姦か、和姦か、という、ミもフタもナイ話っす。
セシルにはダンスニーという恋人がいて、ヴァルモンのことは頼れる素敵な人、任せて安心、夜中に寝室に招いても大丈夫、という認識だったのだと思う。
や、どんなに信頼出来る人でも、若い娘が男を夜中に寝室に招き入れること自体あかんやろ、とは思うけど、なにしろセシルは純粋無垢、世間知らずのお嬢さんだ。彼女の迂闊さを責めるより、そんな無知な少女を手込めにする男を責めるべき。
悪いのはもちろんヴァルモンですよ。
でもそのヴァルモンだけど、ほんとのところ、どうなの? セシルは彼を受け入れたの? 拒絶したけれど、力尽くで手折られたの?
わたし、初演、再演と観てきて、「合意の上」だと思い込んでたの。
セシルはもちろんダンスニーを愛しているんだけど、いざヴァルモンに口説かれたらぽーっとなっちゃって、つい流されてしまったんだと。
嫌がって泣くのを力づくで……なんてことは、あの大人で百戦錬磨のヴァルモンがするわけない。自分から身を投げ出すように仕向けたんだ……そう思ってたの。
それが。
今回のみりおヴァルモン様ってば。
ご……強姦……?! マジに暴力でやっちゃったんすか……??
と、観ていて、焦りました。
や、殴る蹴るしたわけじゃなくても、合意ではなかったんだろうなと。無理矢理だったんだろうなと。
恋のマジックに流されて夢のような一夜を過ごしてしまった……わたしには恋人がいるのに……どうしよう……。
と、ミリちゃんにしろれーれにしろ、「不貞をはたらいてしまった」ことへの後悔と混乱に取り乱しているように見えたんだ。「自分で自分が信じられない」「どうしたらいいのかわからない」てな。
ヴァルモンが強引に仕向けたことは確か、だけどセシルもまた甘い蜜に酔ったのだと。
でも、今回の音くりちゃんは、「暴漢に身を汚された」被害者に見えた……。
えええ。
同じ行動でも、この差は大きいよ? 大きすぎるよ?
繰り返すが、行動自体は同じ、確実にヴァルモンが悪いよ?
30男が未成年を騙して処女を奪ったんだから。しかも、そこに愛も欲望もなく、ただゲームの手段として。
あ、年齢は知らないので、あくまでもイメージです。
ヴァルモンが悪いのは前提だけど、それでも。
セシルが恋の夢に落ちたのか、無理矢理強姦されたのかでは、意味がまったく違ってくる。
タカネくんもゆーひくんも、「男慣れしていないセシルがぼーっとなっちゃったんだろうなあ、仕方ないよなあ、あんなエロ気むんむんの大人の男に迫られたら、恋愛初心者の女の子なんて簡単にのぼせあがるわなあ」と思わせてくれた。
善良で色気皆無のアホBFがいるのに、うっかりときめいちゃっても、それはもう不可抗力だよ。相手が悪いよ、仕方ないよセシル、うんうん!
そう思った。
そして、しれっとセシルの前に現れるヴァルモンに、「悪いやっちゃな~~」と思った。
そういうもんだと思っていたから……。
びびった。
み、みりお様? あなたマジに鬼畜なことを……?
初演、再演とのいちばん大きな違いだと思った。今回の、再々演。
ヴァルモンが余裕綽々の大人の男……ではなく、もっと神経質というか、狭量な男に見えた。
そして、セシルが……。
見た目が13歳の健康優良児で、心も身体も恋愛OKなほど成熟しているように見えなかった。
一夜明けての様子も、暴力に傷ついた子どものようで……ヴァルモン最低っ!!って感じ。
わたしが音くりちゃん苦手だからか、ほんとに「え、セシル、それでいいの??」とびびるくらい、わたしが「セシル」「セシルとヴァルモン」にイメージしていた演技ではなかった……。
セシルが違えば、ヴァルモンは卑劣なレイパーではなく、プレイボーイに見えただろうに……と。
や、わたしにはそう見えた、というだけです。
「初演から一貫してヴァルモンはレイパーだよ! セシルは無残に暴力で強姦されたんだよ!」とか「みりお様こそ魅力で落としたの、セシルはヴァルモンに恋したのよ!!」とか、ひとさまの目にはそう映っているのかもしれませんが、そこはそれ、わたしはわたし。
みりおくんの持つ繊細さは、清顕のようなわがまま王子ぶりにはハマるけど、ヴァルモンのようなインモラルな行動を取る男だとガチ鬼畜に突き抜けちゃう持ち味なんだなと。
光源氏だってヴァルモンと同カテゴリの男だけど、少なくとも彼は、年端もいかない若紫をレイプして捨てたりしてないもんな。相手が大人になるまで見守るし、ちゃんと妻にするし。つか、若紫は音くりちゃんじゃないから、犯罪被害者みたいにはならないと思うし。
うーむ、『仮面のロマネスク』は好きな作品なんだが、今回なかなかスリリングだった。
みりおくんのヴァルモンはみりおくんのヴァルモンで、アリだと思う!
てな話はまたのちほど。