わたしは平和に生きていたい。@戦場のピアニスト/ボウリング・フォー・コロンパイン
2003年4月16日 映画 水曜日は映画の日。忙しくて見られなかった、見たい映画が溜まってる。
つーことで、見損ねたままだった映画と、旬な映画と2本連続で見てきました。
上映期間ももうすぐ終わり、という、「今ごろそんなの見たの?」と言われそうな『戦場のピアニスト』。
封切りからもう2ヶ月ほど経ってるよねー。アカデミー賞のおかけで期間延長、なんとか見に行くことができたよ。そーでもなけりゃ、一生見られなかったろうなー。(基本的にわたしは、映画は映画館でしか見ない。見損ねたら最後なんだわ)
どーしても見たかったので、がんばって見に行きましたが……。
べつに、見損ねたら見損ねたで、それでよかったな。
とゆー感想でした……。
第2次世界大戦時、ユダヤ人ピアニストの主人公の、苦難の物語。
そりゃーもー、苦難につぐ苦難の日々。
人間として市民として当たり前の権利がどんどん剥奪され、無差別の暴力と死にさらされ、家族を殺され、ひとりでボロボロになって隠れ住み……。
ついにドイツ兵に発見されたが、ピアニストだと告げるとセーフ、見逃してくれました。
実話を元にした作品。
うーん……。
ただたんに、わたしの好みではなかった、ということかな。
ほんと、たんに、おもしろくなかったんだわ。
でもさぁ、こういう映画を「おもしろくなかった」って言うと、「知的レベルが低い」とか「反倫理的な人間」みたいなイメージがあるような気がするなー。
だって感動大作だもんなあ。
日本で言うなら、原爆をテーマに扱った太平洋戦争映画とかさ。ヒロイン(日本映画ならヒロインだろう!)がどれほど苦労して生きたか、どれだけ戦争が悲惨であるか、をえんえん語った作品(しかもドキュメントとか、ほんとうにあった話)を悪く言ったらまずいよね、みたいな感じ?
リアルに理性的に「時代」を描写しているんだろう。
そこある残酷さも恐怖も過ちも、すべて真実なんだろう。
……でもわたしには、おもしろくなかった。
わたしはドキュメントや自伝が見たいのではなく、映画……エンターテイメントが見たかったんだ。
演出次第で、いくらでもおもしろくなったと思うんだけどなあ。
きっとはじめから目指したモノがチガウのよね。
ドキュメントで自伝なんだよね。
事実を冷静にありのままに描いてあるんだもの、エンタメみたいに「感動させよう!」なんてあざとい仕掛けは必要ないんだよね。
スタンスがちがう、ツボがちがう。
よくわかりました。
よくわかったんだけど……もったいないなー、なんて、エンタメ嗜好のわたしはつくづく思ったのよ。
このネタ、ものすげえエンタメに製造可能なのに。
泣かせられるし、感動させられるし、美談だし、スリルだしサスペンスなのよ?
もったいない。
もっともっと、一般受けするものにできたのに。
史実を元に、純文学を書くかエンタメを書くか。
そのちがいなのよ。
なんか大真面目に純文学でさ。格調は高いかもしれんが、大衆が楽しめるものじゃない。文部省推薦、ってロゴを付けて、高校生が教師の命令で鑑賞するよーな作品になった。
エンタメとして作っていたら、命令ではなく自発的に見に来ただろうにね、高校生。テーマは変えずに、もっとたくさんの「純文を理解しない人たち」にも見てもらえただろうに。……ま、かわりに「純文しか認めない人たち」にはそっぽ向かれたかもしれんが。
つーことで、わたし的にはおもしろくなかったです。『戦場のピアニスト』。
そしてもう一本。
大阪で封切られてから、どれくらい経ったかな?
梅田まで見に行くのがめんどーなので、地元……つーか、自転車で見に行けるハコにやってくるまで待っていました。
『ボウリング・フォー・コロンパイン』。
なにがおどろいたって、観客の少なさ。
映画館、がらがらでやんの。
ええっ?!
だってこのハコ、このタイトルが上演されて最初の水曜日なんだよ? なんでこんなに誰もいないの? 女性はこの映画、興味ないのか?
こんなにがらがらの映画館で映画を見るのはいつぶりだ……? 水曜日しか映画を見ない人間なもんで、いつもそれなりに混んでいるもんなのよ。そう、『五条霊戦記』以来のがらがらぶりだわ。(『五条霊戦記』はとっても愉快なおすすめ映画っす!笑)
アカデミー賞取ったのになあ。
しかも授賞式で、監督・脚本・主演のマイケル・ムーアのパフォーマンスで物議を醸し出したのになあ。
それでも、こんなにがらがらなのか……。
コロンパイン、というのは、アメリカにある高校の名前。
そう、生徒が銃を乱射して多数の教師や生徒を死傷させた、あの事件があった高校。
なぜコロンパイン事件は起きたのか?
というテーマで、アメリカの銃社会に疑問を提示するドキュメント映画。
ドキュメント映画を見るのははじめてです。
学校とかで強制的に見せられることはあっても、自分では見たことなかったなあ。
そのせいかな、ドキュメントってどーも、おもしろくない、退屈、というイメージがあって。
はじめて見たわけだけど。
うまい……。
とてもうまいっす。この作り方。
ただ事実を列挙していくだけじゃ、つまんないんだよね。
自伝とかストーリーや時系列の決まったモノなら、『プロジェクトX』的に作ることはできるけど、こーゆー「はばひろく現実の事象を拾い集め、そこからテーマを浮き彫りにする」タイプのものを、どうまとめ、演出するか。
ふつーに事実だけ書いてたんじゃ、退屈。新聞記事のスクラップ帳になる。かといって、誇張や嘘は使えない。
では、どう見せれば観客を退屈させず、テーマを描けるのか。
その手法を見せてもらいました、って感じ。
コラージュの仕方が秀逸。
素材は新聞記事でしかないのに、それを色紙や布やリボンでデコレートし、構成を考えてレイアウト、眺めるだけでたのしい絵本のようにした……みたいな。
アイディアと構成力に脱帽。かな。
テーマについては……すみません、わたし、実感できません。
現実にそこに生きていないわたしには、「傍観者」としての見方しかできないのよ。「あー、アメリカ人ってばよー」みたいな。
普遍的なものはわかるけれど、この映画はあくまでも「アメリカの、アメリカ人としての」立ち位置にいる。そこに立っていないわたしには、所詮絵に描いた餅っす。
興味深く、勉強にはなるが、おもしろくはなかったよ。……おもしろい、てな観点で見るもんでもないのか。
……夜にWHITEちゃんがうちにやってきたので、『コロンパイン』を見たことを話しました。
梅田の劇場で上演されたときは連日満員立ち見の整理券発行だったそうな。WHITEちゃんは「これだから大阪人は……」と言っていた。「アカデミー賞効果」はいまいましい、と。
「封切館でもない田舎の映画館では、誰もあんな映画は見ないんでしょうよ」
……そーゆーもんなのか。梅田に行かなくてよかったよ。
にしても、『戦場のピアニスト』と『ボウリング・フォー・コロンパイン』……2本立てで見るよーなタイトルじゃない……疲れた……。
つーことで、見損ねたままだった映画と、旬な映画と2本連続で見てきました。
上映期間ももうすぐ終わり、という、「今ごろそんなの見たの?」と言われそうな『戦場のピアニスト』。
封切りからもう2ヶ月ほど経ってるよねー。アカデミー賞のおかけで期間延長、なんとか見に行くことができたよ。そーでもなけりゃ、一生見られなかったろうなー。(基本的にわたしは、映画は映画館でしか見ない。見損ねたら最後なんだわ)
どーしても見たかったので、がんばって見に行きましたが……。
べつに、見損ねたら見損ねたで、それでよかったな。
とゆー感想でした……。
第2次世界大戦時、ユダヤ人ピアニストの主人公の、苦難の物語。
そりゃーもー、苦難につぐ苦難の日々。
人間として市民として当たり前の権利がどんどん剥奪され、無差別の暴力と死にさらされ、家族を殺され、ひとりでボロボロになって隠れ住み……。
ついにドイツ兵に発見されたが、ピアニストだと告げるとセーフ、見逃してくれました。
実話を元にした作品。
うーん……。
ただたんに、わたしの好みではなかった、ということかな。
ほんと、たんに、おもしろくなかったんだわ。
でもさぁ、こういう映画を「おもしろくなかった」って言うと、「知的レベルが低い」とか「反倫理的な人間」みたいなイメージがあるような気がするなー。
だって感動大作だもんなあ。
日本で言うなら、原爆をテーマに扱った太平洋戦争映画とかさ。ヒロイン(日本映画ならヒロインだろう!)がどれほど苦労して生きたか、どれだけ戦争が悲惨であるか、をえんえん語った作品(しかもドキュメントとか、ほんとうにあった話)を悪く言ったらまずいよね、みたいな感じ?
リアルに理性的に「時代」を描写しているんだろう。
そこある残酷さも恐怖も過ちも、すべて真実なんだろう。
……でもわたしには、おもしろくなかった。
わたしはドキュメントや自伝が見たいのではなく、映画……エンターテイメントが見たかったんだ。
演出次第で、いくらでもおもしろくなったと思うんだけどなあ。
きっとはじめから目指したモノがチガウのよね。
ドキュメントで自伝なんだよね。
事実を冷静にありのままに描いてあるんだもの、エンタメみたいに「感動させよう!」なんてあざとい仕掛けは必要ないんだよね。
スタンスがちがう、ツボがちがう。
よくわかりました。
よくわかったんだけど……もったいないなー、なんて、エンタメ嗜好のわたしはつくづく思ったのよ。
このネタ、ものすげえエンタメに製造可能なのに。
泣かせられるし、感動させられるし、美談だし、スリルだしサスペンスなのよ?
もったいない。
もっともっと、一般受けするものにできたのに。
史実を元に、純文学を書くかエンタメを書くか。
そのちがいなのよ。
なんか大真面目に純文学でさ。格調は高いかもしれんが、大衆が楽しめるものじゃない。文部省推薦、ってロゴを付けて、高校生が教師の命令で鑑賞するよーな作品になった。
エンタメとして作っていたら、命令ではなく自発的に見に来ただろうにね、高校生。テーマは変えずに、もっとたくさんの「純文を理解しない人たち」にも見てもらえただろうに。……ま、かわりに「純文しか認めない人たち」にはそっぽ向かれたかもしれんが。
つーことで、わたし的にはおもしろくなかったです。『戦場のピアニスト』。
そしてもう一本。
大阪で封切られてから、どれくらい経ったかな?
梅田まで見に行くのがめんどーなので、地元……つーか、自転車で見に行けるハコにやってくるまで待っていました。
『ボウリング・フォー・コロンパイン』。
なにがおどろいたって、観客の少なさ。
映画館、がらがらでやんの。
ええっ?!
だってこのハコ、このタイトルが上演されて最初の水曜日なんだよ? なんでこんなに誰もいないの? 女性はこの映画、興味ないのか?
こんなにがらがらの映画館で映画を見るのはいつぶりだ……? 水曜日しか映画を見ない人間なもんで、いつもそれなりに混んでいるもんなのよ。そう、『五条霊戦記』以来のがらがらぶりだわ。(『五条霊戦記』はとっても愉快なおすすめ映画っす!笑)
アカデミー賞取ったのになあ。
しかも授賞式で、監督・脚本・主演のマイケル・ムーアのパフォーマンスで物議を醸し出したのになあ。
それでも、こんなにがらがらなのか……。
コロンパイン、というのは、アメリカにある高校の名前。
そう、生徒が銃を乱射して多数の教師や生徒を死傷させた、あの事件があった高校。
なぜコロンパイン事件は起きたのか?
というテーマで、アメリカの銃社会に疑問を提示するドキュメント映画。
ドキュメント映画を見るのははじめてです。
学校とかで強制的に見せられることはあっても、自分では見たことなかったなあ。
そのせいかな、ドキュメントってどーも、おもしろくない、退屈、というイメージがあって。
はじめて見たわけだけど。
うまい……。
とてもうまいっす。この作り方。
ただ事実を列挙していくだけじゃ、つまんないんだよね。
自伝とかストーリーや時系列の決まったモノなら、『プロジェクトX』的に作ることはできるけど、こーゆー「はばひろく現実の事象を拾い集め、そこからテーマを浮き彫りにする」タイプのものを、どうまとめ、演出するか。
ふつーに事実だけ書いてたんじゃ、退屈。新聞記事のスクラップ帳になる。かといって、誇張や嘘は使えない。
では、どう見せれば観客を退屈させず、テーマを描けるのか。
その手法を見せてもらいました、って感じ。
コラージュの仕方が秀逸。
素材は新聞記事でしかないのに、それを色紙や布やリボンでデコレートし、構成を考えてレイアウト、眺めるだけでたのしい絵本のようにした……みたいな。
アイディアと構成力に脱帽。かな。
テーマについては……すみません、わたし、実感できません。
現実にそこに生きていないわたしには、「傍観者」としての見方しかできないのよ。「あー、アメリカ人ってばよー」みたいな。
普遍的なものはわかるけれど、この映画はあくまでも「アメリカの、アメリカ人としての」立ち位置にいる。そこに立っていないわたしには、所詮絵に描いた餅っす。
興味深く、勉強にはなるが、おもしろくはなかったよ。……おもしろい、てな観点で見るもんでもないのか。
……夜にWHITEちゃんがうちにやってきたので、『コロンパイン』を見たことを話しました。
梅田の劇場で上演されたときは連日満員立ち見の整理券発行だったそうな。WHITEちゃんは「これだから大阪人は……」と言っていた。「アカデミー賞効果」はいまいましい、と。
「封切館でもない田舎の映画館では、誰もあんな映画は見ないんでしょうよ」
……そーゆーもんなのか。梅田に行かなくてよかったよ。
にしても、『戦場のピアニスト』と『ボウリング・フォー・コロンパイン』……2本立てで見るよーなタイトルじゃない……疲れた……。