星WS『ANNA KARENINA』、ヒロインでタイトルロールのアンナ@せあらちゃん。

 なんだかすごくなつかしい。
 せあらちゃんヒロインなんて、いつぶりだよ? すずみんWSの『それでも船は行く』以来? あのころは『長崎しぐれ坂』新公ヒロインもあって、せあらちゃんはキラキラ輝いていた。
 これからウメちゃんに次いでのヒロイン系の女の子としてやっていくんだろうと思っていたのに……なんかどんどん扱いが悪くなって。
 何故だ。
 すげー美少女だし、声きれいだし、演技うまいし、なにが不満なんだ、歌劇団。
 このまま埋もれさせるのはもったいないよ〜〜。

 と思っているときにこのWSヒロイン。まりもちゃんとWキャストって、それって3年前と同じじゃん……この3年はなんだったんだ。

 まりもちゃんが着実に成長しているように、せあらちゃんもきちんと実力を見せてくれました。

 お人形のような美しさと、神経質さがイイ。張りつめきった弦のように、高い音を最後に切れてしまう……そのあやうさ。

 精神的にかなりヤヴァいとこへ行っていることが、よくわかる。なにしろお相手のヴィロンスキー@しゅんくんがまた、かなりヤヴァい男なので。あの男と恋愛できるだけでもかなりキツいとこにいる人だってことがわかるし、どっちを向いても説得力。

 しゅんくんの相手がせあらちゃんで、せあらちゃんの相手がしゅんくんで良かったと思いました。
 ……や、チガウ取り合わせもアリかなと思うが。せあらちゃん、ともみん相手ならふつーに恋愛できたのかな? しゅんくんとはアレ、「愛」といっていいのかどうか……ゲフンゲフン。

 ただせあらちゃんは、わたしが胸に思い描く「アンナ・カレーニナ」という女性にもっとも相応しかったです。
 美しい音色の中に、耳障りな金属音が混ざっている……そんなイメージなんだ、わたしのアンナ。や、原作知らないけど、役者云々を考えずに脚本・演出から受けるものだけで。

 
 カレーニン@みやるりは。

 ベニーがAチームでよかった。

 痛感。
 恐怖ですくみ上がるくらい、激しく思った。

 わたしにとって「カレーニン」はかしちゃんだ。他はない、つーくらい、強く刷り込まれていた。
 ソレを、Aチームのベニーは潔く、ぶっ壊してくれた。

 ははは。
 アレはベニーだ、かしちゃんじゃない。別物過ぎて、比べるのも無意味。

 とても愉快なカレーニンさんを見て、機嫌良く観劇できた。

 ……よかった。ほんとに、このベニーなカレーニンが先で。

 みやるりカレーニンは、かしちゃんそっくりだった。

 びびった。
 瞬間息が詰まるくらい、びびった。

 みやるりってこんなに、かしちゃんに似てたっけ?
 瞳の大きな美人さんだってことはわかっていたし、89期トップクラスの美貌の主だってことは、わかっていたけれど。
 みやるりとかしちゃんを関連づけて考えたことなんか、一度もなかった。

 ヒゲか? ヒゲがいかんのか??
 演技なのか?
 そしておそろしいことに、声まで似てるんだわ。
 びびびびったよー。

 わたしが観劇したあと入れ違いで観劇したドリーさんが「かしげに似てる。骨格が同じなら声が同じなのはわかるけれど、それにしても、声まで似てる」と感心して出てくるし、その後観劇したnanaタンもまた「かしちゃんに似てる!!」と騒いでいるし。
 みんな口々に「かしげに似てる」。

 いちおー、未だに「男役・貴城けい」に心を残す者として、「かしちゃんそっくり」な男の子が「かしちゃんの役」をやっているのを見ると、平静ではいられないのですよ。
 うろたえましたよ。
 自分の中で整理がつかなくて。

 それでもなんとか観劇できるのは、先にベニーの愉快なカレーニンさんを見ていたせいだ。

 もう、「カレーニン」はかしちゃんひとりだけじゃなくなっていたから。
 同じ名前の、ハイテンションで「がーんっ」「どーんっ」「ぐはっ」なカレーニンさんを見たあとだったから。
 免疫がついて、発病を回避できた、って感じ。

 ベニーはワクチンですか(笑)。
 ありがとうベニー。君がいてくれてよかった。

 
 みやるりが演技しているところを、はじめてまともに見た……と、思う。
 てゆーか、歌、はじめて聴いた。が、がんばれ、と手に汗握って聴いた(笑)。
 89期でみりおと1、2を争う美貌の主なのに(本科すみれ売りにて、わたしが写真を単体で撮ったのはみりおとみやるりのみ。本能に従い、もっとも美しいと思う男の子を選んだ)、みりおの躍進に比べみやるりはいまひとつ……どころかまったく。
 新公でも役はろくにつかないし、たしかに『ヘイズ・コード』では演技あんましうまくないのかなー、とか思ったけれど。
 なんだよ、ふつーにできるんじゃん。

 たしかにうまくはないけど(ごめん)、今までろくに「声」すら出したことのない子が、はじめてまともな「役」をもらってやっているのなら、十分な出来だろ。
 機会さえあれば、もっと成長できるんじゃないのか?

 なにより惜しいよ、あの美貌……。

 
 みやるり演じるカレーニンさんは、ほんとにふつーの人でした。
 悪役でも敵役でもなんでもない。常識のこちら側、わたしたち側にいる人。
 ヴィロンスキーとアンナがあっちのお花畑雷鳴付き、にいる人たちなんで、カレーニンさんのまともさが、泣けるほどいじらしいです。

 どう考えたって、アンナとは不釣り合いなの。
 同じ地平にはいないのよ。
 相手にされてないの。
 なのに、「アンナを最後に守ってやれるのは、夫である私だけなのです」とか言ってるんですよ。
 信じている……いや、信じたいのか。
 もしもアンナが戻ってきたとして、それはもうアンナの外側だけで、魂ではないだろうに。魂は決してカレーニンのもとでは暮らせないだろうに。

 カレーニンさんのふつうっぷり、まともさと、常識の範囲でしかモノを考えられない小物っぷりに、ときめきます。
 もー、好きだ〜〜、この人。

 かしちゃんカレーニンの、どこを好きだったか。何故好きだったか。ベニーカレーニンでは忘れていた(笑)いろんなことを、みやるりカレーニンを見て思いだした。

 アンナとヴィロンスキーのぶっとびっぷりと、カレーニンのまともさは、ほんとうにいいコントラストだ。

 主役たちの三角関係が実に綺麗に正三角を描いていて、気持ちよかった。


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