『ME AND MY GIRL』Bバージョン、マリア@仙名さんが、意外なほど面白かった。

 閉じた世界で生きてきた少女が、ビル@みりおくんという「異生物」と出会い、「え? わたしが知らないモノも、この世には存在している??」と気づかされる物語。
 頑固ばあさんではなく、無垢な少女。年齢は大人でも、心は幼いまま、夢の世界に住んでいる。
 そんなマリアは、正直ちょっとこわかった(笑)。ちょっとホラーじゃん? 目の前にいるビルを通り越して、どこかこの世のモノではないところを見ながら、「うふふ♪ あはは♪」と微笑んでいる女性って。
 でも、そんな彼女が徐々に「世界」と出会って、大人になっていくさまが、興味深かった。

 世界を変えられることにパニックになるのではなく、「?」と首をかしげている感じなのが、「ホンモノだ」と思える。
 パニックになったりキーキーわめいて破壊行動に出たりするのって、どこかに「嘘」を隠しているから、後ろめたいところや、弱いモノを深層心理で認めているから、それを守るために過剰反応しちゃうんだと思う。
 イメージとしての「少女」って、自分の世界が侵されると、キーキーヒステリックにわめくじゃん。赤の女王@『アリスの恋人』みたいな感じで。ホンモノの少女ではなく、イメージの「少女」ね。
 でも、ほんものの「少女」……それも、お姫様育ちで黒いことをなにひとつ知らずに育った「少女」は、そんな過剰反応はしない。だって幼く素直な彼女はナニにも凝り固まっていない、これからいくらでも変化していくスタート地点にいるんだもの。
 あ、ほんとにわからないんだな。……そう思えるから、マリアはホンモノのお姫様なんだなー。貴族ってこうなんだなー。

 『ミーマイ』のマリアは、ビルに反抗されようがどうしようが、ヒステリックになったりしないものね。知性と慎みを持って、ぶつかっていくのよね。
 それを「分別のある大人」として描いてきたのに、「無垢な少女」としてきたことが、とても興味深かった。わくわくした。


 だからかなあ。

 ジョン卿@あきらが、物足りなかった。

 あきらのジョン卿……「ふつー」なんだもん。

 ジョン卿らしいジョン卿。
 今までフタ桁は観てきたいろんなジョン卿の、いちばん中庸の、テンプレートみたいなジョン卿。
 や、テンプレでもいいよ? 基本大事。
 でもさ。
 モロ中庸狙い、平均的狙いだと……技術のなさが、つらい。

 うーん。
 100点満点狙って70点しか取れないならともかく、最初から70点狙って、40点しか取れてないのって、ええっと。
 あきらさんがどのへん狙ってたのか知りようもないけど、なんかふつーのジョン卿で、だとしたらあきらさん、いろいろとうまくない人なので、それが悪目立ちするっていうか。

 や、技術ないんだからイロモノ狙え!と言ってるわけじゃないっすよ。

 ただ、仙名さんがこんだけふつーでないマリアやってるのに、相手役のジョン卿がふつーど真ん中っていうのは……。
 合ってないっす。
 このマリアを何十年見守り、愛しているジョン卿なら、あきらのジョン卿とは別人だろう、と思う。

 ふつーでない仙名さんが悪いのか? でも仙名さんはマリア作っちゃってるし。ジョン卿としてまだ作り切れてない……いろいろ足りてないあきらさんが歩み寄ってもいいんでは??

 あきら、かっこいいんだけどなあ。
 わたしはあきらスキーで、ずっと彼を眺めて来てはいるんだけどさぁ。
 ほんと彼、うまくならないねええ。
 ジョン卿も黙っていればかっこいいけど、や、動いても喋ってもかっこいいけど、動いて喋るならもっともっと!かっこよくなってほしいっす。せっかくの2番手役なんだもの。

 キキくんのジョン卿と、仙名さんのマリアも見てみたかったな。
 キキくんはみょーな包容力というか、輪郭の曖昧な柔軟性があるから、仙名さんの尖った部分を受け止められるのかもしれない。


 あ、でもあきらジョン卿は、みりおビルとは合っている気がした。テンプレキャラだから、当然かもしんないけど、でもでも、美しさもゆるい空気(笑)も、なんかかわいらしく似合っていた。
 主役と合っているんだから、それでいいのかも。

 ただわたしが、「頼むあきら! 正念場だ、もっと見せてくれ!!」とじれじれしているせいかもしれぬ。
 もっとあきらが見たい、もっと活躍して欲しい。だから。
 だから、うまくなってほしい。

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