『井上芳雄 シングス ディズニー ~ ドリーム・ゴーズ・オン!』に、だいもんは「タカラヅカの男役」として登場した。
黒燕尾にヅカメイク。
舞台上の誰もそんな姿してないのに、ひとりだけ。異様かもしんない、でもその心意気が素晴らしい。
よっしゃっ!!
わたしは客席で内心拳握ったわ(笑)。さすがだ、だいもん!
「現役タカラジェンヌなので、男役として出演させてもらった」とだいもん自身が語った。
現役のうちに、男役としてよちお氏と競演するのが夢だった、とだいもん。
そうか、夢か……。
そこではじめて、思い至る。
男役といっても、ふつーに女性であること。
ふつう、女性として生まれたら、「男」として、男性と競演することは、ナイわな。
芝居でなら「男の役」をすることは、すべての女性タレントさんにも可能性としてはあるかもしんないけど、その女性タレント「自身」が「男」として本物の男性とコンサートに出る、なんて。
ありえないわー。
そのありえないことが、今起こっているんだな。
「タカラヅカ」という、特殊なジャンルゆえに。
やっぱ、「タカラヅカ」ってすごいな。しみじみ。
そしてだいもんは、「タカラヅカの可能性」を体現しているんだ。
さすがヅカヲタのだいもん。「タカラヅカ」の可能性を信じてる、愛してるんだね。「タカラヅカ」の使い方を知っているんだね!
男として、男性ミュージカルスターと競演する。役ではなく、だいもん自身で。
すげえ。
それは、生半可なことではナイ。
技術のない人だと、成り立たない。
色鉛筆の線はペンキの線に負けちゃうからだ。ただ並べて引いた線だと、色鉛筆は見えない。男性と並ぶと、男役は無理がある。
そこがどこであれ、虚構である「タカラヅカ男役」をくっきり描くことのできる、完成度。
現実世界では、男役は不利。だから、現実に虚構を創り上げる。無から有を作る。
そして、卓越した歌唱力。タカラヅカという枠の中だけで通用するものではなく、現実世界でも共通の、高い技術。
この両方がなかったら、最初から負け戦になる、コンサートを盛り下げてしまう。それじゃ呼んでくれたホストにも、そのファンにも失礼。なんて高難度ミッション。
だいもん、よく受けたなあ、この仕事。
そして劇団、よく許可したな(笑)。
そして、受けること、許可すること、成り立たせてしまうこと、すべてすんなり「さもありなん」と思わせてしまう、今の望海風斗の勢いに、ただただ脱帽する。
アウェイで歌うだいもんの歌声は、それほどものすごく素晴らしい!!というものではなかった。ほんとのとこ。
個人名を掲げたコンサートをずっとやってきたスターのステージに、ゲストとしてはじめて1ステージのみ参加して数曲歌うだけの、個人ではコンサートおろかディナーショーすらしたことのない経験不足の今のだいもんは、やっぱよちお氏に比べて、見劣りというか、聴き劣りしていたと思う。
せっかくの「男同士のデュエット」も、本物の男性歌手がふたりで歌う方が聴き応えあったろうなと思う。
いや、もちろんうまいよ。
ホールに響くだいもんの歌声。
これだけの場所でソロでだいもんの歌を聴けるとか、感動でしかない。
今のだいもんの立場と経験値で、よくぞここまで聴かせてくれました!と胸が熱くなる。
ふつうにうまい。
タカラヅカの人ってやっぱ歌うまいのね! と、知らない人に思ってもらえる、安定の歌唱力。基本値の高さ。
やっぱだいもんいいなあ! そう思えることの幸福さ。
……ただ。
ただ、これはだいもんの真骨頂ではない。
剥き出しのだいもんの実力じゃない。
だいもんの真価って、本領発揮ぶりって、『BUND/NEON 上海』の2幕とか、『アル・カポネ』の裁判シーンとか、ああいうのよね?
アクセル踏み切ってこの世のモノではなくなる、別次元へ行っちゃって周りが見えなくなる、アレよね?
ただきれいにうまく、緊張滲ませながら歌っている、コレじゃないよね?
よちお氏に、本物のだいもんと競演して欲しいなあ(笑)。
や、無理なのはわかってるけど。2日欄もかけて、男性と男役が「芝居で」競演は無理だと書いておきながらナニ言うんだ、ってなもんだけど。
だいもんの真骨頂は、このガチガチの「今ここで歌うための歌」じゃないから。
芝居だから。
ミュージカルだから。
物語の中でそのキャラクタとして生きて、役そのものに憑依して暴走する、そのときの歌だから。
真骨頂じゃない……歌声を聴きながらそう思ってしまったのは、つまりその、ナニも考えられなくなるほどの最上級の歌声ではなかったってこと。……わたしにとっては。
だいもんは、まだ上がある。まだまだ。これが実力じゃナイから。これ序の口だから。小手先だから。
そんな、よくわかんないことがアタマのどこかを回った。
……盲目?(笑)
だいもんに、コンサートをやってほしいなと思った。
歌だけで、突然劇場を満たす経験が圧倒的に足りてないのなー。ショーの2番手だって、『La Esmeralda』ではじめて経験したんだもん。
こんな「借りてきた猫」状態で、いきなりトップスピードを出せる人じゃないんだ。今のところ。
コンサート経験してからだったら、きっとまた違ったんだろうにな。
なんか、だいもんに対してさらに欲が深まった気がする。
もっとだいもん。もっともっと。
まあ、ほんとのとこ、いちばん見たいのは、だいもんがだいもん力を全開にできる芝居と役、だけどな。わたしは芝居が、ミュージカルがいちばん好きだから。
黒燕尾にヅカメイク。
舞台上の誰もそんな姿してないのに、ひとりだけ。異様かもしんない、でもその心意気が素晴らしい。
よっしゃっ!!
わたしは客席で内心拳握ったわ(笑)。さすがだ、だいもん!
「現役タカラジェンヌなので、男役として出演させてもらった」とだいもん自身が語った。
現役のうちに、男役としてよちお氏と競演するのが夢だった、とだいもん。
そうか、夢か……。
そこではじめて、思い至る。
男役といっても、ふつーに女性であること。
ふつう、女性として生まれたら、「男」として、男性と競演することは、ナイわな。
芝居でなら「男の役」をすることは、すべての女性タレントさんにも可能性としてはあるかもしんないけど、その女性タレント「自身」が「男」として本物の男性とコンサートに出る、なんて。
ありえないわー。
そのありえないことが、今起こっているんだな。
「タカラヅカ」という、特殊なジャンルゆえに。
やっぱ、「タカラヅカ」ってすごいな。しみじみ。
そしてだいもんは、「タカラヅカの可能性」を体現しているんだ。
さすがヅカヲタのだいもん。「タカラヅカ」の可能性を信じてる、愛してるんだね。「タカラヅカ」の使い方を知っているんだね!
男として、男性ミュージカルスターと競演する。役ではなく、だいもん自身で。
すげえ。
それは、生半可なことではナイ。
技術のない人だと、成り立たない。
色鉛筆の線はペンキの線に負けちゃうからだ。ただ並べて引いた線だと、色鉛筆は見えない。男性と並ぶと、男役は無理がある。
そこがどこであれ、虚構である「タカラヅカ男役」をくっきり描くことのできる、完成度。
現実世界では、男役は不利。だから、現実に虚構を創り上げる。無から有を作る。
そして、卓越した歌唱力。タカラヅカという枠の中だけで通用するものではなく、現実世界でも共通の、高い技術。
この両方がなかったら、最初から負け戦になる、コンサートを盛り下げてしまう。それじゃ呼んでくれたホストにも、そのファンにも失礼。なんて高難度ミッション。
だいもん、よく受けたなあ、この仕事。
そして劇団、よく許可したな(笑)。
そして、受けること、許可すること、成り立たせてしまうこと、すべてすんなり「さもありなん」と思わせてしまう、今の望海風斗の勢いに、ただただ脱帽する。
アウェイで歌うだいもんの歌声は、それほどものすごく素晴らしい!!というものではなかった。ほんとのとこ。
個人名を掲げたコンサートをずっとやってきたスターのステージに、ゲストとしてはじめて1ステージのみ参加して数曲歌うだけの、個人ではコンサートおろかディナーショーすらしたことのない経験不足の今のだいもんは、やっぱよちお氏に比べて、見劣りというか、聴き劣りしていたと思う。
せっかくの「男同士のデュエット」も、本物の男性歌手がふたりで歌う方が聴き応えあったろうなと思う。
いや、もちろんうまいよ。
ホールに響くだいもんの歌声。
これだけの場所でソロでだいもんの歌を聴けるとか、感動でしかない。
今のだいもんの立場と経験値で、よくぞここまで聴かせてくれました!と胸が熱くなる。
ふつうにうまい。
タカラヅカの人ってやっぱ歌うまいのね! と、知らない人に思ってもらえる、安定の歌唱力。基本値の高さ。
やっぱだいもんいいなあ! そう思えることの幸福さ。
……ただ。
ただ、これはだいもんの真骨頂ではない。
剥き出しのだいもんの実力じゃない。
だいもんの真価って、本領発揮ぶりって、『BUND/NEON 上海』の2幕とか、『アル・カポネ』の裁判シーンとか、ああいうのよね?
アクセル踏み切ってこの世のモノではなくなる、別次元へ行っちゃって周りが見えなくなる、アレよね?
ただきれいにうまく、緊張滲ませながら歌っている、コレじゃないよね?
よちお氏に、本物のだいもんと競演して欲しいなあ(笑)。
や、無理なのはわかってるけど。2日欄もかけて、男性と男役が「芝居で」競演は無理だと書いておきながらナニ言うんだ、ってなもんだけど。
だいもんの真骨頂は、このガチガチの「今ここで歌うための歌」じゃないから。
芝居だから。
ミュージカルだから。
物語の中でそのキャラクタとして生きて、役そのものに憑依して暴走する、そのときの歌だから。
真骨頂じゃない……歌声を聴きながらそう思ってしまったのは、つまりその、ナニも考えられなくなるほどの最上級の歌声ではなかったってこと。……わたしにとっては。
だいもんは、まだ上がある。まだまだ。これが実力じゃナイから。これ序の口だから。小手先だから。
そんな、よくわかんないことがアタマのどこかを回った。
……盲目?(笑)
だいもんに、コンサートをやってほしいなと思った。
歌だけで、突然劇場を満たす経験が圧倒的に足りてないのなー。ショーの2番手だって、『La Esmeralda』ではじめて経験したんだもん。
こんな「借りてきた猫」状態で、いきなりトップスピードを出せる人じゃないんだ。今のところ。
コンサート経験してからだったら、きっとまた違ったんだろうにな。
なんか、だいもんに対してさらに欲が深まった気がする。
もっとだいもん。もっともっと。
まあ、ほんとのとこ、いちばん見たいのは、だいもんがだいもん力を全開にできる芝居と役、だけどな。わたしは芝居が、ミュージカルがいちばん好きだから。