『フットルース』博多座で気づいたこと。

 オープニングの拍手。梅芸ではせいぜいコマまでで、みみちゃん登場時には拍手がほとんどない、そっから先はナシ、だったのが、そのあとの男たち4人まで入ってる。

 オープニングはキャラ紹介も兼ねているというか、プロローグのレン@キムのシカゴの導入が終わり、幕が上がるとボーモント高校の面々がいる。
 まずピンライトを浴びてセンターで歌い出すのがチャック@きんぐ。次にウィラード@コマがライト+センター。ここまでは「スター登場」っぽいので拍手入るけど、さすがに同じ演出が3回続くと観客は慣れてしまって拍手しなくなる。
 3回目のアリエル@みみちゃんは演出的に拍手は入りにくい。彼女がトップ娘役だと、この作品のヒロインだとわかっている人たちが意識的に拍手をしない限り。

 演出が変わったわけじゃないのに、アリエルまでふつーに拍手が入っているのは、意志を持った人たちが仕切ってくれているのか、博多の人たちは同じ演出が何回くり返されても全部拍手をしてくれる習性なのか。
 アリエルのあとはセンターにピンではなく、4人の男子、咲奈・ホタテ、まなはる・レオが一列に並んで前に出るんだが、そこまで拍手入るんだもん。やっぱ意志かなあ。だとしたら、そのあとの女の子3人、あゆっち・さらさ・えーちゃんまで入れても同じことだと思うんだけど、何故かここは入らない。
 女子3人までが「キャラクタ紹介」なのに、彼女たちの直前まで拍手……力尽きるのかな。

 幕が開いて10日ほどだったから、そっから先さらに拍手は多くなっているかもしれない?

 あと、フィナーレのデュエダン、みみちゃん登場時も確実に拍手入る。梅芸では入ったり入らなかったりしてたけど。
 ヒロインへの拍手はうれしい。や、個人的に。


 いろんな人の台詞の言い方やタイミングなど、ナマモノゆえの多少変化は当たり前だけど。

 中でも、意図的に変えているんだろうとわかるのは、エセル@ヒメ。

 最初に登場したときの、台詞ニュアンスが変わっている。
 蒸発した夫のことを語っているくだり。
 まあどっちがどうとも言えないっちゅーかどっちもありだと思うけど、わたしは梅芸のときの方が好き。梅芸で見たとき「うまいなあ」と思ったので、博多座版は「あ、変わっちゃったんだ……しょぼん」という感じ。


 わかりやすくなったけど、ちょっと残念、なのは教会でのウィラードの席。
 最初のミサで、主要人物のウィラード、チャック、ラスティ@あゆっちは3人並んで下手側の一番前に坐っている。
 この席順が、博多で変わっていた。

 梅芸では手前から、ラスティ・ウィラード・チャックだったのね。ウィラードは真ん中。
 ムーア牧師@まっつのお説教を聞きながらうたた寝してしまうウィラードが、「こんな風に」と目の前で手を叩かれて、牧師様に起こされる、という演出は同じ。
 この「こんな風に」は、その後ウィラードがレンにやってみせることもあり、ナニ気にポイント。
 牧師様がナニをしたのかよくわからなくてはならないのと同時に、ちゃんと観客の心に残らなければならない。

 だからわかりやすくするために、ウィラードを一番手前、客席に近い位置にして、牧師に起こされたときに椅子から大きくずり落ちる博多演出は、よくなったのだと思う。

 ただ、個人的に、梅芸演出もかわいくて好きだった。
 うたた寝ウィラードはまずチャックにもたれ掛かるのだわ。
 で、チャックが「なんだこいつ、うぜえ」と振りほどき、その反動でラスティにもたれ掛かる。ラスティは好きな男の子にもたれ掛かられて「きゃっ」と喜ぶ……。

 わたしこの、チャック×ウィラードが好きでねえ……(笑)。
 チャックの肩にもたれてしあわせそーに眠るウィラード、ってよくないですか? かわいくないですか?
 よいですとも! かわいいですとも!

 そして、ウィラードに乗っかられて「ん?」てな顔するチャック、「うざっ」と振りほどくチャックがまた、すげーかわいいのですよ!

 博多では客席側にいるウィラードは、うたた寝しても倒れかかる相手はラスティしかいないので、最初からラスティにもたれ掛かってラスティ「きゃっ」で……たしかにそれでいいし、それが正しいんだけど、ちょっと残念(笑)。

 それに、ウィラードはあれで紳士だから、チャックの隣にラスティを坐らせたりしないと思うのね。危険じゃん? ナニがどうじゃないけど、自分が盾になる意味でも、チャックとラスティの間に坐ると思うのね。
 チャックはアリエル目当てでミサに参加しているので、アリエルからいちばん近いあの席を譲らないだろうし。
 演出的には博多が正しいけど、キャラの性格的には梅芸が正しいかなーと思う。


 博多座ではご当地アドリブが入ることになり、1幕教会でのエレノア@いのりちゃんのクッキーネタと、2幕のボブ@がおりくんのラスティとの会話、レンの演説練習にて、毎日なにかしらやっている。
 尺がある程度ある、ボブがフリーダムだなあ。がおりくんは、タカラジェンヌとしてどこへ向かっているのか、楽しみかつ不安でもある(笑)。

 レンの「お足元の悪い中……」は、梅芸からずーっと見ている人はその進化(笑)っぷりがわかるからいいけど、いきなり博多を見た人は、わけわかんないんじゃ?ってくらい、無理矢理だわー(笑)。
 梅芸の最初は「お足元の悪い中」と言おうとして「おあしもと……おあし……」と噛んじゃって言い直しているうちに、よく似たチガウ言葉を言ってしまう、というカタチで笑いを取っていた。
 だから口にする言葉は基本、「おあしもと」のどこかの音と同じ言葉や似たリズムの言葉とか。

 それが博多では「言い間違い」ですらない(笑)。
 「おあし……」のあとは、ナニ言ってもOK!になってる。
 それはそれで楽しいけど、もう少し「言い間違い」だとわかるようにしてくれても、わたしは好きかなー。


 客席が最初から温まっているというか、「立って踊って良し!」になっているのは、ありがたい。
 梅芸では半分くらいの日程まで、「おそるおそる」「周囲の反応を見て」だったからなー。
 タカラヅカで新しいことをするってのは、それが浸透するまで1公演掛かっちゃったりするんだね。雪組だからってもあるかもしんないけど。
 『フットルース』は踊ってイイ、と認識されたみたいなんで、自分が立つかどうかはともかく、「決まった」感がすっきりして良かった。あの「どうする……?」「こまった……」という客席のとまどいは、置き去り感を増長させる。
 「そういうもの」だという立ち位置の決まった感じが、爽快ですよ、博多座公演!


 博多座は設備もスタッフもおみやげ屋さんも充実、気持ちのいい劇場。
 博多まで行って博多座以外どこも行ってませんが(笑)、悔いのない遠征でした。

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