父の退院。

2003年4月25日 家族
 案ずるより産むが易し。

 父が退院しました。
 迎えはわたしひとり。
 ……荷物が多すぎるんだよっ。わたしひとりじゃ持てないっつーの。
 手続きしたりなんだりで走り回り、かなりへとへと。
 いや、わたしも悪いんだよ。いつも小汚ねー格好で見舞いに行っているから、最後の日ぐらいまともな格好をしようと、ちょっとオサレしてみたりなんかしてたからさ。ひどい靴擦れでね……まさかあんなに働かされるとは思わなくてな。

 父は元気で、杖なしで歩き回る。……おーい、大丈夫かー?

 どうやら、わたしの自由は守れそうです。父は自分の家で暮らす模様。てゆーか、退院したその日から仕事してます。働いてます。……いいのか?

 その夜、父が早々に就寝したあと、母とふたりで溜息をつきました。

 大変だったね、このひとつき。
 がんばったね、このひとつき。

 母のことを偉大だと思う。よくも乗り切ったもんだ。

 笑えたのはうちの猫。
 父が会いたがるので、わたしは猫を連れて親の家に行った。
 しかし、薄情なうちの猫は、父のことをすっかり忘れていた。
 父に抱かせてやろうとしたのに、
「あんたダレ?! なにするのっ、触らないでよ?!」
 と、抵抗。わたしにしがみついてはなれない。父は傷ついた模様。

 ところが、父が私の家にきたとき。
 猫はいそいそと階下に行き、
「エサくれー、水くれー」
 と、父を呼びつけた。

 どうやら猫の頭の中には、父単体の記憶はなく、「エサをくれるおっさん」としてだけ認識されているらしい。
 エサとセットで記憶。
 したがって、自分のエサ場以外の場所では「知らない人」。

 父は不自由な足で階段を降り(階段を自力で降りられない、というふれこみだったんだが……)、猫にいそいそとエサをやっていた。
 あわれなり、父よ。

 

日記内を検索