花組『ME AND MY GIRL』初日、キャスト中心に思ったことをつらつら書く。

 べーちゃんマリアおばさま。
 目に新しい。
 ただ新しいのではなく、なによりもまず、目に。

 今までのマリアは、主におばあさん枠だった。たとえジョン卿が2番手スターであっても、専科の超おねえさまがやることが多かった。
 そうでなければ組内管理職とか。
 とにかくひと目で「年配」とわかる容色の人が演じる。

 新公は専科さんが出ないから、マリアももちろん若い。脇の実力系が演じることが多いけれど、すっきりふつうにきれいな印象。

 年配か新公か、そのどちらかしか記憶にナイもんだから。

 若々しいけれど、ぽっちゃりしていることで他のキャラクタと年代の差別化の出来たマリアというのは、はじめて観た。

 べーちゃんはタカラジェンヌにしてはふくよかで、群衆にいても身体のサイズでぱっと目に付く。
 若い娘さんたちだけで老若男女を演じ分ける舞台だから、全員ががりがりに細いだけだと表現出来ることに限界がある。トップ路線の娘さんは細くなきゃダメだけど、別格スターなら細さにこだわる必要はないってことだな……と、マリアの自然な差別化を観て思った。

 べーちゃんの丸みが、マリアとして説得力があった。
 そのふくよかさは、育ちの良さゆえだと思えた。あくせくする必要のない育ち、ほんとうのお姫様育ちゆえにダイエットに血道を上げたりせず、真の豊かさを持つ大人の貴族女性として君臨しているのだと。

 貴族よりは下町娘が持ち味だったべーちゃんが、こんなに気品ある大人の女性になってるんだなあ。

 外見の説得力からはじまって、言動の厳しさだけでない、かわいらしさのある女性として、なんとも魅力的なマリアだった。

 そうだよなあ、マリアって最初敵役っぽい立ち位置で、でもほんとはかわいらしい部分のある人だとわかってきて、最終的には観客の共感を得られるとこまで持って行く役だもんな。フィナーレの花嫁姿に拍手喝采ムードになるように。
 きびしく、そして、魅力的であること。
 タカラヅカでいうと男役2番手に求められる役割り。「悪役だけどかっこいい!」「2番手っておいしいよね」と言われる役。

 べーちゃんはべーちゃんだってだけでかわいいけど(盲目)、マリアがこれまたかわいかった!
 彼女に感情移入して観てしまうから、ビルの方に苛立ちを感じるくらい(笑)。

 べーちゃんのあのまろやかな体格だって、マリアを演じるためにあるようなものだわ! ……と思ったけど、えーと、フィナーレになるとやっぱ「太っ」と思ったよ、ごめん。
 タカラジェンヌは大変よね……がりっがりではじめて「ふつう」と呼ばれるんだものね……そして娘役は肌露出多いから、体型モロに出るもんね……。
 芝居はぜんぜんいいんだけど、ショーになるとべーちゃんはもうちょい肉が薄くなってくれてもいいかなあ、と思う……。


 ジョン卿@キキくんがまた、かわいかった!
 キキくんは貴族が似合う。鷹揚で、育ちの良さが自然。
 ちょっと不思議ちゃん入ってる感じなのも、「貴族ゆえ」と思える。一般人と同じところで生きてないからなー、と。

 不思議ちゃんなジョン卿というと断然えりたんを思い出すんだけど、えりたんは「不思議なイキモノ」「変な人」であって、「貴族だから」ではなかったなあ。

 マリアとジョン卿が若くてかわいい人たちだってだけで、作品のわくわく度が違うな。や、わたしの場合。

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