パスワードの謎。@シニョール ドン・ファン
2003年4月9日 タカラヅカ パスワードがわからない。
私的なメールにはロックがかかっていて、パスワードがないと読めないのだ。
時間がない。
彼はもう、脅迫者と対峙するために出て行った。このままでは彼の生命が危ない。
脅迫者が彼をどこに呼び出したのか。
彼を助けるために、彼が受け取ったメールを読まなければならない。
部屋にはふたりの刑事と、彼の昔の恋人たちが駆けつけている。そんななかで、私はひとりノートパソコンに向かっていた。
私は彼の私設秘書だ。私は彼のために働かなければならない。私は彼の生命を守らなければならない。
パスワードがわかりさえすれば……。
試せるだけの単語は入力してみた。本人の誕生日やカードの番号、昔の恋人の名、母親の名前……あとはなんだ? なにがある?
彼が、パスワードにする特別な単語は?
g・i・u・s・e・p・p・e
ほんの思いつきだった。
あらゆる単語を思いつくままに入力していたのだ。半分あきらめながら。
まさか。
……まさかこの単語で、開くなんて。
部屋の者たちが一斉に私の周りに集まってくる。
わたしは冷静に脅迫者のメールを読み上げる。彼はこのメールに呼び出されて行ったのだ。
彼は死ぬのだろうか。脅迫者に殺されるのだろうか。
思わず神頼みをした私を、彼の元恋人のひとりが怒鳴りつけた。神頼みをしている場合ではないと。
わかっている。
だが、神に祈る以外にどうしろと?
私は敬虔なクリスチャンだ。
彼が何故、私の名をパスワードにしていたのか。
その事実に動揺しているこの私は。
彼は近日中に「運命の女性」とめぐり逢う。私の祖母が占った結果だ。正確には、「栗色の髪に琥珀色の瞳をした運命の相手」……バレリーナだとかベルギー人だとかは、私があとからでっちあげた。その方が彼の好みだと思ったからだ。
おばあちゃんは、「栗色の髪に琥珀色の瞳をした運命の相手」と言ったんだ。
私の髪は……栗色だ。私の瞳は……。
「運命の相手」。おばあちゃんは、性別を言わなかった! 俺か? 俺なのか? レオ様の運命の相手って?!
俺は敬虔なクリスチャンだってば! そんな運命はこまる!
ああだが、もしもそうなら……そうなんなら……どうしよう。
それもアリかもしれない。
なんて思っているこの俺は?
☆
なーんてことを考えてしまった、3回目の観劇。
『シニョール ドン・ファン』。
レオのメールのパスワード、なんだったのかしらね?
そしてなんで、ジョゼッペはパスワードを言わなかったのかしら。苦労してよーやく見つけたパスワードでしょ? ふつー言わない? 「パスワードは**だったんだ!」とかさ。
言うに言えない単語だったのか?
と、思ったわけよ。
あの熱血秘書が口にできない単語ってなによ?
自分の名前だったりしたら、そりゃー言えないわな。
あのレオ様が、俺の名前をパスワードに?!
レオ様は、じつは俺のことを……?!
そして物語は、あの愉快なラストシーンにつながるのよ。
女たちすべてを振り切ったレオ様は、ジョゼッペに「恋をしようかな」などと言う。
女をすべて捨てて、そばにはジョゼッペ。
女の代わりはいくらでもいるが、ジョゼッペの代わりはいない。
レオ様は俺を選んだんだ! やはり、「運命の相手」って……!!
盛り上がるジョゼッペ。
ごめんなさい神様。ひとりで十字を切り、次の瞬間には「レオ様、据え膳はありがたくいただきます!」と恋に猪突猛進。
行け行けジョゼッペ。
ヤっちまえばこっちのもん。カンチガイでも独り相撲でも、大丈夫、レオ様なら苦笑しながら受け止めてくれるよ。
てな、かわいい(?)ラブコメのプロットが簡単にできあがったんですが。
と、かねすきさんに言ったら。
「あそこでパスワードを言わないのは変ですもんね」
さすがわがソウル・フレンド。打てば響くお答え。
「わたしが描くなら、刑事カップルですが」
カップル? カップルですか、かねすきさん。
「どっちが受?」
「もちろんふつーに、越リュウでしょう?」
「ふつー? 越リュウ受がふつー?」
「だって相手が楠さんだし」
答えになってない(笑)。
しかしあの刑事はコントラストがはっきりしていていいね。
どっちも濃い野郎系なんだが、のぞみちゃんはホットで、越リュウはクール。ラストの赤いハートの風船を持った姿がベリキュート。……のぞみちゃん、笑いすぎ(笑)。
いや、わたしは他にもホモカップルをでっちあげているんですが……ふふふ、やはりさえちゃんは受だよね?
昨日の晴天とはうってかわって、大雨。
歩くのを躊躇するよーなどしゃ降り。
まだ1日ズレております、8日の日記ナリ。
いーかげんネタバレしまくってると思う。一応、多少の自重はしているし、ストーリー本体には触れていないつもりなんだが。
友人のオレンジが言うには、公演が終わるまで一切のネタバレは、ネットで書いてはならないらしい。
そーかもしれんが、こんな辺境の個人の日記だから、世間に与える影響は少ないはずだ。だいたい、映画の話は公開前にさんざんしてるしなー。
いいよね? ってことで、自分に甘いわたしは、多少のネタバレをものともせずに好き勝手にほざくのです。
体調不良で数時間おきに鎮痛剤を飲みながら、それでもムラへ出掛ける。
だってかねすきさんとデートだもん。
ランチだけ一緒して帰るつもりが……またしても観てしまった、月組公演。
好きなんだもん、『シニョール ドン・ファン』。
またしても、サバキがぜんぜん出ない。
そして、人も少ない。
欲張らずに早々に座席に着いたのだが。
客席は、真っ赤です。
サバキゾーンが寂しかったわけさ。人口密度が低かったんだもの……。
あんなに空けたままにしておくくらいなら、公演限定パスポート作ってくんないかなぁ。
2階席限定で開演5分前座席指定とかなら、ダフ屋に流れることもないんじゃない? チケットは購入者の顔写真付きにしてさ。
USJを見習おうよ。
景品つけるより、値引きしようよ。
そしたらわたし、通うよ? 『シニョール ドン・ファン』なら。阪急電車の定期券だって買っちゃうさ(今は回数券)。
『シニョール ドン・ファン』がたのしいのは、プロットが正しく機能していることの他に、余白がいっぱいある、ってことも大きいと思う。
それぞれのキャラの視点に立って、空想をたのしむことができるんだ。
脚本と出演者がうまく噛み合っているんだろうな。
ぴっちりと突き詰められた作品だと、そうはいかない。適度にゆるみがあった方が、観客としてはたのしい。「少年ジャンプ」が売れるよーなものさ。
二次創作にはもってこいの題材だねえ。
わたし的には、コウちゃん以外のキャラはすべてバッチリ配役だったのです。
コウちゃんは……ごめんよ、彼以外の人で観たかった、としか言えない。
コウちゃん、キザることだけに夢中で、中身が見えない……。そりゃ男役として最後の役だから、「男役芸」を見せること表現することに必死になるのはわかるけどさ。
コウちゃんの神髄は、やっぱハートフルな三枚目だと思うのよ。きりやんの役だと、さぞやうまかったろうなと思う。
「きりやんと汐風さんの役が逆でもよかったのに」
と、かねすきさん。
うん……きりやんがロドルフォだったら、さぞや「情念」の世界が展開されたでしょうな。暑苦しいまでの「人間の闇の部分」を全面に出して来たんじゃないかと思う。
「コウちゃん以外の専科なら、誰でもよかったよ」
と、わたし。
ワタル兄貴でもよかったし、樹里ちゃんでもガイチでもよかった。存在を失念していたが、トドさまでもいいさ。
そしたらかねすきさんはさらりと。
「彩輝さんでも?」
と返してくる。
「さ、さえちゃん?」
「ええ。ただ彩輝さんが演ったら、ただのホモになりますけど」
爆笑。
た、たしかにロドルフォがさえちゃんなら、ただのホモだ(笑)。
それはそれでたのしいかもしれんが。
あ。
そーいや『花の風土記』の方。
わたしったらメイン部分のお衣装の色、思いっきりまちがえてますわねー。
笑っちゃったわ。
でもきらきら言い訳のよーなラメの光が、初見では印象に残ったのね、とっても悪い意味で。
んでもって。
研一の純矢くん、3回目になるとどこにいてもわかりました。ほんとに背低いね……。娘役みたいに見えるよ……。
私的なメールにはロックがかかっていて、パスワードがないと読めないのだ。
時間がない。
彼はもう、脅迫者と対峙するために出て行った。このままでは彼の生命が危ない。
脅迫者が彼をどこに呼び出したのか。
彼を助けるために、彼が受け取ったメールを読まなければならない。
部屋にはふたりの刑事と、彼の昔の恋人たちが駆けつけている。そんななかで、私はひとりノートパソコンに向かっていた。
私は彼の私設秘書だ。私は彼のために働かなければならない。私は彼の生命を守らなければならない。
パスワードがわかりさえすれば……。
試せるだけの単語は入力してみた。本人の誕生日やカードの番号、昔の恋人の名、母親の名前……あとはなんだ? なにがある?
彼が、パスワードにする特別な単語は?
g・i・u・s・e・p・p・e
ほんの思いつきだった。
あらゆる単語を思いつくままに入力していたのだ。半分あきらめながら。
まさか。
……まさかこの単語で、開くなんて。
部屋の者たちが一斉に私の周りに集まってくる。
わたしは冷静に脅迫者のメールを読み上げる。彼はこのメールに呼び出されて行ったのだ。
彼は死ぬのだろうか。脅迫者に殺されるのだろうか。
思わず神頼みをした私を、彼の元恋人のひとりが怒鳴りつけた。神頼みをしている場合ではないと。
わかっている。
だが、神に祈る以外にどうしろと?
私は敬虔なクリスチャンだ。
彼が何故、私の名をパスワードにしていたのか。
その事実に動揺しているこの私は。
彼は近日中に「運命の女性」とめぐり逢う。私の祖母が占った結果だ。正確には、「栗色の髪に琥珀色の瞳をした運命の相手」……バレリーナだとかベルギー人だとかは、私があとからでっちあげた。その方が彼の好みだと思ったからだ。
おばあちゃんは、「栗色の髪に琥珀色の瞳をした運命の相手」と言ったんだ。
私の髪は……栗色だ。私の瞳は……。
「運命の相手」。おばあちゃんは、性別を言わなかった! 俺か? 俺なのか? レオ様の運命の相手って?!
俺は敬虔なクリスチャンだってば! そんな運命はこまる!
ああだが、もしもそうなら……そうなんなら……どうしよう。
それもアリかもしれない。
なんて思っているこの俺は?
☆
なーんてことを考えてしまった、3回目の観劇。
『シニョール ドン・ファン』。
レオのメールのパスワード、なんだったのかしらね?
そしてなんで、ジョゼッペはパスワードを言わなかったのかしら。苦労してよーやく見つけたパスワードでしょ? ふつー言わない? 「パスワードは**だったんだ!」とかさ。
言うに言えない単語だったのか?
と、思ったわけよ。
あの熱血秘書が口にできない単語ってなによ?
自分の名前だったりしたら、そりゃー言えないわな。
あのレオ様が、俺の名前をパスワードに?!
レオ様は、じつは俺のことを……?!
そして物語は、あの愉快なラストシーンにつながるのよ。
女たちすべてを振り切ったレオ様は、ジョゼッペに「恋をしようかな」などと言う。
女をすべて捨てて、そばにはジョゼッペ。
女の代わりはいくらでもいるが、ジョゼッペの代わりはいない。
レオ様は俺を選んだんだ! やはり、「運命の相手」って……!!
盛り上がるジョゼッペ。
ごめんなさい神様。ひとりで十字を切り、次の瞬間には「レオ様、据え膳はありがたくいただきます!」と恋に猪突猛進。
行け行けジョゼッペ。
ヤっちまえばこっちのもん。カンチガイでも独り相撲でも、大丈夫、レオ様なら苦笑しながら受け止めてくれるよ。
てな、かわいい(?)ラブコメのプロットが簡単にできあがったんですが。
と、かねすきさんに言ったら。
「あそこでパスワードを言わないのは変ですもんね」
さすがわがソウル・フレンド。打てば響くお答え。
「わたしが描くなら、刑事カップルですが」
カップル? カップルですか、かねすきさん。
「どっちが受?」
「もちろんふつーに、越リュウでしょう?」
「ふつー? 越リュウ受がふつー?」
「だって相手が楠さんだし」
答えになってない(笑)。
しかしあの刑事はコントラストがはっきりしていていいね。
どっちも濃い野郎系なんだが、のぞみちゃんはホットで、越リュウはクール。ラストの赤いハートの風船を持った姿がベリキュート。……のぞみちゃん、笑いすぎ(笑)。
いや、わたしは他にもホモカップルをでっちあげているんですが……ふふふ、やはりさえちゃんは受だよね?
昨日の晴天とはうってかわって、大雨。
歩くのを躊躇するよーなどしゃ降り。
まだ1日ズレております、8日の日記ナリ。
いーかげんネタバレしまくってると思う。一応、多少の自重はしているし、ストーリー本体には触れていないつもりなんだが。
友人のオレンジが言うには、公演が終わるまで一切のネタバレは、ネットで書いてはならないらしい。
そーかもしれんが、こんな辺境の個人の日記だから、世間に与える影響は少ないはずだ。だいたい、映画の話は公開前にさんざんしてるしなー。
いいよね? ってことで、自分に甘いわたしは、多少のネタバレをものともせずに好き勝手にほざくのです。
体調不良で数時間おきに鎮痛剤を飲みながら、それでもムラへ出掛ける。
だってかねすきさんとデートだもん。
ランチだけ一緒して帰るつもりが……またしても観てしまった、月組公演。
好きなんだもん、『シニョール ドン・ファン』。
またしても、サバキがぜんぜん出ない。
そして、人も少ない。
欲張らずに早々に座席に着いたのだが。
客席は、真っ赤です。
サバキゾーンが寂しかったわけさ。人口密度が低かったんだもの……。
あんなに空けたままにしておくくらいなら、公演限定パスポート作ってくんないかなぁ。
2階席限定で開演5分前座席指定とかなら、ダフ屋に流れることもないんじゃない? チケットは購入者の顔写真付きにしてさ。
USJを見習おうよ。
景品つけるより、値引きしようよ。
そしたらわたし、通うよ? 『シニョール ドン・ファン』なら。阪急電車の定期券だって買っちゃうさ(今は回数券)。
『シニョール ドン・ファン』がたのしいのは、プロットが正しく機能していることの他に、余白がいっぱいある、ってことも大きいと思う。
それぞれのキャラの視点に立って、空想をたのしむことができるんだ。
脚本と出演者がうまく噛み合っているんだろうな。
ぴっちりと突き詰められた作品だと、そうはいかない。適度にゆるみがあった方が、観客としてはたのしい。「少年ジャンプ」が売れるよーなものさ。
二次創作にはもってこいの題材だねえ。
わたし的には、コウちゃん以外のキャラはすべてバッチリ配役だったのです。
コウちゃんは……ごめんよ、彼以外の人で観たかった、としか言えない。
コウちゃん、キザることだけに夢中で、中身が見えない……。そりゃ男役として最後の役だから、「男役芸」を見せること表現することに必死になるのはわかるけどさ。
コウちゃんの神髄は、やっぱハートフルな三枚目だと思うのよ。きりやんの役だと、さぞやうまかったろうなと思う。
「きりやんと汐風さんの役が逆でもよかったのに」
と、かねすきさん。
うん……きりやんがロドルフォだったら、さぞや「情念」の世界が展開されたでしょうな。暑苦しいまでの「人間の闇の部分」を全面に出して来たんじゃないかと思う。
「コウちゃん以外の専科なら、誰でもよかったよ」
と、わたし。
ワタル兄貴でもよかったし、樹里ちゃんでもガイチでもよかった。存在を失念していたが、トドさまでもいいさ。
そしたらかねすきさんはさらりと。
「彩輝さんでも?」
と返してくる。
「さ、さえちゃん?」
「ええ。ただ彩輝さんが演ったら、ただのホモになりますけど」
爆笑。
た、たしかにロドルフォがさえちゃんなら、ただのホモだ(笑)。
それはそれでたのしいかもしれんが。
あ。
そーいや『花の風土記』の方。
わたしったらメイン部分のお衣装の色、思いっきりまちがえてますわねー。
笑っちゃったわ。
でもきらきら言い訳のよーなラメの光が、初見では印象に残ったのね、とっても悪い意味で。
んでもって。
研一の純矢くん、3回目になるとどこにいてもわかりました。ほんとに背低いね……。娘役みたいに見えるよ……。