『涼紫央サヨナラショー』にて、『REON!!』のバーレスク場面を再現するれみちゃんを見て、これが、白華れみの望んだカタチなのか、と思った。

 なまじわたしは、彼女の月組時代から知っている。
 研2で萌えキャラ的アイドル美少女をやっていた、あの頃を知っている。
 研3でバウヒロ、かわいくてうまくて華があって、将来有望な新進娘役だと思った、その記憶がある。

 花組に来て薄幸キャラになり、星組に行ってビッチ女優キャラになった。
 与えられた場所で、求められるキャラを察知して、必要なキャラを演じる。
 その娘役力の高さ、舞台人としてのセンスの鋭さに舌を巻いた。

 必要だからキャラを変えている、だけでなく、本人が望み、楽しそうにやっていることも、舞台からは伝わってくる。
 新しいキャラを見せるたび、舞台人として大きくなっていることも、わかっている。

 特に星組にたどり着き、娘役の枠を超えたキャラクタになってからの、れみちゃんの輝きは半端ナイ。
 男役をも食う勢いだ。

 これでよかったのだろう、すべてあるべきところに収まっているのだろうと思いつつも、寂しさはある。

 『熱帯夜話』や『BourbonStreet Blues』の人形みたいな美少女を、惜しいと思う。
 正統派の美少女。
 正統派の清純さと美貌を持ち、正統派のトップ娘役になっても、まったくおかしくなかった。

 89期娘役の異動、花にれみ、月にしずく、星にねね、は、それぞれトップ娘役になるための異動だと思われたもんなあ。
 彩音ちゃんはオサ様の相手役として何作も務めたベテラントップ娘役だから、新しくトップとなったまとぶんを数作支えたあと、れみちゃんにバトンタッチするんだと思ったよ。
 次期トップ娘役、という看板を掲げての組替え、っていろいろ大変なんだろうなあ。星組のねねちゃんも悪戦苦闘していたし、花組でれみちゃんは薄幸キャラにイメチェンするし、……月組のしずくちゃんに至っては、退団してしまうし。
 まさか彩音ちゃんが5年もトップをするとは、当時の劇団も含め誰も思っていなかったのでは。男役でもめずらしいよね、5年目に入ってから退団する人。

 ナニがいいも悪いもない。
 今のれみちゃんを否定するつもりはまったくない。
 ただ、タカラヅカを、娘役の不思議さを思う。


 そして、れみちゃんが最後に選んだのが、『REON!!』のバーレスク。
 最高にカッコイイ、白華れみ。

 星組に来てからのキャラクタ。ビッチ系のいい女。
 これが答えか。
 めちゃくちゃヅカヲタで、タカラヅカとは、娘役とは、を知り尽くしているであろうれみちゃんが、「娘役・白華れみ」の集大成として選んだ役が、「娘役」と対極にあるこの役なのか。

 バーレスクはねえ、衣装が『TUXEDO JAZZ』であることも含めて、わたしにはなかなか心臓直撃したんですよ(笑)。

 最後の役が、コレであることで。
 星組で同期トップの支えとして、トップのやらない役を一手に引き受けた、そのポジションにジェンヌ人生に一点の曇りもないことを、高らかに宣言してくれた。

 すがすがしいなあ、白華れみ。
 オトコマエだなあ、白華れみ。

 彼女の挨拶の言葉の締めが、「白華れみを愛してくださるすべての方々へ」ではなく、「タカラヅカを愛してくださるすべての方々へ」であることの意味。

 ちくしょー。
 大好きだよ、れみちゃん。
 格好良すぎるよ、れみちゃん。


 タカラヅカがずっと続いてゆきますように。
 これほど「美しい」人を創り上げることの出来る劇団だから。

 200周年にまた、再会できることを祈るよ。

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